JP2003064550A - 糸条の集束状態評価方法、及びそのための評価装置 - Google Patents

糸条の集束状態評価方法、及びそのための評価装置

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JP2003064550A JP2001359024A JP2001359024A JP2003064550A JP 2003064550 A JP2003064550 A JP 2003064550A JP 2001359024 A JP2001359024 A JP 2001359024A JP 2001359024 A JP2001359024 A JP 2001359024A JP 2003064550 A JP2003064550 A JP 2003064550A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 糸条の集束状態(交絡状態)を数値化でき、
その集束状態を定量的に評価できる方法と装置を提供す
る。 【解決手段】 マルチフィラメント糸条(Y)をローラ群
(21〜22)によって弛緩状態で測定液面上に送られ、測定
液の表面に浮かせて開繊させて、その画像を画像取り込
み手段(4)によって画像処理手段に取り込む。そして、
取り込んだ画像から開繊させたフィラメントの中、最も
開繊した最外端の二つのフィラメント(y)を識別し、識
別した二つのフィラメント(y)を対としてその間の距離
を糸条(Y)の開繊幅として検出し、その開繊幅の変化か
ら交絡点を判別し、交絡点の個数、交絡点間距離、集束
の度合いを求める糸条の集束状態評価方法とそのための
装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルチフィラメン
ト糸条を構成するフィラメント同士の交絡状態や集束状
態を評価するための方法とそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、溶融紡糸工程などの製糸工程にお
いて、多数のフィラメントからなるマルチフィラメント
糸条が製糸される。その際、このようなマルチフィラメ
ント糸条(以下、特に断らない限り、単に“糸条”と称
する)には、巻取り性、製編織性、そして、ハンドリン
グ性などを向上させる目的で空気ノズルなどを使用して
フィラメント同士が交絡するように交絡処理がなされ
る。
【0003】このような交絡処理を受けた糸条は、その
交絡の状態、すなわち交絡の個数や強度によって、製編
織性やハンドリング性などに大きな影響を与える。ま
た、これと共に、このような糸条を原糸として延伸や仮
撚り等の加工を実施した場合、その加工中に発生する毛
羽や断糸の回数に対しても影響を及ぼすことが分かって
いる。
【0004】この主要な原因としては、糸条のバラケが
考えられ、バラケ易い糸ほどハンドリング性が悪く、加
工中での断糸や毛羽の発生が多い。したがって、このよ
うな問題を解決するために、糸条に交絡を付与すること
が行われる。
【0005】したがって、当然のことながら、このよう
な理由によって糸条に付与された交絡の状態は、糸条を
加工したり、ハンドリング製を向上させたりする上で重
要なファクターを担っている。このため、この交絡の状
態を評価することは、極めて重要な意味を持っている。
【0006】このように極めて重要な意味を有する従来
の交絡状態の評価技術としては、例えば特開昭58−1
04266号公報に提案されている技術がある。この技
術では、レーザ光等の光源を走行中の糸条に当てて、そ
の透過光より糸条の太さの変化を求め、求めた太さの変
化から交絡の個数をオンラインで計測する技術である。
【0007】しかしながら、この技術では、交絡の度合
いを定量的に評価できないことや、未延伸糸(UDY)
のような引っ張り力を与えるとすぐに伸びる糸は測定が
難しい等の問題を有しており、糸条の交絡状態を評価す
るためには極めて不十分な技術である。
【0008】これに対して、特開昭56−91029号
公報に提案されているように、液面に糸条を浮かべて糸
条を開繊させ、その開繊状態によって目視で交絡形状を
観察する拡散法を用いた検査技術の改良が提案されてい
る。
【0009】しかしながら、この技術では、目視検査に
よって交絡状態を判断するため交絡形態に対して、数値
による定量評価が出来ない、評価に観察者の主観が加わ
るなどの問題がある。しかも、交絡状態の評価にバラツ
キが生じ、最適な交絡の度合いを評価したいのに、その
適正値が捉えられず、相当多量のサンプルによる外観テ
ストや解舒性テスト、加工テストが必要である。更に
は、糸条の銘柄が変わり、フィラメント数、繊度などが
変わると、交絡状態も変化するため、このような場合に
おいても交絡状態を正確に評価できる熟練した評価者が
必要とされる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題はこのような従来の技術が有する諸問題の解決
にあり、その目的とするところは、糸条の種類に関係な
く糸条の交絡状態を定量的に数値化することによって、
評価者の熟練や主観によらず交絡付与に対する適正条件
の検討を客観的かつ定量的に可能とするものである。
【0011】また、交絡を意図的に付与していない糸条
に対しても、例えばバラケ易さと言った性質、即ち、糸
条の集束状態を具体的な数値として定量的に評価できる
方法とそのための装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題は以下の本発明
により達成される。
【0013】即ち、本発明の糸条の集束状態評価方法
は、「マルチフィラメント糸条を測定液の表面に浮かせ
て開繊させ、開繊させたフィラメントの中、最も開繊し
た最外端の二つのフィラメントを対として識別し、識別
したフィラメント対の距離を検出し、検出した距離を糸
条の開繊幅とすることを特徴とする糸条の集束状態評価
方法」である。このようにすることで、交絡を付与され
た糸条は勿論、交絡が付与されていない糸条の集束状態
を開繊幅という評価値によって好適に評価できる。
【0014】その際、前記フィラメント対に次いで大き
く開繊した最外端から見てそれぞれ第2番目の外端に位
置する二つのフィラメントを対とし、その対間の距離を
糸条の開繊幅とすることも、最外端のフィラメント対が
開繊しすぎた場合や糸条を構成するフィラメント数が特
に多い場合には、効果的な評価方法となる。
【0015】更に、前記開繊幅の増加及び/又は減少の
変化を求め、この変化値から交絡を付与された糸条の交
絡点を判別することは、交絡が施された糸条の集束状態
を評価する上で好ましい。
【0016】以上のようにして求めた前記交絡点より、
交絡が付与された糸条の交絡点の個数、交絡点間距離の
少なくとも一つを求めることは、交絡が付与された糸条
の集束状態を示す評価値の一種である “糸条の交絡”
を評価する上で好ましい。
【0017】このとき、前記マルチフィラメント糸条を
表面に浮かせた測定液を流動させ、流動させた測定液に
よって前記マルチフィラメント糸条を走行させること
が、フィラメント群の開繊状態を乱すことなく、自然な
状態で糸条の集束状態を評価できるため好ましい。
【0018】更に、以上に述べた評価方法において、マ
ルチフィラメント糸条を測定液の表面に浮かべて開繊さ
せ、糸条の集束状態を評価する集束状態評価領域に対し
て、それぞれ堰を設けて、測定液をこれらの堰を介して
オーバーフローさせながら給液及び排液することが好ま
しい。
【0019】何故ならば、このようにすることによっ
て、繰り返し測定を行ってもその再現性が保たれ、しか
も、測定液をその測定液面を乱すことなく、静かに流動
させることができ、正確に糸条の集束状態を評価できる
からである。
【0020】このような評価方法は、以下に述べるよう
な評価装置によって行うことができる。
【0021】すなわち、マルチフィラメントからなる糸
条を測定液上に浮かべて該糸条を開繊させる開繊手段
と、該開繊手段へ該糸条を移送するための糸条移送手段
と、開繊された糸条の状態を画像として取込む画像取込
手段と、取り込んだ画像から糸条の集束状態を評価する
ための特徴情報を抽出するための画像処理手段と、抽出
した特徴情報から糸条の開繊幅を検出する開繊幅検出手
段とを含む糸条の集束状態評価装置である。
【0022】この糸条の集束状態評価装置においては、
前記測定液を流動させて、該測定液の流動によって前記
糸条を走行させる走行手段を設けることが好ましい。何
故ならば、このようにすることによって、測定液の表面
に浮かんで開繊したフィラメント群の開繊状態を乱すこ
となく、その集束状態を評価することができるからであ
る。
【0023】したがって、このような装置では、前記開
繊手段が、測定液と、該測定液を貯留する貯槽とからな
り、該貯槽が測定液供給領域、集束状態評価領域、そし
て、測定液排出領域の三領域に少なくとも二つの堰によ
って分割され、該堰を介して集束状態評価領域に前記測
定液を給液及び排液することが好ましい。このようにす
ることで、測定の再現性と正確性を確保することができ
る。
【0024】また、前記糸条移送手段が、弛緩状態を維
持させながら前記糸条を前記開繊手段へ給糸する手段で
あることが、緊張状態では糸条が伸びてしまって正確な
集束状態が測定できなかったり、フィラメント群を十分
に開繊できないといった問題を防止でき、正確に集束状
態を評価できるため好ましい。
【0025】また、本発明の装置においては、前記糸条
移送手段によって供給された糸条が測定液上に着水する
位置を規制するための規制ガイドを設けることが、集束
状態を測定する条件を実質的に常に一定に維持できるた
め好ましい。
【0026】何故ならば、着水位置がばらばらであれ
ば、糸条の開繊状態を評価する画像の取り込み位置が変
化し、ばらつきのない評価が困難となるからである。ま
た、測定液の流動状態も前記の測定領域において、どの
位置においても一定とはいえないため、測定のばらつき
が生じるからである。
【0027】以上に述べたことから明らかなように、乱
れのない静かな液面を現出することが肝要であって、測
定液の液面が乱れることを防止するために、本発明の装
置においては、整流手段を設けることがより好ましい。
【0028】更に、本発明の装置は、前記画像取込手段
によって測定液面上を走行する糸条の開繊状態を画像と
して取込む際に該測定液面上を走行する糸条の画像を取
り込む領域に対して光源を照射する投光手段を備えるこ
とが好ましい。このようにすることによって、測定液上
で開繊したフィラメントの一本々々を明確に区別できる
良質な画像データを得ることができる。
【0029】また、前述の方法を具現化するために本発
明の装置は、前記画像処理手段が、開繊したフィラメン
ト群の中で最も開繊した最外端の二つのフィラメントか
らなる最外端対、あるいは該最外端対を除いて、最も大
きく開繊した最外端に位置する二つのフィラメントから
なる第2番目の外端対を識別する手段であることが好ま
しい。
【0030】そして、前記画像処理手段は、取り込んだ
画像を2値化処理して、該2値化処理によって特徴画像
を抽出する2値化処理手段を含むことが、装置構成を簡
単にでき、かつ画像処理も迅速に行えるため好ましい。
【0031】更に、前述の方法を具現化するために本発
明の装置は、このようにして識別した特定のフィラメン
ト対からなる情報から、前記画像処理手段によって得ら
れた前記の最外端対及び/又は前記の第2番目の外端対
からなるフィラメント間の距離を算出し、これを糸条の
開繊幅として検出する前記開繊幅検出手段を備えている
ことが好ましい。
【0032】以上に述べた本発明の装置は、前記開繊幅
検出手段によって検出された開繊幅から、交絡処理が施
された糸条の交絡点を判別する交絡点判別手段を備えて
いることが、交絡を付与された糸条の集束状態を評価す
るためのパラメータを的確に判別処理できるため好まし
い。そして、この交絡点判別手段は、前記開繊幅の増加
及び/又は減少の変化からフィラメント同士が交絡する
交絡点を判別する手段であることがより好ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明ついて図面に基づい
て詳細に説明する。
【0034】図1 は本発明の糸条の集束状態評価装置を
説明するための説明図である。この図1において、図
(a)は側面図、図(b)は平面図をそれぞれ模式的に
例示したものである。
【0035】この図1において、参照符号1は、糸条の
開繊手段を示し、この開繊手段1は供給された糸条Yを
測定液の表面に浮かべて糸条の非交絡部を開繊させるた
めのものである。
【0036】ここで、この糸条の開繊手段1を更に詳細
に説明すると、測定対象となる糸条Yを糸条パッケージ
Pから解舒して、解舒した糸条Yを測定液上に浮かべる
ことによって、測定液の表面張力を利用して糸条Yの非
交絡部を開繊するものである。なお、本例において、測
定液としては水を好適に使用できるが、特に水に限定す
ることなく、本発明の主旨を変更しない範囲で、例え
ば、界面活性剤や有機・無機塩類などを水や有機溶媒な
どの溶媒に溶解させて調製することで、適当な表面張力
を有する溶液として用いても良い。
【0037】前記開繊手段1の基本構成は、測定液と該
測定液を貯留する貯槽10から構成される。ただし、繰
り返して糸条Yの集束状態を測定すると、糸条Yに付着
した油剤などが測定液中に溶け出して、測定液の表面張
力を変化させる。このために、貯槽10には、このよう
な影響を受けないように一定の割合で常に新しい液体が
注入口11から注入され、古い測定液と置換されるよう
にしておく必要がある。
【0038】しかしながら、このような測定液を新しい
測定液に置換するに際しては、新しく供給される測定液
によって糸条を浮かべる液面が乱されないように極力注
意して行う必要がある。その際、注入する液体は、一定
の流量とすることが好ましく、このため公知の流量調節
器を用いて、注入量が一定流量になるように調節するこ
とが好ましい。
【0039】そのためには、図1に例示したように、貯
槽10を堰14及び15を介して、測定液供給領域10
A、集束状態評価領域10B、測定液排出領域10Cの
三領域に分割することが効果的である。このようにする
ことによって、一旦、測定液供給領域10Aの下方より
注入量が一定流量になるように調節しながら測定液を注
入口11から供給することができる。
【0040】そして、一方では、この測定液供給領域1
0Aへ供給された測定液を堰14の全幅に渡ってオーバ
ーフローさせながら、集束状態評価領域10Bへ液面を
乱すことなく静かに供給する。他方では、集束状態評価
領域10Bから測定液を堰15の全幅に渡ってオーバー
フローさせながら測定液排出領域10Cへ静かに送液
(排液)する。
【0041】なお、堰14と15との間に生じる段差の
度合いを変更することで、集束状態評価領域10Bへ流
入する測定液の流れの状態を更に細かく調節することが
できる。このようにすることによって、集束状態評価領
域10Bの液面の状態を糸条Yの集束状態を良好に評価
できるよう常に静かに維持しておくことができる。
【0042】しかしながら、この工程では、紡糸時など
において付与される糸条に付着した油剤成分が液体表面
に広がり、糸条の開繊を妨げる要因となるため、少なく
とも測定中においては、これらの阻害要因を排除するた
めに連続的に測定液の更新を行うことが好ましい。
【0043】このようにして、最終的に測定液排出領域
10Cへ排出された測定液は、排出口12から開繊手段
1の系外へと排出される。なお、参照符号13は、集束
状態評価領域10B内の測定液を抜くための液抜き口で
あって、該液抜き口13に備えられたバルブ(図示せ
ず)を開けることによって、集束状態評価領域10Bに
貯えられた測定液を抜くことができるようになってい
る。
【0044】次に、このような構成を有する開繊手段1
へ集束状態を評価するための糸条Yを移送するための糸
条移送手段2について、以下に説明する。この糸条移送
手段2は、一対の糸条供給ローラ21aと21bとを備
えており、この糸条供給ローラ21aと21bとによっ
て、パッケージから解舒された糸条Yを挟持しながら、
弛緩状態で貯槽10に満たされた測定液上へ送られる。
このようにして測定液上に送られた糸条Yは、次いで測
定液と接触して開繊され、この状態でその集束状態が評
価される。
【0045】そして、集束状態の評価が完了した糸条Y
は、一対の糸条引取りローラ22aと22bとによって
挟持されつつ、開繊手段1の系外へ移送される。その
際、糸条供給ローラ21a及び21bと、糸条引取りロ
ーラ22a及び22bとを、糸条Yの集束状態(“開繊
状態”でもある)を測定する間は、糸条Yを弛緩状態で
搬送することが必要である。
【0046】このように糸条Yは弛緩状態で走行させら
れるため、その糸道がずれないようにし、常に糸道が一
定となるように規制する必要が生じる。この目的を達成
するために、糸条Yの走行路上には、糸道規制ガイド群
23a〜23c、そして、24a〜24cが設けられて
いる。
【0047】その際、糸条供給ローラ21a及び21b
と、糸条引取りローラ22a及び22bとにおいて、ロ
ーラ21aと22aとは、それぞれ糸条Yを挟持する際
の摩擦力が大きくなるようにゴムがライニングされた糸
押えローラとしておくことが好ましい。
【0048】また、これら糸押えローラ21a及び22
aは、外力がローラの回転方向に作用するとその回転軸
廻りに自由に回転できるように構成することが好まし
い。このような構成を採用すれば、これら糸押えローラ
21a及び22aは、それぞれ駆動ローラ21b及び2
2bと協働しながら、糸条Yを一定の把持力で挟持しな
がらそれぞれ接触回転する。このようにして、駆動ロー
ラ21b及び22bによって糸押えローラ21a及び2
2aは従属回転することができる。
【0049】なお、この糸押えローラ21a及び22a
による糸条Yの把持力は、例えばバネや錘などを利用
し、駆動ローラ21b及び22bに押し付ける力を調製
することで自由に設定できるようにしておくことが好ま
しい。
【0050】ここで、前記糸条供給ローラ21bと糸条
引取りローラ22bとは、既に述べたように駆動ローラ
であって、これら駆動ローラ21b及び22bは、図示
省略した駆動装置に接続されて、回転速度がそれぞれ一
定となるように制御される。
【0051】このとき、糸条Yが、測定液と接触しても
伸縮しないのであれば、二つの駆動ローラ21b及び2
2bは、同じ回転速度とすることができる。しかしなが
ら、何らかの理由で糸条Yが伸縮するような場合であれ
ば、糸条Yの伸縮率に合わせて、二つの駆動ローラ21
b及び22bの回転速度を調整し、糸条Yが常に弛緩状
態を保ちながら、集束状態評価領域10Bの液面上へ供
給されるように制御する必要がある。
【0052】なお、本例では、測定液と接触しても伸縮
しないポリエステル糸条を使用した関係上、前記駆動装
置としてステッピングモータを使用すると共に、ベルト
を介してこのモータの軸を駆動ローラ22bの回転軸と
に接続した。このようにすることで、駆動ローラ21b
と22bとの回転速度を同じとした。その際、駆動ロー
ラ21bの回転速度は、公知の制御装置であるシーケン
サを使用して、任意に設定できるようにした。具体的に
一例を示めすならば、糸条の供給速度が1.0m/mi
nとなるように、糸条供給ローラ21bを回転させた。
【0053】なお、当然のことながら、本発明は、この
糸条の供給速度1.0m/minに限定されることは無
く、その他の速度を採用することができることは言うま
でも無い。また、駆動ローラ21bと22bの材質とし
ては、糸条Yにダメージを与えないものであれば良い。
【0054】更に、ローラの駆動方法もローラ21bと
22bとが等速度で回転すれば特に制限することはな
い。例えば、それぞれの駆動ローラ21bと22bに同
期モータを取り付けてこれらのローラを等速で回転させ
ても良く、本発明の主旨を変更しない限りで各種の変更
を加えることができる。
【0055】次に、本発明の方法と装置に関する他の実
施態様について、図2を参照しながら説明する。なお、
図2では、前記図1において使用した同一の参照符号で
表示した機械要素は、図2においても実質的に同一の機
械要素を指すものとする。
【0056】ここで、図2の実施態様例において、図前
記開繊手段1の基本構成は、測定液と該測定液を貯留す
る貯槽10から構成される。ただし、繰り返して糸条Y
の集束状態を測定すると、糸条Yに付着した油剤などが
測定液中に溶け出して、測定液の表面張力を変化させ
る。このために、貯槽10には、このような影響を受け
ないように一定の割合で常に新しい液体が注入口11か
ら注入され、古い測定液と置換されるようにしておく必
要がある。
【0057】しかしながら、このような測定液を新しい
測定液に置換するに際しては、新しく供給される測定液
によって糸条を浮かべる液面が乱されないように極力注
意して行う必要がある。何故ならば、測定液面に乱れが
生じると、フィラメント群の開繊状態も乱されるため
に、糸条の集束状態を良好に評価することができないか
らである。
【0058】そこで、測定液面に乱れが生じないように
するために、本発明においては、測定液供給領域10A
は比較的大きい容量の貯槽10とした。また、集束状態
評価領域10Bは、浅めに設計すると共に、測定液を供
給する上流に整流手段16を設けることで液面の乱れや
流速の乱れを低減している。
【0059】ここで、このような整流手段16として、
本例では、メッシュが粗めの金網を3重に積層したもの
を堰14の直下に設け、堰14から流下する測定液をこ
の金網を積層した整流手段16によって、直接に受け止
めるようにしている。このようにすることによって、堰
14を流下する測定液の影響によって、集束状態評価領
域10Bの液面の乱れを防止している。
【0060】なお、本例においては、前記集束状態評価
領域10Bの貯槽10に関しては、その液深を1.5c
mとした。その際、この集束状態評価領域10Bへ注入
する測定液の流量を一定とするために、公知の流量調節
弁を用いて、注入口11からの測定液の注入量が一定流
量になるように調節した。
【0061】次に、本例における糸条移送手段2につい
て説明すると、この糸条移送手段2は、糸条供給ローラ
21aと21bとを備えており、この糸条供給ローラ2
1aと21bとによって、パッケージPから解舒された
糸条Yを挟持しながら、弛緩状態で貯槽10に満たされ
た測定液上へ送られる。
【0062】このとき、ローラ21aと21bの挟持力
は、糸条Yを潰さず、等速に給糸できることが望まし
く、場合によってはローラ21aにエアーシリンダー等
を設置し、挟持力を緩和させても良い。また、ガイド2
5及び26は、糸条Yが測定液に接触する位置を規制す
る。このように、糸条給糸ローラ21aと21b及びガ
イド25及び26によって測定液上に送られた糸条Y
は、測定液と接触して開繊され、この状態でその集束状
態が評価される。
【0063】ここで、本例においては、糸条Yを表面に
浮かせた測定液を流動させ、流動させた測定液によって
糸条Yを走行させることが、糸条Yを構成するマルチフ
ィラメントの開繊状態を自然なままに維持させることが
でき、その状態を評価できるために好ましい。
【0064】このようにして、集束状態の評価が完了し
た糸条Yは、測定液の流れに乗って測定液に随伴して走
行し、最終的には測定液と共に堰15を乗り越えて集束
状態評価領域10Bから測定液排出領域10Cへ排出さ
れる。
【0065】このとき、測定液排出領域10Cには糸受
け手段18が設けられており、この糸受け手段18によ
って、糸条Yを受け止める。なお、本例では糸受け手段
18として金網を使用したが、このような部材に限定す
ることはなく、評価が完了した糸条Yだけを受け止め、
測定液だけを通すものであれば良い。
【0066】このようにすることによって、測定液の排
出口12から開繊手段1の系外へと排出される際に、糸
条Yが排出された測定液によって引っ張られ、集束状態
評価領域10Bにある糸条Yの走行状態に影響が及ぶの
を防止することができる。
【0067】このように、集束状態評価領域10Bにお
いては、糸条Yの集束状態(“開繊状態”でもある)を
測定する間は、糸条Yを弛緩状態で搬送することが必要
である。したがって、糸条移送手段による糸条速度と集
束状態評価領域10Bの流速はほぼ等しく調節する必要
がある。
【0068】また、糸条Yは弛緩状態で走行させられる
ため、その糸道がずれないようにし、常に糸道が一定と
なるように規制する必要が生じる。この目的を達成する
ために、糸条Yの走行路上には、糸道規制ガイド群23
a、23b、そして、24a、24bが設けられてい
る。
【0069】その際、糸条供給ローラ21a及び21b
は、それぞれ糸条Yを挟持する際の摩擦力が大きく、糸
条が表面に張り付きにくい材質のものをローラ表面に形
成しておくことが好ましく、本例では、ウレタンを表面
にライニングしたローラを用いた。
【0070】また、本例では、駆動ローラ21bを駆動
するための駆動装置としてステッピングモータを使用
し、その際、駆動ローラ21bの回転速度は、公知の制
御装置であるシーケンサを使用して、任意に設定できる
ようにした。具体的には、本例では、糸条の供給速度が
2.0m/minとなるように、糸条供給ローラ21b
を回転させた。
【0071】以上、図1及び図2に示した実施態様例で
述べたようにして、糸条移送手段2によって糸条Yを開
繊手段1に供給し、この開繊手段1によって開繊させら
れた糸条Yの集束状態を評価するために、本例において
は、先ず画像取込手段4を設ける。そして、この画像取
込手段4によって、測定液上に開繊させられた糸条Yの
画像を取り込む。
【0072】なお、このような画像取込手段4として
は、公知の電荷結合素子(CCD)を用いたCCDカメ
ラを好適に使用することができる。また、その設置位置
は、開繊された糸条Yの両最外端が画像の取込範囲に入
る場所とする。このようにすることによって、糸条Yの
開繊状態を画像処理するための元画像を画像取込手段4
によって取込むことができる。
【0073】このとき、前記画像取込手段4は、糸条Y
の開繊状態を鮮明に取り込むために、開繊させた糸条Y
に光源を投光する投光手段3を備えていることが好まし
い。その際、糸条Yを構成するフィラメントの一本々々
を明確に区別できる鮮明な画像を取り込むために、画像
取込手段4が取込む画像の取込範囲D'内にフラット光
を液面に対して傾斜角を持たせ照射する。なお、本例で
は、前記投光手段3として高輝度ライトを使用し、光源
の投光面を長方形状のスリットにすることで、光の経路
を図1(a)、図2(a)のそれぞれ破線で示したよう
にした。
【0074】つまり、図1(b)、図2(b)におい
て、投光手段3からの光源の照射範囲が画像取込手段4
の直下に位置するよう配置し、この位置の液面上を走行
する糸条Yに当たるよう光源の照射位置を調整する。そ
して、画像取込手段4に画像を取り込んで処理をする画
像取込範囲D'を決定する。
【0075】なお、前記光源は、周囲の明るさや画像取
込手段4の調整によって、フィラメント一本々々が鮮明
に画像として取り込める場合は、必ずしも必要では無
い。また、投光手段3としては、高輝度ライト等の他
に、周囲を暗所とすることでブラックライト等を用いて
も良い。
【0076】以上のようにして、測定液上で開繊された
糸条Yの画像が画像取込手段4によって取り込まれる
と、図3のブロック線図に示したように、取り込まれた
画像は、先ず画像処理手段5へ送られて、糸条Yの集束
状態を求めるために特徴情報の抽出を容易にするための
処理がなされ、これによって、糸条Yの集束状態を求め
るための特徴情報の抽出が行われる。
【0077】そして、画像処理手段5によって抽出され
た特徴情報から糸条Yを構成するフィラメントの開繊幅
を求めるために、開繊幅検出手段6へ送られる。その
後、開繊幅検出手段6より求めた開繊幅より糸条Yの交
絡点を判別するための交絡点判別手段7による処理に入
る。
【0078】そして、このようにして求めた交絡点か
ら、糸条Yの集束状態を評価するための各種パラメータ
を演算するための演算処理を行う演算処理手段8へ送ら
れる。この演算処理手段8では、交絡点判別手段7によ
って判別した交絡点から交絡点間の距離を演算したり、
交絡点の数をカウントしたりするものである。
【0079】このようにして、最終的に糸条Yの集束状
態を評価するための各種パラメータが演算されると、元
データや演算結果などを記憶媒体に保存すると共に、デ
ィスプレイ等に表示したり、紙にプリントしたりする保
存・出力手段9へ供せられる。
【0080】なお、本例では、上述の交絡点判別手段
7、演算処理手段8及び保存・出力手段9は、パーソナ
ルコンピュータを用いて実現した。また、このような処
理によって求められた結果は、評価者によって評価さ
れ、糸条の集束状態を定量的かつ客観的に判断するデー
タとして使用される。
【0081】以下、前記図3のブロック線図に示した処
理の流れについて順を追って説明することとする。
【0082】先ず、前述のようにして画像取込手段4を
介して取り込んだ糸条Yの開繊画像から糸条Yの集束状
態を求める特徴情報を抽出する画像処理に移る。この特
徴情報の抽出を行う画像処理の具体的かつ簡易な例とし
ては、2値化処理を挙げることができる。
【0083】この2値化処理では、前記画像取込手段4
によって取り込まれた糸条Yの開繊画像から、該糸条Y
を構成する各フィラメントの一本々々の特徴を抽出する
ために、取り込んだ画像の各画素の“明”か“暗”に応
じて、各画素を公知の処理手法で2値化する。
【0084】なお、このような画像処理手段5として
は、市販化されている画像処理装置を用いると、容易に
構成することができる。例えば、松下電工(株)製のマ
イクロイメージチェッカーM200(商品名)を用いる
ことができ、本例もこの装置を使用した。
【0085】その際、このような画像の特徴を抽出する
画像処理として、その前処理や後処理などに、ここで一
々列挙しないが、画像の輪郭や明暗を強調するための処
理や画像に含まれる不要なノイズの除去処理などを行っ
ても良い。更に、本発明においては、2値化処理を使用
しているが、2値化処理に限定されず、一般の画像処理
や画像のパターン認識において常用される各種処理や各
種フィルターを使用することもできる。なお、2値化処
理は、極めて簡単かつ高速で画像からの特徴抽出処理が
容易にでき、糸条の集束状態をオンラインで十分に評価
できるため、好適に使用できる。
【0086】以下、前記2値化処理を使用した画像の特
徴抽出処理を例に採って説明することにする。すなわ
ち、投光手段3から照射された光が反射する部分(即
ち、糸条Yを構成する各フィラメント部分)と、光の反
射しない部分(即ち、液面部分)との違いは、前記2値
化処理を施すことにより明瞭になってくる。
【0087】したがって、この違いを表現した2値化処
理された画像から、糸条Yを構成するフィラメント群が
開繊して広がった中で両外端に位置している2つのフィ
ラメント(図1において、参照符号yで示した)を探し
出す。そして、このようにして求めたフィラメントy対
情報(即ち、2値化処理した画像)から最終的に糸条Y
の集束状態を評価するための特徴情報の一つであるフィ
ラメントの開繊幅を前記2つのフィラメント間の隔たり
(距離)を開繊幅検出手段6によって求める。
【0088】この開繊幅検出手段6による開繊幅の検出
方法は、図4に示したように画像処理する範囲として画
像処理範囲Dを決め、その範囲Dにおいて矢印Aの方向
と矢印Bの方向とからそれぞれ2値化レベルが極端にア
ップする最初の位置を調べて行く。なお、画像のサンプ
リング周期は50ミリ秒とした。このような操作によっ
て、フィラメントの広がりの中で最外端に位置している
2つのフィラメントyが判明する。
【0089】このとき、フィラメントy間の距離の計算
(即ち、“開繊幅の検出”)は、フィラメントの広がり
の内で最外端に位置する2つのフィラメントy間の距離
を算出することによって行う。しかしながら、フィラメ
ント数が多い場合や、最外端に位置するフィラメントが
それ以外に位置するフィラメントに比べ極端に広がりす
ぎるような場合は、このような最外端に位置するフィラ
メントyを採用せずに2番目の外端に位置するフィラメ
ントを使用することもできる。
【0090】次に、以上のようにして求めた糸条Yの開
繊幅からその集束状態を評価するためのパラメータを求
める基礎となる交絡点の判別処理を行う。
【0091】通常、圧縮空気などを糸条Yに吹き付けて
糸条Yを構成するフィラメント同士を絡ませる交絡処理
などが行われると、フィラメント同士が互いに絡み合っ
た部分と絡み合っていない部分とが形成される。このよ
うな場合において、交絡の度合いを定量化する場合に、
フィラメント同士が絡まりあって交絡点を判別すること
がきわめて重要である。これについて、以下に図5を参
照しながら、その詳細について説明する。
【0092】図5は前記交絡点判別手段7によって実施
するフィラメント同士が交絡しあう交絡点を探すための
処理を説明するための図である。ただし、この説明図で
は糸条Yの集束状態を評価する評価値(開繊幅)の時間
変化を拡大して図示している。なお、この図5に例示し
た処理は、概略、以下のようにして行われる。
【0093】先ず、求めた開繊幅が直前の開繊幅より増
加していることを確認する。次に、その傾向が図5に示
した傾向判断長さ以上継続し、かつその増加開始点から
の増加が傾向判断上昇幅以上であるかを判断する。も
し、これに該当するならば、前記評価値(開繊幅)が増
加を開始した点(上昇開始点)を交絡点と判別するもの
である。なお、測定しようとする範囲の糸条の全糸長に
対して、この交絡点の判別を実施して交絡点の個数と交
絡点間距離を求める。
【0094】以上に述べたようにして、交絡点判別手段
7による交絡点の判別処理がなされると、次に、演算処
理手段8による演算処理に入る。この演算処理では、前
記交絡点判別手段7により判別された交絡点を基にし
て、その交絡点より糸条Yの集束状態を評価するパラメ
ータとして、交絡の個数、交絡点間距離などを演算処理
するものである。なお、必要に応じて、集束状態の各種
パラメータの平均値や変化率等を演算できるようにする
ことが更に好ましい。
【0095】本実施例では上述の演算処理手段8として
コンピュータを用いて、前記実施した。その交絡点の判
別処理の流れをフローチャートとして図6に示す。
【0096】まず、交絡点を判断する前に、図4に例示
した処理によって求めた開繊幅の移動平均値を求める。
本実施例では、移動平均を計算する際のデータの長さは
糸長で約17mmであった。なお、この糸長約17mm
は、糸条が測定液面上を走行するスピードを2m/分と
した場合に、サンプリング周期を50ミリ秒として、1
0個のサンプリングデータを採った場合に相当する。
【0097】このようにして、移動平均値を求め、この
移動平均値から図6に例示した“交絡点判別処理”を行
う。なお、“交絡点判別処理”の詳細は後述することと
する。この処理は、次の開繊幅データを呼び出して移動
平均値を計算する毎に繰り返して行われ、最終的に測定
する範囲の糸長に対する“交絡点判別処理”が終了する
まで行う。
【0098】次に、以上に述べた“交絡点判別処理”の
流れについて、図5と図6を併用して参照しながら、以
下に更に詳細に説明する。
【0099】まず、この処理では、開繊幅が減少に転じ
る点(即ち、下降開始点)を求める処理を行う。この下
降開始点を求めるのに際して、最初に比較するデータと
して最新に得られた開繊幅と、その一つ前に処理した移
動平均値とを比較する(S01)。そのときの比較結果
として、最新の開繊幅の方が大きい場合、開繊幅が上昇
している(すなわち、“開繊幅が増加している”)と判
断して、図6の「Yes」の上昇判断処理(S03)に
進み、逆の「No」の場合は下降判断処理(S02)に
移る。
【0100】ここで、前記「Yes」の場合には、更に
上昇フラグが“1”かどうかを比較し(S04)、この
結果が「No」の場合は、更に開繊幅の上昇が開始した
ことを表す“上昇開始”値が“1”かどうかを比較する
(S06)。その比較結果が、ここでも「No」であっ
た場合、“上昇開始”値を“1”にセットし、そのとき
の開繊幅及び糸長を上昇開始データとして保存する(S
12)。
【0101】ここで、前述の“上昇開始”値が“1”か
どうかの比較において、「Yes」の場合、上昇開始デ
ータとして先に保存しておいた開繊幅と、現在の開繊幅
とを比較(S07)し、上昇開始データの開繊幅の方が
小さい場合に「Yes」の処理に進む(S08)。そし
て、上昇開始データの開繊幅及び糸長を最新の開繊幅と
入れ替え、“上昇長さ”の値に“1”を加える(S0
9)。また、「No」の場合は、データの入れ替えを行
わずにそのまま進み、“上昇長さ”の値だけを“1”だ
けプラスする(S09)。
【0102】以上のような処理が終わると、次に、上昇
条件が成立したかどうかを調べる(S10)。この上昇
条件の成立条件は、前記のようにして求めた“上昇長
さ”の値(図5に例示した“傾向判断長さL”)が予め
設定された所定値以上であり、かつ上昇開始時点での開
繊幅と最新の開繊幅との差(図5に例示した“傾向判断
上昇幅W”)が予め設定された所定値以上になることで
ある。なお、この上昇条件の判断処理において上昇条件
が成立すると、上昇フラグを“1”にセットし、最小値
データとして開繊幅及びその時の測定開始からの糸長
(以下、単に“開繊幅及び糸長”という)を保存する
(S11)。
【0103】ここで、上述した上昇フラグが“1”かど
うかの比較処理(S03)において、「Yes」の場
合、最小値の開繊幅と最新の開繊幅とを比較(S04)
し、最新の開繊幅が小さければ、最小値として保存され
た開繊幅及び糸長を最新の開繊幅と糸長に入れ替える
(S05)。つまり、このような処理をすることによっ
て、図5に例示した上昇開始点(交絡点)を求めている
ことになる。
【0104】なお、本実施例では、上昇開始店(交絡
点)を判定するための“傾向判断長さL”の判断基準と
しては13mmを採用し、“傾向判断上昇幅W”の判断
基準については5mmを採用した。なお、これらの値L
とWは糸条Yの送り速度、開繊手段1の大きさ、糸条の
太さや本数、単位長当たりの交絡数で変更する必要があ
るため、実験により設定することが好ましい。
【0105】以上に述べたようにして、交絡点判別手段
7による交絡点の判別処理がなされると、次に、演算処
理手段8による演算処理(S13)に入る。この演算処
理(S13)では、前記交絡点判別手段7により判別さ
れた交絡点を基にして、その交絡点より糸条Yの集束状
態を評価するパラメータとして、交絡の個数、交絡点間
距離などを演算処理するものである。なお、必要に応じ
て、集束状態の各種パラメータの平均値や変化率等を演
算できるようにすることが更に好ましい。
【0106】このようにして、測定しようとする範囲の
糸条の全糸長に対して、処理が終了したかどうかを判断
(S14)し、「Yes」の場合は次の処理に移り、
「No」の場合は、測定しようとする範囲の糸条の全糸
長に対する処理を完了するまで、既に述べた最初の処理
(S01)に戻る。
【0107】なお、下降判断処理(S02)であるが、
これは図6の上昇判断処理のフローにおいて比較処理の
大小判定を逆にしただけであり、また、下降判断が成立
した場合、図6で得られた最小値を交絡点とするもので
ある。このため、説明が重複するのを避けてここではそ
の詳細説明を省略する。
【0108】以上に述べたようにして、本実施例により
測定した結果を図7及び図8に示す。図7は、保存・出
力手段9において糸条Yの集束状態の測定中は、リアル
タイムでディスプレイに表示出来るようにしており、こ
こでは測定糸長と開繊幅の関係を示すグラフである。こ
のように糸条Yの集束状態(開繊状態)の変化の様子を
リアルタイム表示してオンラインで監視することは、測
定中の状態を監視することにもなり、測定の確実性とい
う面から有効であるが、オフライン処理でも良い。この
結果は、糸条Yのバラケ易さに大きく関わっている。つ
まり、図7は交絡付与した糸条Yの測定結果を示した
が、交絡が付与されていない糸条Yを測定すると、開繊
幅は非常に大きな値となる。また、糸条Yの単位長当た
りの交絡数が減ると、この場合も開繊幅が大きくなる。
すなわち、この開繊幅が小さい程、糸条Yがバラケにく
く、集束度が良いことになる。このように、この開繊幅
を比較することで、いろいろな糸条Yの集束状態を評価
できる。
【0109】図8は、図7の開繊幅の変化から交絡点間
の距離(IL長)を求め、どのようなIL長がどのよう
に多く分布しているかを見た度数分布図である。この結
果は、糸条Yに付与された交絡の強さを確認するのに好
適な手段である。すなわち、交絡を強くすると、交絡点
間距離の頻度分布が、ある交絡点間距離に集中するのに
対し(グラフ中の山が鋭角になる)、交絡の強度を緩め
ると交絡間距離の頻度分布が広い範囲になる(グラフ中
の山が緩やかになる)。このようにして。度数分布表示
により、今まで評価出来なかった交絡に対する強度とい
ったパラメータを定量的に評価できるようになった。更
には、交絡を付与する機器の調整の際に、どのような強
さの交絡を付与できるかを知ることができるという点で
極めて大きな効果を発揮する。
【0110】
【発明の効果】本発明の糸条の集束状態評価方法とその
ための装置によれば、従来法にくらべ多種の糸条に対し
て評価出来る他、糸条の集束の状態を集束状態の評価す
るためのパラメータとして定量化(数値化)でき、今ま
で判明しなかった交絡の強さの度合いが分かるようにな
り、交絡付与の適正化を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる糸条の集束状態評価装置の構成
を模式的に例示した説明図であって、(a)は側面図、
(b)は平面図をそれぞれ示す。
【図2】本発明に係わる糸条の集束状態評価装置の他の
実施形態の構成を模式的に例示した説明図であって、
(a)は側面図、(b)は平面図をそれぞれ示す。
【図3】取り込んだ開繊状態の糸条の画像から糸条の集
束状態を測定するための構成を例示したブロック線図で
ある。
【図4】開繊幅検出手段による糸条の開繊幅の検出方法
の説明図である。
【図5】開繊状態の糸条から求めた開繊幅から交絡点を
判別するための方法を説明するための説明図である。
【図6】交絡点判別手段による交絡点判別の処理を例示
したフローチャート図である。
【図7】測定糸長と開繊幅の関係を例示したグラフであ
る。
【図8】交絡点間の距離(IL長)の度数分布を例示し
た図である。
【符号の説明】
1 開繊手段 3 投光手段 4 画像取込手段 10 貯槽 10A 測定液供給領域 10B 集束状態評価領域 10C 測定液排出領域 11 注入口 12 排出口 14、15 堰 21a、22a 糸押えローラ 21b、22b 駆動ローラ 23a〜23c、24a〜24c 糸道ガイド P 測定対象パッケージ Y 糸条 y 最外端に位置するフィラメント対
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 実 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式会 社松山事業所内 (72)発明者 中島 卓 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式会 社松山事業所内 Fターム(参考) 2F065 AA22 BB12 BB15 CC00 FF04 HH05 HH12 JJ26 QQ04 QQ23 QQ31 QQ51 SS06 4L036 MA33 PA42 UA25

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルチフィラメント糸条を測定液の表面
    に浮かせて開繊させ、開繊させたフィラメントの中、最
    も開繊した最外端の二つのフィラメントを対として識別
    し、識別したフィラメント対の距離を検出し、検出した
    距離を糸条の開繊幅とすることを特徴とする糸条の集束
    状態評価方法。
  2. 【請求項2】 前記フィラメント対に次いで大きく開繊
    した最外端から見てそれぞれ第2番目の外端に位置する
    二つのフィラメントを対とし、その対間の距離を糸条の
    開繊幅とする請求項1に記載の糸条の集束状態評価方
    法。
  3. 【請求項3】 前記開繊幅の増加及び/又は減少の変化
    を求め、この変化値から交絡を付与された糸条の交絡点
    を判別する請求項1又は2に記載の糸条の集束状態評価
    方法。
  4. 【請求項4】 前記交絡点より交絡点の個数、交絡点間
    距離の少なくとも一つを求める請求項3記載の糸条の集
    束状態評価方法。
  5. 【請求項5】 前記マルチフィラメント糸条を表面に浮
    かせた測定液を流動させ、流動させた測定液によって前
    記マルチフィラメント糸条を走行させる請求項1〜4の
    何れか一項に記載の糸条の集束状態評価方法。
  6. 【請求項6】 前記マルチフィラメント糸条を測定液の
    表面に浮かべてフィラメントを開繊させて糸条の集束状
    態を評価する集束状態評価領域に対して、それぞれ堰を
    設けて、測定液をこれらの堰を介してオーバーフローさ
    せながら給液及び排液する請求項1〜5の何れか一項に
    記載の糸条の集束状態評価方法。
  7. 【請求項7】 マルチフィラメントからなる糸条を測定
    液上に浮かべて該糸条を開繊させる開繊手段と、該開繊
    手段へ該糸条を移送するための糸条移送手段と、開繊さ
    れた糸条の状態を画像として取込む画像取込手段と、取
    り込んだ画像から糸条の集束状態を評価するための特徴
    情報を抽出するための画像処理手段と、抽出した特徴情
    報から糸条の開繊幅を検出する開繊幅検出手段とを含む
    糸条の集束状態評価装置。
  8. 【請求項8】 前記測定液を流動させて、該測定液の流
    動によって前記糸条を走行させる走行手段を設けた請求
    項7記載の糸条の集束状態評価装置。
  9. 【請求項9】 前記開繊手段が、測定液と、該測定液を
    貯留する貯槽とからなり、該貯槽が測定液供給領域、集
    束状態評価領域、そして、測定液排出領域の三領域に分
    割する少なくとも二つの堰を備えた請求項7又は請求項
    8に記載の糸条の集束状態評価装置。
  10. 【請求項10】 前記糸条移送手段が、弛緩状態を維持
    させながら前記糸条を前記開繊手段へ給糸する手段であ
    る請求項7〜9の何れか一項に記載の糸条の集束状態評
    価装置。
  11. 【請求項11】 前記糸条移送手段によって供給された
    糸条が測定液上に着水する位置を規制するための規制ガ
    イドを設けた請求項7〜10の何れか一項に記載の糸条
    の集束状態評価装置。
  12. 【請求項12】 前記測定液の液面の乱れを防止するた
    めの整流手段を設けた請求項7〜11の何れか一項に記
    載の糸条の集束状態評価装置。
  13. 【請求項13】 前記画像取込手段によって測定液面上
    を走行する糸条の開繊状態を画像として取込む際に該測
    定液面上を走行する糸条の画像を取り込む領域に対して
    光源を照射する投光手段を備えた請求項7〜12の何れ
    か一項に記載の糸条の集束状態評価装置。
  14. 【請求項14】 前記画像処理手段が、開繊したフィラ
    メント群の中で最も開繊した最外端の二つのフィラメン
    トからなる最外端対、あるいは該最外端対を除いて、最
    も大きく開繊した最外端に位置する二つのフィラメント
    からなる第2番目の外端対を識別する手段である請求項
    7〜13の何れか一項に記載の糸条の集束状態評価装
    置。
  15. 【請求項15】 前記画像処理手段が、取り込んだ画像
    を2値化処理して、該2値化処理によって特徴画像を抽
    出する2値化処理手段を含む請求項7〜14の何れか一
    項に記載の糸条の集束状態評価装置。
  16. 【請求項16】 前記開繊幅検出手段が、前記画像処理
    手段によって得られた前記の最外端対及び/又は前記の
    第2番目の外端対からなるフィラメント間の距離を算出
    し、これを糸条の開繊幅として検出する手段である請求
    項14又は請求項15に記載の糸条の集束状態評価装
    置。
  17. 【請求項17】 前記開繊幅検出手段によって検出され
    た開繊幅から、交絡処理が施された糸条の交絡点を判別
    する交絡点判別手段を備えた請求項16記載の糸条の集
    束状態評価装置。
  18. 【請求項18】 前記交絡点判別手段が前記開繊幅の増
    加及び/又は減少の変化からフィラメント同士が交絡す
    る交絡点を判別する手段である請求項17記載の糸条の
    集束状態評価装置。
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