JP3890504B2 - 非接地電源の絶縁検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接地電源の絶縁検出装置に係り、特に、電気による推進力を利用する車両に搭載された非接地の直流電源に好適な絶縁検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
非接地電源の絶縁検出装置は、非接地の直流電源の正及び負端子に接続され、接地電位部からは絶縁された正及び負側の主回路配線の接地電位部に対する絶縁抵抗つまり地絡抵抗を検出することで、接地電位部に対する絶縁や地絡状態を検出するものである(例えば、特許文献1参照)。このような従来の絶縁検出装置では、非接地の直流電源の正端子と接地電位部との間にコンデンサを直列に設定時間の間接続するスイッチング手段、非接地の電源の負端子と接地電位部との間にコンデンサを直列に設定時間の間接続するスイッチング手段、各スイッチング手段の遮断後にコンデンサの両端子間の電圧を検出する検出手段を接続する検出用のスイッチング手段、検出手段で検出した各スイッチング手段の遮断後のコンデンサの両端子間電圧とコンデンサを完全に充電することによって予め算出しておいた電源電圧とに基づいて電源の接地電位部に対する絶縁抵抗つまり地絡抵抗を求める演算手段などを備えており、演算手段で求められた地絡抵抗から絶縁状態の検出や判定などを行っている。
【0003】
このような絶縁検出装置では、地絡抵抗を求める際、コンデンサの容量などを定数として含む式を用いるが、定数として用いるコンデンサの容量などには、製品間における容量などのばらつきや温度変化による容量のばらつきなどが存在し、さらに容量などの経時変化などが生じる場合もある。このように定数として用いる値にばらつきや変化がある場合、求めた地絡抵抗の値と実際の地絡抵抗の値との間の計測誤差が増大するため、絶縁状態の検出精度が低下してしまう。したがって、コンデンサの容量など地絡抵抗を求める際の定数となる値にばらつきや変化などがあっても、地絡抵抗の計測誤差をできるだけ低減し、絶縁状態の検出精度を向上することが望まれている。
【0004】
そこで本願の発明者らは、正端子側及び負端子側の配線が接地電位部から絶縁された直流電源にコンデンサを直列に第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段と、電源の正端子と接地電位部との間にコンデンサを直列に第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段と、電源の負端子と接地電位部との間にコンデンサを直列に第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段と、第1、第2及び第3の各スイッチング手段の遮断後にコンデンサの両端子間の電圧を検出する電圧検出手段を接続する第4のスイッチング手段と、第1のスイッチング手段を遮断後の電圧検出手段での検出電圧に基づいて電源の電源電圧を推定し、この推定した電源電圧と第2及び第3のスイッチング手段を遮断後の検出手段での各検出電圧とに基づいて電源の接地電位部に対する絶縁抵抗を求める演算手段とを備えた構成の絶縁検出装置を考えている。
【0005】
さらにこのとき、第1のスイッチング手段が、電源の正端子に接続された第1のスイッチ部と、電源の負端子に接続された第2のスイッチ部とを含み、第3のスイッチング手段が、第2のスイッチ部と、第1のスイッチに直列に接続された第3のスイッチ部とを含み、第2のスイッチング手段が、第1のスイッチ部と、第2のスイッチ部に直列に接続された第4のスイッチ部とを含み、第4のスイッチング手段が、第3のスイッチ部と第4のスイッチ部とを含み、第1のスイッチ部と第3のスイッチ部との間と、第2のスイッチ部S2と第4のスイッチ部との間とに、正側から負側に向かう方向に整流する第1のダイオード、第1の抵抗及びコンデンサを直列に接続し、第1のダイオード及び第1の抵抗に並列に、この第1ダイオードと逆方向に整流する第2のダイオード及び第2の抵抗を直列に接続し、検出手段を第3のスイッチ部と第4のスイッチ部との間に接続し、検出手段と第4のスイッチ部との間を接地電位部に接地した構成としている。
【0006】
このような構成の絶縁検出装置とすることにより、コンデンサを完全に充電するのに要する時間よりも短い時間で設定した第1の設定時間の間第1のスイッチング手段によって直流電源と接地電位部との間にコンデンサが直流に接続されて充電される。このときのコンデンサの両端端子間の電圧を第4のスイッチング手段によって接続された電圧検出手段で検出し、この検出した電圧から演算手段が電源電圧を推定し、この電源電圧と、第2及び第3のスイッチング手段遮断後の電圧検出手段での検出電圧とに基づいて接地電位部に対する絶縁抵抗を求めることで、絶縁抵抗の計測誤差を低減し、絶縁状態の検出精度を向上できる。
【0007】
ここで、このような絶縁検出装置では、各スイッチング手段に異常が生じてしまうと誤った地絡抵抗値を求めることになる。このため、本願の発明者らは、各スイッチング手段の異常を検出する異常検出手段を備えた構成とすることを考えている。この異常検出手段は、上記のように各スイッチング手段が2つのスイッチ部つまりスイッチとなる部品を含む場合、例えば、第2のスイッチ部のみを予め設定した時間の間閉路した後、第4のスイッチング手段を閉路したときの電圧検出手段での検出電圧に基づいて第1のスイッチ部の異常を判定し、第1のスイッチ部のみを予め設定した時間の間閉路した後、第4のスイッチング手段を閉路したときの電圧検出手段での検出電圧に基づいて第2のスイッチ部の異常を判定し、第1のスイッチング手段を予め設定した時間の間閉路した後、第3のスイッチ部を遮断及び第4のスイッチ部を閉路したときの電圧検出手段での検出電圧に基づいて第3のスイッチ部の異常を判定し、第1のスイッチング手段を予め設定した時間の間閉路した後、第3のスイッチ部を閉路及び第4のスイッチ部を遮断したときの電圧検出手段での検出電圧に基づいて前記第4のスイッチ部の異常を検出することにより個々のスイッチの異常を検出するものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−226950号公報(第4−7頁、第1図)
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のような本願の発明者らが考えている絶縁検出装置では、第2のスイッチ部及び第4のスイッチ部が閉路したとき、第2のスイッチ部と第4のスイッチ部とが接地電位部を介して電源に直列に接続され回路を形成する。このため、絶縁状態に異常があり絶縁抵抗が基準となる抵抗値よりも低くなっている状態で第2のスイッチ部に異常があり第2のスイッチ部が閉路状態になっていたり、ショートしている場合、第2のスイッチ部の異常を検出するために、第4のスイッチング手段を閉路してコンデンサの両端子間電圧を検出すると、電圧検出手段には本来のコンデンサの両端子間電圧よりも低い電圧しか印可されない。
【0009】
しかし、本願の発明者らが考えている絶縁検出装置の異常検出手段は、第2のスイッチ部に異常が生じている場合、第2のスイッチ部が正常で有れば検出されない電圧が電圧検出手段で検出されることにより第2のスイッチ部の異常を判定するものであるため、絶縁状態に異常がありかつ第2のスイッチ部に異常がある場合には、第2のスイッチ部の異常を検出できない場合が生じることになる。
【0010】
本発明の課題は、絶縁状態に異常がありかつ第2のスイッチ部に異常がある場合でも、第2のスイッチ部の異常を検出することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の非接地電源の絶縁検出装置は、正端子側及び負端子側の配線が接地電位部から絶縁された直流電源にコンデンサを直列に、このコンデンサが完全に充電される時間よりも短い第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段と、電源の正端子と接地電位部との間にコンデンサを直列に第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段と、電源の負端子と接地電位部との間にコンデンサを直列に第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段と、第1、第2及び第3の各スイッチング手段の遮断後にコンデンサの両端子間の電圧を検出する電圧検出手段を接続する第4のスイッチング手段と、第1のスイッチング手段を遮断後の電圧検出手段での検出電圧に基づいて電源の電源電圧を推定し、この推定した電源電圧と第2及び第3のスイッチング手段を遮断後の検出手段での各検出電圧とに基づいて電源の接地電位部に対する絶縁抵抗を求める演算手段と、第1、第2、第3及び第4のスイッチング手段で生じた異常を検出する異常検出手段とを備え、第1のスイッチング手段が、電源の正端子に接続された第1のスイッチ部と、電源の負端子に接続された第2のスイッチ部とを含み、第3のスイッチング手段が、第2のスイッチ部と、第1のスイッチ部に直列に接続された第3のスイッチ部とを含み、第2のスイッチング手段が、第1のスイッチ部と、第2のスイッチ部に直列に接続された第4のスイッチ部とを含み、第4のスイッチング手段が、第3のスイッチ部と第4のスイッチ部とを含み、第1のスイッチ部と第3のスイッチ部との間と、第2のスイッチ部と第4のスイッチ部との間とに、正側から負側に向かう方向に整流する第1のダイオード及びコンデンサを直列に接続し、第1のダイオードに並列に、この第1ダイオードと逆方向に整流する第2のダイオードを接続し、電圧検出手段を第3のスイッチ部と第4のスイッチ部との間に接続し、電圧検出手段と第4のスイッチ部との間を接地電位部に接地しており、異常検出手段により、演算手段で推定した電源の電源電圧がこの電源電圧の異常を判定するための判定電圧以下であることを検出したとき、第1のスイッチング手段を遮断後の電圧検出手段での検出電圧に基づく電源の電源電圧の推定を繰り返し、異常検出手段は、予め設定した判定時間の間電源の電源電圧の推定を繰り返したときに推定した電源電圧の値に変化がないとき、第2のスイッチ部の異常を判定する構成とすることにより上記課題を解決する。
【0012】
推定した電源電圧が電源電圧の異常を判定するための判定電圧以下である場合、電源は正常であるが一時的に電源電圧が低くなっているとき、例えば電源の立ち上がり時には、第1のスイッチング手段を遮断後の電圧検出手段での検出電圧に基づく電源の電源電圧の推定を繰り返して行くと、推定した電源電圧は上昇し始める。しかし、絶縁状態に異常があり、かつ第2のスイッチ部に異常があるときには、電源の電源電圧の推定を繰り返しても推定した電源電圧は上昇しない。したがって、このような構成とすれば、絶縁状態に異常がありかつ第2のスイッチ部に異常がある場合でも、第2のスイッチ部の異常を検出できる。
【0013】
ところで、電圧検出手段と第4のスイッチ部との間の接地電位部に接地している部分と、第4のスイッチ部との間に抵抗などの部品が設置されている場合、第2のスイッチ部に異常があるときに絶縁抵抗の値が低くなると、接地している部分と第4のスイッチ部との間に設置された抵抗などの部品に印加される電圧が電源電圧に近くなる。さらに、第2のスイッチ部の異常を検出するために電源の電源電圧の推定を繰り返しおこなうと、第4のスイッチング手段が作動して第4のスイッチ部が閉路する度に、絶縁抵抗の値によっては、接地している部分と第4のスイッチ部との間に設置された抵抗などの部品に電源電圧に近い電圧が断続的に印加されることになる。したがって、絶縁抵抗の値が低くなると、この部品にかかるストレスは増大することになり、場合によっては破損してしまう可能性がある。このため、絶縁状態に異常がありかつ第2のスイッチ部に異常がある場合の第2のスイッチ部の異常検出動作によって回路を構成する部品にかかるストレスを低減する必要がある。
【0014】
これに対して、異常検出手段により、演算手段で推定した電源の電源電圧がこの電源電圧の異常を判定するための判定電圧以下であることを検出した場合、電源の電源電圧の推定を繰り返すときの第4のスイッチング手段の作動周期を、電源の電源電圧が正常の場合の第4のスイッチング手段の作動周期よりも長くする構成とする。このような構成とすれば、接地している部分と第4のスイッチ部との間に設置された抵抗などの部品に電源電圧に近い電圧が印加される可能性が有る場合には、第4のスイッチング手段の動作周期、つまり第4のスイッチ部の開閉周期は、電源の電源電圧が正常の場合の周期よりも長くなる。このため、絶縁状態に異常がありかつ第2のスイッチ部に異常がある場合の第2のスイッチ部の異常検出動作によって回路を構成する部品にかかるストレスを低減できる。
【0015】
さらに、異常検出手段は、第2のスイッチ部のみを第3の設定時間の間閉路した後、第4のスイッチング手段を閉路したときの電圧検出手段での検出電圧に基づいて第1のスイッチ部の異常を判定し、第1のスイッチ部のみを第4の設定時間の間閉路した後、第4のスイッチング手段を閉路したときの電圧検出手段での検出電圧に基づいて第2のスイッチ部の異常を判定し、第1のスイッチング手段を第5の設定時間の間閉路した後、第3のスイッチ部を遮断及び第4のスイッチ部を閉路したときの電圧検出手段での検出電圧に基づいて第3のスイッチ部の異常を判定し、第1のスイッチング手段を第6の設定時間の間閉路した後、第3のスイッチ部を閉路及び第4のスイッチ部を遮断したときの電圧検出手段での検出電圧に基づいて第4のスイッチ部の異常を検出する構成とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用してなる絶縁検出装置の一実施形態について図1乃至図11を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる絶縁検出装置の概略構成を示す図である。図2は、本発明を適用してなる絶縁検出装置の絶縁抵抗計測動作を示すフロー図である。図3は、本発明を適用してなる絶縁検出装置の絶縁抵抗の計測工程における電源電圧推定過程の動作を示すフロー図である。図4は、電源電圧正常時及び異常時の各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。図5は、判定電圧と推定した電源電圧との関係及びマイコンのA/Dデータの読み込み周期を説明する図であり、(a)は電源の立ち上がり時を、(b)は絶縁不良が発生しているときの第2スイッチ異常時を示す図である。図6は、第2スイッチの異常検出における各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。
【0017】
図7は、第1スイッチの異常検出における各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。図8は、第3スイッチの異常検出における各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。図9は、第4スイッチの異常検出における各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。図10は、本発明を適用してなる絶縁検出装置の絶縁抵抗計測過程の動作を示すフロー図である。図11は、絶縁抵抗の値に対する各電源電圧の計測時間で検出した絶縁抵抗の値の検出誤差を示す図である。なお、図4のタイムチャートでは、個別スイッチ異常検出過程の検出電圧VC及びA/D変換値は、スイッチに異常がない場合の状態を示し、図6乃至図9のタイムチャートでは、個別スイッチ異常検出過程の検出電圧VC及びA/D変換値は、スイッチに異常がある場合の状態を示している。
【0018】
本実施形態の絶縁検出装置1は、図1に示すように、例えば電力を利用して推進力を得る電気推進車両などの電力源となる直流電源3に対して適用したものである。電源3は、複数の蓄電池などを直列接続したものであり、電源3の正端子側の正側主回路配線5aと負端子側の負側主回路配線5bが、各々、接地電位部7、例えば車体などから絶縁されており、電源3は非接地電源となっている。絶縁検出装置1は、第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3、第4スイッチS4、コンデンサ9、電圧検出手段と演算手段を兼ねると共に絶縁状態を判定するマイコン11、そして各スイッチを設定された時間に応じて開閉制御する図示していないスイッチング制御回路などで構成されている。
【0019】
なお、本実施形態のマイコン11は、第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3、第4スイッチS4などの各スイッチの異常を検出する異常検出手段も兼ねている。さらに、図示していないスイッチング制御回路をマイコン11に一体に含めるなど、電圧検出手段、演算手段、異常検出手段及びスイッチング制御回路などは、別体または一体に適宜形成できる。また、図1で示した第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3、第4スイッチS4は、例えばリレーや半導体スイッチといった様々なスイッチ機能を有する部品からなるスイッチ部を接点として模式的に示したものである。
【0020】
電源3の正端子側には、この正端子側から第1スイッチS1及び第3スイッチS3が順次直列に接続され、電源3の負端子側には、この負端子側から第2スイッチS2、第4スイッチS4及び第4抵抗R4が順次直列に接続されている。第1スイッチS1と第3スイッチS3との間から第2スイッチS2と第4スイッチS4との間には、第1ダイオードD1、第1抵抗R1及びコンデンサ9が順次直列に接続されている。第1抵抗R1とコンデンサ9との間から第1スイッチS1と第3スイッチS3との間には、第2ダイオードD2及び第2抵抗R2が順次直列に接続されている。すなわち、第1ダイオードD1及び第1抵抗R1と、第2ダイオードD2及び第2抵抗R2とは並列に接続されている。また、第2ダイオードD2と第2抵抗R2との間の部位から接地電位部7に、バイパス手段として、第5スイッチS5、そして第2抵抗R2よりも抵抗が低い第5抵抗R5が順次直列に接続されている。第1ダイオードD1は、正側から負側に向かう方向に整流するものであり、第2ダイオードD2は、第1ダイオードD1と逆方向に整流するものである。
【0021】
第3スイッチS3と第4抵抗R4間には、第3スイッチS3と第4抵抗R4に対して直列に第3抵抗R3が接続されており、第3スイッチS3と第3抵抗R3との間には、検出手段と演算手段を兼ねるマイコン11がマイコン11のアナログ/デジタル変換ポートつまりA/Dポートを介して接続されている。また、第3抵抗R3と第4抵抗R4との間の部位は、接地電位部7に接地されている。
【0022】
したがって、電源3にコンデンサ9を直列に第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段は、第1スイッチS1、第2スイッチS2及び図示していないスイッチング制御回路などで、電源3の正端子と接地電位部7との間にコンデンサ9を直列に第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段は、第1スイッチS1、第4スイッチS4及び図示していないスイッチング制御回路などで、接地電位部7と電源3の負端子との間にコンデンサ9を直列に第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段は、第2スイッチS2、第3スイッチS3及び図示していないスイッチング制御回路などで、第4のスイッチング手段は、第3スイッチS3、第4スイッチS4及び図示していないスイッチング制御回路などで形成されている。なお、コンデンサ9には、例えば数μFといった比較的高容量のものが用いられ、第1抵抗R1と第2抵抗R2には、例えば数百kΩといった比較的高い抵抗値のものが用いられている。
【0023】
このような構成の絶縁検出装置の動作と本発明の特徴部について説明する。本実施形態の絶縁検出装置1は、絶縁状態の計測を開始すると、図2に示されるように、電源3の電源電圧を推定するための電源電圧推定過程を行う(ステップ101)。ステップ101では、図3及び図4に示すように、電源電圧推定過程を開始すると、図示していないスイッチング制御回路が第1スイッチS1及び第2スイッチS2を第1の設定時間である第1閉路時間T1の間、閉路する(ステップ201)。すなわち、第1のスイッチング手段により、接地電位部7を介さずに電源3にコンデンサ9を直列に接続する回路が形成され、第1閉路時間T1の間、コンデンサ9への充電が行われ、コンデンサ9の両端子間の電圧VCが上昇する。なお、第1閉路時間T1は、コンデンサ9を完全に充電するのに必要な時間よりも短い時間に設定されており、例えばコンデンサ9を完全に充電するのに必要な時間の1/5〜1/10といったような短い時間となっており、第1閉路時間T1は、必要とされる絶縁抵抗の計測誤差範囲によって選択されたものである。
【0024】
ステップ201において第1閉路時間T1が経過すると、第1スイッチS1及び第2スイッチS2が開路つまり遮断され、第1閉路時間T1よりも短い所定時間tw1経過後、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路される(ステップ203)。すなわち、第4のスイッチング手段により、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路が形成されると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路が形成され、コンデンサ9の両端子間の電圧VCが降下する。ここで、マイコン11は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込む(ステップ205)。このときのコンデンサ9の両端子間電圧VCの値つまり検出電圧V0により、次式(1)から推定の電源電圧V0sを算出する(ステップ207)。
V0s=V0/(1−EXP(−T1/C・R1)) …(1)
ただし、式(1)において、T1は第1スイッチS1及び第2スイッチS2の閉路時間、Cはコンデンサ9の容量、R1は第1抵抗R1の抵抗値である。
【0025】
一方、図示していないスイッチング制御回路は、ステップ205でコンデンサ9の両端子間の電圧VCを検出した後、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で、第5スイッチS5を閉路して第2抵抗R2をバイパスさせることで、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態とし、コンデンサ9からの放電に要する時間を短縮する。第5スイッチS5を閉路して、第1閉路時間T1よりも短い所定時間td1経過後、第5スイッチS5を開路つまり遮断した後、マイコン11は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込み、電圧VCが0Vであることを確認する(ステップ209)。
【0026】
このようなステップ101の電源電圧推定過程の後、図2に示すように、このステップ101で推定した電源電圧V0sと、電源電圧の異常を検出するために予め設定した判定電圧とを比較して電源3の電源電圧の異常を判定する(ステップ103)。ステップ103において、ステップ101で推定した電源電圧V0sが、図5に示すように判定電圧以下であり電源電圧が異常と判定されると、図2に示すように、電源電圧が変動しているかを判断する(ステップ105)。ステップ105において、図5に示すように電源電圧が変動していない場合には、図2に示すように、ステップ101の電源電圧推定過程におけるA/D変換データの読み込み周期、つまりA/D変換データの読み込みに連動する第3スイッチS3と第4スイッチS4を閉路する周期、さらに言い換えれば第4のスイッチング手段を作動する周期を、電源電圧が正常なとき、またはステップ105において電源電圧が変動しているときのA/D変換データの読み込み周期P1よりも長い周期P2に変更する(ステップ107)。なお、周期P2は、周期P1がコンマ数秒であるのに対して、数秒といったオーダーに設定されている。
【0027】
ステップ107でA/D変換データの読み込み周期を変更した後、図2及び図5に示すように、判定時間hが経過したか否かを判断し(ステップ109)、ステップ109で判定時間hが経過していない場合には、ステップ101に戻る。したがって、図5(b)に示すように電源電圧V0sが判定電圧以下であり、電源電圧V0sにほとんど変動が無かった場合、図2に示すように、判定時間hが経過するまでステップ101〜109を繰り返す。このとき、ステップ107のA/D変換データの読み込み周期の変更は初回のみ行い、判定時間hが経過するまでのステップ101〜109を繰り返すサイクルでは、ステップ107をスキップしA/D変換データの読み込み周期の変更は行わない。このため、ステップ101〜109を繰り返すサイクルにおけるステップ101の電源電圧推定過程は、周期P2で行われる。
【0028】
ステップ109において判定時間hが経過すると、判定時間hの間、電源電圧V0sにほとんど変動が無かったことになるため、異常検出手段であるマイコン11は、S2が故障により閉路したままの状態になっているか、またはその他のショート故障などの異常が発生していると判定し(ステップ111)、例えば絶縁抵抗値の計測を中止し、警報などにより第2スイッチS2の異常を告知する。なお、判定時間hは、周期P2が数秒であるのに対して、数分といったオーダーに設定されている。また、判定時間hは、電源3の使用を開始したときの電源電圧が定格電圧になるまでの時間、つまり電源電圧の立ち上がり時間に応じて決定している。
【0029】
一方、ステップ101〜109を繰り返すサイクルにおいて、図5(a)に示すように電源電圧V0sが上昇すると、ステップ105において、電源3の電源電圧V0sが変動したと判断されるため、第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3、そして第4スイッチS4の異常を個別に検出する個別スイッチ異常検出過程(ステップ113)へ進む。絶縁検出装置1の構成及び絶縁抵抗の検出動作などからもわかるように、推定した電源電圧V0sは、各スイッチS1、S2、S3、S4にショート状態になっているといった異常が生じている場合にも異常な値を示す。そこで、ステップ103で電源電圧の異常が判定された場合、電源電圧の異常またはスイッチ部の異常が生じていると考えられるため、異常の原因の判断、そしてスイッチ部に異常がある場合の異常があるスイッチ部の特定のため、各スイッチS1、S2、S3、S4を個別に検査する個別スイッチ異常検出過程113を行う。
【0030】
第2スイッチの異常検出では、図4に示すように、他のスイッチを遮断した状態で第1スイッチS1を例えば第1の設定時間である第1閉路時間T1の間、閉路する。このとき、第2スイッチS2に異常がなければ、電源3にコンデンサ9を直列に接続する回路は形成されず、コンデンサ9の両端子間の電圧VCは上昇しない。第1閉路時間T1経過後、さらに第1閉路時間T1よりも短い所定時間tw1経過して第3スイッチS3及び第4スイッチS4を閉路する。つまり、第4のスイッチング手段により、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路を形成すると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路を形成する。ここでマイコン11がA/Dポートを介してコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込むと、コンデンサ9には充電が行われていないため、マイコン11で電圧は検出されない。マイコン11で電圧が検出されないことにより、異常検出手段であるマイコン11は、第2スイッチS2に異常はないと判断する。
【0031】
この後、図示していないスイッチング制御回路は、マイコン11でコンデンサ9の両端子間の電圧VCを検出した後、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で第5スイッチS5を閉路して第2抵抗R2をバイパスさせる。これにより、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態とし、コンデンサ9からの放電に要する時間を短縮する。第5スイッチS5を閉路して、第1閉路時間T1よりも短い所定時間td1経過後、第5スイッチS5を開路つまり遮断した後、マイコン11は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込み、電圧VCが0Vであることを確認し、第1スイッチ異常検出過程107へ進む。
【0032】
一方、第2スイッチS2が故障などにより閉路状態またはショート状態になっているといった異常があると、電源3にコンデンサ9を直列に接続する回路が形成された状態となり、図6に示すように、第1閉路時間T1の間、コンデンサ9への充電が行われ、コンデンサ9の両端子間の電圧VCが上昇する。したがって、スイッチS3及び第4スイッチS4を閉路し、マイコン11がA/Dポートを介してコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込むと、第2スイッチS2の異常によりコンデンサ9への充電が行われたため、コンデンサ9の両端子間の電圧VCに相当する電圧がマイコン11で検出される。コンデンサ9の両端子間の電圧VCに相当する電圧が検出されたことにより、異常検出手段であるマイコン11は、第2スイッチS2が異常であると判断し、例えば絶縁抵抗値の計測を中止し、警報などにより異常を告知する。
【0033】
第1スイッチの異常検出では、図4に示すように、他のスイッチを遮断した状態で第2スイッチS2を例えば第1の設定時間である第1閉路時間T1の間、閉路する。このとき、第1スイッチS1に異常がなければ、電源3にコンデンサ9を直列に接続する回路は形成されず、コンデンサ9の両端子間の電圧VCは上昇しない。第1閉路時間T1経過後、さらに第1閉路時間T1よりも短い所定時間tw1経過して第3スイッチS3及び第4スイッチS4を閉路する。つまり、第4のスイッチング手段により、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路を形成すると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路を形成する。ここでマイコン11がA/Dポートを介してコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込むと、コンデンサ9には充電が行われていないため、マイコン11で電圧は検出されない。マイコン11で電圧が検出されないことにより、異常検出手段であるマイコン11は、第1スイッチS1に異常はないと判断する。
【0034】
この後、図示していないスイッチング制御回路は、マイコン11でコンデンサ9の両端子間の電圧VCを検出した後、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で第5スイッチS5を閉路して第2抵抗R2をバイパスさせる。これにより、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態とし、コンデンサ9からの放電に要する時間を短縮する。第5スイッチS5を閉路して、第1閉路時間T1よりも短い所定時間td1経過後、第5スイッチS5を開路つまり遮断した後、マイコン11は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込み、電圧VCが0Vであることを確認し、第3スイッチ異常検出過程109へ進む。
【0035】
一方、第1スイッチS1が故障などにより閉路状態またはショート状態になっているといった異常があると、電源3にコンデンサ9を直列に接続する回路が形成された状態となり、図7に示すように、第1閉路時間T1の間、コンデンサ9への充電が行われ、コンデンサ9の両端子間の電圧VCが上昇する。したがって、スイッチS3及び第4スイッチS4を閉路し、マイコン11がA/Dポートを介してコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込むと、第1スイッチS1の異常によりコンデンサ9への充電が行われたため、コンデンサ9の両端子間の電圧VCに相当する電圧がマイコン11で検出される。コンデンサ9の両端子間の電圧VCに相当する電圧が検出されたことにより、異常検出手段であるマイコン11は、第1スイッチS1が異常であると判断し、例えば絶縁抵抗値の計測を中止し、警報などにより異常を告知する。
【0036】
第3スイッチの異常検出及び第4スイッチの異常検出は、本実施形態では一つの過程の中で行われる。第3スイッチ及び第4スイッチの異常検出では、図4に示すように、他のスイッチを遮断した状態で第1スイッチS1及び第2スイッチS2を例えば第1の設定時間である第1閉路時間T1の間、閉路する。つまり、第1スイッチング手段により、電源3にコンデンサ9を直列に接続する回路を形成し、第1閉路時間T1の間、コンデンサ9への充電を行う。これにより、コンデンサ9の両端子間の電圧VCが上昇する。第1閉路時間T1経過後、さらに第1閉路時間T1よりも短い所定時間tw1経過して第3スイッチS3の異常を検出するため、第3スイッチS3を遮断した状態で第4スイッチS4を閉路する。
【0037】
このとき、第3スイッチS3に異常がなければ、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路、そして第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路は形成されない。ここでマイコン11がA/Dポートを介してコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込むと、マイコン11のA/Dポートには電圧が印加されず、マイコン11で電圧は検出されない。マイコン11で電圧が検出されないことにより、異常検出手段であるマイコン11は、第3スイッチS3に異常はないと判断する。
【0038】
続いて、第3スイッチS3を閉路し、第3スイッチS3を閉路してから所定時間tw1経過した後、第4スイッチS4の異常を検出するため、第3スイッチS3を閉路した状態で第4スイッチS4を遮断する。このとき、第4スイッチS4に異常がなければ、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路、そして第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路は形成されない。ここでマイコン11がA/Dポートを介してコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込むと、マイコン11のA/Dポートには電圧が印加されず、マイコン11で電圧は検出されない。マイコン11で電圧が検出されないことにより、異常検出手段であるマイコン11は、第4スイッチS4に異常はないと判断する。
【0039】
この後、図示していないスイッチング制御回路は、マイコン11のA/Dポートでの読み込みを行った後、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で第5スイッチS5を閉路して第2抵抗R2をバイパスさせる。これにより、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態とし、コンデンサ9からの放電に要する時間を短縮する。第5スイッチS5を閉路して、第1閉路時間T1よりも短い所定時間td1経過後、第5スイッチS5を開路つまり遮断した後、マイコン11は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込み、電圧VCが0Vであることを確認し、第3スイッチ異常検出過程109へ進む。絶縁抵抗計測過程113へ進む。
【0040】
一方、第3スイッチS3が故障などにより閉路状態またはショート状態になっているといった異常があると、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路を形成した状態となると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路を形成した状態となる。したがって、マイコン11がA/Dポートを介してコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込むと、図8に示すように、第3スイッチS3の異常によりマイコン11のA/Dポートにコンデンサ9の両端子間の電圧VCが印加されるため、コンデンサ9の両端子間の電圧VCに相当する電圧がマイコン11で検出される。コンデンサ9の両端子間の電圧VCに相当する電圧が検出されたことにより、異常検出手段であるマイコン11は、第3スイッチS3が異常であると判断し、例えば絶縁抵抗値の計測を中止し、警報などにより異常を告知する。
【0041】
また、第4スイッチS4が故障などにより閉路状態またはショート状態になっているといった異常があると、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路を形成した状態となると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路を形成した状態となる。したがって、マイコン11がA/Dポートを介してコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込むと、図9に示すように、第4スイッチS4の異常によりマイコン11のA/Dポートにコンデンサ9の両端子間の電圧VCが印加されるため、コンデンサ9の両端子間の電圧VCに相当する電圧がマイコン11で検出される。コンデンサ9の両端子間の電圧VCに相当する電圧が検出されたことにより、異常検出手段であるマイコン11は、第4スイッチS4が異常であると判断し、例えば絶縁抵抗値の計測を中止し、警報などにより異常を告知する。
【0042】
なお、図8及び図9は、図4とは異なり、第3スイッチの異常検出及び第4スイッチの異常検出を個別に実施した場合の図を示しており、また、第3スイッチの異常検出は、第3スイッチS3及び第4スイッチS4を同時に閉路した後、第3スイッチS3のみを遮断する方法を示している。
【0043】
各スイッチの異常検出においてスイッチの異常が検出されなかった場合、つまり電源電圧自体の異常であることが検出された場合、または、図2及び図4に示すように、ステップ103の電源電圧異常判定において電源電圧の異常が検出されなかった場合、絶縁抵抗を計測するための絶縁抵抗計測過程(ステップ115)に進む。ステップ115の絶縁抵抗計測過程では、図示していないスイッチング制御回路は、図4及び図10に示すように、第1スイッチS1及び第4スイッチS4を第2の設定時間である第2閉路時間T2の間、閉路する(ステップ301)。
【0044】
すなわち、第2のスイッチング手段により、電源3の正端子と接地電位部7との間にコンデンサ9を直列に接続した回路、つまり、図1に示すように、正側主回路配線5a、第1スイッチS1、第1ダイオードD1、第1抵抗R1、コンデンサ9、第4スイッチS4、第4抵抗R4、接地電位部7、そして図1において点線で示すような位置に仮定される負端子側の地絡抵抗Rn、負側主回路配線5bを順次直列に電源3に接続した回路が形成される。これにより、第2閉路時間T2の間、コンデンサ9への充電が行われ、図4に示すように、地絡抵抗Rnの値に応じてコンデンサ9の両端子間の電圧VCが上昇する。なお、第2の設定時間である第2閉路時間T2も、第1閉路時間T1と同様に、コンデンサ9を完全に充電するのに必要な時間よりも短く、所定時間tw1、td1よりも長い時間に設定されている。
【0045】
ステップ301において第2閉路時間T2が経過すると、図4及び図10に示すように、第1スイッチS1が開路つまり遮断され、所定時間tw1経過後、第3スイッチS3が閉路され、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態となる。すなわち、第4のスイッチング手段により、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路が形成されると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路が形成され、コンデンサ9の両端子間の電圧VCが降下する。そして、マイコン11は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込む(ステップ303)。このときのコンデンサ9の両端子間電圧VCの値つまり検出電圧VCNにより、次式(2)から電源3の負端子側の接地電位部7となる車体などに対する絶縁抵抗、すなわち負端子側の地絡抵抗Rnを算出する(ステップ305)。
Rn=−R1−T2/C・ln(1−VCN/V0s) …(2)
ただし、式(2)において、T2は第1スイッチS1及び第4スイッチS4の閉路時間、Cはコンデンサ9の容量、R1は第1抵抗R1の抵抗値、電源電圧V0sはステップ101の電源電圧推定過程で推定した電源電圧である。
【0046】
一方、図示していないスイッチング制御回路は、ステップ305でコンデンサ9の両端子間の電圧VCを検出した後、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で、第5スイッチS5を閉路して第2抵抗R2をバイパスさせることで、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態とし、コンデンサ9からの放電に要する時間を短縮する。第5スイッチS5を閉路して、第2閉路時間T2よりも短い所定時間td2経過後、第3スイッチS3、第4スイッチS4及び第5スイッチS5を開路つまり遮断した後、マイコン11は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込む(ステップ307)。
【0047】
ステップ307で電圧VCが0Vであることが確認されたら、図示していないスイッチング制御回路は、第2スイッチS2及び第3スイッチS3を第2の設定時間である第2閉路時間T2の間、閉路する(ステップ309)。すなわち、第3のスイッチング手段により、接地電位部7と電源3の負端子との間にコンデンサ9を直列に接続した回路、つまり、図1に示すように、正側主回路配線5a、図1において点線で示すような位置に仮定される正端子側の地絡抵抗Rp、接地電位部7、第3抵抗R3、第3スイッチS3、第1ダイオードD1、第1抵抗R1、コンデンサ9、第2スイッチS2、そして負側主回路配線5bを順次直列に電源3に接続した回路が形成される。これにより、第2閉路時間T2の間、コンデンサ9への充電が行われ、図4に示すように、地絡抵抗Rpの値に応じてコンデンサ9の両端子間の電圧VCが上昇する。
【0048】
ステップ309において第2閉路時間T2が経過すると、図4及び図10に示すように、第2スイッチS2が開路つまり遮断され、所定時間tw1経過後、第4スイッチS4が閉路され、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態となる。すなわち、第4のスイッチング手段により、コンデンサ9の両端子間の電圧を検出するマイコン11が接続された回路が形成されると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ9からの放電回路が形成され、コンデンサ9の両端子間の電圧VCが降下する。そして、マイコン11は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込む(ステップ311)。このときのコンデンサ9の両端子間電圧VCの値つまり検出電圧VCPにより、次式(3)から電源3の正端子側の接地電位部7となる車体などに対する絶縁抵抗、すなわち正端子側の地絡抵抗Rpを算出する(ステップ313)。
Rp=−R1−T2/C・ln(1−VCP/V0s) …(3)
ただし、式(3)において、T2は第2スイッチS2及び第3スイッチS3の閉路時間、Cはコンデンサ9の容量、R1は第1抵抗R1の抵抗値、電源電圧V0sはステップ101の電源電圧推定過程で推定した電源電圧である。
【0049】
一方、図示していないスイッチング制御回路は、ステップ313でコンデンサ9の両端子間の電圧VCを検出した後、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で、第5スイッチS5を閉路して第2抵抗R2をバイパスさせることで、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態とし、コンデンサ9からの放電に要する時間を短縮する。第5スイッチS5を閉路して所定時間td2経過後、第3スイッチS3、第4スイッチS4及び第5スイッチS5を開路つまり遮断した後、マイコン11は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ9の両端子間の電圧VCを読み込む(ステップ315)。そして、ステップ315で電圧VCが0Vであることが確認された時点で、1回の絶縁状態の検出サイクルを終了する。また、絶縁状態の検出を行う間、図2、図3及び図10に示す、ステップ101からステップ115までの絶縁抵抗の計測サイクルを繰り返す。
【0050】
マイコン11は、1回または複数回の絶縁抵抗の計測サイクルで求めた電源3の正端子側の地絡抵抗Rpと、負端子側の地絡抵抗Rnの値から絶縁状態を判定する。例えば、電源3の正端子側の地絡抵抗Rpと、予め定められた基準抵抗値とを比較し、地絡抵抗Rpが基準抵抗値以下になっている場合には、絶縁不良が生じていると判定する。
【0051】
ここで、式(2)、(3)などからわかるように、コンデンサ9の容量C、さらに第1抵抗R1の抵抗値R1が製品間差や温度変化などによりばらつくと、電源3の正端子側の地絡抵抗Rp、負端子側の地絡抵抗Rnの計測精度に影響し、検出した地絡抵抗Rp、Rnの値の精度が低下してしまう。したがって、絶縁状態の検出精度が低下してしまうことになる。特にコンデンサ9は、浮遊容量を考慮すると数μFといった比較的大きな値のものが必要となるため、例えば製品間差において±5%程度のばらつきがあるとすると、これに温度変化を考慮すると±10%程度のばらつきが生じる場合があり、このようなコンデンサ9の容量のばらつきが絶縁状態の検出精度を低下させてしまうことになる。加えて、経時変化による部品定数の変化によって生じるばらつきなども絶縁状態の検出精度を低下させてしまうことになる。
【0052】
これに対して本実施形態の絶縁検出装置1では、絶縁検出のサイクルの最初の段階で第1スイッチS1と第2スイッチS2を、コンデンサ9を完全に充電するのに要する時間よりも短い第1閉路時間T1の間閉路することにより、電源3の電源電圧を推定している。第1スイッチS1と第2スイッチS2を短時間閉路してコンデンサ9を充電する場合は、実際のコンデンサ9の容量と抵抗R1の抵抗値とで決定される時定数C・R1で充電されるときの充電到達電圧を推定する方式であるため、推定した電源電圧V0sは、実際の電源3の電源電圧ではなく、コンデンサ9と抵抗R1の容量及び抵抗値の誤差、つまりばらつきを含んだ値となる。そして、このばらつきを含む推定した電源電圧V0sを、絶縁検出のサイクルにおける以降に続くステップで行う正端子側の地絡抵抗Rp、負端子側の地絡抵抗Rnの演算に用いることで、コンデンサ9の容量のばらつきに対する補正が行われ、コンデンサ9の容量のばらつきによって生じる実際の正端子側地絡抵抗Rp及び負端子側地絡抵抗Rnの値と、算出した正端子側地絡抵抗Rp及び負端子側地絡抵抗Rnの値との誤差を低減することができる。したがって、絶縁状態の検出精度を向上できる。
【0053】
このような本実施形態の絶縁検出装置1によって計測した正端子側の地絡抵抗Rp及び負端子側の地絡抵抗Rnの値と、実際の正端子側の地絡抵抗Rp及び負端子側の地絡抵抗Rnの値との誤差をある所定の規格容量を有するコンデンサ9、そしてある所定の規格抵抗値を有する第1抵抗R1を用いた場合を想定して計算した結果を図11に示す。なお、コンデンサ9は、製品間差と温度変化を考慮して±10%程度の容量のばらつきが、第1抵抗R1は、製品間差と温度変化を考慮して±2%程度の容量のばらつきがあるものとする。図11において、V0計測時間は、第1閉路時間T1を意味し、したがって、第1閉路時間T1をt秒、2t秒、そして3t秒、ただしt<2t<3tとした場合の計測誤差を示している。なお、図11は、縦軸を検出精度つまり検出誤差、横軸を地絡抵抗の値として計算結果をグラフ化したものである。
【0054】
図11からわかるように、従来の絶縁検出装置で検出した場合、つまり補正無しの場合に比べて、本実施形態の絶縁検出装置1で検出した場合、つまり補正ありの場合の方が各地絡抵抗値に対して計測誤差が低減されている。さらに、V0計測時間つまり第1閉路時間T1の設定によって計測誤差の低減度合いが異なっており、第1閉路時間T1がt秒のときには、地絡抵抗が小さくなるにしたがって誤差が大きくなるが、地絡抵抗が大きくなるにしたがって誤差が小さくなっている。第1閉路時間T1が2t秒のときには、地絡抵抗が大きい場合には、第1閉路時間T1がt秒のときよりも誤差が大きくなるが、各地絡抵抗にわたって平均的に誤差が小さくなっている。第1閉路時間T1が3t秒のときにも各地絡抵抗にわたって平均的に誤差が小さくなっているが、誤差は、第1閉路時間T1が2t秒のときよりも大きい。
【0055】
したがって、絶縁不良を判定する地絡抵抗の値の設定を比較的大きな値とする場合には、第1閉路時間T1をt秒とするのが好ましく、絶縁不良を判定する地絡抵抗の値の設定を比較的小さな値とする場合には、第1閉路時間T1を2t秒とするのが好ましい。このように、第1閉路時間T1つまり第1の設定時間は、絶縁不良を判定する地絡抵抗の値周辺で計測誤差が小さくなるように選択するのが好ましい。例えば、図11において絶縁不良を判定する地絡抵抗の値をRΩに設定したとすれば、第1閉路時間T1として2t秒を選択するのが好ましく、このとき、従来の絶縁検出装置では±10%以上の計測誤差があるのに対し、本実施形態の絶縁検出装置1では、±2%以下の計測誤差となり、絶縁状態の検出精度を向上できることになる。
【0056】
ところで、図2に示すステップ103の個別スイッチ異常検出過程における第2スイッチの異常検出では、ショート状態になっているといった異常が第2スイッチに発生している場合、図6に示すように、第1スイッチS1を閉路することによってコンデンサ9が充電される。したがって、この後、第4のスイッチング手段の作動によって第3及び第4スイッチS3、S4が閉路すると、マイコン11のA/Dポートにコンデンサ9の両端子間電圧に対応する電圧が印加され、マイコン11でコンデンサ9の両端子間電圧に対応する電圧が検出されることから第2スイッチS2の異常を検出できる。
【0057】
しかし、図1からわかるように、第2スイッチS2に異常が有りショート状態にある場合、正端子側地絡抵抗Rpの値が接地電位に近くなるに連れて、第4のスイッチング手段が作動して第3及び第4スイッチS3、S4が閉路したときにマイコン11のA/Dポートに印加される電圧は、接地電位に近づくことになる。したがって、絶縁不良が生じているとき、つまり正端子側地絡抵抗Rpの値が基準抵抗値よりも低いときには、第2スイッチS2に異常が発生していても、図4に示すように、マイコン11で異常の発生を判断するような電圧は検出されず、第2スイッチS2の異常を検出できない場合がある。
【0058】
これに対して、本実施形態の絶縁検出装置1では、判定時間hの間繰り返し行ったステップ101の電源電圧推定過程で得た推定した電源電圧V0sにほとんど変化が無いことから第2スイッチS2の異常を検出できる。すなわち、推定した電源電圧が判定電圧以下であっても、例えば電源の立ち上がり時などである場合には、ステップ101の電源電圧推定過程で得た推定した電源電圧V0sは、上昇し始めるが、絶縁不良のときに第2スイッチS2に異常がある場合には、ステップ101の電源電圧推定過程で得た推定した電源電圧V0sは上昇しない。したがって、絶縁状態に異常がありかつ第2のスイッチ部に異常がある場合でも、第2のスイッチ部の異常を検出できる。
【0059】
さらに、図1からわかるように、第2スイッチS2に異常が発生してショート状態にある場合、正端子側地絡抵抗Rpの値が接地電位に近くなるに連れて、第4のスイッチング手段が作動して第3及び第4スイッチS3、S4が閉路したとき、第4抵抗R4に印加される電圧は電源3の電源電圧に近くなる。したがって、推定した電源電圧V0sが判定電圧以下で、第2スイッチS2の異常を検出するためにステップ101の電源電圧推定過程が繰り返し行われるとき、コンマ数秒といった通常の周期P1で第3スイッチS3が断続的に閉路する。これにより、正端子側地絡抵抗Rpの値が接地電位に近くなるに連れて、第4抵抗R4にかかるストレスが増大し、第4抵抗R4が破損する可能性がある。
【0060】
これに対して、本実施形態の絶縁検出装置1では、ステップ101の電源電圧推定過程で得た推定した電源電圧V0sが判定電圧以下であることを検出した場合、電圧検出手段であるマイコン11のA/Dデータの読み込み周期を、電源の電源電圧が正常の場合の第4のスイッチング手段の作動周期P1から、周期P1よりも長い周期P2に変更する。したがって、第4抵抗R4に電源電圧に近い電圧が印加される周期が長くなり、第4抵抗R4にかかるストレスを低減できる。すなわち、絶縁状態に異常がありかつ第2のスイッチ部に異常がある場合の第2のスイッチ部の異常検出動作によって回路を構成する部品にかかるストレスを低減できる。
【0061】
また、第2スイッチS2以外のスイッチS1、S3、S4などの異常の検出方法は、本実施形態のステップ113の異常検出方法に限らず様々な異常検出方法を用いることができる。
【0062】
また、本実施形態では、正端子側の地絡抵抗Rpと負端子側の地絡抵抗Rnを個別に算出し、これにより絶縁不良の部位も検出できるようにしている。しかし、絶縁不良の部位を検出せず絶縁不良の発生のみを判定する場合などには、推定した電源電圧V0sと検出電圧VCP、VCNなどとに基づいて正端子側の地絡抵抗Rpと負端子側の地絡抵抗Rnとを代表する地絡抵抗値などを算出する別の式を用いることもできる。
【0063】
また、本実施形態の絶縁検出装置1では、演算手段となるマイコン11によって式(1)や式(2)、(3)によって推定した電源電圧V0sや地絡抵抗値Rn、Rpを演算している。しかし、これらの式(1)や式(2)、(3)といった複雑な関数式の演算にかかる時間を短縮するため、マイコン11の記憶手段となるメモリなどにアドレスに対応させて推定した電源電圧V0sや地絡抵抗値Rn、Rpなどを記憶した電源電圧用データテーブルや地絡抵抗値用データテーブルなどを準備し、演算手段であるマイコン11で各々のデータテーブルに対応したアドレスを演算する構成にすることもできる。このとき、演算手段であるマイコン11は、電源電圧を推定するために検出したコンデンサ9の両端子間電圧VCの値つまり検出電圧V0、推定した電源電圧V0s及び地絡抵抗値Rn、Rpを求めるために検出したコンデンサ9の両端子間電圧VCの値つまり検出電圧VCN、VCPなどから、式(1)や式(2)、(3)よりも簡単なアドレスの演算式により、各々電源電圧用データテーブルのアドレス、地絡抵抗値用データテーブルのアドレスを算出し、この算出した各々のアドレスから推定した電源電圧V0sや地絡抵抗値Rn、Rpを決定する。
【0064】
また、第5スイッチS5を含むバイパス手段としては、本実施形態の構成に限らず、バイパス手段は、図12に示すように、第2抵抗R2の両端子間に、第2抵抗R2と並列に第5スイッチS5が接続されている構成にすることもできる。また、絶縁検出のための1サイクルに要する時間の短縮などの必要性がない場合などには、第5スイッチS5を含むバイパス手段を設けない構成にすることもできる。
【0065】
また、本発明は、本実施形態において示した回路構成に限らず、正端子側及び負端子側の配線が接地電位部から絶縁された直流電源にコンデンサを直列に第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段、電源の正端子と接地電位部との間に前記コンデンサを直列に第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段、電源の負端子と接地電位部との間にコンデンサを直列に第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段、第1、第2及び第3の各スイッチング手段の遮断後にコンデンサの両端子間の電圧を検出する検出手段を接続する第4のスイッチング手段などをそなえていれば様々な回路構成の絶縁検出装置に適用することができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、絶縁状態に異常がありかつ第2のスイッチ部に異常がある場合でも、第2のスイッチ部の異常を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる絶縁検出装置の一実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】本発明を適用してなる絶縁検出装置の一実施形態の絶縁抵抗計測の動作を示すフロー図である。
【図3】本発明を適用してなる絶縁検出装置の一実施形態の電源電圧推定過程の動作を示すフロー図である。
【図4】電源電圧正常時及び異常時の各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。
【図5】判定電圧と推定した電源電圧との関係及びマイコンのA/Dデータの読み込み周期を説明する図であり、(a)は電源の立ち上がり時を、(b)は絶縁不良が発生しているときの第2スイッチ異常時を示す図である。
【図6】第2スイッチの異常検出過程の各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。
【図7】第1スイッチの異常検出過程の各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。
【図8】第3スイッチの異常検出過程の各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。
【図9】第4スイッチの異常検出過程の各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。
【図10】本発明を適用してなる絶縁検出装置の一実施形態の絶縁抵抗計測過程の動作を示すフロー図である。
【図11】絶縁抵抗の値に対する各電源電圧の計測時間で検出した絶縁抵抗の値の検出誤差を示す図である。
【図12】本発明を適用してなる絶縁検出装置の変形例の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 絶縁検出装置
3 電源
5a 正側主回路配線
5b 負側主回路配線
7 接地電位部
9 コンデンサ
11 マイコン
S1 第1スイッチ
S2 第2スイッチ
S3 第3スイッチ
S4 第4スイッチ
Rp 正端子側地絡抵抗
Rn 負端子側地絡抵抗
Claims (2)
- 正端子側及び負端子側の配線が接地電位部から絶縁された直流電源にコンデンサを直列に、該コンデンサが完全に充電される時間よりも短い第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段と、前記電源の正端子と前記接地電位部との間に前記コンデンサを直列に第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段と、前記電源の負端子と前記接地電位部との間に前記コンデンサを直列に第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段と、前記第1、第2及び第3の各スイッチング手段の遮断後に前記コンデンサの両端子間の電圧を検出する電圧検出手段を接続する第4のスイッチング手段と、前記第1のスイッチング手段を遮断後の前記電圧検出手段での検出電圧に基づいて前記電源の電源電圧を推定し、該推定した電源電圧と前記第2及び第3のスイッチング手段を遮断後の前記検出手段での各検出電圧とに基づいて前記電源の前記接地電位部に対する絶縁抵抗を求める演算手段と、前記第1、第2、第3及び第4のスイッチング手段で生じた異常を検出する異常検出手段とを備え、
前記第1のスイッチング手段が、前記電源の正端子に接続された第1のスイッチ部と、前記電源の負端子に接続された第2のスイッチ部とを含み、前記第3のスイッチング手段が、前記第2のスイッチ部と、前記第1のスイッチに直列に接続された第3のスイッチ部とを含み、前記第2のスイッチング手段が、前記第1のスイッチ部と、前記第2のスイッチ部に直列に接続された第4のスイッチ部とを含み、前記第4のスイッチング手段が、前記第3のスイッチ部と前記第4のスイッチ部とを含み、前記第1のスイッチ部と前記第3のスイッチ部との間と、前記第2のスイッチ部と前記第4のスイッチ部との間とに、正側から負側に向かう方向に整流する第1のダイオード及び前記コンデンサを直列に接続し、前記第1のダイオードに並列に、該第1ダイオードと逆方向に整流する第2のダイオードを接続し、前記電圧検出手段を前記第3のスイッチ部と前記第4のスイッチ部との間に接続し、前記電圧検出手段と前記第4のスイッチ部との間を前記接地電位部に接地しており、
前記異常検出手段により、前記演算手段で推定した電源の電源電圧が該電源電圧の異常を判定するための判定電圧以下であることを検出したとき、前記第1のスイッチング手段を遮断後の前記電圧検出手段での検出電圧に基づく前記電源の電源電圧の推定を繰り返し、前記異常検出手段は、予め設定した判定時間の間、前記電源の電源電圧の推定を繰り返したときに推定した電源電圧の値に変化がないとき、前記第2のスイッチ部の異常を判定してなる非接地電源の絶縁検出装置。 - 前記異常検出手段により、前記演算手段で推定した電源の電源電圧が該電源電圧の異常を判定するための判定電圧以下であることを検出した場合、前記電源の電源電圧の推定を繰り返すときの前記第4のスイッチング手段の作動周期を、前記電源の電源電圧が正常の場合の前記第4のスイッチング手段の作動周期よりも長くしてなることを特徴とする請求項1に記載の絶縁検出装置。
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