JP3962972B2 - 張り合わせ基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は張り合わせ基板の製造方法、詳しくは活性層用ウェーハの外縁部にシリコン酸化膜を形成した張り合わせ基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2枚のシリコンウェーハを張り合わせた張り合わせ基板の一種として、張り合わせSOI基板が知られている。これは、デバイスが作製される活性層用ウェーハと、これを裏側から支持する支持基板用ウェーハとの間に、厚さ数μmのシリコン酸化膜が埋め込まれた張り合わせ基板である。
このような張り合わせSOI基板の製造方法の一種として、活性層用ウェーハの面取り時にウェーハ外周部を完全に削り取らず若干量を残しておき、その後、この削り残し部分をアルカリエッチングにより取り除く方法が知られている。これは、面取りホイールによる加工ダメージを、できるだけ支持基板用ウェーハに与えないようにするために開発された製法である。
【0003】
以下、従来の張り合わせSOI基板の製造方法の一例を説明する。
すなわち、まずCZ法により引き上げられた単結晶シリコンインゴットをスライスし、研磨して、鏡面に仕上げられた2枚のシリコンウェーハを用意する。次いで、一方のシリコンウェーハである支持基板用ウェーハを熱酸化炉に挿入し、ここで熱酸化処理して、処理後の支持基板用ウェーハ全体を絶縁膜であるシリコン酸化膜により覆う。
それから、この支持基板用ウェーハと、他方のシリコンウェーハである活性層用ウェーハとを常温で重ね合わせて張り合わせウェーハを設け、これに所定の張り合わせ熱処理を施す。
以下、図2を参照しながらその工程を順次説明する。図2は、従来手段に係る張り合わせSOI基板の製造方法を示すフローシートである。
【0004】
図2(a)に示す熱処理された張り合わせウェーハ100は、その後、支持基板用ウェーハ102の表面、実際にはシリコン酸化膜102aの表面には、減圧CVD法によってポリシリコンが成長される(図2(b))。これにより、支持基板用ウェーハは、シリコン酸化膜102aおよびポリシリコン膜aによって二重に覆われる。
それから、張り合わせ不良領域を除去するために、活性層用ウェーハ101の外周部が面取りされる(図2(c))。面取りは、張り合わせ界面付近までに止められる。その結果、ウェーハ外周部に若干量の削り残し部分101aが現出される。
【0005】
この削り残し部分101aは、続くアルカリエッチ工程で除去される。具体的には、張り合わせウェーハ100がアルカリ性エッチング液に接触され、この削り残し部分101aを溶失させるのである(図2(d))。それと同時に、活性層用ウェーハ101を覆ったポリシリコン膜aも除去される。その結果、シリコン酸化膜102aが、ふたたび支持基板用ウェーハ102の表面に露出される。
次に、活性層用ウェーハ102の表面を研削し(図2(e))、さらに鏡面研磨する(図2(f))。こうして、シリコン酸化膜102aの一部が埋め込み酸化膜となった張り合わせSOI基板Bが作製される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この従来の張り合わせSOI基板Bの製造方法にあっては、図2(f)に示す鏡面研磨工程において、活性層用ウェーハ100の露出面は、その鏡面研磨されるウェーハ表面だけでなく、その外周縁に配されたウェーハ外周面も軟らかいシリコン面となっている。
そのため、複数枚の張り合わせウェーハ100を、例えば図示しないバッチ式のワックスレス研磨の場合ではキャリアプレートに装着し、各活性層用ウェーハ101の表面を鏡面研磨するとき、活性層用ウェーハ101が押し付けられる研磨布のリバウンドによって、ウェーハ外周部に研磨ダレb(図2参照)が発生していた。このリバウンドとは、キャリアプレートを装着した研磨ヘッドからの研磨圧によって、研磨定盤上に展張された研磨布の一部分が盛りあがり、それがウェーハ挿入孔と活性層用ウェーハ101との隙間にもぐり込む現象である。このリバウンドによって、活性層ウェーハの周縁部がだれ、GBIR,SBIR,SFQRなどで示されるウェーハ表面の平坦度及び活性層厚さの精度が低下していた。
【0007】
【発明の目的】
この発明は、活性層用ウェーハの外周部の研磨ダレを抑制し、ウェーハの平坦度を高めることができる張り合わせ基板の製造方法を提供することを、その目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、活性層用ウェーハと、シリコン酸化膜で被覆された支持基板用ウェーハとを張り合わせて張り合わせウェーハを作製し、その後、この張り合わせウェーハに張り合わせ熱処理を施す工程と、この張り合わせ熱処理後、活性層用ウェーハの外周部を、支持基板用ウェーハとの張り合わせ界面付近まで面取りする工程と、この面取り後の張り合わせウェーハにアルカリエッチングを施して、活性層用ウェーハの外周部に残っている削り残し部分を除去する工程と、このアルカリエッチング後、張り合わせウェーハの露出面の全面からシリコン酸化膜を除去する工程と、このシリコン酸化膜を除去した後、張り合わせウェーハの全表面を、熱酸化によるシリコン酸化膜で被覆する工程と、このシリコン酸化膜によって被覆された活性層用ウェーハの表面を研削する工程と、この研削された活性層用ウェーハの表面を鏡面研磨する工程とを備えた張り合わせ基板の製造方法である。
【0009】
活性層用ウェーハの外周面を覆うシリコン酸化膜の形成方法は限定されない。例えば、ドライ酸化、ウェット酸化などが挙げられる。
【0010】
活性層用ウェーハおよび支持基板用ウェーハの張り合わせは、通常、常温により両ウェーハを重ね合わせた後、張り合わせ熱処理することで行われる。この張り合わせ熱処理の加熱温度は800℃以上、通常は1100℃である。張り合わせ熱処理の時間は、一般的に2時間である。張り合わせ炉内の雰囲気ガスには酸素などが用いられる。
また、活性層用ウェーハの外周部を面取りする方法は限定されない。通常は、面取りホイールを使用した機械面取りである。この面取りの時期も限定されない。一般的にはこの張り合わせ熱処理を行ったあとである。
活性層用ウェーハの表面研削の条件および鏡面研磨の条件は、それぞれ周知の条件でよい。なお、鏡面研磨後、この活性層用ウェーハの外周面のシリコン酸化膜は、例えばHF洗浄などによって除去してもよい。
【0011】
活性層用ウェーハの面取り後に発生する削り残し部分の厚さは限定されない。通常は20μmを超える。
削り残し部分のアルカリエッチング方法は、例えば、張り合わせウェーハをアルカリ性エッチング液に浸漬したり、張り合わせウェーハの外周部だけをアルカリ性エッチング液に浸したりする方法がある。
アルカリ性エッチング液としては、周知の条件でもよい。
シリコン酸化膜の除去には、通常、HF洗浄液によるHF洗浄が挙げられる。
【0012】
【作用】
この発明によれば、面取り、アルカリエッチング後の張り合わせ基板の活性層用ウェーハの外周面をシリコン酸化膜により覆ったので、例えば研磨装置を用いた活性層用ウェーハの鏡面研磨中に、研磨布の一部分にリバウンドが発生しても、このウェーハ外周面のシリコン酸化膜が硬くて研磨されにくいので、ウェーハ外周部の研磨ダレを抑制することができる。その結果、GBIRなどで示されるウェーハの平坦度を高めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施例に係る張り合わせSOI基板の製造方法を示すフローシートである。
図1に示すように、まずCZ法により単結晶シリコンインゴットの引き上げ、その後、この得られた単結晶シリコンインゴットに、ブロック切断、スライス、面取り、鏡面研磨などを施すことにより、鏡面仕上げの活性層用ウェーハ10を用意する。一方、この活性層用ウェーハ10と同じ製法により、同じ厚さ、同一口径の鏡面仕上げの支持基板用ウェーハ20を用意する。なお、この支持基板用ウェーハ20は、所定の時期に熱酸化処理が施されて、シリコン酸化膜21で覆われているものとする。
【0014】
その後、両ウェーハ10,20の鏡面同士をクリーンルームの室温下で重ね合わせる(図1(a))。これにより、張り合わせウェーハ30が形成される。なお、この張り合わせにより、活性層用ウェーハ10と支持基板用ウェーハ20との間に介在されたシリコン酸化膜21の部分が埋め込み酸化膜となる。
その後、この張り合わせウェーハ30を、張り合わせ炉の石英反応管に挿入し、酸素ガス雰囲気で張り合わせ熱処理する。張り合わせ温度は1100℃,熱処理時間は2時間である。
【0015】
次いで、超音波照射によるボイド検査を行う。そして、良品の張り合わせウェーハ30は面取りされる(図1(b))。この際の面取りは、張り合わせ界面付近に止められる。これにより、ウェーハ外周部に厚さ20μmの削り残し部分10aが発生する。削り残し部分10aは、続くアルカリエッチ時に除去される(図1(c))。
アルカリエッチ工程は、KOHのアルカリ性エッチング液により実施される。
次に、アルカリエッチ後の張り合わせウェーハ30の露出全体面からシリコン酸化膜20aを除去する(図1(d))。具体的には、支持基板用ウェーハ20のシリコン酸化膜21をHF洗浄して除去する。なお、シリコン酸化膜20aのうち、張り合わせウェーハ内に埋め込まれた部分は除去されない。
【0016】
続いて、HF洗浄後の張り合わせウェーハの露出面全体を、新たなシリコン酸化膜Sで被覆する(図1(e))。
具体的な被覆方法としては、この活性層用ウェーハ10を熱酸化炉に挿入し、ドライ酸化法により形成する。
次いで、このシリコン酸化膜Sにより被覆された活性層用ウェーハの表面を研削する(図1(f))。なお、表面研削後、シリコン酸化膜Sにより覆われている部分は、活性層用ウェーハ10の外周面だけとなる。
【0017】
次に、活性層用ウェーハの鏡面研磨を行う(図1(g))。具体的には、図示しないバッチ式の研磨装置に装着されたキャリアプレートに表面研削後の張り合わせウェーハ30を装着し、その活性層用ウェーハ10の表面を、研磨定盤上の研磨布に押しつけて鏡面研磨する。
この際、従来の活性層用ウェーハであれば、研磨布のリバウンドによってウェーハ外周部に研磨ダレが発生する。しかしながら、この実施例のウェーハの場合では、活性層用ウェーハ10の外周面が、シリコンよりも硬いシリコン酸化膜Sで覆われている。そのため、このシリコン酸化膜Sが研磨ダレの防止壁となって、リバウンドによるウェーハ外周部の研磨ダレを抑えることができる。その結果、GBIR,SBIRなどで表されるウェーハの平坦度が高められる。こうして、活性層用ウェーハ10の面取りされた外周面が、シリコン酸化膜Sによって被覆された張り合わせSOI基板Aが作製される。
その後、この張り合わせSOI基板Aは、洗浄され、ウェーハケースなどに梱包されて、デバイスメーカなどに出荷される。
【0018】
【発明の効果】
この発明によれば、張り合わせ基板の活性層用ウェーハの外周面をシリコンよりも硬いシリコン酸化膜により覆ったので、活性層用ウェーハの鏡面研磨時に、ウェーハ外周部の研磨ダレを抑制して、ウェーハの平坦度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例に係る張り合わせ基板の製造方法を示すフローシートである。
【図2】 従来手段に係る張り合わせ基板の製造方法を示すフローシートである。
【符号の説明】
10 活性層用ウェーハ、
20 支持基板用ウェーハ、
20a シリコン酸化膜、
30 張り合わせウェーハ、
10a 削り残し部分、
A 張り合わせSOI基板、
S シリコン酸化膜。
Claims (1)
- 活性層用ウェーハと、シリコン酸化膜で被覆された支持基板用ウェーハとを張り合わせて張り合わせウェーハを作製し、その後、この張り合わせウェーハに張り合わせ熱処理を施す工程と、
この張り合わせ熱処理後、活性層用ウェーハの外周部を、支持基板用ウェーハとの張り合わせ界面付近まで面取りする工程と、
この面取り後の張り合わせウェーハにアルカリエッチングを施して、活性層用ウェーハの外周部に残っている削り残し部分を除去する工程と、
このアルカリエッチング後、張り合わせウェーハの露出面の全面からシリコン酸化膜を除去する工程と、
このシリコン酸化膜を除去した後、張り合わせウェーハの全表面を、熱酸化によるシリコン酸化膜で被覆する工程と、
このシリコン酸化膜によって被覆された活性層用ウェーハの表面を研削する工程と、
この研削された活性層用ウェーハの表面を鏡面研磨する工程とを備えた張り合わせ基板の製造方法。
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