JP3962245B2 - 紡糸異常検出装置及び紡糸異常検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成繊維等の紡糸工程における紡糸異常、特に紡糸口金から吐出されるポリマーの吐出状態の異常を検出して、紡出された糸条の繊度異常の発生を検出する方法及びそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、ポリアミドなどの合成繊維の溶融紡糸工程では、紡糸口金に穿設された吐出孔から溶融ポリマーが繊維状に吐出される。そして、紡糸筒に付設された冷却装置から吹き出される冷却風によって冷却・固化され、油剤付与装置によって糸条に油剤が塗布された後、引き取りローラによって引き取られ、トラバース装置によって綾振りされて巻取機で巻取られる。
【0003】
なお、場合によっては、前記溶融紡糸工程に引き続いて、加熱ローラやその他の加熱手段によって加熱延伸あるいは加熱処理をされた後、トラバース装置によって綾振りされて巻取機で巻取られる。
【0004】
このような溶融紡糸工程において、紡出された糸条の太さが部分的に変化すると、繊度斑となって、製品品質に悪影響を与える。例えば、このような繊度斑が発生すると、加工工程において断糸したり、あるいは後加工工程において染斑が発生したりするといった大きな問題になる。
【0005】
ところで、このような繊度斑が発生する要因としては、いろいろな要因を考えることができる。そして、これらの要因の中でも、紡糸口金からポリマーが吐出される時の吐出状態が不安定であることが大きな問題として挙げられる。
【0006】
なお、この吐出状態の不安定は、ポリマーの溶融温度に問題があったり、紡糸口金に穿設されたポリマーの吐出孔形状に問題があったり、あるいは、ポリマー吐出孔の周りへの異物の堆積が生じていたりすると、発生することは良く知られている。
【0007】
このような要因によるポリマーの吐出不良が生じると、これによって、例えば、通常40μmの直径を有する糸条が所々で60μm、又は20μmとなっていたり、また、異型断面の糸条を得ようとする場合に、所望している糸の断面形状が全く違う形状になっていたりする、いわゆる製品異常が発生する。
【0008】
そこで、このような製品異常の発生を回避するために、溶融紡糸工程において、ポリマーが吐出孔から安定に紡出されているがどうかを監視して、異常事態を検出することができる技術の開発が強く望まれている。
【0009】
このような従来技術として、特開平6−128806号公報、あるいは特開平11−279923号公報において、紡糸ノズルから紡出された後、集束されるまでの間の紡出された繊維を撮影し、得られた映像を判別処理して、この判別処理後の映像パターンを正常パターンと比較することによって異常糸を判別して、検出する技術が提案されている。
【0010】
これらの従来技術に共通する特徴は、先ず、正常紡糸時の糸位置をCCDカメラなどの撮像手段により撮像して、このときのデータを記憶しておき、次いで、紡糸口金の吐出孔から溶融ポリマーが定常的に鉛直下方向に吐出されなくなる異常紡糸時の糸位置と比較して、その相違を検出することにある。
【0011】
しかしながら、このような従来技術では、正常紡糸と異常紡糸とを判別するために、紡出された糸条の位置の変化を検出する必要があり、このために、画像処理技術が必須となる。しかしながら、この画像処理技術に使用する装置とシステムは非常に高価である上に、対象とする紡出糸条の直径が小さくなればなるほど、高精度の検出技術が要求され、これに使用する装置とシステムはさらに高価になって行く。
【0012】
なお、これらの従来技術は、不織布の直接製造装置のように、異常を検出するための溶融紡糸装置の設置台数が少ない場合は、コストやその取り扱いの煩雑さなどはそれ程問題にならない。
【0013】
しかしながら、熱可塑性合成繊維の溶融紡糸に一般に使用される溶融紡糸機においては、その溶融紡糸機一台に対して非常に多くの錘からなる紡糸ユニットから構成されている。
【0014】
このため、これら全錘を対象として紡糸異常をオンラインで検出しようとすれば、各錘毎に測定システムを構築し、各錘毎にCCDカメラのようなむ撮像手段を設ける必要があり、莫大な費用が必要になると共に、その取り扱いも煩雑となる。
【0015】
さらには、このような従来技術を用いたとしても、紡糸異常が発生したこと自体は究明できても、その要因にまで遡って究明するのは極めて困難である。何故ならば、前記従来技術では、飽くまでも正常紡糸時の糸条の正常な走行位置を記憶し、異常紡糸時における紡出糸条の異常走行位置との間の差異を検出するだけであるからである。
【0016】
しかしながら、単に糸条走行位置の差が閾値を越えたかどうかで異常紡糸を判断するだけでは、どのような種類の紡糸異常が発生しているのかを判別することは極めて困難である。このため、何らかの紡糸異常の発生を検出したとしても、この対策を実施するのに難航するといった問題がある。
【0017】
このように、紡出糸条の異常に対して、従来技術では、管理者が期待するような安価なシステムを構築して、これによって思い通りの管理を行うことがきわめて困難であるというのが現状である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、以上に述べた従来技術が有する諸問題を解決することにある。すなわち、紡出された糸条の紡糸異常の発生を簡単かつ安価な方法と装置によって検出し、しかも、その異常発生の要因にまで遡って判別することができ、これに対する対策を迅速に行うことができる紡出糸条の異常検出方法とそのための装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下に述べる本発明の装置と方法により達成される。すなわち、本発明の紡糸異常検出装置として、「紡糸口金に穿設された吐出孔から紡出された糸条から反射又は放射される光量を検出するための光量検出手段と、検出された反射光又は放射光の変動挙動を解析して前記変動挙動から紡出された糸条の吐出異常を判別するための吐出異常判別手段とを備え、
更に、前記吐出異常判別手段が、前記光量検出手段によって検出された光量の変動を所定時間に渡って記憶するための記憶手段と、前記記憶手段によって記憶された光量変動から特定周期の変動発生を周波数解析する周波数解析手段とを備えて、
前記紡糸口金から吐出されるポリマーの周期的なねじれ振動を少なくとも検出することを特徴とする紡糸異常検出装置」が提供される。
【0020】
その際、本発明の紡糸異常検出装置として、前記光量検出手段が紡出された前記糸条から得た光量変化をオンラインで検出する手段とすることが、紡出される糸条を実時間で監視でき、紡糸異常の発生を即座に検出できる点において好ましい。
【0021】
さらに、前記吐出異常判別手段が、前記光量検出手段によって検出された光量と予め設定された閾値とを比較するための比較手段を有し、前記比較手段による比較結果に基づいてポリマーの吐出異常を判別するための手段であることが好ましい。このように前記吐出異常判別手段を構成することによって、紡糸異常の発生を極めて迅速かつ簡単に検出できるため好ましい。
【0022】
更に、本発明の紡糸異常検出方法として、「紡糸口金から紡出された糸条の吐出直後から100mm以内の下流位置で紡糸口金から紡出糸条から反射又は放射される光量を検出し、検出した光量を所定時間に渡って記憶し、記憶した光量データを周波数解析することで特定周期の変動発生を検出し、検出された特定周期の変動から、前記紡糸口金から吐出されるポリマーの周期的なねじれ振動を含む紡糸異常を判別する紡糸異常検出方法」が提供される。
【0023】
この方法によれば、検出された光量変動が持つ特定周期の周波数を検出することによって紡糸異常を判断することができ、さらに、特定周期の周波数と紡糸異常の種類とを対応付けることで、どのような種類の紡糸異常が発生したかを判別することを可能とする。なお、この方法によれば、前記紡糸異常として、ポリマー吐出量の脈動、ポリマーの吐出時のねじれ振動、及びポリマー吐出直後のベンディングを列挙することができ、これらの種類を判別して検出できる。
【0024】
また、本発明のもう一つの紡糸異常検出方法として、「溶融紡糸された糸条から反射又は放射される光量を検出し、検出された前記光量を予め設定した閾値と比較し、検出した前記光量が前記閾値以上であれば紡糸異常と判別する紡糸異常検出方法」が提供される。なお、この方法を使用すれば、紡糸異常の発生を簡単かつ迅速に判別して、これを検知することができる。
【0025】
そして、このような本発明の紡糸異常検出方法によれば、ポリマー吐出量の脈動、ねじれ振動、ベンディングなどの発生による光量変化をはっきりと捉えることができるため、光量検出手段による光量検出感度が良くなる。しかも、オンラインで異常を検出しているため、紡糸異常の発生を異常が発生した時点で即座に検知することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、その詳細を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の紡糸異常検出装置と紡糸異常検出方法とを適用するための溶融紡糸機の構成を例示した模式説明図であり、図2は本発明の紡糸異常検出装置の実施例を具体的に例示した模式説明図である。
【0028】
更に、図3と図4とは紡糸異常(特に、紡糸口金から吐出直後のポリマーの吐出異常)に関して、2種類の紡糸異常が検出された場合について、それぞれの検出例における異常の検出原理を説明するためのグラフである。
【0029】
前記図1及び図2において、Yは紡出された一本のフィラメントからなる糸条、1は紡糸口金、2は光量検出手段、3はデータ処理装置、4は紡糸筒、5は油剤付与装置、6a及び6bは一対の引取ローラ、7は糸条の外径測定器、8は綾振りガイド、そして、9は巻取機をそれぞれ示す。
【0030】
以上のように構成される装置において、本発明の装置と方法を適用する溶融紡糸装置としては、公知の設備を使用することができるので、その詳細説明は省略して、ここでは簡単にその概略だけを説明する。
【0031】
先ず、前記巻取機9は、一般に、生産効率の向上のために、複数錘の糸条(モノ・フィラメント)を同時に巻き上げる多錘取り巻取機が使用されるため、糸条は複数錘からなる紡糸口金群から紡出されることとなる。ただし、前記図1においては、説明の簡略化のために1個の紡糸口金から一錘のモノ・フィラメントを巻き取る例を示している。
【0032】
ここで、溶融紡糸の定法に従って、計量されて紡糸口金1に連続的に定量供給された溶融ポリマーは、前記紡糸口金1から糸条Yとして紡出され、紡糸筒4の上部に設けられた冷却風の吹出装置(図示せず)から吹出された冷却風によって冷却固化され、油剤付与装置5によって油剤を付与された後、引取ローラ6a及び6bによって引き取られる。そして、引取ローラ6a及び6bによって引き取られた糸条Yは、綾振りガイド8を振り支点として、トラバースされながら巻取機9に巻き取られる。
【0033】
なお、前記溶融紡糸装置において、前記引取ローラ6bと前記綾振りガイド8との間には、糸条の外径(繊維直径)をオンラインで測定するための外径測定器7が設けられている。
【0034】
ここで、この外径測定器7は、紡出糸条Yからの反射光又は放射光から得られた光量の変動について、その変動がオンラインで測定された糸条の外径(繊維直径)の変化とどのような相関を持つかを調べるために設けられたものである。したがって、なお、この外径測定器7は、本発明に必須の構成要件という訳ではない。なお、このような外径測定器7としては、例えば、Zimmer社から市販されている外径測定器(型式:460D/2)などを使用することができる。
【0035】
次に、本発明の紡糸異常検出装置について、図2を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0036】
前記図2において、前記光量検出手段2は、紡出された糸条Yに対し、紡糸口金面1から下流側へ距離a、そして、糸条Yからの距離dをそれぞれ保って設けられている。
【0037】
そして、このような位置に設けられた前記光量検出手段2によって検出された光量の変動は、電圧などの電気信号に変換され、図示省略したインターフェース回路を介して、前記データ処理装置3へと送られる。
【0038】
さらに、多数の錘に対して、これらの各錘に対して前記光量検出手段2をそれぞれ設けて、これらの光量検出手段2群を走査する走査手段(図示せず)を前記インターフェース回路(図示せず)に設けて、有意の情報が失われない所定の時間間隔で、順次光量検出手段2群によって検出された光量信号を取り込むようにすることが好ましい。
【0039】
なお、前記光量検出手段2としては、公知の光電変換式センサーを使用するが、このようなセンサーとしては、その光量検出方式として反射型と透過型とがある。
【0040】
ここで、反射型のタイプのセンサーは、投光部と受光部が内蔵されて一体化されており、投光部から光りを糸条に投光し、投光した光が糸条に反射して戻ってくる際の反射光量を検出するものである。
【0041】
これに対し、透過型のタイプのセンサーは、互いに対向して設けられた投光部と受光部の二つの部品で構成され、一方の投光部から光を発し、他方の受光部でその投光された光を受けるタイプのものである。
【0042】
なお、本発明の光量検出手段2においては、その光量検出方式を特定の方式に限定する必要はないが、反射型とすることが設置の容易性を考えるとより好ましい。
【0043】
また、加熱された紡糸口金1に近い雰囲気下での使用を考えると、市販の耐熱式光ファイバーを用いたアナログ出力付きのセンサーを用いることにすると、安価かつ容易に構成できる。なお、アナログ出力付きセンサーを用いる場合には、前記データ処理装置3には、前記インターフェース回路にA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)を設け、このA/D変換器によって、電気信号をデジタル信号に変換した状態で取り込むことは言うまでもない。
【0044】
次に、前記データ処理装置3は、例えば吐出異常判別手段3a、記憶手段3b、そして、表示手段3cなどを含んで構成されている。このとき、前記吐出異常判別手段3aとしては、光量検出手段2から出力されるアナログ電気信号からなる信号をアナログ値のままか、あるいは、いったんデジタル値に変換して周波数解析することができたり、閾値以上の光量変動を検出できたりすれば良い。
【0045】
したがって、前記データ処理装置3は、市販のパソコンを用いて構成したり、市販のプログラマブルコントローラを用いて構成したりしても良く、極めて安価かつ簡単な装置構成とすることができる。
【0046】
その際、前記データ処理装置3は、前記光量検出手段2による紡糸異常の検出状況をモニターするために、必要な情報を表示するための表示手段3cを付設しておくことが好ましい。更には、必要に応じて、紡糸異常の発生を知らせるための警報を発生させる警報機を設けることが異常発生の状況を瞬時に知ることができるため好ましい。
【0047】
また、発生した紡糸異常を解析するために、前記記憶手段3bに記憶された光量変動に係る情報を読み出して、紙、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、磁気テープなどの記録媒体に出力するための出力装置を設けておくことが好ましい。このようにすると、これらの媒体から情報を取り出し、異常が生じた後にその現象を詳細に解析したり、その状況を記録に残したりすることができ、必要が生じた時に、これらの情報を利用することができる。
【0048】
次に、図2に示した前記光量検出手段2の設置位置に関して、距離aは、紡糸口金1から溶融吐出された糸条Yが固化するまでの範囲であれば良いが、紡出された糸条Yの吐出直後から100mm以内の位置に設けることが好ましい。すなわち、距離aは、紡糸口金1直下から糸条Yが走行する下流方向へ100mm以内の位置に設けることが好ましい。
【0049】
さらに、紡糸口金面へより近づける方が、糸条Yが徐々に細化する前の状態(糸がより太い状態)へ遡ることができるため、糸条Yの外径(繊維直径)がより大きくなって、糸条Yから前記光量検出手段2が受ける光量が大きくなるためより好ましい。
【0050】
また、ポリマーの吐出状態が不安定となって、ポリマー吐出量の脈動、ねじれ振動、そして、ベンディングなどが発生する際の糸条Yからの反射光量又は放射光量の変化についても、糸条Yが段々と太くなっていくため、より大きな光量変化として検出できることとなる。
【0051】
このため、前記光量検出手段2の設置位置を上流側へ遡らせることは、上流側へ遡らせることに従って、光量変化をはっきりと明瞭に捉えることができ、光量検出手段2の検出精度が良くなるという点からより好ましい。また、当然のことながら、紡糸口金1から吐出されたポリマーの挙動は、上流側へ遡るほどその影響が顕著に現れるため、この点からも好ましい。
【0052】
さらに、紡出された糸条Yと前記光量検出手段2との間の距離dについては、前記光量検出手段2の光量変化の検出性能により左右される。つまり、光量変化の検出性能がよければ、糸条Yから遠ざけて設けることができるが、通常は糸条Yに近づけて設けるとより好ましい。ただし、この時要求される必要条件として、糸条Yと接触しない距離に常に保つ必要があることはいうまでもない。
【0053】
以上のように構成される本発明の紡糸異常検出装置を用いて、紡糸異常、特にポリマーの吐出異常を検出した実施例について、図3及び図4を参照しながら、以下に紡糸異常の検出方法について詳細に説明する。
【0054】
なお、紡糸異常を検出するのに使用した溶融紡糸装置は、図1に例示したものであって、その際の紡糸条件としては、巻取機9に巻き取られたモノ・フィラメントの繊度は44dtex(40de)であり、その時の巻取速度は700m/minとした。また、ポリマーとして、ポリエーテルエステルエラストマーを使用して、紡糸口金1に穿孔したポリマー吐出孔(孔径:0.8mm)から、前記ポリマーを2.5cc/min/孔で吐出させた。
【0055】
また、この時に紡糸口金1に穿設された吐出孔(図示せず)から吐出されたポリマーに生じる現象を実際の映像として捉えるために、本発明の必須の構成要件ではないCCD(電荷結合素子)からなるカメラ(図示せず)を設けた。そして、このCCDカメラによって、紡糸口金1のポリマー吐出面を撮影することで、前記吐出孔からのポリマーの吐出状況を映像によって観察した。
【0056】
図3及び図4は、前記紡糸条件で連続的に溶融紡糸し、長時間に渡って観察した時に観察された二種類の紡糸異常をそれぞれ例示したグラフである。すなわち、紡出された糸条Yからの反射光量と、比較のために外径測定器7で測定した糸条Yの外径(繊維直径)とを合わせて表示したグラフであって、紡糸口金1から吐出されたポリマーの吐出挙動を表すものである。
【0057】
ここで、図3に例示した紡糸異常は、紡糸口金1から吐出されたポリマーがねじれ振動を起こした場合、図4に例示した紡糸異常は、吐出されたポリマーが不安定になって左右に曲がるベンディングが生じた場合のそれぞれの代表例を示したものである。
【0058】
なお、この図3及び図4において、参照符号10a及び10bは、光量検出手段2が検出した糸条Yからのそれぞれの反射光量を示し、また、参照符号11a及び11bは外径測定器7によって測定された糸条Yのそれぞれの外径測定値を示している。
【0059】
ここで、図3に例示したねじれ振動は、紡糸口金1に穿孔された吐出孔からポリマーが吐出される際に、ポリマーが周期的なねじれ変形を起こす現象である。なお、この現象は、モニターを目的として設けた前記CCDカメラによって撮像されたビデオ映像に基づいて解析した結果によって得られたものである。
【0060】
その際、このねじれ振動は、前記図3では点線12aで示した時点において、その発生が始まっているが、それ以前ではこのような異常現象は前記CCDカメラでも観察されずに、ポリマーは正常な状態で吐出孔から吐出されていたのが観察されたことは言うまでもない。
【0061】
また、前記図3より明らかな如く、このねじれ振動は、周期的な波形を有する特定の振動波形として現れるが、その振動波形の特定周期が糸条Yからの反射光量10の変化として、光量検出手段2によって、はっきりと捉えられていることが分る。
【0062】
さらに、このねじれ振動発生と同時に、外径測定器7で得られた糸条Yの外径(繊維直径)も変動していることが分り、ねじれ振動の発生によって糸条Yの繊度に異常が発生したことを示している。また、この時の反射光量10aの変動周期を求めると、一定の周期(本例では3.6Hz)で変動していることも分った。
【0063】
従って、光量検出手段2によって検出される糸条Yからの反射光量の変動を検出すれば、図3のような紡糸異常が生じた場合に、この紡糸異常が吐出されたポリマーのねじれ振動によるものであることが、その変動の周波数から解析することができる。そして、ねじれ振動の発生時点からねじれ振動の終了時点までの間
のねじれ振動の継続時間とその状態を検出することができ、必要に応じて、その挙動を表示手段3cに表示することができる。
【0064】
次に、図4は吐出孔から紡出されたポリマーが吐出直後にその吐出方向が左右に折れ曲がる、いわゆる「ベンディング発生」の場合の例を示したものである。
ここで、「ベンディング」とは、吐出孔の出口において、吐出されたポリマーが大きく前後、あるいは左右に折れ曲がる現象のことであり、ポリマーが前後あるいは左右に折れ曲がり振動を起こす場合も含む。
【0065】
前記図4において、10bが光量検出手段2によって検出された糸条Yからの反射光量を示し、11bは外径測定器7による糸条Yの外径(繊維直径)の測定値をそれぞれ示している。そして、この図4では、周期的なねじれ振動が継続して発生している状態から、吐出されたポリマーがまさにベンディングへ移行する瞬間を捉えたグラフを示したものである。つまり、前記図4に示した点線の楕円12bで囲んだ挙動が生じた瞬間にベンディングが発生したことを示している。
【0066】
このベンディング発生の状況は、既に述べたCCDカメラによって、ビデオ映像として撮像され、このビデオ映像から、確かにベンディングが発生したことを確認している。このとき、反射光量10bは大きな変動を示し、このとき、外径測定器7によって測定された糸条Yの外径(繊維直径)11bは20μm程度太くなっていることが分る。
【0067】
したがって、ベンディングの発生により、大きな繊度異常が発生し、糸条に繊度斑という欠陥が生じたことが分る。このように、光量検出手段2によって反射光量又は放射光量の大きな変動を検出すれば、その時生じた紡糸異常が「ベンディング現象」によるものであることを検知することができる。また、ポリマー吐出の異常による繊度異常に関しても、光量検出手段2による反射光量を監視することで検出できる。
【0068】
以上に述べたように、本発明の紡糸異常検出方法では、図2に示した吐出異常判別手段3を用いて、光量検出手段2から得られる光量変動を常時周波数解析し、周期的な光量変動の発生を検出すると共に、光量変動に係る異常ピーク発生を検出し、紡糸異常を検出している。
【0069】
しかも、本発明の紡糸異常検出方法によれば、単に紡糸異常が発生したことが検知できるのみならず、どのような種類の紡糸異常が発生したかを判別することができる。このため、発生した紡糸異常の種類を識別して、識別した紡糸異常に対応した対策を簡単かつ迅速に実行に移すことができる。
【0070】
なお、前記周波数解析には市販の周波数解析ソフトを使用しても良く、また、前記ピーク置の検出には市販のプログラマブルコントローラを使用することができる。そして、このような吐出異常判別手段3によって、異常が検出されると、液晶モニターなどの表示手段3cに異常発生を表示するようにしてもよく、警報器と連動させて警報を発しても良い。
【0071】
また、本方法により紡糸口金面から吐出されたポリマーのねじれ振動やベンディングが検出できるのであるが、場合によってはどちらか一方だけの検出でも良いが、両方を検出する方が、ねじれ振動の発生によりベンディング発生を予兆できるので好ましい。
【0072】
以上の本発明に係る紡糸異常検出方法とそのための装置は、特に光量検出手段2のセッティングが容易なことからモノ・フィラメントをその実施例としているが、その他マルチフィラメントの紡糸工程においても広く適用できるものであることは、その趣旨より明らかである。
【0073】
【発明の効果】
以上に説明してきた通り、本発明は、紡糸口金から吐出されるポリマーの吐出量の脈動、ポリマーのねじれ振動、ベンディング発生などを光量検出手段2により検出して、紡糸異常の発生とその異常の種類とをオンラインで検出する方法と装置に関するものである。具体的には、糸条Yの反射光量又は放射光量の変動を光量検出手段2によって監視することで、紡糸異常の発生検出を可能としたものである。
【0074】
したがって、従来技術のように高価なシステムを使用して、紡出された糸条の正常時走行位置と異常時走行位置との間の相違を画像処理によって求める必要はなく、安価かつ簡易な装置構成とすることができる。このため、紡糸異常を監視する錘数が多くなっても、紡糸異常を検出するシステムを安価に構成することができ、多錘紡糸機のオンラインでの品質管理装置設置に多大な効果を発揮する。
【0075】
また、紡糸異常の発生が判明し、不良製品が市場に出ることをくい止められ、更に、異常発生の原因を迅速かつ簡単に特定できるため、口金面清掃を実施したり、変化した紡糸条件を正常な条件に戻したりといった対策を即座に採ることができるという利点も有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の紡糸異常検出装置と紡糸異常検出方法とを適用するための溶融紡糸機の構成を例示した模式説明図である。
【図2】 本発明の紡糸異常検出装置の実施例を具体的に例示した模式説明図である。
【図3】 紡糸異常の検出例において、異常の検出原理を説明するためのグラフである。
【図4】 紡糸異常の他の検出例において、異常の検出原理を説明するためのもう一つのグラフである。
【符号の説明】
1 紡糸口金
2 光量検出手段
3 データ処理装置
4 紡糸筒
5 油剤付与装置
6a、6b 引取ローラ
7 外径測定器
8 綾振りガイド
9 巻取機
Claims (6)
- 紡糸口金に穿設された吐出孔から紡出された糸条から反射又は放射される光量を検出するための光量検出手段と、検出された反射光又は放射光の変動挙動を解析して前記変動挙動から紡出された糸条の吐出異常を判別するための吐出異常判別手段とを備え、
更に、前記吐出異常判別手段が、前記光量検出手段によって検出された光量の変動を所定時間に渡って記憶するための記憶手段と、前記記憶手段によって記憶された光量変動から特定周期の変動発生を周波数解析する周波数解析手段とを備えて、
前記紡糸口金から吐出されるポリマーの周期的なねじれ振動を少なくとも検出することを特徴とする紡糸異常検出装置。 - 前記光量検出手段が紡出された前記糸条の光量変化をオンラインで検出する手段である請求項1記載の紡糸異常検出装置。
- 前記吐出異常判別手段が、前記光量検出手段によって検出された光量と予め設定された閾値とを比較するための比較手段を有し、前記比較手段による比較結果に基づいてポリマーの吐出異常を判別するための手段である請求項1又は請求項2に記載の紡糸異常検出装置。
- 紡糸口金から紡出された糸条の吐出直後から100mm以内の下流位置で紡糸口金から紡出糸条から反射又は放射される光量を検出し、検出した光量を所定時間に渡って記憶し、記憶した光量データを周波数解析することで特定周期の変動発生を検出し、検出された特定周期の変動から、前記紡糸口金から吐出されるポリマーの周期的なねじれ振動を少なくとも含む紡糸異常を判別する紡糸異常検出方法。
- 検出された前記光量を予め設定した閾値と比較し、検出した前記光量が前記閾値以上であれば紡糸異常と判別する請求項4に記載の紡糸異常検出方法。
- 前記紡糸異常として、更に,ポリマー吐出直後のベンディングを検出することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の紡糸異常検出方法。
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