JP2004250837A - 単繊維切れ検出方法とその装置、並びにそれを用いた繊維製造工程の管理方法とその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】繊維製造工程において、走行する糸条から切断した単繊維を毛羽として飛び出させると共に、飛び出させた毛羽を毛羽検出手段により非接触で検出できる方法と装置であって、更に、この検出方法と検出装置を使用することによって、検出した毛羽の個数をデータ処理手段によってカウントして集計し、これによって繊維製造工程の工程調子の良否を判断すると共に、各種製造条件の適正化を行う工程の管理方法とそのための装置である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の単繊維群からなる糸条を製造するための繊維製造工程における単繊維切れを良好に検出するための方法とその装置に関し、更に、これら方法と装置によって、繊維製造工程での工程調子の監視と改善を行う繊維製造工程の管理方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業資材用途に使用される合成繊維が注目されている。例えば、炭素繊維を例に採って説明すると、その優れた弾性力や強力などの特性によって、その需要が増大しているが、その反面で、その品質の確保や生産性の向上が重要な課題となってきた。このような炭素繊維の製造、特に高性能を有する長繊維形態を有する炭素繊維の製造は、ポリアクリルニトリル繊維(以下、“PAN繊維”と称する)を乾・湿式紡糸によって紡糸・延伸して前駆体(プリカーサー)を得た後、この前駆体を耐炎化処理した後、これを不活性ガスの雰囲気下で高温焼成してPAN系炭素繊維を製造する方法が一般的である。
【0003】
その際、炭素繊維の前駆体であるPAN繊維の製造は、紡糸口金に設けた細孔よりエアギャップを介して、凝固液中に紡糸原液を吐出し、凝固液との接触により凝固を行わせた後に、付着した凝固液を分離するために水洗、薬液処理等の工程を経て乾燥工程で乾燥させた後、更に延伸、熱処理等を実施して製品とするのが一般的である。なお、炭素繊維用前駆体としてのPAN繊維は湿式紡糸法または乾湿式紡糸法で製造される場合が多く、特に乾湿式紡糸法で得たアクリル系繊維を前駆体として製造される炭素繊維はより高い強度を発現させることができる。このため、炭素繊維用の前駆体繊維の製糸方法としての乾・湿式紡糸法はその重要性をさらに大きなものとしている。
【0004】
しかしながら、このようにしてPAN繊維を乾・湿式紡糸する方法は、溶融紡糸方法と較べて紡糸速度が遅く、多錘取りが困難なことから生産性が低い欠点があった。そこで、この欠点を解決するために種々の設備対応が行われてきた結果、紡糸速度が向上し、多数本の糸条を並行して処理する多錘取りも可能となってきている。しかも、工程を連続化して生産効率を上げるために、乾・湿式紡糸工程で一旦糸条を巻き取ることなく、直ちに延伸工程、熱処理工程などが行われるようになってきた。
【0005】
このPAN繊維の製造に限らず、一般の産業資材用繊維の製造においても、勿論、生産速度の向上と多錘取りを安定な工程調子の下で行うといった課題は存在する。ところが、一般の産業資材用繊維の製造において、このPAN繊維のように製糸速度の向上と多錘取りとが行われ、更に延伸工程、熱処理工程も連続して行われるようになると、その反面で、単繊維切れ(以下、「毛羽」とも称する)や断糸の多発、あるいはこれに起因する工程調子の悪化といった好ましくない現象の発生も同時に顕著になってきた。そこで、このような工程調子の悪化が発生する要因を究明して、製糸工程調子の改善を行うことが要望されるようになってきた。
【0006】
以下、この点に関して、特に、産業資材用途で問題となっている毛羽を例に採って考える。先ず、炭素繊維に例を採ると、毛羽の発生は、高弾性率であって、しかも高強度を有する炭素繊維を得ようとすると、PAN繊維の段階において高倍率で延伸して配向を促進させるなどの過酷な製造条件と、前述のような生産速度の高速化及び多錘化といった製造条件が要求されることにあり、このような過酷な製造条件によって毛羽を誘発し易い状況が作り出されている。しかも、炭素繊維はその本来的な性質としては、剛直で脆い性質のため、もともと毛羽を発生しやすい性質を持ち合わせているために、PAN繊維を炭素繊維とするための製造工程においても、さらに毛羽を誘発し易い状況を作り出している。
【0007】
そこで、このような産業資材用途の繊維製造工程において、切断した単繊維(以下、“毛羽”とも称する)をオンラインで効果的に検出し、工程管理に役立てることが試みられている。例えば、このような毛羽検出技術としては、特公昭52−18819号公報、特開2000−199167号公報、あるいは特公昭62−261号公報などにおいて、糸条に発生した毛羽を毛羽検出プローブに直接接触させ、その反力を検出することで毛羽を感知する方式が提案されている。
【0008】
そこで、以下に、これらの従来技術について簡単に説明すると、先ず、特公昭62−261号公報に提案されている毛羽検出器は、その公報の実施例に記載されているような4m/秒程度の低速で走行する糸条に発生した毛羽を検出するためには効果がある。しかしながら、この従来技術は多数の単繊維群からなる糸条に発生した毛羽を糸条からどのようにして飛び出させるかと言う点に関しては、何等の提案もなされていない。
【0009】
そこで、毛羽を高速製糸条件下でも検出でき、しかも糸条中から毛羽を積極的に飛び出させる技術が前掲の特公昭52−18819号公報や特開2000−199167号公報に提案されている。すなわち、この従来の毛羽検出技術は、高速走行する糸条がその走行方向を変える際に発生する遠心力を利用して、切断された単繊維の一端を毛羽として遠心力によって糸条本体から遊離させ、遊離させた毛羽を毛羽検出器に衝突させ、その衝突時に発生する衝撃力を検出する技術である。したがって、この従来技術によると、遊離する毛羽の方向が遠心力の作用方向となり、この部分に毛羽検出器を設けることができるため、前述の特公昭62−261号公報に記載されているような技術が有する問題を解消できる。
【0010】
ところが、この従来技術では、毛羽を糸条本体から遊離させる遠心力を得るために、糸条の走行方向を変更するためのローラなどの遠心力を生成させるための機器と組み合わせることが必要である。しかも、糸条本体から遊離させた毛羽を精度良く検出するためには、接触式の毛羽検出器をこれらの機器の極めて近傍に設置する必要がある。しかしながら、このように毛羽検出器とローラなどを一体として近接させて設けることが必須となると、断糸時や製糸装置の立ち上げなどにおいて、装置への糸掛け時にこれらの機器が障害となったり、断糸した単繊維の糸端がローラに巻き付いたり、毛羽検出器に糸条が巻き付いたりすることも生じる。更には、本質的にこれらの技術は、糸条の走行方向を変更させて遠心力を得ることが必須となるために、直進走行する糸条に対しては良好に毛羽を検出することが難しいという根本的な問題を内包している。
【0011】
したがって、断糸が生じると糸条が巻きつきやすいという問題を有し、さらには、ローラに糸条を巻廻する際に作業の妨げとなる回転ローラ近傍に毛羽検出器を設けず、更にその上で、高速で直進走行する糸条に対しても効果的に毛羽の発生を検知することができる毛羽検出器が要望されている。
【0012】
このような状況下にあって、前述のよえな従来技術が有する問題を解消でき、しかも、PAN繊維の製造工程などの産業資材用繊維の製造工程において発生する毛羽の発生原因を究明して、製造工程を安定化することは極めて重要である。しかしながら、その原因究明に当たっては、同一錘に特異的に毛羽が発生するような状況であればその原因究明は容易であるが、そうでない場合には、前述の多錘化に伴って、その要因を特定することには多くの労力と困難を伴うこととなる。このため、巻取機で巻き取られる前の走行糸条に対して毛羽センサを設置して、毛羽の発生量を検知することで、異常品の市場流出を食い止める等の措置が実施されている。しかしながら、このような方法では、当然のことながら、毛羽そのものの発生要因(酷い場合には“断糸”となる)の特定にまでは結びつかず、市場での問題が発生する前に毛羽の多い異常品を製造工程で事前に発見することに注力されているに過ぎない。
【0013】
このため、例えば、特開平5−44104号公報に提案されている従来技術のように、紡糸口金直下のエアギャップ部に気体を流通させることによって紡糸の安定化を図ったり、特許第2891115号公報に提案されている従来技術のように凝固浴内での凝固液の乱れを整流したり、あるいは特開平7−42012号公報に提案されている従来技術のように紡糸口金と凝固液の供給部を組み合わせて紡糸安定性を向上させたりする等の製紙技術の改善を行い、これによって、工程調子の安定化が行われているに過ぎない。
【0014】
ところが、連続的に繊維が製造される生産工程中では、不良品の発生を少なくして歩留まりを向上させることが重要であって、多くの不良品が発生して始めて、工程が悪化していることが分かっても手遅れであって、歩留まりの向上には繋がらない。つまり、多くの不良品が発生するような前兆を的確に検知し、その原因を取り除くことが極めて重要となる。しかも、産業資材用繊維に必要とされる高性能な機能を得るためには、過酷な製造条件が必要とされるために、このような製造条件下でも制約が少なく、しかも、容易に適用できる技術が要求されている。しかしながら、このような前兆を捉えて工程調子の良、不良をオンラインにて判断する簡易な手法が確立されていない。また、機台清掃等で設備を休止した後の生産再開に関して、休止前後における工程調子の良否判断や、改善した問題点の改善効果を確認するような指標や手法も確立されていない。
【0015】
【特許文献1】
特公昭52−18819号公報
【0016】
【特許文献2】
特開2000−199167号公報
【0017】
【特許文献3】
特公昭62−261号公報
【0018】
【特許文献4】
特許第2891115号公報
【0019】
【特許文献5】
特開平5−44104号公報
【0020】
【特許文献6】
特開平7−42012号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、繊維製造工程中に単繊維切れが発生しても、前述のような従来技術が有する諸問題を惹起することなく、これを良好に検知できる装置と方法を提供することにある。また、これらの方法と装置を用いることによって、製糸速度の高速化や多錘化、あるいは繊維の製造条件の過酷化などによって誘起される毛羽や断糸の発生を良好に検出して、繊維製造工程における工程調子の良否判断、及び異常箇所の究明、さらに工程中の処理機器の設定適正化などの工程管理を可能とする工程管理方法とその装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、以下に述べる本発明が提供される。
【0023】
先ず、請求項1記載の本発明のように、
「一本の糸条が多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条を横一列に並列配置して走行させ、
前記走行糸条を張力付与状態に置いて切断した単繊維を飛び出させ、そして
前記走行糸条に対しては非接触状態で飛び出させた前記単繊維をオンライン検出することを特徴とする単繊維切れ検出方法」が提供される。
【0024】
その際、請求項2に記載の本発明のように、「合成繊維の延伸工程、あるいは乾・湿式紡糸における直接紡糸延伸工程に適用する請求項1に記載の単繊維切れ検出方法」とすることが望ましい。
【0025】
また、請求項3に記載の本発明のように、「前記走行糸条に生じた単繊維切れを複数の異なる位置で検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の単繊維切れ検出方法」とすることが望ましい。
【0026】
また、請求項4に記載の本発明のように、「切断した前記単繊維を非接触で検出する請求項1〜3の何れかに記載の単繊維切れ検出方法」とすることが望ましい。
【0027】
また、請求項5に記載の本発明のように、「一本の糸条が多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条と交差するように前記糸条の上方及び/又は下方に近接させてレーザ光を照射し、
前記糸条中から飛び出した前記切断単繊維が前記レーザ光を横切ったことを検知して単繊維切れを検出する請求項1〜4記載の単繊維切れ検出方法」とすることが望ましい。
【0028】
また、請求項6に記載の本発明のように、「一本の糸条が多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条を横一列に並列配置して走行させ、
前記走行糸条に対して遠心力を与え、前記遠心力によって切断した単繊維を飛び出させ、
前記走行糸条と交差するように前記走行糸条の上方及び/又は下方に近接させて前記走行糸条の一側方からレーザ光を照射し、
他側方において前記糸条中から飛び出した前記切断単繊維が前記レーザ光を横切ったことを、照射された前記レーザ光の光量変化によって、検知し
飛び出させた前記単繊維をオンライン検出することを特徴とする単繊維切れ検出方法」が提供される。
【0029】
そして、請求項7に記載の本発明のように、「前記走行糸条を拡幅させることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の単繊維切れ検出方法」とすることが望ましい。
【0030】
次に、請求項8に記載の本発明のように、「一本の糸条が多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条を横一列に並列配置させて緊張させた状態で前記糸条を走行させる張力付与手段と、
前記走行糸条に対して非接触状態で切断した単繊維を検出する毛羽検出手段とを少なくとも具備する単繊維切れ検出装置」が提供される。
【0031】
その際、請求項9に記載の本発明のように、「前記張力付与手段が、前記走行糸条の上流側と下流側とに所定の間隔をおいて設けられ、かつ上流側と下流側との間の回転速度差によって前記走行糸条に対して張力を付与する回転体である請求項8記載の単繊維切れ検出装置」とすることが望ましい。
【0032】
また、請求項10に記載の本発明のように、「請求項8記載の毛羽検出手段が、
前記走行糸条の一側方に設けられ且つ前記走行糸条の上方及び/又は下方に近接交差するようにレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、
前記走行糸条の他側方に設けられ且つ前記糸条中の切断した単繊維が前記レーザ光を横切って生じる光量変化を感知するレーザ光受光手段とを少なくとも具備する請求項8又は9に記載の単繊維切れ検出装置」とすることが望ましい。
【0033】
このとき、また、請求項11に記載の本発明として、「一本の糸条が多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条を横一列に並列配置させて遠心力を前記走行糸条に付与する遠心力付与手段と、
前記走行糸条の一側方に設けられ且つ前記走行糸条の上方及び/又は下方に近接交差するようにレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、前記走行糸条の他側方に設けられ且つ前記糸条中の切断した単繊維が前記レーザ光を横切って生じる光量変化を感知するレーザ光受光手段とを少なくとも有する毛羽検出手段とを具備する単繊維切れ検出装置」が提供される。
【0034】
そして、請求項12に記載の本発明のように、「前記走行糸条を拡幅するための拡幅手段を備えた請求項8〜11の何れかに記載の単繊維切れ検出装置」とすることが望ましい。
【0035】
更に、請求項13に記載の繊維製造工程の管理方法に係る本発明として、「請求項1〜12の何れかに記載の単繊維切れ検出方法又は単繊維切れ検出装置を用いて単繊維切れを検出し、予め設定した時間内に発生する単繊維切れ回数を集計し、集計した単繊維切れ回数によって繊維製造工程の工程調子を管理する繊維製造工程の管理方法」が提供される。
【0036】
その際、請求項14に記載の本発明のように、「前記単繊維切れが検出されると予め設定された時間が経過するまでの間単繊維切れ回数を数えない請求項13記載の繊維製造工程の管理方法」とすることが望ましい。
【0037】
また、請求項15に記載の本発明のように、「前記単繊維切れが検出されると予め設定された時間が経過するまでの間前記単繊維切れを連続検出し、この間に検出した単繊維切れ回数が所定回数を超えると品質格下げパッケージが発生したと判別する請求項13記載の繊維製造工程の管理方法」とすることが望ましい。
【0038】
また、請求項16に記載の本発明のように、「異なる複数の位置で単繊維切れを検出する際に、上流側で単繊維切れが検出された際に単繊維切れを検出した時間から前記切断単繊維が下流側の検出位置を通過するまでの遅延時間を演算し、演算した遅延時間後に通過する単繊維切れを数えないように単繊維切れの検出回数を補正する請求項13〜15の何れかに記載の繊維製造工程の管理方法」とすることが望ましい。
【0039】
また、請求項17に記載の本発明のように、「繊維製造工程に係る各種製造条件を前記単繊維切れの検出と連動させて監視し、単繊維切れの発生回数によって工程調子の悪化が検知された時点で、連動させて監視した前記各種条件の異常を管理する請求項13〜16の何れかに記載の繊維製造工程の管理方法」とすることが望ましい。
【0040】
そして、請求項18に記載の本発明のように、「前記各種製造条件が、乾・湿式紡糸に供するドープ温度である請求項17に記載の繊維製造工程の管理方法」とすることが望ましい。
【0041】
次に、繊維製造工程の管理装置に係る本発明として請求項19に記載のように、「請求項8〜12の何れかに記載の単繊維切れ検出装置と、前記単繊維切れ検出装置によって検出された単繊維切れの回数を集計するデータ処理手段とを少なくとも具備する繊維製造工程の管理装置」が提供される。
【0042】
その際、請求項20に記載の本発明のように、「糸条走行方向に沿って異なる位置に設けられた複数の前記毛羽検出手段と、上流側に設けられた前記毛羽検出手段によって単繊維切れを検出した時間から切断された前記単繊維が通過するまでの遅延時間を演算して上流側で検出された単繊維切れを下流側に設けられた前記毛羽検出手段によって数えられないように補正する単繊維切れ検出回数の補正手段を具備する請求項19に記載の繊維製造工程の管理装置」とすることが望ましい。
【0043】
そして、請求項21に記載の本発明のように、「検出された単繊維切れの発生情報を時系列的に出力する出力手段を更に具備する請求項19又は20に記載の繊維製造工程の管理装置」とすることが望ましい。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、その詳細を図面に基づいて詳細に説明する。
【0045】
図1は、本発明を好ましく適用できる乾・湿式紡糸法による芳香族ポリアラミド繊維の製糸プロセスに係る一実施形態を概念的に例示した模式説明図である。この図1において、Yは紡出された多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条、1は紡糸口金、2は凝固浴、3は水洗浴、4は乾燥装置、5、7、9は回転体(以下の説明では、これらを区別してそれぞれ「デリベリーローラ5」、「第1延伸ローラ7」、そして「第2延伸ローラ9」と称する)、6、8は加熱装置(以下の説明では、これらを区別してそれぞれ「第1ヒータ6」及び「第2ヒータ8」と称する)、10はオイリングローラ、11は引取りローラ、12は巻取機をそれぞれ示し、これらは乾・湿式紡糸法における紡糸・延伸装置を構成する。
【0046】
以上のように構成される製糸プロセスにおいて、先ず乾・湿式紡糸が行われるが、この乾・湿式紡糸に使用する紡糸原液は、例えば、特開昭51−136916号公報に記載の方法によって調整することができるので、その詳細説明は省略する。なお、このようにして調整された紡糸原液は、以下に述べる乾・湿式紡糸により繊維化される。
【0047】
すなわち、前記紡糸原液を所定量に計量しながら連続的に紡糸口金1へ供給して紡糸口金1から紡出し、紡出した前記紡糸原液をエアギャップ部を経て凝固浴2へ送って、この凝固浴2内に満たされた凝固液と接触させて凝固させ、糸条Yを形成させるのである。その後、このように形成させた糸条Yを水洗浴3で糸条Yに付着した凝固液を水洗し、乾燥装置4によって乾燥させる。
【0048】
次に、前記乾・湿式紡糸に引き続いて、延伸工程が始まるが、この延伸工程では、例えば、図示したように所定の延伸倍率に合わせて回転速度差つけられたデリベーローラ5と第1延伸ローラ間に設けられた第1ヒータ6によって加熱されながら第1段目の延伸が行われ、次いで、これも所定の延伸倍率に合わせて回転速度差がつけられた第1延伸ローラと第2延伸ローラ9間に設けられた第2ヒータ8によって加熱されながら第2段目の延伸が行われる。そして、オイリングローラ10によって、延伸後の糸条Yに油剤が付与されて、最終的に巻取機12によって巻取られる。
【0049】
なお、本例では、乾・湿式紡糸工程で一旦糸条を巻き取ることなく、連続的に延伸する直接延伸設備を示したが、乾・湿式紡糸工程と延伸工程が別々に行なわれる別延伸の場合は、前述の乾燥工程の後、巻取機によって一旦巻取られる。なお、その詳細は後述するが、前記延伸工程において、デリベーローラ5、第1延伸ローラ7、及び第2延伸ローラ9は、本発明で言う「張力付与手段」でもある。
【0050】
ここで、図1に例示した一実施形態のように構成される乾・湿式紡糸直接延伸工程において、参照符号A、B、及びCは、糸条Yに単繊維切れが発生した場合に、発生した単繊維切れを検出する位置である。ただし、単繊維切れを検出する位置は、この3カ所(A、B、及びC)に限定する必要はない。例えば、状況に応じて巻取機の直前等に設置しても良く、その場合、各錘にそれぞれ設置すると、単繊維切れの発生が多い格下げ品の選別に有効となる。しかしながら、A、B、及びCの3カ所にそれぞれ設置すると、単繊維切れの発生箇所を特定できるという利点がある。
【0051】
すなわち、先ず、A位置では、糸条Yを挟み込んで把持する、上下一対に設けられたデリベリーローラ5と第1延伸ローラとの間で延伸張力が作用して緊張状態にある。したがって、紡糸口金1からデリベリーローラ5までを走行する間に単繊維切れが発生すると、デリベリーローラ5を通過直後に、切断された単繊維が緊張状態から開放されて弛緩する際に走行糸条Yから毛羽yとして飛び出してくる(図2参照)。なお、このような毛羽yとしては、図2(a)のように一本の単繊維が切断したもの、あるいは図2(b)のように複数本の単繊維が切断しこれらが絡まった状態のものがある。
【0052】
また、B位置に関しては、主に第1段延伸が行われる第1ヒータ6内を緊張状態で走行する糸条Yに対して、第1ヒータ6内で単繊維切れが発生すると、この単繊維は緊張状態によって現出される引張り力に抗する反力によって弛緩状態へ急激に移行して逆に縮むために、切断された単繊維である毛羽yが糸条Yから飛び出す。さらに、C位置に関しても、B位置と同様の理由で、主に第2ヒータ8内で切れた単繊維が張力の緩みによってスナップバックして毛羽yとして飛び出してくる。
【0053】
以上に説明してきたように、毛羽yが糸条Yから飛び出すのを促進するためには、糸条Yを緊張状態で走行させることが効果的であるから、走行する糸条Yに緊張状態を現出するための張力付与手段が設けられることが必要である。しかしながら、この張力付与手段は特別なものを設ける必要はなく、例えば図1に例示した製糸プロセスに則して説明すると、デリベリーローラ5、第1延伸ローラ7、そして、第2延伸ローラ9が、「一本の糸条が多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条を緊張状態で横一列に並列配置させて前記走行糸条を所定の間隔をおいて把持しながら走行させる張力付与手段」を兼ねている。つまり、回転ローラ間の速度差によって糸条Yを引き伸ばして延伸する延伸工程があれば、自動的に前記の張力付与手段が備わっていると言える。
【0054】
しかも、単繊維切れや断糸は、前述の糸条を加熱しながら引き延ばすという延伸工程のような過酷な処理が行われる工程でより多く発生するともいえる。したがって、延伸工程で単繊維切れをオンライン検出することは、より好ましい実施態様でもある。なお、図1に例示した製糸プロセスにおいて、発生した毛羽yを単に検出するだけであれば、C位置で毛羽yを検出するだけでもよい。
【0055】
しかしながら、図1の製糸プロセスでは二段の延伸工程が存在する。したがって、単繊維切れの発生がどちらの延伸工程で発生するかを見極めたい場合には、どの延伸工程で毛羽yが発生したのかを特定することが必要となる。そこで、図示したA、B、及びCのそれぞれの位置に毛羽検出手段を設置することにすれば、第1段の延伸工程に入る前に単繊維切れが発生したのか、第1段延伸中に単繊維切れが発生したのか、あるいは第2段延伸中に単繊維切れが発生したのかを特定することができる。なお、単繊維切れがどの位置で発生したのかを特定することに関しては、ここでは説明を省略して、その詳細は後述する。
【0056】
本発明において、走行する糸条Yから毛羽yを飛び出させるためには、前述の緊張状態を現出させると共に、糸条を構成する単繊維群(マルチフィラメント)を拡幅させることも効果的である。なお、本発明で言う“拡幅”とは、“団子状に集束あるいは集束しようとする単繊維群を横方向にフィルム状に広げた状態に維持する”ことを指す。つまり、単繊維群が集束した状態では、切断した単繊維が毛羽yとして糸条から飛び出し難いから、各単繊維がバラバラになるような状態を現出させて、単繊維切れが発生して生成された毛羽yを糸条から飛び出しやすくするのである。
【0057】
なお、前記の「拡幅作用」は、本発明の図1の実施形態例においては、前記デリベリーローラ5が上下一対に設けられたローラを有し、この上下一対のローラによって、糸条Yを挟み込んで扁平化することにより行われている。なお、その他の「拡幅」方法としては、走行する糸条Yとの間で低摩擦係数を有する棒状ガイドを設け、この棒状ガイドに糸条Yを接触走行させることなどによっても行うことができる。なお、このような「拡幅」において肝要なことは、走行する糸条Yに与えるダメージを少なくして、単繊維群を横方向へフィルム状に広げることにある。
【0058】
このためにも、本発明においては、切断した単繊維を接触式及び/又は非接触式の毛羽検出手段で検出することには余り問題はないが、少なくとも毛羽検出手段と走行糸条Yとは非接触状態に維持させることが必要である。特に、複数個の毛羽検出手段を設置する場合には、走行糸条Yと接触する機会を可能な限り無くして、走行糸条Yにダメージを与えないためにも非接触式とすることが必要である。
【0059】
なお、言うまでもなく、図2のように一本の糸条を構成する単繊維群が拡幅させられると、横方向にフィルム状に広がった状態で互に並行して走行することとなり、多錘糸条が並行して同時に処理される多錘取りの場合では、前記の単錘糸条の場合同様に、各糸条を構成する単繊維群が拡幅された状態で横一列に並行して走行することになる。すなわち、多錘糸条の場合は、各錘毎に所定の間隔を置いて、各錘糸条を構成する単繊維群が横方向にフィルム状に広がった状態で走行することとなる。その際、何れかの糸条に単繊維切れが発生すると、図2に示したように毛羽yが走行する糸条Yから飛び出してくる。このとき、多数の単繊維が切れていると、毛羽yが多数本となることは言うまでもない。
【0060】
そこで、本発明は、緊張状態下で、好ましくは拡幅された糸条Yから飛び出した毛羽yを検出することを一大特徴とするものであって、以下、このための方法と装置について、図3を援用しながら具体的に説明する。なお、前記図3において、図(a)は走行する糸条Yから離れて飛び出した毛羽yを検出するための原理を説明するための模式斜視図であり、図(b)はその模式側面図である。
【0061】
前記図3において、31は毛羽検出手段であって、Lはレーザ光であり、このレーザ光Lは、図示したように、並列して走行する糸条Yの上方に間隔dをおいて糸条Yと交差するように常時照射されている。したがって、糸条Yから飛び出す毛羽yが発生しない間は、レーザ光Lは糸条Yによって遮られることがない。なお、前記毛羽検出手段31としては、レーザ光Lを常時照射する照射手段を有する照射部と、照射されたレーザ光を受光する受光手段を有する受光部とが互に対向させられて設けられたレーザセンサによって構成され、図3に示したような状態において、毛羽yがレーザ光Lを横切ると、毛羽検出手段31がその光量変化を感知し、これによって毛羽yが検出される。
【0062】
以下、前記毛羽検出方法とその装置に関して、本発明者が実際に使用した具体的な実施形態例によって、本発明を更に具体的かつ詳細に説明する。
【0063】
先ず、糸条Yとの間の距離である前記d値を5mmに設定し、毛羽検出手段31としてレーザセンサを使用した。なお、このレーザセンサは、センサヘッド及びアンプを市販のオムロン社製ZX−LT001及びZX−LDA11で構成し、これによって毛羽yがレーザ光Lを横切るのを検知させた。なお、オムロン社製のレーザセンサは、レーザ光照射部と受光部をあわせ持っており、これらを所定の距離をおいて設置して、前記受光部にてレーザ光量の変化を感知するものである。なお、本例では、事前テストを繰り返してd値を5mmと設定したが、当然のことながら、製糸条件によってd値は変わってくる。このため、d値を設定する際には、実際の使用条件に合わせて、事前テストを充分に行って、より適切な値を選定しておく必要があることは言うまでもない。
【0064】
また、更に付言するならば、図3に示した実施形態例では、糸条Yに近接させて、その上方にレーザ光Lを照射する例を示したが、下方側でレーザ光を照射するようにしても構わないし、上下方の両側でレーザ光を照射するようにしておいても構わない。本発明者が図3に例示した実施形態を採用したのは、毛羽yの検出状況を観察したところ、走行糸条Yの下方側よりも上方側により多くの毛羽が検出されたために上方側のみにレーザセンサを設置したという理由に過ぎない。したがって、装置コストの制約がなく、しかも毛羽yの出現をより確実に検出するためには、通常は上下方の両方にレーザセンサを設けることが好ましいことは言うまでもない。
【0065】
以上に述べたようにして、走行糸条Yと非接触状態で毛羽検出手段31を設けて、走行糸条Yに損傷を与えないことは重要であるが、切断された単繊維を検出する方式に関しても前述のようなレーザ光などを使用する光学手段を使用して非接触で検出することは好ましい態様である。なぜならば、もし、接触式の毛羽検出手段を使用することになれば、走行糸条の近傍に検出器を設ける必要が生じるために、断糸が生じたりした場合に再糸掛けするに際して、作業の邪魔となったりするからである。これに対して、前述のレーザ光を使用する方式のように、切断された単繊維をも非接触で検出するようにしておくと、このような問題は発生しない。したがって、「従来の技術」欄で述べたように回転ローラの近傍に接触式の毛羽検知器を設けることなく、遠心力によって遊離した毛羽yを非接触で検出することができることとなる。このような理由から、走行糸条に遠心力を作用させる「遠心力付与手段」としての「回転ローラなとの回転体」が存在するような箇所にも本発明の毛羽検出手段を適用することができることとなり、その適用範囲が格段に広がることとなる。
【0066】
ところで、図3では、拡幅された多錘糸条がそれぞれ等間隔を置いて横並びで並列配置されて走行する例を示したが、多錘糸条Yを一纏めとして全錘同時に毛羽yを観察するようにすればコストの低下に繋がり好ましい。しかしながら、本発明は、このような多錘糸条の場合にのみ限定されることなく、単錘糸条の場合であっても適用可能なことは言うまでもない。
【0067】
次に本発明の繊維製造工程の管理方法とそのための装置について、必要に応じて図4及び5を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0068】
以上に詳細に述べたように、本発明においては、繊維製造工程を管理するために「単繊維切れ検出方法」と「単繊維切れ検出装置」を使用する。何故ならば、本発明の「単繊維切れ検出方法」と「単繊維切れ検出装置」は、単繊維切れが発生し易い過酷な条件が課せられる製糸プロセスに係る延伸工程等に好適に使用することができ、しかも、作業者がこれらの工程で必要な作業をする際の妨げとならないからである。
【0069】
既に述べたように、繊維製造工程では、単繊維切れの発生頻度によって、その工程調子を判断することができる。したがって、このような繊維製造工程を管理するためには、単繊維切れの発生を検知して単繊維切れ回数をカウントしてその発生頻度を知ることが重要となる。つまり、「単繊維切れの発生を検出すること」と「単繊維切れ回数をカウントすること」が重要である。ところが、「単繊維切れの発生を検出すること」は、前述のように本発明に係る「単繊維切れ検出方法」と「単繊維切れ検出装置」を使用することによって、具現化できる。そこで、「単繊維切れ回数をカウントすること」を具現化することが肝要となるので、以下にこの点について詳細に説明する。
【0070】
先ず、単繊維切れの発生回数をカウントするためには、前述した毛羽検出手段31によって単繊維切れの発生を検出する。そして、単繊維切れの発生が検出されたなら、直ちにその検出信号が変換器32aへ伝達され、この変換器32aを通してデジタル化された信号がデータ処理手段33へ入力される。そうすると、このようにして入力されたデジタル信号はデータ処理手段33によってカウントされて集計される。したがって、単繊維切れが発生する度に、単繊維切れが毛羽検出手段31によって検出されるので、単繊維切れの発生頻度を知ることができることとなる。
【0071】
なお、前記変換器32aとしては、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器などを必要に応じて使用できるが、例えば、市販のカウンタボード(National Instruments社製、型式:PCI−6601)などを使用することができ、後述する実施例において本発明者はこのカウンタボードを使用した。
【0072】
なお、前述のような単繊維切れの発生頻度を作業者が具体的に確認するための方法として、液晶ディスプレイなどの出力手段34を設け、この出力手段34に所定時間内に発生した単繊維切れを出力するようにしても良い。なお、この出力に際して、過去に発生した単繊維切れの発生情報をも時系列的に出力することが好ましい。なぜならば、これによって単繊維切れの発生がどの時点で多くなっているかを的確に知ることができ、工程調子の管理を良好に行うことができるからである。
【0073】
ここで、以上に述べた本発明のデータ処理手段33と出力手段34の具体例としては、液晶ディスプレイ、中央演算装置(CPU)、あるいはハードディスクなどの記憶装置を備えた市販のパソコンなどを好適に使用でき、後述の実施例においてもこのような市販のパソコンを使用した。また、前記出力手段34の実施形態を挙げるならば、印刷用紙に印字するプリンター、フロッピーディスク、ハードディスク、コンパクトディスクなどの記録媒体、ブラウン管ディスプレイや液晶ディスプレイなどを例示することができる。
【0074】
次に、本発明では、繊維製造工程の異なる複数の位置に広範囲に毛羽検出手段31を設けることができることを一つの特徴とし、このように異なる複数の位置に設けた毛羽検出手段31によって、単繊維切れがどのような工程(例えば、前述の延伸工程等)で発生したことを究明することができることは既に述べた通りである。しかしながら、異なる複数の位置で単繊維切れを検出するとなると、上流側で単繊維切れが発生した場合を想定した場合に、下流側でも再びこの単繊維切れを検出してしまうこととなる。そこで、上流側で既に検出された単繊維切れを下流側で単繊維切れとしてカウントしないようにする必要が生じる。
【0075】
このような再カウントを防止するために、本発明においては、異なる複数の位置で単繊維切れを検出する際に、上流側で単繊維切れが検出された際に単繊維切れを検出した時間から前記切断単繊維が下流側の検出位置を通過するまでの遅延時間を演算し、演算した遅延時間後に通過する単繊維切れを数えないように単繊維切れの検出回数を補正することが好ましい。また、これを実現する装置としては、糸条走行方向に沿って異なる位置に設けられた複数の前記毛羽検出手段31と、上流側に設けられた前記毛羽検出手段31によって単繊維切れを検出した時間から切断された前記単繊維が通過するまでの遅延時間を演算して上流側で検出された単繊維切れを下流側に設けられた前記毛羽検出手段31によって数えられないように補正する毛羽検出回数の補正手段とを設ければよい。ただし、この機能は必ずしも必要では無く、特に延伸部分の設定値の適正化を目的とするならば、図1に示したB位置やC位置の単繊維切れ発生個数の増減を観察すれば良い。
【0076】
次に、以上に述べたようにして、単繊維切れの発生情報により繊維製造工程の工程管理を行うに際しては、単繊維切れを惹起させる原因となった工程条件をも併せて特定することがきわめて好ましい。なぜならば、工程調子の悪化が生じたことが判明したとしても、それがどのような工程条件によって惹起されたかを究明しなければ、工程調子を良好な状態へと復帰させることに多くの時間と人手を要するからである。
【0077】
そこで、このような管理を行うために、繊維製造工程に係る各種製造条件を単繊維切れの検出と連動させて監視する。そうすると、単繊維切れの発生情報によって工程調子の悪化が検出されると、その時点における各種製造条件を見直すことが可能となる。そして、このようにして各種製造条件を見直すことによって、好ましい条件から逸脱した条件を特定することによって、工程調子を悪化させた原因を容易かつ迅速に究明することが可能となる。その結果、このような工程調子を悪化させた条件を正常状態に戻すことによって、工程調子を正常に戻すための対策を迅速に実行に移すことが可能となる。
【0078】
【実施例】
以上に述べた本発明は、本発明者が単繊維切れの発生情報から繊維製造工程の工程調子の悪化を検知した際に、その原因を究明する段階において着想したものである。そこで、このような着想をするに至った経過とその結果を以下に述べる実施例によって更に具体的に説明する。
【0079】
先ず、図1に例示した実施形態例と同様の乾・湿式紡糸工程に引き続いて2段の直接延伸工程を有する繊維製造工程に本発明を適用した。なお、この繊維製造工程では、全芳香族ポリアミド繊維を製造する際に好適に使用することができ、乾・湿式紡糸に使用する紡糸原液(以下、ドープと称する)は、下記のようにして得た。
【0080】
すなわち、水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPという)112.9部、パラフェニレンジアミン1.506部、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル2.789部を常温下で反応容器に入れ、窒素中で溶解した後、攪拌しながらテレフタル酸クロライド5.658部を添加した。最終的に85℃で60分間反応させ、透明の粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5重量%の水酸化カルシウムを含有するNMPスラリー9.174部を添加し、中和反応を行った。得られたポリマーの対数粘度は3.33であった。
【0081】
なお、詳細な製造条件については説明を省略して概略の製造工程を説明すると、以上のようにして調整したドープをギアポンプで供給量を計量しながら連続的にスピンブロックへ分配供給した。そして、スピンブロックに設けられた1000個の紡糸孔が穿設された紡糸口金から前記ドープを凝固浴中へ吐出させ、その後に水洗浴で凝固液を洗浄した後、乾燥を行う公知の乾・湿式紡糸を行った。そして、これに引き続いて一旦巻き取ることなく、デリベリーローラと第1延伸ローラとの間に設けられた第1ヒータ、そして、第1延伸ローラと第2延伸ローラとの間に設けられた第2ヒータを使用して走行糸条を加熱しながら2段延伸を行って、6錘の糸条を巻取速度600m/minで巻取機に巻き取った。なお、このようにして巻き取った糸条の単繊維数(フィラメント数)は1000本であり、そのトータル繊度は1667 dtex(1500 de)であった。
【0082】
その際、前述の全芳香族ポリアミド繊維の製造工程において、図1に示した複数の位置A、B、及びCには、既に述べたようなレーザ光を使用した非接触式毛羽検出手段(センサヘッド及びアンプとしてオムロン社製ZX−LT001及びZX−LDA11を採用した)を設けて単繊維切れを検知した。なお、このレーザ式毛羽検出手段のレーザ光照射手段は、走行糸条の一側方に設けられており、更に、前記走行糸条の上方と下方とに走行糸条に対して5mmのギャップ(d値)を置いて、走行糸条と交差するように近接してレーザ光を照射した。また、そのレーザ光受光手段は、走行糸条の他側方に設けられており、更に、走行糸条中の切断した単繊維が前記レーザ光を横切って生じる光量変化を感知することによって単繊維切れを検出するようにした。
【0083】
次に、繊維製造工程に係る各種製造条件として、スピンブロックに入る前のドープ温度、及びギアポンプで計量供給されて紡糸口金に分配される直前のドープ温度を温度検出手段によって検出するようにした。なお、この温度検出には市販の熱電対を使用し、その出力を変換器でデジタル信号に変換し、データ処理手段で処理した後、出力手段に出力するようにした。ただし、前記のデータ処理手段と出力手段は市販の液晶ディスプレイ付きのパソコンを使用した。
【0084】
また、前記各種製造条件としては、第1ヒータ、及び第2ヒータの温度、あるいは延伸倍率などを例示することができる。なお、本実施例にドープ温度を採り上げたのは、本発明者らの研究により単繊維切れの発生がドープ温度の変動と強い因果関係があることが判明したことによる。また、温度検出手段に使用する熱電対としては、検出する温度に適した検出端を選定すれば良く、このような検出端を設ける位置も実施例の位置に限定されることはなく、状況に応じて必要な箇所から温度を検出すればよい。さらに、多錘取りの場合、各錘のドープ温度をそれぞれ独立させて個別に検出するようにすると、錘毎の温度変動による単繊維切れの発生を検出できる。
【0085】
以上に述べたようにして、単繊維切れの発生による工程調子の悪化を検知した場合に、単繊維切れの検出と連動させて、同時にドープ温度の変動に代表される繊維製造工程に係る各種製造条件を監視するようにした。したがって、単繊維切れが生じると、これらの各種製造条件の変動をも即時に知ることができる状態にした。つまり、データ処理装置として市販のパソコンを用いて、毛羽検出手段を設置したA、B、及びCの各位置で単繊維切れが発生したことを、その液晶ディスプレイ上にトレンド表示(ディスプレイに常時表示)すると共に、ドープ温度のトレンド表示もするようにした。また、パソコンにインプットされた単繊維切れ及びドープ温度に係るデータは、ファイルとして格納できるようにした。このようにすることによって、生産中における単繊維切れの発生推移を確認しながら、生産工程の工程調子の良否判定を可能とした。また、このようにファイルとして必要なデータを保存することによって、今後の動向も予想できるようにすることで、工程異常発生に対して迅速に対処できるようにした。
【0086】
また、前記データ処理装置は次のような機能を有する。すなわち、単繊維切れは、図2(a)のように1本の単繊維が切断された場合もあれば、図2(b)のように数本の単繊維が切断されてこれらが互に絡まり合った場合もある。その場合、図3に例示したレーザ光Lを横切ると、単繊維切れをもちろん検出することとになるが、このような場合には単繊維切れを1回とカウントせずに、連続的にカウントしてしまい、単繊維切れを複数回として検出することになってしまう。
【0087】
そこで、このようなカウントミスを回避するために、単繊維切れを先ず検知したならば、その後は所定時間か経過するまで、単繊維切れとして連続カウントしないようにした(なお、実施例では1秒間に設定)とした。なお、この所定時間は、繊維製造工程の条件に応じて、任意に設定できるようにすることが好ましく、特にこの値は、糸条の走行速度に強く影響されるので、これらの条件に合致した値を選定する必要がある。更に、本発明においては、予め設定した時間毎に、その間に発生した単繊維切れ回数を集計できるようにしたが、繊維の製造条件に応じて、この間隔も任意に設定できるようにすることが好ましい。なお、本実施例では、単繊維切れの発生回数の集計間隔を5分間とした。また、ディスプレイ等に単繊維切れの発生回数をトレンド表示(グラフ表示)する際、長時間の工程調子の変動も確認できるとさらに良いことから、10個のデータの移動平均値も同時に表示するようにした。この、移動平均のデータ個数は、必要に応じて適切な値を決めると良い。
【0088】
ところで、図2(b)のような切断された複数本の単繊維が絡まったような場合に関して、単繊維切れを先ず検知したならば、その後は予め設定した所定時間か経過するまで、単繊維切れとして連続カウントしないようにするのではなく、逆に積極的にカウントすることも好ましい態様である。なぜならば、このような短時間内での連続カウントが検出されたならば、一本の単繊維の切断ではなく、複数本の単繊維が切断されて、これらが互に絡み合ったものであると認識することができるからである。
【0089】
通常、前述のように切断した単繊維が数本絡まったものであって、その毛羽yの長さが1m以上のものについては、これが見つかった段階で直ちに、その品質ランクが格下げされる。しかしながら、糸条を巻取機で巻き取った後のパッケージの外観検査だけでは、パッケージの表面部に存在する大きな毛羽yしか発見できず、パッケージの内部に埋もれている大きな毛羽yを発見することができない。ところが、ここまで述べてきた本発明を使用すると、大きな毛羽yが検知された時点で、その糸条が巻き取られるパッケージを格下げすることができる。
【0090】
この点について、本発明者が実際に行った具体例を用いて説明すると、糸条の走行速度が60m/minの繊維製造ラインの第1延伸工程に設置した毛羽検出手段(図1のA位置に設置)によって、1秒間における単繊維切れのカウントが5以上であったものを検出した。なお、検出時刻と、1秒間のカウント個数に係るデータはデータ処理装置の記憶装置に保存した。このようにして、5以上の連続カウントされた毛羽yを図2(b)に示したような大きな毛羽yとして検出した。そして、直ちにこのときに巻き取られたパッケージから糸条を解舒したところ、実際に毛羽yの長さが1m以上の複数本の単繊維が絡みあったものを見つけることができた。なお、大きな毛羽yの発生と判断する連続カウント数については、当然のことながら、毛羽検出手段の設置位置、糸条走行速度、工程状況などによって変える必要があることは言うまでもない。
【0091】
なお、実際の生産工程においては、図2(b)に示したような大きな毛羽yを検出すると、データ処理装置の液晶ディスプレイ上にこれを検出したことを表示(格下げ品発生アラーム)し、パッケージの外観検査を強化することにする。特に、各錘の巻取機の直上流に通常の毛羽センサを設置しておき、この毛羽センサによっても、ほぼ同時刻に毛羽yを検知した場合、その錘のパッケージを格下げすることが好ましい。特に、多錘取りの場合、図1のA、B、及びC位置などに本発明の毛羽検出手段を設け、巻取機の直前には一般の毛羽センサを設置しておけば、毛羽yの発生錘を特定することができ、毛羽yの発生が特定された錘だけ格下げ品とすれば良い。
【0092】
ただし、以上に述べたような方式においては、断糸が発生した時、さらに再糸掛けを行う場合でも、糸条がレーザ光を横切るため、同様に単繊維切れの発生として検出されてしまい、ディスプレイ上に単繊維切れが検出された旨の表示がされる。そこで、このような場合には作業者にリセットしてもらうようにする。しかしながら、こりような人手を介する作業が行えないような状況下にある場合、例えば、オートドッファなどの自動機械で処理する場合などでは、検査作業者による外観検査が後になるために、大きな毛羽yの検出時間(または、該当ドフ)に係るデータを検査工程に送る処理が必要となる。ただし、このような場合でも、断糸検出器を別に設けて、この断糸検出器による断糸の検出信号を拾って、断糸発生時の最糸掛けに起因する単繊維切れの誤検出をリセットするような機構とすることは好ましい実施態様である。
【0093】
次に、前記単繊維切れの検出と連動させて監視する繊維製造工程に係る各種製造条件について、その条件変動が単繊維切れの発生情報によって判断される工程調子の悪化との相関について図5を参照しながら説明する。
【0094】
先ず、図5(a)は、前述のドープ温度の変動と単繊維切れカウント回数(毛羽カウント個数)との間の関係を示したグラフである。なお、この場合の「ドープ温度」とは、ギアポンプなどの計量供給手段で計量されて紡糸口金に分配される直前のドープの温度を指し、各錘のドープ温度の平均値を使用した。また、このグラフの横軸に記載した数値の「0」は、製造条件として設定した基準温度を示し、プラスとマイナスの符号で表した数値は、この「0」値からの変動を表している。また、縦軸に示した毛羽カウント個数は、図1のAの位置において、5分間に発生した毛羽yの個数を逐次集計した5分間毎の毛羽yの発生個数を示している。
【0095】
このグラフを見れば分かるように、ドープ温度が基準温度よりも上昇すると、毛羽yの発生が多くなることが分かる。したがって、工程調子が悪化して毛羽yの検出個数が多くなると、前記ドープ温度をチェックして、このドープ温度の変動がないかを確認し、もし、基準温度から上昇しているようだと、工程調子の悪化がドープ温度の変動に起因していることを知ることができる。したがって、このような場合には、ドープ温度の変動要因を取り除くことによって、迅速に工程調子を正常に戻すことができる。
【0096】
また、図5(b)は、図5(a)と同時期に発生したパッケージの格下げ品発生率との間の関係を示したグラフである。なお、横軸の単繊維切れカウント回数は、図1におけるA位置で5分間隔毎に検出された毛羽yの発生個数であり、縦軸の格下げ品発生個数は、1ドフ当りの格下げ品発生個数を示したもので、外観検査により、毛羽やループの発生状況を確認して格下げしたものである。このグラフから、単繊維切れカウント回数と格下げ品発生率には相関があり、また、単繊維切れカウント回数とドープ温度にも相関がある事がわかる。つまり、ドープ温度の変動により格下げ品発生個数も変わることが分かる。したがって、単繊維切れ回数で工程調子の悪化を検知するだけではなく、逆に、図1のA位置で毛羽yを検出し、これをカウントすることで工程調子が安定になる最適なドープ温度の探索ができる。さらに、図1のB及びC位置での毛羽検出は、第1ヒータ6及び第2ヒータ8の温度設定、デリベリーローラ5〜第1延伸ローラ7間、第1延伸ローラ7〜第2延伸ローラ9間の延伸倍率の設定に大きな効力を発揮する。実際に、延伸倍率を変更したり、ヒータ温度を変更したりすると毛羽カウント個数が変動することが確認でき、また、これを参考に最適な設定を見いだすことができた。
【0097】
【発明の効果】
本発明の単繊維切れ検出方法とそのための装置を使用すれば、製糸速度の高速化や多錘化、あるいは繊維の製造条件の過酷化などによって誘起される毛羽や断糸の発生を良好に検出することができる。また、繊維製造工程において、断糸した糸条の糸端が前記検出装置に巻きついたり、前記検出装置が糸掛け時に作業の妨げとなるようなこともない。
【0098】
また、本発明の前記単繊維切れ検出方法と単繊維切れ検出装置を使用して繊維製造工程を管理するようにすれば、繊維製造工程における毛羽の発生個数を検出して、その個数を集計することで、その工程の工程調子の良否を判断することができ、繊維製造工程を律する各種製造条件に異常や変動が生じた場合において、その要因を迅速に推定できることとなって、工程調子の悪化を惹起させた原因の究明を容易かつ迅速に行うことができる。また、繊維製造工程における処理条件を単繊維切れの発生頻度が少なくなるような最適値に設定する上でもきわめて有効な指標となる。
【0099】
このように、本発明の管理方法とその装置によれば、従来技術のように工程調子の評価に長時間が掛かっていたのが、生産中に常時工程の調子を判断できる他、各処理機器の適正値を探索出来、生産効率向上及び、歩留まり率向上に多大な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維製造工程の工程管理方法及びそのための装置を適用するための乾・湿式紡糸延伸プロセスの構成を例示した模式説明図である。
【図2】本発明の毛羽検出手段によって検出する単繊維切れ(毛羽)の状況を、模式的に例示した説明図である。
【図3】本発明の毛羽検出手段の使用方法を模式的に例示した説明図である。
【図4】本発明の繊維製造工程の工程管理方法及びそのための装置の構成図を模式的に例示した説明図である。
【図5】本発明の繊維製造工程の工程管理方法及びそのための装置を適用して得られた結果を例示した説明図である。
【符号の説明】
Y 糸条(繊維束)
y 単繊維切れ(毛羽)
31 毛羽検出手段
L レーザ光線
d ギャップ
Claims (21)
- 一本の糸条が多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条を横一列に並列配置して走行させ、
前記走行糸条を張力付与状態に置いて切断した単繊維を飛び出させ、そして
前記走行糸条に対しては非接触状態で飛び出させた前記単繊維をオンライン検出することを特徴とする単繊維切れ検出方法。 - 合成繊維の延伸工程、あるいは乾・湿式紡糸における直接紡糸延伸工程に適用する請求項1に記載の単繊維切れ検出方法。
- 前記走行糸条に生じた単繊維切れを複数の異なる位置で検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の単繊維切れ検出方法。
- 切断した前記単繊維を非接触で検出する請求項1〜3の何れかに記載の単繊維切れ検出方法。
- 一本の糸条が多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条と交差するように前記糸条の上方及び/又は下方に近接させてレーザ光を照射し、
前記糸条中から飛び出した前記切断単繊維が前記レーザ光を横切ったことを検知して単繊維切れを検出する請求項1〜4記載の単繊維切れ検出方法。 - 一本の糸条が多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条を横一列に並列配置して走行させ、
前記走行糸条に対して遠心力を与え、前記遠心力によって切断した単繊維を飛び出させ、
前記走行糸条と交差するように前記走行糸条の上方及び/又は下方に近接させて前記走行糸条の一側方からレーザ光を照射し、
他側方において前記糸条中から飛び出した前記切断単繊維が前記レーザ光を横切ったことを、照射された前記レーザ光の光量変化によって、検知し
飛び出させた前記単繊維をオンライン検出することを特徴とする単繊維切れ検出方法。 - 前記走行糸条を拡幅させることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の単繊維切れ検出方法。
- 一本の糸条が多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条を横一列に並列配置させて緊張させた状態で前記糸条を走行させる張力付与手段と、
前記走行糸条に対して非接触状態で切断した単繊維を検出する毛羽検出手段とを少なくとも具備する単繊維切れ検出装置。 - 前記張力付与手段が、前記走行糸条の上流側と下流側とに所定の間隔をおいて設けられ、かつ上流側と下流側との間の回転速度差によって前記走行糸条に対して張力を付与する回転体である請求項8記載の単繊維切れ検出装置。
- 請求項8記載の毛羽検出手段が、
前記走行糸条の一側方に設けられ且つ前記走行糸条の上方及び/又は下方に近接交差するようにレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、
前記走行糸条の他側方に設けられ且つ前記糸条中の切断した単繊維が前記レーザ光を横切って生じる光量変化を感知するレーザ光受光手段とを少なくとも具備する請求項8又は9に記載の単繊維切れ検出装置。 - 一本の糸条が多数の単繊維群からなる一錘以上の糸条を横一列に並列配置させて遠心力を前記走行糸条に付与する遠心力付与手段と、
前記走行糸条の一側方に設けられ且つ前記走行糸条の上方及び/又は下方に近接交差するようにレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、前記走行糸条の他側方に設けられ且つ前記糸条中の切断した単繊維が前記レーザ光を横切って生じる光量変化を感知するレーザ光受光手段とを少なくとも有する毛羽検出手段とを具備する単繊維切れ検出装置。 - 前記走行糸条を拡幅するための拡幅手段を備えた請求項8〜11の何れかに記載の単繊維切れ検出装置。
- 請求項1〜12の何れかに記載の単繊維切れ検出方法又は単繊維切れ検出装置を用いて単繊維切れを検出し、予め設定した時間内に発生する単繊維切れ回数を集計し、集計した単繊維切れ回数によって繊維製造工程の工程調子を管理する繊維製造工程の管理方法。
- 前記単繊維切れが検出されると予め設定された時間が経過するまでの間単繊維切れ回数を数えない請求項13記載の繊維製造工程の管理方法。
- 前記単繊維切れが検出されると予め設定された時間が経過するまでの間前記単繊維切れを連続検出し、この間に検出した単繊維切れ回数が所定回数を超えると品質格下げパッケージが発生したと判別する請求項13記載の繊維製造工程の管理方法。
- 異なる複数の位置で単繊維切れを検出する際に、上流側で単繊維切れが検出された際に単繊維切れを検出した時間から前記切断単繊維が下流側の検出位置を通過するまでの遅延時間を演算し、演算した遅延時間後に通過する単繊維切れを数えないように単繊維切れの検出回数を補正する請求項13〜15の何れかに記載の繊維製造工程の管理方法。
- 繊維製造工程に係る各種製造条件を前記単繊維切れの検出と連動させて監視し、単繊維切れの発生回数によって工程調子の悪化が検知された時点で、連動させて監視した前記各種条件の異常を管理する請求項13〜16の何れかに記載の繊維製造工程の管理方法。
- 前記各種製造条件が、乾・湿式紡糸に供するドープ温度である請求項17に記載の繊維製造工程の管理方法。
- 請求項8〜12の何れかに記載の単繊維切れ検出装置と、前記単繊維切れ検出装置によって検出された単繊維切れの回数を集計するデータ処理手段とを少なくとも具備する繊維製造工程の管理装置。
- 糸条走行方向に沿って異なる位置に設けられた複数の前記毛羽検出手段と、上流側に設けられた前記毛羽検出手段によって単繊維切れを検出した時間から切断された前記単繊維が通過するまでの遅延時間を演算して上流側で検出された単繊維切れを下流側に設けられた前記毛羽検出手段によって数えられないように補正する単繊維切れ検出回数の補正手段を具備する請求項19に記載の繊維製造工程の管理装置。
- 検出された単繊維切れの発生情報を時系列的に出力する出力手段を更に具備する請求項19又は20に記載の繊維製造工程の管理装置。
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