JP2004225200A - 油剤付与装置および油剤付与方法 - Google Patents

油剤付与装置および油剤付与方法 Download PDF

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Shintaro Shimada
慎太郎 嶋田
Hitoshi Ikeda
均 池田
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Abstract

【課題】ガイド式油剤付与装置において油剤付着斑、給油ガイドの磨耗などからなる異常を糸条に悪影響を及ぼすことなく検知でき、これによって、油剤の付与工程を良好かつ簡易に管理でき、製糸性の低下及び製品の品位低下を防止可能な油剤付与装置とそのための方法を提供する。
【解決手段】走行する糸条(Y)と接触して走行糸条(Y)に油剤を付与する給油ガイド(10)を有する油剤付与装置(1)と、前記給油ガイド(10)と前記走行糸条(Y)とが接触する接触面(10c)の近傍に前記走行糸条(Y)と非接触状態かつオンラインで設けられた静電気検出器(20)を有する静電気測定手段(2)とを少なくとも具備する油剤付与装置とこれを用いた油剤付与方法である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は走行糸条にガイド式油剤付与装置を使用して油剤を付与する際に生じるトラブルの発生を監視しながら、良好に糸条に油剤を付与する装置とその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの合成繊維を製造する溶融紡糸工程において、紡出された走行糸条に油剤を付与して糸条を構成するフィラメント群の集束性、平滑性、制電性等を向上させることが行われている。そして、その結果として、紡糸、延伸等の製造工程における製糸性の向上が図られると共に、さらには、製織、製編、染色等の後加工工程における製品の品位の向上や工程トラブルの発生を防止することが図られているのは周知の通りである。
【0003】
ところで、前記溶融紡糸工程において走行する糸条に油剤を付与する方法としては、従来、回転させたローラ上に油膜を形成させ、前記油膜に走行糸条を接触させて油剤を付与するタッチロール式油剤付与装置が一般的に使用されている。しかしながら、近年、生産性の向上のために製糸速度の高速化が行われるようになってくると、例えば、糸条に随伴する気流の影響、あるいはローラの回転速度の増大などに起因して、ローラ上に油膜を良好に形成するのが困難となるなどの原因によって、糸条への油剤の付着斑などを惹起する。このため、高速製糸において、タッチロール式油剤付与装置を採用することが問題になってきた。
【0004】
そこで、前記問題を有するタッチロール式油剤付与装置に代わって、ガイド式油剤付与装置の採用が行われるようになっている。しかしながら、このガイド式油剤付与装置においては、固定されたガイドに対して糸条が押し当てられた状態で油剤付与が行われるために、ガイドとの接触による糸条の損傷という問題が惹起する。このため、前記問題を解決するための技術が種々提案されている。例えば、実公平7−7330号公報には、走行糸条と油剤付与ガイドとの間の摩擦抵抗が少なくなるような特殊な形状をした給油ガイドを採用し、計量された油剤を前記給油ガイドへ供給して高速で走行する糸条に油剤を付与するガイド式油剤付与装置が提案されている。
【0005】
このようなガイド式油剤付与装置においては、給油ガイドに接触走行する糸条と給油ガイドとの間の走行抵抗を少なくしつつ、更に油剤付着斑を惹起しないように走行糸条を構成するフィラメント群を安定かつ良好に集束させることを目的として、走行する糸条を常に最適な位置に維持しておく必要がある。そのためには、例えば特開平8−120512号公報に提案された技術のように、給油ガイドの下方に糸道規制ガイドを設け、これによって、給油ガイドと接触走行する糸条の糸道ならびに集束位置を常に一定に規制して、これを維持することが行われている。
【0006】
ところが、前述のように糸条の走行位置を常に一定の位置に規制しようとしても、何らかの原因によって給油ガイドに不具合が発生すると、給油ガイド上の糸道のずれが発生して糸条の集束不良や油剤付着斑を惹起する。また、高速で走行する糸条に随伴する気流の影響による給油ガイド上の油剤が偏流したり、油剤供給配管中に発生した泡や異物による配管詰まりなどによって、本来、連続的に定量計量されて供給されるはずの油剤量の過不足が生じたりすると、糸条への油剤付着斑や糸条の擦過損傷という問題が生じることは言うまでもない。
【0007】
したがって、このような走行糸条への油剤付着斑や糸条の擦過損傷という問題を回避するために、走行糸条に悪影響を与えないように糸条に非接触かつ簡易的に給油状況を監視する技術が求められるのであるが、このような技術は極めて難しいことは言うまでもない。このため、当然のことながら、このような技術を使用して油剤付与工程を管理しようという技術思想は、従来、ほとんど試みられてこなかった。本発明者等が知る限り、わずかに、特開平10−90225号公報において、走行糸条が通過する油剤付与装置の上流側糸道と下流側糸道とにそれぞれ糸条に帯電した静電気量を非接触で検知する検知器を設け、これら二つの検知器によって検知されたそれぞれの帯電量の差を演算することによって、油剤付着量を連続測定する油分測定装置が提案されているに過ぎない。
【0008】
しかしながら、前記油分測定装置では、油剤付与装置の上流側でも糸条の帯電量を検出する必要があるが、このような位置では糸揺れにより糸道の規制が難しい。なぜならば、油剤付与装置の上流側でガイドに糸条を接触させることは、油剤が付与されていない糸条とガイドとを接触させることを意味し、このため、糸条の周りに形成される油膜という保護層を欠くこととなって、糸条を擦過損傷させる可能性が大きいからであって、糸道規制ガイドは通常このような場所には設けられないからである。したがって、糸揺れが起こる走行糸条と検知器との測定距離を常に一定に維持しながら、しかも非接触の状態に保つことはきわめて困難である。
【0009】
以上に述べた理由から、走行糸条に付着した油剤量を安定に連続測定するためには測定距離の固定化が必要であり、実質的に油剤付与装置の上流側で糸条に帯電した静電気量を糸条と非接触で測定することはきわめて難しく実用性に乏しい。しかも、この従来技術は糸条に帯電した静電気量を二つの検知器を用いて測定する必要があり、しかも同時に二つの検出器が必要とされることから、これらの検出器を同期させて較正する必要もある。その上、このようにして測定した各静電気量を元にコンピュータなどの演算装置を使用してその差を演算しなければならないという極めて煩雑な手続きが必要とされる。
【0010】
【特許文献1】
実公平7−7330号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平8−120512号公報
【0012】
【特許文献3】
特開平10−90225号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べた従来技術が有する諸問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ガイド式油剤付与装置において、油剤付着斑、給油ガイドの磨耗などからなる異常を糸条と非接触かつ連続的に一つの検出器によってオンラインで検知でき、これによって、油剤の付与工程を良好かつ簡易に管理でき、その結果として、製糸性の低下及び製品の品位低下を防止する油剤付与装置とそのための方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
ここに、以上に述べた課題を解決するための手段として、請求項1記載の本発明のように、「走行する糸条と接触して前記走行糸条に油剤を付与する給油ガイドを有する油剤付与装置と、前記給油ガイドと前記走行糸条とが接触する位置の近傍に前記走行糸条と非接触状態かつオンラインで設けられた静電気検出器を有する静電気測定手段とを少なくとも具備する油剤付与装置」が提供される。
【0015】
その際、請求項2に記載の本発明のように、「前記静電気測定手段が、振動式表面電位検知器で構成された前記静電気検出器によって前記走行糸条及び/又は前記給油ガイドの表面電位を測定する手段である請求項1記載の油剤付与装置」とすることが望ましい。
【0016】
また、請求項3記載の本発明のように、「前記静電気測定手段によって測定された静電気の発生状況を連続的に出力する出力手段を更に具備する請求項1記載の油剤付与装置」とすることが望ましい。
【0017】
また、請求項4に記載の本発明のように、「前記静電気測定手段によって測定された静電気の発生状況から油剤付与工程の異常を監視する異常監視手段を更に具備する請求項1記載の油剤付与装置」とすることが望ましい。
【0018】
また、請求項5に記載の本発明のように、「前記異常監視手段によって油剤付与工程の異常が検知された際に警報を発生する警報手段を更に具備する請求項1記載の油剤付与装置」とすることが望ましい。
【0019】
また、請求項6に記載の本発明のように、「前記静電気測定手段によって測定された静電気の発生状況を静電気発生情報として記憶する記憶手段と、前記記憶手段によって記憶された静電気発生情報をデータ処理するデータ処理手段と、前記静電気発生情報から前記走行糸条への油剤付着斑、油剤付着量異常、前記給油ガイドの磨耗あるいは調整不良などの油剤付与異常を分別判断する分別判断手段とを更に具備する請求項1記載の油剤付与装置」とすることが望ましい。
【0020】
そして、請求項7に記載の本発明のように、「前記油剤付与装置が合成繊維の溶融紡糸工程におけるガイド式油剤付与装置である請求項1記載の油剤付与装置」とすることが望ましい。
【0021】
次に、本発明の油剤付与方法として、請求項8に記載の本発明のように、「油剤付与装置の給油ガイドへ油剤を連続的に計量供給し、走行糸条を前記給油ガイドに接触させ、接触させた位置の近傍で前記走行糸条及び/又は前記給油ガイドに発生した静電気を連続的にオンライン測定し、前記静電気の発生状況を監視しつつ前記走行糸条に油剤を付与する油剤付与方法」が提供される。
【0022】
その際、請求項9に記載の本発明のように、「前記静電気の発生状況から前記走行糸条への油剤付着斑、油剤付着量異常、オイリングガイドの磨耗あるいは調整不良などに係る油剤付与異常を検知する請求項8記載の油剤付与方法」とすることが望ましい。
【0023】
そして、請求項10に記載の本発明のように、「前記油剤付与異常が検知された時に警報を発生する請求項9記載の油剤付与方法」とすることが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明のガイド式油剤付与装置をポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどからなる合成繊維の溶融紡糸工程に適用した場合の実施形態例であって、その概略構成を説明するために例示した模式説明図(ただし、ガイド式油剤付与装置に関しては、側断面を示している)である。この図1において、参照符号1はガイド式油剤付与装置、参照符号2は静電気測定装置をそれぞれ示す。また、参照符号Yは前記合成繊維のマルチフィラメントからなる糸条を示す。なお、このような糸条Yは、上方に設けられた図示省略した溶融紡糸口金から紡出されて下方へ走行し、その途中で冷却風が吹き付けられて冷却固化された後に、図示したガイド式油剤付与装置1によって油剤が付与される。
【0026】
ここで、前記ガイド式油剤付与装置1は、給油ガイド10、給油配管11、ギアポンプなどの計量供給装置(図示せず)を含んで構成され、計量供給装置(図示せず)で一定量に計量された油剤は給油配管11から給油ガイド10に供給される。このとき、前記給油ガイド10には、非集束状態で走行する糸条Yを集束するためのV字状あるいはU字状の溝が糸条Yの走行方向に沿って設けられている。更に、V字状あるいはU字状に形成された前記溝の上流側底部には、走行糸条Yと非接触となるように形成された傾斜面10bが設けられ、この傾斜面10bに油剤吐出孔10aが開口する。
【0027】
したがって、前記給油配管11から油剤吐出孔10aに供給された油剤は、V字状あるいはU字状に形成された溝の表面に油膜を形成しながら糸条Yとの接触面10cへと流下する。したがって、通常は、給油ガイド10の糸条Yとの接触面10cには、流下した油剤によって油膜が糸条Yと接触する前に予め形成されているため、走行糸条Yと給油ガイド10との間の摩擦抵抗は低くなっている。しかも、油剤中には糸条Yに対する静電気の発生を抑えるための制電剤なども含まれているために、走行糸条Yと給油ガイド10とが接触して摩擦が発生しても、静電気の発生は少ない状態にある。
【0028】
ところで、合成繊維からなる糸条Yは走行中に空気やガイド類と接触して摩擦されると帯電する特性がある。しかも、その帯電する静電気は、油剤の付着量の変動、すなわち糸条Yへの油剤の付着斑によって変化し、また、油剤付着量が少なくなって油剤付与が不十分になると糸条Yに帯電する静電気量が増大する。さらには、給油ガイド10が走行糸条Yに擦過されると磨耗が発生するが、このような磨耗が発生すると、走行糸条Yとの間の摩擦抵抗が増大し、これによっても静電気の発生が増大する。このように、油剤付与工程において、何らかの異常が発生すれば、糸条Yに帯電する静電気の異常として反映される。したがって、糸条Yに帯電する静電気の異常を監視することによって、油剤付与工程の異常を検出できることが分かる。
【0029】
そこで、走行糸条Yに悪影響を及ぼすことなく静電気の発生異常を検知することが必要となる。しかしながら、毛羽などの発生がない品質に優れた糸条Yを得るためには、走行糸条Yに静電気検出器を接触させることによって糸条Yに擦過損傷を与えないことが必要条件である。しかも、走行糸条Yに静電気検出器を接触させると、新たな静電気の発生を惹起させることともなる。このため、走行糸条Yと非接触状態で糸条Yに帯電した静電気の測定を行う必要がある。
【0030】
しかしながら、合成繊維の溶融紡糸工程等においては、紡出された糸条Yを冷却するための冷却長が必要とされ、また、前述のように紡出された糸条Yを冷却するために冷却風が吹き付けられたりすると、糸揺れが生じて静電気検出器と走行糸条Yとの間の距離を常に一定に保つことができないという問題が生ずる。しかも、糸揺れが激しい場合には、静電気検出器と糸条が接触してしまうと言う問題も生じる。したがって、「従来の技術」欄で述べたように、特開平10−90225号公報に提案されているような従来の非接触式静電気測定技術を操業用の実用化技術として採用することは非現実的であった。
【0031】
これに対して、本発明は、従来方式と異なって、前述の諸問題を一気に解決できるものである。以下、この本発明の特徴について、前記図1を参照しながら詳細に説明する。なお、前記図1において、参照符号2は本発明の静電気測定手段であって、前記静電気測定手段2は静電気検出器20と測定器本体21とを含んで構成されている。ここで、本発明の静電気測定手段2では、発生した静電気を静電気検出器20によって非接触かつオンラインで検出し、検出した信号を接続ケーブルなどを介して測定器本体21へ伝達し、この測定器本体21で前記検出信号からのノイズ除去や検出信号の増幅、あるいは検出したアナログ信号のデジタル信号への変換、測定値のサンプリング間隔の制御など必要な処理を行っている。
【0032】
以上のように構成される静電気測定手段2において、本発明は、「静電気検出器20を給油ガイド10と前記走行糸条Yとが接触する位置(すなわち、接触面10c)の近傍に走行糸条Yと非接触状態かつオンラインで設けること」を一大特徴とする。なお、このような静電気測定手段2としては、静電気検出器20として振動式表面電位検知器を使用し、この静電気検出器20によって前記走行糸条Y及び/又は前記給油ガイド10の表面電位を測定することが好ましい態様である。
【0033】
そして、このような静電気測定手段2を前述のように給油ガイド10の接触面の近傍に配置すれば、冷却風などによる糸揺れなどの影響もなく、給油ガイド10によって規制された走行糸条Yの糸道は常に一定位置に維持されることとなる。したがって、給油ガイド10の位置を固定することによって走行糸条Yの糸道を一定位置に固定すると、走行糸条Yと非接触状態に保ちながら、静電気検出器20と走行糸条Yとの間の距離Lを正確かつ自由に設定することができる。そして、このように、走行糸条Yの集束点(給油ガイド10と糸条Yの接触面10c)と静電気検出器20の相対距離を正確に規制することができると、例え、糸揺れが発生しても、このような糸揺れに全く影響されずに、走行糸条Yとの接触についてはほとんど配慮することなく、前記距離Lを走行糸条Yに格段に近づけることができる。しかも、実質的に静電気が発生する場所の間近で帯電した静電気を正確且つ精度良く測定することが可能となる。
【0034】
なお、このとき、測定する静電気に関しては、糸条Yの種類(ポリマー素材、フィラメント数、繊度など)、糸条Yの走行速度、油剤の種類、給油ガイド10の種類(形状、表面粗さ、材質)などの諸条件により異なってくる。例えば、上記諸条件のうち、糸条Yの走行速度については、走行速度が速いほど静電気の発生が相対的に増大するために、油剤付与異常の検知感度が高くなる。したがって、好ましくは500m/分以上の速度、より好ましくは1000m/分以上の速度に適用する場合に好適である。また、湿度については、高くなるほど静電気の帯電量が減少する傾向になるので、好ましくは85%RH以下の環境下、より好ましくは80%RH以下の環境下で適用する場合に好適である。なお、給油ガイド10の糸条集束点(接触面10c)と静電気検出器20との間の距離Lは短いほど静電気の検出感度は高くなるので、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下の非接触状態で適用する場合に好適である。
【0035】
以上に述べたようにして、走行糸条Yと給油ガイド10とが接触する接触面10cの近傍で帯電した静電気を正確に測定することができると、図1に示したように、静電気検出器20に参照符号3で示した出力手段を接続することによって、測定した静電気の発生状況を必要に応じて出力することができる。そうすると、油剤の糸条Yへの付着状態、給油ガイド10の磨耗状態などをその出力結果から容易に知ることができる。なお、この出力手段3の実施形態としては、紙に印刷するプリンター、液晶ディスプレイ、磁気記録媒体などを例示することができる。また、この出力手段3は、図1では測定器本体21に接続した例を示したが、図の点線で示したように後述するデータ処理手段4に接続しても良い。
【0036】
以上に述べたようにして、走行糸条Y及び/又は給油ガイド10に帯電した静電気が測定可能となると、静電気を測定した時点で直ちに、その静電気の発生状況に係る情報を基にして給油ガイド10への適正な油剤供給、給油ガイド10の位置調整、新しい給油ガイド10への交換などの対策を行うことができる。そして、このようにすることによって、油剤付着斑がなく、しかも、製糸性及び品位が良好な糸条が得られることは既に述べた通りである。
【0037】
しかしながら、このような油剤付与異常に対する対策を実施するためには、前述の静電気発生情報から前記走行糸条への油剤付着斑、油剤付着量異常、前記給油ガイドの磨耗あるいは調整不良などの油剤付与異常を分別判断することが必要となる。そこで、以下に油剤付与異常を分別判断するための装置と方法について、前記図1に加えて図2を援用しながら、詳細に説明する。
【0038】
先ず、以上に述べたような静電気測定手段2によって測定した静電気の測定値(静電気電位値)の代表的な推移パターンを模式説明図として、図2に例示する。この図2において、推移パターンAは、走行糸条Yへの油剤付着斑がなく、しかも、給油ガイド10の磨耗もない良好な条件下で測定された油剤付与異常がない正常パターンを示すものであって、問題となるようなレベルの静電気は観測されず、製糸性と品位とが良好な糸条を得ることができる。
【0039】
次に、推移パターンBは、給油配管11へのエアー噛み込みなどによる油剤供給量が不安定な場合、給油ガイド10の位置不良で糸道がずれた場合、あるいは給油ガイド10の油剤の流れが走行糸条Yによって惹起された随伴気流の影響を受けている場合などに生じる。これは、このように諸設定が不良である時には、走行糸条Yへの油剤付着斑が起こるために、図示したような測定値のハンチングが生じ、これが観測されたものと考えられる。したがって、このような推移パターンBが観測された場合には、油剤配管11などからのエアー抜き、給油ガイド10位置の最適化、随伴気流のカットや油剤供給量を増大するなどの諸条件や諸設定を最適化することが必要となる。そして、このような対策を講じることによって推移パターンAのような正常な状態に復帰させることができる。
【0040】
また、推移パターンCは、給油ガイド10が磨耗して、鏡面化することにより糸条Yの走行抵抗が増大して、糸条Yが必要以上に擦過される場合であって、このような場合には測定値の絶対値が経時的に増大するパターンが観測される。したがって、このような推移パターンCが発生した場合には、給油ガイド10を新しいガイドに交換することにより推移パターンAのような正常な状態に復帰させることができる。
【0041】
最後に、推移パターンDは、走行糸条Yに全く油剤が付与されなかった場合に観測されるパターンであり、給油ガイド10の給油配管11との接続部や油剤の計量ポンプなどから油剤が漏れてしまって、給油ガイド10に油剤が正常に供給されない場合などの油剤の供給が著しく不良時となった際に観測され、走行糸条Yへの油剤の付着不足が発生した際には、このようなパターンを採る。
【0042】
以上に述べたように、油剤付与異常は、図2に示したような各種の推移パターンを監視することによって検知することができる。そこで、このようなシステムについて、以下に詳細に説明するが、その前に、図1の未説明の参照符号について先ず説明すると、参照符号4はデータ処理手段、参照符号5は記憶手段、そして、参照符号6は警報手段をそれぞれ示す。
【0043】
図1に例示したように、先ず静電気測定手段2の一部を構成する静電気検出器20によって検出された静電気量に係る表面電位値などの測定値信号は、測定器本体21でノイズ除去、検出信号の増幅などの処理を受けた後、図示省略したA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)によってデジタル信号に変換され、インターフェース装置((図示せず))を介して、例えばマイクロコンピュータやパーソナルコンピュータなどのように中央演算装置(以下、“CPU”と称する)を有するデータ処理手段4に入力される。
【0044】
その際、静電気測定手段2から逐次送信されてデータ処理手段4に入力された測定値信号は、データ処理手段4に付設されたハードディスクなどの磁気記録媒体を有する記憶手段5に記憶されると共に、データ処理手段4に内蔵されたプログラムに従って、後述するデータ処理が行われ、油剤付与異常の発生がないかどうかの監視が行われる。したがって、このような場合には、前記データ処理手段4が前記静電気測定手段2によって測定された静電気の発生状況から油剤付与工程の異常を監視する異常監視手段を兼ねることとなる。
【0045】
しかしながら、本発明の異常監視手段はこのようなソフトウエアを使用した態様に限定されることなく、例えば、比較回路をハードウエアとして構成し、予め設定した電位値を測定値がオーバーした場合に異常を検知するような方式を採用することができる。また、液晶ディスプレイなどに測定値を逐次時系列的に表示させ、監視員がこれをモニターするような方式も採用することができる。その際、本発明の実施態様としては、以上に述べたようにして前記異常監視手段によって油剤付与工程の異常が検知されると、その異常を作業員に知らせるために、警報を発生する警報手段6を設けることが好ましい。なお、このような警報手段6の実施形態としては、警報音の発生あるいは警報ランプの点灯/点滅などを挙げることができる。
【0046】
ところで、本発明においては、前述のように静電気量に係る表面電位のような測定値から得られる各種の推移パターン(例えば、図2に示した前述の推移パターンA〜D)を分別して、その推移パターンを特定するための判断をする分別判断手段を具備することを一つの特徴とするが、このような分別判断は、前記データ処理手段4に内蔵されたプログラムによって行われる。そこで、このような分別判断処理について以下に詳細に説明する。
【0047】
先ず、前述のようにデータ処理手段4に付設された記憶手段5に入力された一連の測定値(すなわち、静電気測定手段2によって測定された静電気の発生状況などの静電気発生情報)は、必要に応じて記憶手段5から取り出されてデータ処理手段4が具備する前記CPUによって、一定時間内に取り込まれた一連の測定値群を利用して移動平均値の演算(例えば、0.1秒間隔で次々と取り込まれる最新の測定値までの間に2秒間に渡って取り込んだ20個の測定値から移動平均を計算する)を逐次行う。なお、このようなデータ処理は、突発的に発生する異常事態に備えて実時間で連続的に行うこともできるが、例えば、2分間おき、5分間おきなどのように一定の時間をおいて間欠的に行うようにしても良い。
【0048】
以上に述べたようにして、データ処理手段4によって、次々と移動平均値が演算されると、演算された移動平均値が正常時(推移パターンA)のレベルを超えるような値を有する場合には、前記分別判断手段によって、これは推移パターンBであるとソフトウエア的に分別判断される。また、演算された移動平均値が時間の経過と共に増加する傾向を示すことが分かれば、前記分別判断手段によって、これは推移パターンCであると判断される。さらに、得られた移動平均値が実験的に求められた値と比較して、極めて高いレベルにあることが分かれば、これは推移パターンDであることが前記分別判断手段によって分別判断される。
【0049】
そして、このようにして油剤付与工程の異常が検知されると、データ処理手段4に接続された出力手段3によって分別判断された異常の種類が出力される。そうすると、このようにして出力された異常の種別を作業員もしくは監視員が確認することで、静電気発生情報から走行糸条Yへの油剤付着斑、油剤付着量異常、給油ガイド10の磨耗あるいは調整不良などの油剤付与異常を見極めることが可能となり、異常状態を正常状態に復帰させるための対策を迅速に行うことができる。
【0050】
【実施例】
以下に、前記の図1に示した油剤付与装置を使用して行った本発明の実施例を詳細に説明する。
【0051】
ポリε−カプロラクタムを公知の方法で溶融して溶融紡糸口金より紡出し、冷却装置から吹出した冷却風により糸条を冷却固化させた後に、図1に示すようなガイド式油剤付与装置で静電気を測定しながら油剤を付与し、2600m/分の速度で引き取り、ついで、1.55倍に延伸し、加熱ローラで175℃で熱セットした後に交絡を付与し、巻取機で4000m/分の速度で巻き取って33dtex、24フィラメントの糸条を得た。その際、静電気測定手段2としては春日電機(株)製の振動式表面電位計(型式:KSD−0103)を用いた。静電気の測定には一定時間(例えば5分間)に渡り測定された静電圧の最大値と最小値を求めた。また、毛羽に関しては、巻き取った糸から糸長1,300万mを整経してビームに巻き取る際に毛羽をカウントし、これを数回行って平均して100万mあたりの毛羽数に換算したものである。染品位については、経編したのちにスーパーミリング系染料で染色した編地の染斑、経筋の有無から判断した。実施例の結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 2004225200
【0053】
前記表において、実施例1は静電気発生のなく油剤付着斑のない正常な条件である。実施例2は、糸道の規制を変えて走行糸条の給油ガイド上の集束を不安定にさせて、油剤付着斑を誘起させた場合である。実施例3は、走行糸条で給油ガイドが磨耗した場合であり、給油ガイド表面の顕微鏡観察によりガイド表面が摩滅して平滑になっていることが確認された。実施例4は故意に給油ガイドへの油剤供給を止めて、油剤を付与せずに糸条を給油ガイド上に接触走行させたものである。
【0054】
前記表から明らかなように、静電気の発生がない油剤付与条件では毛羽の発生が抑制され、染品位も良好である。一方、油剤付着斑や給油ガイドの磨耗、油剤油剤付与不足が起こると静電気の発生が測定され、毛羽の発生数が顕著に増加し、染品位、製糸性が著しく低下する。
【0055】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、走行糸条に給油ガイドを有する油剤付与装置で油剤付与する場合において、走行糸条と給油ガイドとが接触する接触面の近傍で帯電する静電気を静電気検知器を用いて連続的に測定することができる。したがって、測定した静電気の発生状況を正確かつ精度良く監視することができ、これによって、静電気の発生異常が検出された際に、油剤付与異常と判断することができる。このため、油剤付与工程を常に適正に管理することが可能となり、しかも、それによって得られる製品の品位は勿論、製糸性をも効率的に適正に維持管理できる油剤付与方法を提供できるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の油剤付与装置を合成繊維の溶融紡糸工程に適用した場合の実施形態例であって、その概略構成を説明するために例示した模式説明図(ただし、油剤付与装置に関しては、側断面を示している)である。
【図2】静電気測定手段2によって測定した静電気の測定値(静電気電位値)の代表的な推移パターンを例示した模式説明図である。
【符号の説明】
1 : 給油ガイド
2 : 静電気測定手段
3 : 出力手段
4 : データ処理手段
5 : 記憶手段
6 : 警報手段
10 : 給油ガイド
10a: 油剤吐出孔
10b: 傾斜面
10c: 接触面
20 : 静電気検出器
21 : 測定器本体
Y : 走行糸条
L : 給油ガイド10と走行糸条Yの接触点と静電気検出器20との距離

Claims (10)

  1. 走行する糸条と接触して前記走行糸条に油剤を付与する給油ガイドを有する油剤付与装置と、前記給油ガイドと前記走行糸条とが接触する位置の近傍に前記走行糸条と非接触状態かつオンラインで設けられた静電気検出器を有する静電気測定手段とを少なくとも具備する油剤付与装置。
  2. 前記静電気測定手段が、振動式表面電位検知器で構成された前記静電気検出器によって前記走行糸条及び/又は前記給油ガイドの表面電位を測定する手段である請求項1記載の油剤付与装置。
  3. 前記静電気測定手段によって測定された静電気の発生状況を連続的に出力する出力手段を更に具備する請求項1記載の油剤付与装置。
  4. 前記静電気測定手段によって測定された静電気の発生状況から油剤付与工程の異常を監視する異常監視手段を更に具備する請求項1記載の油剤付与装置。
  5. 前記異常監視手段によって油剤付与工程の異常が検知された際に警報を発生する警報手段を更に具備する請求項1記載の油剤付与装置。
  6. 前記静電気測定手段によって測定された静電気の発生状況を静電気発生情報として記憶する記憶手段と、前記記憶手段によって記憶された静電気発生情報をデータ処理するデータ処理手段と、前記静電気発生情報から前記走行糸条への油剤付着斑、油剤付着量異常、前記給油ガイドの磨耗あるいは調整不良などの油剤付与異常を分別判断する分別判断手段とを更に具備する請求項1記載の油剤付与装置。
  7. 前記油剤付与装置が合成繊維の溶融紡糸工程におけるガイド式油剤付与装置である請求項1記載の油剤付与装置。
  8. 油剤付与装置の給油ガイドへ油剤を連続的に計量供給し、走行糸条を前記給油ガイドに接触させ、接触させた位置の近傍で前記走行糸条及び/又は前記給油ガイドに発生した静電気を連続的にオンライン測定し、前記静電気の発生状況を監視しつつ前記走行糸条に油剤を付与する油剤付与方法。
  9. 前記静電気の発生状況から前記走行糸条への油剤付着斑、油剤付着量異常、オイリングガイドの磨耗あるいは調整不良などに係る油剤付与異常を検知する請求項8記載の油剤付与方法。
  10. 前記油剤付与異常が検知された時に警報を発生する請求項9記載の油剤付与方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111534872A (zh) * 2020-04-30 2020-08-14 浙江佳宝聚酯有限公司 一种新型复合仿毛纤维的制备方法
US10788526B2 (en) 2017-08-30 2020-09-29 Dic Corporation Electrostatic indicator

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