JP2018083681A - 合成繊維糸条のレボルビング式巻き取り方法 - Google Patents

合成繊維糸条のレボルビング式巻き取り方法 Download PDF

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Abstract

【課題】混繊加工に提供されるマルチフィラメントにおいて、端糸処理を円滑に行うため、テール全長もしくは少なくともテールの糸把持部側の単糸がばらけておらず、かつ製品部には交絡糸条を含まない巻き取りパッケージを得るための、より安定した巻き取り方法を提供する。
【解決手段】合成繊維糸条のレボルビング式巻き取り方法において、満巻ボビンと空ボビンのレボルビングが開始した以降、流体交絡処理装置の噴射流体の圧力を巻き取り時より高めにし、その後、糸掛けガイド9の位置が所定の位置に配置した以降、噴射流体の圧力を巻き取り時の圧力に戻すことを特徴とする合成繊維糸条のレボルビング式巻き取り方法。
【選択図】図5

Description

本発明は、合成繊維の溶融紡糸工程に用いられる巻き取り方法に関するものである。更に詳しくは、混繊加工に提供されるマルチフィラメントの巻き取りパッケージにおいて、端糸処理を円滑に行うことができるテールを形成可能としたレボルビング式巻き取り方法に関するものである。
複数の単糸で構成されるマルチフィラメントの溶融紡糸工程は、工程中での単糸の擦過による糸切れや毛羽の防止、および高次加工での良好な工程通過性を得るため、一般的に糸条に交絡と呼ばれる流体交絡処理を施した後、ボビンに巻き取られる。ここで得られる巻き取りパッケージは、次工程において連続的に高次加工がなされるため、異なる巻き取りパッケージ間で最外層部の糸と最内層部の糸を繋ぐ必要があり、巻き取りパッケージの最内層部には製品部と連続的に繋がったテールと呼ばれる端糸が形成されている(図1の81‘)。交絡された糸条は集束しているため、好適なテール81‘が形成され、円滑に糸繋ぎ行うことができる巻き取りパッケージを提供することができる。ここで好適なテールとは、人手などによりテールを掴むことができ、糸繋ぎに必要な糸長が巻かれていることであり、すなわち、テール81‘の全長もしくは少なくともテール81‘の糸把持部10‘(図1)側の糸条がばらけておらず、一般的なテール長は1〜2m程度である。
また、高次加工において異なる糸条を噴射流体により絡合させる混繊加工は、噴射流体を付与する混繊ノズル内で糸条が良好な開繊状態となるために、溶融紡糸工程で流体交絡処理を軽微もしくは流体交絡処理しないマルチフィラメントが提供される。近年のマルチフィラメントの溶融紡糸工程は、効率的に大量生産を行うため、巻き取り速度が4000〜5000m/分の高速、かつ一対のスピンドルをレボルビングにより巻き取り位置と待機位置を交互に入れ替え、連続的に糸条を巻き取っている。流体交絡処理を十分に施していないマルチフィラメントを切り替える場合、レボルビングなどの切り替え動作に必然的に発生する糸屈曲等による張力低下により単糸がばらけ、好適なテールが形成されないことが課題であった。
この課題に対して、テール81‘の単糸のばらけを抑制するために、テール81‘のみを交絡した糸条で形成させるべく、特許文献1に記載の巻き取り方法、より詳しくは、糸条を流体交絡処理しながら巻き取り位置においてボビンに巻き取り、満巻になる毎に該ボビンを待機位置に移動させると共に、待機位置の空ボビンを巻き取り位置に移動させて糸条を連続的に巻き取る巻き取り方法であって、切り替え時に流体交絡処理に使用する流体の供給量、または圧力を通常巻き取り時よりも大きくする巻き取り方法が開示されている。
具体的に本願の図2、図3を用いて示す。図2、図3はレボルビング式巻き取り機の要部を図示して切り替え時の状態を説明するための図であり、図2は巻き取り機のスピンドル軸方向から見た概略正面図、図3は特にトラバース機構と糸道の関係を説明する図2に示した巻き取り機の概略平面図である。
まず、基本的な切り替え動作を説明する。図2はレボルビング式巻き取り機において、巻き取り位置のボビンが満巻になった後、待機位置の空ボビンを巻き取り位置にレボルビングし、空ボビン側に糸を切り替えするときの様子を例示したものであり、この図2において、50は巻き取り部であり、ターレット盤1の周上に180°の間隔で一対のスピンドル2、2‘が取り付けられ、それぞれにボビン3、3‘が装着されている。また一対のスピンドル2、2‘の周方向に挟まれる中間位置に、それぞれ糸道規制バー4、4‘が取り付けられている。巻き取り部50の上方にはトラバース装置60が配置され、トラバース装置60は、図3に示すように、複数組の回転ブレード6を並べ、振り支点ガイド16から供給される走行糸条Yをこれら回転ブレード6が左右に移動させながらトラバース案内板7に沿わせて綾振りするようになっている。
図2では、レボルビング直後の状態を示し、満巻ボビン3を装着したスピンドル2が下側の待機位置に移り、空ボビン3‘を装着したスピンドル2‘が上側の巻き取り位置に移っている。この状態から、図3に示すように、トラバース装置60の上方の糸寄せガイド8が、実線の位置から鎖線の位置まで移動し、その移動途中で走行糸条Yを引っ掛けて回転ブレード6から外し、かつ製品部80のトラバース域を超えてトラバース案内板7の側端部まで移動させる。その結果、振り支点ガイド16から供給される走行糸条Yは、糸導入板12の左側縁c、糸道規制バー4上の規制ピン5を経て、満巻ボビン3の最外層部にバンチ巻Bを形成するように巻き上げられる。なお、バンチ巻Bは、切り替えに際して屈曲させられた糸条であり、製品部の糸品質と異なるため、最終的には除去される。
次いで、図2に示すように糸掛けガイド9が実線の位置から鎖線の位置まで倒れこみ、その途中で糸導入板12の左側縁cと規制ピン5との間の糸道dの走行糸条Yを引っ掛け、空ボビン3‘に巻掛けるように押圧する。その後、駆動装置13により糸掛けガイド9をスピンドル軸方向に移動し、走行糸条Yが空ボビン3‘の端部に刻設された糸把持部10‘上を通過する際に、走行糸条Yは糸把持部10‘に捕捉され、空ボビン3‘に巻き付くことで糸が切断し切り替えがなされる。その後、糸自身の張力により走行糸条Yはトラバース中央部に移動することにより回転ブレード6に捉えられ、製品部の巻き取りを開始する。空ボビン3‘で巻き取られた巻き取りパッケージが図1であり、この過程においてボビン3‘の糸把持部10‘から製品部80‘まで巻かれる糸がテール81‘である。
この切り替え動作の中で、好適なテールを得るべく、以下の通りとしている。糸寄せガイド8が走行糸条Yをトラバース案内板7の側端部まで移動させた段階で、トラバース装置60の上方に設置した流体交絡処理装置17に供給している噴射流体の圧力を巻き取り時の圧力よりも高めるよう制御部70から圧力調整弁18に指令を出す。その後、上記一連の過程を経て、糸掛けガイド9がスピンドル軸方向に移動を開始した時点で、噴射流体の圧力を巻取り時の圧力となるよう制御部70から圧力調整弁18に指令を出す。
この指令により、この時点の流体交絡処理装置17の位置の糸条から交絡がなくなり、順次、糸条は巻き取り部50に巻き取られる。これと並行して、駆動装置13により糸掛けガイド9は、走行糸条Yを空ボビン3‘の端部に刻設された糸把持部10‘まで移動させ、走行糸条Yが糸把持部10‘に捕捉され、空ボビン3‘に巻き付くことで糸が切断する。その後、糸把持部10‘と製品部80‘(図1)の間にテール81‘(図1)が形成されるが、テール81‘(図1)を形成し始めた糸条は交絡が施されており、テール形成中に交絡がなくなった糸条に変わり、好適なテールが得られるものと考える。
特開2003−238029号公報
前記した特許文献1を検証したところ、交絡糸条が全て満巻ボビン3側に巻き取られ、テールの単糸がばらけることがあったり、もしくは空ボビン3‘側のテール81‘が確かに交絡糸条で形成されるが、製品部80‘まで入り込むことがあり、好適なテールを安定的に得ることができなかった。
その原因を詳細に調査した。糸掛けガイド9をスピンドル軸方向に移動させる駆動装置13として、一般的には、空気、油などの流体を利用したシリンダやロータリーアクチュエータなどが使用されているが、供給される流体の圧力、粘度、流量のばらつきや、シリンダ内部の摺動部品の摩耗状態などによって、糸掛けガイド9のスピンドル軸方向への動作が、必ずしも一定ではないことが明らかとなった。
更に糸掛けガイド9の動作状態如何によらず、制御部70からの指令により交絡がなくなった糸条は、巻き取り部50に順次巻き取られるため、糸掛けガイド9の動作が著しく遅い場合は、交絡糸条が全て満巻ボビン3側に巻き取られ、テール81‘の単糸はばらけてしまい、逆に糸掛けガイド9の動作が著しく早い場合は、空ボビン3‘側のテール81‘が交絡糸条で形成されるが、製品部80‘まで入り込んでしまうのである。また、好適なテール長は、前述したとおり2m程度であり、例えばボビン径134mm、切り替え時の空ボビンの回転速度が5000m/minの場合、テール形成時間は24msecと極めて短時間であるため、糸掛けガイド9の動作状態が好適なテールを得るための大きな因子であることがわかる。
本発明は、従来技術の課題を解消し、混繊加工に提供されるマルチフィラメントにおいて、端糸処理を円滑に行うため、テール全長もしくは少なくともテールの糸把持部側の単糸がばらけておらず、かつ製品部には交絡糸条を含まない巻き取りパッケージを得るための、より安定した巻き取り方法を提供する。
本発明の課題は、以下の構成により解決できる。
(1)ボビンを装着した一対のスピンドルをレボルビングにより巻き取り位置と待機位置とに交互に入れ替わるように配置して巻き取り部を構成し、該巻き取り部上方に、圧力を調整した噴射流体を走行糸条に与える流体交絡処理装置を配置した装置で、
巻き取り位置のボビンが満巻になった際に、レボルビングして満巻ボビンと空ボビンの位置を切り替え、次いで、走行糸条を空ボビンへ移動させる糸掛けガイドが空ボビンの側端部に刻設した糸把持部まで走行糸条を移動させ、該糸把持部に走行糸条を巻き付かせて切断することにより満巻ボビンから空ボビンへ糸の切り替えを行う合成繊維糸条のレボルビング式巻き取り方法において、
満巻ボビンと空ボビンのレボルビングが開始した以降、
流体交絡処理装置の噴射流体の圧力を巻き取り時より高めにし、
その後、糸掛けガイドの位置が所定の位置に配置した以降、
噴射流体の圧力を巻き取り時の圧力に戻すことを特徴とする合成繊維糸条のレボルビング式巻き取り方法。
本発明のレボルビング式巻き取り方法は、切り替え時に流体交絡装置の噴射流体の圧力を巻き取り時より大きくし、糸掛けガイドの位置を基準に流体交絡処理装置の噴射流体の圧力を巻き取り時の圧力に戻すことで、テール全長もしくは少なくともテールの糸把持部側の単糸がばらけておらず、かつ製品部には交絡糸条を含まない端糸処理が円滑に行うことができる混繊加工用マルチフィラメントの巻き取りパッケージを得ることができる。
巻き取りパッケージ概略図。 従来のレボルビング式巻き取り装置の要部を図示して切り替え時の状態を説明するための図であり、スピンドル軸方向から見た概略正面図。 従来のレボルビング式巻き取り装置の要部を図示して切り替え時の状態を説明するための図であり、特に、トラバース機構と糸道の関係を説明する図2に示した巻き取り装置の概略平面図。 本発明のレボルビング式巻き取り装置の要部を図示して切り替え時の状態を説明するための図であり、スピンドル軸方向から見た概略正面図。 本発明のレボルビング式巻き取り装置の要部を図示して切り替え時の状態を説明するための図であり、特に、トラバース機構と糸道の関係を説明する図4に示した巻き取り装置の概略平面図。
次に本発明の実施形態を図4、図5を用いて詳細に説明する。図4、図5は本発明のレボルビング式巻き取り機の要部を図示して糸切り替え時の状態を説明するための図であり、図4は巻き取り機のスピンドル軸方向から見た概略正面図、図5は特にトラバース機構と糸道の関係を説明する図4に示した該巻き取り機の概略平面図である。それぞれ図2、図3と類似した図であるが、糸掛けガイド9の駆動装置13に位置検知部14および位置検知部14で検知した位置情報を制御部70に出力する信号15を設けていることが異なっている。
まず、本発明の基本的な切り替え動作を説明する。図4のレボルビング式巻き取り機において、巻き取り位置のボビンが満巻になった後、待機位置の空ボビンを巻き取り位置にレボルビングし、その空ボビン側に糸を切り替えするときの様子を例示したものであり、この図4において、50は巻き取り部であり、ターレット盤1の周上に180°の間隔で一対のスピンドル2、2‘が取り付けられ、それぞれにボビン3、3‘が装着されている。また一対のスピンドル2、2‘の周方向に挟まれる中間位置に、それぞれ糸道規制バー4、4‘が取り付けられている。巻き取り部50の上方にはトラバース装置60が配置され、トラバース装置60は、図5に示すように、複数組の回転ブレード6を並べ、振り支点ガイド16から供給される走行糸条Yをこれら回転ブレード6が左右に移動させながらトラバース案内板7に沿わせて綾振りするようになっている。
図4は、レボルビング直後の状態を示し、満巻ボビン3を装着したスピンドル2が下側の待機位置に移り、空ボビン3‘を装着したスピンドル2‘が上側の巻き取り位置に移っている。この状態から、図5に示すように、トラバース装置60の上方の糸寄せガイド8が、実線の位置から鎖線の位置まで移動し、その移動途中で走行糸条Yを引っ掛けて回転ブレード6から外し、かつ製品部80のトラバース域を超えてトラバース案内板7の側端部まで移動させる。この際、トラバース装置60の上方に設置した流体交絡処理装置17に供給している噴射流体の圧力を巻き取り時の圧力よりも高めるよう制御部70から圧力調整弁18に指令を出す(指令A)。振り支点ガイド16から供給される走行糸条Yは、糸導入板12の左側縁c、糸道規制バー4上の規制ピン5を経て、交絡糸条が満巻ボビン3の最外層部にバンチ巻Bを形成するように巻き上げられる。なお、上記指令Aのタイミングは、テールを交絡糸条で形成させることが目的であることから、必ずしも上記のタイミングに限定するものではなく、バンチ巻Bが形成され始めた後に指令Aを発令してもよい。
次いで、図5に示すように糸掛けガイド9が実線の位置から鎖線の位置まで倒れこみ、その途中で糸導入板12の左側縁cと規制ピン5との間の糸道dの走行糸条Yを引っ掛け、空ボビン3‘に巻掛けるように押圧する。その後、駆動装置13によって糸掛けガイド9をスピンドル軸方向に移動させる。糸掛けガイド9が、走行糸条Yを空ボビン3‘の端部に刻設された糸把持部10‘を通過する位置に到達した際、位置検知部14が制御部70に指令信号15を出し(指令B)、その信号15を受け取った制御部70から噴射流体の圧力を巻き取り時の圧力に戻すよう圧力調整弁18に指令を出す(指令C)。流体交絡処理装置17の位置で巻き取り時の圧力で流体交絡処理された走行糸条Yが、振り支点ガイド16、糸導入板12の左側縁cを通過していく中、走行糸条Yは糸把持部10‘に捕捉され、空ボビン3‘に巻き付くことで糸が切断し、テール81‘が形成している途中で、交絡糸条から巻き取り時の圧力で流体交絡処理された糸条に換わり、好適なテール81‘を得ることができる。
つまり、従来法では、糸掛けガイドの駆動装置の動作ばらつきによって好適なテール形成が困難であったが、本発明により、テール形成に重要な因子である糸掛けガイドの位置を出力させ、所定の位置に到達したことを基準とし、流体交絡処理装置に供給する噴射流体の圧力を変更することで、より安定的に好適なテールを得ることができるのである。
なお、好適なテールを得るために、指令Cのタイミングは、巻き取り速度や流体交絡処理装置17から巻き取り部50までの距離などの工程条件により任意に変更することができる。例えば巻き取り速度が速く、流体交絡処理装置17から巻き取り部50までの距離が短い場合は、流体交絡処理装置17の位置で巻き取り時の圧力で流体交絡処理された走行糸条Yは、短時間で巻き取り部50に到達することから、指令Bの後に、すぐに指令Cを発令する。逆に巻き取り速度が遅く、流体交絡処理装置17から巻き取り部50までの距離が長い場合は、指令Bから指令Cの間に遅れ時間を持たせて、指令Cを発令することができる。
また、位置検知部14は、糸掛けガイド9が所定の位置に到達したときのみ検知する機械的な検知手段でもよいし、サーボモータなどにより位置を常時検知できる手段でもよい。いずれにせよ、指令Bの発令するタイミングを任意に変更できるようにするのが好ましい。駆動装置13の動作バラツキが許容できる範囲であれば、糸掛けガイド9が走行糸条Yを空ボビン3‘の端部に刻設された糸把持部10‘を通過する以前に発令することもできる。
また、駆動装置13は、空気、油などの流体を利用したシリンダやロータリーアクチュエータなどでも良いが、動作バラツキを小さくするため、予め設定された移動位置かつ移動速度に制御しながら移動させるステッピングモータやサーボモータ等を適用するのがより好ましい。
以下本発明を実施例により詳細に説明する。なお実施例中の評価は以下の方法に従った。
(1)製品部の交絡度(CF値)
製品部の交絡度は、ロッシールド社製R−2072交絡測定装置にて測定した。5m/分の速度で送り出す糸条に針が差し込まれており、交絡点に針が差し掛かると糸条の走行は針により妨げられ、糸張力が上昇する。糸張力が15.5cNを超えた時点で、交絡点とし検知する。その後、針を抜き取り糸条が10mm送り出された後、再び糸条に針が差し込まれ、測定を再開する。交絡点間の開繊長を測定し、1000mm当たりの開繊長からCF値を下式により算出した。
CF値(製品部)=(1000(mm))/(開繊長L(mm)) 。
(2)テールの交絡度(CF値)
テールの交絡度は水上交絡法によって測定した。具体的には、糸条を水面上に浮かべ、フィラメントの広がりにより交絡点を目視で検査し、1000mm当たりの開繊長からCF値を下式により算出した。
CF値(テール)=(1000(mm))/(開繊長L(mm)) 。
(3)テールの合否判定
巻き取りパッケージを最内層まで剥ぎ取り、CF値(製品部)が1以下、CF値(テール)が3以上を合格とした。CF値(テール)が3以上であると単糸のばらけがなく、円滑に端糸処理可能であることから、この値を合格基準とした。
切り替えを30回繰り返し、98%以上合格であれば「良」とし、98%未満は「不良」とした。また不合格の内、交絡糸条が全て満巻ボビン側に巻き取られ、テールに交絡糸条が含まれない回数とテールが交絡糸条で形成されるが製品部まで入り込んでいる回数を記録した。
(実施例1)
常法によって重合およびペレット化した酸化チタンを0.3質量%含有するPETをプレッシャーメルターによって溶融させた。溶融したポリマを、298℃の温度に保温されたスピンブロック内に設けた配管及び所定のポリマ流量に計量する計量ポンプを通過させ、パックに導いた。パック内には、フィルターと公知の紡糸口金が順に設けられており、口金から糸条を紡出させた。
その後、25m/分の風速で一方向からエアーを走行糸条に吹き付け、冷却固化させた。次に、走行糸条にオイリングロールにより紡糸油剤を延伸糸に対して0.9質量%となるように給油した。0.01MPaのエアーをEC−O2型マイグレーションノズルから走行糸条に吹きつけ、表面速度1500m/分、表面温度105℃の第1ホットロール、表面速度4100m/分、表面温度140℃の第2ホットロール、流体交絡処理装置であるEDV型交絡ノズル、表面速度4141m/分の第3ゴデットロール、表面速度4141m/分の第4ゴデットロールを介して、巻き取り速度4110m/分の巻き取り装置を用いて、巻き取った。EDV型交絡ノズルから図5に示す糸掛けガイド9までの距離は5mであり、得られたマルチフィラメントは、繊度135dtexで、フィラメント数が18であった。
巻き取り装置は、図4の切り替え機構を有するボビン径134mmの東レエンジニアリング製KW−68BRを使用した。糸寄せガイド8が走行糸条Yをトラバース案内板7の側端部まで移動させた段階で、トラバース装置60の上方に設置した流体交絡処理装置17に供給している噴射流体の圧力を0.45MPaとするよう指令を出した(指令A)。糸掛けガイド9の駆動装置13には、IAI製の電動シリンダRCA2−RN4NAを使用し、糸掛けガイド9の位置を常時検知し、糸掛けガイド9が、走行糸条Yを空ボビン3‘の端部に刻設された糸把持部10‘を通過する位置に到達した際、位置検知部14が制御部70に指令信号15を出し(指令B)、その信号15を受け取った制御部70から噴射流体の圧力を巻き取り時の0.1MPaとなるよう圧力調整弁18に指令を出した(指令C)。
(比較例1)
巻き取り装置は、図2の切り替え機構を有するボビン径134mmの東レエンジニアリング製KW−68BRを使用した。糸掛けガイド9の駆動装置は、New−Era製のエアシリンダCA03―16―ND―35―Pを使用し、糸掛けガイド9がスピンドル軸方向に移動を開始した時点で、噴射流体の圧力を巻取り時の0.10MPaとなるよう制御部70から圧力調整弁18に指令を出したこと以外、実施例1と同様の方法で切り替えを行った。
以上実施例と比較例の結果を表1に示す。実施例は、30回の切り替え全てにおいて合格となったが、比較例では30回の切り替えの内、13回の合格に留まった。比較例の不合格の内、交絡糸条が全て満巻ボビン側に巻き取られた回数が5回、製品部まで交絡糸条が入り込んだ回数が12回となり、ばらつきの大きい結果となった。一方、実施例は、糸掛けガイドの位置を基準とし、流体交絡処理装置に供給する噴射流体の圧力を変更することで、より安定的に好適なテールを得ることができたと考えられる。
Figure 2018083681
本発明の切り替え時に流体交絡装置の噴射流体の圧力を巻き取り時に大きくし、糸掛けガイドの位置を基準に流体交絡処理装置の噴射流体の圧力を巻き取り時の圧力とするレボルビング式巻き取り方法を用いることで、テール全長もしくは少なくともテールの糸把持部側の単糸がばらけておらず、かつ製品部には交絡糸条を含まない単糸処理が円滑に行うことができる混繊加工用マルチフィラメントの巻き取りパッケージを得ることができる。
1 ターレット盤
2、2‘ スピンドル
3、3‘ ボビン
4、4‘ 糸道規制バー
5、5‘ 規制ピン
6 回転ブレード
7 トラバース案内板
8 糸寄ガイド
9 糸掛けガイド
10、10‘ 糸把持部
11 タッチロール
12 糸導入板
13 駆動装置
14 位置検知部
15 信号
16 振り支点ガイド
17 流体交絡処理装置
18 圧力調整弁
50 巻き取り部
60 トラバース装置
70 制御部
80、80‘ 製品部
81、81‘ テール
c 糸導入板12の側面の点
d 糸道
B バンチ巻
Y 走行糸条

Claims (1)

  1. ボビンを装着した一対のスピンドルをレボルビングにより巻き取り位置と待機位置とに交互に入れ替わるように配置して巻き取り部を構成し、該巻き取り部上方に、圧力を調整した噴射流体を走行糸条に与える流体交絡処理装置を配置した装置で、巻き取り位置のボビンが満巻になった際に、レボルビングして満巻ボビンと空ボビンの位置を切り替え、次いで、走行糸条を空ボビンへ移動させる糸掛けガイドが空ボビンの側端部に刻設した糸把持部まで走行糸条を移動させ、該糸把持部に走行糸条を巻き付かせて切断することにより満巻ボビンから空ボビンへ糸の切り替えを行う合成繊維糸条のレボルビング式巻き取り方法において、
    満巻ボビンと空ボビンのレボルビングが開始した以降、
    流体交絡処理装置の噴射流体の圧力を巻き取り時より高めにし、
    その後、糸掛けガイドの位置が所定の位置に配置した以降、
    噴射流体の圧力を巻き取り時の圧力に戻す
    ことを特徴とする合成繊維糸条のレボルビング式巻き取り方法。
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