JP3962991B2 - 非接地電源の絶縁検出装置 - Google Patents

非接地電源の絶縁検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接地電源の絶縁検出装置に係り、特に、電気による推進力を利用する車両に搭載された非接地の直流電源に好適な絶縁検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
非接地電源の絶縁検出装置は、非接地の直流電源の正及び負端子に接続され、接地電位部からは絶縁された正及び負側の主回路配線の接地電位部に対する絶縁抵抗つまり地絡抵抗を検出することで、接地電位部に対する絶縁や地絡状態を検出するものである(例えば、特許文献1参照)。このような絶縁検出装置では、非接地の直流電源の正端子と接地電位部との間にコンデンサを設定時間の間接続するスイッチング手段、非接地の電源の負端子と接地電位部との間にコンデンサを設定時間の間接続するスイッチング手段、各スイッチング手段の遮断後にコンデンサの両端子間の電圧を検出する検出手段を接続する検出用のスイッチング手段、検出手段で検出した各スイッチング手段の遮断後のコンデンサの両端子間電圧とコンデンサを完全に充電することによって予め算出しておいた電源電圧とに基づいて電源の接地電位部に対する絶縁抵抗つまり地絡抵抗を演算する演算手段などを備えており、演算手段で算出された地絡抵抗から絶縁状態の検出や判定などを行っている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−226950号公報(第4−7頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような絶縁検出装置では、地絡抵抗を求める際、コンデンサの容量などを定数として含む式を用いるが、定数として用いるコンデンサの容量などには、製品間における容量などのばらつきや温度変化による容量のばらつきなどが存在し、さらに容量などの経時変化などが生じる場合もある。このように定数として用いる値にばらつきや変化がある場合、求めた地絡抵抗の値と実際の地絡抵抗の値との間の計測誤差が増大するため、絶縁状態の検出精度が低下してしまう。したがって、コンデンサの容量など地絡抵抗を求める際の定数となる値にばらつきや変化などがあっても、地絡抵抗の計測誤差をできるだけ低減し、絶縁状態の検出精度を向上することが望まれている。
【0005】
さらに、上記のような絶縁検出装置では、各スイッチング手段に異常が生じてしまうと、誤った地絡抵抗値を求めることになるため、得られた地絡抵抗値が絶縁状態の不良によるものかスイッチング手段の異常によるものかがわからない。このため、絶縁状態の検出過程においてスイッチング手段の異常を検出することにより、絶縁状態の検出結果に対する信頼性を向上することが望まれている。
【0006】
本発明の課題は、絶縁状態の検出の精度及び信頼性を向上することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の絶縁検出装置は、正端子側及び負端子側の配線が接地電位部から絶縁された直流電源にコンデンサと抵抗の直列接続体を並列に、このコンデンサが完全に充電される時間よりも短い第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段と、電源の正端子と接地電位部との間に前記直列接続体を第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段と、電源の負端子と接地電位部との間に前記直列接続体を直列に第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段と、第1、第2及び第3の各スイッチング手段の遮断後にコンデンサの両端子間の電圧を検出する電圧検出手段を接続する第4のスイッチング手段と、第1のスイッチング手段を遮断後の電圧検出手段での検出電圧に基づいて電源の電源電圧を推定し、この推定した電源電圧と第2及び第3のスイッチング手段を遮断後の電圧検出手段での各検出電圧とに基づいて電源の接地電位部に対する絶縁抵抗を求める演算手段と、第1のスイッチング手段によって電源に前記直列接続体を接続する前で第1、第2、第3及び第4のスイッチング手段を遮断した状態から、第1のスイッチング手段の遮断後に第4のスイッチング手段によって電圧検出手段を接続した後、第4のスイッチング手段を遮断するまでの間に電圧検出手段で検出した検出電圧に基づいて第1、第2、第3及び第4のスイッチング手段で生じた異常を検出する異常検出手段とを備えた構成とすることにより上記課題を解決する。
【0008】
また、異常検出手段は、少なくとも、第1のスイッチング手段によって電源に前記直列接続体を接続する前で第1、第2、第3及び第4のスイッチング手段を遮断した状態の電圧検出手段での検出電圧と、第1のスイッチング手段によって電源に前記直列接続体を接続し、かつ第4のスイッチング手段を遮断した状態の電圧検出手段での検出電圧と、第1のスイッチング手段の遮断後に前記第4のスイッチング手段によって電圧検出手段を接続した後、第4のスイッチング手段を遮断する直前の電圧検出手段での検出電圧とに基づいて各スイッチング手段の異常を検出する構成とする。
【0009】
このような構成とすることにより、コンデンサを完全に充電するのに要する時間よりも短い時間で設定した第1の設定時間の間第1のスイッチング手段によって直流電源と接地電位部との間にコンデンサが直流に接続されて充電される。このときのコンデンサの両端端子間の電圧を第4のスイッチング手段によって接続された検出手段で検出し、この検出した電圧から演算手段が電源電圧を推定し、この電源電圧と、第2及び第3のスイッチング手段遮断後の検出手段での検出電圧とに基づいて接地電位部に対する絶縁抵抗を求めることで、絶縁抵抗の計測誤差を低減し、絶縁状態の検出精度を向上できる。
【0010】
加えて、第1のスイッチング手段によって電源に前記直列接続体を接続する前で第1、第2、第3及び第4のスイッチング手段を遮断した状態から、第1のスイッチング手段の遮断後に第4のスイッチング手段によって電圧検出手段を接続した後、第4のスイッチング手段を遮断するまでの間、すなわち電源の電源電圧を推定する過程において検出手段で得られる検出電圧は、絶縁状態つまり地絡抵抗に影響されない値である。このため、電源の電源電圧を推定する過程における検出手段での検出電圧に基づいて異常を検出する異常検出手段を備えることで、絶縁状態の検出過程においてスイッチング手段の異常を検出できる。したがって、絶縁状態の検出の精度及び信頼性を向上できる。
【0011】
さらに、第1のスイッチング手段の遮断後に第4のスイッチング手段によって電圧検出手段を接続した後、第4のスイッチング手段を遮断する直前の電圧検出手段での検出電圧に基づいて異常を検出したとき、第4のスイッチング手段を遮断せずに、第3の設定時間経過後の検出電圧に基づいて異常の発生箇所を判定する構成とする。このような構成とすれば、異常の発生したスイッチング手段を特定できるので好ましい。
【0012】
また、第1のスイッチング手段が、電源の正端子に接続された第1のスイッチ部と、電源の負端子に接続された第2のスイッチ部とを含み、第3のスイッチング手段が、第2のスイッチ部と、第1のスイッチに直列に接続された第3のスイッチ部とを含み、第2のスイッチング手段が、第1のスイッチ部と、第2のスイッチ部に直列に接続された第4のスイッチ部とを含み、第4のスイッチング手段が、第3のスイッチ部と第4のスイッチ部とを含み、第1のスイッチ部と第3のスイッチ部との間と、第2のスイッチ部S2と第4のスイッチ部との間とに、正側から負側に向かう方向に整流する第1のダイオード、第1の抵抗及びコンデンサを直列に接続し、第1のダイオード及び第1の抵抗に並列に、この第1ダイオードと逆方向に整流する第2のダイオード及び第2の抵抗を直列に接続し、電圧検出手段を第3のスイッチ部と第4のスイッチ部との間に接続し、電圧検出手段と第4のスイッチ部との間を接地電位部に接地しており、異常検出手段は、第1のスイッチング手段によって電源にコンデンサ9と第1の抵抗を直列に接続する前で第1、第2、第3及び第4のスイッチング手段を遮断した状態の電圧検出手段での検出電圧に基づいて第1及び第3のスイッチ部の異常を判定し、第1のスイッチング手段によって電源に前記直列接続体を接続し、かつ第4のスイッチング手段を遮断した状態の電圧検出手段での検出電圧に基づいて第3及び第4のスイッチ部の異常を判定し、第1のスイッチング手段の遮断後に第4のスイッチング手段によって電圧検出手段を接続した後、第4のスイッチング手段を遮断する直前の電圧検出手段での検出電圧に基づいて異常を検出したとき、第4のスイッチング手段を遮断せずに、第3の設定時間経過後の検出電圧に基づいて第1及び第2のスイッチ部の異常を判定する構成とする。
【0013】
さらに、閉路したときに第2の抵抗をバイパスする経路を形成する第5のスイッチ部を含むバイパス手段を備え、異常検出手段は、第1のスイッチング手段の遮断後に第4のスイッチング手段によって電圧検出手段を接続した後、第4のスイッチング手段を遮断する直前の電圧検出手段での検出電圧に基づいて異常を検出したとき、第4のスイッチング手段を遮断せずに、第3の設定時間経過後の検出電圧に基づいて第1及び第2のスイッチ部または第5のスイッチ部の異常を判定する
このような構成とすれば、電源の電源電圧を推定する過程における検出手段での検出電圧に基づいてスイッチング手段の異常を検出できると共に、異常のあるスイッチ部を判定できるので好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用してなる絶縁検出装置の一実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる絶縁検出装置の概略構成を示す図である。図2は、正常な場合の各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。図3は、本発明を適用してなる絶縁検出装置の電源電圧の推定過程における動作を示すフロー図である。図4は、放電時異常検出において異常が検出された場合の各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。図5は、本発明を適用してなる絶縁検出装置の絶縁抵抗の計測過程における動作を示すフロー図である。図6は、絶縁抵抗の値に対する各電源電圧の計測時間で検出した絶縁抵抗の値の検出誤差を示す図である。
【0015】
本実施形態の絶縁検出装置1は、図1に示すように、例えば電力を利用して推進力を得る電気推進車両などの電力源となる直流電源3に対して適用したものである。電源3は、複数の蓄電池などを直列接続したものであり、電源3の正端子側の正側主回路配線5aと負端子側の負側主回路配線5bが、各々、接地電位部7、例えば車体などから絶縁されており、電源3は非接地電源となっている。絶縁検出装置1は、第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3、第4スイッチS4、コンデンサ9、電圧検出手段と演算手段を兼ねると共に絶縁状態を判定するマイコン11、そして各スイッチを設定された時間に応じて開閉制御する図示していないスイッチング制御回路などで構成されている。なお、本実施形態のマイコン11は、第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3、第4スイッチS4などの各スイッチの異常を検出する異常検出手段も兼ねている。さらに、図示していないスイッチング制御回路をマイコン11に一体に含めるなど、電圧検出手段、演算手段、異常検出手段及びスイッチング制御回路などは、別体または一体に適宜形成できる。また、図1で示した第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3、第4スイッチS4は、例えばリレーや半導体スイッチといった様々なスイッチ機能を有する部品からなるスイッチ部を接点として模式的に示したものである。
【0016】
電源3の正端子側には、この正端子側から第1スイッチS1及び第3スイッチS3が順次直列に接続され、電源3の負端子側には、この負端子側から第2スイッチS2、第4スイッチS4及び第4抵抗R4が順次直列に接続されている。第1スイッチS1と第3スイッチS3との間から第2スイッチS2と第4スイッチS4との間には、第1ダイオードD1、第1抵抗R1及びコンデンサ9が順次直列に接続されている。第1抵抗R1とコンデンサ9との間から第1スイッチS1と第3スイッチS3との間には、第2ダイオードD2及び第2抵抗R2が順次直列に接続されている。すなわち、第1ダイオードD1及び第1抵抗R1と、第2ダイオードD2及び第2抵抗R2とは並列に接続されている。また、第2抵抗R2の両端子間には、第2抵抗R2と並列に第5スイッチS5が接続されている。第1ダイオードD1は、正側から負側に向かう方向に整流するものであり、第2ダイオードD2は、第1ダイオードD1と逆方向に整流するものである。
【0017】
第3スイッチS3と第4抵抗R4間には、第3スイッチS3と第4抵抗R4に対して直列に第3抵抗R3が接続されており、第3スイッチS3と第3抵抗R3との間には、検出手段と演算手段を兼ねるマイコン11がマイコン11のアナログ/デジタル変換ポートつまりA/Dポートを介して接続されている。また、第3抵抗R3と第4抵抗R4との間の部位は、接地電位部7に接地されている。
【0018】
したがって、電源3にコンデンサ9を直列に第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段は、第1スイッチS1、第2スイッチS2及び図示していないスイッチング制御回路などで、電源3の正端子と接地電位部7との間にコンデンサ9を直列に第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段は、第1スイッチS1、第4スイッチS4及び図示していないスイッチング制御回路などで、電源3の負端子と接地電位部7との間にコンデンサ9を直列に第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段は、第2スイッチS2、第3スイッチS3及び図示していないスイッチングスイッチング制御回路などで、第4のスイッチング手段は、第3スイッチS3、第4スイッチS4及び図示していないスイッチング制御回路などで形成されている。なお、コンデンサ9には数μFといった比較的高容量のものが用いられ、第1抵抗R1と第2抵抗R2には、数百kΩといった比較的高い抵抗値のものが用いられている。
【0019】
このような構成の絶縁検出装置の動作と本発明の特徴部について説明する。まず、推定の電源電圧V0sの推定過程について説明する。絶縁検出装置1は、図2に示すように、絶縁状態の検出を最初に開始するとき、第3スイッチS3、第4スイッチS4及び第5スイッチS5を所定時間T4の間オンつまり閉路し、コンデンサ9の初期放電を行う。絶縁状態の検出を開始後、最初のステップで、図3に示すように、前回の検出過程においていずれかのスイッチに異常が検出されていたか否かを判断する(ステップ101)。前回の検出過程においてスイッチに異常が検出されていた場合には、絶縁状態の検出を中止する。前回の検出過程においてスイッチに異常が検出されていない場合には、図2及び図3に示すように、全てのスイッチがオフつまり開路された状態、または初期放電を行った場合には全てのスイッチがオフしてから所定時間tw2経過した後、マイコン11でA/D変換データを読み込み、絶縁検出装置の回路に印加されている電圧Vadを検出する。(ステップ102)。
【0020】
ステップ102で検出した電圧Vadが予め設定した第1異常検出電圧値V1より低いか否かにより第1スイッチS1及び第3スイッチS3の異常検出を行う(ステップ103)。ステップ103において電圧Vadが第1異常検出電圧値V1以上の場合には、第1スイッチS1及び第3スイッチS3が閉路状態などになっているショート故障が発生していると判断して第1スイッチS1及び第3スイッチS3の異常を検出する(ステップ104)。ステップ104で第1スイッチS1及び第3スイッチS3のいずれかのショート故障が発生していると判断した場合、使用者などに異常を報知する警報を出力し(ステップ105)、データモニターを出力して(ステップ106)、絶縁状態の検出を中止する。なお、第1異常検出電圧値V1は、電源電圧が数百Vに対して数V程度に適宜設定されている。
【0021】
一方、ステップ103において電圧Vadが第1異常検出電圧値V1より低い場合には、図示していないスイッチング制御回路が第1スイッチS1及び第2スイッチS2を第1の設定時間である第1閉路時間T1の間、閉路する(ステップ107)。すなわち、第1のスイッチング手段により、電源にコンデンサ9を直列に接続する回路が形成されて、第1閉路時間T1の間、コンデンサ9への充電が行われ、コンデンサ9の両端子間の電圧VCが上昇する。なお、第1閉路時間T1は、コンデンサ9を完全に充電するのに必要な時間よりも短い時間に設定されており、例えばコンデンサ9を完全に充電するのに必要な時間が1.4秒である場合にT1が0.2秒といったような短い時間となっており、第1閉路時間T1は、必要とされる絶縁抵抗の計測誤差範囲によって選択されたものである。
【0022】
ステップ107において第1スイッチS1及び第2スイッチS2を閉路してコンデンサ9への充電を開始した直後、つまり第1スイッチS1及び第2スイッチS2が閉路してから第1閉路時間T1よりも短い所定時間tw2経過後、マイコン11でA/D変換データを読み込み、コンデンサ9への第1閉路時間T1間の充電の途中でのコンデンサ9の両端子間の電圧VCを検出する。(ステップ109)。ステップ109で検出した電圧VCが予め設定した第2異常検出電圧値V2より低いか否かにより第3スイッチS3及び第4スイッチS4の異常検出を行う(ステップ110)。ステップ110において電圧VCが第2異常検出電圧値V2以上の場合には、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路状態などになっているショート故障が発生していると判断して第3スイッチS3及び第4スイッチS4の異常を検出する(ステップ111)。ステップ111で第3スイッチS3及び第4スイッチS4のいずれかのショート故障が発生していると判断した場合、使用者などに異常を報知する警報を出力し(ステップ105)、データモニターを出力し(ステップ106)、絶縁状態の検出を中止する。なお、第2異常検出電圧値V2は、電源電圧が数百Vに対して数十V程度に適宜設定されている。
【0023】
一方、ステップ110において電圧VCが第2異常検出電圧値V2より低い場合には、第1スイッチS1及び第2スイッチS2を閉路してから第1閉路時間T1が経過すると(ステップ112)、第1スイッチS1及び第2スイッチS2が開路つまり遮断され(ステップ113)、スイッチ切替待ち時間であり、第1閉路時間T1よりも短い所定時間tw1経過後(ステップ114)、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路される(ステップ115)。すなわち、第4のスイッチング手段により、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路が形成されると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路が形成され、コンデンサ9の両端子間の電圧VCが降下する。
【0024】
第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路されてから第1閉路時間T1よりも短い所定時間tw2経過後、マイコン11は、A/Dポートを介してA/D変換データを読み込む(ステップ116)。ステップ116において読み込んだA/D変換データから、コンデンサ9の両端子間の電圧VCを検出する(ステップ117)。このとき検出した電圧VCが電源電圧を推定するための検出電圧V0となる。ステップ117での検出電圧V0の検出において、タイムアウト時間Toutが経過してもA/D変換ができない、つまり検出電圧V0の検出ができないか否かによりA/D変換異常を検出する(ステップ118)。なお、タイムアウト時間Toutは、正常時にA/D変換に要する時間の数倍程度の時間に設定されたものであり、例えば数十マイクロ秒程度に適宜設定されている。
【0025】
ステップ118においてタイムアウト時間Toutが経過しても検出電圧V0の検出が行えない場合には、使用者などに異常を報知する警報を出力し(ステップ119)、データモニターを出力して(ステップ120)、W/Dリセットを行う。W/Dリセットは、プログラムが無限ループになることでW/D出力が固着することにより、図示していないW/DICがマイコン11に対してリセット信号を出力し、この信号が入力されたマイコン11がハードをリセットするものである。
【0026】
一方、ステップ118においてタイムアウト時間Tout以内に検出電圧V0を検出した場合には、この検出電圧V0により、次式(1)から推定の電源電圧V0sを算出する(ステップ121)。
V0=V0s(1−EXP(−T1/C・R1)) …(1)
ただし、式(1)において、T1は第1スイッチS1及び第2スイッチS2の閉路時間、Cはコンデンサ9の容量、R1は第1抵抗R1の抵抗値である。
【0027】
この絶縁検出が最初検出の場合には、ステップ121において推定した電源電圧V0sが所定の範囲内にあるか否か、またはこの絶縁検出が最初検出でない場合には、前回の推定電源電圧V0sと今回の推定電源電圧V0sとの差の絶対値が所定の差よりも小さいか否かなどの推定した電圧値から電源の異常の検出を行う(ステップ122)。ステップ122において、この絶縁検出が最初検出の場合であり、推定した電源電圧V0sが所定の範囲から外れている場合、またはこの絶縁検出が最初検出でない場合であり、前回の推定電源電圧V0sと今回の推定電源電圧V0sとの差が所定の差以上の場合には電圧異常と判断し、使用者などに異常を報知する警報を出力し(ステップ123)その後図示していないスイッチング制御回路が、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で、第5スイッチS5を閉路する(ステップ124)。
【0028】
一方、ステップ122において、この絶縁検出が最初検出の場合であり、推定した電源電圧V0sが所定の範囲以内にある場合、またはこの絶縁検出が最初検出でない場合であり、前回の推定電源電圧V0sと今回の推定電源電圧V0sとの差が所定の差よりも小さい場合には、図示していないスイッチング制御回路が第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で、第5スイッチS5を閉路して第2抵抗R2をバイパスさせることで、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態とし、コンデンサ9からの放電に要する時間を短縮する(ステップ124)。ステップ124で第5スイッチS5を閉路して、第1閉路時間T1よりも短い所定時間つまり第1放電時間td1経過後(ステップ125)、マイコン11がA/Dポートを介してA/D変換データを読み込む(ステップ126)。
【0029】
ステップ126で読み込んだA/D変換データから放電終了時におけるコンデンサ9の両端子間の電圧VCを検出し、検出した電圧VCが予め設定した第1異常検出電圧値V1より大きいか否かにより第1スイッチS1及び第2スイッチS2、または第5スイッチS5の異常検出を行う(ステップ127)。ステップ127において電圧VCが第1異常検出電圧値V1より大きい場合には、図3及び図4に示すように、放電時異常検出過程に入る。放電時異常検出過程では、第3スイッチS3、第4スイッチS4及び第5スイッチS5が共に閉路された状態で、ステップ127で異常検出から、例えばコンデンサ9を完全に充電するのに要する時間と同じ時間に設定された第3の設定時間である異常時放電時間T3経過後、マイコン11がA/Dポートを介してA/D変換データを読み込む(ステップ128)。
【0030】
ステップ128で読み込んだA/D変換データからコンデンサ9の両端子間の電圧VCを検出し、検出した電圧VCが予め設定した第1異常検出電圧値V1より大きいか否かにより第1スイッチS1及び第2スイッチS2の異常か、または第5スイッチS5の異常かを検出する(ステップ129)。ステップ129において電圧VCが第1異常検出電圧値V1より大きい場合には、第1スイッチS1及び第2スイッチS2が閉路された状態などになっているショート故障が発生していると判断して第1スイッチS1及び第2スイッチS2の異常を検出する(ステップ130)。ステップ127において電圧VCが第1異常検出電圧値V1以下の場合には、第5スイッチS5が開路された状態のままなどになっているオープン故障が発生していると判断して第5スイッチS5の異常を検出する(ステップ131)。ステップ130、131でショート故障またはオープン故障を判断した後、使用者などに異常を報知する警報を出力し(ステップ105)、データモニターを出力して(ステップ106)、絶縁状態の検出を中止する。
【0031】
一方、ステップ127において第1放電時間td1経過したときの電圧VCが第1異常検出電圧値V1以下の場合には、図2及び図3に示すように、図示していないスイッチング制御回路が第3スイッチS3及び第5スイッチS5を開路つまり遮断し(ステップ132)、ステップ132の後、ステップ122での電源電圧の異常の検出結果に対応判定ステップ133を行う。ステップ133において、ステップ122での電源電圧異常の検出結果が電圧異常と判断されている場合、データモニタを出力し(ステップ134)、絶縁状態の検出を中止する。一方、ステップ133において、ステップ122での電源電圧異常の検出結果が電圧異常と判断されていない場合、値絡抵抗計測過程へと進む。
【0032】
値絡抵抗計測過程へと進むと、図2及び図5に示すように、電源電圧推定過程のステップ126におけるA/D変換データの読み込み終了後、スイッチ切替待ち時間tw1経過すると(ステップ135)、図示していないスイッチング制御回路が第1スイッチS1を閉路する(ステップ136)。そして、第1スイッチS1及び第4スイッチS4を第2の設定時間である第2閉路時間T2の間、閉路する(ステップ137)。すなわち、第2のスイッチング手段により、電源3の正端子と接地電位部7との間にコンデンサ9を直列に接続した回路、つまり、図1に示すように、正側主回路配線5a、第1スイッチS1、第1ダイオードD1、第1抵抗R1、コンデンサ9、第4スイッチS4、第4抵抗R4、接地電位部7、そして図1において点線で示すような位置に仮定される負端子側の接地電位部7に対する絶縁抵抗つまり地絡抵抗Rn、負側主回路配線5bを順次直接に電源3に接続した回路が形成され、第2閉路時間T2の間、コンデンサ9への充電が行われ、図2に示すように、地絡抵抗Rnの値に応じてコンデンサ9の両端子間の電圧VCが上昇する。なお、第2の設定時間である第2閉路時間T2も、第1閉路時間T1と同様に、コンデンサ9を完全に充電するのに必要な時間よりも短く、所定時間tw1、tw2、td1よりも長い時間に設定されている。
【0033】
ステップ137において第2閉路時間T2が経過すると、図2及び図5に示すように、第1スイッチS1がオフつまり遮断され(ステップ138)、スイッチ切替待ち時間tw1経過後(ステップ139)、第3スイッチS3がオンつまり閉路され(ステップ140)、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態となる。すなわち、第4のスイッチング手段により、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路が形成されると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路が形成され、コンデンサ9の両端子間の電圧VCが降下する。そして、第3スイッチS3が閉路されてから所定時間tw2経過後、マイコン11がA/Dポートを介してA/D変換データを読み込む(ステップ141)。
【0034】
ステップ141で読み込まれたA/D変換データから、このときのコンデンサ9の両端子間の電圧VC、つまり電圧VCNを検出する(ステップ142)。ステップ142での検出電圧VCNの検出において、タイムアウト時間Toutが経過しても検出電圧VCNの検出ができないか否かにより、ステップ118と同様に、A/D変換異常を検出する(ステップ143)。ステップ143においてタイムアウト時間Toutが経過しても検出電圧VCNの検出が行えない場合には、使用者などに異常を報知する警報を出力し(ステップ144)、データモニターを出力して(ステップ145)、W/Dリセットを行う。
【0035】
一方、ステップ143においてタイムアウト時間Tout以内に検出電圧VCNを検出した場合には、図示していないスイッチング制御回路は、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で、第5スイッチS5を閉路し(ステップ146)、第2抵抗R2をバイパスさせることで、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態としてコンデンサ9からの放電に要する時間を短縮する。第5スイッチS5を閉路して、第2閉路時間T2よりも短い第2放電時間td2経過後(ステップ147)、第4スイッチS4及び第5スイッチS5を開路つまり遮断する(ステップ148)。
【0036】
ステップ148の後、スイッチ切替待ち時間tw3経過後(ステップ150)、図示していないスイッチング制御回路は、第2スイッチS2を閉路する(ステップ151)。そして、第2スイッチS2及び第3スイッチS3を第2の設定時間である第2閉路時間T2の間、閉路する(ステップ152)。すなわち、第3のスイッチング手段により、電源3の負端子と接地電位部7との間にコンデンサ9を直列に接続した回路、つまり、図1に示すように、負側主回路配線5b、第2スイッチS2、コンデンサ9、第2ダイオードD2、第2抵抗R2、第3スイッチS3、第3抵抗R3、接地電位部7、そして図1において点線で示すような位置に仮定される正端子側の接地電位部7に対する絶縁抵抗つまり地絡抵抗Rp、正側主回路配線5aを順次直接に電源3に接続した回路が形成され、第2閉路時間T2の間、コンデンサ9への充電が行われ、図2に示すように、地絡抵抗Rpの値に応じてコンデンサ9の両端子間の電圧VCが上昇する。
【0037】
ステップ152において第2閉路時間T2が経過すると、図2及び図5に示すように、第2スイッチS2がオフつまり遮断され(ステップ153)、スイッチ切替待ち時間tw1経過後(ステップ154)、第4スイッチS4がオンつまり閉路され(ステップ155)、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態となる。すなわち、第4のスイッチング手段により、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路が形成されると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路が形成され、コンデンサ9の両端子間の電圧VCが降下する。そして、第4スイッチS4が閉路されてから所定時間tw2経過後、マイコン11がA/Dポートを介してA/D変換データを読み込む(ステップ156)。ステップ156で読み込まれたA/D変換データからコンデンサ9の両端子間の電圧VCつまり電圧VCPを検出する(ステップ157)。
【0038】
ステップ156での検出電圧VCPの検出において、タイムアウト時間Toutが経過しても検出電圧VCPの検出ができないか否かにより、ステップ143と同様に、A/D変換異常を検出する(ステップ158)。ステップ158においてタイムアウト時間Toutが経過しても検出電圧VCPの検出が行えない場合には、使用者などに異常を報知する警報を出力し(ステップ144)、データモニターを出力して(ステップ145)、W/Dリセットを行う。
【0039】
一方、ステップ158においてタイムアウト時間Tout以内に検出電圧VCPを検出した場合には、図示していないスイッチング制御回路は、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で、第5スイッチS5を閉路し(ステップ159)、第2抵抗R2をバイパスさせることで、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態とし、コンデンサ9からの放電に要する時間を短縮する。ここで、マイコン11は、検出したVCN、VCPを用いて、以下の式(2)から、地絡抵抗Rn、Rpを代表する地絡抵抗値RLを算出する(ステップ161)。
RL=−R1−T2/C・ln(1−(VCP+VCN)/V0s) …(2)
ただし、式(2)において、T2は第2閉路時間、Cはコンデンサ9の容量、R1は第1抵抗R1の抵抗値、V0sはステップ121で推定した電源電圧である。
【0040】
マイコン11は、ステップ161で算出した地絡抵抗値RLと予め定められた判断基準となる地絡抵抗値とを比較し、地絡抵抗値RLが5回の絶縁状態の検出サイクルで連続して判断基準の地絡抵抗値以下になっている場合には、絶縁不良が生じていると判断し(ステップ163)、使用者などに絶縁不良を報知する警報を出力する(ステップ164)。一方、ステップ163で地絡抵抗値RLが5回の絶縁状態の検出サイクルで連続して判断基準の地絡抵抗値以下になっていない場合には、警報を出力しない。ステップ159で第5スイッチS5を閉路してから第2放電時間td2経過後(ステップ165)、第3スイッチS3、第4スイッチS4及び第5スイッチS5を開路つまり遮断する(ステップ166)。その後、データモニタの出力を行い(ステップ167)1回の絶縁状態の検出サイクルを終了する。また、絶縁状態の検出を行う間、ステップ101からステップ167までの絶縁状態の検出サイクルを繰り返す。
【0041】
ところで、式(1)、(2)などからわかるように、コンデンサ9の容量C、さらに第1抵抗R1の抵抗値R1や第2抵抗R2の抵抗値R2が製品間差や温度変化などによりばらつくと、地絡抵抗値RLの計測精度に影響し、検出した地絡抵抗値RLの精度が低下してしまう。したがって、絶縁状態の検出精度が低下してしまうことになる。特にコンデンサ9は、浮遊容量を考慮すると数μFといった比較的大きな値のものが必要となるため、例えば製品間差において±5%程度のばらつきがあるとすると、これに温度変化を考慮すると±10%程度のばらつきが生じる場合があり、このようなコンデンサ9の容量のばらつきが絶縁状態の検出精度を低下させてしまうことになる。加えて、経時変化による部品定数の変化によって生じるばらつきなども絶縁状態の検出精度を低下させてしまうことになる。
【0042】
これに対して本実施形態の絶縁検出装置1では、絶縁検出のサイクルの最初の段階で第1スイッチS1と第2スイッチS2を、コンデンサ9を完全に充電するのに要する時間よりも短い第1閉路時間T1の間閉路することにより、電源3の電源電圧を推定している。第1スイッチS1と第2スイッチS2を短時間閉路してコンデンサ9を充電する場合は、実際のコンデンサ9の容量と抵抗R1の抵抗値とで決定される時定数C・R1で充電されるときの充電到達電圧を推定する方式であるため、推定した電源電圧V0sは、実際の電源3の電源電圧ではなく、コンデンサ9と抵抗R1の容量及び抵抗値の誤差、つまりばらつきを含んだ値となる。そして、このばらつきを含む推定した電源電圧V0sを、絶縁検出のサイクルにおける以降に続くステップで行う地絡抵抗RLの演算に用いることで、コンデンサ9の容量のばらつきに対する補正が行われ、コンデンサ9の容量のばらつきによって生じる、実際の地絡抵抗RLの値と、算出した地絡抵抗値RLの値との誤差を低減することができる。したがって、絶縁状態の検出精度を向上できる。
【0043】
このような本実施形態の絶縁検出装置1によって計測した正端子側の地絡抵抗Rp及び負端子側の地絡抵抗Rnの値と、実際の地絡抵抗Rp及び地絡抵抗Rnの値との誤差をある所定の規格容量を有するコンデンサ9、そしてある所定の規格抵抗値を有する第1抵抗R1及び第2抵抗R2を用いた場合を想定して計算した結果を表1に示す。なお、コンデンサ9は、製品間差と温度変化を考慮して±10%程度の容量のばらつきが、第1抵抗R1及び第2抵抗R2は、製品間差と温度変化を考慮して±2%程度の容量のばらつきがあるものとする。
【0044】
【表1】
Figure 0003962991
表1において、V0計測時間は、第1閉路時間を意味し、したがって、表1では、第1閉路時間T1が0.1秒、0.2秒、そして0.3秒の場合の計測誤差を示している。また、縦軸を検出精度つまり検出誤差、横軸を地絡抵抗の値として表1をグラフ化したのが図6である。
【0045】
表1及び図4からわかるように、従来の絶縁検出装置で検出した場合、つまり補正無しの場合に比べて、本実施形態の絶縁検出装置1で検出した場合、つまり補正ありの場合の方が各地絡抵抗値に対して計測誤差が低減されている。さらに、V0計測時間つまり第1閉路時間T1の設定によって計測誤差の低減度合いがことなっており、第1閉路時間T1が0.1秒のときには、地絡抵抗が小さくなるにしたがって誤差が大きくなるが、地絡抵抗が大きくなるにしたがって誤差が小さくなっている。第1閉路時間T1が0.2秒のときには、地絡抵抗が大きい場合には、第1閉路時間T1が0.1秒のときよりも誤差が大きくなるが、各地絡抵抗にわたって平均的に誤差が小さくなっている。第1閉路時間T1が0.3秒のときにも各地絡抵抗にわたって平均的に誤差が小さくなっているが、誤差は、第1閉路時間T1が0.2秒のときよりも大きい。
【0046】
したがって、絶縁不良を判定する地絡抵抗の値の設定を比較的大きな値とする場合には、第1閉路時間T1を0.1秒とするのが好ましく、絶縁不良を判定する地絡抵抗の値の設定を比較的小さな値とする場合には、第1閉路時間T1を0.2秒とするのが好ましい。このように、第1閉路時間T1つまり第1の設定時間は、絶縁不良を判定する地絡抵抗の値周辺で計測誤差が小さくなるように選択するのが好ましい。例えば、絶縁不良を判定する地絡抵抗の値が200kΩに設定したとすれば、第1閉路時間T1として0.2秒を選択するのが好ましく、このとき、従来の絶縁検出装置では±10%以上の計測誤差があるのに対し、本実施形態の絶縁検出装置1では、±2%以下の計測誤差となり、絶縁状態の検出精度を向上できることになる。
【0047】
加えて、本実施形態の絶縁検出装置1では、電源3の電源電圧V0sを推定する過程において得られる検出電圧Vad、VCは、絶縁状態つまり地絡抵抗の値に影響されない値であることから、電源3の電源電圧V0sを推定する過程において、マイコン11で読み込んだA/D変換データから検出した電圧から各スイッチの異常の検出を行っている。このように、電源3の電源電圧を推定する過程において異常を検出することによって、得られた地絡抵抗値、すなわち絶縁状態の検出結果にスイッチング手段の異常が影響するのを防ぎ、絶縁状態の検出結果に対する信頼性を向上できる。したがって、本実施形態の絶縁検出装置1では、絶縁状態の検出の精度及び信頼性を向上できる。
【0048】
さらに、本実施形態の絶縁検出装置1では、コンデンサ9などの容量のばらつきによる絶縁状態の検出への影響を低減できるので、製品間差のばらつきがより少ない高品位、高精度の部品を用いる必要がなく、絶縁検出精度を向上するためのコストの増大を抑えることができる。
【0049】
さらに、本実施形態の絶縁検出装置1では、閉路したときに第2抵抗R2をバイパスする経路を形成する第5スイッチS5を含むバイパス手段を備えているため、マイコン11によるコンデンサ9の両端子間の電圧の検出後に第5スイッチS5を閉路することで、コンデンサ9からの放電時間を短縮することができる。したがって、絶縁検出のための1サイクルに要する時間を短縮することができ、単位時間当たりの絶縁検出の回数を増やし、絶縁検出の精度をさらに向上できる。
なお、第5スイッチS5を含むバイパス手段としては、本実施形態の構成に限らず、バイパス手段は、第2ダイオードD2と第2抵抗R2と接地電位部7との間に第5スイッチS5などを直列に接続した構成などにするこもできる。また、絶縁検出のための1サイクルに要する時間の短縮などの必要性がない場合などには、第5スイッチS5を含むバイパス手段を設けない構成にすることもできる。
【0050】
また、本実施形態では、電源3の正端子側の地絡抵抗Rpと負端子側の地絡抵抗Rnを代表する地絡抵抗値RLを算出している。しかし、個別の式により電源電圧V0sと検出電圧VCP、VCNなどとに基づいて電源3の正端子側の地絡抵抗Rpと負端子側の地絡抵抗Rnを個々に推定し、絶縁不良の部位も検出できるようにすることもできる。
【0051】
また、本発明は、本実施形態において示した回路構成に限らず、正端子側及び負端子側の配線が接地電位部から絶縁された直流電源にコンデンサを直列に第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段、電源の正端子と接地電位部との間に前記コンデンサを直列に第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段、電源の負端子と接地電位部との間にコンデンサを直列に第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段、第1、第2及び第3の各スイッチング手段の遮断後にコンデンサの両端子間の電圧を検出する検出手段を接続する第4のスイッチング手段などをそなえていれば様々な回路構成の絶縁検出装置に適用することができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、絶縁状態の検出の精度及び信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる絶縁検出装置の一実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】正常な場合の各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。
【図3】本発明を適用してなる絶縁検出装置の電源電圧の推定過程における動作を示すフロー図である。
【図4】放電時異常検出において異常が検出された場合の各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。
【図5】本発明を適用してなる絶縁検出装置の絶縁抵抗の計測過程における動作を示すフロー図である。
【図6】地絡抵抗の値に対する各電源電圧の計測時間で検出した絶縁抵抗の値の検出誤差を示す図である。
【符号の説明】
1 絶縁検出装置
3 電源
5a 正側主回路配線
5b 負側主回路配線
7 接地電位部
9 コンデンサ
11 マイコン
S1 第1スイッチ
S2 第2スイッチ
S3 第3スイッチ
S4 第4スイッチ
Rp 正端子側地絡抵抗
Rn 負端子側地絡抵抗

Claims (4)

  1. 正端子側及び負端子側の配線が接地電位部から絶縁された直流電源にコンデンサと抵抗の直列接続体を並列に、該コンデンサが完全に充電される時間よりも短い第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段と、前記電源の正端子と前記接地電位部との間に前記直列接続体を第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段と、前記電源の負端子と前記接地電位部との間に前記直列接続体を第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段と、前記第1、第2及び第3の各スイッチング手段の遮断後に前記コンデンサの両端子間の電圧を検出する電圧検出手段を接続する第4のスイッチング手段と、前記第1のスイッチング手段を遮断後の前記電圧検出手段での検出電圧に基づいて前記電源の電源電圧を推定し、該推定した電源電圧と前記第2及び第3のスイッチング手段を遮断後の前記電圧検出手段での各検出電圧とに基づいて前記電源の前記接地電位部に対する絶縁抵抗を求める演算手段と、
    前記第1のスイッチング手段によって電源に前記直列接続体を並列に接続する前で前記第1、第2、第3及び第4のスイッチング手段を遮断した状態から、前記第1のスイッチング手段の遮断後に前記第4のスイッチング手段によって前記電圧検出手段を接続した後、第4のスイッチング手段を遮断するまでの間に前記電圧検出手段で検出した検出電圧に基づいて前記第1、第2、第3及び第4のスイッチング手段で生じた異常を検出する異常検出手段とを備えた非接地電源の絶縁検出装置。
  2. 前記異常検出手段は、少なくとも、前記第1のスイッチング手段によって前記電源に前記直列接続体を並列に接続する前で前記第1、第2、第3及び第4のスイッチング手段を遮断した状態の前記電圧検出手段での検出電圧と、前記第1のスイッチング手段によって前記電源に前記直列接続体を接続し、かつ前記第4のスイッチング手段を遮断した状態の前記電圧検出手段での検出電圧と、前記第1のスイッチング手段の遮断後に前記第4のスイッチング手段によって前記電圧検出手段を接続した後、前記第4のスイッチング手段を遮断する直前の前記電圧検出手段での検出電圧とに基づいて前記各スイッチング手段の異常を検出することを特徴とする請求項1に記載の絶縁検出装置。
  3. 前記第1のスイッチング手段の遮断後に前記第4のスイッチング手段によって前記電圧検出手段を接続した後、前記第4のスイッチング手段を遮断する直前の前記電圧検出手段での検出電圧に基づいて異常を検出したとき、前記第4のスイッチング手段を遮断せずに、第3の設定時間経過後の前記検出電圧に基づいて異常の発生箇所を判定することを特徴とする請求項2に記載の絶縁検出装置。
  4. 前記第1のスイッチング手段が、前記電源の正端子に接続された第1のスイッチ部と、前記電源の負端子に接続された第2のスイッチ部とを含み、前記第3のスイッチング手段が、前記第2のスイッチ部と、前記第1のスイッチに直列に接続された第3のスイッチ部とを含み、前記第2のスイッチング手段が、前記第1のスイッチ部と、前記第2のスイッチ部に直列に接続された第4のスイッチ部とを含み、前記第4のスイッチング手段が、前記第3のスイッチ部と前記第4のスイッチ部とを含み、前記第1のスイッチ部と前記第3のスイッチ部との間と、前記第2のスイッチ部と前記第4のスイッチ部との間とに、正側から負側に向かう方向に整流する第1のダイオード、第1の抵抗及び前記コンデンサを直列に接続し、前記第1のダイオード及び前記第1の抵抗に並列に、該第1ダイオードと逆方向に整流する第2のダイオード及び第2の抵抗を直列に接続し、前記電圧検出手段を前記第3のスイッチ部と前記第4のスイッチ部との間に接続し、前記電圧検出手段と前記第4のスイッチ部との間を前記接地電位部に接地しており、
    前記異常検出手段は、前記第1のスイッチング手段によって前記電源に前記直列接続体を並列に接続する前で前記第1、第2、第3及び第4のスイッチング手段を遮断した状態の前記電圧検出手段での検出電圧に基づいて前記第1及び第3のスイッチ部の異常を判定し、前記第1のスイッチング手段によって前記電源に前記直列接続体を並列に接続し、かつ前記第4のスイッチング手段を遮断した状態の前記電圧検出手段での検出電圧に基づいて前記第3及び第4のスイッチ部の異常を判定し、前記第1のスイッチング手段の遮断後に前記第4のスイッチング手段によって前記電圧検出手段を接続した後、前記第4のスイッチング手段を遮断する直前の前記電圧検出手段での検出電圧に基づいて異常を検出したとき、前記第4のスイッチング手段を遮断せずに、第3の設定時間経過後の前記検出電圧に基づいて前記第1及び第2のスイッチ部の異常を判定することを特徴とする請求項1に記載の絶縁検出装置。
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