JP2004044013A - フィラメント振動装置 - Google Patents

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Yukihiro Noguchi
野口 幸廣
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Abstract

【課題】紡糸ダイスから噴出される高速気流を有効に利用してフィラメントを効率良く振動させる。
【解決手段】ウェブの製造装置は、溶融ポリマーをフィラメント4として押し出す多数のノズル2が配列されるとともに、フィラメント4を案内するための熱風を噴射するスリット6a,6bが設けられたメルトブローダイス3と、ノズル2から押し出されたフィラメント4を捕集して搬送するコンベア1と、メルトブローダイス3の下面に取り付けられ、流路部11a,11bおよびその開口端面に連続して下向きに延びる壁部12a,12bが、ノズル2を間において対向配置された構造部材とを有する。流路部11a,11bには、流路部11a,11bを開閉するバルブ13a,13bを介して正圧源14a,14bが接続されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィラメントが一方向に配列されたウェブの製造などに用いられるフィラメント振動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
不織布の製法としては、ポリマーから紡糸したフィラメント群からウェブを形成し直ちにフィラメント間が接合される、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法(以下、これらの製法を広義のスパンボンド法と呼び、また、これらの製法によって製造された不織布を広義のスパンボンド不織布と呼ぶ)がある。広義のスパンボンド不織布は、経済性および量産性に優れることから、不織布の主流をなしている。
【0003】
従来の広義のスパンボンド不織布はフィラメントがランダムな方向に配列されたランダム不織布であるため、強度が小さく、寸法安定性の無いものが多かった。そこで、フィラメントの配列性を向上させるための種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、フィラメントを縦方向に配列させる方法として、特公昭60−25541号公報には、フィラメントの射出方向に対してコンベアを傾斜させることによってフィラメントを高度に一方向に配列させる方法が記載されている。また、特開平7−3604号公報には、気流とともに噴出させたフィラメントを通気性のあるコンベア上に堆積させ、このコンベアの裏側に気流遮断手段を設けて気流の制御を行うことにより、フィラメントを縦方向に広げ、配列性を向上させる方法が記載されている。
【0005】
一方、フィラメントを横方向に配列させる方法としては、特公平3−36958号公報および特許第1992584号に、紡糸ノズルの周囲に、それぞれノズルの円周方向成分を持ってエアを噴射する複数のエアノズルを備え、それによって、フィラメントをスパイラル状に放出し、さらにその外周に、ウェブの搬送方向と平行な方向で互いに衝突するように配された2つのエアノズルを配し、これによって、スパイラル状に放出されたフィラメントを横方向に広げることで、フィラメントを横方向に配列させる方法が開示されている。また、特許第2612203号には、コンベアに工夫を施すことでフィラメントを横方向に配列させる方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年の不織布工業の発展により、不織布の適用範囲が急速に拡大しており、不織布には更なる強度および寸法安定性が要求されている。一般に、不織布の強度および寸法安定性を向上させるには、フィラメントを延伸するのが最も効果的である。フィラメントの延伸は、コンベア上にウェブとして堆積した状態でウェブをフィラメントの配列方向に延伸するのが簡易な方法である。しかし、ウェブの延伸前においてフィラメントが一方向に配列されていないと、ウェブを延伸してもフィラメントのランダム状態がほぐれて間隔が広がるだけでフィラメントが実質的に延伸される確率が低くなり、延伸後の十分な強度および寸法安定性が得られなくなる。従来の不織布の製造方法では、フィラメントを高度に配列させる程度が不十分であり、近年要求されているような高い強度および寸法安定性を有する不織布を製造するのは困難であった。つまり、更なる高い強度および寸法安定性を有する不織布を製造するには、ウェブに対しても更に高度にフィラメントが一方向に配列されていることが要求される。
【0007】
本出願人らは、フィラメントの配列性を向上させる方法として、断面が楕円形のロッド部材を広義のスパンボンド法による紡糸ダイスの近傍に配置し、ロッド部材を一方向に回転させることで紡糸ダイスから噴出される高速流体の流れの向きを周期的に変動させ、これによってフィラメントを周期的に振動させる方法を提案している(特開2001−140159号公報)。しかし、この方法ではロッド部材を一方向に回転させているため、ロッド部材を適切な位置に配置しないと、紡糸ダイスから放出されたフィラメントがロッド部材に絡み付いてしまうことがあった。フィラメントの絡み付きを防止するためにはロッド部材を紡糸ダイスからある程度離して配置すればよいが、紡糸ダイスから離れた位置では高速流体の流速が低下してしまい、フィラメントを振動させる程度が小さくなってしまう。また、フィラメントの絡み付きを防止するために、ロッド部材をフィラメントの流れから離して配置することも考えられるが、この場合もやはり、ロッド部材による高速流体の流れの向きを変動させる効果が低下してしまうので、フィラメントを振動させる程度が小さくなってしまう。
【0008】
そこで本発明は、紡糸ダイスから噴出される高速気流を有効に利用してフィラメントを効率良く振動させ、結果的にフィラメントをより高度に一方向に配列させることのできる、フィラメント振動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のフィラメント振動装置は、溶融ポリマーをフィラメントとして押し出す少なくとも1つのノズルから押し出されたフィラメントを案内するための高速流体を噴射する噴射部と、ノズルを間において対向配置されるとともに噴射部の外側に位置している開口端を有する2つの流路部と、2つの流路部の開口端面から延出し互いの距離が大きくなるように対向する内面を持つ2つの壁部とを基本的な構成として有している。
【0010】
そして、本発明の第1の態様によれば、フィラメント振動装置は、上記の基本構成に加え、さらに、2つの流路部に接続され流路部にエアを供給する正圧源と、2つの流路部を、正圧源に接続された状態、または正圧源に対して閉鎖された状態に、一方が正圧源に接続されているときには他方が正圧源に対して閉鎖されているように交互に切り替える切り替え手段とを有する。
【0011】
また、本発明の第2の態様によれば、フィラメント振動装置は、上記の基本構成に加え、さらに、2つの流路部に接続され流路部にエアを供給する正圧源および流路部からエアを吸引する負圧源と、2つの流路部を、正圧源に接続された状態、または負圧源に接続された状態に、一方が正圧源に接続されているときには他方が前記負圧源に接続されているように交互に切り替える切り替え手段とを有する。
【0012】
また、本発明の第3の態様によれば、フィラメント振動装置は、上記の基本構成に加え、さらに、2つの流路部に接続され流路部にエアを供給する正圧源と、2つの流路部を、正圧源に接続された状態、または大気に開放された状態に、一方が正圧源に接続されているときには他方が大気に開放されるように交互に切り替える切り替え手段とを有する。
【0013】
また、本発明の第4の態様によれば、フィラメント振動装置は、上記の基本構成に加え、さらに、2つの流路部を、大気に開放された状態、または閉鎖された状態に、一方が大気に開放されているときには他方が閉鎖されるように交互に切り替える切り替え手段を有する。
【0014】
また、本発明の第5の態様によれば、フィラメント振動装置は、上記の基本構成に加え、さらに、2つの流路部に接続され流路部からエアを吸引する負圧源と、2つの流路部を、負圧源に接続された状態、または大気に開放された状態に、一方が負圧源に接続されているときには他方が大気に開放されるように交互に切り替える切り替え手段とを有する。
【0015】
本発明によれば、ノズルから押し出されたフィラメントは、噴射部から噴射された高速流体により案内され、2つの流路部および2つの壁部の間を通過する。流路部は、正圧源および負圧源の少なくとも一方と接続されるか、または大気に開放されており、流路部の接続状態または開閉が、切り替え手段によって、各流路部で交互に切り替えられる。各流路部の間の空間には噴射部から噴出した高速流体が流れており、この高速流体の流れと各流路部の状態の切り替えとによって、2つの流路部の間の空間ではノズルから押し出されたフィラメントの両側で負圧が交互に発生し、スリットから噴出した高速流体は、壁部の内面に交互に付着する。これに伴って、フィラメントは各壁部に交互に引き寄せられ、結果的に、フィラメントは壁部の対向する方向に振動する。この振動しているフィラメントをコンベア上に捕集すれば、フィラメントが一方向に配列されたウェブが得られる。
【0016】
このように、本発明では、機械的な駆動機構を用いることなく高速流体の向きを制御し、フィラメントを振らせることができるので、装置構成は簡易なものとなり、しかもフィラメントが巻き付くといった事故も発生せず安定してウェブが製造される。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態である、メルトブロー法によるウェブの製造装置の概略正面図である。図1に示す装置は、フィラメント4が縦方向に配列されたウェブ8を製造するものであり、フィラメント4を紡糸するメルトブローダイス3と、紡糸されたフィラメント4を捕集し搬送するコンベア1と、メルトブローダイス3から紡糸されたフィラメント4を縦方向(コンベア1による搬送方向と平行な方向)に周期的に振らせるためのフィラメント振動装置10とを有する。なお、図1において、メルトブローダイス3およびフィラメント振動装置10は内部構造が分かるように断面で示している。また、「縦方向」とは、ウェブ8などを製造する際の機械方向すなわちウェブ8などの送り方向を意味し、「横方向」とは、縦方向と直角な方向すなわちウェブ8などの幅方向を意味する。これは以下の説明においても同様である。
【0019】
メルトブローダイス3は、その先端(下端)に、コンベア1の幅方向と平行な方向に並列に配列された、噴射部としての多数のノズル2を有する。ギアポンプ(不図示)から送られてきた溶融樹脂がそれぞれノズル2から下向きに押し出されることで、コンベア1の幅方向に多数のフィラメント4が形成される。メルトブローダイス3のノズル2の両側、詳しく言えば、各ノズル2の中心線を通る平面に垂直な方向についてノズル2の両側には、それぞれノズル2の列方向であるメルトブローダイス3の幅方向(コンベア1の幅方向)に沿って設けられ、メルトブローダイス3の先端のノズル2に隣接する位置に開口するスリット6a,6bが形成されている。各スリット6a,6bはそれぞれメルトブローダイス3の内部に設けられたエア供給路5a,5bに連通している。エア供給路5a,5bには、フィラメント4の原料となる樹脂の融点以上に加熱された高圧エアが送入され、エア供給路5a,5bに送入された高圧エアは、スリット6a,6bから熱風(高速流体)としてフィラメント4に向けて噴出される。スリット6a,6bから噴出した熱風は、ノズル2の下方で合流してノズル2の中心線に沿って流れ、ノズル2から押出されたフィラメント4を案内する。熱風の流域の中心はノズル2の中心線とほぼ一致する。
【0020】
本発明において「高速流体」とは、10m/sec以上、好ましくは20m/sec以上、最も好ましくは30m/sec以上の流速を有する流体を意味する。また、「流体」は、通常は空気を意味するが、酸化を防止するために窒素ガスを使用したり、水分蒸発を防ぐためなどに水蒸気を使用したりする場合も含む。
【0021】
スリット6a,6bから噴出された熱風により、ノズル2から押し出されたフィラメント4は溶融状態に維持され、熱風との摩擦力によりフィラメント4に張力が与えられ、フィラメント4が細化される。上記のメルトブローダイス3の構造は、通常のメルトブロー法に用いられるダイスと同様である。熱風の温度は、フィラメント4の紡糸温度よりも80℃以上、望ましくは120℃以上高くする。
【0022】
メルトブローダイス3を用いてフィラメント4を紡糸する方法では、熱風の温度を高くすることにより、ノズル2から押し出された直後のフィラメント4の温度をフィラメント4の融点よりも十分に高くすることができるため、フィラメント4の結晶化度を小さくすることができる。
【0023】
コンベア1は、メルトブローダイス3の下方に配置される。コンベア1は、不図示の駆動源により回転されるコンベアローラ1aやその他のローラに掛け回されている。これらのローラの回転によりコンベア1を駆動することで、ノズル2から押し出されたフィラメント4がコンベア1上に捕集されて得られるウェブ8は、図1において左側から右側へ搬送される。
【0024】
フィラメント振動装置10は、メルトブローダイス3の下面に取り付けられて、スリット6a,6bから噴出された熱風の流れの向きを周期的に振動させる装置である。フィラメント振動装置10は、各ノズル2の中心線を通る平面を間において対向配置された2つの流路部11a,11bと、それぞれ各流路部11a,11bの開口端から対向して下向きに延びた2つの壁部12a,12bとを、メルトブローダイス3の下面に取り付けられる構造部材として有する。流路部11a,11bおよび壁部12a,12bは、一体部品で構成することができる。
【0025】
流路部11a,11bは、メルトブローダイス3の下面に接して配置されており、メルトブローダイス3によって紡糸されるフィラメント群の幅、すなわちノズル2の配列幅以上の幅を有する。また、流路部11a,11bの開口端は、スリット6a,6bの内壁面に対して引っ込んだ位置にオフセットして配置されている。すなわち、流路部11a,11bの開口端は、スリット6a,6bの開口端より外側に位置している。壁部12a,12bは、流路部11a,11bの幅と等しいかそれ以上の幅を有し、その内面(互いの対向面)が、流路部11a,11bの開口端面と連続した面を構成するとともに、互いの距離が下にいくにつれて大きくなるように形成されている。
【0026】
また、流路部11a,11bおよび壁部12a,12bの幅方向両端にはそれぞれカバー16が取り付けられており、これら流路部11a,11b、壁部12a,12b、およびカバー16によって、ノズル2の直下の空間が取り囲まれている。
【0027】
流路部11a,11bには、それぞれ正圧源14a,14bが接続されている。各流路部11a,11bの開口端からは、それぞれ正圧源14a,14bから供給されたエアが噴出される。なお、各正圧源14a,14bは共通のものであってもよく、さらに、メルトブローダイス3のエア供給路5a,5bに供給される高圧エアのエア源と共通であってもよい。正圧源14a,14bと流路部11a,11bとの間にはバルブ13a,13bが設けられており、これらバルブ13a,13bを開閉することによって、流路部11a,11bが開閉可能となっている。
【0028】
各バルブ13a,13bは交互に開閉され、各流路部11a,11bからのエアの供給を交互に行うことで、結果的に、フィラメント4が図1において左右に振られる。以下に、この原理について図2(a)、(b)を参照して説明する。
【0029】
図2(a)は、左側のバルブ13aを開いて、正圧源14aから左側の流路部11aにエアを供給するとともに、右側のバルブ13bを閉じた状態を示す。この状態では、右側の流路部11bからはエアが供給されず、左側の流路部11aからエアが供給される。このとき、流路部11bの開口端が上述したようにスリット6bの内壁面に対してオフセットして設けられているので、スリット6a,6bから噴出した熱風によって、ノズル2の中心線に対して右側では、流路部11bの開口端とスリット6bの開口端との間で負圧が生じる。これにより、ノズル2の中心線に対して右側の圧力が左側と比べて相対的に低くなるので、スリット6a,6bから噴出した熱風は、コアンダ効果により右側の壁部12bに付着する。これに伴って、ノズル2から紡糸されたフィラメント4は、壁部12b側へ引き寄せられる。また、左側の流路部11aからは積極的にエアが供給されているので、これによって、フィラメント4を効果的に壁部12b側へ引き寄せることができる。
【0030】
この逆に、図2(b)に示すように、右側のバルブ13bを開いて、正圧源14bから右側の流路部11bにエアを供給するとともに、左側のバルブ13aを閉じると、図2(a)のときとは逆の作用が働き、フィラメント4は左側の壁部12a側へ引き寄せられる。
【0031】
以上説明したバルブ13a,13bの開閉動作を周期的に繰り返し行うことで、図1に示すように、フィラメント4は、コンベア1による搬送方向すなわち縦方向に周期的に振られ、コンベア1上で折り畳まれて捕集される。したがって、コンベア1上でのフィラメント4の縦方向への配列性を向上させ、かつ、コンベア1上でのフィラメント4の振れ幅Sを大きくすることができる。フィラメント4の縦方向への配列性を向上させることは、ウェブ8の縦方向の強度を向上させるのに効果がある。
【0032】
このように、フィラメント4の配列性の向上を、機械的な駆動機構を用いることなくバルブ13a,13bの開閉を制御するだけで実現することができるので、装置構成も簡単なものとなる。また、従来のように、ロッド部材のような回転する部材も存在しないので、フィラメント4が巻き付くといった事故も発生しない。
【0033】
スリット6a,6bから噴出される熱風は、その流速が速ければ速いほど、壁部12a,12bに付着し易くなる。また、熱風の流速は、メルトブローダイス3から離れると急速に低下する。フィラメント振動装置10は、熱風を噴出するスリット6a,6bと熱風が付着する壁部12a,12bとの間に、流路部11a,11bが存在しているだけであるので、壁部12a,12bをメルトブローダイス3に接近させて配置することができる。このことは、フィラメント振動装置10は、熱風の流速の速い領域を有効に利用してフィラメント4の振れ幅Sをより大きくすることができるということを意味する。
【0034】
図1ではフィラメント4が縦方向に配列されたウェブ8を製造するための装置を示したが、メルトブローダイス3およびフィラメント振動装置10の配置を変えることによって、フィラメント4が横方向に配列されたウェブ8を製造することもできる。図3に、フィラメントが横方向に配列されたウェブの製造装置の一例を示す。図3において、(a)は正面図、(b)は側面図を示している。また、図3ではメルトブローダイスおよびフィラメント振動装置の配置が図1と異なるだけであるので、図1と同様の構成については図1と同じ符号を付している。
【0035】
図3に示すように、フィラメント4を横方向に配列させるためには、メルトブローダイス3を、そのノズル2の配列の長手方向がコンベア1によるウェブ8の搬送方向と平行になるように配置するとともに、フィラメント振動装置10も、流路部11a,11bおよび壁部12a,12bがメルトブローダイス3と平行になるように配置する。バルブ13a,13bは、図2を用いて説明したのと同様に、交互に開閉が切り替えられる。これにより、ノズル2から押し出されたフィラメント4は横方向に振られながらコンベア1上に捕集され、横方向へのフィラメント4の配列性が向上したウェブ8を得ることができる。
【0036】
図1に示した配置では、ウェブ8の幅はノズル2の配列の長手方向の長さに依存するが、図3に示した配置では、ウェブ8の幅はフィラメント4の振れ幅Sに依存する。したがって、図3に示した配置では、フィラメント4の振れ幅Sを適宜設定することによって、ウェブ8の幅を自由に変更することができる。つまり、フィラメント4の振れ幅Sをより大きくすることによって、より幅広のウェブ8を製造することができる。
【0037】
なお、フィラメント4を横方向に振らせる場合は、コンベア1の速度を遅くすることによって、1本のフィラメント4からでもウェブ8を得ることができるので、ノズル2の数は1つであってもよい。
【0038】
本実施形態では、メルトブローダイス3の下面に取り付けられる構造部材、すなわち流路部11a,11bおよび壁部12a,12bの幅方向両端にカバー16を取り付けた例を示した。これは、上述した、フィラメント4を振らせながらの紡糸の際に、壁部12a,12bの側方からエアが流入し、それによってフィラメント4の挙動が不安定になるのを防止するためである。したがって、壁部12a,12bの幅が、壁部12a,12bの側方からエアが流入してもそれがフィラメント4の挙動に影響を与えないような十分に大きい幅を有していれば、カバー16は必ずしも設けなくてもよい。また、本実施形態では、壁部12a,12bを、ノズル2の中心線に向かって凸となる曲面で構成した例を示したが、壁部12a,12bの形状はこれに限られるものではなく、下にいくにつれてノズル2の中心線からの距離が大きくなる形状であれば、平面であっても、フィラメント4を振らせる効果を得ることができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態によるフィラメント振動装置をメルトブローダイスに取り付けた状態で示す断面図である。
【0040】
本実施形態のフィラメント振動装置20は、各流路部21a,21bにそれぞれ正圧源24a,24bに加えて、負圧源25a,25bが接続されている点が、第1の実施形態と大きく異なっている。また、それに伴い、各バルブ23a,23bは、流路部21a,21bを、正圧源24a,24bまたは負圧源25a,25bのいずれか一方のみと接続するように切り替える機能を有する。その他、流路部21a,21bの開口端面に連続して壁部22a,22bが設けられている点や、流路部21a,21bおよび壁部22a,22bで構成される構造部材がメルトブローダイス3の下面に取り付けられていることなどは第1の実施形態と同様である。なお、メルトブローダイス3の構成は、第1の実施形態と同じであるので、図1と同じ符号を付している。
【0041】
本実施形態では、フィラメント振動装置20は、以下の(1)、(2)の動作を交互に行う。
【0042】
(1)左側のバルブ23aを正圧源24a側に切り替え、流路部21aからノズル2の下方の空間へエアを供給すると共に、右側のバルブ23bを負圧源25b側に切り替え、流路部21bを介してノズル2の下方の空間からエアを吸引する。これにより、ノズル2の中心線に対して右側の圧力を左側と比べて相対的に低くし、スリット6a,6bから噴射された熱風をコアンダ効果により右側の壁部22bに付着させる。これに伴って、ノズル2から紡糸されたフィラメントは、右側の壁部22b側に引き寄せられる。
【0043】
(2)右側のバルブ23bを正圧源24b側に切り替え、流路部21bからノズル2の下方の空間へエアを供給すると共に、左側のバルブ23aを負圧源25a側に切り替え、流路部21aを介してノズル2の下方の空間からエアを吸引する。これにより、ノズル2の中心線に対して左側の圧力を右側と比べて相対的に低くし、スリット6a,6bから噴射された熱風をコアンダ効果により左側の壁部22aに付着させる。これに伴って、ノズル2から紡糸されたフィラメントは、左側の壁部22a側に引き寄せられる。
【0044】
このように、流路部21a,21bを利用して交互にエアを吸引する構成とすることで、壁部22a,22bへの熱風の付着を効果的に生じさせることができ、結果的に、フィラメントをより良好に振ることができる。
【0045】
本実施形態では、正圧源24a,24bおよび負圧源25a,25bを左右の流路部21a,21bで別々に設けた例を示したが、これらは左右共通としてもよい。また、正圧源24a,24bについては、メルトブローダイス3のエア供給路に供給される高圧エアのエア源と共通であってもよい。
【0046】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態によるフィラメント振動装置をメルトブローダイスに取り付けた状態で示す断面図である。
【0047】
本実施形態のフィラメント振動装置30では、流路部31a,31bは、バルブ33a,33bによって、正圧源34a,34bと接続された状態、または大気に開放された状態のいずれか一方に切り替えられるように構成されている。その他、流路部31a,31bの開口端面に連続して壁部32a,32bが設けられている点や、流路部31a,31bおよび壁部32a,32bで構成される構造部材がメルトブローダイス3の下面に取り付けられていることなどは第1の実施形態と同様である。なお、メルトブローダイス3の構成は、第1の実施形態と同じであるので、図1と同じ符号を付している。
【0048】
本実施形態では、フィラメント振動装置30は、以下の(1)、(2)の動作を交互に行う。
【0049】
(1)左側のバルブ33aを正圧源34a側に切り替え、流路部31aからノズル2の下方の空間へエアを供給すると共に、右側のバルブ33bにより流路部31bを大気に開放する。これにより、ノズル2の中心線に対して右側の圧力を左側と比べて相対的に低くし、スリット6a,6bから噴射された熱風をコアンダ効果により右側の壁部32bに付着させる。これに伴って、ノズル2から紡糸されたフィラメントは、右側の壁部32b側に引き寄せられる。
【0050】
(2)右側のバルブ33bを正圧源34b側に切り替え、流路部31bからノズル2の下方の空間へエアを供給すると共に、左側のバルブ33aにより流路部31aを大気に開放する。これにより、ノズル2の中心線に対して左側の圧力を右側と比べて相対的に低くし、スリット6a,6bから噴射された熱風をコアンダ効果により左側の壁部32aに付着させる。これに伴って、ノズル2から紡糸されたフィラメントは、左側の壁部32a側に引き寄せられる。
【0051】
本実施形態では、正圧源34a,34bを左右の流路部31a,31bで別々に設けた例を示したが、正圧源34a,34bは共通であってもよく、さらには、メルトブローダイス3のエア供給路に供給される高圧エアのエア源と共通であってもよい。
【0052】
(第4の実施形態)
図6は、本発明の第4の実施形態によるフィラメント振動装置をメルトブローダイスに取り付けた状態で示す断面図である。
【0053】
本実施形態のフィラメント振動装置40では、流路部41a,41bは、バルブ43a,43bによって、大気に開放された状態、または閉じた状態のいずれか一方に切り替えられるように構成されている。その他、流路部41a,41bの開口端面に連続して壁部42a,42bが設けられている点や、流路部41a,41bおよび壁部42a,42bで構成される構造部材がメルトブローダイス3の下面に取り付けられていることなどは第1の実施形態と同様である。なお、メルトブローダイス3の構成は、第1の実施形態と同じであるので、図1と同じ符号を付している。
【0054】
本実施形態では、フィラメント振動装置40は、以下の(1)、(2)の動作を交互に行う。
【0055】
(1)左側のバルブ43aにより流路部41aを大気に開放し、流路部41aからエアを流入させると共に、右側のバルブ43bにより流路部41bを閉じる。これにより、ノズル2の中心線に対して右側の圧力を左側と比べて相対的に低くし、スリット6a,6bから噴射された熱風をコアンダ効果により右側の壁部42bに付着させる。これに伴って、ノズル2から紡糸されたフィラメントは、右側の壁部42b側に引き寄せられる。
【0056】
(2)右側のバルブ43bにより流路部41bを大気に開放し、流路部41bからエアを流入させると共に、左側のバルブ43aにより流路部41aを閉じる。これにより、ノズル2の中心線に対して左側の圧力を右側と比べて相対的に低くし、スリット6a,6bから噴射された熱風をコアンダ効果により左側の壁部42aに付着させる。これに伴って、ノズル2から紡糸されたフィラメントは、左側の壁部42a側に引き寄せられる。
【0057】
このように、バルブ43a,43bによって流路部41a,41bの、大気への開放と閉鎖とを切り替える構成とすることにより、正圧源や負圧源を用いることなく、流路部41a,41bの開口端部付近に生じる負圧を利用してフィラメントを振らせることができるので、本実施形態は極めて簡単な構成とすることができる。
【0058】
(第5の実施形態)
図7は、本発明の第5の実施形態によるフィラメント振動装置をメルトブローダイスに取り付けた状態で示す断面図である。
【0059】
本実施形態のフィラメント振動装置50では、流路部51a,51bは、バルブ53a,53bによって、負圧源55aに接続された状態、または大気に開放された状態のいずれか一方に切り替えられるように構成されている。その他、流路部51a,51bの開口端面に連続して壁部52a,52bが設けられている点や、流路部51a,51bおよび壁部52a,52bで構成される構造部材がメルトブローダイス3の下面に取り付けられていることなどは第1の実施形態と同様である。なお、メルトブローダイス3の構成は、第1の実施形態と同じであるので、図1と同じ符号を付している。
【0060】
本実施形態では、フィラメント振動装置50は、以下の(1)、(2)の動作を交互に行う。
【0061】
(1)左側のバルブ53aにより流路部51aを大気に開放し、流路部51aからエアを流入させると共に、右側のバルブ53bにより流路部51bを負圧源55bに接続し、流路部51bを介してノズル2の下方の空間からエアを吸引する。これにより、ノズル2の中心線に対して右側の圧力を左側と比べて相対的に低くし、スリット6a,6bから噴射された熱風をコアンダ効果により右側の壁部52bに付着させる。これに伴って、ノズル2から紡糸されたフィラメントは、右側の壁部52b側に引き寄せられる。
【0062】
(2)右側のバルブ53bにより流路部51bを大気に開放し、流路部51bからエアを流入させると共に、左側のバルブ53aにより流路部51aを負圧源55aに接続し、流路部51aを介してノズル2の下方の空間からエアを吸引する。これにより、ノズル2の中心線に対して左側の圧力を右側と比べて相対的に低くし、スリット6a,6bから噴射された熱風をコアンダ効果により左側の壁部52aに付着させる。これに伴って、ノズル2から紡糸されたフィラメントは、左側の壁部52a側に引き寄せられる。
【0063】
このように、負圧源55a,55bの作用による、流路部51a,51bを介してのエアの吸引を交互に行うことによっても、フィラメントを効果的に振らせることができる。
【0064】
本実施形態では、負圧源55a,55bを左右の流路部51a,51bで別々に設けた例を示したが、これらは共通であってもよい。
【0065】
以上、本発明について、代表的な幾つかの実施形態を挙げて説明した。以下に、本発明に適用可能なフィラメント、紡糸手段、および他の付加的な構成要素の例について説明する。
【0066】
〈フィラメント〉
本発明に用いられるフィラメントに適合するポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン、フッ素系樹脂などの熱可塑性樹脂およびこれらの変性樹脂を用いることができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂などの、湿式または乾式の紡糸装置による樹脂も使用することができる。
【0067】
本発明におけるフィラメントは長繊維フィラメントである。一般的には、長繊維フィラメントとは平均長が100mmを超えるものをいい、本発明のように連続的に紡糸されたフィラメントは長繊維フィラメントに含まれる。また、紡糸直後のフィラメントの直径が50μm以上ではフィラメントが剛直で交絡が不十分になる。そこで本発明に用いられるフィラメントの直径は、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下である。特に強度の強いウェブを望む場合は、ウェブの紡糸後、ウェブをフィラメントの配列方向に延伸するのが望ましい。その場合の延伸後のフィラメントの直径は5μm以上15μm以下であることが望ましい。フィラメントの直径及び長さは、拡大顕微鏡写真より測定し、長さについては30本の平均値、直径については100本の平均値で示す。
【0068】
〈紡糸手段〉
フィラメントの紡糸手段として、広義のスパンボンド法であるメルトブロー法によるものについて説明したが、以下に、狭義のスパンボンド法を用いた例について説明する。
【0069】
図8は、狭義のスパンボンド法を用いたウェブ製造装置を正面から見た概略断面図である。通常のスパンボンド紡糸では、コンベア61の幅方向に並列に配列された多数の紡糸孔を有するスパンボンドダイス63から紡糸された多数のフィラメント64は、エジェクタ65でエア66により吸引され、エジェクタ65のノズル65aにより加速されたエア66である高速気流に伴われてコンベア61の上に捕集される。コンベア61は、コンベアローラ(不図示)によって駆動され、フィラメント64を図面の左側から右側へ搬送する。
【0070】
ノズル65aの下端面には、噴射部であるノズル65aから噴出したエア66の流れの向きを偏向させるフィラメント振動装置70が取り付けられている。フィラメント振動装置70は、第1の実施形態と同様のものであり、ノズル65aの下端面に取り付けられる構造部材として、2つの流路部71a,71bおよび2つの壁部72a,72bを有する。そして、各流路部71a,71bはそれぞれ正圧源74a,74bと接続されており、バルブ73a,73bによって、正圧源74a,74bと接続された状態、または閉じた状態のいずれか一方に切り替えられるように構成されている。また、流路部71a,71bの開口端面は、ノズル65aの内壁面に対して引っ込んだ位置にオフセットして配置されている。
【0071】
このように、第1の実施形態と同様のフィラメント振動装置70をスパンボンドダイス63に適用し、バルブ73a,73bを交互に開閉してノズル65aから噴出したエアを左右の壁部72a,72bに交互に付着させることで、フィラメント64を左右の壁部72a,72bに交互に引き寄せることができる。これにより、フィラメント64は縦方向に折り畳まれてコンベア61上に捕集され、フィラメント64が縦方向に配列されたウェブが得られる。
【0072】
また、前述したメルトブロー法の場合と同様に、スパンボンドダイス63およびフィラメント振動装置70をコンベア61によるウェブの搬送方向と平行に配置することで、フィラメント64が横方向に配列されたウェブを製造することができる。
【0073】
紡糸手段が狭義のスパンボンド法やフラッシュ紡糸法である場合は、フィラメントの結晶化が既になされている場合もあるが、このような場合であってもフィラメントの配列を飛躍的に向上させることが可能であり、フィラメントの配列方向に強いウェブを得ることができる。
【0074】
図8では、第1の実施形態と同様に構成されたフィラメント振動装置70を用いた例を示したが、第2〜第5の実施形態と同様の構成のフィラメント振動装置を用いることもできる。
【0075】
本発明は、複数のノズルを有する一般的な紡糸手段に限定されるものではなく1個のノズルでもよい。また、ノズル配列についても本発明は何ら限定されるものではない。例えば図1に示したメルトブローダイス3では、図9(a)に示すように、複数のノズル2が1列に配列されている。一方、スパンボンドダイスでは、一般にノズルが複数列となっている。スパンボンドダイスにおけるノズルの配列パターンには種々のパターンがある。例えば、図9(b)に示すスパンボンドダイス83では、各列のノズル82の位置をノズル82の配列の長手方向に半ピッチずらして配列している。また、図9(c)に示すスパンボンドダイス93では、それぞれ複数のノズル92aが形成されたノズルユニット92を、複数列に、かつ、各列のノズルユニット92の位置をノズルユニット92の配列の長手方向に半ピッチずらして配列している。図9(a)〜(c)の何れの場合でも、ノズルの配列の長手方向は、図面の左右方向である。
【0076】
〈付加的な構成要素〉
得られたウェブは、そのままでも使用可能であるが、さらに、フィラメントの配列方向に延伸することにより、フィラメントの配列性をより向上させることができる。したがって、フィラメントの配列方向にウェブを延伸する延伸装置を付加することが好ましい。このとき、フィラメントの配列性が良いものほど、ウェブの延伸時にフィラメントが実質的に延伸される確率が高くなり、最終延伸ウェブの強度も大きくなる。フィラメントの配列が悪いと、ウェブを延伸してもフィラメントの折り畳み構造やフィラメントの間隔が広がるだけでフィラメントが実質的に延伸される確率が低くなり、延伸後の十分な強度が得られなくなる。また、ウェブの段階でフィラメントを高度に一方向に配列させることで、延伸時のフィラメントの切れを防止することができる。
【0077】
フィラメントが縦方向に配列されたウェブは縦方向に延伸される。ウェブの縦方向への延伸には、1段で全延伸する場合もあるが、主に多段延伸法が用いられている。多段延伸法においては、1段目の延伸は紡糸直後の予備延伸として行われ、さらにその後に延伸する2段目以降の延伸が主延伸として行われている。その中でも特に、多段延伸の1段目の延伸に近接延伸法を用いることが好ましい。
【0078】
近接延伸とは、隣接する2組のロールの表面速度の差によりウェブを延伸する方式において、短い延伸間距離(延伸の開始点から終点までの距離)を保って延伸を行うものであり、延伸間距離が100mm以下であることが望ましい。特に、フィラメントが全体として縦方向に配列していても個々にはある程度屈曲している場合には、できるだけ延伸間距離を短く保つことが、個々のフィラメントを有効に延伸する上で重要である。近接延伸における熱は、通常は延伸するロールを加熱することにより与えられ、その延伸点が熱風や赤外線により補助的に加熱される。また、近接延伸の際の熱源としては、温水や蒸気等も使用することができる。
【0079】
一方、多段延伸においては、2段目以降の延伸には近接延伸ばかりでなく、通常のウェブの延伸に用いられる種々の手段を適用することができる。例えば、ロール延伸、温水延伸、蒸気延伸、熱盤延伸、ロール圧延等の延伸方式である。近接延伸が必ずしも必要ないのは、1段目の延伸で既に個々のフィラメントが縦方向に長くわたっているためである。
【0080】
一方、フィラメントが横方向に配列されたウェブは横方向に延伸される。ウェブを横方向に延伸する手段としては、例えば、フィルムの2軸延伸に用いられているテンター式の横延伸装置や、特公平3−36948号公報に記載されるプーリ式の横延伸装置や、周方向に沿った溝がそれぞれ形成された2つの溝付きローラでウェブを挟むことによりウェブを横方向に延伸する溝ローラ式の横延伸装置を用いることができる。それらの延伸装置のうち、プーリ式の横延伸装置は、安価で簡便な方法であり、しかも延伸倍率を自由に変化させることができ高倍率延伸も可能であるので、本発明に用いられる横延伸装置として最も適している。
【0081】
なお、延伸後のウェブの幅を非常に大きくしたい場合には、通常の延伸温度での横延伸の前に、通常の延伸温度よりも高い温度(ポリエステルの場合は5〜10℃高い温度、ポリプロピレンの場合は20〜30℃高い温度)で予備延伸を行う方法が有効である。その場合の横延伸装置としては上述の延伸装置を使用することができる。
【0082】
ウェブの延伸において、延伸前のウェブに軽くエンボス処理を施し、その後に延伸することにより、延伸倍率を高くすることができ、延伸後の強度も向上し、また、延伸切れ等のトラブルも少ない安定した延伸を行うことができる。この場合のエンボスパターンは、延伸方向と直角な方向に方向性を持つパターンであることが望ましい。エンボス温度は、延伸温度+5℃よりも低い温度とするのが好ましい。エンボス圧力は、高すぎるとウェブのフィラメントを損傷し延伸切れの原因となるので、線圧で3N/cm〜50N/cmの範囲が好ましく、より好ましくは8N/cm〜30N/cmの範囲、最も好ましくは10N/cm〜25N/cmの範囲である。なお、エンボスローラの場合、ウェブはその全幅が一様にエンボスローラで加圧されるわけではなく、エンボス圧力はエンボス箇所の一点一点にかかるわけではない。しかし、ここで実施されるエンボスではエンボス圧力は十分に小さい圧力でよく厳密に計算する必要はないので、ここではエンボス圧力を、通常の線圧と同様に、
線圧(N/cm)=押下力(N)/エンボスローラ幅(cm)
で定義している。
【0083】
ウェブの延伸倍率は、ウェブを構成するフィラメントのポリマーの種類やウェブの紡糸手段、目的とする縦方向及び横方向の強度や伸度等によって異なる。しかし、いずれの種類や手段を用いるにしろ、本発明の目的であるウェブの高配列性、高強度を達成できる延伸倍率が選択される。
【0084】
その延伸倍率は、延伸前のウェブに延伸方向に一定の間隔で入れたマークにより以下の式で定義される。
延伸倍率=[延伸後のマーク間の長さ]/[延伸前のマーク間の長さ]
ここでいう延伸倍率は、通常の長繊維フィラメントヤーンを延伸する場合のように、必ずしもフィラメント1本1本の延伸倍率を意味しない。
【0085】
ウェブは、前述したように、フィラメントの配列方向に延伸することにより、フィラメントの配列性をさらに向上させることができる。しかし、フィラメントの結晶化度が大きい場合は、フィラメントに伸度がなく、延伸張力が高くなるので、高倍率の後延伸が困難になる場合もある。高倍率の後延伸を望む場合は、ノズル直下でフィラメントを冷却することによりフィラメントの結晶化度を小さくするのが有効である。その手段として最も有効なのが、紡糸装置とコンベアとの間に、高速気流中へ霧状の水を噴霧するスプレーノズル(不図示)を設け、高速気流に霧状の液体を含ませることである。
【0086】
その霧状の液体に、いわゆる紡糸・延伸用油剤と称する延伸性や静電除去等の性質を付与することができる油剤を添加することも、その後の延伸性を向上させるとともに、毛羽も少なくすることができ、さらに延伸後の強度及び伸度も向上させることができるという点で有効である。なお、スプレーノズルから噴射される流体は、フィラメントを冷却することができるものであれば必ずしも水分等を含む必要はなく、冷エアーであってもよい。
【0087】
本発明により得られるウェブは、引張強度および寸法安定性に優れており、一方向に強度を要する不織布や直交不織布の原料ウェブとして使用することができる。また、本発明によるウェブは、一方向の強度が要求されるウェブとしてそのまま使用できる他、紙、不織布、布、フィルム等の横方向の強度の補強用として、これらと積層して用いることもできる。また、本発明によるウェブを延伸したものは光沢が良く、その光沢を活かした包装材料等に用いることができる。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、流路部および壁部を対向して配置し、ノズルから押し出されたフィラメントの両側に交互に負圧を発生させるように流路部内のエアの流れの状態を交互に切り替える構成とすることで、機械的な駆動機構を用いることなく極めて簡単な構成で、かつ安定して、ノズルから押し出されたフィラメントを一方向に振動させることができ、結果的に、フィラメントが一方向に配列されたウェブを製造することができる。また、流路部および壁部によるフィラメント振動効果は噴射部から噴射した直後の高速流体に作用するので、噴射部から噴出した高速流体を有効に利用し、フィラメントの振れ幅を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である、メルトブロー法によるウェブの製造装置の概略正面図である。
【図2】図1に示すフィラメント振動装置の動作およびフィラメントの挙動を説明する図である。
【図3】フィラメントが横方向に配列されたウェブを製造するための、メルトブロー法によるウェブの製造装置の図であり、(a)は正面図、(b)は側面図を示す。
【図4】本発明の第2の実施形態によるフィラメント振動装置をメルトブローダイスに取り付けた状態で示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態によるフィラメント振動装置をメルトブローダイスに取り付けた状態で示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態によるフィラメント振動装置をメルトブローダイスに取り付けた状態で示す断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態によるフィラメント振動装置をメルトブローダイスに取り付けた状態で示す断面図である。
【図8】本発明を適用した、狭義のスパンボンド法を用いたウェブの製造装置の構成を示す図である。
【図9】ノズル配列の幾つかの例を示す、紡糸手段の底面図である。
【符号の説明】
1,61  コンベア
1a  コンベアローラ
2,82  ノズル
3  メルトブローダイス
4,64  フィラメント
5a,5b  エア供給路
6a,6b  スリット
8  ウェブ
10,20,30,40,50,70  フィラメント振動装置
11a,11b,21a,21b,31a,31b,41a,41b,51a,51b,71a,71b  流路部
12a,12b,22a,22b,32a,32b,42a,42b,52a,52b,72a,72b  壁部
13a,13b,23a,23b,33a,33b,43a,43b,53a,53b,73a,73b  バルブ
14a,14b,24a,24b,34a,34b,74a,74b  正圧源
16  カバー
25a,25b,55a,55b  負圧源
63  スパンボンドダイス
65  エジェクタ
65a  ノズル
66  エア
82,92a  ノズル
83,93  スパンボンドダイス
92  ノズルユニット

Claims (5)

  1. 溶融ポリマーをフィラメントとして押し出す少なくとも1つのノズルから押し出されたフィラメントを案内するための高速流体を噴射する噴射部と、
    前記ノズルを間において対向配置されるとともに前記噴射部の外側に位置している開口端を有する2つの流路部と、
    前記2つの流路部の開口端面から延出し互いの距離が大きくなるように対向する内面を持つ2つの壁部と、
    前記2つの流路部に接続され、前記流路部にエアを供給する正圧源と、
    前記2つの流路部を、前記正圧源に接続された状態、または前記正圧源に対して閉鎖された状態に、一方が前記正圧源に接続されているときには他方が前記正圧源に対して閉鎖されているように交互に切り替える切り替え手段とを有するフィラメント振動装置。
  2. 溶融ポリマーをフィラメントとして押し出す少なくとも1つのノズルから押し出されたフィラメントを案内するための高速流体を噴射する噴射部と、
    前記ノズルを間において対向配置されるとともに前記噴射部の外側に位置している開口端を有する2つの流路部と、
    前記2つの流路部の開口端面から延出し互いの距離が大きくなるように対向する内面を持つ2つの壁部と、
    前記2つの流路部に接続され、前記流路部にエアを供給する正圧源および前記流路部からエアを吸引する負圧源と、
    前記2つの流路部を、前記正圧源に接続された状態、または前記負圧源に接続された状態に、一方が前記正圧源に接続されているときには他方が前記負圧源に接続されているように交互に切り替える切り替え手段とを有するフィラメント振動装置。
  3. 溶融ポリマーをフィラメントとして押し出す少なくとも1つのノズルから押し出されたフィラメントを案内するための高速流体を噴射する噴射部と、
    前記ノズルを間において対向配置されるとともに前記噴射部の外側に位置している開口端を有する2つの流路部と、
    前記2つの流路部の開口端面から延出し互いの距離が大きくなるように対向する内面を持つ2つの壁部と、
    前記2つの流路部に接続され、前記流路部にエアを供給する正圧源と、
    前記2つの流路部を、前記正圧源に接続された状態、または大気に開放された状態に、一方が前記正圧源に接続されているときには他方が大気に開放されるように交互に切り替える切り替え手段とを有するフィラメント振動装置。
  4. 溶融ポリマーをフィラメントとして押し出す少なくとも1つのノズルから押し出されたフィラメントを案内するための高速流体を噴射する噴射部と、
    前記ノズルを間において対向配置されるとともに前記噴射部の外側に位置している開口端を有する2つの流路部と、
    前記2つの流路部の開口端面から延出し互いの距離が大きくなるように対向する内面を持つ2つの壁部と、
    前記2つの流路部を、大気に開放された状態、または閉鎖された状態に、一方が大気に開放されているときには他方が閉鎖されるように交互に切り替える切り替え手段とを有するフィラメント振動装置。
  5. 溶融ポリマーをフィラメントとして押し出す少なくとも1つのノズルから押し出されたフィラメントを案内するための高速流体を噴射する噴射部と、
    前記ノズルを間において対向配置されるとともに前記噴射部の外側に位置している開口端を有する2つの流路部と、
    前記2つの流路部の開口端面から延出し互いの距離が大きくなるように対向する内面を持つ2つの壁部と、
    前記2つの流路部に接続され、前記流路部からエアを吸引する負圧源と、
    前記2つの流路部を、前記負圧源に接続された状態、または大気に開放された状態に、一方が前記負圧源に接続されているときには他方が大気に開放されるように交互に切り替える切り替え手段とを有するフィラメント振動装置。
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