JP2005015946A - 不織布リボン - Google Patents
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Abstract
【課題】不織布で構成しつつも織物と同様の光沢感を有し、かつ適度なコシの強さを持つ不織布リボンを提供する。
【解決手段】不織布リボンは、熱可塑性樹脂から紡糸されたフィラメントが一方向に配列されかつ延伸された延伸一方向配列不織布2で構成される。不織布リボンには、フィラメントが部分的に押し込まれて熱融着した部分であるエンボス部3が、1インチあたり20〜60個の割合で存在するようにエンボス加工が施されている。
【選択図】 図2
【解決手段】不織布リボンは、熱可塑性樹脂から紡糸されたフィラメントが一方向に配列されかつ延伸された延伸一方向配列不織布2で構成される。不織布リボンには、フィラメントが部分的に押し込まれて熱融着した部分であるエンボス部3が、1インチあたり20〜60個の割合で存在するようにエンボス加工が施されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装あるいは手芸などに用いられるリボンに関し、特に不織布からなるリボンに関する。
【0002】
【従来の技術】
リボンは、包装用あるいは手芸用など多くの分野で、主として装飾のために用いられている。この種のリボンは、一般的に織物からなっており、色や柄等も多種多様なものが存在している。しかし、織物を製造するには織機が使用されるため、生産効率が悪く、結果的に高価なものとなる。
【0003】
そこで、特許文献1には、絹繊維を主成分とするウェブを長さ方向に走行させながら幅方向に並ぶ多数のノズルから噴出する高水圧でパンチして得られた不織布からリボンを製造することが開示されている。これによれば、製織工程が不要であるので、絹繊維の光沢と風合いを損なうことなく安価にリボンを製造することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−279444号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の不織布からなるリボンは、絹繊維を主体としており、しかも高水圧のパンチングにより繊維を絡合させているため、コシが弱く、蝶結びに代表される飾り結びの保持性が悪かった。
【0006】
そこで本発明は、製織工程を不要とするために不織布で構成しつつも、織物製のリボンと同様の光沢感を有し、かつ、適度なコシの強さを持つ不織布リボンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の不織布リボンは、熱可塑性樹脂から紡糸されたフィラメントが一方向に配列されかつ延伸された延伸一方向配列不織布を有し、前記フィラメントが部分的に押し込まれて熱融着した部分であるエンボス部が1インチあたり20〜60個の割合で存在するようにエンボス加工が施されている。
【0008】
また本発明の不織布リボンは、熱可塑性樹脂から紡糸されたフィラメントが一方向に配列されかつ延伸された2枚の延伸一方向配列不織布を、前記フィラメントの配列方向が直交するように積層した直交積層不織布を有し、前記フィラメントが部分的に押し込まれて熱融着した部分であるエンボス部が1インチあたり20〜60個の割合で存在するようにエンボス加工が施されている。
【0009】
上記のとおり本発明では、延伸一方向配列不織布または直交積層不織布を用いているので、平滑性に富み光沢感のある不織布リボンが得られる。しかも、エンボス部が1インチあたり20〜60個の割合で存在するようにエンボス加工が施されているので、これによってフィラメントが拘束され、適度なコシの強さを有する不織布リボンとなる。
【0010】
エンボス部は、ドットが千鳥状またはマトリクス状に配列されたパターンで形成されていることが好ましい。また、熱可塑性樹脂はポリエステルであることが好ましい。
【0011】
本明細書において、不織布、ウェブ、包装材料等の「縦方向」とは、これらを製造する際の機械方向すなわち送り方向を意味し、「横方向」とは、縦方向と直角な方向、すなわち不織布、ウェブ、包装材料を製造する際のこれらの幅方向を意味する。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による不織布リボンの模式的断面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の不織布リボン1は、熱可塑性樹脂から紡糸されたフィラメントが一方向に配列されかつその方向に延伸された延伸一方向配列不織布2からなる。
【0015】
延伸一方向配列不織布2は、紡糸段階では通常の不織布と同様に紡糸されるが、これをフィラメントの配列方向に5〜8倍に延伸することにより、延伸後の引張り強度が向上する。また、延伸によって、フィラメントの繊度は主として1.5dTex以下とされる。
【0016】
延伸一方向配列不織布2には縦延伸不織布と横延伸不織布とがあり、本発明においてはこれらの何れも使用できる。縦延伸不織布とは、不織布を製造する際の送り方向である縦方向にフィラメントが配列され延伸された不織布であり、横延伸不織布とは、不織布を製造する際の送り方向と直角な方向である横方向すなわち幅方向にフィラメントが配列された不織布である。
【0017】
縦延伸不織布は、紡糸されたフィラメントにドラフト張力を与えてフィラメントを細径化した後、コンベア上に集積させることによって、フィラメントが縦方向に配列したウェブを形成し、これを縦方向に延伸することによって得られる。
【0018】
フィラメントにドラフト張力を与える方法として、メルトブロー法(MB法)や、狭義のスパンボンド法(SB法)が挙げられる。何れの方法でも、フィラメントを細径化する際にできるだけ分子配向を伴わないようにするために、フィラメントに熱風を噴射する。また、コンベア上でのフィラメントの配列性を向上させるために、コンベアの搬送面に対して傾斜させてフィラメントを紡糸したり、熱風の流域中にロッド部材を配置し、このロッド部材の回転または移動により生じるコアンダ効果を利用してフィラメントを縦方向に振動させたりすることが好ましい。
【0019】
コンベア上に集積したウェブは縦方向に延伸されるが、ウェブを縦方向に延伸することにより、フィラメントの縦方向への配列性がより向上する。ウェブの縦延伸には、1段で全延伸する場合もあるが、主に多段延伸が用いられる。多段延伸においては、1段目の延伸は紡糸直後の予備延伸として行われ、2段目以降の延伸が主延伸として行われる。
【0020】
ウェブの延伸方法としては、近接延伸法を用いることが好ましい。多段延伸において近接延伸法を用いる場合は、1段目の延伸に近接延伸を用いる。近接延伸法とは、隣接する2組のロールの表面速度の差によりウェブを延伸する方式において、短い延伸間距離(延伸の開始点から終点までの距離)を保って延伸を行う方法であり、延伸間距離が100mm以下であることが望ましい。このように、ウェブを近接延伸法で延伸することにより、個々のフィラメントを有効に延伸することができる。特に、フィラメントが全体として縦方向に配列していても個々にはある程度屈曲している場合には、できるだけ延伸間距離を短く保つことが、個々のフィラメントを有効に延伸する上で重要である。
【0021】
一般的なメルトブロー不織布では、フィラメントがランダムに配列しており、近接延伸法によって延伸しても、フィラメントの間隔が広がるだけで、個々のフィラメントが延伸される確率は低い。ところが本発明においては、ウェブは既に高度に一方向に配列しているので、近接延伸法によれば、より確実に個々のフィラメントを延伸することができる。
【0022】
次に、横延伸不織布について説明する。横延伸不織布を製造するには、まず、フィラメントが横方向に配列したウェブを形成する。フィラメントが横方向に配列したウェブは、紡糸ノズルより紡糸されたフィラメントを、紡糸ノズルの周囲に配したエア噴出孔からエアを直接噴出することにより横方向に振らせ、コンベア上に集積することによって形成することができる。また、他の方法として、上述したコアンダ効果を利用してフィラメントを横方向に振動させ、コンベア上に集積する方法もある。このようにして、コンベア上には、横方向に配列成分が多い状態でフィラメントが集積される。
【0023】
こうして得られたウェブを横方向に延伸することで、横延伸不織布が得られる。ウェブを横方向に延伸する方法としては、テンター方式やプーリ方式などが挙げられる。テンター方式は、フィルムなどを拡幅する方式として一般に用いられるが、設備の設置のために広い床面積が必要なこと、および製品幅や拡幅倍率の変更が困難である。不織布は用途に応じて製品幅を自由に変える必要があり、また、原料の厚さ等に応じて延伸倍率を変更しなければならない。そこで、これらの変更を運転操作中でも簡単に行えるプーリ方式を用いるのが好ましい。
【0024】
延伸一方向配列不織布2の代表的な製造方法について、縦延伸不織布および横延伸不織布を例に挙げて説明したが、延伸一方向配列不織布の製造方法は上述した方法に限定されるものではなく、フィラメントをほぼ一方向に配列し、かつ配列したフィラメントをその配列方向に延伸できる方法であれば任意の方法を利用することができる。
【0025】
延伸一方向配列不織布2を構成する樹脂としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロンやポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル等のように、フラットヤーンや産業資材繊維として使用される樹脂が挙げられる。それらの中でも特に、ポリプロピレンやポリエステルが、コストや取り扱いなどの点で優れている。
【0026】
さらに、延伸一方向配列不織布2にはエンボス加工が施されている。図2は、そのエンボスパターンの一例を示すための、延伸一方向配列不織布の部分平面図である。図2に示すように、本実施形態では、エンボスパターンは、千鳥状配列の円形ドットパターンを用いた。エンボス加工によって、延伸一方向配列不織布2の表面には、そのフィラメントが部分的に押し込まれて熱融着した部分である多数のエンボス部3が形成され、これによってフィラメントがある程度拘束される。
【0027】
延伸一方向配列不織布2は、前述したように、極めて微細なフィラメントが一方向に配列されて構成されているので、エンボス加工におけるドット(エンボス部3)のサイズを小さくし、単位長さあたりのドットの数を多くしても十分にフィラメントを拘束できる。ドットの数が増すことによって、エンボス部3の面積は小さくなるので、延伸一方向配列不織布2に印刷を施す場合であっても、印刷性は殆ど低下しない。本発明では、このような微細なフィラメントで構成される延伸一方向配列不織布2を用いることを利用して、エンボスパターンも微細なパターンとしている。具体的には、長さ1インチ(2.54cm)あたりのエンボス部3の数を20〜60個の割合としている。
【0028】
フィラメントを十分に拘束するのに必要な単位長さあたりのエンボス部3の数は、延伸一方向配列不織布2の坪量にも依存する。坪量が大きいと、延伸一方向配列不織布2の厚みも厚くなり、エンボス部3の面積を大きくしてエンボス深さを大きくしないと十分にフィラメントを拘束することができない。一方、坪量が小さければ、エンボス深さが浅くてもよいので、エンボス部3の面積を小さくしてもフィラメントを十分に拘束できる。
【0029】
本実施形態では、エンボス部3の直径dを約0.2mm、隣接するエンボス部3間の距離が最も小さくなる方向(縦方向および横方向に対して45°の方向)でのエンボス部3の配列ピッチpを約0.51mmとした。この方向で、1インチあたりのエンボス部3の数は約50個となる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の不織布リボン1は、フィラメントが一方向に配列した延伸一方向配列不織布2を用いているので、表面は非常に平滑性に富み、光沢感がある。リボンには高級感が必要とされるため、通常のリボンは、光沢感のある素材、例えば絹やナイロンサテンなどが多く用いられている。本実施形態の不織布リボン1は、フィラメントの直径が1〜20μmと非常に細いため、絹に近い光沢感が得られる。
【0031】
また、不織布リボン1の表面には、1インチあたり20〜60個のエンボス部3が存在する微細なパターンでエンボス加工が施されていることにより、細かい凹凸が規則正しく並んでいる。その結果、不織布リボン1は、織物に近い外観となる。さらに、微細なパターンのエンボス加工によってフィラメントが部分的に熱融着され拘束されているので、フィラメントの直径が細い不織布を用いながらも、リボンとして適度なコシの強さを有しており、織物からなるリボンと同様の風合いを持たせることができる。このことにより、この不織布リボン1を用いて飾り結びを行っても所望の形状を保持できるので、装飾用のリボンとして最適である。また、エンボス加工は、不織布リボン1の表面の毛羽立ちを抑える効果も発揮する。
【0032】
本発明においては、エンボス加工による1インチあたりのエンボス部3の数は20〜60個であるが、20個未満では、織物に近い外観を与えるのが困難となる。また、接触面積が大きくなり十分なコシの強さは得られるものの、風合いが損なわれる。一方、60個を超えると、エンボス部3のサイズが小さくなりすぎ、エンボス加工を行ったことによる効果が得られにくくなる。また、エンボス部3の数が60個を超えるようなエンボス加工を行うためのエンボスロールを製造するのは実質的に困難である。
【0033】
さらに、不織布リボン1は、上述したように表面の平滑性に富んでいるので、印刷特性にも優れている。したがって、不織布リボン1の表面には、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷など何れの印刷方式においても鮮明な印刷を施すことができ、色付けや柄付け、キャラクタやブランド名等の印刷を容易に行うことが可能である。不織布リボン1への色付けや柄付けは、印刷だけでなく染色によって行うこともできる。色付けや柄付けを染色で行う場合、不織布リボン1を構成する樹脂はポリエステルであることが好ましい。ポリエステルは染色が可能であり、多彩な色のリボンに仕上げることが可能である。通常、ポリエステルには、酸化チタンなどの白色剤を含んでいるが、本発明に用いる場合は、白色剤を含まないものを用いるのが好ましい。白色剤を含まないポリエステルを用いることで、より光沢感のある不織布リボン1が得られる。
【0034】
以上、1枚の延伸一方向配列不織布2で構成した不織布リボン1について説明したが、本発明においては、図3に示すように、2枚の延伸一方向配列不織布12a,12bを積層した直交積層不織布12を用いた不織布リボン11とすることもできる。
【0035】
図3において、各延伸一方向配列不織布12a,12bは、図1を用いて説明した実施形態と同様のものであり、各延伸一方向配列不織布12a,12bを、そのフィラメントの配列方向が直交するように積層することで、直交積層不織布12が構成される。延伸一方向配列不織布12a,12bには、前述したように縦延伸不織布と横延伸不織布とがあるが、直交積層不織布12を構成するためには、フィラメントの配列方向が互いに直交していれば、これらの何れも使用することができ、組み合わせも任意である。直交積層不織布12で構成した不織布リボン11においても、表面にはエンボス加工が施されている。そして、そのエンボスパターンは、前述した実施形態と同様、1インチあたり20〜60個のエンボス部が存在する微細なパターンである。また、直交積層不織布12が印刷や染色などによって着色されていることも、前述した実施形態と同様である。
【0036】
このように、不織布リボン11を直交積層不織布12で構成することにより、フィラメントが縦方向および横方向に整然と配列され、微細なエンボスパターンとも相俟って、より織物に近い高級感のある外観とすることが可能である。
【0037】
延伸一方向配列不織布12a,12bの積層は、上述したエンボス加工によって行うことができる。これにより、延伸一方向配列不織布12a,12bの積層工程を兼ねてエンボス加工を実施することができ、不織布リボン11の製造工程を簡略化することができる。
【0038】
以上、延伸一方向配列不織布2からなる不織布リボン1(図1参照)および直交積層不織布12からなる不織布リボン11(図3参照)について説明したが、これら不織布リボン1,11の坪量は、好ましくは10〜200g/m2、より好ましくは20〜100g/m2である。10g/m2未満では、リボンとしての強度が劣り、また、コシが弱くなり飾り結びの形状保持性が低下する。一方、200g/m2を超えると、厚みが厚くなりすぎ、エンボス加工によるフィラメント拘束の効果が十分に得られなくなる。
【0039】
なお、不織布から実際にリボンを製造する際は、延伸一方向配列不織布または直交積層不織布を、通常の一般的な不織布と同様の幅で作製して、不織布リボンの原反とし、これをスリッタで所定の幅(5〜50mm程度)に切断し、ロールに巻き取ることにより、最終的な製品とすることができる。
【0040】
以下に、本発明に適用可能なエンボスパターンの例を幾つか示す。以下に示す例は、不織布リボンを延伸一方向配列不織布で構成した場合、および直交積層不織布で構成した場合の何れにも適用することができる。
【0041】
図4に示す不織布リボン41では、円形のエンボス部43が、横方向に対して傾いたマトリクス状に配列されている。寸法としては、例えば、マトリクスの行方向および列方向でのエンボス部43の配列ピッチp4は約0.5mm、エンボス部43の直径d4は約0.2mm、横方向に対するエンボス部43のマトリクスの傾きθは約8°とすることができる。このようなエンボスパターンでは、不織布リボン41の任意の位置から縦方向および横方向にそれぞれ延ばした延長線上には、必ずエンボス部43が存在する。そのため、エンボス部43によってフィラメントを確実に拘束させ、毛羽立ちを防止することができる。
【0042】
図5に示す不織布リボン51では、長円形のエンボス部53が千鳥状に配列されている。エンボス部53は長手成分を有しており、横方向に並ぶものについては長手成分が横方向を向き、縦方向に並ぶものについては長手成分が縦方向を向くように配列されている。寸法としては、例えば、エンボス部53の縦方向および横方向の配列ピッチpl5、pt5はそれぞれ約0.7mm、エンボス部53の長手成分方向の長さm5は約0.25mm、長手方向と直角な方向の長さn5は約0.2mmとすることができる。このようなエンボスパターンでは、エンボス部53の形状および配置から、より織物に近い外観を与えることができる。
【0043】
図6に示す不織布リボン61では、長円形のエンボス部63が千鳥状に配列されている。エンボス部63は長手成分を有しており、長手成分が縦方向を向くように配列されている。寸法としては、エンボス部63の縦方向の配列ピッチpl6は約0.9mm、横方向の配列ピッチpt6は約0.5mm、エンボス部63の長手成分方向の長さm6は約0.25mm、長手方向と直角な方向の長さn6は約0.2mmとすることができる。このようなエンボスパターンでは、全体として縦方向に方向性を持つパターンとなる。もちろん、長手成分を横方向に向けてエンボス部63を配列してもよく、この場合は全体として横方向に方向性を持つエンボスパターンとなる。
【0044】
以上、本発明に適用可能なエンボスパターンを例示したが、エンボスパターンはこれらに限定されるものではなく、また、エンボス部の形状についても、円形や長円形の他に、楕円形や菱形など、種々の形状とすることができる。
【0045】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0046】
(実施例1)
本実施例では、縦延伸不織布を用いた。まず、原料樹脂としてポリエステル樹脂(融点:260℃、IV値:0.63)を用いて、これを押出機により溶融混練し、ギアポンプにより定量的に押出して、熱風とともにメルトブローダイスよりフィラメント状に紡出した。紡出したフィラメントを傾斜したコンベア上に集積して、フィラメントがほぼ縦方向に配列されたウェブとし、これを延伸ロールにて縦方向に6倍に延伸して、縦延伸不織布とした。得られた縦延伸不織布の坪量を測定したところ、40g/m2であった。なお、本実施例で用いたポリエステル樹脂は、白色化させるための酸化チタンを含んでおらず、得られた縦延伸不織布は光沢感があった。
【0047】
続いて、縦延伸不織布に、定法に従って赤色に染色を施し、その後、エンボス加工を施し、不織布リボンの原反を得た。エンボス加工は、1インチあたり50個の割合でドットが図2に示したように千鳥状に分布したパターンを周面に有するエンボスロールによって行った。エンボスの条件は、ロール温度が220℃、線圧が400N/cmとした。
【0048】
得られた不織布リボンの原反は、細かいパターンのエンボス加工が施されているので、フィラメントの脱落もなく、光沢感もあり、適度のコシの強さを有し、従来の織物リボンと比べて遜色のないリボンを製造することができた。
【0049】
(実施例2)
本実施例では、直交積層不織布を用いた。まず、実施例1と同様にして、坪量30g/m2の縦延伸不織布を得た。続いて、横延伸不織布を次のようにして製造した。原料樹脂としてポリエステル樹脂(融点:260℃、IV値:0.60)を用いて、これを押出機により溶融混練し、ギアポンプにより定量的に押出して、スプレーノズルに導いた。スプレーノズルから紡出されたフィラメントに熱風を吹き付けることにより、フィラメントをコンベアの進行方向に対して直角な方向に飛散させ、これによって、フィラメントがほぼ横方向に配列されたウェブをコンベア上に集積した。続いて、このウェブをプーリ式の横延伸装置を用いて横方向に6.5倍に延伸して横延伸不織布とした。得られた横延伸不織布の坪量を測定したところ、30g/m2であった。
【0050】
さらに、縦延伸不織布を横延伸不織布上に繰り出し、連続的に、220℃に加熱された実施例1と同じエンボスロールによってエンボス処理を行い、直交積層不織布を得た。得られた直交積層不織布の坪量は60g/m2であった。
【0051】
その後、直交積層不織布に、定法に従って深緑色に染色を施し、不織布リボンの原反を得た。得られた不織布リボンの原反は、縦方向および横方向にフィラメントが配列しているため、外観的には織物に近く、また、光沢感もあり表面も平滑で、さらに、適度のコシの強さを有し、リボンに最適であった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、不織布リボンに延伸一方向配列不織布または直交積層不織布を用い、所定のエンボス加工を施すことで、平滑性に富むとともに光沢感があり、しかも適度なコシの強さを有する不織布リボンとすることができる。その結果、本発明の不織布リボンは、高級感もあり、飾り結びの保持性も高く、特に装飾用に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による不織布リボンの模式的断面図である。
【図2】図1に示す不織布リボンの表面に設けられたエンボスパターンの一例を示すための、延伸一方向配列不織布の部分平面図である。
【図3】本発明の他の実施形態による不織布リボンの模式的断面図である。
【図4】本発明に適用可能なエンボスパターンの例を示す、不織布リボンの部分平面図である。
【図5】本発明に適用可能なエンボスパターンの例を示す、不織布リボンの部分平面図である。
【図6】本発明に適用可能なエンボスパターンの例を示す、不織布リボンの部分平面図である。
【符号の説明】
1,11,41,51,61 不織布リボン
2,12a,12b 延伸一方向配列不織布
3,43,53,63 エンボス部
12 直交積層不織布
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装あるいは手芸などに用いられるリボンに関し、特に不織布からなるリボンに関する。
【0002】
【従来の技術】
リボンは、包装用あるいは手芸用など多くの分野で、主として装飾のために用いられている。この種のリボンは、一般的に織物からなっており、色や柄等も多種多様なものが存在している。しかし、織物を製造するには織機が使用されるため、生産効率が悪く、結果的に高価なものとなる。
【0003】
そこで、特許文献1には、絹繊維を主成分とするウェブを長さ方向に走行させながら幅方向に並ぶ多数のノズルから噴出する高水圧でパンチして得られた不織布からリボンを製造することが開示されている。これによれば、製織工程が不要であるので、絹繊維の光沢と風合いを損なうことなく安価にリボンを製造することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−279444号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の不織布からなるリボンは、絹繊維を主体としており、しかも高水圧のパンチングにより繊維を絡合させているため、コシが弱く、蝶結びに代表される飾り結びの保持性が悪かった。
【0006】
そこで本発明は、製織工程を不要とするために不織布で構成しつつも、織物製のリボンと同様の光沢感を有し、かつ、適度なコシの強さを持つ不織布リボンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の不織布リボンは、熱可塑性樹脂から紡糸されたフィラメントが一方向に配列されかつ延伸された延伸一方向配列不織布を有し、前記フィラメントが部分的に押し込まれて熱融着した部分であるエンボス部が1インチあたり20〜60個の割合で存在するようにエンボス加工が施されている。
【0008】
また本発明の不織布リボンは、熱可塑性樹脂から紡糸されたフィラメントが一方向に配列されかつ延伸された2枚の延伸一方向配列不織布を、前記フィラメントの配列方向が直交するように積層した直交積層不織布を有し、前記フィラメントが部分的に押し込まれて熱融着した部分であるエンボス部が1インチあたり20〜60個の割合で存在するようにエンボス加工が施されている。
【0009】
上記のとおり本発明では、延伸一方向配列不織布または直交積層不織布を用いているので、平滑性に富み光沢感のある不織布リボンが得られる。しかも、エンボス部が1インチあたり20〜60個の割合で存在するようにエンボス加工が施されているので、これによってフィラメントが拘束され、適度なコシの強さを有する不織布リボンとなる。
【0010】
エンボス部は、ドットが千鳥状またはマトリクス状に配列されたパターンで形成されていることが好ましい。また、熱可塑性樹脂はポリエステルであることが好ましい。
【0011】
本明細書において、不織布、ウェブ、包装材料等の「縦方向」とは、これらを製造する際の機械方向すなわち送り方向を意味し、「横方向」とは、縦方向と直角な方向、すなわち不織布、ウェブ、包装材料を製造する際のこれらの幅方向を意味する。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による不織布リボンの模式的断面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の不織布リボン1は、熱可塑性樹脂から紡糸されたフィラメントが一方向に配列されかつその方向に延伸された延伸一方向配列不織布2からなる。
【0015】
延伸一方向配列不織布2は、紡糸段階では通常の不織布と同様に紡糸されるが、これをフィラメントの配列方向に5〜8倍に延伸することにより、延伸後の引張り強度が向上する。また、延伸によって、フィラメントの繊度は主として1.5dTex以下とされる。
【0016】
延伸一方向配列不織布2には縦延伸不織布と横延伸不織布とがあり、本発明においてはこれらの何れも使用できる。縦延伸不織布とは、不織布を製造する際の送り方向である縦方向にフィラメントが配列され延伸された不織布であり、横延伸不織布とは、不織布を製造する際の送り方向と直角な方向である横方向すなわち幅方向にフィラメントが配列された不織布である。
【0017】
縦延伸不織布は、紡糸されたフィラメントにドラフト張力を与えてフィラメントを細径化した後、コンベア上に集積させることによって、フィラメントが縦方向に配列したウェブを形成し、これを縦方向に延伸することによって得られる。
【0018】
フィラメントにドラフト張力を与える方法として、メルトブロー法(MB法)や、狭義のスパンボンド法(SB法)が挙げられる。何れの方法でも、フィラメントを細径化する際にできるだけ分子配向を伴わないようにするために、フィラメントに熱風を噴射する。また、コンベア上でのフィラメントの配列性を向上させるために、コンベアの搬送面に対して傾斜させてフィラメントを紡糸したり、熱風の流域中にロッド部材を配置し、このロッド部材の回転または移動により生じるコアンダ効果を利用してフィラメントを縦方向に振動させたりすることが好ましい。
【0019】
コンベア上に集積したウェブは縦方向に延伸されるが、ウェブを縦方向に延伸することにより、フィラメントの縦方向への配列性がより向上する。ウェブの縦延伸には、1段で全延伸する場合もあるが、主に多段延伸が用いられる。多段延伸においては、1段目の延伸は紡糸直後の予備延伸として行われ、2段目以降の延伸が主延伸として行われる。
【0020】
ウェブの延伸方法としては、近接延伸法を用いることが好ましい。多段延伸において近接延伸法を用いる場合は、1段目の延伸に近接延伸を用いる。近接延伸法とは、隣接する2組のロールの表面速度の差によりウェブを延伸する方式において、短い延伸間距離(延伸の開始点から終点までの距離)を保って延伸を行う方法であり、延伸間距離が100mm以下であることが望ましい。このように、ウェブを近接延伸法で延伸することにより、個々のフィラメントを有効に延伸することができる。特に、フィラメントが全体として縦方向に配列していても個々にはある程度屈曲している場合には、できるだけ延伸間距離を短く保つことが、個々のフィラメントを有効に延伸する上で重要である。
【0021】
一般的なメルトブロー不織布では、フィラメントがランダムに配列しており、近接延伸法によって延伸しても、フィラメントの間隔が広がるだけで、個々のフィラメントが延伸される確率は低い。ところが本発明においては、ウェブは既に高度に一方向に配列しているので、近接延伸法によれば、より確実に個々のフィラメントを延伸することができる。
【0022】
次に、横延伸不織布について説明する。横延伸不織布を製造するには、まず、フィラメントが横方向に配列したウェブを形成する。フィラメントが横方向に配列したウェブは、紡糸ノズルより紡糸されたフィラメントを、紡糸ノズルの周囲に配したエア噴出孔からエアを直接噴出することにより横方向に振らせ、コンベア上に集積することによって形成することができる。また、他の方法として、上述したコアンダ効果を利用してフィラメントを横方向に振動させ、コンベア上に集積する方法もある。このようにして、コンベア上には、横方向に配列成分が多い状態でフィラメントが集積される。
【0023】
こうして得られたウェブを横方向に延伸することで、横延伸不織布が得られる。ウェブを横方向に延伸する方法としては、テンター方式やプーリ方式などが挙げられる。テンター方式は、フィルムなどを拡幅する方式として一般に用いられるが、設備の設置のために広い床面積が必要なこと、および製品幅や拡幅倍率の変更が困難である。不織布は用途に応じて製品幅を自由に変える必要があり、また、原料の厚さ等に応じて延伸倍率を変更しなければならない。そこで、これらの変更を運転操作中でも簡単に行えるプーリ方式を用いるのが好ましい。
【0024】
延伸一方向配列不織布2の代表的な製造方法について、縦延伸不織布および横延伸不織布を例に挙げて説明したが、延伸一方向配列不織布の製造方法は上述した方法に限定されるものではなく、フィラメントをほぼ一方向に配列し、かつ配列したフィラメントをその配列方向に延伸できる方法であれば任意の方法を利用することができる。
【0025】
延伸一方向配列不織布2を構成する樹脂としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロンやポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル等のように、フラットヤーンや産業資材繊維として使用される樹脂が挙げられる。それらの中でも特に、ポリプロピレンやポリエステルが、コストや取り扱いなどの点で優れている。
【0026】
さらに、延伸一方向配列不織布2にはエンボス加工が施されている。図2は、そのエンボスパターンの一例を示すための、延伸一方向配列不織布の部分平面図である。図2に示すように、本実施形態では、エンボスパターンは、千鳥状配列の円形ドットパターンを用いた。エンボス加工によって、延伸一方向配列不織布2の表面には、そのフィラメントが部分的に押し込まれて熱融着した部分である多数のエンボス部3が形成され、これによってフィラメントがある程度拘束される。
【0027】
延伸一方向配列不織布2は、前述したように、極めて微細なフィラメントが一方向に配列されて構成されているので、エンボス加工におけるドット(エンボス部3)のサイズを小さくし、単位長さあたりのドットの数を多くしても十分にフィラメントを拘束できる。ドットの数が増すことによって、エンボス部3の面積は小さくなるので、延伸一方向配列不織布2に印刷を施す場合であっても、印刷性は殆ど低下しない。本発明では、このような微細なフィラメントで構成される延伸一方向配列不織布2を用いることを利用して、エンボスパターンも微細なパターンとしている。具体的には、長さ1インチ(2.54cm)あたりのエンボス部3の数を20〜60個の割合としている。
【0028】
フィラメントを十分に拘束するのに必要な単位長さあたりのエンボス部3の数は、延伸一方向配列不織布2の坪量にも依存する。坪量が大きいと、延伸一方向配列不織布2の厚みも厚くなり、エンボス部3の面積を大きくしてエンボス深さを大きくしないと十分にフィラメントを拘束することができない。一方、坪量が小さければ、エンボス深さが浅くてもよいので、エンボス部3の面積を小さくしてもフィラメントを十分に拘束できる。
【0029】
本実施形態では、エンボス部3の直径dを約0.2mm、隣接するエンボス部3間の距離が最も小さくなる方向(縦方向および横方向に対して45°の方向)でのエンボス部3の配列ピッチpを約0.51mmとした。この方向で、1インチあたりのエンボス部3の数は約50個となる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の不織布リボン1は、フィラメントが一方向に配列した延伸一方向配列不織布2を用いているので、表面は非常に平滑性に富み、光沢感がある。リボンには高級感が必要とされるため、通常のリボンは、光沢感のある素材、例えば絹やナイロンサテンなどが多く用いられている。本実施形態の不織布リボン1は、フィラメントの直径が1〜20μmと非常に細いため、絹に近い光沢感が得られる。
【0031】
また、不織布リボン1の表面には、1インチあたり20〜60個のエンボス部3が存在する微細なパターンでエンボス加工が施されていることにより、細かい凹凸が規則正しく並んでいる。その結果、不織布リボン1は、織物に近い外観となる。さらに、微細なパターンのエンボス加工によってフィラメントが部分的に熱融着され拘束されているので、フィラメントの直径が細い不織布を用いながらも、リボンとして適度なコシの強さを有しており、織物からなるリボンと同様の風合いを持たせることができる。このことにより、この不織布リボン1を用いて飾り結びを行っても所望の形状を保持できるので、装飾用のリボンとして最適である。また、エンボス加工は、不織布リボン1の表面の毛羽立ちを抑える効果も発揮する。
【0032】
本発明においては、エンボス加工による1インチあたりのエンボス部3の数は20〜60個であるが、20個未満では、織物に近い外観を与えるのが困難となる。また、接触面積が大きくなり十分なコシの強さは得られるものの、風合いが損なわれる。一方、60個を超えると、エンボス部3のサイズが小さくなりすぎ、エンボス加工を行ったことによる効果が得られにくくなる。また、エンボス部3の数が60個を超えるようなエンボス加工を行うためのエンボスロールを製造するのは実質的に困難である。
【0033】
さらに、不織布リボン1は、上述したように表面の平滑性に富んでいるので、印刷特性にも優れている。したがって、不織布リボン1の表面には、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷など何れの印刷方式においても鮮明な印刷を施すことができ、色付けや柄付け、キャラクタやブランド名等の印刷を容易に行うことが可能である。不織布リボン1への色付けや柄付けは、印刷だけでなく染色によって行うこともできる。色付けや柄付けを染色で行う場合、不織布リボン1を構成する樹脂はポリエステルであることが好ましい。ポリエステルは染色が可能であり、多彩な色のリボンに仕上げることが可能である。通常、ポリエステルには、酸化チタンなどの白色剤を含んでいるが、本発明に用いる場合は、白色剤を含まないものを用いるのが好ましい。白色剤を含まないポリエステルを用いることで、より光沢感のある不織布リボン1が得られる。
【0034】
以上、1枚の延伸一方向配列不織布2で構成した不織布リボン1について説明したが、本発明においては、図3に示すように、2枚の延伸一方向配列不織布12a,12bを積層した直交積層不織布12を用いた不織布リボン11とすることもできる。
【0035】
図3において、各延伸一方向配列不織布12a,12bは、図1を用いて説明した実施形態と同様のものであり、各延伸一方向配列不織布12a,12bを、そのフィラメントの配列方向が直交するように積層することで、直交積層不織布12が構成される。延伸一方向配列不織布12a,12bには、前述したように縦延伸不織布と横延伸不織布とがあるが、直交積層不織布12を構成するためには、フィラメントの配列方向が互いに直交していれば、これらの何れも使用することができ、組み合わせも任意である。直交積層不織布12で構成した不織布リボン11においても、表面にはエンボス加工が施されている。そして、そのエンボスパターンは、前述した実施形態と同様、1インチあたり20〜60個のエンボス部が存在する微細なパターンである。また、直交積層不織布12が印刷や染色などによって着色されていることも、前述した実施形態と同様である。
【0036】
このように、不織布リボン11を直交積層不織布12で構成することにより、フィラメントが縦方向および横方向に整然と配列され、微細なエンボスパターンとも相俟って、より織物に近い高級感のある外観とすることが可能である。
【0037】
延伸一方向配列不織布12a,12bの積層は、上述したエンボス加工によって行うことができる。これにより、延伸一方向配列不織布12a,12bの積層工程を兼ねてエンボス加工を実施することができ、不織布リボン11の製造工程を簡略化することができる。
【0038】
以上、延伸一方向配列不織布2からなる不織布リボン1(図1参照)および直交積層不織布12からなる不織布リボン11(図3参照)について説明したが、これら不織布リボン1,11の坪量は、好ましくは10〜200g/m2、より好ましくは20〜100g/m2である。10g/m2未満では、リボンとしての強度が劣り、また、コシが弱くなり飾り結びの形状保持性が低下する。一方、200g/m2を超えると、厚みが厚くなりすぎ、エンボス加工によるフィラメント拘束の効果が十分に得られなくなる。
【0039】
なお、不織布から実際にリボンを製造する際は、延伸一方向配列不織布または直交積層不織布を、通常の一般的な不織布と同様の幅で作製して、不織布リボンの原反とし、これをスリッタで所定の幅(5〜50mm程度)に切断し、ロールに巻き取ることにより、最終的な製品とすることができる。
【0040】
以下に、本発明に適用可能なエンボスパターンの例を幾つか示す。以下に示す例は、不織布リボンを延伸一方向配列不織布で構成した場合、および直交積層不織布で構成した場合の何れにも適用することができる。
【0041】
図4に示す不織布リボン41では、円形のエンボス部43が、横方向に対して傾いたマトリクス状に配列されている。寸法としては、例えば、マトリクスの行方向および列方向でのエンボス部43の配列ピッチp4は約0.5mm、エンボス部43の直径d4は約0.2mm、横方向に対するエンボス部43のマトリクスの傾きθは約8°とすることができる。このようなエンボスパターンでは、不織布リボン41の任意の位置から縦方向および横方向にそれぞれ延ばした延長線上には、必ずエンボス部43が存在する。そのため、エンボス部43によってフィラメントを確実に拘束させ、毛羽立ちを防止することができる。
【0042】
図5に示す不織布リボン51では、長円形のエンボス部53が千鳥状に配列されている。エンボス部53は長手成分を有しており、横方向に並ぶものについては長手成分が横方向を向き、縦方向に並ぶものについては長手成分が縦方向を向くように配列されている。寸法としては、例えば、エンボス部53の縦方向および横方向の配列ピッチpl5、pt5はそれぞれ約0.7mm、エンボス部53の長手成分方向の長さm5は約0.25mm、長手方向と直角な方向の長さn5は約0.2mmとすることができる。このようなエンボスパターンでは、エンボス部53の形状および配置から、より織物に近い外観を与えることができる。
【0043】
図6に示す不織布リボン61では、長円形のエンボス部63が千鳥状に配列されている。エンボス部63は長手成分を有しており、長手成分が縦方向を向くように配列されている。寸法としては、エンボス部63の縦方向の配列ピッチpl6は約0.9mm、横方向の配列ピッチpt6は約0.5mm、エンボス部63の長手成分方向の長さm6は約0.25mm、長手方向と直角な方向の長さn6は約0.2mmとすることができる。このようなエンボスパターンでは、全体として縦方向に方向性を持つパターンとなる。もちろん、長手成分を横方向に向けてエンボス部63を配列してもよく、この場合は全体として横方向に方向性を持つエンボスパターンとなる。
【0044】
以上、本発明に適用可能なエンボスパターンを例示したが、エンボスパターンはこれらに限定されるものではなく、また、エンボス部の形状についても、円形や長円形の他に、楕円形や菱形など、種々の形状とすることができる。
【0045】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0046】
(実施例1)
本実施例では、縦延伸不織布を用いた。まず、原料樹脂としてポリエステル樹脂(融点:260℃、IV値:0.63)を用いて、これを押出機により溶融混練し、ギアポンプにより定量的に押出して、熱風とともにメルトブローダイスよりフィラメント状に紡出した。紡出したフィラメントを傾斜したコンベア上に集積して、フィラメントがほぼ縦方向に配列されたウェブとし、これを延伸ロールにて縦方向に6倍に延伸して、縦延伸不織布とした。得られた縦延伸不織布の坪量を測定したところ、40g/m2であった。なお、本実施例で用いたポリエステル樹脂は、白色化させるための酸化チタンを含んでおらず、得られた縦延伸不織布は光沢感があった。
【0047】
続いて、縦延伸不織布に、定法に従って赤色に染色を施し、その後、エンボス加工を施し、不織布リボンの原反を得た。エンボス加工は、1インチあたり50個の割合でドットが図2に示したように千鳥状に分布したパターンを周面に有するエンボスロールによって行った。エンボスの条件は、ロール温度が220℃、線圧が400N/cmとした。
【0048】
得られた不織布リボンの原反は、細かいパターンのエンボス加工が施されているので、フィラメントの脱落もなく、光沢感もあり、適度のコシの強さを有し、従来の織物リボンと比べて遜色のないリボンを製造することができた。
【0049】
(実施例2)
本実施例では、直交積層不織布を用いた。まず、実施例1と同様にして、坪量30g/m2の縦延伸不織布を得た。続いて、横延伸不織布を次のようにして製造した。原料樹脂としてポリエステル樹脂(融点:260℃、IV値:0.60)を用いて、これを押出機により溶融混練し、ギアポンプにより定量的に押出して、スプレーノズルに導いた。スプレーノズルから紡出されたフィラメントに熱風を吹き付けることにより、フィラメントをコンベアの進行方向に対して直角な方向に飛散させ、これによって、フィラメントがほぼ横方向に配列されたウェブをコンベア上に集積した。続いて、このウェブをプーリ式の横延伸装置を用いて横方向に6.5倍に延伸して横延伸不織布とした。得られた横延伸不織布の坪量を測定したところ、30g/m2であった。
【0050】
さらに、縦延伸不織布を横延伸不織布上に繰り出し、連続的に、220℃に加熱された実施例1と同じエンボスロールによってエンボス処理を行い、直交積層不織布を得た。得られた直交積層不織布の坪量は60g/m2であった。
【0051】
その後、直交積層不織布に、定法に従って深緑色に染色を施し、不織布リボンの原反を得た。得られた不織布リボンの原反は、縦方向および横方向にフィラメントが配列しているため、外観的には織物に近く、また、光沢感もあり表面も平滑で、さらに、適度のコシの強さを有し、リボンに最適であった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、不織布リボンに延伸一方向配列不織布または直交積層不織布を用い、所定のエンボス加工を施すことで、平滑性に富むとともに光沢感があり、しかも適度なコシの強さを有する不織布リボンとすることができる。その結果、本発明の不織布リボンは、高級感もあり、飾り結びの保持性も高く、特に装飾用に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による不織布リボンの模式的断面図である。
【図2】図1に示す不織布リボンの表面に設けられたエンボスパターンの一例を示すための、延伸一方向配列不織布の部分平面図である。
【図3】本発明の他の実施形態による不織布リボンの模式的断面図である。
【図4】本発明に適用可能なエンボスパターンの例を示す、不織布リボンの部分平面図である。
【図5】本発明に適用可能なエンボスパターンの例を示す、不織布リボンの部分平面図である。
【図6】本発明に適用可能なエンボスパターンの例を示す、不織布リボンの部分平面図である。
【符号の説明】
1,11,41,51,61 不織布リボン
2,12a,12b 延伸一方向配列不織布
3,43,53,63 エンボス部
12 直交積層不織布
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂から紡糸されたフィラメントが一方向に配列されかつ延伸された延伸一方向配列不織布を有し、前記フィラメントが部分的に押し込まれて熱融着した部分であるエンボス部が1インチあたり20〜60個の割合で存在するようにエンボス加工が施されている不織布リボン。
- 熱可塑性樹脂から紡糸されたフィラメントが一方向に配列されかつ延伸された2枚の延伸一方向配列不織布を、前記フィラメントの配列方向が直交するように積層した直交積層不織布を有し、前記フィラメントが部分的に押し込まれて熱融着した部分であるエンボス部が1インチあたり20〜60個の割合で存在するようにエンボス加工が施されている不織布リボン。
- 前記エンボス部は、ドットが千鳥状またはマトリクス状に配列されたパターンで形成されている、請求項1または2に記載の不織布リボン。
- 前記熱可塑性樹脂はポリエステルである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の不織布リボン。
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