JP3921588B2 - 糸条の集束状態評価装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチフィラメント糸条を構成するフィラメント同士の交絡状態や集束状態を評価するための方法とそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、溶融紡糸工程などの製糸工程において、多数のフィラメントからなるマルチフィラメント糸条が製糸される。その際、このようなマルチフィラメント糸条(以下、特に断らない限り、単に“糸条”と称する)には、巻取り性、製編織性、そして、ハンドリング性などを向上させる目的で空気ノズルなどを使用してフィラメント同士が交絡するように交絡処理がなされる。
【0003】
このような交絡処理を受けた糸条は、その交絡の状態、すなわち交絡の個数や強度によって、製編織性やハンドリング性などに大きな影響を与える。また、これと共に、このような糸条を原糸として延伸や仮撚り等の加工を実施した場合、その加工中に発生する毛羽や断糸の回数に対しても影響を及ぼすことが分かっている。
【0004】
この主要な原因としては、糸条のバラケが考えられ、バラケ易い糸ほどハンドリング性が悪く、加工中での断糸や毛羽の発生が多い。したがって、このような問題を解決するために、糸条に交絡を付与することが行われる。
【0005】
したがって、当然のことながら、このような理由によって糸条に付与された交絡の状態は、糸条を加工したり、ハンドリング製を向上させたりする上で重要なファクターを担っている。このため、この交絡の状態を評価することは、極めて重要な意味を持っている。
【0006】
このように極めて重要な意味を有する従来の交絡状態の評価技術としては、例えば特開昭58−104266号公報に提案されている技術がある。この技術では、レーザ光等の光源を走行中の糸条に当てて、その透過光より糸条の太さの変化を求め、求めた太さの変化から交絡の個数をオンラインで計測する技術である。
【0007】
しかしながら、この技術では、交絡の度合いを定量的に評価できないことや、未延伸糸(UDY)のような引っ張り力を与えるとすぐに伸びる糸は測定が難しい等の問題を有しており、糸条の交絡状態を評価するためには極めて不十分な技術である。
【0008】
これに対して、特開昭56−91029号公報に提案されているように、液面に糸条を浮かべて糸条を開繊させ、その開繊状態によって目視で交絡形状を観察する拡散法を用いた検査技術の改良が提案されている。
【0009】
しかしながら、この技術では、目視検査によって交絡状態を判断するため交絡形態に対して、数値による定量評価が出来ない、評価に観察者の主観が加わるなどの問題がある。しかも、交絡状態の評価にバラツキが生じ、最適な交絡の度合いを評価したいのに、その適正値が捉えられず、相当多量のサンプルによる外観テストや解舒性テスト、加工テストが必要である。更には、糸条の銘柄が変わり、フィラメント数、繊度などが変わると、交絡状態も変化するため、このような場合においても交絡状態を正確に評価できる熟練した評価者が必要とされる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題はこのような従来の技術が有する諸問題の解決にあり、その目的とするところは、糸条の種類に関係なく糸条の交絡状態を定量的に数値化することによって、評価者の熟練や主観によらず交絡付与に対する適正条件の検討を客観的かつ定量的に可能とするものである。
【0011】
また、交絡を意図的に付与していない糸条に対しても、例えばバラケ易さと言った性質、即ち、糸条の集束状態を具体的な数値として定量的に評価できる方法とそのための装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の本発明により達成される。
【0013】
即ち、本発明の糸条の集束状態評価方法は、「マルチフィラメント糸条を測定液の表面に浮かせて開繊させ、開繊させたフィラメントの中、最も開繊した最外端の二つのフィラメントを対として識別し、識別したフィラメント対の距離を検出し、検出した距離を糸条の開繊幅とすることを特徴とする糸条の集束状態評価方法」である。このようにすることで、交絡を付与された糸条は勿論、交絡が付与されていない糸条の集束状態を開繊幅という評価値によって好適に評価できる。
【0014】
その際、前記フィラメント対に次いで大きく開繊した最外端から見てそれぞれ第2番目の外端に位置する二つのフィラメントを対とし、その対間の距離を糸条の開繊幅とすることも、最外端のフィラメント対が開繊しすぎた場合や糸条を構成するフィラメント数が特に多い場合には、効果的な評価方法となる。
【0015】
更に、前記開繊幅の増加及び/又は減少の変化を求め、この変化値から交絡を付与された糸条の交絡点を判別することは、交絡が施された糸条の集束状態を評価する上で好ましい。
【0016】
以上のようにして求めた前記交絡点より、交絡が付与された糸条の交絡点の個数、交絡点間距離の少なくとも一つを求めることは、交絡が付与された糸条の集束状態を示す評価値の一種である “糸条の交絡”を評価する上で好ましい。
【0017】
このとき、前記マルチフィラメント糸条を表面に浮かせた測定液を流動させ、流動させた測定液によって前記マルチフィラメント糸条を走行させることが、フィラメント群の開繊状態を乱すことなく、自然な状態で糸条の集束状態を評価できるため好ましい。
【0018】
更に、以上に述べた評価方法において、マルチフィラメント糸条を測定液の表面に浮かべて開繊させ、糸条の集束状態を評価する集束状態評価領域に対して、それぞれ堰を設けて、測定液をこれらの堰を介してオーバーフローさせながら給液及び排液することが好ましい。
【0019】
何故ならば、このようにすることによって、繰り返し測定を行ってもその再現性が保たれ、しかも、測定液をその測定液面を乱すことなく、静かに流動させることができ、正確に糸条の集束状態を評価できるからである。
【0020】
このような評価方法は、以下に述べるような評価装置によって行うことができる。
【0021】
すなわち、マルチフィラメントからなる糸条を測定液上に浮かべて該糸条を開繊させる開繊手段と、該開繊手段へ該糸条を移送するための糸条移送手段と、開繊された糸条の状態を画像として取込む画像取込手段と、取り込んだ画像から糸条の集束状態を評価するための特徴情報を抽出するための画像処理手段と、抽出した特徴情報から糸条の開繊幅を検出する開繊幅検出手段とを含む糸条の集束状態評価装置である。
【0022】
この糸条の集束状態評価装置においては、前記測定液を流動させて、該測定液の流動によって前記糸条を走行させる走行手段を設けることが好ましい。何故ならば、このようにすることによって、測定液の表面に浮かんで開繊したフィラメント群の開繊状態を乱すことなく、その集束状態を評価することができるからである。
【0023】
したがって、このような装置では、前記開繊手段が、測定液と、該測定液を貯留する貯槽とからなり、該貯槽が測定液供給領域、集束状態評価領域、そして、測定液排出領域の三領域に少なくとも二つの堰によって分割され、該堰を介して集束状態評価領域に前記測定液を給液及び排液することが好ましい。このようにすることで、測定の再現性と正確性を確保することができる。
【0024】
また、前記糸条移送手段が、弛緩状態を維持させながら前記糸条を前記開繊手段へ給糸する手段であることが、緊張状態では糸条が伸びてしまって正確な集束状態が測定できなかったり、フィラメント群を十分に開繊できないといった問題を防止でき、正確に集束状態を評価できるため好ましい。
【0025】
また、本発明の装置においては、前記糸条移送手段によって供給された糸条が測定液上に着水する位置を規制するための規制ガイドを設けることが、集束状態を測定する条件を実質的に常に一定に維持できるため好ましい。
【0026】
何故ならば、着水位置がばらばらであれば、糸条の開繊状態を評価する画像の取り込み位置が変化し、ばらつきのない評価が困難となるからである。また、測定液の流動状態も前記の測定領域において、どの位置においても一定とはいえないため、測定のばらつきが生じるからである。
【0027】
以上に述べたことから明らかなように、乱れのない静かな液面を現出することが肝要であって、測定液の液面が乱れることを防止するために、本発明の装置においては、整流手段を設けることがより好ましい。
【0028】
更に、本発明の装置は、前記画像取込手段によって測定液面上を走行する糸条の開繊状態を画像として取込む際に該測定液面上を走行する糸条の画像を取り込む領域に対して光源を照射する投光手段を備えることが好ましい。このようにすることによって、測定液上で開繊したフィラメントの一本々々を明確に区別できる良質な画像データを得ることができる。
【0029】
また、前述の方法を具現化するために本発明の装置は、前記画像処理手段が、開繊したフィラメント群の中で最も開繊した最外端の二つのフィラメントからなる最外端対、あるいは該最外端対を除いて、最も大きく開繊した最外端に位置する二つのフィラメントからなる第2番目の外端対を識別する手段であることが好ましい。
【0030】
そして、前記画像処理手段は、取り込んだ画像を2値化処理して、該2値化処理によって特徴画像を抽出する2値化処理手段を含むことが、装置構成を簡単にでき、かつ画像処理も迅速に行えるため好ましい。
【0031】
更に、前述の方法を具現化するために本発明の装置は、このようにして識別した特定のフィラメント対からなる情報から、前記画像処理手段によって得られた前記の最外端対及び/又は前記の第2番目の外端対からなるフィラメント間の距離を算出し、これを糸条の開繊幅として検出する前記開繊幅検出手段を備えていることが好ましい。
【0032】
以上に述べた本発明の装置は、前記開繊幅検出手段によって検出された開繊幅から、交絡処理が施された糸条の交絡点を判別する交絡点判別手段を備えていることが、交絡を付与された糸条の集束状態を評価するためのパラメータを的確に判別処理できるため好ましい。そして、この交絡点判別手段は、前記開繊幅の増加及び/又は減少の変化からフィラメント同士が交絡する交絡点を判別する手段であることがより好ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明ついて図面に基づいて詳細に説明する。
【0034】
図1 は本発明の糸条の集束状態評価装置を説明するための説明図である。この図1において、図(a)は側面図、図(b)は平面図をそれぞれ模式的に例示したものである。
【0035】
この図1において、参照符号1は、糸条の開繊手段を示し、この開繊手段1は供給された糸条Yを測定液の表面に浮かべて糸条の非交絡部を開繊させるためのものである。
【0036】
ここで、この糸条の開繊手段1を更に詳細に説明すると、測定対象となる糸条Yを糸条パッケージPから解舒して、解舒した糸条Yを測定液上に浮かべることによって、測定液の表面張力を利用して糸条Yの非交絡部を開繊するものである。なお、本例において、測定液としては水を好適に使用できるが、特に水に限定することなく、本発明の主旨を変更しない範囲で、例えば、界面活性剤や有機・無機塩類などを水や有機溶媒などの溶媒に溶解させて調製することで、適当な表面張力を有する溶液として用いても良い。
【0037】
前記開繊手段1の基本構成は、測定液と該測定液を貯留する貯槽10から構成される。ただし、繰り返して糸条Yの集束状態を測定すると、糸条Yに付着した油剤などが測定液中に溶け出して、測定液の表面張力を変化させる。このために、貯槽10には、このような影響を受けないように一定の割合で常に新しい液体が注入口11から注入され、古い測定液と置換されるようにしておく必要がある。
【0038】
しかしながら、このような測定液を新しい測定液に置換するに際しては、新しく供給される測定液によって糸条を浮かべる液面が乱されないように極力注意して行う必要がある。その際、注入する液体は、一定の流量とすることが好ましく、このため公知の流量調節器を用いて、注入量が一定流量になるように調節することが好ましい。
【0039】
そのためには、図1に例示したように、貯槽10を堰14及び15を介して、測定液供給領域10A、集束状態評価領域10B、測定液排出領域10Cの三領域に分割することが効果的である。このようにすることによって、一旦、測定液供給領域10Aの下方より注入量が一定流量になるように調節しながら測定液を注入口11から供給することができる。
【0040】
そして、一方では、この測定液供給領域10Aへ供給された測定液を堰14の全幅に渡ってオーバーフローさせながら、集束状態評価領域10Bへ液面を乱すことなく静かに供給する。他方では、集束状態評価領域10Bから測定液を堰15の全幅に渡ってオーバーフローさせながら測定液排出領域10Cへ静かに送液(排液)する。
【0041】
なお、堰14と15との間に生じる段差の度合いを変更することで、集束状態評価領域10Bへ流入する測定液の流れの状態を更に細かく調節することができる。このようにすることによって、集束状態評価領域10Bの液面の状態を糸条Yの集束状態を良好に評価できるよう常に静かに維持しておくことができる。
【0042】
しかしながら、この工程では、紡糸時などにおいて付与される糸条に付着した油剤成分が液体表面に広がり、糸条の開繊を妨げる要因となるため、少なくとも測定中においては、これらの阻害要因を排除するために連続的に測定液の更新を行うことが好ましい。
【0043】
このようにして、最終的に測定液排出領域10Cへ排出された測定液は、排出口12から開繊手段1の系外へと排出される。なお、参照符号13は、集束状態評価領域10B内の測定液を抜くための液抜き口であって、該液抜き口13に備えられたバルブ(図示せず)を開けることによって、集束状態評価領域10Bに貯えられた測定液を抜くことができるようになっている。
【0044】
次に、このような構成を有する開繊手段1へ集束状態を評価するための糸条Yを移送するための糸条移送手段2について、以下に説明する。この糸条移送手段2は、一対の糸条供給ローラ21aと21bとを備えており、この糸条供給ローラ21aと21bとによって、パッケージから解舒された糸条Yを挟持しながら、弛緩状態で貯槽10に満たされた測定液上へ送られる。このようにして測定液上に送られた糸条Yは、次いで測定液と接触して開繊され、この状態でその集束状態が評価される。
【0045】
そして、集束状態の評価が完了した糸条Yは、一対の糸条引取りローラ22aと22bとによって挟持されつつ、開繊手段1の系外へ移送される。その際、糸条供給ローラ21a及び21bと、糸条引取りローラ22a及び22bとを、糸条Yの集束状態(“開繊状態”でもある)を測定する間は、糸条Yを弛緩状態で搬送することが必要である。
【0046】
このように糸条Yは弛緩状態で走行させられるため、その糸道がずれないようにし、常に糸道が一定となるように規制する必要が生じる。この目的を達成するために、糸条Yの走行路上には、糸道規制ガイド群23a〜23c、そして、24a〜24cが設けられている。
【0047】
その際、糸条供給ローラ21a及び21bと、糸条引取りローラ22a及び22bとにおいて、ローラ21aと22aとは、それぞれ糸条Yを挟持する際の摩擦力が大きくなるようにゴムがライニングされた糸押えローラとしておくことが好ましい。
【0048】
また、これら糸押えローラ21a及び22aは、外力がローラの回転方向に作用するとその回転軸廻りに自由に回転できるように構成することが好ましい。このような構成を採用すれば、これら糸押えローラ21a及び22aは、それぞれ駆動ローラ21b及び22bと協働しながら、糸条Yを一定の把持力で挟持しながらそれぞれ接触回転する。このようにして、駆動ローラ21b及び22bによって糸押えローラ21a及び22aは従属回転することができる。
【0049】
なお、この糸押えローラ21a及び22aによる糸条Yの把持力は、例えばバネや錘などを利用し、駆動ローラ21b及び22bに押し付ける力を調製することで自由に設定できるようにしておくことが好ましい。
【0050】
ここで、前記糸条供給ローラ21bと糸条引取りローラ22bとは、既に述べたように駆動ローラであって、これら駆動ローラ21b及び22bは、図示省略した駆動装置に接続されて、回転速度がそれぞれ一定となるように制御される。
【0051】
このとき、糸条Yが、測定液と接触しても伸縮しないのであれば、二つの駆動ローラ21b及び22bは、同じ回転速度とすることができる。しかしながら、何らかの理由で糸条Yが伸縮するような場合であれば、糸条Yの伸縮率に合わせて、二つの駆動ローラ21b及び22bの回転速度を調整し、糸条Yが常に弛緩状態を保ちながら、集束状態評価領域10Bの液面上へ供給されるように制御する必要がある。
【0052】
なお、本例では、測定液と接触しても伸縮しないポリエステル糸条を使用した関係上、前記駆動装置としてステッピングモータを使用すると共に、ベルトを介してこのモータの軸を駆動ローラ22bの回転軸とに接続した。このようにすることで、駆動ローラ21bと22bとの回転速度を同じとした。その際、駆動ローラ21bの回転速度は、公知の制御装置であるシーケンサを使用して、任意に設定できるようにした。具体的に一例を示めすならば、糸条の供給速度が1.0m/minとなるように、糸条供給ローラ21bを回転させた。
【0053】
なお、当然のことながら、本発明は、この糸条の供給速度1.0m/minに限定されることは無く、その他の速度を採用することができることは言うまでも無い。また、駆動ローラ21bと22bの材質としては、糸条Yにダメージを与えないものであれば良い。
【0054】
更に、ローラの駆動方法もローラ21bと22bとが等速度で回転すれば特に制限することはない。例えば、それぞれの駆動ローラ21bと22bに同期モータを取り付けてこれらのローラを等速で回転させても良く、本発明の主旨を変更しない限りで各種の変更を加えることができる。
【0055】
次に、本発明の方法と装置に関する他の実施態様について、図2を参照しながら説明する。なお、図2では、前記図1において使用した同一の参照符号で表示した機械要素は、図2においても実質的に同一の機械要素を指すものとする。
【0056】
ここで、図2の実施態様例において、図前記開繊手段1の基本構成は、測定液と該測定液を貯留する貯槽10から構成される。ただし、繰り返して糸条Yの集束状態を測定すると、糸条Yに付着した油剤などが測定液中に溶け出して、測定液の表面張力を変化させる。このために、貯槽10には、このような影響を受けないように一定の割合で常に新しい液体が注入口11から注入され、古い測定液と置換されるようにしておく必要がある。
【0057】
しかしながら、このような測定液を新しい測定液に置換するに際しては、新しく供給される測定液によって糸条を浮かべる液面が乱されないように極力注意して行う必要がある。何故ならば、測定液面に乱れが生じると、フィラメント群の開繊状態も乱されるために、糸条の集束状態を良好に評価することができないからである。
【0058】
そこで、測定液面に乱れが生じないようにするために、本発明においては、測定液供給領域10Aは比較的大きい容量の貯槽10とした。また、集束状態評価領域10Bは、浅めに設計すると共に、測定液を供給する上流に整流手段16を設けることで液面の乱れや流速の乱れを低減している。
【0059】
ここで、このような整流手段16として、本例では、メッシュが粗めの金網を3重に積層したものを堰14の直下に設け、堰14から流下する測定液をこの金網を積層した整流手段16によって、直接に受け止めるようにしている。このようにすることによって、堰14を流下する測定液の影響によって、集束状態評価領域10Bの液面の乱れを防止している。
【0060】
なお、本例においては、前記集束状態評価領域10Bの貯槽10に関しては、その液深を1.5cmとした。その際、この集束状態評価領域10Bへ注入する測定液の流量を一定とするために、公知の流量調節弁を用いて、注入口11からの測定液の注入量が一定流量になるように調節した。
【0061】
次に、本例における糸条移送手段2について説明すると、この糸条移送手段2は、糸条供給ローラ21aと21bとを備えており、この糸条供給ローラ21aと21bとによって、パッケージPから解舒された糸条Yを挟持しながら、弛緩状態で貯槽10に満たされた測定液上へ送られる。
【0062】
このとき、ローラ21aと21bの挟持力は、糸条Yを潰さず、等速に給糸できることが望ましく、場合によってはローラ21aにエアーシリンダー等を設置し、挟持力を緩和させても良い。また、ガイド25及び26は、糸条Yが測定液に接触する位置を規制する。このように、糸条給糸ローラ21aと21b及びガイド25及び26によって測定液上に送られた糸条Yは、測定液と接触して開繊され、この状態でその集束状態が評価される。
【0063】
ここで、本例においては、糸条Yを表面に浮かせた測定液を流動させ、流動させた測定液によって糸条Yを走行させることが、糸条Yを構成するマルチフィラメントの開繊状態を自然なままに維持させることができ、その状態を評価できるために好ましい。
【0064】
このようにして、集束状態の評価が完了した糸条Yは、測定液の流れに乗って測定液に随伴して走行し、最終的には測定液と共に堰15を乗り越えて集束状態評価領域10Bから測定液排出領域10Cへ排出される。
【0065】
このとき、測定液排出領域10Cには糸受け手段18が設けられており、この糸受け手段18によって、糸条Yを受け止める。なお、本例では糸受け手段18として金網を使用したが、このような部材に限定することはなく、評価が完了した糸条Yだけを受け止め、測定液だけを通すものであれば良い。
【0066】
このようにすることによって、測定液の排出口12から開繊手段1の系外へと排出される際に、糸条Yが排出された測定液によって引っ張られ、集束状態評価領域10Bにある糸条Yの走行状態に影響が及ぶのを防止することができる。
【0067】
このように、集束状態評価領域10Bにおいては、糸条Yの集束状態(“開繊状態”でもある)を測定する間は、糸条Yを弛緩状態で搬送することが必要である。したがって、糸条移送手段による糸条速度と集束状態評価領域10Bの流速はほぼ等しく調節する必要がある。
【0068】
また、糸条Yは弛緩状態で走行させられるため、その糸道がずれないようにし、常に糸道が一定となるように規制する必要が生じる。この目的を達成するために、糸条Yの走行路上には、糸道規制ガイド群23a、23b、そして、24a、24bが設けられている。
【0069】
その際、糸条供給ローラ21a及び21bは、それぞれ糸条Yを挟持する際の摩擦力が大きく、糸条が表面に張り付きにくい材質のものをローラ表面に形成しておくことが好ましく、本例では、ウレタンを表面にライニングしたローラを用いた。
【0070】
また、本例では、駆動ローラ21bを駆動するための駆動装置としてステッピングモータを使用し、その際、駆動ローラ21bの回転速度は、公知の制御装置であるシーケンサを使用して、任意に設定できるようにした。具体的には、本例では、糸条の供給速度が2.0m/minとなるように、糸条供給ローラ21bを回転させた。
【0071】
以上、図1及び図2に示した実施態様例で述べたようにして、糸条移送手段2によって糸条Yを開繊手段1に供給し、この開繊手段1によって開繊させられた糸条Yの集束状態を評価するために、本例においては、先ず画像取込手段4を設ける。そして、この画像取込手段4によって、測定液上に開繊させられた糸条Yの画像を取り込む。
【0072】
なお、このような画像取込手段4としては、公知の電荷結合素子(CCD)を用いたCCDカメラを好適に使用することができる。また、その設置位置は、開繊された糸条Yの両最外端が画像の取込範囲に入る場所とする。このようにすることによって、糸条Yの開繊状態を画像処理するための元画像を画像取込手段4によって取込むことができる。
【0073】
このとき、前記画像取込手段4は、糸条Yの開繊状態を鮮明に取り込むために、開繊させた糸条Yに光源を投光する投光手段3を備えていることが好ましい。その際、糸条Yを構成するフィラメントの一本々々を明確に区別できる鮮明な画像を取り込むために、画像取込手段4が取込む画像の取込範囲D'内にフラット光を液面に対して傾斜角を持たせ照射する。なお、本例では、前記投光手段3として高輝度ライトを使用し、光源の投光面を長方形状のスリットにすることで、光の経路を図1(a)、図2(a)のそれぞれ破線で示したようにした。
【0074】
つまり、図1(b)、図2(b)において、投光手段3からの光源の照射範囲が画像取込手段4の直下に位置するよう配置し、この位置の液面上を走行する糸条Yに当たるよう光源の照射位置を調整する。そして、画像取込手段4に画像を取り込んで処理をする画像取込範囲D'を決定する。
【0075】
なお、前記光源は、周囲の明るさや画像取込手段4の調整によって、フィラメント一本々々が鮮明に画像として取り込める場合は、必ずしも必要では無い。また、投光手段3としては、高輝度ライト等の他に、周囲を暗所とすることでブラックライト等を用いても良い。
【0076】
以上のようにして、測定液上で開繊された糸条Yの画像が画像取込手段4によって取り込まれると、図3のブロック線図に示したように、取り込まれた画像は、先ず画像処理手段5へ送られて、糸条Yの集束状態を求めるために特徴情報の抽出を容易にするための処理がなされ、これによって、糸条Yの集束状態を求めるための特徴情報の抽出が行われる。
【0077】
そして、画像処理手段5によって抽出された特徴情報から糸条Yを構成するフィラメントの開繊幅を求めるために、開繊幅検出手段6へ送られる。その後、開繊幅検出手段6より求めた開繊幅より糸条Yの交絡点を判別するための交絡点判別手段7による処理に入る。
【0078】
そして、このようにして求めた交絡点から、糸条Yの集束状態を評価するための各種パラメータを演算するための演算処理を行う演算処理手段8へ送られる。この演算処理手段8では、交絡点判別手段7によって判別した交絡点から交絡点間の距離を演算したり、交絡点の数をカウントしたりするものである。
【0079】
このようにして、最終的に糸条Yの集束状態を評価するための各種パラメータが演算されると、元データや演算結果などを記憶媒体に保存すると共に、ディスプレイ等に表示したり、紙にプリントしたりする保存・出力手段9へ供せられる。
【0080】
なお、本例では、上述の交絡点判別手段7、演算処理手段8及び保存・出力手段9は、パーソナルコンピュータを用いて実現した。また、このような処理によって求められた結果は、評価者によって評価され、糸条の集束状態を定量的かつ客観的に判断するデータとして使用される。
【0081】
以下、前記図3のブロック線図に示した処理の流れについて順を追って説明することとする。
【0082】
先ず、前述のようにして画像取込手段4を介して取り込んだ糸条Yの開繊画像から糸条Yの集束状態を求める特徴情報を抽出する画像処理に移る。この特徴情報の抽出を行う画像処理の具体的かつ簡易な例としては、2値化処理を挙げることができる。
【0083】
この2値化処理では、前記画像取込手段4によって取り込まれた糸条Yの開繊画像から、該糸条Yを構成する各フィラメントの一本々々の特徴を抽出するために、取り込んだ画像の各画素の“明”か“暗”に応じて、各画素を公知の処理手法で2値化する。
【0084】
なお、このような画像処理手段5としては、市販化されている画像処理装置を用いると、容易に構成することができる。例えば、松下電工(株)製のマイクロイメージチェッカーM200(商品名)を用いることができ、本例もこの装置を使用した。
【0085】
その際、このような画像の特徴を抽出する画像処理として、その前処理や後処理などに、ここで一々列挙しないが、画像の輪郭や明暗を強調するための処理や画像に含まれる不要なノイズの除去処理などを行っても良い。更に、本発明においては、2値化処理を使用しているが、2値化処理に限定されず、一般の画像処理や画像のパターン認識において常用される各種処理や各種フィルターを使用することもできる。なお、2値化処理は、極めて簡単かつ高速で画像からの特徴抽出処理が容易にでき、糸条の集束状態をオンラインで十分に評価できるため、好適に使用できる。
【0086】
以下、前記2値化処理を使用した画像の特徴抽出処理を例に採って説明することにする。すなわち、投光手段3から照射された光が反射する部分(即ち、糸条Yを構成する各フィラメント部分)と、光の反射しない部分(即ち、液面部分)との違いは、前記2値化処理を施すことにより明瞭になってくる。
【0087】
したがって、この違いを表現した2値化処理された画像から、糸条Yを構成するフィラメント群が開繊して広がった中で両外端に位置している2つのフィラメント(図1において、参照符号yで示した)を探し出す。そして、このようにして求めたフィラメントy対情報(即ち、2値化処理した画像)から最終的に糸条Yの集束状態を評価するための特徴情報の一つであるフィラメントの開繊幅を前記2つのフィラメント間の隔たり(距離)を開繊幅検出手段6によって求める。
【0088】
この開繊幅検出手段6による開繊幅の検出方法は、図4に示したように画像処理する範囲として画像処理範囲Dを決め、その範囲Dにおいて矢印Aの方向と矢印Bの方向とからそれぞれ2値化レベルが極端にアップする最初の位置を調べて行く。なお、画像のサンプリング周期は50ミリ秒とした。このような操作によって、フィラメントの広がりの中で最外端に位置している2つのフィラメントyが判明する。
【0089】
このとき、フィラメントy間の距離の計算(即ち、“開繊幅の検出”)は、フィラメントの広がりの内で最外端に位置する2つのフィラメントy間の距離を算出することによって行う。しかしながら、フィラメント数が多い場合や、最外端に位置するフィラメントがそれ以外に位置するフィラメントに比べ極端に広がりすぎるような場合は、このような最外端に位置するフィラメントyを採用せずに2番目の外端に位置するフィラメントを使用することもできる。
【0090】
次に、以上のようにして求めた糸条Yの開繊幅からその集束状態を評価するためのパラメータを求める基礎となる交絡点の判別処理を行う。
【0091】
通常、圧縮空気などを糸条Yに吹き付けて糸条Yを構成するフィラメント同士を絡ませる交絡処理などが行われると、フィラメント同士が互いに絡み合った部分と絡み合っていない部分とが形成される。このような場合において、交絡の度合いを定量化する場合に、フィラメント同士が絡まりあって交絡点を判別することがきわめて重要である。これについて、以下に図5を参照しながら、その詳細について説明する。
【0092】
図5は前記交絡点判別手段7によって実施するフィラメント同士が交絡しあう交絡点を探すための処理を説明するための図である。ただし、この説明図では糸条Yの集束状態を評価する評価値(開繊幅)の時間変化を拡大して図示している。なお、この図5に例示した処理は、概略、以下のようにして行われる。
【0093】
先ず、求めた開繊幅が直前の開繊幅より増加していることを確認する。次に、その傾向が図5に示した傾向判断長さ以上継続し、かつその増加開始点からの増加が傾向判断上昇幅以上であるかを判断する。もし、これに該当するならば、前記評価値(開繊幅)が増加を開始した点(上昇開始点)を交絡点と判別するものである。なお、測定しようとする範囲の糸条の全糸長に対して、この交絡点の判別を実施して交絡点の個数と交絡点間距離を求める。
【0094】
以上に述べたようにして、交絡点判別手段7による交絡点の判別処理がなされると、次に、演算処理手段8による演算処理に入る。この演算処理では、前記交絡点判別手段7により判別された交絡点を基にして、その交絡点より糸条Yの集束状態を評価するパラメータとして、交絡の個数、交絡点間距離などを演算処理するものである。なお、必要に応じて、集束状態の各種パラメータの平均値や変化率等を演算できるようにすることが更に好ましい。
【0095】
本実施例では上述の演算処理手段8としてコンピュータを用いて、前記実施した。その交絡点の判別処理の流れをフローチャートとして図6に示す。
【0096】
まず、交絡点を判断する前に、図4に例示した処理によって求めた開繊幅の移動平均値を求める。本実施例では、移動平均を計算する際のデータの長さは糸長で約17mmであった。なお、この糸長約17mmは、糸条が測定液面上を走行するスピードを2m/分とした場合に、サンプリング周期を50ミリ秒として、10個のサンプリングデータを採った場合に相当する。
【0097】
このようにして、移動平均値を求め、この移動平均値から図6に例示した“交絡点判別処理”を行う。なお、“交絡点判別処理”の詳細は後述することとする。この処理は、次の開繊幅データを呼び出して移動平均値を計算する毎に繰り返して行われ、最終的に測定する範囲の糸長に対する“交絡点判別処理”が終了するまで行う。
【0098】
次に、以上に述べた“交絡点判別処理”の流れについて、図5と図6を併用して参照しながら、以下に更に詳細に説明する。
【0099】
まず、この処理では、開繊幅が減少に転じる点(即ち、下降開始点)を求める処理を行う。この下降開始点を求めるのに際して、最初に比較するデータとして最新に得られた開繊幅と、その一つ前に処理した移動平均値とを比較する(S01)。そのときの比較結果として、最新の開繊幅の方が大きい場合、開繊幅が上昇している(すなわち、“開繊幅が増加している”)と判断して、図6の「Yes」の上昇判断処理(S03)に進み、逆の「No」の場合は下降判断処理(S02)に移る。
【0100】
ここで、前記「Yes」の場合には、更に上昇フラグが“1”かどうかを比較し(S04)、この結果が「No」の場合は、更に開繊幅の上昇が開始したことを表す“上昇開始”値が“1”かどうかを比較する(S06)。その比較結果が、ここでも「No」であった場合、“上昇開始”値を“1”にセットし、そのときの開繊幅及び糸長を上昇開始データとして保存する(S12)。
【0101】
ここで、前述の“上昇開始”値が“1”かどうかの比較において、「Yes」の場合、上昇開始データとして先に保存しておいた開繊幅と、現在の開繊幅とを比較(S07)し、上昇開始データの開繊幅の方が小さい場合に「Yes」の処理に進む(S08)。そして、上昇開始データの開繊幅及び糸長を最新の開繊幅と入れ替え、“上昇長さ”の値に“1”を加える(S09)。また、「No」の場合は、データの入れ替えを行わずにそのまま進み、“上昇長さ”の値だけを“1”だけプラスする(S09)。
【0102】
以上のような処理が終わると、次に、上昇条件が成立したかどうかを調べる(S10)。この上昇条件の成立条件は、前記のようにして求めた“上昇長さ”の値(図5に例示した“傾向判断長さL”)が予め設定された所定値以上であり、かつ上昇開始時点での開繊幅と最新の開繊幅との差(図5に例示した“傾向判断上昇幅W”)が予め設定された所定値以上になることである。なお、この上昇条件の判断処理において上昇条件が成立すると、上昇フラグを“1”にセットし、最小値データとして開繊幅及びその時の測定開始からの糸長(以下、単に“開繊幅及び糸長”という)を保存する(S11)。
【0103】
ここで、上述した上昇フラグが“1”かどうかの比較処理(S03)において、「Yes」の場合、最小値の開繊幅と最新の開繊幅とを比較(S04)し、最新の開繊幅が小さければ、最小値として保存された開繊幅及び糸長を最新の開繊幅と糸長に入れ替える(S05)。つまり、このような処理をすることによって、図5に例示した上昇開始点(交絡点)を求めていることになる。
【0104】
なお、本実施例では、上昇開始店(交絡点)を判定するための“傾向判断長さL”の判断基準としては13mmを採用し、“傾向判断上昇幅W”の判断基準については5mmを採用した。なお、これらの値LとWは糸条Yの送り速度、開繊手段1の大きさ、糸条の太さや本数、単位長当たりの交絡数で変更する必要があるため、実験により設定することが好ましい。
【0105】
以上に述べたようにして、交絡点判別手段7による交絡点の判別処理がなされると、次に、演算処理手段8による演算処理(S13)に入る。この演算処理(S13)では、前記交絡点判別手段7により判別された交絡点を基にして、その交絡点より糸条Yの集束状態を評価するパラメータとして、交絡の個数、交絡点間距離などを演算処理するものである。なお、必要に応じて、集束状態の各種パラメータの平均値や変化率等を演算できるようにすることが更に好ましい。
【0106】
このようにして、測定しようとする範囲の糸条の全糸長に対して、処理が終了したかどうかを判断(S14)し、「Yes」の場合は次の処理に移り、「No」の場合は、測定しようとする範囲の糸条の全糸長に対する処理を完了するまで、既に述べた最初の処理(S01)に戻る。
【0107】
なお、下降判断処理(S02)であるが、これは図6の上昇判断処理のフローにおいて比較処理の大小判定を逆にしただけであり、また、下降判断が成立した場合、図6で得られた最小値を交絡点とするものである。このため、説明が重複するのを避けてここではその詳細説明を省略する。
【0108】
以上に述べたようにして、本実施例により測定した結果を図7及び図8に示す。図7は、保存・出力手段9において糸条Yの集束状態の測定中は、リアルタイムでディスプレイに表示出来るようにしており、ここでは測定糸長と開繊幅の関係を示すグラフである。このように糸条Yの集束状態(開繊状態)の変化の様子をリアルタイム表示してオンラインで監視することは、測定中の状態を監視することにもなり、測定の確実性という面から有効であるが、オフライン処理でも良い。この結果は、糸条Yのバラケ易さに大きく関わっている。つまり、図7は交絡付与した糸条Yの測定結果を示したが、交絡が付与されていない糸条Yを測定すると、開繊幅は非常に大きな値となる。また、糸条Yの単位長当たりの交絡数が減ると、この場合も開繊幅が大きくなる。すなわち、この開繊幅が小さい程、糸条Yがバラケにくく、集束度が良いことになる。このように、この開繊幅を比較することで、いろいろな糸条Yの集束状態を評価できる。
【0109】
図8は、図7の開繊幅の変化から交絡点間の距離(IL長)を求め、どのようなIL長がどのように多く分布しているかを見た度数分布図である。この結果は、糸条Yに付与された交絡の強さを確認するのに好適な手段である。すなわち、交絡を強くすると、交絡点間距離の頻度分布が、ある交絡点間距離に集中するのに対し(グラフ中の山が鋭角になる)、交絡の強度を緩めると交絡間距離の頻度分布が広い範囲になる(グラフ中の山が緩やかになる)。このようにして。度数分布表示により、今まで評価出来なかった交絡に対する強度といったパラメータを定量的に評価できるようになった。更には、交絡を付与する機器の調整の際に、どのような強さの交絡を付与できるかを知ることができるという点で極めて大きな効果を発揮する。
【0110】
【発明の効果】
本発明の糸条の集束状態評価方法とそのための装置によれば、従来法にくらべ多種の糸条に対して評価出来る他、糸条の集束の状態を集束状態の評価するためのパラメータとして定量化(数値化)でき、今まで判明しなかった交絡の強さの度合いが分かるようになり、交絡付与の適正化を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる糸条の集束状態評価装置の構成を模式的に例示した説明図であって、(a)は側面図、(b)は平面図をそれぞれ示す。
【図2】本発明に係わる糸条の集束状態評価装置の他の実施形態の構成を模式的に例示した説明図であって、(a)は側面図、(b)は平面図をそれぞれ示す。
【図3】取り込んだ開繊状態の糸条の画像から糸条の集束状態を測定するための構成を例示したブロック線図である。
【図4】開繊幅検出手段による糸条の開繊幅の検出方法の説明図である。
【図5】開繊状態の糸条から求めた開繊幅から交絡点を判別するための方法を説明するための説明図である。
【図6】交絡点判別手段による交絡点判別の処理を例示したフローチャート図である。
【図7】測定糸長と開繊幅の関係を例示したグラフである。
【図8】交絡点間の距離(IL長)の度数分布を例示した図である。
【符号の説明】
1 開繊手段
3 投光手段
4 画像取込手段
10 貯槽
10A 測定液供給領域
10B 集束状態評価領域
10C 測定液排出領域
11 注入口
12 排出口
14、15 堰
21a、22a 糸押えローラ
21b、22b 駆動ローラ
23a〜23c、24a〜24c 糸道ガイド
P 測定対象パッケージ
Y 糸条
y 最外端に位置するフィラメント対

Claims (12)

  1. マルチフィラメントからなる糸条を測定液上に浮かべて該糸条を開繊させる開繊手段と、該開繊手段へ該糸条を移送するための糸条移送手段と、開繊された糸条の状態を画像として取込む画像取込手段と、取り込んだ画像から糸条の集束状態を評価するための特徴情報を抽出するための画像処理手段と、抽出した特徴情報から糸条の開繊幅を検出する開繊幅検出手段とを含む糸条の集束状態評価装置。
  2. 前記測定液を流動させて、該測定液の流動によって前記糸条を走行させる走行手段を設けた請求項1記載の糸条の集束状態評価装置。
  3. 前記開繊手段が、測定液と、該測定液を貯留する貯槽とからなり、該貯槽が測定液供給領域、集束状態評価領域、そして、測定液排出領域の三領域に分割する少なくとも二つの堰を備えた請求項1又は請求項2に記載の糸条の集束状態評価装置。
  4. 前記糸条移送手段が、弛緩状態を維持させながら前記糸条を前記開繊手段へ給糸する手段である請求項1〜3の何れか一項に記載の糸条の集束状態評価装置。
  5. 前記糸条移送手段によって供給された糸条が測定液上に着水する位置を規制するための規制ガイドを設けた請求項1〜4の何れか一項に記載の糸条の集束状態評価装置。
  6. 前記測定液の液面の乱れを防止するための整流手段を設けた請求項1〜5の何れか一項に記載の糸条の集束状態評価装置。
  7. 前記画像取込手段によって測定液面上を走行する糸条の開繊状態を画像として取込む際に該測定液面上を走行する糸条の画像を取り込む領域に対して光源を照射する投光手段を備えた請求項1〜6の何れか一項に記載の糸条の集束状態評価装置。
  8. 前記画像処理手段が、開繊したフィラメント群の中で最も開繊した最外端の二つのフィラメントからなる最外端対、あるいは該最外端対を除いて、最も大きく開繊した最外端に位置する二つのフィラメントからなる第2番目の外端対を識別する手段である請求項1〜7の何れか一項に記載の糸条の集束状態評価装置。
  9. 前記画像処理手段が、取り込んだ画像を2値化処理して、該2値化処
    理によって特徴画像を抽出する2値化処理手段を含む請求項1〜8の何れか一項に記載の糸条の集束状態評価装置。
  10. 前記開繊幅検出手段が、前記画像処理手段によって得られた前記の最外端対及び/又は前記の第2番目の外端対からなるフィラメント間の距離を算出し、これを糸条の開繊幅として検出する手段である請求項8又は請求項9に記載の糸条の集束状態評価装置。
  11. 前記開繊幅検出手段によって検出された開繊幅から、交絡処理が施された糸条の交絡点を判別する交絡点判別手段を備えた請求項10記載の糸条の集束状態評価装置。
  12. 前記交絡点判別手段が前記開繊幅の増加及び/又は減少の変化からフィラメント同士が交絡する交絡点を判別する手段である請求項11記載の糸条の集束状態評価装置。
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