JP3963623B2 - ポジ型フォトレジスト組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路素子、集積回路製造用マスク、プリント配線板、液晶パネル等の製造に用いるポジ型フォトレジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、磁気バブルメモリ、集積回路等の電子部品を製造するためのパターン形成法としては、従来より、紫外線又は可視光線に感光するフォトレジストを利用する方法が幅広く実用に供されている。フォトレジストには、光照射により被照射部が現像液に不溶化するネガ型と、反対に可溶化するポジ型とがあるが、ネガ型はポジ型に比べて感度が良く、湿式エッチングに必要な基板との接着性及び耐薬品性にも優れていることから、近年までフォトレジストの主流を占めていた。
【0003】
しかし、半導体素子等の高密度化・高集積化に伴い、パターンの線幅や間隔が極めて小さくなり、また、基板のエッチングにはドライエッチングが採用されるようになったことから、フォトレジストには高解像度及び高ドライエッチング耐性が望まれるようになり、現在ではポジ型フォトレジストが大部分を占めるようになった。特に、ポジ型フォトレジストの中でも、感度、解像度、ドライエッチング耐性に優れることから、例えばジェー・シー・ストリエータ著、コダック・マイクロエレクトロニクス・セミナー・プロシーディングス、第116頁(1976年)(J.C. Strieter, Kodak Micro electronics Seminar Proceedings、116(1976年)等に記載されているアルカリ可溶性のノボラック樹脂をベースにしたアルカリ現像型のポジ型フォトレジストが現行プロセスの主流となっている。
【0004】
しかしながら、近年電子機器の多機能化、高度化に伴ない、さらに高密度化及び高集積化を図るべくパターンの微細化が強く要請されている。
即ち、集積回路の横方向の寸法の縮小に比べてその縦方向の寸法はあまり縮小されていかないために、レジストパターンの幅に対する高さの比は大きくならざるを得なかった。このため、複雑な段差構造を有するウエハー上でレジストパターンの寸法変化を押さえていくことは、パターンの微細化が進むにつれてより困難になってきた。
さらに、各種の露光方式においても、最小寸法の縮小に伴ない問題が生じてきている。例えば、光による露光では、基板の段差に基づく反射光の干渉作用が、寸法精度に大きな影響を与えるようになり、一方電子ビーム露光においては、電子の後方散乱によって生ずる近接効果により、微細なレジストパターンの高さと幅の比を大きくすることができなくなった。
【0005】
これらの多くの問題は多層レジストシステムを用いることにより解消されることが見出された。多層レジストシステムについては、ソリッドステート・テクノロジー、74(1981)[Solid State Technology, 74 (1981)]に概説が掲載されているが、この他にもこのシステムに関する多くの研究が発表されている。
一般的に多層レジスト法には3層レジスト法と2層レジスト法がある。3層レジスト法は、段差基板上に有機平坦化膜を塗布し、その上に、無機中間層、レジストを重ね、レジストをパターニングした後、これをマスクとして無機中間層をドライエッチングし、さらに、無機中間層をマスクとして有機平坦化膜をO2 RIE(リアクティブイオンエッチング)によりパターニングする方法である。この方法は、基本的には、従来からの技術が使用できるために、早くから検討が開始されたが、工程が非常に複雑である、あるいは有機膜、無機膜、有機膜と三層物性の異なるものが重なるために中間層にクラックやピンホールが発生しやすいといったことが問題点になっている。
【0006】
この3層レジスト法に対して、2層レジスト法では、3層レジスト法でのレジストと無機中間層の両方の性質を兼ね備えたレジスト、すなわち、酸素プラズマ耐性のあるレジストを用いるために、クラックやピンホールの発生が抑えられ、また、3層から2層になるので工程が簡略化される。しかし、3層レジスト法では、上層レジストに従来のレジストが使用できるのに対して、2層レジスト法では、新たに酸素プラズマ耐性のあるレジストを開発しなければならないという課題があった。
【0007】
以上の背景から、2層レジスト法等の上層レジストとして使用できる酸素プラズマ耐性に優れた、高感度、高解像度のポジ型フォトレジスト、特に、現行プロセスを変えることなく使用できるアルカリ現像方式のレジストの開発が望まれていた。
【0008】
さらに、ハーフミクロン以下の線幅からなる超微細パターンの加工が必要な超LSIの製造等においては、リソグラフィーに用いられる露光装置の使用波長の短波化が進行し、今やKrFエキシマーレーザー光、ArFエキシマーレーザー光を用いる事が検討されるまでになってきている。この様な短波長の光リソグラフィーでは、レジストは化学増幅型と呼ばれるものを用いるのが一般的である。なかでもArFエキシマーレーザー光を利用する場合は、膜の光学的透明性の観点からレジストの主成分となるバインダー樹脂中にフェノール構造を導入する事は適当ではなく、t−ブチルエステル等の3級エステル、1−アルキルアダマンチルエステル、カルボン酸のTHP保護体など、酸で分解してカルボン酸を発生する構造を画像形成性部位として含有する樹脂ポリマーをバインダーとして用いるのが一般的である。ArFエキシマーレーザー光に透明な画像形成性部位を含有するSi含有ポリマーは、例えば特開平8−160623号、特開平10−324748号、特開平11−60733号、特開平11−60734号に開示されている。
しかしパターン表面の膜べりが大きくパターンが矩形形状にならず、次の酸素プラズマ工程において下層へのパターン転写時に寸法シフトが大きくなるという問題点を有していた。
【0009】
SPIE、第3678巻、241項には、酸分解性エステル末端にトリス(トリメチルシリル)シリルエチル基を含有するビニルポリマーを用いた化学増幅型レジストが開示されている。また、SPIE、第3678巻、214項及び562項には、酸分解性エステル末端にトリメチル−ビス(トリメチルシリル)ジシラヘプチルメチルプロピルエステルを含有するビニルポリマーを用いた化学増幅型レジストが開示されている。しかしながら、これらの技術でもラインボトム部のすそ引き等やライントップ部のラウンド化という問題点が存在した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、半導体デバイスの製造において、高感度であって、0.15μm以下の高解像力を有し、しかも矩形形状を有するレジストパターンを与えるポジ型フォトレジスト組成物を提供することである。
本発明のさらなる他の目的は、2層レジスト法において、酸素プラズマエッチング工程での下層へのパターン転写の際に寸法シフトが小さいポジ型フォトレジスト組成物を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポジ型化学増幅系におけるレジスト組成物について鋭意検討した結果、特定の繰り返し単位を共重合した酸分解性ポリマーを用いることにより、本発明の目的が達せられることを見出した。即ち、上記目的は、下記構成を有するポジ型フォトレジスト組成物を用いることにより達成される。
(1) 少なくとも一般式(I)で表される繰り返し単位と、一般式(II)で表される繰り返し単位とを含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する酸分解性ポリマーを含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
【0012】
【化5】
Figure 0003963623
【0013】
一般式(I)中、Yは水素原子、メチル基、シアノ基又は塩素原子を表す。Lは単結合または2価の連結基を表す。R'、R''及びR'''はそれぞれ独立に直鎖もしくは分岐のアルキル基、フェニル基、トリアルキルシリル基またはトリアルキルシリルオキシ基を表す。
【0014】
【化6】
Figure 0003963623
【0015】
式(II)中、Yは水素原子、メチル基、シアノ基または塩素原子を表す。M1は単結合又はアルキレン基、置換アルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基、エステル基、カルボニル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ウレタン基及びウレア基からなる群から選択される単独もしくは2つ以上の基の組み合わせからなる2価の連結基を表す。Qは下記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素構造を含む基を表す。
【0016】
【化7】
Figure 0003963623
【0017】
一般式(pI)〜(pVI)中、R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基またはsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、あるいはR15及びR16のうちの少なくともいずれか一方は脂環式炭化水素基を表す。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または脂環式炭化水素基を表す。但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19及び21のうちの少なくともいずれか一方は炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または脂環式炭化水素基を表す。
22〜R25は、各々独立に、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または脂環式炭化水素基を表す。但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。
【0018】
(2) 該酸によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する酸分解性ポリマーが、更に一般式(III)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする上記(1)に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0019】
【化8】
Figure 0003963623
【0020】
一般式(III)中、Yは水素原子、メチル基、シアノ基又は塩素原子を表す。M2は、単結合又はアルキレン基、置換アルキレン基、橋かけ構造を有していてもよいシクロアルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基、エステル基、カルボニル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ウレタン基及びウレア基からなる群から選択される単独もしくは2つ以上の基の組み合わせからなる2価の連結基を表す。
Raは、水素原子、または置換基を有していてもよい、直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。Wは、結合する炭素原子と共にラクトン構造を形成するのに必要な原子群を表す。
【0021】
(3)(A)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、
(B)上記(1)または(2)に記載の酸分解性ポリマー、並びに
(C)上記(A)および(B)を溶解する少なくとも1種の溶剤
を含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に使用する化合物について詳細に説明する。
本発明のポジ型フォトレジスト組成物には、感光性化合物として活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤ともいう)、ナフトキノンジアジド−4(5)−スルホン酸エステル化合物等を含有することができる。本発明においては、光酸発生剤が好ましい。
本発明で使用される活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する化合物としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームにより酸を発生する化合物およびそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0023】
また、その他の本発明に用いられる活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物としては、たとえば S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387(1974)、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同 Re27,992号、特開平3-140140号等に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al, Macromolecules, 17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28, p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2-150848号、特開平2-296514 号等に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 73(1985)、J. V. Crivello et al, J. Org. Chem., 43, 3055(1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 22, 1789(1984)、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279(1985)、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5), 1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第3,902,114号、同4,933,377号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号、特開平7-28237号、同8-27102号等に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46-4605号、特開昭48-36281号、特開昭55-32070号、特開昭60-239736号、特開昭61-169835号、特開昭61-169837号、特開昭62-58241号、特開昭62-212401号、特開昭63-70243号、特開昭63-298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K. Meier et al, J. Rad. Curing, 13(4), 26(1986)、T. P. Gill et al, Inorg. Chem., 19, 3007(1980)、D. Astruc, Acc. Chem. Res., 19(12), 377(1896)、特開平2-161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S. Hayase et al, J. Polymer Sci., 25, 753(1987)、E. Reichmanis et al, J. Pholymer Sci., Polymer Chem. Ed., 23, 1(1985)、Q. Q. Zhu et al, J. Photochem., 36, 85, 39, 317(1987)、 B. Amit et al, Tetrahedron Lett., (24) 2205(1973)、D. H. R. Barton et al, J. Chem Soc., 3571(1965)、P. M. Collins et al, J. Chem. Soc., PerkinI, 1695(1975)、M. Rudinstein et al, Tetrahedron Lett., (17), 1445(1975)、J. W. Walker et al, J. Am. Chem. Soc., 110, 7170(1988)、S. C. Busman et al, J. Imaging Technol., 11(4), 191(1985)、H. M. Houlihan et al, Macormolecules, 21, 2001(1988)、 P. M. Collins et al, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 532(1972)、S. Hayase et al, Macromolecules, 18, 1799(1985)、E. Reichman et al, J. Electrochem. Soc., Solid State Sci. Technol., 130(6)、F. M. Houlihan et al, Macromolcules, 21, 2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、 米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60-198538号、特開昭53-133022号等に記載の0−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA et al, Polymer Preprints Japan, 35(8)、G. Berner et al, J. Rad. Curing, 13(4)、 W. J. Mijs et al, Coating Technol., 55(697), 45(1983), Akzo、H. Adachi et al, Polymer Preprints, Japan, 37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同044,115号、同618,564号、同0101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64-18143号、特開平2-245756号、特開平3-140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61-166544号、特開平2-71270号等に記載のジスルホン化合物、特開平3-103854号、同3-103856号、同4-210960号等に記載のジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
【0024】
また、これらの光により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖または側鎖に導入した化合物、たとえば、M. E. Woodhouse et al, J. Am. Chem. Soc., 104, 5586(1982)、S. P. Pappas et al, J. Imaging Sci., 30(5), 218(1986)、S. Kondo et al, Makromol. Chem., Rapid Commun., 9, 625(1988)、Y. Yamada et al, Makromol. Chem., 152, 153, 163(1972)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 3845(1979)、米国特許第3,849,137号、獨国特許第3914407、特開昭63-26653号、特開昭55-164824号、特開昭62-69263号、特開昭63-146038号、特開昭63-163452号、特開昭62-153853号、特開昭63-146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0025】
さらにV. N. R. Pillai, Synthesis, (1), 1(1980)、A. Abad et al, Tetrahedron Lett., (47)4555(1971)、D. H. R. Barton et al, J. Chem. Soc., (C), 329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0026】
上記活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
(1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG1)で表されるオキサゾール誘導体または一般式(PAG2)で表されるS−トリアジン誘導体。
【0027】
【化9】
Figure 0003963623
【0028】
式中、R201は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、R202は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、アルキル基、−C(Y)3をしめす。Yは塩素原子または臭素原子を示す。
具体的には以下の化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0029】
【化10】
Figure 0003963623
【0030】
【化11】
Figure 0003963623
【0031】
【化12】
Figure 0003963623
【0032】
(2)下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、または一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩。
【0033】
【化13】
Figure 0003963623
【0034】
ここで式Ar1、Ar2は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒロドキシ基、メルカプト基およびハロゲン原子が挙げられる。
【0035】
203、R204、R205は各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基およびそれらの置換誘導体である。好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒロドキシ基およびハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコシキカルボニル基である。
【0036】
Zーは対アニオンを示し、例えばBF4ー、AsF6ー、PF6ー、SbF6ー、SiF6 2-、ClO4ー、CF3SO3ー等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の縮合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸 アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0037】
またR203、R204、R205のうちの2つおよびAr1、Ar2はそれぞれの単結合または置換基を介して結合してもよい。
【0038】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
【化14】
Figure 0003963623
【0040】
【化15】
Figure 0003963623
【0041】
【化16】
Figure 0003963623
【0042】
【化17】
Figure 0003963623
【0043】
【化18】
Figure 0003963623
【0044】
【化19】
Figure 0003963623
【0045】
【化20】
Figure 0003963623
【0046】
【化21】
Figure 0003963623
【0047】
【化22】
Figure 0003963623
【0048】
【化23】
Figure 0003963623
【0049】
【化24】
Figure 0003963623
【0050】
【化25】
Figure 0003963623
【0051】
【化26】
Figure 0003963623
【0052】
一般式(PAG3)、(PAG4)で示される上記オニウム塩は公知であり、例えばJ. W. Knapczyk et al, J. Am. Chem. Soc., 91, 145(1969)、A. L. Maycok et al, J. Org. Chem., 35, 2532, (1970)、E. Goethas et al, Bull. Soc. Chem. Belg., 73, 546, (1964)、H. M. Leicester、J. Ame. Chem. Soc., 51, 3587(1929)、J. V. Crivello et al, J. Polym. Chem. Ed., 18, 2677(1980)、米国特許第2,807,648号および同4,247,473号、特開昭53-101331号等に記載の方法により合成することができる。
【0053】
(3)下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体または一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体。
【0054】
【化27】
Figure 0003963623
【0055】
式中、Ar3、Ar4は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。R206は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
具体例として以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
【化28】
Figure 0003963623
【0057】
【化29】
Figure 0003963623
【0058】
【化30】
Figure 0003963623
【0059】
【化31】
Figure 0003963623
【0060】
【化32】
Figure 0003963623
【0061】
【化33】
Figure 0003963623
【0062】
上記光酸発生剤において特に好ましいものは、(PAG3)〜(PAG6)で示され、且つ活性光線または放射線の照射により発生する酸が有機スルホン酸である化合物である。これらの光酸発生剤を用いることで、高感度且つ矩形なパターン形状のポジ画像を得ることができる。
【0063】
これらの活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の添加量は、レジスト組成物の全重量(塗布溶媒を除く)を基準として通常0.001〜40重量%の範囲で用いられ、好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%の範囲で使用される。活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の添加量が、0.001重量%より少ないと感度が低くなり、また添加量が40重量%より多いとレジストの光吸収が高くなりすぎ、プロファイルの悪化や、プロセス(特にベーク)マージンが狭くなり好ましくない。
【0064】
次に(B)上記酸分解性ポリマー(酸分解性樹脂ともいう)について説明する。
式(I)において、Yは水素原子、メチル基、シアノ基、塩素原子から選ばれる基を表す。Lは単結合または2価の連結基を表す。R'、R''、R'''はそれぞれ独立に直鎖または分岐を有するアルキル基、フェニル基、トリアルキルシリル基、トリアルキルシリルオキシ基を表す。
上記Lにおける2価の連結基としては、アルキレン基、置換アルキレン基、橋かけ構造を有していてもよいシクロアルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基よりる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせが挙げられる。
【0065】
上記Lにおけるアルキレン基、置換アルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Rα)(Rβ)〕r
式中、Rα、Rβは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数を表す。
橋かけ構造を有していてもよいシクロアルキレン基としては、炭素数5〜8個のものが挙げられ、具体的には、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、ノルボルニレン基等が挙げられる。
【0066】
R'、R''、R'''において、
上記アルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基である。
トリアルキルシリル基のアルキル基としては炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、中でも最も好ましいのはメチル基である。
トリアルキルシリルオキシ基のアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基であり、中でも最も好ましいのはメチル基である。
上記一般式(I)で表される繰り返し単位の具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0067】
【化34】
Figure 0003963623
【0068】
【化35】
Figure 0003963623
【0069】
【化36】
Figure 0003963623
【0070】
一般式(II)において、Yは水素原子、メチル基、シアノ基または塩素原子を表す。M1は単結合又はアルキレン基、置換アルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基、エステル基、カルボニル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ウレタン基及びウレア基からなる群から選択される単独もしくは2つ以上の基の組み合わせからなる2価の連結基を表す。
【0071】
上記M1におけるアルキレン基、置換アルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Rγ)(Rδ)〕s−
式中、Rγ、Rδは水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基またはアルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などの低級アルキル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる、。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子を挙げることができる。sは1〜10の整数を表す。
【0072】
アリーレン基としては、炭素数6〜10の芳香環基が好ましく、例えばフェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。置換アリーレン基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
中でも好ましいM1の構造として挙げられるのは、単結合及び酸の作用によりエステル基とM1の間が解裂できる様な構造である。この様な構造としては、例えば−C(CH32−、−C(CH2CH32−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH32CO2−、−C(CH2CH32CO2−、−C(CH3)(CH2CH3)CO2−が挙げられる。中でも単結合、−C(CH32−、−C(CH32CO2−が好ましい。
【0073】
Qは上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素構造を含む基を表す。一般式(pI)〜(pVI)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0074】
11〜R25における脂環式炭化水素基あるいはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
以下に、脂環式炭化水素構造を含む基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0075】
【化37】
Figure 0003963623
【0076】
【化38】
Figure 0003963623
【0077】
【化39】
Figure 0003963623
【0078】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
【0079】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。
置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。該アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0080】
上記一般式(II)で表される繰り返し単位の具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0081】
【化40】
Figure 0003963623
【0082】
【化41】
Figure 0003963623
【0083】
【化42】
Figure 0003963623
【0084】
【化43】
Figure 0003963623
【0085】
【化44】
Figure 0003963623
【0086】
【化45】
Figure 0003963623
【0087】
本発明の酸分解性樹脂は、更に上記一般式(III)で表される繰り返し単位を共重合成分として含有することが好ましい。これにより、下地層との密着性の向上効果や現像欠陥数の低減効果が得られる。
【0088】
一般式(III)において、Yは水素原子、メチル基、シアノ基または塩素原子を表す。M2は、単結合又はアルキレン基、置換アルキレン基、橋かけ構造を有していてもよいシクロアルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基、エステル基、カルボニル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ウレタン基及びウレア基からなる群から選択される単独もしくは2つ以上の基の組み合わせからなる2価の連結基を表す。
【0089】
上記M2におけるアルキレン基、置換アルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Rε)(Rζ)〕t−
式中、Rε、Rζは水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基またはアルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などの低級アルキル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる、。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子を挙げることができる。tは1〜10の整数を表す。
【0090】
橋かけ構造を有していてもよいシクロアルキレン基としては、炭素数5〜8個のものが挙げられ、具体的には、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘプチレン基、ノルボルニレン基等が挙げられる。
アリーレン基としては、炭素数6〜10の芳香環基が好ましく、例えばフェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。置換アリーレン基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
中でも好ましいM2の構造として挙げられるのは、単結合及び酸の作用によりエステル基とM2の間が解裂できる様な構造である。この様な構造としては、例えば−C(CH32−、−C(CH2CH32−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH32CO2−、−C(CH2CH32CO2−、−C(CH3)(CH2CH3)CO2−が挙げられる。中でも単結合、−C(CH32−、−C(CH32CO2−が好ましい。
【0091】
Raは水素原子または置換基を有していてもよい、直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基等が挙げられる。ここで直鎖または分岐のアルキル基の置換基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
【0092】
Wは、結合する炭素原子と共にラクトン構造を形成するに必要な原子群を表す。上記ラクトン構造は、5又は6員環のラクトンであることが好ましく、より好ましくは下記構造のラクトンである。
【0093】
【化46】
Figure 0003963623
【0094】
一般式(III)において、好ましい構造としては下記一般式(IIIa)〜(IIIc)が挙げられる。
【0095】
【化47】
Figure 0003963623
【0096】
一般式(IIIa)〜(IIIc)において、Y、Raは前記一般式(III)のY、Raと同義である。
一般式(IIIa)において、Rb、Rcは水素原子または置換基を有していてもよい、直鎖または分岐のアルキル基を表す。具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基等が挙げられる。ここで直鎖または分岐のアルキル基の置換基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
一般式(IIIc)において、nは2〜4の整数を表す。
以下に一般式(III)の具体例を挙げる。
【0097】
【化48】
Figure 0003963623
【0098】
本発明に係る樹脂は、本発明の効果が有効に得られる範囲内で、更に以下のような単量体が該樹脂を構成する繰り返し単位を与えるものとして共重合されていてもよいが、下記単量体に限定されるものではない。
これにより、前記樹脂に要求される性能、特に(1)塗布溶剤に対する溶解性、(2)製膜性(ガラス転移点)、(3)アルカリ現像性、(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、(5)未露光部の基板への密着性、(6)ドライエッチング耐性、の微調整が可能となる。
このような共重合単量体としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物などを挙げることができる。
【0099】
具体的には、例えばアクリル酸エステル類、例えばアルキル(アルキル基の炭素原子数は1〜10のものが好ましい)アクリレート(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなど);
【0100】
メタクリル酸エステル類、例えばアルキル(アルキル基の炭素原子数は1〜10のものが好ましい。)メタクリレート(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなど);
【0101】
アクリルアミド類、例えばアクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、(アルキル基としては炭素原子数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基などがある。)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素原子数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などがある。)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなど;
【0102】
メタクリルアミド類、例えばメタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素原子数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基などがある。)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としてはエチル基、プロピル基、ブチル基などがある。)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミドなど;
【0103】
アリル化合物、例えばアリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど;
【0104】
ビニルエーテル類、例えばアルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど);
【0105】
ビニルエステル類、例えばビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなど;
【0106】
イタコン酸ジアルキル類(例えばイタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど);
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等がある。
【0107】
本発明に係る樹脂において、一般式(I)で表される繰り返し単位、並びに一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量は、所望のレジストのO2プラズマエッチング耐性、感度、パターンのクラッキング防止、基板密着性、レジストプロファイル、さらには一般的なレジストの必要要件である解像力、耐熱性、等を勘案して適宜設定することができる。一般的に、本発明に係る樹脂における一般式(I)で表される繰り返し単位、並びに一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量は、各々、樹脂の全単量体繰り返し単位中10モル%以上が適当であり、好ましくは20モル%以上、更に好ましくは25モル%以上である。
また、一般式(I)で表される繰り返し単位と一般式(II)で表される繰り返し単位に更に一般式(III)で表される繰り返し単位を含有する酸分解性樹脂においては、その全単量体繰り返し単位中において、一般式(III)で表される繰り返し単位が5モル%以上含有されることが好ましく、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは 20モル%以上である。
【0108】
また、上記以外の更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し単位の樹脂中の含有率も所望のレジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般に、本発明の酸分解性樹脂の全単量体繰り返し単位中において、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し単位は2〜50モル%含有することが適当であり、好ましくは3〜40モル%、さらに好ましくは5〜30モル%である。この更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し単位の量がこの範囲内において、本発明の効果を十分に発揮しつつ、該共重合成分による改良効果を良好に発現することができる。
【0109】
本発明の酸分解性樹脂は、一般式(I)及び一般式(II)で表される繰り返し単位に相当するする各単量体、あるいは一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される繰り返し単位に相当するする各単量体を、ラジカル重合開始剤の存在下で共重合して合成することができる。また、本発明の酸分解性樹脂において、上記更なる共重合成分を含有する場合には、一般式(I)及び一般式(II)で表される繰り返し単位に相当する各単量体、あるいは一般式(I)、(II)及び(III)で表される繰り返し単位に相当する各単量体に、該共重合成分に相当する単量体を加えてラジカル重合することで合成することができる。
【0110】
本発明に係る樹脂の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000である。重量平均分子量が1,000未満では耐熱性やドライエッチング耐性の劣化が見られるため余り好ましくなく、200,000を越えると現像性が劣化したり、粘度が極めて高くなるため製膜性が劣化するなど余り好ましくない結果を生じる。
【0111】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物において、本発明に係わる樹脂(ポリマー)の組成物全体中の配合量は、全レジスト固形分中40〜99.99重量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97重量%である。
【0112】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、有機塩基性化合物を含有することが好ましい。有機塩基性化合物としては、以下のものが挙げられる。
【0113】
【化49】
Figure 0003963623
【0114】
ここで、R250、R251およびR252は、同一または異なり、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基または炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基であり、ここでR251とR252は互いに結合して環を形成してもよい。
【0115】
【化50】
Figure 0003963623
【0116】
(式中、R253、R254、R255およびR256は、同一または異なり、炭素数1〜6のアルキル基を示す)
【0117】
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダーゾル、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0118】
好ましい具体的化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデカ−7−エン、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ヒドロキシエチルモルホリン、N−ベンジルモルホリン、シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア(CHMETU)等の3級モルホリン誘導体、特開平11−52575号公報に記載のヒンダードアミン類(例えば該公報〔0005〕に記載のもの)等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0119】
特に好ましい具体例は、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、4,4−ジメチルイミダゾリン、ピロール類、ピラゾール類、イミダゾール類、ピリダジン類、ピリミジン類、CHMETU等の3級モルホリン類、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲート等のヒンダードアミン類等を挙げることができる。
【0120】
中でも、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、CHMETU、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲートが好ましい。
【0121】
これらの有機塩基性化合物は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。有機塩基性化合物の使用量は、レジスト組成物の全固形分に対し、通常、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。0.001重量%未満では上記有機塩基性化合物の添加の効果が得られない。一方、10重量%を超えると感度の低下や非露光部の現像性が悪化する傾向がある。
【0122】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、界面活性剤を含有することが好ましく、特にフッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤、ノニオン系界面活性剤の少なくとも1種の界面活性剤を含有することが好ましい。中でもフッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤が特に好ましい。
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62-36663号、特開昭61-226746号、特開昭61-226745号、特開昭62-170950号、特開昭63-34540号、特開平7-230165号、特開平8-62834号、特開平9-54432号、特開平9-5988号記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
【0123】
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0124】
他の界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分を基準として、通常0.001重量%〜2重量%、好ましくは0.01重量%〜1重量%である。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0125】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、塗布溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヘプタノン、γ−プチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のアルコキシプロピオン酸アルキル類、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等のピルビン酸アルキルエステル類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド等から選ばれる少なくとも1種の溶剤を用いて塗布される。
【0126】
好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチルが挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは混合して用いられるが、現像欠陥数が低減される事からプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸アルキルエステル類それぞれから1種以上の溶剤を選択して混合して用いることが特に好ましい。ここで、これらの混合比は、重量比で95/5〜30/70が好ましい。
本発明のポジ型フォトレジスト組成物には、必要に応じて更に酸分解性溶解阻止化合物、染料、可塑剤、上記以外の界面活性剤、光増感剤、および現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
【0127】
本発明のこのようなポジ型フォトレジスト組成物は基板上に塗布され、薄膜を形成する。この塗膜の膜厚は0.4〜1.5μmが好ましい。
上記組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布後、所定のマスクを通して露光し、ベークを行い現像することにより良好なレジストパターンを得ることができる。ここで露光光としては、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の波長の遠紫外線である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等が挙げられ、特にArFエキシマレーザー(193nm)が好ましい。
【0128】
本発明の遠紫外線露光用ポジ型フォトレジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0129】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物によるレジストを2層レジストの上層レジストとして使用する場合、上層レジストパターンを保護マスクとして下層の有機高分子膜の酸素プラズマによるエッチングが行なわれるが、この上層レジストは酸素プラズマに対する十分な耐性を有する。本発明のポジ型フォトレジスト組成物の酸素プラズマ耐性は上層レジストのシリコン含有量や、エッチング装置、及びエッチング条件にも依存するが、エッチング選択比(下層と上層レジストとのエッチング速度比)は10〜100と充分大きく取ることができる。
【0130】
また、本発明のポジ型フォトレジスト組成物によるパターン形成方法においては、まず、被加工基板上に有機高分子膜を形成する。この有機高分子膜は各種公知のフォトレジストでよく、たとえば、フジフィルムオーリン社製FHシリーズ、FHiシリーズあるいはオーリン社製OiRシリーズ、住友化学社製PFIシリーズの各シリーズを例示することができる。この有機高分子膜の形成は、これらを適当な溶剤に溶解させ、得られる溶液をスピンコ一ト法、スプレイ法等により塗布することにより行なわれる。次いで、上記有機高分子膜の第1層上に、本発明のポジ型フォトレジスト組成物の膜を形成する。これは第1層と同様にレジスト材料を適当な溶剤に溶解させ、得られる溶液をスピンコート法、スプレイ法等により塗布することにより行なわれる。
得られた2層レジストは次にパターン形成工程に付されるが、その第1段階として、まず第2層、すなわち上層のフォトレジスト組成物の膜にパターン形成処理を行なう。必要に応じてマスク合わせを行ない、このマスクを通して高エネルギー線を照射することにより、照射部分のフォトレジスト組成物をアルカリ水溶液に可溶とし、アルカリ水溶液で現像してパターンを形成する。
【0131】
次いで、第2段階として有機高分子膜のエッチングを行なうが、この操作は上記のレジスト組成物の膜のパターンをマスクとして酸素プラズマエッチングにより実施し、アスペクト比の高い微細なパターンを形成する。この酸素プラズマエッチングによる有機高分子膜のエッチングは、従来のホトエッチング操作による基板のエッチング加工の終了後に行なわれるレジスト膜の剥離の際に利用されるプラズマアッシングとまったく同一の技術である。この操作は、例えば円筒形プラズマエッチング装置、平行平坂形プラズマエッチング装置により、反応性ガス、すなわちエッチングガスとして酸素を使用して実施することができる。
さらに、このレジストパターンをマスクとして基板の加工が行なわれるが、加工法としてはスパッタエッチング、ガスプラズマエッチング、イオンビームエッチング等のドライエッチング法を利用することができる。
【0132】
本発明のレジスト膜を含む2層膜レジスト法によるエッチング処理は、レジスト膜の剥離操作によって完了する。このレジスト層の剥離は単に第1層の有機高分子材料の溶解処理によって実施することができる。この有機高分子材料は任意のフォトレジストであり、かつ、上記フォトエッチング操作においてなんら変質(硬化等)されていないので、各公知のフォトレジスト自体の有機溶媒を使用することができる。あるいは、プラズマエッチング等の処理により、溶媒を使用することなく剥離することも可能である。
【0133】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0134】
合成例1(樹脂(1)の合成)
トリス(トリメチルシリル)−2−ヒドロキシエチルシラン29.1gを乾燥THF200mlに加え、そこへ4−ジメチルアミノピリジン11.2gを添加した。反応液を0℃に冷却した後、そこへアクリル酸クロリド14.0gを1時間かけて滴下した。反応液を室温に戻しながらさらに5時間反応させた。反応液を減圧下濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりアクリレートモノマーを得た。
このアクリレートモノマー17.3gにメタクリル酸アダマンチルエステル11.1gと、特開平9−90637号に記載の方法で合成したメタクリル酸メバロニックラクトンエステル18.8gをTHF/DMAc(4/1)に溶解させ、固形分35%の溶液を調製した。これを三つ口フラスコに仕込み、窒素気流下60℃に加熱した。反応温度が安定したところで和光純薬(株)製開始剤V−60を1モル%加え反応を開始させた。6時間反応させた後、反応混合物をTHFで2倍に希釈した後、大量のヘキサン中に投入し、白色粉体を析出させた。析出した粉体を濾過取り出しし、乾燥して樹脂(1)を得た。得られた樹脂(1)の分子量はGPC測定の結果、ポリスチレンを標準サンプルとして重量平均で12600であった。
上記と同様な方法で、樹脂(2)〜(7)を得た。
上記樹脂(1)〜(7)の各繰り返し単位のモル比率と重量平均分子量を以下に示す。
【0135】
【化51】
Figure 0003963623
【0136】
【化52】
Figure 0003963623
【0137】
実施例1
酸分解性ポリマー成分として樹脂(1)2g、露光により酸を発生する化合物としてトリフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート0.12g及びDBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)0.12g、界面活性剤(W−1)0.01gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)19.2gに溶解し、0.1μmのメンブレンフィルターで精密ろ過し、レジスト液を得た。
【0138】
シリコンウエハーにFHi−028Dレジスト(フジフイルムオーリン社製、i線用レジスト)をキャノン製コーターCDS−650を用いて塗布し、90℃、90秒ベークして膜厚0.83μmの均一膜を得た。これをさらに200℃、3分加熱したところ膜厚は0.71μmとなった。この上に上記で調整したレジスト液を塗布、90℃、90秒ベークして0.20μmの膜厚で塗設した。
【0139】
こうして得られたウェハーをArFエキシマレーザーステッパーに解像力マスクを装填して露光量と焦点を変化させながら露光した。その後クリーンルーム内で120℃、90秒加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド現像液(2.38%)で60秒間現像し、蒸留水でリンス、乾燥してパターンを得た。走査型電子顕微鏡で観察したところ、感度21mJ/cm2で0.13μmのライン/スペースが解像していた。断面の矩形性は評価Aであった。
【0140】
なお、断面の矩形性は次のようにして3段階評価にて比較した。すなわち、基板とレジストパターンの側壁との角度を測定し、80°以上90°以下をA評価、70°以上80°未満のものをB評価、70°未満のものをC評価とした。
さらに上記ウエハーをアルバック製平行平板型リアクティブイオンエッチング装置を用い、エッチングガスを酸素とし、圧力20ミリトール、印加パワー100mW/cm2の条件で15分間エッチング処理した。その結果を走査型電子顕微鏡で観察した。0.12μmパターンの寸法シフトは0.006μmであった。
【0141】
実施例2〜11及び比較例1
実施例1における酸分解性ポリマー(樹脂)、酸発生剤、溶剤、有機塩基化合物、界面活性剤の代わりに、それぞれ表1に示した酸分解性ポリマー、酸発生剤、溶剤、有機塩基化合物、界面活性剤を用いた以外は、実施例1と全く同じにしてポジ型フォトレジストを調整し、実施例1と同様にして露光、現像、エッチング処理を行った。得られた性能については表2に示した。
【0142】
【表1】
Figure 0003963623
【0143】
表1において、比較例に用いた樹脂R1は、下記構造のものである。
【0144】
【化53】
Figure 0003963623
【0145】
この化合物は、合成例1において、メバロニックラクトンメタクリレートの代わりに4−アセトキシスチレン18.0gを用いて重合を行った後、メタノール中、4−ジメチルアミノピリジンを触媒として、脱アセチル化を実施することにより合成した。
【0146】
また、界面活性剤としては、
W−1:メガファックF176(大日本インキ(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ(株)製)(フッ素及びシリコーン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
W−4:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
溶剤であるELは、乳酸エチルを表し、混合溶剤は、重量比を表す。
【0147】
【表2】
Figure 0003963623
【0148】
上記表2に示すように、本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、優れた感度、解像力を有し、且つパターンの矩形性が良好で、寸法シフト及び現像欠陥数が著しく軽減されているのが判る。
【0149】
実施例12〜15及び比較例2
上記実施例1〜4及び比較例1の組成物について、露光装置ArFステッパーの代りに、KrFステッパー(キャノン(株)製FPA−3000EX3)を用いて露光した以外は、上記と同様にして実験を行い、その結果を実施例12〜15及び比較例2として下記表3に示す。
【0150】
【表3】
Figure 0003963623
【0151】
上記表3に示すように、本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、優れた感度、解像力を有し、且つパターンの矩形性が良好で、寸法シフトが著しく軽減されているのが判る。
【0152】
【発明の効果】
本発明は、半導体デバイスの製造において、高感度であって、0.15μm以下の高解像力を有し、しかも矩形形状を有するレジストパターンを与えるポジ型フォトレジスト組成物を提供できる。また、2層レジスト法において、酸素プラズマエッチング工程での下層へのパターン転写の際に寸法シフトが小さいポジ型フォトレジスト組成物を提供することができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも一般式(I)で表される繰り返し単位と、一般式(II)で表される繰り返し単位とを含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する酸分解性ポリマーを含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
    Figure 0003963623
    一般式(I)中、Yは水素原子、メチル基、シアノ基又は塩素原子を表す。Lは単結合または2価の連結基を表す。R'、R''及びR'''はそれぞれ独立に直鎖もしくは分岐のアルキル基、フェニル基、トリアルキルシリル基またはトリアルキルシリルオキシ基を表す。
    Figure 0003963623
    式(II)中、Yは水素原子、メチル基、シアノ基または塩素原子を表す。M1は単結合又はアルキレン基、置換アルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基、エステル基、カルボニル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ウレタン基及びウレア基からなる群から選択される単独もしくは2つ以上の基の組み合わせからなる2価の連結基を表す。Qは下記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素構造を含む基を表す。
    Figure 0003963623
    一般式(pI)〜(pVI)中、R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基またはsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
    12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、あるいはR15及びR16のうちの少なくともいずれか一方は脂環式炭化水素基を表す。
    17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または脂環式炭化水素基を表す。但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19及び21のうちの少なくともいずれか一方は炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または脂環式炭化水素基を表す。
    22〜R25は、各々独立に、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または脂環式炭化水素基を表す。但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。
  2. 該酸によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する酸分解性ポリマーが、更に一般式(III)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項1記載のポジ型フォトレジスト組成物。
    Figure 0003963623
    一般式(III)中、Yは水素原子、メチル基、シアノ基又は塩素原子を表す。M2は、単結合又はアルキレン基、置換アルキレン基、橋かけ構造を有していてもよいシクロアルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基、エステル基、カルボニル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ウレタン基及びウレア基からなる群から選択される単独もしくは2つ以上の基の組み合わせからなる2価の連結基を表す。
    Raは、水素原子、または置換基を有していてもよい、直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。Wは、結合する炭素原子と共にラクトン構造を形成するのに必要な原子群を表す。
  3. (A)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、
    (B)請求項1または2記載の酸分解性ポリマー、並びに
    (C)上記(A)および(B)を溶解する少なくとも1種の溶剤
    を含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型フォトレジスト組成物によりレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光、現像することを特徴とするパターン形成方法。
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