JP3962656B2 - フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 - Google Patents
フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3962656B2 JP3962656B2 JP2002243352A JP2002243352A JP3962656B2 JP 3962656 B2 JP3962656 B2 JP 3962656B2 JP 2002243352 A JP2002243352 A JP 2002243352A JP 2002243352 A JP2002243352 A JP 2002243352A JP 3962656 B2 JP3962656 B2 JP 3962656B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- orbiting
- web
- filament
- speed fluid
- filaments
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Nonwoven Fabrics (AREA)
- Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法およびそのウェブの製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
不織布の製法としては、ポリマーから紡糸したフィラメント群からウェブを形成し直ちにフィラメント間が接合される、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法(以下、これらの製法を広義のスパンボンド法と呼び、また、これらの製法によって製造された不織布を広義のスパンボンド不織布と呼ぶ)がある。広義のスパンボンド不織布は、経済性および量産性に優れることから、不織布の主流をなしている。
【0003】
従来の広義のスパンボンド不織布はフィラメントがランダムな方向に配列されたランダム不織布であるため、強度が小さく、寸法安定性の無いものが多かった。そこで、フィラメントの配列性を向上させるための種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、フィラメントを縦方向に配列させる方法として、特公昭60−25541号公報には、フィラメントの射出方向に対してコンベアを傾斜させることによってフィラメントを高度に一方向に配列させる方法が記載されている。また、特開平7−3604号公報には、気流とともに噴出させたフィラメントを通気性のあるコンベア上に堆積させ、このコンベアの裏側に気流遮断手段を設けて気流の制御を行うことにより、フィラメントを縦方向に広げ、配列性を向上させる方法が記載されている。
【0005】
一方、フィラメントを横方向に配列させる方法としては、特公平3−36948号公報および特許第1992584号に、紡糸ノズルの周囲に、それぞれノズルの円周方向成分を持ってエアを噴射する複数のエアノズルを備え、それによって、フィラメントをスパイラル状に放出し、さらにその外周に、ウェブの搬送方向と平行な方向で互いに衝突するように配された2つのエアノズルを配し、これによって、スパイラル状に放出されたフィラメントを横方向に広げることで、フィラメントを横方向に配列させる方法が開示されている。また、特許第2612203号には、コンベアに工夫を施すことでフィラメントを横方向に配列させる方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年の不織布工業の発展により、不織布の適用範囲が急速に拡大しており、不織布には更なる強度および寸法安定性が要求されている。一般に、不織布の強度および寸法安定性を向上させるには、フィラメントを延伸するのが最も効果的である。フィラメントの延伸は、コンベア上にウェブとして堆積した状態でウェブをフィラメントの配列方向に延伸するのが簡易な方法である。しかし、ウェブの延伸前においてフィラメントが一方向に配列されていないと、ウェブを延伸してもフィラメントの間隔が広がるだけでフィラメントが実質的に延伸される確率が低くなり、延伸後の十分な強度および寸法安定性が得られなくなる。従来の不織布の製造方法では、フィラメントを高度に配列させる程度が不十分であり、近年要求されているような高い強度および寸法安定性を有する不織布を製造するのは困難であった。つまり、更なる高い強度および寸法安定性を有する不織布を製造するには、ウェブに対しても更に高度にフィラメントが一方向に配列されていることが要求される。
【0007】
本出願人らは、フィラメントの配列性を向上させる方法として、断面が楕円形のロッド部材を広義のスパンボンド法による紡糸ダイスの近傍に配置し、ロッド部材を一方向に回転させることで紡糸ダイスから噴出される高速流体の流れの向きを周期的に変動させ、これによってフィラメントを周期的に振動させる方法を提案している(特開2001−140159号公報)。しかし、この方法ではロッド部材を一方向に回転させているため、ロッド部材を適切な位置に配置しないと、紡糸ダイスから放出されたフィラメントがロッド部材に絡み付いてしまうことがあった。フィラメントの絡み付きを防止するためにはロッド部材を紡糸ダイスからある程度離して配置すればよいが、紡糸ダイスから離れた位置では高速流体の流速が低下してしまい、フィラメントを振動させる程度が小さくなってしまう。また、フィラメントの絡み付きを防止するために、ロッド部材をフィラメントの流れから離して配置することも考えられるが、この場合もやはり、ロッド部材による高速流体の流れの向きを変動させる効果が低下してしまうので、フィラメントを振動させる程度が小さくなってしまう。
【0008】
そこで本発明は、紡糸ダイスから噴出される高速気流を有効に利用してフィラメントを効率良く振動させ、結果的にフィラメントをより高度に一方向に配列させることのできる、ウェブの製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のウェブの製造方法は、溶融ポリマーをフィラメントとして押し出す、並列に配列された複数のノズル、および押し出されたフィラメントを細化するための高速流体を噴射する噴射部を備えた紡糸手段と、前記ノズルから押し出されたフィラメントを捕集し搬送するコンベアと、前記紡糸手段の下方に配置され、前記噴射部から噴射された高速流体の流域に対面する表面を有する周回運動部材とを用いた、フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法であって、
前記噴射部から高速流体を噴射すると同時に、前記ノズルからフィラメントを押し出す工程と、
前記周回運動部材を、その姿勢を維持したまま、前記高速流体の流域の中心を横切ることなく前記高速流体の流域の中心に対して接近したり離れたりするように、前記ノズルの配列の長手方向に平行な軸線を中心として周回運動させ、前記高速流体の流れの向きを周期的に変動させる工程と、
流れの向きが周期的に変動する前記高速流体に随伴するフィラメントをコンベア上に捕集する工程とを有する。
【0010】
また、本発明のウェブの製造装置は、フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造装置であって、
溶融ポリマーをフィラメントとして押し出す、並列に配列された複数のノズル、および押し出されたフィラメントを細化するための高速流体を噴射する噴射部を備えた紡糸手段と、
前記ノズルから押し出されたフィラメントを捕集し搬送するコンベアと、
前記高速流体の流域に対面する表面を持つ周回運動部材であって、前記紡糸手段の下方に配置され、姿勢を維持したまま、前記高速流体の流域の中心を横切ることなく前記高速流体の流域の中心に対して接近したり離れたりするように、前記ノズルの配列の長手方向に平行な軸線を中心として周回運動する周回運動部材とを有する。
【0011】
本発明によれば、ノズルから押し出されたフィラメントは、噴射部から噴射された高速流体により細化されてコンベア上に捕集され、コンベアで搬送されることでウェブとなる。ここで、紡糸手段の下方に、噴射部から噴射された高速流体の流域に対面する表面を有する周回運動部材が配置され、この周回運動部材は、高速流体の流域の中心を横切ることなく高速流体の流域の中心に対して接近したり離れたりするように、ノズルの配列の長手方向に平行な軸線を中心として周回運動する。
【0012】
周回運動部材が高速流体の流域の中心に接近すると、高速流体は周回運動部材の表面に沿って流れようとし、その結果、フィラメントは周回運動部材に引き寄せられる。一方、周回運動部材が高速流体の流域の中心から離れると、高速流体は周回運動部材の影響を受けず、本来の噴射方向に沿って流れる。この動作を繰り返すことによりフィラメントは一方向に振られながらコンベア上に捕集され、結果的にフィラメントが一方向に高度に配列されたウェブが得られる。
【0013】
フィラメントをより効果的に振らせるためには、2つの周回運動部材を、噴射部から噴射される高速流体の両側に対として互いに連結手段によって連結して配置し、連結部材を水平状態に保って、対の周回運動部材を周回運動させることが好ましい。
【0014】
周回運動部材は、噴射部から噴射される高速流体の流域に対面する表面を有するものであれば、円形、楕円形、またはティアドロップ形状の断面を有するシャフト状の部材であってもよいし、板状の部材であってもよい。特に、周回運動部材をシャフト状の部材とした場合、周回運動部材が高速流体の流域の中心に最も接近したときに高速流体の流域の中心に対する最短距離が定まる部分よりも上側の部分を周回運動部材の長手方向に沿って切り取った形状とすることで、周回運動部材を、その高速流体の流れの向きを変動させるのに寄与する領域が紡糸手段により接近させて配置することができる。
【0015】
本発明において、フィラメントの配列方向や延伸方向等を説明する場合に用いる「縦方向」とは、ウェブまたは不織布を製造する際の機械方向すなわちウェブまたは不織布の送り方向を意味し、「横方向」とは、縦方向と直角な方向すなわちウェブまたは不織布の幅方向を意味する。
【0016】
本発明において「高速流体」とは、10m/sec以上、好ましくは20m/sec以上、最も好ましくは30m/sec以上の流速を有する流体を意味する。また、「流体」は、通常は空気を意味するが、酸化を防止するために窒素ガスを使用したり、水分蒸発を防ぐためなどに水蒸気を使用したりする場合も含む。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態である、メルトブロー法によるウェブの製造装置の概略正面図である。図1に示す装置は、フィラメント4が縦方向に配列されたウェブ8を製造するものであり、フィラメント4を紡糸するメルトブローダイス3と、紡糸されたフィラメント4を捕集し搬送するコンベア1と、メルトブローダイス3から紡糸されたフィラメント4を縦方向(コンベア1による搬送方向と平行な方向)に周期的に振らせるための気流振動機構10とを有する。なお、図1において、メルトブローダイス3は内部構造が分かるように断面で示している。
【0019】
メルトブローダイス3は、その先端(下端)に、コンベア1の幅方向と平行な方向に並列に配列された多数のノズル2を有する。ギアポンプ(不図示)から送られてきた溶融樹脂がそれぞれノズル2から下向きに押し出されることで、コンベア1の幅方向に多数のフィラメント4が形成される。メルトブローダイス3のノズル2の両側、詳しく言えば、各ノズル2の中心線を通る平面に垂直な方向についてノズル2の両側には、それぞれメルトブローダイス3の幅方向(コンベア1の幅方向)に沿って設けられ、メルトブローダイス3の先端のノズル2に隣接する位置に開口するスリット6a,6bが形成されている。各スリット6a,6bはそれぞれメルトブローダイス3の内部に設けられたエア供給路5a,5bに連通している。エア供給路5a,5bには、フィラメント4の原料となる樹脂の融点以上に加熱された高圧エアが送入され、エア供給路5a,5bに送入された高圧エアは、スリット6a,6bから熱風(高速流体)としてフィラメント4に向けて噴出される。スリット6a,6bから噴出した熱風は、ノズル2の下方で合流してノズル2の中心線に沿って流れ、熱風の流域の中心はノズル2の中心線とほぼ一致する。
【0020】
スリット6a,6bから噴出された熱風により、ノズル2から押し出されたフィラメント4は溶融状態に維持され、熱風との摩擦力によりフィラメント4に張力が与えられ、フィラメント4が細化される。上記のメルトブローダイス3の構造は、通常のメルトブロー法に用いられるダイスと同様である。熱風の温度は、フィラメント4の紡糸温度よりも80℃以上、望ましくは120℃以上高くする。
【0021】
メルトブローダイス3を用いてフィラメント4を紡糸する方法では、熱風の温度を高くすることにより、ノズル2から押し出された直後のフィラメント4の温度をフィラメント4の融点よりも十分に高くすることができるため、フィラメント4の結晶化度を小さくすることができる。
【0022】
コンベア1は、メルトブローダイス3の下方に配置される。コンベア1は、不図示の駆動源により回転されるコンベアローラ1aやその他のローラに掛け回されている。これらのローラの回転によりコンベア1を駆動することで、ノズル2から押し出されたフィラメント4がコンベア1上に捕集されて得られるウェブ8は、図1において左側から右側へ搬送される。
【0023】
気流振動機構10は、メルトブローダイス3の下方にメルトブローダイス3の幅方向すなわちノズル2の配列の長手方向と平行に配置された、楕円形断面を有するシャフト状の一対の円運動部材11a,11bを有する。この気流振動機構10について、図1および図2を参照して詳細に説明する。
【0024】
円運動部材11a,11bは、メルトブローダイス3から紡糸されたフィラメント4が間を通過するように、コンベア1による搬送方向すなわち縦方向に互いに間隔をあけて対向配置され、両端において連結部材12によって互いに固定されている。本実施形態では、円運動部材11a,11bは、断面における長軸の向きがノズル2の中心線と平行になるような姿勢で連結部材12に固定されている。連結部材12の両端部はそれぞれ、アーム13を介して、このウェブ製造装置のフレーム部材(不図示)に固定された支柱14と連結されている。アーム13は、その一端部が、円運動部材11a,11bの長手方向と平行でかつ支柱14に回転自在に設けられた軸pに固定され、他端部が、連結部材12に設けられた、円運動部材11a,11bの長手方向と平行な軸qに回転自在に軸支されている。軸pは全部で4つあるが、そのうちの1つは、モータ(不図示)と、直接または歯車やベルトなどの回転伝達機構を介して連結されている。
【0025】
気流振動機構10は上述のように構成されているので、モータの駆動によりアーム13を回転させると、連結部材12は、コンベア1による搬送方向と平行な状態を保ったまま、軸qが円を描くように運動を行う。連結部材12の両端部にはそれぞれ円運動部材11a,11bが固定されているので、連結部材12がこのように運動することにより、円運動部材11a,11bは、その姿勢を変えることなく、図1中に二点鎖線で示した、軸qの軌道を通る円運動を行う。すなわち、円運動部材11a,11bは、一方がノズル2の中心線に接近するときには他方がノズル2の中心線から離れ、一方がノズル2の中心線から離れるときには他方がノズル2の中心線に接近するように、同じ位相で円運動を行う。円運動部材11a,11bの運動範囲は、円運動部材11a,11bがメルトブローダイス3と接触せず、かつ、ノズル2の中心線を横切らない範囲に設定される。なお、図1および図2では、円運動部材11a,11bの動作をわかり易くするために、円運動部材11a,11bの軌道を実際の軌道よりも大きく描いている。
【0026】
ここでは円運動部材11a,11bの駆動機構としてリンク機構を用いた例を示したが、円運動部材11a,11bを円運動させることのできる機構であれば任意の機構を用いることができる。また本実施形態では4つの軸pのうち一つを駆動した例を示したが、2つ以上の軸pにそれぞれモータを連結し、2つ以上の軸pを駆動する構成とすることもできる。この場合は、円運動部材11a,11bのねじれを防止するために、駆動される各軸pは回転速度が等しくなるように制御される。
【0027】
気流振動機構10は、メルトブローダイス3からフィラメント4を紡糸する際に駆動される。以下に、フィラメント4を紡糸中に気流振動機構10を駆動したときのフィラメント4の挙動について、図1を参照しつつ、図3(a)〜(d)を用いて説明する。なお、図3(a)〜(d)では、フィラメント4の挙動や熱風の流れをわかり易くするため、気流振動機構は円運動部材11a,11bのみを示している。また、同図では、ノズル2の中心線を一点鎖線で示すとともに、熱風の流れを破線の矢印、円運動部材11a,11bの中心の軌道を二点鎖線、周囲のエアの流れを白抜き矢印でそれぞれ示す。
【0028】
図3(a)に示す状態では、円運動部材11a,11bはその運動範囲の上昇端位置にあり、円運動部材11a,11bの周面もノズル2の中心線から離れている。従って、円運動部材11a,11bは、スリット6a,6bから噴出した熱風には何も影響を与えず、熱風は本来の噴射方向に沿って流れるので、フィラメント4はノズル2の中心線に沿って流れる。
【0029】
図3(a)に示す状態からアーム13(図1参照)を回転させると、円運動部材11a,11bはともに下降しながら右側へ移動する。そして、図3(a)に示す状態からアーム13が90°回転すると、図3(b)に示すように、円運動部材11a,11bはそれぞれの運動範囲の最も右側端に位置する。これによって、左側の円運動部材11aはノズル2の中心線に最も接近し、右側の円運動部材11bはノズル2の中心線からさらに離れる。ノズル2の直下では、左側の円運動部材11aがノズル2の中心線すなわちスリット6a,6bから噴出される熱風の流域の中心に接近することによってコアンダ効果が生じ、熱風の流れ方向が変化する。コアンダ効果とは、高速で流れる流体の流域中に壁面が存在するとき、その壁面が曲面であっても流体が壁面に沿って流れようとする、流体の性質をいう。
【0030】
熱風の流れ方向の変化についてより詳しく説明する。円運動部材11aは、断面が楕円形であり、しかもその長軸がノズル2の中心線と平行になる姿勢で配置されている。そのため、円運動部材11aの中心から下側では、ノズル2の中心線から円運動部材11aの周面までの距離は、熱風の流れ方向について下流に向かうにつれて徐々に大きくなる。従って、熱風は円運動部材11aの周面に沿って、ノズル2の中心線から離れる向きに流れ方向が変化し、それに伴って、フィラメント4は円運動部材11aに引き寄せられる。
【0031】
そして、さらにアーム13を回転させると、円運動部材11a,11bは左側への移動を開始する。アーム13が、図3(b)に示した状態から90°回転すると、図3(c)に示すように、円運動部材11a,11bは、その運動範囲の下降端位置に位置する。この位置では図3(a)と同様に、円運動部材11a,11bの周面はノズル2の中心線から離れており円運動部材11a,11bは熱風の流れに影響を及ぼさない。従って、熱風はノズル2の中心線に沿って流れ、フィラメント4も熱風の流れに沿って流れる。
【0032】
さらにアーム13を図3(c)に示した状態から90°回転させると、円運動部材11a,11bはその運動範囲の最も左側端に位置する。従って、図3(b)に示した場合と逆に、スリット6a,6bから噴出された熱風は、右側の円運動部材11bの周面に沿って、ノズル2の中心線から離れる向きに流れ方向が変化する。これにより、フィラメント4は右側の円運動部材11bに引き寄せられる。
【0033】
以上説明した円運動部材11a,11bの動作を繰り返し行うことで、図1に示すように、フィラメント4は、コンベア1による搬送方向すなわち縦方向に振られ、コンベア1上で折り畳まれて捕集される。従って、コンベア1上でのフィラメント4の縦方向への配列性を向上させ、かつ、コンベア1上でのフィラメント4の振れ幅Sを大きくすることができる。フィラメント4の縦方向への配列性を向上させることは、ウェブ8の縦方向の強度を向上させるのに効果がある。
【0034】
このように、フィラメント4の配列性の向上を、円運動部材11a,11bの円運動で実現することができ、円運動部材11a,11bを回転させる必要はない。従って、円運動部材11a,11bをメルトブローダイス3により接近させて配置しても、フィラメント4が円運動部材11a,11bに巻き付くことはない。熱風は、その流速が速ければ速いほど、円運動部材11a,11bに引き寄せられやすくなる。また、熱風の流速は、メルトブローダイス3から離れると急速に低下する。従って、円運動部材11a,11bをメルトブローダイス3に接近させて配置できるということは、熱風の流速の速い領域を有効に利用してフィラメント4の振れ幅Sをより大きくすることができるということを意味する。
【0035】
ところで、スリット6a,6bから熱風を噴出させると、熱風の周囲の気体も熱風に伴って流れる。この熱風の周囲の気体の流れを随伴流という。一般的なメルトブローダイス3では、噴出されている熱風の量に対して約10倍の量の随伴流を生じることが知られている。この随伴流を有効に利用することが、コアンダ効果を利用する上で非常に重要なポイントとなる。
【0036】
随伴流を有効に利用するため、本実施形態では、図3(a)〜(d)に示すように、メルトブローダイス3の下面に、各円運動部材11a,11bに対応する2つの凸部3a,3bを設けている。凸部3a,3bは、各円運動部材11a,11bがそれぞれノズル2の中心線に最も接近した状態での、円運動部材11a,11bの上方に対応する位置に設けられている。
【0037】
メルトブローダイス3と各円運動部材11a,11bとの間には隙間が存在しており、スリット6a,6bからの熱風の噴射に伴い、これらの隙間から各円運動部材11a,11bの間の領域内(熱風の流域中)への空気の流入が生じる。ここで、例えば図3(b)に示す状態では、左側の凸部3aの下方に左側の円運動部材11aが位置しており、左側の円運動部材11aとメルトブローダイス3との間の隙間は、右側の円運動部材11bとメルトブローダイス3との間の隙間よりも小さくなっている。このため、左右の隙間を比べると、右側の隙間の方から、より多くの空気が流入する。流入した空気は熱風の随伴流となり、左側の円運動部材11aの周面に沿う熱風の流れ、さらにはフィラメント4の流れを補助する。一方、例えば図3(d)に示す状態では、その逆に、左側の円運動部材11aとメルトブローダイス3との間の隙間からより多くの空気が流入し、これが随伴流となって、右側の円運動部材11bの周面に沿う熱風の流れ、さらにはフィラメント4の流れを補助する。
【0038】
このように、メルトブローダイス3の下面に突起構造を設けることによって、円運動部材11a,11bとメルトブローダイス3との間の隙間から熱風の流域中に流れ込む空気を制御し、一方の円運動部材11a(11b)側にフィラメント4が引き寄せられる状態のときに、他方の円運動部材11b(11a)の上方から空気を流入させ易くすることで、コアンダ効果をより効果的に発揮させ、フィラメント4の配列性をより向上させるとともに、フィラメント4の振れ幅Sをより大きくすることができる。
【0039】
なお、図3に示した例では、円運動部材11a,11bが最もノズル2の中心線に接近したときの位置に対応する位置にそれぞれ凸部3a,3bを設けた例を示した。しかし、凸部3a,3bの位置は図3に示した位置に限られるものではなく、この位置よりもノズル2側にずれた位置であっても、上述したのと同様の効果が得られる。さらには、ノズル2の下端部をメルトブローダイス3の下面から突出させて配置し、ノズル2自身を、メルトブローダイス3の下面の突起構造として利用しても同様の効果が得られる。つまり、メルトブローダイス3の下面の、円運動部材11a,11bがそれぞれノズル2に最も接近したときの位置の間の領域に突起構造を設けることで、メルトブローダイス3の下面と円運動部材11a,11bとの間の隙間から交互に空気を流入させ、それによって生じる随伴流の増大を利用して効果的にフィラメント4を振らせることができる。
【0040】
また、円運動部材11a,11bは、その運動によって、メルトブローダイス3の下面に接近したり離れたりといった動作を伴う。そこで、そのことを利用し、一方の円運動部材11a(11b)がノズル2の中心線に接近したとき、その円運動部材11a(11b)と比べて他方の円運動部材11b(11a)がメルトブローダイス3の下面からより離れた位置にあるように、各円運動部材11a,11bの周回速度を可変制御しても、上述した随伴流増大による効果を得ることができる。ただしこの場合は、各円運動部材11a,11bは互いの相対位置を変化できるように設ける必要がある。
【0041】
円運動部材11a,11bは、メルトブローダイス3にできるだけ接近して配置させるのが好ましいことは前述したとおりである。ここで、円運動部材11a,11bの周面がノズル2の中心線に最も接近したときの、ノズル2の中心線から円運動部材11a,11bまでの距離をL1、この距離L1が定まる位置でのメルトブローダイス3と円運動部材11a,11bとの距離をL2とする。このとき、L1は、30mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは15mm以下であり、最も好ましいのは10mm以下である。また、L2は、80mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50mm以下であり、最も好ましいのは40mm以下である。ただし、円運動部材11a,11bは、フィラメント4に衝突しない位置に配置され、かつ運動範囲を定める必要がある。また、各円運動部材11a,11bの運動中心はノズル2の中心線に対して対称である必要はないが、フィラメント4をバランス良く振らせるためには、各円運動部材11a,11bの運動中心をノズル2の中心線に対して対称となるように配置することが好ましい。
【0042】
フィラメント4の振れ幅は、熱風の流速や、円運動部材11a,11bの運動周期にも依存する。フィラメント4は、円運動部材11a,11bの運動周期が、熱風の持つ固有の振動数と一致したときに最も大きく振られる。フィラメント4を大きく振らせるためには、円運動部材11a,11bの運動周期は、紡糸条件によって異なるが、一般的な紡糸条件では、5〜30Hzの範囲にあることが好ましく、より好ましくは7〜20Hz、最も好ましくは10〜18Hzの範囲である。円運動部材11a,11bの運動周期が5Hz未満では、熱風の流速と比べて遅く、コンベア1上でフィラメント4の振れ幅を有効に大きくできないおそれがある。熱風の流速は、10m/sec以上、好ましくは15m/sec以上である。これ以下の速度では、フィラメント4を十分に振らせることができなくなるおそれがある。
【0043】
円運動部材11a,11bの長さは、メルトブローダイス3によって紡糸されるフィラメント群の幅すなわちノズル2の配列長さ以上であることが望ましく、好ましくは50mm以上、より好ましくは100mm以上長い。円運動部材11a,11bの長さがノズル2の配列長さよりも短いと、フィラメント群の幅方向端部においてフィラメント4が十分に配列されなくなるおそれがある。また、長さの短い円運動部材を直列に並べることは、円運動部材が互いに干渉したり、円運動部材間でフィラメントが十分に配列されなくなるおそれもあるので、適当ではない。
【0044】
図1ではフィラメント4が縦方向に配列されたウェブ8を製造するための装置を示したが、メルトブローダイス3および気流振動機構10の配置を変えることによって、フィラメント4が横方向に配列されたウェブ8を製造することもできる。図4に、フィラメントが横方向に配列されたウェブの製造装置の一例を示す。図4において、(a)は正面図、(b)は側面図であり、それぞれ気流振動機構は円運動部材のみを示している。また、図4ではメルトブローダイスおよび円運動部材の配置が図1と異なるだけであるので、図1と同様の構成については図1と同じ符号を付している。
【0045】
図4に示すように、フィラメント4を横方向に配列させるためには、メルトブローダイス3を、そのノズル2の配列の長手方向がコンベア1によるウェブ8の搬送方向と平行になるように配置するとともに、円運動動部材11a,11bも、メルトブローダイス3と平行になるように、ノズル2から押し出されたフィラメント4を間において対向配置する。各円運動部材11a,11bは、図3を用いて説明したのと同様に、二点鎖線で示した軌道を描いて円運動する。これにより、ノズル2から押し出されたフィラメント4は横方向に振られながらコンベア1上に捕集され、横方向へのフィラメント4の配列性が向上したウェブ8を得ることができる。
【0046】
図1に示した配置では、ウェブ8の幅はノズル2の配列の長手方向の長さに依存するが、図4に示した配置では、ウェブ8の幅はフィラメント4の振れ幅Sに依存する。したがって、図4に示した配置では、フィラメント4の振れ幅Sを適宜設定することによって、ウェブ8の幅を自由に変更することができる。つまり、フィラメント4の振れ幅Sをより大きくすることによって、より幅広のウェブ8を製造することができる。
【0047】
通常のメルトブロー紡糸では、フィラメントは熱風とともにコンベアに直線的に衝突するので、コンベアに到達するまでの時間すなわち冷却時間が短い。また、ノズルとコンベアとの距離を大きくし過ぎると、ウェブの地合(坪量の部分的な均一性)が悪くなる。従って、通常のメルトブロー紡糸では、ノズルとコンベアとの距離は300mm前後とされている。これに対し本発明によれば、フィラメント4の振れ幅Sが大きくなるので、フィラメント4がコンベア1に到達するまでの時間が長くなり、メルトブローダイス3とコンベア1との距離を大きくしなくてもフィラメント4を良好に冷却することができる。また、理由は必ずしも明確ではないが、ウェブ8の地合もむしろ良好になることが実験の結果明らかになった。
【0048】
以上、本発明について、代表的な幾つかの例を挙げて説明した。以下に、本発明に適用可能なフィラメント、紡糸手段、周回運動部材の形態、および他の付加的な構成要素の例について説明する。
【0049】
〈フィラメント〉
本発明に用いられるフィラメントに適合するポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン、フッ素系樹脂などの熱可塑性樹脂およびこれらの変性樹脂を用いることができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂などの、湿式または乾式の紡糸装置による樹脂も使用することができる。
【0050】
本発明におけるフィラメントは長繊維フィラメントである。一般的には、長繊維フィラメントとは平均長が100mmを超えるものをいい、本発明のように連続的に紡糸されたフィラメントは長繊維フィラメントに含まれる。また、紡糸直後のフィラメントの直径が50μm以上ではフィラメントが剛直で交絡が不十分になる。そこで本発明に用いられるフィラメントの直径は、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下である。特に強度の強いウェブを望む場合は、ウェブの紡糸後、ウェブをフィラメントの配列方向に延伸するのが望ましい。その場合の延伸後のフィラメントの直径は5μm以上15μm以下であることが望ましい。フィラメントの直径及び長さは、拡大顕微鏡写真より測定し、長さについては30本の平均値、直径については100本の平均値で示す。
【0051】
〈紡糸手段〉
フィラメントの紡糸手段として、広義のスパンボンド法であるメルトブロー法によるものについて説明したが、以下に、狭義のスパンボンド法を用いた例について説明する。
【0052】
図5は、狭義のスパンボンド法を用いたウェブ製造装置を正面から見た概略断面図である。通常のスパンボンド紡糸では、コンベア41の幅方向に並列に配列された多数の紡糸孔を有するスパンボンドダイス43から紡糸された多数のフィラメント44は、エジェクタ45でエア46により吸引され、エジェクタ45のノズル45aにより加速されたエア46である高速気流に伴われてコンベア41の上に捕集される。コンベア41は、コンベアローラ(不図示)によって駆動され、フィラメント44を図面の左側から右側へ搬送する。
【0053】
エジェクタ45の直下には、一対の円運動部材51a,51bが、ノズル45aからエア46とともに放出されたフィラメント44を間において対向配置されている。円運動部材51a,51bは、図1に示したものと同様のものであり、その駆動機構については省略しているが、図1と同様に、二点鎖線で描いた軌道を描いて円運動することにより、エア46の向きをコンベア41の搬送方向に周期的に変動させ、フィラメント44を交互に引き寄せる。これにより、フィラメント44は縦方向に折り畳まれてコンベア41上に捕集され、フィラメント44が縦方向に配列されたウェブ48が得られる。
【0054】
また、前述したメルトブロー法の場合と同様に、スパンボンドダイス43および円運動部材51a,51bをコンベア41によるウェブ48の搬送方向と平行に配置することで、フィラメント44が横方向に配列されたウェブ48を製造することができる。
【0055】
フィラメントの紡糸法が狭義のスパンボンド法やフラッシュ紡糸法である場合は、フィラメントの結晶化が既になされている場合もあるが、このような場合であっても、気流振動機構を用いることにより、フィラメントの配列を飛躍的に向上させることが可能であり、フィラメントの配列方向に強いウェブを得ることができる。
【0056】
また、一般的な紡糸手段は複数のノズルを有しているが、このノズルの配列について本発明では何ら限定されるものではない。例えば図1に示したメルトブローダイス3では、図6(a)に示すように、複数のノズル2が1列に配列されている。一方、スパンボンドダイスでは、一般にノズルが複数列となっている。スパンボンドダイスにおけるノズルの配列パターンには種々のパターンがある。例えば、図6(b)に示すスパンボンドダイス23では、各列のノズル22の位置をノズル22の配列の長手方向に半ピッチずらして配列している。また、図6(c)に示すスパンボンドダイス33では、それぞれ複数のノズル32aが形成されたノズルユニット32を、複数列に、かつ、各列のノズルユニット32の位置をノズルユニット32の配列の長手方向に半ピッチずらして配列している。図6(a)〜(c)の何れの場合でも、ノズルの配列の長手方向は、図面の左右方向である。
【0057】
〈周回運動部材〉
上述した例では、周回運動部材として楕円形断面を有するシャフト状の円運動部材を示したが、本発明に適用可能な周回運動部材の形状はそれに限られるものではなく、周回運動部材の表面の少なくとも高速流体に対面する領域およびそれに続く下側の領域が、高速流体に向かって滑らかに凸となっている形状であれば、任意の形状を採用することができる。以下に、周回運動部材の形状について、周回運動部材が円軌道上を周回する円運動部材である場合の幾つかの例を図7〜10に示す。なお、図7〜10では、円運動部材がその運動範囲の上昇端位置にある状態を示している。
【0058】
図7には、円形断面を有するシャフト状の円運動部材61a,61bを示す。このような円運動部材11a,11bは作製が容易である。
【0059】
図8には、ティアドロップ形状の断面を有するシャフト状の円運動部材71a,71bを示す。この円運動部材71a,71bは、エッジ部72a,72bを上すなわち紡糸ダイス70側に向け、かつ、紡糸ダイス70のノズルの中心線(一点鎖線で示す)から円運動部材71a,71bの周面までの距離が、全体として、熱風の流れ方向について下流に向かうにつれて徐々に大きくなるように傾けて配置される。これにより、断面が円形や楕円形の場合に比べて、コアンダ効果を利用した円運動部材71a,71bへのフィラメントの引き寄せを有効に機能させることができる。この考えに基づけば、断面が楕円形の水平移動部材の場合も、図8に示したのと同様に、下方に向かって末広がりになるように傾けて配置することにより、フィラメントの引き寄せを有効に機能させることができる。
【0060】
図9に示す円運動部材81a,81bは、断面が楕円形のシャフトを、その上部(紡糸ダイス80側の端部)で円運動部材81a,81bの長手方向に沿って切り取った形状を有している。断面が楕円形の円運動部材の場合、図1に示す距離L1が定まる位置よりも上側の部分は、高速流体の流れ方向を変化させるのに寄与しない。従って、この部分を切り取った形状とすることで、図1に示す距離L1が定まる位置をより紡糸ダイス80に接近させて円運動部材81a,81bを配置することができる。このことは、図には示さないが、断面が円形やティアドロップ形状の場合でも同様である。
【0061】
図10には、シャフト状ではなくプレート状の円運動部材91a,91bを示す。円運動部材が高速流体の流れ方向を変化させるのに寄与するのは、実際には、円運動部材の、高速流体の流域に向き合う面であり、それ以外の面は任意の形状であっても高速流体の流れには何ら影響を及ぼさない。そこで図9に示すように円運動部材91a,91bをプレート状とすることで、円運動部材91a,91bの軽量化が図られる。軽量の円運動部材91a,91bとすることで、円運動部材91a,91bを小さな力で動かすことができるので、円運動部材91a,91bの駆動源も小型のものを使用できる。なお、シャフト状の円運動部材であっても、中実ではなく中空の円運動部材とすることで軽量化を図ることができる。
【0062】
また、本発明において、周回運動部材が周回する軌道は、同じ軌跡を通らずに1周期で元の位置に戻る軌道であれば円軌道に限られるものではない。ただし、三角や四角など、コーナー部を含む軌道は、周回運動部材の滑らかな周回運動が困難になり結果的にフィラメントを振らせる効果が不安定となるので、周回運動部材の周回軌道は曲線軌道であることが必要である。円軌道以外の曲線軌道の代表的な例としては楕円軌道が挙げられる。
【0063】
図11に、周回運動部材を楕円運動させる場合の、周回運動部材の駆動機構の一例を示す。図11において、ガイド板101には、互いに交差する2本の溝101a,101bが形成されている。各溝101a,101bにはそれぞれスライダ102,103が摺動自在に嵌め込まれている。スライダ102,103にはそれぞれピン104,105が設けられ、これらピン104,105に、スライダ102,103を連結するように、1本のアーム107が揺動自在に支持されている。そして、アーム107の先端部には、周回運動部材110が回転可能に支持される。このような構成により、いずれか一方または双方のスライダ102,103を不図示の駆動源により溝101a,101bに沿って往復移動させると、アーム107が回転し、周回運動部材110は二点鎖線で示す楕円軌道上を周回運動する。周回運動部材110の形状は、上述したように、楕円形断面を有するものの他、表面の少なくとも高速流体に対面する領域およびそれに続く下側の領域が、高速流体に向かって滑らかに凸となっている形状であれば、任意の形状を採用することができる。
【0064】
本発明において、周回運動部材は対をなすものである必要はなく、1つであってもよい。ただし、周回運動部材が1つだけの場合はフィラメントの振れ幅も小さくなるので、周回運動部材を1つにするか1対にするかは、目的とするウェブを得るのに必要なフィラメントの振れ幅に応じて選択する。1対の周回運動部材を用いた場合、各周回運動部材によってフィラメントを交互に引き寄せることができれば、周回運動部材の位相は同じである必要はないし、また、周回運動の方向が同じである必要もない。
【0065】
〈付加的な構成要素〉
得られたウェブは、そのままでも使用可能であるが、さらに、フィラメントの配列方向に延伸することにより、フィラメントの配列性をより向上させることができる。したがって、フィラメントの配列方向にウェブを延伸する延伸装置を付加することが好ましい。このとき、フィラメントの配列性が良いものほど、ウェブの延伸時にフィラメントが実質的に延伸される確率が高くなり、最終延伸ウェブの強度も大きくなる。フィラメントの配列が悪いと、ウェブを延伸してもフィラメントの折り畳み構造やフィラメントの間隔が広がるだけでフィラメントが実質的に延伸される確率が低くなり、延伸後の十分な強度が得られなくなる。また、ウェブの段階でフィラメントを高度に一方向に配列させることで、延伸時のフィラメントの切れを防止することができる。
【0066】
フィラメントが縦方向に配列されたウェブは縦方向に延伸される。ウェブの縦方向への延伸には、1段で全延伸する場合もあるが、主に多段延伸法が用いられている。多段延伸法においては、1段目の延伸は紡糸直後の予備延伸として行われ、さらにその後に延伸する2段目以降の延伸が主延伸として行われている。その中でも特に、多段延伸の1段目の延伸に近接延伸法を用いることが好ましい。
【0067】
近接延伸とは、隣接する2組のロールの表面速度の差によりウェブを延伸する方式において、短い延伸間距離(延伸の開始点から終点までの距離)を保って延伸を行うものであり、延伸間距離が100mm以下であることが望ましい。特に、フィラメントが全体として縦方向に配列していても個々にはある程度屈曲している場合には、できるだけ延伸間距離を短く保つことが、個々のフィラメントを有効に延伸する上で重要である。近接延伸における熱は、通常は延伸するロールを加熱することにより与えられ、その延伸点が熱風や赤外線により補助的に加熱される。また、近接延伸の際の熱源としては、温水や蒸気等も使用することができる。
【0068】
一方、多段延伸においては、2段目以降の延伸には近接延伸ばかりでなく、通常のウェブの延伸に用いられる種々の手段を適用することができる。例えば、ロール延伸、温水延伸、蒸気延伸、熱盤延伸、ロール圧延等の延伸方式である。近接延伸が必ずしも必要ないのは、1段目の延伸で既に個々のフィラメントが縦方向に長くわたっているためである。
【0069】
一方、フィラメントが横方向に配列されたウェブは横方向に延伸される。ウェブを横方向に延伸する手段としては、例えば、フィルムの2軸延伸に用いられているテンター式の横延伸装置や、特公平3−36948号公報に記載されるプーリ式の横延伸装置や、周方向に沿った溝がそれぞれ形成された2つの溝付きローラでウェブを挟むことによりウェブを横方向に延伸する溝ローラ式の横延伸装置を用いることができる。それらの延伸装置のうち、プーリ式の横延伸装置は、安価で簡便な方法であり、しかも延伸倍率を自由に変化させることができ高倍率延伸も可能であるので、本発明に用いられる横延伸装置として最も適している。
【0070】
なお、延伸後のウェブの幅を非常に大きくしたい場合には、通常の延伸温度での横延伸の前に、通常の延伸温度よりも高い温度(ポリエステルの場合は5〜10℃高い温度、ポリプロピレンの場合は20〜30℃高い温度)で予備延伸を行う方法が有効である。その場合の横延伸装置としては上述の延伸装置を使用することができる。
【0071】
ウェブの延伸において、延伸前のウェブに軽くエンボス処理を施し、その後に延伸することにより、延伸倍率を高くすることができ、延伸後の強度も向上し、また、延伸切れ等のトラブルも少ない安定した延伸を行うことができる。この場合のエンボスパターンは、延伸方向と直角な方向に方向性を持つパターンであることが望ましい。エンボス温度は、延伸温度+5℃よりも低い温度とするのが好ましい。エンボス圧力は、高すぎるとウェブのフィラメントを損傷し延伸切れの原因となるので、線圧で3N/cm〜50N/cmの範囲が好ましく、より好ましくは8N/cm〜30N/cmの範囲、最も好ましくは10N/cm〜25N/cmの範囲である。なお、エンボスローラの場合、ウェブはその全幅が一様にエンボスローラで加圧されるわけではなく、エンボス圧力はエンボス箇所の一点一点にかかるわけではない。しかし、ここで実施されるエンボスではエンボス圧力は十分に小さい圧力でよく厳密に計算する必要はないので、ここではエンボス圧力を、通常の線圧と同様に、
線圧(N/cm)=押下力(N)/エンボスローラ幅(cm)
で定義している。
【0072】
ウェブの延伸倍率は、ウェブを構成するフィラメントのポリマーの種類やウェブの紡糸手段、目的とする縦方向及び横方向の強度や伸度等によって異なる。しかし、いずれの種類や手段を用いるにしろ、本発明の目的であるウェブの高配列性、高強度を達成できる延伸倍率が選択される。
【0073】
その延伸倍率は、延伸前のウェブに延伸方向に一定の間隔で入れたマークにより以下の式で定義される。
延伸倍率=[延伸後のマーク間の長さ]/[延伸前のマーク間の長さ]
ここでいう延伸倍率は、通常の長繊維フィラメントヤーンを延伸する場合のように、必ずしもフィラメント1本1本の延伸倍率を意味しない。
【0074】
ウェブは、前述したように、フィラメントの配列方向に延伸することにより、フィラメントの配列性をさらに向上させることができる。しかし、フィラメントの結晶化度が大きい場合は、フィラメントに伸度がなく、延伸張力が高くなるので、高倍率の後延伸が困難になる場合もある。高倍率の後延伸を望む場合は、ノズル直下でフィラメントを冷却することによりフィラメントの結晶化度を小さくするのが有効である。その手段として最も有効なのが、紡糸装置とコンベアとの間に、高速気流中へ霧状の水を噴霧するスプレーノズル(不図示)を設け、高速気流に霧状の液体を含ませることである。
【0075】
その霧状の液体に、いわゆる紡糸・延伸用油剤と称する延伸性や静電除去等の性質を付与することができる油剤を添加することも、その後の延伸性を向上させるとともに、毛羽も少なくすることができ、さらに延伸後の強度及び伸度も向上させることができるという点で有効である。なお、スプレーノズルから噴射される流体は、フィラメントを冷却することができるものであれば必ずしも水分等を含む必要はなく、冷エアーであってもよい。
【0076】
本発明により得られるウェブは、引張強度および寸法安定性に優れており、一方向に強度を要する不織布や直交不織布の原料ウェブとして使用することができる。また、本発明によるウェブは、一方向の強度が要求されるウェブとしてそのまま使用できる他、紙、不織布、布、フィルム等の横方向の強度の補強用として、これらと積層して用いることもできる。また、本発明によるウェブを延伸したものは光沢が良く、その光沢を活かした包装材料等に用いることができる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、紡糸手段の下方に周回運動部材を配置し、これを、高速流体の流域の中心を横切ることなく高速流体の流域の中心に対して接近したり離れたりするように、ノズルの配列の流れ方向に平行な軸線を中心として周回運動させることによって、フィラメントを一方向に良好に振らせることができる。また、周回運動部材自身は回転せずその姿勢を維持したまま周回運動するので、周回運動部材を紡糸手段および高速流体の流域の近傍に配置してもフィラメントの絡み付きを防止することができる。さらに、周回運動部材の周回運動によって周回運動部材と紡糸手段との間から高速流体の流域中へエアを流入させる構成とすることで、周回運動部材による効果をより効果的に発揮させることができる。
【0078】
本発明によれば、フィラメントの振れ幅を大きくすることができるが、それにより、フィラメントの振れ方向がウェブの縦方向である場合にはウェブの延伸性を向上させることができ、フィラメントの振れ方向がウェブの横方向である場合には幅広のウェブを製造することができる。また、フィラメントの振れ幅を大きくすることによりフィラメントの配列性を向上させることができる。その結果、特に、得られたウェブを延伸した際の、フィラメントの配列方向についてのウェブの強度および寸法安定性を向上させることができる。また、本発明で得られたウェブを延伸すると、フィラメントがファインデニールとなるので、延伸後のウェブは、柔軟性が増し感触が良くなるとともに、地合いも良好になり、さらに光沢も増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィラメントが縦方向に配列されたウェブを製造するための、本発明の一実施形態によるウェブ製造装置の正面図である。
【図2】図1に示す桐生振動機構の斜視図である。
【図3】図1に示す円運動部材の動作およびフィラメントの挙動を説明する図である。
【図4】フィラメントが横方向に配列されたウェブを製造するための、本発明の他の実施形態によるウェブ製造装置の図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図を示す。
【図5】本発明を適用した、狭義のスパンボンド法を用いたウェブ製造装置の構成を示す図である。
【図6】ノズル配列の幾つかの例を示す、紡糸手段の底面図である。
【図7】断面が円形の円運動部材を示す図である。
【図8】断面がティアドロップ形状の円運動部材を示す図である。
【図9】上部を切り取った円運動部材を示す図である。
【図10】プレート状の円運動部材を示す図である。
【図11】本発明に用いられる周回運動部材を楕円運動させる場合の駆動機構の一例を示す図である。
【符号の説明】
1,41 コンベア
2,22,32a,45a ノズル
3 メルトブローダイス
4,44 フィラメント
5a,5b エア供給路
6a,6b スリット
8,48 ウェブ
10 気流振動機構
11a,11b,51a,51b,61a,61b,71a,71b,81a,81b,91a,91b 円運動部材
12 連結部材
13 アーム
32 ノズルユニット
23,33,43 スパンボンドダイス
45 エジェクタ
70,80 紡糸ダイス
Claims (9)
- 溶融ポリマーをフィラメントとして押し出す、並列に配列された複数のノズル、および押し出されたフィラメントを細化するための高速流体を噴射する噴射部を備えた紡糸手段と、前記ノズルから押し出されたフィラメントを捕集し搬送するコンベアと、前記紡糸手段の下方に配置され、前記噴射部から噴射された高速流体の流域に対面する表面を有する周回運動部材とを用いた、フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法であって、
前記噴射部から高速流体を噴射すると同時に、前記ノズルからフィラメントを押し出す工程と、
前記周回運動部材を、その姿勢を維持したまま、前記高速流体の流域の中心を横切ることなく前記高速流体の流域の中心に対して接近したり離れたりするように、前記ノズルの配列の長手方向に平行な軸線を中心として周回運動させ、前記高速流体の流れの向きを周期的に変動させる工程と、
流れの向きが周期的に変動する前記高速流体に随伴するフィラメントをコンベア上に捕集する工程とを有する、ウェブの製造方法。 - 2つの前記周回運動部材が、前記噴射部から噴射される高速流体の両側に対として、連結部材によって互いに連結して配置され、
前記周回運動部材を周回運動させる工程は、前記連結部材を水平状態に保って前記対の周回運動部材を円運動させることを含む、請求項1に記載のウェブの製造方法。 - 前記周回運動部材を周回運動させる工程は、一方の前記周回運動部材が他方の前記周回運動部材と比べて前記高速流体の流域の中心に接近したとき、他方の前記周回運動部材と前記紡糸手段との隙間が一方の前記周回運動部材と前記紡糸手段との隙間よりも大きくなり、隙間の小さい方と比べて隙間の大きい方から、前記高速流体の流域中に流入する、より大きな空気の流れを生じさせることを含む、請求項2に記載のウェブの製造方法。
- フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造装置であって、
溶融ポリマーをフィラメントとして押し出す、並列に配列された複数のノズル、および押し出されたフィラメントを細化するための高速流体を噴射する噴射部を備えた紡糸手段と、
前記ノズルから押し出されたフィラメントを捕集し搬送するコンベアと、
前記高速流体の流域に対面する表面を持つ周回運動部材であって、前記紡糸手段の下方に配置され、姿勢を維持したまま、前記高速流体の流域の中心を横切ることなく前記高速流体の流域の中心に対して接近したり離れたりするように、前記ノズルの配列の長手方向に平行な軸線を中心として周回運動する周回運動部材とを有する、ウェブの製造装置。 - 2つの前記周回運動部材が、連結手段によって、前記噴射部から噴射される高速流体の両側に対として互いに連結して配置され、前記対の周回運動部材は、前記連結手段を水平状態に保って円運動する、請求項4に記載のウェブの製造装置。
- 前記紡糸手段は、その下面の、2つの前記周回運動部材がそれぞれ前記高速流体の流域の中心に最も接近したときの位置の間の領域に突起構造を有する、請求項5に記載のウェブの製造装置。
- 前記周回運動部材は、円形、楕円形、またはティアドロップ形状の断面を有するシャフト状の部材である、請求項4ないし6のいずれか1項に記載のウェブの製造装置。
- 前記周回運動部材は、前記周回運動部材が前記高速流体の流域の中心に最も接近したときに前記高速流体の流域の中心に対する最短距離が定まる部分よりも上側の部分を前記周回運動部材の長手方向に沿って切り取った形状とされている、請求項7に記載のウェブの製造装置。
- 前記周回運動部材は板状の部材である、請求項4ないし6のいずれか1項に記載のウェブの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002243352A JP3962656B2 (ja) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002243352A JP3962656B2 (ja) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004084085A JP2004084085A (ja) | 2004-03-18 |
JP3962656B2 true JP3962656B2 (ja) | 2007-08-22 |
Family
ID=32052132
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002243352A Expired - Lifetime JP3962656B2 (ja) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3962656B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102764593B (zh) * | 2012-08-20 | 2015-02-11 | 厦门绿邦膜技术有限公司 | 一种中空纤维膜生产装置及中空纤维膜制备方法 |
JP6574897B2 (ja) * | 2016-04-01 | 2019-09-11 | 株式会社エアウィーヴ | フィラメント3次元結合体製造装置およびフィラメント3次元結合体の製造方法 |
-
2002
- 2002-08-23 JP JP2002243352A patent/JP3962656B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004084085A (ja) | 2004-03-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4399095B2 (ja) | 縦配列不織布の製造装置および縦延伸不織布の製造装置 | |
US6511625B1 (en) | Transversely stretched nonwoven fabric with high tensile strength stretched seven times wider or more in transverse direction | |
US20040166756A1 (en) | Composite sheet having elasticity, elastic web made from thermoplastic elastomer, and method and apparatus of manufacturing the same | |
JP2002155460A (ja) | 伸縮性複合シートおよびその製造方法 | |
JPH108369A (ja) | カサ高性不織布およびその製造方法 | |
JP4495871B2 (ja) | 横配列ウェブの製造方法および装置 | |
JP2005517818A (ja) | 伸縮性多成分スパンボンドウェブおよび製造方法 | |
JP3962656B2 (ja) | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 | |
JP6694241B2 (ja) | 伸縮性長繊維不織布 | |
JP3962655B2 (ja) | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 | |
JP3999604B2 (ja) | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 | |
JP2004084083A (ja) | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 | |
JP6716380B2 (ja) | 長繊維不織布 | |
JP3930355B2 (ja) | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 | |
JP2003286650A (ja) | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 | |
JP2006296463A (ja) | カーテン用基布およびカーテン | |
JP2003286649A (ja) | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 | |
JP2004044013A (ja) | フィラメント振動装置 | |
JP2004044012A (ja) | フィラメント振動装置 | |
JP2004084101A (ja) | フィラメント配列ウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 | |
JP2003286653A (ja) | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 | |
JP2003278070A (ja) | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 | |
JP2003301363A (ja) | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 | |
JP2001009947A (ja) | 伸縮性を有する複合シート及び該複合シートの製造方法 | |
JP2003286652A (ja) | フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造方法および該ウェブの製造装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050822 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20050822 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20061020 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20061117 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070423 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070425 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070521 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3962656 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110525 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110525 Year of fee payment: 4 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110525 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120525 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130525 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140525 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |