JP3962992B2 - 非接地電源の絶縁検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接地電源の絶縁検出装置に係り、特に、電気による推進力を利用する車両に搭載された非接地の直流電源に好適な絶縁検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
非接地電源の絶縁検出装置は、非接地の直流電源の正及び負端子に接続され、接地電位部からは絶縁された正及び負側の主回路配線の接地電位部に対する絶縁抵抗つまり地絡抵抗を検出することで、接地電位部に対する絶縁や地絡状態を検出するものである(例えば、特許文献1参照)。このような従来の絶縁検出装置では、非接地の直流電源の正端子と接地電位部との間にコンデンサを設定時間の間接続するスイッチング手段、非接地の電源の負端子と接地電位部との間にコンデンサを設定時間の間接続するスイッチング手段、各スイッチング手段の遮断後にコンデンサの両端子間の電圧を検出する検出手段を接続する検出用のスイッチング手段、検出手段で検出した各スイッチング手段の遮断後のコンデンサの両端子間電圧と電源電圧とに基づいて電源の接地電位部に対する絶縁抵抗つまり地絡抵抗を演算する演算手段などからなる地絡センサ部を備えている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−226950号公報(第4−7頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような絶縁検出装置では、算出した地絡抵抗の値が絶縁不良を示す値であると、ランプの点灯や警報音などで異常を報知している。また、地絡抵抗の値は、コンデンサの両端子間電圧と電源電圧とに基づいて算出されるため、電源電圧に異常がある場合、そしてスイッチング手段の異常やコンデンサの両端子間電圧の検出の異常などといった地絡センサ部での異常が発生した場合にも地絡抵抗値は異常な値を示すことになる。このため、絶縁検出装置には、電源電圧や地絡センサ部などの異常といった絶縁不良の検出に影響を及ぼすような絶縁不良以外の異常の発生も検知して報知するものもある。
【0005】
しかし、このような絶縁検出装置では、絶縁不良の発生と、絶縁不良に影響を及ぼす絶縁不良以外の異常の発生を識別して知らせることはできるが、これらの絶縁不良や絶縁不良以外の異常が発生した要因を知ることはできない。このため、異常が発生した場合の対処などを適切に行えなかったり、対処に不要な時間を要してしまったりする場合がある。
【0006】
本発明の課題は、異常が発生した場合にその異常が発生した要因を特定し易くすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の絶縁検出装置は、正端子側及び負端子側の配線が接地電位部から絶縁された直流電源の接地電位部に対する絶縁抵抗の値を検出するセンサ部と、このセンサ部で得たデータを送信するデータ送信部とを備え、センサ部は、電源に予め設定された時間の間コンデンサと抵抗の直列接続体を並列に接続可能な回路と、電源の電圧及び電源と接地電位部との間に予め設定された時間の間前記直列接続体を接続したときのコンデンサの両端子間電圧に基づいて絶縁抵抗を演算する演算手段とを有しており、データ送信部は、データとして、演算した絶縁抵抗の値と、絶縁抵抗の演算に用いたコンデンサの両端子間電圧と、絶縁抵抗の演算に用いた電源の電圧とを送信してなる構成とすることにより上記課題を解決する。
【0008】
さらに、センサ部の回路は、電源に前記直列接続体を並列に、このコンデンサが完全に充電される時間よりも短い第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段と、電源の正端子と接地電位部との間に前記直列接続体を第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段と、接地電位部と電源の負端子との間に前記直列接続体を第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段と、第1、第2及び第3の各スイッチング手段の遮断後にコンデンサの両端子間の電圧を検出する電圧検出手段を接続する第4のスイッチング手段とを有し、センサ部の演算手段は、第1のスイッチング手段を遮断後の電圧検出手段での検出電圧に基づいて電源の電源電圧を推定し、該推定した電源電圧と第2及び第3のスイッチング手段を遮断後の電圧検出手段での各検出電圧とに基づいて電源の接地電位部に対する絶縁抵抗を演算し、データ送信部は、データとして、推定した電源電圧と、この電源電圧の推定に用いた電圧検出手段での検出電圧とを送信する構成とする。
【0009】
このような構成とすれば、データ送信部は、データとして、演算した絶縁抵抗の値と共に、絶縁抵抗の演算に用いた電源の電圧及びコンデンサの両端子間電圧を送信するため、このデータ送信部から送信された各絶縁抵抗の値の算出毎に用いられた電源の電圧及びコンデンサの両端子間電圧を監視できる。そして、電源の電圧及びコンデンサの両端子間電圧を監視することで、絶縁不良、電源電圧の異常、センサ部の異常などといった異常が発生した場合、その異常が発生するまでの電源電圧やコンデンサの両端子間電圧の変動などから、その異常が発生した要因を特定し易くできる。
【0010】
また、センサ部が、絶縁抵抗の演算に用いた電源の電圧及びコンデンサの両端子間電圧から電源電圧の異常及びセンサ部の異常を、演算した絶縁抵抗の値から電源の絶縁状態の異常を検出する異常検出手段を備え、データ送信部は、データとして、異常検出手段で検出した異常の状態に対応するコードを送信してなる構成とする。このような構成とすれば、データ送信部から送信されてきたコードによって、絶縁不良、電源電圧の異常、センサ部の異常などといった異常の内容を容易に識別できるので好ましい。
【0011】
また、第1のスイッチング手段が、電源の正端子に接続された第1のスイッチ部と、電源の負端子に接続された第2のスイッチ部とを含み、第3のスイッチング手段が、第2のスイッチ部と、第1のスイッチに直列に接続された第3のスイッチ部とを含み、第2のスイッチング手段が、第1のスイッチ部と、第2のスイッチ部に直列に接続された第4のスイッチ部とを含み、第4のスイッチング手段が、第3のスイッチ部と第4のスイッチ部とを含み、第1のスイッチ部と第3のスイッチ部との間と、第2のスイッチ部S2と第4のスイッチ部との間とに、正側から負側に向かう方向に整流する第1のダイオード、第1の抵抗及びコンデンサを直列に接続し、第1のダイオード及び第1の抵抗に並列に、この第1のダイオードと逆方向に整流する第2のダイオード及び第2の抵抗を直列に接続し、検出手段を第3のスイッチ部と第4のスイッチ部との間に接続し、検出手段と第4のスイッチ部との間を接地電位部に接地した構成とする。
【0012】
また、データ送信部は、データの受信も可能であり、データとして、電圧検出手段での検出電圧の値を補正するための補正値を受信し、センサ部は、データ送信部で受信した補正値を記憶する記憶手段を有し、センサ部の演算手段は、電圧検出手段での検出電圧の値を記憶手段に記憶された補正値に基づいて補正し、補正値は、電源と接地電位部との間に電源を絶縁状態にするのに必要な抵抗値を有する標準抵抗を取り付けたときに測定した電源の電圧値と、この電源の電圧値を測定したときに電圧検出手段で検出した電源の電圧値とに基づいて算出された値である構成とする。
【0013】
さらに、電源の電圧を測定する電圧測定器を備え、センサ部の回路は、電源に前記直列接続体を並列に第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段と、電源の正端子と接地電位部との間に前記直列接続体を第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段と、電源の負端子と接地電位部との間に前記直列接続体を第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段と、第1、第2及び第3の各スイッチング手段の遮断後にコンデンサの両端子間の電圧を検出する電圧検出手段を接続する第4のスイッチング手段とを有し、地絡センサ部の演算手段は、第1のスイッチング手段を遮断後の電圧検出手段での検出電圧に基づいて電源の電源電圧を推定し、この推定した電源電圧と第2及び第3のスイッチング手段を遮断後の検出手段での各検出電圧とに基づいて電源の接地電位部に対する絶縁抵抗を演算し、補正値演算部は、電圧測定器で測定した電圧と地絡センサ部の演算手段で推定した電源電圧との比較、及び標準抵抗の値と地絡センサ部の演算手段で演算した絶縁抵抗の値との比較に基づいて補正値を演算する構成とする。
【0014】
このような構成とすれば、センサ部の電圧検出手段での検出電圧を補正値により補正して絶縁抵抗の算出に用いるため、センサ部の電圧検出手段での検出特性のばらつきを補正し、絶縁状態の検出結果に対する信頼性を向上できる。したがって、異常が発生した場合にその異常が発生した要因を特定し易くできるのに加えて、絶縁状態の検出に対する信頼性を向上できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を適用してなる絶縁検出装置の第1の実施形態について図1乃至図7を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる絶縁検出装置の概略構成を示す図である。図2は、本発明を適用してなる絶縁検出装置の地絡センサ部の概略構成を示す図である。図3は、各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。図4は、本発明を適用してなる絶縁検出装置の絶縁抵抗の検出動作を示すフロー図である。
【0016】
本実施形態の絶縁検出装置1は、図1に示すように、例えば電力を利用して推進力を得る電気推進車両などの電力源となる直流電源3に対して適用したものである。電源3は、複数の蓄電池などを直列接続したものや燃料電池などであり、車体などの接地電位部から絶縁された非接地電源となっている。絶縁検出装置1は、電源3の絶縁状態を検出するものであり、電源3の接地電位部に対する絶縁抵抗、つまり地絡抵抗の値を検出する地絡センサ部5、地絡センサ部5から種々のデータを送信するためのデータ送信部7などで構成されている。データ送信部7は、データ送信部7から送信された種々のデータを表示する外部データモニタ装置9に通信ケーブル11を介してデータ伝送可能に接続されている。外部データモニタ装置9としては、例えば電力を利用して推進力を得る電気推進車両の場合、運転者に車両に関する種々の情報などを知らせるために設けられた液晶画面などからなる表示装置などを兼用することができる。
【0017】
電源3は、図2に示すように、電源3の正端子側の正側主回路配線13aと負端子側の負側主回路配線13bが、各々、接地電位部15、例えば車体などから絶縁されて非接地電源となっている。絶縁検出装置1の地絡センサ部5は、電源3の正端子側及び電源3の負端子側に接続され、第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3、第4スイッチS4、そしてコンデンサ17などを含むセンサ回路を有している。絶縁検出装置1の地絡センサ部5は、このセンサ回路の他、電圧検出手段と演算手段を兼ねると共に絶縁状態を判定するマイコン19、そして各スイッチを設定された時間に応じて開閉制御する図示していないスイッチング制御回路などで構成されている。なお、本実施形態のマイコン19は、第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3、第4スイッチS4などの各スイッチの異常を検出する異常検出手段も兼ねており、さらに、データ送信部7に対してデータ伝送可能にデータ送信部7と接続されている。さらに、図示していないスイッチング制御回路をマイコン19に一体に含めるなど、電圧検出手段、演算手段、異常検出手段及びスイッチング制御回路などは、別体または一体に適宜形成できる。また、図2で示した第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3、第4スイッチS4は、例えばリレーや半導体スイッチといった様々なスイッチ機能を有する部品からなるスイッチ部を接点として模式的に示したものである。
【0018】
地絡センサ部5のセンサ回路では、電源3の正側端子から第1スイッチS1及び第3スイッチS3が順次直列に接続され、電源3の負側端子には、この負端子側から第2スイッチS2、第4スイッチS4及び第4抵抗R4が順次直列に接続されている。第1スイッチS1と第3スイッチS3との間から第2スイッチS2と第4スイッチS4との間には、第1ダイオードD1、第1抵抗R1及びコンデンサ17が順次直列に接続されている。第1抵抗R1とコンデンサ17との間から第1スイッチS1と第3スイッチS3との間には、第2ダイオードD2及び第2抵抗R2が順次直列に接続されている。すなわち、第1ダイオードD1及び第1抵抗R1と、第2ダイオードD2及び第2抵抗R2とは並列に接続されている。また、第2抵抗R2の両端子間には、第2抵抗R2と並列に第5スイッチS5が接続されている。第1ダイオードD1は、正側から負側に向かう方向に整流するものであり、第2ダイオードD2は、第1ダイオードD1と逆方向に整流するものである。
【0019】
第3スイッチS3と第4抵抗R4間には、第3スイッチS3と第4抵抗R4に対して直列に第3抵抗R3が接続されており、第3スイッチS3と第3抵抗R3との間には、検出手段と演算手段を兼ねるマイコン19がマイコン19のアナログ/デジタル変換ポートつまりA/Dポートを介して接続されている。また、第3抵抗R3と第4抵抗R4との間の部位は、接地電位部15に接地されている。
【0020】
したがって、電源3にコンデンサ17を直列に第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段は、第1スイッチS1、第2スイッチS2及び図示していないスイッチング制御回路などで、電源3の正端子側と接地電位部15との間にコンデンサ17を直列に第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段は、第1スイッチS1、第4スイッチS4及び図示していないスイッチング制御回路などで、接地電位部15と電源3の負端子側との間にコンデンサ17を直列に第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段は、第2スイッチS2、第3スイッチS3及び図示していないスイッチングスイッチング制御回路などで、第4のスイッチング手段は、第3スイッチS3、第4スイッチS4及び図示していないスイッチング制御回路などで形成されている。なお、コンデンサ17には、例えば数μFといった比較的高容量のものが用いられ、第1抵抗R1と第2抵抗R2には、例えば数百kΩといった比較的高い抵抗値のものが用いられている。
【0021】
このような構成の絶縁検出装置の動作と本発明の特徴部について説明する。絶縁検出装置1は、図3及び図4に示すように、絶縁状態の検出を開始すると、図示していないスイッチング制御回路が第1スイッチS1及び第2スイッチS2を第1の設定時間である第1閉路時間T1の間、閉路する(ステップ101)。すなわち、第1のスイッチング手段により、接地電位部15を介さずに電源3にコンデンサ17を直列に接続する回路が形成され、第1閉路時間T1の間、コンデンサ17への充電が行われ、コンデンサ17の両端子間の電圧VCが上昇する。なお、第1閉路時間T1は、コンデンサ17を完全に充電するのに必要な時間よりも短い時間に設定されており、例えばコンデンサ17を完全に充電するのに必要な時間の1/5〜1/10といったような短い時間となっており、第1閉路時間T1は、必要とされる絶縁抵抗の計測誤差範囲によって選択されたものである。
【0022】
ステップ101において第1閉路時間T1が経過すると、第1スイッチS1及び第2スイッチS2が開路つまり遮断され、第1閉路時間T1よりも短い所定時間tw1経過後、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路される(ステップ102)。すなわち、第4のスイッチング手段により、コンデンサ17の両端子間の電圧を検出するマイコン19が接続された回路が形成されると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ17からの放電回路が形成され、コンデンサ17の両端子間の電圧VCが降下する。第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路されてから第1閉路時間T1よりも短い所定時間tw2経過後、マイコン19は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ17の両端子間の電圧VCを読み込む(ステップ103)。このときのコンデンサ17の両端子間電圧VCの値つまり検出電圧V0により、次式(1)から推定の電源電圧V0sを算出する(ステップ104)。
V0=V0s(1−EXP(−T1/C・R1)) …(1)
ただし、式(1)において、T1は第1スイッチS1及び第2スイッチS2の閉路時間、Cはコンデンサ17の容量、R1は第1抵抗R1の抵抗値である。
【0023】
ここで、この絶縁検出が最初検出の場合には、ステップ104において推定した電源電圧V0sが所定の範囲内にあるか否か、または、この絶縁検出が最初検出でない場合には、前回の推定電源電圧V0sと今回の推定電源電圧V0sとの差の絶対値が所定の差よりも小さいか否かに基づいて推定した電圧値から電源の異常の検出を行う(ステップ105)。ステップ105において、この絶縁検出が最初検出の場合であり、推定した電源電圧V0sが所定の範囲から外れている場合、または、この絶縁検出が最初検出でない場合であり、前回の推定電源電圧V0sと今回の推定電源電圧V0sとの差が所定の差以上の場合には、電源電圧の異常と判断し、地絡センサ部5は、マイコン19から、データ送信部7を介して、予め設定された電源電圧の異常に対応するコード、及びステップ104で推定した電源電圧V0sをデータとして外部モニタ装置9に2回送信する(ステップ106)。外部モニタ装置9は、異常の発生を報知するため、異常の発生を報知するための警報と併せて、データ送信部7からデータとして送信されてきた電源電圧の異常に対応するコード、そしてステップ104で推定した電源電圧を表示する(ステップ107)。外部モニタ装置9によって異常を報知後、現在の絶縁状態の検出サイクルを中止し、ステップ101に戻って新たな絶縁状態の検出サイクルに入る。
【0024】
一方、図示していないスイッチング制御回路は、ステップ103でコンデンサ17の両端子間の電圧VCを検出した後、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で、第5スイッチS5を閉路して第2抵抗R2をバイパスさせることで、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態とし、コンデンサ17からの放電に要する時間を短縮する。第5スイッチS5を閉路して、第1閉路時間T1よりも短い所定時間td1経過後、第5スイッチS5を開路つまり遮断した後、マイコン19は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ17の両端子間の電圧VCを読み込む(ステップ108)。
【0025】
ステップ108で読み込んだ電圧VCが0Vでない場合には、地絡センサ部5の回路の異常、例えば各スイッチや図示していないスイッチング制御回路などに異常があると判断し、地絡センサ部5は、マイコン19から、データ送信部7を介して、予め設定された地絡センサ部5の異常に対応するコード、及びステップ108で読み込んだ電圧VCをデータとして外部モニタ装置9に2回送信する(ステップ106)。外部モニタ装置9は、異常の発生を報知するため、異常の発生を報知するための警報と併せて、データ送信部7からデータとして送信されてきた地絡センサ部5の異常に対応するコード、そしてステップ108で読み込んだ電圧VCを表示する(ステップ107)。外部モニタ装置9によって異常を報知後、絶縁状態の検出を中止する。
【0026】
ステップ108で読み込んだ電圧VCが0Vの場合には、図示していないスイッチング制御回路は、第3スイッチS3を開路し、所定時間tw1経過後に第1スイッチS1を閉路する。そして、第1スイッチS1及び第4スイッチS4を第2の設定時間である第2閉路時間T2の間、閉路する(ステップ109)。すなわち、第2のスイッチング手段により、電源3の正端子と接地電位部15との間にコンデンサ17を直列に接続した回路、つまり、図2に示すように、正側主回路配線13a、第1スイッチS1、第1ダイオードD1、第1抵抗R1、コンデンサ17、第4スイッチS4、第4抵抗R4、接地電位部15、そして図2において点線で示すような位置に仮定される負端子側の地絡抵抗Rn、負側主回路配線13bを順次直列に電源3に接続した回路が形成される。これにより、第2閉路時間T2の間、コンデンサ17への充電が行われ、図3に示すように、地絡抵抗Rnの値に応じてコンデンサ17の両端子間の電圧VCが上昇する。なお、第2の設定時間である第2閉路時間T2も、第1閉路時間T1と同様に、コンデンサ17を完全に充電するのに必要な時間よりも短く、所定時間tw1、tw2、td1よりも長い時間に設定されている。
【0027】
ステップ109において第2閉路時間T2が経過すると、図3及び図4に示すように、第1スイッチS1が開路つまり遮断され、所定時間tw1経過後、第3スイッチS3が閉路され、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態となる。すなわち、第4のスイッチング手段により、コンデンサ17の両端子間の電圧を検出するマイコン19が接続された回路が形成されると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ17からの放電回路が形成され、コンデンサ17の両端子間の電圧VCが降下する。そして、第3スイッチS3が閉路されてから所定時間tw2経過後、マイコン19は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ17の両端子間の電圧VCを読み込む。そして、このときのコンデンサ17の両端子間電圧VCの値を検出電圧VCNとする(ステップ110)。
【0028】
一方、図示していないスイッチング制御回路は、ステップ110でコンデンサ17の両端子間の電圧VCを検出した後、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で、第5スイッチS5を閉路して第2抵抗R2をバイパスさせることで、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態とし、コンデンサ17からの放電に要する時間を短縮する。第5スイッチS5を閉路して、第2閉路時間T2よりも短い所定時間td2経過後、第5スイッチS5を開路つまり遮断した後、マイコン19は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ17の両端子間の電圧VCを読み込む(ステップ111)。
【0029】
ステップ111で読み込んだ電圧VCが0Vでない場合には、地絡センサ部5の回路の異常、例えば各スイッチや図示していないスイッチング制御回路などに異常があると判断し、地絡センサ部5は、マイコン19から、データ送信部7を介して、予め設定された地絡センサ部5の異常に対応するコード、及びステップ111で読み込んだ電圧VCをデータとして外部モニタ装置9に2回送信する(ステップ106)。外部モニタ装置9は、異常の発生を報知するため、異常の発生を報知するための警報と併せて、データ送信部7からデータとして送信されてきた地絡センサ部5の異常に対応するコード、そしてステップ111で読み込んだ電圧VCを表示する(ステップ107)。外部モニタ装置9によって異常を報知後、絶縁状態の検出を中止する。
【0030】
ステップ111で読み込んだ電圧VCが0Vの場合には、図示していないスイッチング制御回路は、第4スイッチS4を開路し、所定時間tw1経過後、第2スイッチS2を閉路する。そして、第2スイッチS2及び第3スイッチS3を第2の設定時間である第2閉路時間T2の間、閉路する(ステップ112)。すなわち、第3のスイッチング手段により、接地電位部15と電源3の負端子との間にコンデンサ17を直列に接続した回路、つまり、図2に示すように、正側主回路配線13a、図2において点線で示すような位置に仮定される正端子側の地絡抵抗Rp、接地電位部15、第3抵抗R3、第3スイッチS3、第1ダイオードD1、第1抵抗R1、コンデンサ17、第2スイッチS2、そして負側主回路配線13bを順次直列に電源3に接続した回路が形成される。これにより、第2閉路時間T2の間、コンデンサ17への充電が行われ、図3に示すように、地絡抵抗Rpの値に応じてコンデンサ17の両端子間の電圧VCが上昇する。
【0031】
ステップ112において第2閉路時間T2が経過すると、図3及び図4に示すように、第2スイッチS2が開路つまり遮断され、所定時間tw1経過後、第4スイッチS4が閉路され、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態となる。すなわち、第4のスイッチング手段により、コンデンサ17の両端子間の電圧を検出するマイコン19が接続された回路が形成されると共に、第2抵抗R2、第3抵抗R3、そして第4抵抗R4を含むコンデンサ17からの放電回路が形成され、コンデンサ17の両端子間の電圧VCが降下する。そして、第4スイッチS4が閉路されてから所定時間tw2経過後、マイコン19は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ17の両端子間の電圧VCを読み込む。このときのコンデンサ17の両端子間電圧VCを検出電圧VCPとする(ステップ113)。
【0032】
ここで、マイコン19は、検出したVCN、VCPを用いて、以下の式(2)から、地絡抵抗Rn、Rpを代表する地絡抵抗値RLを算出すると共に、算出した地絡抵抗値RLに基づいて絶縁不良の判定を行う(ステップ114)。
RL=−R1−T2/C・ln(1−(VCP+VCN)/V0s) …(2)
ただし、式(2)において、T2は第2閉路時間、Cはコンデンサ17の容量、R1は第1抵抗R1の抵抗値、V0sはステップ104で推定した電源電圧である。
【0033】
ステップ115では、地絡センサ部5のマイコン19が、算出した地絡抵抗値RLと予め設定された絶縁不良の判断基準となる基準地絡抵抗値とを比較し、地絡抵抗値RLが5回の絶縁状態の検出サイクルで連続して基準地絡抵抗値以下になっている場合には、絶縁不良が生じていると判断する。ステップ115で絶縁不良が検出されると、地絡センサ部5は、マイコン19から、データ送信部7を介して、予め設定された絶縁不良に対応するコード、及び絶縁不良を検出するための地絡抵抗値RLを算出する過程で得た各検出電圧V0、VC、VCN、VCP、推定電源電圧V0s、(VCP+VCN)/V0sの計算値、そして地絡抵抗値RLなどをデータとして外部モニタ装置9に2回送信する(ステップ106)。外部モニタ装置9は、絶縁不良を報知するための警報と併せて、データ送信部7からデータとして送信されてきた地絡抵抗値RLを表示する(ステップ107)。
【0034】
一方、ステップ115で地絡抵抗値RLが5回の絶縁状態の検出サイクルで連続して基準地絡抵抗値以下になっていない場合には、絶縁不良は生じていないと判断する。このとき、地絡センサ部5は、マイコン19から、データ送信部7を介して、絶縁不良を検出するための地絡抵抗値RLを算出する過程で得た各検出電圧V0、VC、VCN、VCP、推定電源電圧V0s、(VCP+VCN)/V0sの計算値、そして地絡抵抗値RLなどをデータとして外部モニタ装置9に2回送信する(ステップ116)。
【0035】
ステップ115で絶縁不良が検出されたときのステップ106のデータ出力、及びステップ115で絶縁不良が検出されたときのステップ116のデータ出力においてデータとして送信される内容の一例を表1に示す。なお、表1では、1回の絶縁状態の検出サイクルにおけるステップ103において、複数回検出電圧V0のデータの読み込みを行っている場合を例示している。検出電圧V0のデータの読み込み回数は予め適宜設定したものである。そして、ステップ103において検出した個々の検出電圧V0に基づいて、検出電圧V0の読み込み回数に応じた数の推定電源電圧V0sを算出している。同様に、ステップ110における検出電圧VCNの読み込み、ステップ113における検出電圧VCPの読み込みも、検出電圧V0のデータの読み込み回数と同じ回数行っている。そして、地絡抵抗値RLは、推定電源電圧V0sの平均値、検出電圧VCNの平均値、検出電圧VCPの平均値によって算出している。
【0036】
【表1】
外部モニタ装置9は、予め設定された絶縁不良に対応するコードを受けた場合、つまりステップ107において絶縁不良の検出を報知する場合、絶縁不良の検出を報知するための警報と併せて、データ送信部7からデータとして送信されてきた絶縁不良にに対応するコード、そして表1に列記したデータを表示する。一方、予め設定された絶縁不良に対応するコードを受けていない場合、つまり絶縁不良が検出されなかった場合には、データ送信部7からデータとして送信されてきた表1に列記したデータのみを表示する。
【0037】
ここで、図示していないスイッチング制御回路は、ステップ113でコンデンサ17の両端子間の電圧VCを検出した後、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が閉路された状態で、第5スイッチS5を閉路して第2抵抗R2をバイパスさせることで、第2抵抗R2の抵抗値を下げた状態とし、コンデンサ17からの放電に要する時間を短縮する。第5スイッチS5を閉路して所定時間td2経過後、第5スイッチS5を開路つまり遮断した後、マイコン19は、A/Dポートを介してA/D変換データ、つまりコンデンサ17の両端子間の電圧VCを読み込む(ステップ117)。
【0038】
ステップ117で読み込んだ電圧VCが0Vでない場合には、地絡センサ部5の回路の異常、例えば各スイッチや図示していないスイッチング制御回路などに異常があると判断し、地絡センサ部5は、マイコン19から、データ送信部7を介して、予め設定された地絡センサ部5の異常に対応するコード、及びステップ117で読み込んだ電圧VCをデータとして外部モニタ装置9に2回送信する(ステップ106)。外部モニタ装置9は、異常の発生を報知するため、異常の発生を報知するための警報と併せて、データ送信部7からデータとして送信されてきた地絡センサ部5の異常に対応するコード、そしてステップ117で読み込んだ電圧VCを表示する(ステップ107)。外部モニタ装置9によって異常を報知後、絶縁状態の検出を中止する。
【0039】
ステップ111で読み込んだ電圧VCが0Vの場合には、ここで1回の絶縁状態の検出サイクルを終了する。なお、絶縁状態の検出を行う間、ステップ101からステップ117までの絶縁状態の検出サイクルを繰り返す。ただし、ステップ108、111、117で地絡センサ部5の異常が検出された場合には、絶縁状態の検出ができない状態と考えられるため、絶縁状態の検出を中止する。また、ステップ105で電源電圧の異常が検出された場合には、このときに算出した地絡抵抗値RLの値の信頼性は低くくなるため、そのサイクルの絶縁状態の検出を中止し、新たな絶縁状態の検出サイクルに入る。
【0040】
ところで、本実施形態の絶縁検出装置1によって計測した地絡抵抗値RLの値と、実際の地絡抵抗値RLの値との誤差をある所定の規格容量を有するコンデンサ17、そしてある所定の規格抵抗値を有する第1抵抗R1を用いた場合を想定して計算した結果を図5に示す。なお、コンデンサ17は、製品間差と温度変化を考慮して±10%程度の容量のばらつきが、第1抵抗R1は、製品間差と温度変化を考慮して±2%程度の容量のばらつきがあるものとする。図5において、V0計測時間は、第1閉路時間を意味し、したがって、図5では、第1閉路時間T1をt秒、2t秒、そして3t秒、ただしt<2t<3tとした場合の計測誤差を示している。なお、図5は、縦軸を検出精度つまり検出誤差、横軸を地絡抵抗の値として計算結果をグラフ化したものである。
【0041】
図5からわかるように、V0計測時間つまり第1閉路時間T1の設定によって計測誤差の低減度合いが異なっており、第1閉路時間T1がt秒のときには、地絡抵抗が小さくなるにしたがって誤差が大きくなるが、地絡抵抗が大きくなるにしたがって誤差が小さくなっている。第1閉路時間T1が2t秒のときには、地絡抵抗が大きい場合には、第1閉路時間T1がt秒のときよりも誤差が大きくなるが、各地絡抵抗にわたって平均的に誤差が小さくなっている。第1閉路時間T1が3t秒のときにも各地絡抵抗にわたって平均的に誤差が小さくなっているが、誤差は、第1閉路時間T1が2t秒のときよりも大きい。
【0042】
したがって、絶縁不良を判定する地絡抵抗の値の設定を比較的大きな値とする場合には、第1閉路時間T1をt秒とするのが望ましく、絶縁不良を判定する地絡抵抗の値の設定を比較的小さな値とする場合には、第1閉路時間T1を2t秒とするのが望ましい。このように、第1閉路時間T1つまり第1の設定時間は、絶縁不良を判定する地絡抵抗の値周辺で計測誤差が小さくなるように選択するのが好ましい。例えば、図5において絶縁不良を判定する地絡抵抗の値をRΩに設定したとすれば、第1閉路時間T1として2t秒を選択するのが望ましい。
【0043】
このように本実施形態の絶縁検出装置1では、データ送信部7は、データとして、演算した地絡抵抗値RLと共に、地絡抵抗値RLの算出に用いた推定した電源3の電圧V0s、マイコン19による各検出電圧V0、VC、VCN、VCPなど、地絡抵抗値RLの算出に用いる電源電圧やコンデンサの両端子間電圧を送信する。このため、データ送信部7から送信されたこれらのデータを監視することで、絶縁不良、電源3の電圧異常、地絡センサ部5の異常などといった異常が発生した場合、その異常が発生するまでの電源電圧やコンデンサの両端子間電圧の変動などから、それが真に絶縁不良や電源3や地絡センサ部5の故障などによるものか、ノイズなどによる誤動作や数値変動などによって生じた一時的な異常なのかといったような異常が発生した要因を特定し易くできる。
【0044】
さらに、データ送信部7は、マイコン19で検出した異常の状態、つまり絶縁不良、電源3の電圧異常、地絡センサ部5の異常などに対応して割り当てられたコードを送信するため、外部モニタ装置9に表示されたコードから、発生した異常の状態を容易に識別できる。
【0045】
加えて、本実施形態の絶縁検出装置1では、閉路したときに第2抵抗R2をバイパスする経路を形成する第5スイッチS5を含むバイパス手段を備えているため、マイコン19によるコンデンサ17の両端子間の電圧の検出後に第5スイッチS5を閉路することで、コンデンサ17からの放電時間を短縮することができる。したがって、絶縁検出のための1サイクルに要する時間を短縮することができ、単位時間当たりの絶縁検出の回数を増やし、絶縁検出の精度をさらに向上できる。
【0046】
なお、第5スイッチS5を含むバイパス手段としては、本実施形態の構成に限らず、バイパス手段は、第2ダイオードD2と第2抵抗R2と接地電位部15との間に第5スイッチS5などを直列に接続した構成などにすることもできる。また、絶縁検出のための1サイクルに要する時間の短縮などの必要性がない場合などには、第5スイッチS5を含むバイパス手段を設けない構成にすることもできる。
【0047】
また、本実施形態では、電源3の正端子側の地絡抵抗Rpと負端子側の地絡抵抗Rnを代表する地絡抵抗値RLを算出している。しかし、個別の式により電源電圧V0sと検出電圧VCP、VCNなどとに基づいて電源3の正端子側の地絡抵抗Rpと負端子側の地絡抵抗Rnを個々に算出し、絶縁不良の発生部位を検出することもできる。
【0048】
また、本実施形態では、マイコン19が異常の状態を判断し、データ送信部7を介して異常の状態に対応するコードを外部モニタ装置9に送信している。しかし、外部モニタ装置9に代えて表示画面を有するコンピュータなどにデータを送信し、このコンピュータなどが受信したデータから上の状態を判断する構成にすることもできる。
【0049】
また、本発明は、本実施形態において示した構成や電源電圧の推定を行う絶縁検出装置に限らず、電源と接地電位部との間に予め設定された時間の間コンデンサを直列に接続可能な回路を有し、電源の電圧と、電源及び前記接地電位部間に予め設定された時間の間コンデンサを直列に接続したときのこのコンデンサの両端子間電圧とに基づいて絶縁抵抗を演算する様々な構成の絶縁検出装置に適用することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用してなる絶縁検出装置の第2の実施形態について図6を参照して説明する。図6は、本発明を適用してなる絶縁検出装置の概略構成を示す図である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一のもの及び動作などには同じ符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と相違する構成及び特徴部などについて説明する。
【0051】
本実施形態の絶縁検出装置が第1の実施形態と相違する点は、データ送信部がデータの受信も可能なものであり、データとしてマイコンで演算した地絡抵抗値を補正するための補正値を受信すること、そして、マイコンがデータ送信部で受信した補正値を記憶する記憶手段を有し、補正値に基づいて演算した地絡抵抗値を補正することなどにある。すなわち、本実施形態の絶縁検出装置21は、図6に示すように、フラッシュメモリを備えると共に第1の実施形態のマイコン19と同様に電圧検出手段、演算手段、そして異常検出手段となる図示していないマイコンを有する地絡センサ部23、地絡センサ部23から種々のデータの送信と外部からのデータの受信を行うためのデータ送信部25などで構成されている。データ送信部25は、第1の実施形態の外部モニタ装置9と同様にデータ送信部25から送信された種々のデータを表示するのに加えて補正値の演算手段となる外部コンピュータ27に双方向の通信が可能に通信ケーブル11を介して接続されている。
【0052】
地絡センサ部23の図示していないマイコンが有するフラッシュメモリに補正値を記憶させるとき、電源3には、電源3の電圧を測定するための電圧測定装置29を、そして電源3を絶縁状態とするために必要な地絡抵抗値の基準となる抵抗値を有する標準抵抗31を電源3と接地電位部15との間に取り付ける。電圧測定装置29は、外部コンピュータ27に電圧測定装置29で測定した電源3の電圧値のデータの伝送するため、通信ケーブル33を介して外部コンピュータ27に接続される。
【0053】
この状態で、電圧測定装置29で電源3の電圧値Vを測定すると同時に、地絡センサ部5で第1の実施形態と同様の方法で電源電圧V0sの推定を行う。外部コンピュータ27は、電圧測定装置29から得られた電源3の電圧値と地絡センサ部5からデータ送信部7を介して得られた推定された電源電圧V0sとから補正値を算出する。そして、外部コンピュータ27は、算出された補正値を絶縁検出装置21のデータ送信部25に送信する。データ送信部25で受信された補正値は、地絡センサ部23のマイコン19内のフラッシュメモリに更新データとして書き込まれる。
【0054】
地絡センサ部23の図示していないマイコンは、絶縁状態を検出する際の検出電圧Vad、V0、VC、VCN、VCPにフラッシュメモリに記憶された補正値を掛けて補正し、この補正された各検出電圧を地絡抵抗値RLの算出に用いる。なお、絶縁検出装置21を実際に使用する際には、電圧測定装置29、標準抵抗31、通信ケーブル33を取り外して使用し、外部コンピュータ27は、第1の実施形態の外部モニタ装置9の代わりに用いられる。
【0055】
このように本実施形態の絶縁検出装置21は、地絡センサ部23の図示していないマイコンでの検出電圧を補正値により補正して地絡抵抗の算出に用いるため、地絡センサ部23の検出特性のばらつきを補正し、絶縁状態の検出結果に対する信頼性を向上できる。さらに、本実施形態の絶縁検出装置21は、マイコンでの検出電圧を補正できる以外は第1の実施形態と同じ構成であるため、異常が発生した場合にその異常が発生した要因を特定し易くできる。したがって、異常が発生した場合にその異常が発生した要因を特定し易くできるのに加え、絶縁状態の検出に対する信頼性を向上できる。
【0056】
また、本実施形態では、第1の実施形態の外部モニタ装置9の代わりに用いることができる外部コンピュータ27を用いているが、補正値を算出するための手段と、絶縁検出装置21の使用時に絶縁検出装置21から送信されてくるデータを表示する手段とは別個の手段にすることができる。
【0057】
また、本実施形態の絶縁検出装置21は、第1の実施形態と同様に推定した電源電圧を用いて地絡抵抗値を算出しているが、本発明は、このような絶縁検出装置に限らず、予め設定された時間の間充電されたコンデンサの両端子間電圧を検出して、この検出電圧を用いて地絡抵抗値を算出する様々な構成の絶縁検出装置に適用することができる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、異常が発生した場合にその異常が発生した要因を特定し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる絶縁検出装置の第1の実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】本発明を適用してなる絶縁検出装置の第1の実施形態における地絡センサ部の概略構成を示す図である。
【図3】各スイッチ部の動作に対するコンデンサの充放電状態と電圧の読み込みタイミングを示すタイムチャートである。
【図4】本発明を適用してなる絶縁検出装置の絶縁状態の検出動作を示すフロー図である。
【図5】地絡抵抗の値に対する各電源電圧の計測時間で検出した絶縁抵抗の値の検出誤差を示す図である。
【図6】本発明を適用してなる絶縁検出装置の第2の実施形態の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 絶縁検出装置
3 電源
5 地絡センサ部
7 データ送信部
9 外部モニタ装置
11 通信ケーブル
13a 正側主回路配線
13b 負側主回路配線
15 接地電位部
17 コンデンサ
S1 第1スイッチ
S2 第2スイッチ
S3 第3スイッチ
S4 第4スイッチ
Rp 正端子側地絡抵抗
Rn 負端子側地絡抵抗
Claims (2)
- 正端子側及び負端子側の配線が接地電位部から絶縁された直流電源の前記接地電位部に対する絶縁抵抗の値を検出するセンサ部と、該センサ部で得たデータを送信するデータ送信部とを備え、
前記センサ部の回路は、前記電源にコンデンサと抵抗の直列接続体を並列に、該コンデンサが完全に充電される時間よりも短い第1の設定時間の間接続する第1のスイッチング手段と、前記電源の正端子と前記接地電位部との間に前記直列接続体を第2の設定時間の間接続する第2のスイッチング手段と、前記接地電位部と前記電源の負端子との間に前記直列接続体を第2の設定時間の間接続する第3のスイッチング手段と、前記第1、第2及び第3の各スイッチング手段の遮断後に前記コンデンサの両端子間の電圧を検出する電圧検出手段を接続する第4のスイッチング手段とを有し、
前記センサ部の演算手段は、前記第1のスイッチング手段を遮断後の前記電圧検出手段での検出電圧に基づいて前記電源の電源電圧を推定し、該推定した電源電圧と前記第2及び第3のスイッチング手段を遮断後の前記電圧検出手段での各検出電圧とに基づいて前記電源の前記接地電位部に対する絶縁抵抗を演算し、
前記データ送信部は、データとして、前記推定した電源電圧と、該電源電圧の推定に用いた電圧検出手段での検出電圧とを送信してなることを特徴とする絶縁検出装置。 - 前記データ送信部は、データの受信も可能であり、データとして、前記電圧検出手段での検出電圧の値を補正するための補正値を受信し、前記センサ部は、前記データ送信部で受信した補正値を記憶する記憶手段を有し、前記センサ部の演算手段は、前記電圧検出手段での検出電圧の値を前記記憶手段に記憶された補正値に基づいて補正し、前記補正値は、前記電源と前記接地電位部との間に前記電源を絶縁状態にするのに必要な抵抗値を有する標準抵抗を取り付けたときに測定した電源の電圧値と、該電源の電圧値を測定したときに前記電圧検出手段で検出した前記電源の電圧値とに基づいて算出された値であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁検出装置。
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