JP4414084B2 - 複合不織布及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィラメントが縦方向に配列され且つ延伸された縦延伸不織布と、フィラメントが横方向に配列され且つ延伸された横延伸不織布とが積層された直交積層不織布を有する複合不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、積層不織布としては、本発明者らによる、フィラメントがほぼ縦方向に配列され且つ延伸された縦延伸不織布と、フィラメントがほぼ横方向に配列され且つ延伸された横延伸不織布とを積層した直交積層不織布が知られている。
【0003】
この直交積層不織布は、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布と比較して、低目付で縦方向及び横方向の強度が高いこと、両方向の強度のバランスがとれていること、薄くて地合いが良いこと、表面が滑らかであり光沢及び印刷性が良いこと、風合いが良いこと、表面強度が高いことなどの利点がある。
【0004】
また、従来の不織布には、抗菌、耐水、防錆、消臭などの新たな機能を付与させたものもある。このような機能を付与する方法として、一般的には、混紡や樹脂含浸などの方法がある。用途によっては、付与すべき所望の機能を有する異種の不織布を貼り合わせて積層する方法もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、直交積層不織布には種々の利点があるが、このような直交積層不織布においても、用途によっては、更に他の機能を付与することが望まれている。直交積層不織布における紙のような感触をさらに改善したり、嵩高性を付与したりといった、直交積層不織布の機能をさらに増大させたいという要望も多い。
【0006】
そこで本発明の目的は、使用される用途に応じて所望の機能が付加された複合不織布を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の複合不織布は、フィラメントが一方向に配列され且つその後該方向に延伸された第1および第2の不織布が、これらのフィラメントの配列方向が互いに直交するように積層されてなる直交積層不織布と、前記直交積層不織布の一面または両面に紡糸によって直接積層された、フィラメントがランダムに配列されてなるランダム不織布とを有する。
【0008】
上記のように本発明の複合不織布は、フィラメントが一方向に配列され且つ延伸された第1および第2の不織布が、これらのフィラメントの配列方向が互いに直交するように積層されてなる直交積層不織布の一面または両面にランダム不織布が積層された構成となっているので、直交積層不織布の特性を生かしつつ、ランダム不織布による所望の機能が付与された複合不織布となる。複合不織布の強度は、フィラメントが一方向に配列され且つ延伸された第1および第2の不織布により与えられるので、ランダム不織布が強度を有しないものであっても、強度を必要とする用途に使用可能である。また、このような複合不織布では、ランダム不織布による外見や表面特性を直交積層不織布の一面または両面に付与することができる。
【0009】
ランダム不織布として、例えば、メルトブロー不織布を用いることで、メルトブロー不織布の極細繊維によって生じるフィルタ、耐水、抗菌などの機能を複合不織布に持たせることができる。特にこの場合、エレクトレット加工されたメルトブロー不織布を用いることで、フィルターとして用いたときの集塵効果が向上する。
【0010】
また、ランダム不織布としてスパンボンド不織布を用いることで、複合不織布に嵩高性が与えられ、織物のような風合いの複合不織布が得られる。この場合、低融点ポリエステル繊維を含むスパンボンド不織布を用いることで、層間の接着力が向上する。
【0011】
また、本発明の複合不織布の製造方法は、フィラメントが一方向に配列され且つ延伸された第1および第2の不織布が、フィラメントの配列方向が互いに直交するように積層されてなる直交積層不織布の一面または両面に、フィラメントがランダムに配列されたランダム不織布が積層されてなる複合不織布の製造方法であって、
前記直交積層不織布を用意する工程と、
前記直交積層不織布を搬送しつつ、前記ランダム不織布を形成するためのフィラメントを前記直交積層不織布の上方で紡糸することにより、前記直交積層不織布上に前記ランダム不織布を直接形成する工程とを有する。
【0012】
上記のように直交積層不織布上にランダム不織布を直接形成する工程では、紡糸ノズルより吐出された液状ポリマーを熱風で吹き飛ばし、吹き飛ばされた前記液状ポリマーが固化してなるフィラメントを集積させることにより不織布を製造するメルトブロー法を用いることができる。
【0013】
上記の製造方法では、直交積層不織布の上方でフィラメントを紡糸することにより、その不織布上にランダム不織布を直接形成するので、直交積層不織布上にランダム不織布が積層されてなる複合不織布を簡便に製造することができる。
【0014】
なお、本発明において、フィラメントの配列方向や延伸方向などを説明する場合に用いる「縦方向」とは、不織布を製造する際の機械方向すなわち不織布の送り方向を意味し、「横方向」とは、縦方向と直角な方向、すなわち不織布の幅方向を意味する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の複合不織布は、直交積層不織布の一面または両面に、フィラメントがランダムに配列されたランダム不織布を積層させたものである。直交積層不織布は、フィラメントが縦方向に配列され且つ延伸された第1の不織布としての縦延伸不織布と、フィラメントが横方向に配列され且つ延伸された第2の不織布としての横延伸不織布とが、これらのフィラメントの配列方向が互いに直交するように積層されてなるものである。このような構成により、直交積層不織布に、ランダム不織布の更なる機能を付与することができる。
【0016】
縦延伸不織布及び横延伸不織布としては、従来用いられているものを使用することができる。例えば、縦延伸不織布としては、特開平10−204767号公報に開示されているようなメルトブロー不織布やスパンボンド不織布、特公平3−36948号公報に記載されているものを使用することができる。また、横延伸不織布としては、特公平3−36948号公報に開示されている方法により製造されたものを用いることができる。これらの不織布の製造方法については後述する。
【0017】
縦延伸不織布及び横延伸不織布を構成するフィラメントとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、フッ素系樹脂などの熱可塑性樹脂、及びこれらの変性樹脂などを使用することができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂など、湿式または乾式の紡糸手段を適用し得る樹脂も使用することができる。
【0018】
また、縦延伸不織布と横延伸不織布とは、それを製造する際のフィラメントの配列方向及び延伸する方向が異なるだけで、フィラメントの配列方向に着目すれば、いずれの不織布も同じ特性を有する。従って、縦延伸不織布は、その向きを90°変えれば横延伸不織布と同様に取り扱うことができるし、横延伸不織布についても、その向きを90°変えれば縦延伸不織布と同様に取り扱うことができる。縦延伸不織布及び横延伸不織布は、フィラメントの配列方向には相対的に大きな強度を有し、それと直交する方向での強度は最も小さい。
【0019】
ランダム不織布としては、目的とする機能に応じて種々の不織布が用いられる。
【0020】
以下に、ランダム不織布について詳細に説明する。
【0021】
(メルトブロー不織布)
ランダム不織布としてのメルトブロー不織布は、繊維径が2μm程度の極細繊維からなる不織布であり、フィルタ、耐水、抗菌、防ダニなどの機能を有するが、低目付品での引張強度や表面強度が低いため、その用途が制限されていた。しかし、このようなメルトブロー不織布を直交積層不織布上に積層することで、メルトブロー不織布の欠点である引張強度や表面強度を、縦延伸不織布及び横延伸不織布により与えることができる。従って、十分な引張強度や表面強度を持ちながらも、メルトブロー不織布が持つ機能が付与された直交積層不織布を得ることができる。
【0022】
メルトブロー不織布の中でも特に、エレクトレット(電石)化されたものを採用することで、複合不織布をフィルタとして用いたときの集塵効果を高めることができる。エレクトレット化は、不織布の紡糸後または紡糸と同時に、数万ボルトの電場中で放電させる処理であり、これによって半永久的に電子を注入することができる。
【0023】
(スパンボンド不織布)
ランダム不織布としてスパンボンド不織布を用いることにより、嵩高性が得られ、織物のような風合いを与えることができる。また、低融点樹脂や接着性樹脂から紡糸されたフィラメントからなるスパンボンド不織布を用いることで、縦延伸不織布または横延伸不織布との接合強度が増し、縫製強度が向上する。低融点樹脂としては、ポリエステルの例では、イソフタル酸と共結合した低融点ポリエステル樹脂が挙げられ、ポリアミドの例では、ナイロン66に対するナイロン6が挙げられる。また、接着性樹脂の例としては、ホットメルトポリエステル樹脂やホットメルトポリアミド樹脂が挙げられる。
【0024】
スパンボンド不織布を構成するフィラメントは、縦延伸不織布や横延伸不織布のように十分な延伸がされていないため、分子配向性が低く、軟化点が低い。従って、縦延伸不織布または横延伸不織布との中間熱エンボスによって接合すると、複合不織布としての接着力が増す。また、スパンボンド不織布は、フィラメントの絡み合いが多く、フィラメント同士の融通性があり、縫製した場合に糸にかかる力を分散させることができるので、縫製強度が強くなる。
【0025】
以上述べたように、ランダム不織布としてスパンボンド不織布を用いることで、縦延伸不織布及び横延伸不織布のフィラメントの配列方向での寸法安定性に加え、強度が向上するので、表面(縦延伸不織布及び横延伸不織布)の印刷特性を生かして衣料、包装材料、製袋材料、テーブルクロス、内装材、壁紙などの用途に好適な不織布となる。
【0026】
なお、ランダム不織布とするスパンボンド不織布の素材としては、それに積層される縦延伸不織布または横延伸不織布と同様の素材を用いるのが好ましい。例えば、PP(ポリプロピレン)などオレフィン系の延伸不織布に対してはPP系のスパンボンド不織布を用い、PET(ポリエチレンテレフタレート)延伸不織布に対してはPET系のスパンボンド不織布を用いる。これにより、不織布同士の良好な接着強度が得られる。
【0027】
また、スパンボンド不織布には、低融点成分からなる素材あるいは接着性を有する素材の繊維を混紡したものや、芯鞘、サイドバイサイドのコンジュゲートフィラメントを使用したものがある(例えば特開平2−182963号公報、特開平4−41762号公報、特開平4−316608号公報)。これらは更に、層間の接着力や嵩高性を高める効果がある。特に、PET系、ナイロン系ホットメルト接着性樹脂からなるスパンボンド不織布を用いることは、層間の接着力を高める上で好適である。
【0028】
(フラッシュ紡糸不織布)
フラッシュ紡糸不織布(ランダム不織布)は、引張強度及び引き裂き強度が強いという利点を有するが、ポリエチレンを原料とした不織布であるため、表面の印刷性が悪い。従って、印刷のためには表面にサイジング剤の塗布やコロナ処理などを施して印刷性を高める必要がある。しかし、両面に印刷する必要がない場合には、印刷が不要な面にフラッシュ紡糸不織布を積層した複合シートとすることで、上記の処理を施すことなく、縦延伸不織布または横延伸不織布の印刷特性を利用することができる。しかも、フラッシュ紡糸不織布と縦延伸不織布または横延伸不織布とを積層することで、フラッシュ紡糸不織布だけの場合に比べて、強度が補強され、且つ、縦延伸不織布または横延伸不織布が積層された面は表面が布的な風合いに仕上がる。
【0029】
(短繊維不織布)
ランダム不織布としては、ニードルパンチ不織布やサーマルボンド不織布のような短繊維を原料とした不織布を用いることもできる。短繊維不織布は、種々の機能を持つ繊維、例えば、熱収縮させることにより嵩高性を持たせることのできる自己収縮性繊維、接着性繊維、あるいは、抗菌、防虫または消臭機能を持つ短繊維などを必要に応じてブレンドすることが可能であり、このような短繊維不織布をランダム不織布として用いることで、層間の接着力を向上させたり、嵩高性を付与したり、特殊な機能を付加することができる。また、短繊維は化学繊維に限らず、羊毛、木綿などの天然繊維、レーヨンなどの半合成繊維、ガラス繊維やセラミック繊維などの無機繊維なども使用することができる。
【0030】
(トウ開繊不織布)
ランダム不織布としてトウ開繊不織布を用いると、縦延伸不織布及び横延伸不織布による縦横強度だけでなく、トウ開繊不織布の持つ斜め方向への強度も付与するので、縫製強度を向上させることができる。
【0031】
以上、本発明の複合不織布について、ランダム不織布の種々の機能や種類を例に挙げて説明したが、ランダム不織布としてスパンボンド不織布を用いた場合に好ましく適用可能な用途の例を次の表1にまとめる。
【0032】
【表1】
【0033】
直交積層不織布とスパンボンド不織布とを積層した複合不織布についてだけでも、表1に示すように種々の用途が考えられる。従って、ランダム不織布として、その他の上述した種々の例を適用することにより、本発明が適用可能な用途は更に広範囲に及ぶ。
【0034】
縦延伸不織布、横延伸不織布、及びランダム不織布の積層の方法としては、従来の直交積層不織布を製造する際の縦延伸不織布と横延伸不織布とを積層接合させる工程で、縦延伸不織布及び横延伸不織布と共にランダム不織布を供給して、縦延伸不織布または横延伸不織布のいずれか一方、またはそれらの両方にランダム不織布を接合するという方法が簡便である。
【0035】
また、ランダム不織布を予め作製しておくのではなく、縦延伸不織布または横延伸不織布の上に、紡糸手段を適宜用いてランダム不織布を直接形成しても良い。すなわち、直交積層不織布、縦延伸不織布、または横延伸不織布のいずれかを予め作製しておき、予め作製された不織布を搬送手段により搬送しつつ、その不織布の上方で紡糸手段によりフィラメントを紡糸しても良い。この場合、紡糸されたフィラメントが不織布上に堆積することにより、堆積したフィラメントからなるランダム不織布が、直交積層不織布を構成する縦延伸不織布または横延伸不織布上に直接形成される。また、このときには、メルトブロー法によって直交積層不織布上にランダム不織布としてのメルトブロー不織布を直接形成することができる。メルトブロー法では、紡糸ノズルより吐出された液状ポリマーを熱風で吹き飛ばし、吹き飛ばされた液状ポリマーが固化してなるフィラメントを直交積層不織布上に集積させることにより、メルトブロー不織布が直交積層不織布上に直接形成される。
【0036】
縦延伸不織布、横延伸不織布、及びランダム不織布の接合方法としては、熱エンボスロール、カレンダロールなどによる熱接着、超音波接着、接着剤を用いた粉末ドット接着、ホットメルト接着、エマルジョンのドット接着、熱風を貫通させるスルーエアー接合、ウォータージェット接合、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などがある。これらの接合方法を、複合不織布の用途に合わせて単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【0037】
本発明の複合不織布は、さらに必要に応じて、熱処理、熱収縮、蒸気加熱などの熱処理を施して、目的とする物性に近づけて製品とされる。特に、ランダム不織布を熱収縮させて嵩高性を発現させる場合は、この熱処理工程が重要となる。
【0038】
以上で説明したように、本発明の複合不織布は、直交積層不織布の一面または両面にランダム不織布が積層された構成となっているので、直交積層不織布の特性を生かしつつ、ランダム不織布による所望の機能が付与された複合不織布となる。複合不織布の強度は縦延伸不織布と横延伸不織布とにより与えられるので、ランダム不織布が強度を有しないものであっても、強度を必要とする用途に使用可能である。また、このような複合不織布では、ランダム不織布による外見や表面特性を直交積層不織布の一面または両面に付与することができる。
【0039】
[直交積層不織布の製造方法]
次に、直交積層不織布の製造方法について詳細に説明する。
【0040】
まず、縦延伸不織布を製造する際には、前記特開平10−204767号公報や特公平3−36948号公報に記載された製造方法を用いることができる。次では、特開平10−204767号公報に記載の縦延伸不織布の製造方法について説明する。
【0041】
まず、ダイスに設けられたノズルから押し出されたフィラメントにドラフト張力を与え、これによってフィラメントを細径化し、細径化されたフィラメントを縦方向に配列させてコンベア上に集積する。フィラメントにドラフト張力を与える方法として、メルトブロー(MB)ダイスを使用する方法や、狭義のスパンボンド(SB)法、すなわち、多数のノズルの下方にいわゆるエジェクタあるいはエアサッカーを使用する方法がある。MB法を用いた場合には、ノズルから紡出されたフィラメントに、霧状の水分を含むエアーなどをコンベアの搬送面に対して斜めに噴出することによって、フィラメントの縦方向への配列および冷却が行われる。一方、SB法を用いた場合には、フィラメントを含む流体をコンベアの搬送面に対して斜めに供給し、フィラメントの配列性を向上させる。
【0042】
このようにしてフィラメントが縦方向に配列されてコンベア上に集積されることによりウェブが形成される。その後、コンベア上に集積したウェブが縦方向に延伸され、これにより縦延伸不織布とされる。ウェブを縦方向に延伸する方法としては、近接延伸、すなわち、隣接する2組のロールの表面速度の差によりウェブを延伸する方法において、短い延伸間距離(延伸の開始点より終了点までの距離)を保って行う方式がある。また、ロール延伸、温水延伸、蒸気延伸、熱盤延伸などの各種延伸方式がある。
【0043】
前記特公平3−36948号公報に記載された製造方法では、まず、コンベアの上方で紡糸ノズルから押し出されたフィラメントは、紡糸ノズルの周囲に配した複数の第1のエア噴出孔からのエア噴出によりスパイラル状に回転させられる。こられ第1のエアー噴出孔の外側には、噴出したエアがコンベアによるウェブの搬送方向に対して直角方向で互いに衝突するように配された2つの第2のエア噴出孔が設けられている。第2のエア噴出孔のそれぞれから噴出されたエアは、回転しているフィラメントの通過経路上で互いに衝突し、コンベアによる搬送方向と平行な方向すなわち縦方向に広がる。これにより、回転しているフィラメントは、このエアの勢いで縦方向に散らされ、散らされたフィラメントが、縦方向に配列成分が多い状態でコンベア上に集積される。このようにして得られた縦配列ウェブが、上記の近接延伸などの方法により縦方向に延伸されることで、縦延伸不織布が製造される。
【0044】
あるいは、縦延伸不織布を製造する際には、本出願人が出願した発明である特願2000−260723号の縦配列不織布の製造方法および製造装置を用いることができる。次に、その縦配列不織布の製造方法について説明する。
【0045】
まず、メルトブローダイスのノズル群から溶融樹脂がコンベアに向けて押し出されることにより、多数本のフィラメントが形成される。各ノズルの両側にはエアー溜が設けられており、これらエアー溜に、樹脂の融点以上に加熱された高温の加熱エアーが送入される。送入された加熱エアーは、エアー溜と連通してメルトブローダイスの先端に開口するスリットから噴出される。これにより、各ノズルからのフィラメントの押し出し方向とほぼ平行な高速気流が生じる。このような構成は、通常のメルトブロー法と同様であるが、ここで説明する製造方法では、メルトブローダイスの近傍の、スリットによる高速気流が発生している領域には、気流振動機構として楕円柱状のコアンダーロールが設けられている。コアンダーロールは、コンベア上のフィラメントの搬送方向とほぼ直交するように配置され、そのロールの中心軸回りで回転させられる。このコアンダーロールは、コアンダ効果を利用して、スリットからの高速気流、およびノズルからのフィラメントの流れる向きを変えることにより、そのフィラメントを周期的に振らせるためのものである。
【0046】
スリットからの高速気流により、ノズルから押し出されたフィラメントがドラフト可能な溶融状態に維持され、高速気流の摩擦力によりフィラメントにドラフトが与えられ、フィラメントが細径化される。次に、フィラメントは、コアンダーロールの回転により引き起こされる随伴流よって、コンベアによる搬送方向すなわち縦方向に周期的に振られる。ここで、メルトブローダイスとコンベアとの間には、高速気流中へ霧状の水を噴射するスプレーノズルが配置されており、このスプレーノズルからの霧状の水によりフィラメントが急冷され、急速に凝固する。このようにして凝固したフィラメントが、縦方向に振られながらコンベア上に集積し、縦方向に部分的に折り畳まれて連続的に捕集される。
【0047】
コンベア上のフィラメントはそのコンベアにより搬送され、延伸温度に加熱された第1の延伸シリンダと押さえローラとにニップされ、第1の延伸シリンダに移される。その後、フィラメントは第2の延伸シリンダと押さえゴムローラとにニップされて第2の延伸シリンダに移され、第1および第2の延伸シリンダに密着される。このようにフィラメントが第1および第2の延伸シリンダに密着しながら送られることで、フィラメントが、縦方向に部分的に折り畳まれた状態のまま、隣接するフィラメント同士が融着したウェブとなり、縦配列ウェブが作製される。
【0048】
第1および第2の延伸シリンダに密着して送られることにより得られたウェブは、さらに、一対の引取ニップローラで引き取られる。ここで、一対の引取ニップローラの周速は第1および第2の延伸シリンダの周速よりも大きくなっており、これにより、ウェブが縦方向に延伸される。このような工程を経て、ウェブが縦方向に延伸されてなる縦延伸不織布が製造される。
【0049】
次に、縦延伸不織布の製造方法について説明する。
【0050】
横延伸不織布を製造する際には、例えば前記特公平3−36948号公報に記載された製造方法および製造装置を用いることができる。その製造方法および製造装置では、まず、上述した縦延伸不織布の製造と同様にコンベアの上方で紡糸ノズルから押し出されたフィラメントが、紡糸ノズルの周囲に配した複数の第1のエア噴出孔からのエア噴出によりスパイラル状に回転させられる。横延伸不織布を製造する場合には、縦延伸不織布の製造の場合とは異なって、第1のエアー噴出孔の外側に、噴出したエアがコンベアによるウェブの搬送方向と平行な方向で互いに衝突するように配された2つの第2のエア噴出孔を設ける。第2のエア噴出孔のそれぞれから噴出されたエアは、回転しているフィラメントの通過経路上で互いに衝突し、コンベアによる搬送方向と直角な方向すなわち横方向に広がる。これにより、回転しているフィラメントは、このエアの勢いで横方向に散らされ、コンベア上には、横方向に配列成分が多い状態でフィラメントが集積される。このようにして得られた横配列ウェブが、フィラメントの配列方向である横方向に延伸されることにより、横延伸不織布が製造される。
【0051】
横配列ウェブを延伸する際には、その特公平3−36948号公報に記載されているように、フィルムや網状体などのウェブを横方向に延伸するテンター方式の延伸装置や、一対のプーリや一対のベルトなどを利用してウェブを横方向に延伸するプーリ式延伸装置を用いることができる。あるいは、その公報に記載されているように、一対の溝付きロールを利用して横延伸ウェブを横方向に延伸してもよい。その際には、一本のロールの径が軸方向に多数の山と谷となっている溝付きロールを使用し、一対の溝付きロールを、一方の溝付きロールの山部と他方の溝付きロールの谷部とが噛み合うように組み合わせる。そして、それら一対のロールの間で横配列ウェブをニップすることにより、そのウェブが横方向に延伸される。
【0052】
直交積層不織布を製造する際には、上記の方法により製造された縦延伸不織布と横延伸不織布を、それらのフィラメントの配列方向が互いに直交するように積層すればよい。縦延伸不織布と横延伸不織布を積層する際には、両不織布をそのまま同じ方向から供給してそれらを積層すれば、直交積層不織布を製造することができる。また、上述したように縦延伸不織布同士あるいは横延伸不織布同士を積層することによっても直交積層不織布を製造することができる。その場合には、一方の不織布を、製造すべき直交積層不織布の幅に合わせた長さに切断し、切断されたものを、もう一方の不織布の供給方向と直角な方向から供給して積層すればよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、フィラメントが一方向に配列され且つ延伸された第1および第2の不織布が、これらのフィラメントの配列方向が互いに直交するように積層されてなる直交積層不織布の一面または両面にランダム不織布が積層されたことにより、第1および第2の不織布による強度や表面特性といった特性を維持しつつ、ランダム不織布の特性を併せ持つ複合不織布を得ることができる。さらに、ランダム不織布の持つ特性によっては、層間の接合力の改善、縫製強度の向上、引き裂き性の向上、フィルタ機能、嵩高性、透湿防水性など、必要に応じて種々の機能を付与することができる。
【0054】
また、本発明の複合不織布の製造方法によれば、直交積層不織布を搬送しつつ、その不織布の上方でフィラメントを紡糸することにより、直交積層不織布上にランダム不織布を直接形成するので、直交積層不織布上にランダム不織布が積層されてなる複合不織布を簡便に製造することができる。
Claims (8)
- フィラメントが一方向に配列され且つその後該方向に延伸された第1および第2の不織布が、これらのフィラメントの配列方向が互いに直交するように積層されてなる直交積層不織布と、前記直交積層不織布の一面または両面に紡糸によって直接積層された、フィラメントがランダムに配列されてなるランダム不織布とを有する複合不織布。
- 前記ランダム不織布はメルトブロー不織布である、請求項1に記載の複合不織布。
- 前記メルトブロー不織布がエレクトレット化されている、請求項2に記載の複合不織布。
- 前記ランダム不織布はスパンボンド不織布である、請求項1に記載の複合不織布。
- 前記スパンボンド不織布は低融点ポリエステル繊維を含む、請求項4に記載の複合不織布。
- 前記ランダム不織布の厚みが50μm以上である、請求項1に記載の複合不織布。
- フィラメントが一方向に配列され且つその後該方向に延伸された第1および第2の不織布が、フィラメントの配列方向が互いに直交するように積層されてなる直交積層不織布の一面または両面に、フィラメントがランダムに配列されたランダム不織布が積層されてなる複合不織布の製造方法であって、前記直交積層不織布を用意する工程と、前記直交積層不織布を搬送しつつ、前記ランダム不織布を形成するためのフィラメントを前記直交積層不織布の上方で紡糸することにより、前記直交積層不織布上に前記ランダム不織布を直接形成する工程とを有する複合不織布の製造方法。
- 前記直交積層不織布上に前記ランダム不織布を直接形成する工程では、紡糸ノズルより吐出された液状ポリマーを熱風で吹き飛ばし、吹き飛ばされた前記液状ポリマーが固化してなるフィラメントを集積させることにより不織布を製造するメルトブロー法を用いる、請求項7に記載の複合不織布の製造方法。
Priority Applications (1)
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