JP2019127361A - 繊維機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】良品のパッケージと準良品のパッケージとを仕分け可能にすること。【解決手段】繊維機械は、給糸部から供給される糸を巻取管に巻き取ってパッケージを形成する糸巻取処理を行う巻取ユニットを備える。巻取ユニットは、走行している糸を監視して、除去する必要のある非許容欠陥及び除去する必要のない許容欠陥を検出するクリアラ本体と、非許容欠陥が検出されたときに糸を切断するカッタとを備えたヤーンクリアラと、パッケージが、許容欠陥の量が所定の基準値以下の良品と、許容欠陥の量が前記基準値を超える準良品のいずれであるかについて、許容欠陥のデータに基づき判断するクリアラ制御部と、ユニット制御部と、を有する。ユニット制御部は、クリアラ制御部によりパッケージが準良品であると判断された場合に、パッケージが良品である場合と異なる動作を巻取ユニットに行わせる。【選択図】図8

Description

本発明は、繊維機械に関する。
特許文献1には、給糸部から供給される糸を巻取管に巻き取ってパッケージを形成する複数の巻取ユニットと、形成されたパッケージを玉揚げする玉揚げ台車とを備える自動ワインダが開示されている。巻取ユニットは、給糸部から巻取管に向かって走行している糸を監視して糸欠陥を検出する糸品質測定装置(クリアラ)と、糸欠陥が検出されたときに糸を切断するカッタと、切断された糸を糸継ぎする糸継装置とを有する。クリアラは、例えば糸の太さを監視し、目標太さに対して太過ぎ又は細過ぎる部分を糸欠陥と判断した場合、カッタに糸を切断させる。カッタによって切断されて、糸走行方向において給糸部側と巻取管側に分断された糸は、糸継装置によって糸継ぎされることで、再び巻取管に巻き取られることが可能になる。このように、巻取ユニットは、糸欠陥を除去しつつ糸をボビンに巻き取る。玉揚げ台車は、複数の巻取ユニット間で走行し、満巻になったパッケージを巻取ユニットから取り外す玉揚げ動作を行う。
より詳細には、クリアラにおいては、例えば特許文献2に開示されているように、走行中の糸において糸欠陥が発生したかどうか判断するための上限リミット及び下限リミットが設定される。走行中の糸の、目標太さとの差が上下限のリミットからはみ出した場合、クリアラは、許容されない糸欠陥が発生したと判断し、カッタに糸を切断させる。上記の差がリミットの内側に収まっている場合には、クリアラは、糸を切断させずにそのまま走行させる。また、クリアラは、上記の差がリミットの内側に収まった糸のうち、リミットに近い部分を、許容される糸欠陥と判断して、その情報を記憶する。
特開2017−190210号公報 特許第5224200号公報
糸のうち、許容されない糸欠陥であると判断された部分は、切断されて除去されるが、許容される糸欠陥であると判断された部分は、切断されずにそのまま巻取管に巻き取られて、パッケージに含まれることとなる。許容される糸欠陥が所定量以上含まれているパッケージは、許容される糸欠陥が少ない良品よりも糸品質の低い準良品として、良品とは区別して扱う方が好ましい。しかしながら、特許文献1に記載されているような玉揚げ台車は、一般に、良品のパッケージと準良品のパッケージとを区別せずに玉揚げする。このため、良品と準良品が混在して出荷されてしまうおそれがある。
本発明の目的は、良品のパッケージと準良品のパッケージとを仕分け可能にすることである。
第1の発明の繊維機械は、給糸部から供給される糸を巻取管に巻き取ってパッケージを形成する糸巻取処理を実行する巻取ユニットを備える繊維機械であって、前記巻取ユニットは、走行している糸を監視して、除去する必要のある非許容欠陥及び除去する必要のない許容欠陥を検出し、前記非許容欠陥が検出されたときに糸を切断する糸品質測定装置と、前記パッケージが、前記許容欠陥の総量が所定の基準値以下の良品と、前記許容欠陥の総量が前記基準値を超える準良品のいずれであるかについて、前記許容欠陥のデータに基づき判断する判断部と、ユニット制御部と、を有し、前記ユニット制御部は、前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合に、前記パッケージが前記良品である場合と異なる動作を前記巻取ユニットに行わせることを特徴とするものである。
本発明では、糸品質測定装置によってパッケージが準良品であると判断された場合に、巻取ユニットが通常と異なる動作を行うことで、パッケージが良品でないことをオペレータに気づかせる等することができる。したがって、良品のパッケージと準良品のパッケージとを仕分け可能にすることができる。
第2の発明の繊維機械は、前記第1の発明において、前記糸品質測定装置が、前記判断部を有することを特徴とするものである。
許容欠陥の検出を行う糸品質測定装置と、パッケージの品質の判断を行う判断部とを別々に設けると、データ通信量の増大やコストの増大等の問題が発生するおそれがある。本発明では、糸品質測定装置が判断部を有するので、これらの問題の発生を抑制できる。
第3の発明の繊維機械は、前記第1又は第2の発明において、前記巻取ユニットは、情報を報知する報知部を有し、前記ユニット制御部は、前記パッケージが前記準良品であると前記判断部により判断された場合に、前記パッケージが前記準良品であることを示す情報を前記報知部に報知させることを特徴とするものである。
本発明では、パッケージが準良品であることが報知部によって報知されるため、パッケージが準良品であることを速やかにオペレータに知らせることができ、オペレータによる迅速な対応を促すことができる。
第4の発明の繊維機械は、前記第1〜第3のいずれかの発明において、前記判断部は、 前記巻取ユニットによる前記パッケージの形成が行われている間、前記糸品質測定装置によって検出された許容欠陥の量を順次加算し、前記パッケージに含まれている前記許容欠陥の総量が前記基準値を超えた時点で前記パッケージが準良品であると判断することを特徴とするものである。
本発明では、形成途中のパッケージが準良品であると判断された時点で、巻取ユニットに通常と異なる動作を行わせることができる。したがって、準良品を早めに仕分けすることができる。
第5の発明の繊維機械は、前記第4の発明において、前記ユニット制御部は、前記パッケージの形成途中で、前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合に、前記巻取ユニットによる前記糸巻取処理を中断させることを特徴とするものである。
例えば、巻取ユニットによる糸巻取処理の開始早々にパッケージが準良品であると判断された場合、そのまま糸巻取処理を続けていると、準良品の中でもかなり許容欠陥の量が多く、品質が劣るパッケージが形成されるおそれがある。本発明では、パッケージが準良品であると判断された時点で糸巻取処理を中断させることができるため、パッケージの形成途中でも、品質の悪いパッケージを取り外すことができる。
第6の発明の繊維機械は、前記第4の発明において、前記ユニット制御部は、前記パッケージの形成途中で、前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合でも、前記パッケージが満巻になるまで前記巻取ユニットに前記パッケージの形成を続けさせることを特徴とするものである。
本発明では、パッケージが準良品であることが途中で判明した場合でも、パッケージの形成を続けさせることで、糸巻取処理を中断させる場合と比べて、パッケージを早く満巻にすることができ、生産効率の低下を抑制できる。
第7の発明の繊維機械は、前記第1〜第6のいずれかの発明において、前記パッケージを玉揚げする玉揚装置を備え、前記ユニット制御部は、前記パッケージが前記良品である場合には、前記玉揚装置による玉揚げを要求する玉揚要求信号を出力し、前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合には、前記玉揚要求信号を出力しないことを特徴とするものである。
本発明では、準良品が玉揚装置によって玉揚げされないようにすることができるため、オペレータによって準良品を巻取ユニットから取り外して良品と分けて取り扱うことで、良品と準良品との混在を確実に防止できる。
第8の発明の繊維機械は、前記第7の発明において、前記ユニット制御部は、前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合には、前記準良品を前記良品と識別可能にする識別情報の付与を前記玉揚装置に行わせることを要求する信号を出力することを特徴とするものである。
本発明では、準良品を良品と識別可能にするための識別情報の付与を玉揚げ装置に行わせることができるため、良品と準良品が混在した場合でも仕分けをすることができる。また、オペレータによって識別情報の付与を行う手間を省くことができる。
第9の発明の繊維機械は、前記第1〜第6のいずれかの発明において、前記パッケージを玉揚げする玉揚装置を備え、前記ユニット制御部は、前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合には、前記玉揚装置による玉揚げを要求する信号を出力するよりも前に、前記準良品を前記良品と識別可能にする識別情報の付与を前記玉揚装置に行わせる要求する信号を出力することを特徴とするものである。
本発明では、玉揚げが行われる前に、準良品を良品と識別可能にするための識別情報の付与を玉揚げ装置に行わせることができるため、良品と準良品が混在した場合でも仕分けをすることができる。また、オペレータによって識別情報の付与を行う手間を省くことができる。また、玉揚要求信号を出力しない場合と比べて、オペレータによって準良品のパッケージを取り外す手間を省くことができる。
第10の発明の繊維機械は、前記第1〜第6のいずれかの発明において、前記パッケージを玉揚げする玉揚装置を備え、前記巻取ユニットは、前記玉揚装置による玉揚げを要求する玉揚要求信号を出力するための玉揚要求操作がオペレータによって行われる操作部を有し、前記ユニット制御部は、前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合には、オペレータによって前記玉揚要求操作が行われた場合にのみ、前記玉揚要求信号を出力することを特徴とするものである。
本発明では、オペレータが玉揚要求操作を行うまで、準良品の玉揚げが行われない。このため、玉揚要求操作を行う前に、オペレータによって、良品と準良品とを識別可能にするための処置を行うことができる。したがって、準良品が玉揚げされることで良品と準良品が混在した場合でも、仕分けをすることができる。また、玉揚装置によって玉揚げを行うことで、オペレータによって準良品のパッケージを取り外す手間を省くことができる。
第11の発明の繊維機械は、前記第1〜第10のいずれかの発明において、複数の前記巻取ユニットと、前記複数の巻取ユニットによって形成された複数の前記パッケージを運搬するコンベアと、前記複数の巻取ユニットと前記コンベアとの間にそれぞれ設けられ、各巻取ユニットから前記コンベアに向かって前記パッケージが移動する複数の個別通路と、 各個別通路と前記コンベアとの間に設けられたストッパーと、を備え、前記ストッパーは、 前記パッケージが前記コンベアまで転がることを許容する許容位置と、前記パッケージが前記コンベアまで転がることを阻止する阻止位置との間で位置を切換可能であり、前記ユニット制御部は、前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合に、前記ストッパーを前記阻止位置に位置させることを特徴とするものである。
本発明では、コンベアに向かっている形成済みのパッケージがコンベア上や運搬先で他のパッケージと混在する前に、パッケージをストッパーによって個別通路上で止めることができる。したがって、複数のパッケージがコンベア上や運搬先で混在する前に、オペレータによって、準良品を良品と識別する情報を準良品のパッケージに付与することができる。また、オペレータによって、止められている準良品を取り除くこともできる。
第12の発明の繊維機械は、前記第1〜第11のいずれかの発明において、前記判断部は、前記非許容欠陥の発生の判断及び前記許容欠陥の発生の判断を、前記糸品質装置によって監視される糸の太さに基づいて行うことを特徴とするものである。
一般的に、パッケージにおける糸の太さのばらつきが大きいと染ムラが発生しやすいので、パッケージの形成を行う上で、糸の太さを監視することが有効である。本発明では、非許容欠陥の発生の判断及び許容欠陥の発生の判断が、糸の太さに基づいて行われる。したがって、除去する必要のある糸欠陥の検出、及び、形成されたパッケージの品質の判断を的確に行うことができる。
本実施形態に係る自動ワインダの正面図である。 自動ワインダの電気的構成を示すブロック図である。 巻取ユニットの概略的な正面図である。 表示部の説明図である。 糸の非許容欠陥と許容欠陥を示す図である。 糸の太さの分布を示すグラフである。 糸巻取長さの増加に伴う許容欠陥の総量の増加を示すグラフである。 ユニット制御部による処理を示すフローチャートである。 表示部による表示の説明図である。 変形例に係る、ユニット制御部による処理を示すフローチャートである。 別の変形例に係る、ユニット制御部による処理を示すフローチャートである。 さらに別の変形例に係る、ユニット制御部による処理を示すフローチャートである。 さらに別の変形例に係る、自動ワインダの後部の構成を示す図である。
次に、本発明の実施の形態について、図1〜図9を参照しながら説明する。なお、図1に示すように、複数の巻取ユニット2が配列された方向を左右方向とし、重力が作用する方向を上下方向とする。
(自動ワインダの概略構成)
まず、自動ワインダ1(本発明の繊維機械)の概略構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る自動ワインダ1の正面図である。図2は、自動ワインダ1の電気的構成を示すブロック図である。自動ワインダ1は、複数の巻取ユニット2と、玉揚装置3と、機台制御装置4とを備える。
複数の巻取ユニット2は、左右方向に配列され、各々が、給糸ボビンBkから解舒された糸Yを巻取ボビンBm(本発明の巻取管。図3参照)に巻き取ってパッケージPを形成する糸巻取処理を行う。玉揚装置3は、複数の巻取ユニット2の上方に配置され、左端に配置された巻取ユニット2から右端に配置された巻取ユニット2に亘って左右方向に移動可能に構成されている。玉揚装置3は、巻取ユニット2からの満巻の信号(玉揚要求信号)を受信したときに、その巻取ユニット2の上方に移動して、満巻のパッケージPの取り外し、及び、空の巻取ボビンBmの巻取ユニット2への装着などの作業を行う。
機台制御装置4は、複数の巻取ユニット2の左方に配置されている。機台制御装置4は、巻取ユニット2のユニット制御部60、玉揚装置3の玉揚制御部61と電気的に接続され、これらの制御部との通信を行う。
(巻取ユニット)
次に、巻取ユニット2の構成について、図2〜図4を用いて説明する。図3は、巻取ユニット2の概略的な正面図である。図4は、後述する表示部50の正面図である。
図3に示すように、巻取ユニット2は、ユニット本体10と、給糸部20と、糸処理実行部30と、巻取部40と、表示部50と、ユニット制御部60等を有する。ユニット本体10は、上下方向に長い柱状の部材である。給糸部20、糸処理実行部30、巻取部40は、ユニット本体10に設けられ、この順に、下から上へ並べて配置されている。表示部50は、ユニット本体10の上端部の前面に設けられている。
給糸部20は、給糸ボビンBkに巻き付けられた糸Yを解舒しながら供給するためのものである。給糸部20は、給糸ボビン支持部21と、糸解舒補助装置22とを有する。給糸ボビン支持部21は、給糸ボビンBkを略直立状態に支持する。給糸ボビン支持部21は、空になった給糸ボビンBkを排出可能な構成になっている。空の給糸ボビンBkが排出されると、給糸ボビン供給装置(不図示)から供給された新しい給糸ボビンBkが、ボビン搬送装置(不図示)によって搬送されて給糸ボビン支持部21に供給される。糸解舒補助装置22は、給糸ボビンBkから糸Yを解舒される際の膨らみを、規制筒23によって規制する。
糸処理実行部30は、糸Yに関する様々な処理を実行するためのものである。糸処理実行部30は、ヤーンフィーラ31と、テンション付与装置32と、糸継装置33と、ヤーンクリアラ34とを有する。
ヤーンフィーラ31は、糸解舒補助装置22とテンション付与装置32との間において、走行する糸Yの有無を検出するものである。テンション付与装置32は、走行する糸Yに所定のテンションを付与するものである。テンション付与装置32の一例として、いわゆるゲート式のものが挙げられる。図3に示すように、複数の固定ゲート体32aと複数の可動ゲート体32bとが、上下方向に交互に配置されている。そして、複数の可動ゲート体32bの水平方向の位置を調整することによって、固定ゲート体32aと可動ゲート体32bとの間を走行する糸Yに所定のテンションを付与する。糸継装置33は、給糸部20と巻取部40との間で糸Yが繋がっていない状態になったときに、給糸部20側の糸Y(下糸Y1)と巻取部40側の糸Y(上糸Y2)とを糸継ぎするためのものである。糸Yが繋がっていない状態になる場合としては、例えば、後述するヤーンクリアラ34により糸欠陥が検出されたときのカッタ34bによる糸切断時、パッケージPの巻取中における糸切れ時、あるいは、給糸ボビンBkの交換時等がある。糸継装置33の一例としては、圧縮空気式のものを挙げることができる。糸継装置33は、下糸Y1と上糸Y2に圧縮空気を吹き付け、両方の糸端を一旦ほぐした後、両方の糸端に再度圧縮空気を吹き付け、糸端同士を絡み合わせることで糸継ぎをする。
糸継装置33の下側には、給糸ボビンBk側の下糸Y1を捕捉して糸継装置33へ案内する下糸捕捉案内部材35が設けられ、糸継装置33の上側には、パッケージP側の上糸Y2を捕捉して糸継装置33へ案内する上糸捕捉案内部材36が設けられている。下糸捕捉案内部材35は、軸35aを中心に回転可能であり、モータ(不図示)によって回転駆動されることで上下に旋回する。下糸捕捉案内部材35は、その先端部に下糸Y1の糸端部を吸引捕捉する吸引部35bを有する。上糸捕捉案内部材36は、軸36aを中心に回転可能であり、モータ(不図示)によって回転駆動されることで上下に旋回する。上糸捕捉案内部材36は、その先端部に上糸Y2の糸端部を吸引捕捉する吸引部36bを有する。下糸捕捉案内部材35及び上糸捕捉案内部材36は、それぞれ不図示の負圧源に接続されている。下糸捕捉案内部材35は、吸引部35bで下糸Y1の糸端部を捕捉した状態で、モータによって駆動されて上方へ旋回し、糸継装置33に下糸Y1を案内する。上糸捕捉案内部材36は、まず、モータによって駆動されて上方へ旋回する。これによって、吸引部36bが、パッケージPの近傍に位置し、パッケージPの表面に付着している上糸Y2の糸端部を吸引して捕捉する。上糸Y2の捕捉後に、上糸捕捉案内部材36は、モータによって駆動されて下方へ旋回し、糸継装置33に上糸Y2を案内する。糸継装置33は、案内されてきた下糸Y1と上糸Y2とを糸継ぎする。
ヤーンクリアラ34(本発明の糸品質測定装置)は、クリアラ本体34aと、カッタ34bとを有する。ヤーンクリアラ34は、走行する糸Yの太さの情報を取得し、この情報に基づいて、糸欠陥を検出する。ヤーンクリアラ34の近傍にはカッタ34bが配置されている。ヤーンクリアラ34によって糸欠陥が検出されたとき、カッタ34bが即座に糸Yを切断するとともに、ヤーンクリアラ34は、検出信号をユニット制御部60へ出力する。なお、ヤーンクリアラ34の詳細については後述する。
巻取部40は、糸Yを巻取ボビンBmに巻き取ってパッケージPを形成するためのものである。巻取部40は、巻取ボビンBmを回転自在に保持するクレードル41と、綾振ドラム42と、綾振ドラム42を回転させるドラム駆動モータ43とを有する。綾振ドラム42の外周面には、綾振り溝42aが形成されている。綾振ドラム42は、この綾振り溝42aに糸Yを通しながら回転することで、糸Yを所定の幅でトラバース(綾振り)させる。そして、綾振ドラム42が、綾振り溝42aによって糸Yをトラバースさせながら、巻取ボビンBmに形成されたパッケージPに接触した状態で回転することで、綾振ドラム42との接触摩擦によってパッケージP及び巻取ボビンBmが従動回転し、糸Yが巻取ボビンBmに巻き取られる。
表示部50(本発明の報知部)は、巻取ユニット2の情報の表示を行うためのものである。図3及び図4に示すように、表示部50は、複数のランプ51と、文字表示部52とを有する。
ランプ51は、例えばLEDランプであり、それぞれ赤、青の2色の光を出力可能に構成されている。ランプ51a、51bは、巻取ユニット2の状態が変化したことをオペレータに知らせるためのものである。図4に示すように、ランプ51aは、表示部の上下方向略中央の左端部に配置され、ランプ51bは同じく右端部に配置されている。ランプ51c〜51eは、巻取ユニット2の上部、中部、下部のどの位置に異常があったかを知らせるためのものである。ランプ51cは、表示部50の上下方向における中央付近に配置されている。ランプ51dは、ランプ51cの上方に配置されている。ランプ51eは、ランプ51cの下方に配置されている。
5つのランプ51の下方には、手動ボタン53が設けられている。手動ボタン53は、例えば、巻取ユニット2による糸の巻取動作が中断されているときに、オペレータによって操作されることで、糸巻取処理を再開させるためのものである。手動ボタン53は、ユニット制御部60と電気的に接続されている。文字表示部52は、巻取ユニット2の具体的な状態に関する文字を表示するためのものであり、5つのランプ51の上方に配置されている。文字表示部52は、例えば3桁の7セグメント表示の液晶ディスプレイである。文字表示部52は、ユニット制御部60から送られる制御信号に基づいて文字表示を行う。
ユニット制御部60は、ユニット本体10に内蔵されており、CPUと、ROMと、RAM等を備える。ユニット制御部60は、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUにより各部を制御する。具体的には、ヤーンクリアラ34等からの信号の受信や、糸解舒補助装置22、糸継装置33、ドラム駆動モータ43、表示部50等の制御を行う。また、ユニット制御部60は、機台制御装置4を介して玉揚装置3に玉揚げを要求する信号の出力を行う。
以上の構成を備える巻取ユニット2において、ユニット制御部60が、パッケージPと綾振ドラム42とを接触させた状態でドラム駆動モータ43を駆動して綾振ドラム42を回転させることで、給糸ボビンBkから解舒された糸Yを巻取ボビンBmに巻き取ってパッケージPを形成する糸巻取処理が行われる。
(ヤーンクリアラの詳細)
次に、ヤーンクリアラ34の詳細について、図5及び図6を用いて説明する。図5(a)は、除去が必要な非許容欠陥Ybを含む糸Yを示す図である。図5(b)は、除去が不要な許容欠陥Ycを含む糸Yを示す図である。図6は、あるパッケージPにおける、糸の太さの分布を示すグラフである。
ヤーンクリアラ34のクリアラ本体34a(本発明の糸品質測定部)は、例えば不図示の光学式センサと、センサによる検出結果に基づいて糸の太さの情報を取得するクリアラ制御部37(本発明の判断部)とを有する。クリアラ制御部37は、クリアラ本体34aに内蔵されており、CPUと、ROMと、RAM等を備える。クリアラ制御部37は、走行する糸Yの太さの、目標の糸太さからの差(偏差)を検知する。クリアラ制御部37は、この偏差が所定の上下限のリミットの範囲内に収まっている場合には、糸Yをそのまま通過させ、偏差がリミットの範囲から外れている場合には、除去が必要な非許容欠陥が発生したと判断し、カッタ34b(本発明の切断部)に糸Yを切断させる。非許容欠陥は、切断された糸Yが糸継装置33によって糸継ぎされる際に、上糸捕捉案内部材36によって吸引されて除去される。なお、クリアラ本体34aとカッタ34bとは、フレーム(不図示)に一体的に設置されていても良く、個別に設けられていても良い。
糸Yの欠陥について、まず、図5を用いて簡単に説明する。図5(a)に示すように、走行している糸Yのうち、目標太さに概ね近い太さTaを有する部分を正常な糸Yaとする。糸Yのうち、目標太さよりもかなり大きい太さTbを有する部分がヤーンクリアラ34によって検出されると、クリアラ制御部37は、非許容欠陥Ybが発生したと判断し、カッタ34bに糸Yを切断させる。一方、図5(b)に示すように、目標太さよりも若干太い太さTcを有する部分がヤーンクリアラ34によって検出された場合、太さTcが上限リミットを超えていなければ、クリアラ制御部37は、当該部分は正常或いは許容欠陥Ycであると判断して、糸走行方向における下流側へ通過させる。このように、クリアラ制御部37は、ヤーンクリアラ34によって監視される糸Yの太さに基づいて、非許容欠陥Ybの発生の判断及び許容欠陥Ycの発生の判断を行う。
クリアラ制御部37には、正常な糸Ya、非許容欠陥Yb、及び許容欠陥Ycを識別するための基準値が記憶されている。以下、図6を用いて具体的に説明する。図6に示すグラフにおいて、横軸は、監視された糸Yの長さを表しており、縦軸は、糸の太さ(具体的には、目標の糸太さからの偏差(%))を表している。縦軸において、0%という値は、目標の糸太さを示している。例えば、100%という値は、目標の糸太さよりも100%太い(つまり、目標糸太さの2倍の)糸の太さを示している。また、例えば、−30%という値は、目標糸太さよりも30%細い糸の太さを示している。
図6のグラフにおいて、塗りつぶされた領域101が、正常な糸Yaの分布を示している。領域101よりも紙面上方に描かれた折れ線102は、糸切断の上限リミットを示している。領域101よりも紙面下方に描かれた折れ線103は、糸切断の下限リミットを示している。上下限のリミットは、監視された糸Yの長さによって異なる。短い糸欠陥が検出された場合、偏差が少々大きくても許容するようにリミットが設けられている。逆に、長い糸欠陥が検出された場合、短い糸欠陥に対応して設けられたリミットよりも厳しいリミットに基づいて、当該長い糸欠陥を除去するか否か判断される。例えば、糸太さの偏差が100〜150%の糸欠陥が検出された場合、その長さが1cm強までであれば許容されうるが、それ以上の長さでは許容されない。なお、上下限のリミットは、必ずしも固定されているものではなく、パッケージPの形成中に、糸Yの平均太さ等に応じて変動しうる(ここでは、詳細な説明を省略する)。ヤーンクリアラ34による糸欠陥の情報の検知に関する詳細については、例えば特許5680653号公報を参照されたい。また、特開2013−227155にも、検出された糸欠陥の太さおよび長さ情報を処理して表示する方法が開示されている。
糸Yのうち、折れ線102によって示された上限リミットを超え、又は折れ線103によって示された下限リミットを下回る欠陥を有する部分は、非許容欠陥Ybとして、上述したように切断されて除去される。このため、非許容欠陥Ybは、パッケージPには残存しない。グラフ内の四角のマーク201が、非許容欠陥Ybを示す。例えば、横軸における3cm、縦軸における100%の位置に記されたマーク201は、長さ3cmに亘って、目標の糸太さよりも100%太い糸欠陥が発生したことを示している。このように、クリアラ制御部37には、非許容欠陥Ybの情報が記憶される。
領域101と折れ線102の間の領域104、及び、領域101と折れ線103の間の領域105には、許容欠陥Ycの情報が記憶される。グラフ内の三角のマーク202が、許容欠陥Ycを示す。許容欠陥Ycは、除去されないが、パッケージP内に残存する欠陥として、クリアラ制御部37において記憶される。
また、破線で形成された複数の枠106は、欠陥のクラス分類を表している。つまり、糸太さの偏差が0から離れているほど、欠陥としてのレベルが高い。例えば、紙面左側から1番目且つ紙面上側から3番目の枠107内のマーク203に係る許容欠陥Ycの欠陥レベルは、紙面左側から1番目且つ紙面上側から4番目の枠108内のマーク204に係る許容欠陥Ycの欠陥レベルよりも高い。
ここで、許容欠陥Ycが所定量以上含まれているパッケージPは、許容欠陥Ycが少ない良品よりも糸品質の低い準良品として、良品とは区別して扱う方が好ましい。しかしながら、玉揚装置3が、良品のパッケージPと準良品のパッケージPとを区別せずに玉揚げしてしまうと、良品と準良品が混在して出荷されてしまうおそれがある。そこで、本実施形態の自動ワインダ1においては、良品と準良品とを仕分け可能にするために、クリアラ制御部37及びユニット制御部60が、以下のような処理を行う。
(クリアラ制御部による処理)
まず、クリアラ制御部37による処理について、図6及び図7を用いて説明する。図7は、パッケージPにおける糸巻取処理の進行(糸巻取長さの増加)の度合と、それに伴う許容欠陥Ycの総量の増加を示すグラフである。
クリアラ制御部37は、パッケージPが準良品であるかどうかについて、以下のように判断する。クリアラ制御部37は、巻取ユニット2によるパッケージPの形成が行われている間、図6に示すような、糸欠陥に関するデータを蓄積している。クリアラ制御部37は、パッケージPの形成中に許容欠陥Ycが検出された場合、許容欠陥Ycの量を順次加算していく。図7に示すグラフの横軸は、形成中のパッケージPの糸巻取長さを表している。縦軸は、パッケージP内に残存している許容欠陥Ycの総量(許容欠陥総量)を表している。図7においては、2つの異なるパッケージPにおける許容欠陥総量の推移が示されている(実線及び破線)。
パッケージPの形成が進み、糸巻取長さが長くなるにつれて、許容欠陥Ycが検出されるごとに、許容欠陥総量が増えていく。そして、パッケージPの形成途中で許容欠陥総量が所定の基準値(図7のグラフ中の二点鎖線参照)を超えると、そのパッケージPが準良品であると判断される。パッケージPの形成途中に許容欠陥総量が基準値を超えた場合(図7のグラフ中の実線参照)、クリアラ制御部37は、その時点でこのパッケージPが準良品であると判断し、パッケージPが準良品であることを示す判断信号をユニット制御部60に送信する。一方、満巻に到達するタイミングまで許容欠陥総量が基準値以下に収まっている場合(図7のグラフ中の破線参照)、このパッケージPは良品である。つまり、満巻に到達した時点、或いは満巻に到達する直前の時点で、パッケージPが準良品であるとクリアラ制御部37によって判断されていなければ、このパッケージPは良品である。この場合、クリアラ制御部37から判断信号は送信されない。
クリアラ制御部37による許容欠陥Ycの量の具体的な加算方法としては、いくつか考えられる。例えば、単純に、許容欠陥Ycが発生した時点でその数を順次加算し、許容欠陥Ycの総数が基準数を超えた場合に、形成中のパッケージPが準良品であると判断しても良い。
或いは、図6に示すような複数の枠106によって分類されたクラスに応じて、それぞれの許容欠陥Ycについて重みづけを行い、欠陥数を欠陥ポイントとして加算し、所定の基準ポイントを超えた時点で準良品と判断しても良い。例えば、前述した枠107は、枠108よりも上限リミットの折れ線102に近い。つまり、枠107内のマーク203に係る許容欠陥Ycの欠陥レベルは、枠108内のマーク204に係る許容欠陥Ycの欠陥レベルよりも高い。そこで、例えばマーク203に係る許容欠陥Ycの欠陥量を、マーク204に係る許容欠陥Ycの欠陥量よりも多いものとして扱い、欠陥ポイントを多めに加算しても良い。
或いは、マーク203やマーク204に示すように、各許容欠陥Ycの長さ及び太さが分かるようになっているので、それに基づいて許容欠陥Ycの量を算出し(例えば、長さ×太さを欠陥量として算出し)、順次加算するようにしても良い。
(ユニット制御部による処理)
次に、クリアラ制御部37によってパッケージPが準良品であるかどうか判断された場合の、ユニット制御部60による処理について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、クリアラ制御部37による判断に関連する、ユニット制御部60による処理の一例を示すフローチャートである。図9(a)は、巻取ユニット2が通常稼動しているとき(パッケージPの形成を行っているとき)の表示部50による表示を示す図である。図9(b)は、満巻になったパッケージPが良品である場合に、玉揚装置3に玉揚げを要求しているときの表示部50による表示を示す図である。図9(c)は、パッケージPが準良品であると判断された場合の表示部50による表示を示す図である。
初期状態として、巻取ユニット2によって、巻取ボビンBmへの糸の巻取動作(糸巻取処理)が開始され、パッケージPの形成が行われている。巻取ユニット2による糸巻取処理が正常に行われている場合、図9(a)に示すように、表示部50には何も表示されていない。パッケージPの形成中、ヤーンクリアラ34によって非許容欠陥Ybが検出された場合は、糸の切断及び糸継ぎが行われる。ヤーンクリアラ34によって許容欠陥Ycが検出された場合は、前述したように、クリアラ制御部37において許容欠陥Ycの量が順次加算される。
ユニット制御部60は、パッケージPの形成中に、パッケージPが準良品であることを示す判断信号をクリアラ制御部37から受信したかどうか判断する(S101)。判断信号を受信していない場合、ユニット制御部60は、パッケージPが満巻に到達したかどうか判断する(S102)。パッケージPがまだ満巻に到達しない場合は、S101に戻ってパッケージPの形成を継続する。クリアラ制御部37から判断信号を受信していない状態で、パッケージPが間もなく満巻に到達する場合、このパッケージPは良品である。この場合、ユニット制御部60は、例えば機台制御装置4を介して、玉揚装置3による玉揚げを要求する信号(玉揚要求信号)を出力する(S103)。なお、玉揚要求信号を出力しているとき、ユニット制御部60は、図9(b)に示すように、巻取ユニット2が玉揚要求を行っていることを示す情報を表示部50に表示させる(具体的には、ランプ51a、51bを青色に点灯させる)。
パッケージPの形成中に、当該パッケージPが準良品であるとクリアラ制御部37によって判断され、クリアラ制御部37からユニット制御部60に判断信号が送信されてきた場合、ユニット制御部60は、以下の処理を行う。すなわち、ユニット制御部60は、巻取ユニット2を制御して糸巻取処理を中断させるとともに、準良品が発生したことを示す情報を表示部50に表示させる(S104)。具体的な表示のさせ方としては、例えば図9(c)に示すように、ランプ51a、51b、51dを赤色に点灯或いは点滅させるとともに、文字表示部52に文字を表示させる。この段階で、パッケージPが準良品であると判断された場合の処理は一旦終了する。その後は、オペレータが準良品のパッケージPを手動で取り外しても良い。或いは、オペレータが表示部50の手動ボタン53を押して糸巻取処理を再開させ、パッケージPが満巻になった後に手動でパッケージPを取り外しても良い。ユニット制御部60は、パッケージPが準良品であることを示す判断信号をクリアラ制御部37から受信した場合、玉揚要求信号を出力しない。これにより、準良品が玉揚げされることが防止される。このように、ユニット制御部60は、パッケージPが準良品であると判断された場合に、パッケージPが良品である場合と異なる動作を巻取ユニット2に行わせる。
以上のように、ヤーンクリアラ34によってパッケージPが準良品であると判断された場合に、巻取ユニット2が通常と異なる動作を行うことで、パッケージPが良品でないことをオペレータに気づかせる等することができる。したがって、良品のパッケージPと準良品のパッケージPとを仕分け可能にすることができる。
また、ヤーンクリアラ34がクリアラ制御部37を有するので、パッケージPが準良品であることを判断する判断装置とヤーンクリアラ34とを別々に設ける場合と比べて、データ通信量の増大やコストの増大等の問題が発生することを抑制できる。
また、パッケージPが準良品であることが表示部50によって報知されるため、パッケージPが準良品であることを速やかにオペレータに知らせることができ、オペレータによる迅速な対応を促すことができる。
また、形成途中のパッケージPが準良品であると判断された時点で、巻取ユニット2に通常と異なる動作を行わせることができる。したがって、準良品を早めに仕分けすることができる。
また、パッケージPが準良品であると判断された時点で糸巻取処理を中断させることができるため、パッケージの形成途中でも、品質の悪いパッケージPを取り外すことができる。
また、準良品が玉揚装置3によって玉揚げされないようにすることができるため、オペレータによって準良品を巻取ユニット2から取り外して良品と分けて取り扱うことで、良品と準良品との混在を確実に防止できる。
また、非許容欠陥Ybの発生の判断及び許容欠陥Ycの発生の判断が、糸Yの太さに基づいて行われる。したがって、除去する必要のある糸欠陥の検出、及び、形成されたパッケージPの品質の判断を的確に行うことができる。
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
(1)前記実施形態においては、パッケージPが準良品であることを示す判断信号をクリアラ制御部37から受信した時点で、ユニット制御部60が糸巻取処理を中断させるものとしたが、これには限られない。すなわち、図10に示すように、ユニット制御部60は、判断信号をクリアラ制御部37から受信した場合でも、パッケージPが満巻になるまでそのまま糸巻取処理を続けさせても良い(S105)。そして、パッケージPが満巻になった時点で、表示部50にオペレータへの報知を行わせても良い(S106)。これにより、パッケージPが準良品であることが途中で判明した場合でも、パッケージPの形成を続けさせることで、糸巻取処理を中断させる場合と比べて、パッケージPを早く満巻にすることができ、生産効率の低下を抑制できる。なお、この変形例においても、ユニット制御部60は、玉揚要求信号を出力しないので、良品と準良品との混在を防止できる。なお、ユニット制御部60は、表示部50によるオペレータへの報知を、準良品のパッケージPが満巻になる前に(例えば、判断信号を受信した時点で)行わせても良い。
(2)前記までの実施形態においては、玉揚装置3は準良品のパッケージPを玉揚げしないものとしたが、これには限られない。例えば、ある巻取ユニット2において準良品のパッケージPが保持されているときに、当該巻取ユニット2の表示部50の手動ボタン53(本発明の操作部)が押された場合、玉揚要求操作が行われたとユニット制御部60が判断し、玉揚要求信号を出力しても良い。このような構成においては、オペレータが玉揚要求操作を行うまで、準良品の玉揚げが行われない。このため、準良品のパッケージPに、オペレータが予めスタンプを押し、又はシールを貼りつけるなどして、準良品を良品と識別可能にした上で手動ボタン53を押すことで、良品と準良品が混在した場合でも仕分けをすることができる。また、玉揚装置3によって玉揚げを行うことで、オペレータによって準良品のパッケージPを取り外す手間を省くことができる。なお、当該操作は、手動ボタン53以外の操作部によって行われても良い。
(3)上記(2)の変形例においては、オペレータが準良品のパッケージPにスタンプを押す等の処置を行うものとしたが、玉揚装置3が、パッケージPの表面にスタンプを押す押印部(不図示)を備えていても良い。その上で、ユニット制御部60は、以下のような処理を行っても良い。すなわち、図11に示すように、パッケージPが準良品であるとクリアラ制御部37によって判断された場合に、ユニット制御部60は、巻取ユニット2に満巻到達まで糸巻取処理を継続させる(S106)。その後、ユニット制御部60は、機台制御装置4を介して、玉揚装置3による準良品のパッケージPの表面への押印(すなわち、識別情報の付与)を要求する信号を出力する(S107)。これにより、準良品を良品と識別可能にするための押印を玉揚装置3に行わせることができるため、良品と準良品が混在した場合でも仕分けをすることができる。また、オペレータによってスタンプを押す手間を省くことができる。
なお、識別情報はスタンプに限るものではなく、何でも良い。例えば、玉揚装置3が、準良品のパッケージPにシール(不図示)を貼りつけるように構成されていても良い。或いは、例えば巻取ボビンBmに個別情報を記憶するICタグ(不図示)が設けられており、準良品のパッケージPが形成された巻取ボビンBmのICタグに、当該パッケージPが準良品であることを示す情報を書き込めるように、玉揚装置3が構成されていても良い。
(4)上記(3)の変形例のように、玉揚装置3が、パッケージPの表面にスタンプを押すことができる構成を有している場合において、ユニット制御部60は、以下のような処理を行っても良い。すなわち、図12に示すように、パッケージPが準良品であるとクリアラ制御部37によって判断された場合に、ユニット制御部60は、準良品のパッケージPに識別情報の付与を要求する信号を出力した(S107)後、さらに、玉揚要求信号を出力しても良い(S103)。これにより、良品と準良品が混在した場合でも、準良品を良品と識別することが可能であるため、仕分けをすることができる。また、オペレータによって識別情報の付与を行う手間を省くことができる。また、玉揚要求信号を出力しない場合と比べて、オペレータによって準良品のパッケージPを取り外す手間を省くことができる。或いは、ユニット制御部60は、準良品のパッケージPに識別情報の付与を要求する信号を出力するよりも前に玉揚要求信号を出力しても良い。この場合、玉揚げよりも前に、識別情報の付与を玉揚装置3に行わせれば良い。
(5)或いは、図13に示すような構成によって、良品と準良品を仕分け可能にしても良い。図13(a)は、自動ワインダ1bの平面図である。図13(b)は、後述するストッパー73が許容位置にあるときの状態を示す図である。図13(c)は、ストッパー73が阻止位置にあるときの状態を示す図である。なお、玉揚装置3の図示は省略している。
図13(a)に示すように、自動ワインダ1bの後側には、複数の巻取ユニット2から玉揚げされたパッケージPを搬送する(図13(a)の矢印参照)コンベア71が設けられている。また、図13(a)〜(c)に示すように、前後方向において、各巻取ユニット2とコンベア71との間には、玉揚げされたパッケージPが後方に移動する個別通路72が設けられている。さらに、前後方向において、コンベア71と個別通路72との間には隙間が形成されており、その隙間に、ストッパー73が配置されている。ストッパー73は、例えば板状の部材であり、エアシリンダ74によって上下方向に移動可能になっている(図13(b)の実線及び破線参照)。エアシリンダ74は、巻取ユニット2のユニット制御部60によって駆動されることが可能であり、ストッパー73を上下方向に移動させる。ストッパー73が最も下方に位置しているとき(図13(b)の実線参照)、玉揚げされたパッケージPは、個別通路72を転がってそのままコンベア71に到達可能である。このとき、ストッパー73は、パッケージPの転がりを許容する許容位置に位置している。一方、ストッパー73が上方に突出しているとき(図13(c)参照)、ストッパー73によってパッケージPの転がりが阻止される。このとき、ストッパー73は、パッケージPの転がりを阻止する阻止位置に位置している。このように、ストッパー73は、許容位置と阻止位置との間で位置を切換可能である。
以上の構成を有する自動ワインダ1bにおいて、ある巻取ユニット2のパッケージPが良品である場合(クリアラ制御部37からの判断信号がユニット制御部60に送信されなかった場合)には、ストッパー73は許容位置に位置している(図14(b)参照)。一方、パッケージPが準良品であるとクリアラ制御部37によって判断された場合、ユニット制御部60は、エアシリンダ74を駆動させてストッパー73を阻止位置に移動させる。これにより、準良品のパッケージPが玉揚げされても、当該パッケージPをストッパー73によって、個別通路72上で止めることができる。したがって、複数のパッケージPがコンベア71上や運搬先で混在する前に、オペレータによって、準良品を良品と識別する情報を準良品のパッケージPに付与することができる。また、オペレータによって、止められている準良品を取り除くこともできる。
(6)前記までの実施形態においては、パッケージPが準良品か否かについて、許容欠陥Ycの総量に基づいて判断されるものとしたが、これには限られない。例えば、クリアラ制御部37は、パッケージPが準良品か否かについて、特定の許容欠陥Ycの量に基づき判断しても良い。特定の許容欠陥Ycの量としては、例えば、目標太さよりも太い部分の量、目標太さよりも細い部分の量、毛羽の量などが挙げられる。或いは、クリアラ制御部37は、カッタ34bによる糸切断の回数によって、パッケージPが準良品か否か判断しても良い。カッタ34bによって糸Yが切断された回数(すなわち、非許容欠陥Ybの検出数)が多いと、糸継装置33による糸継ぎの回数が多く、パッケージPにおける糸継ぎ部分が多くなる。そのようなパッケージPも、品質が良いとは言えないため、カッタ34bによる糸切断の回数をカウントすることで、準良品か否かの判断を行っても良い。
(7)前記までの実施形態において、クリアラ制御部37によって、パッケージPを良品と準良品の2種類に分類するものとしたが、これには限られない。すなわち、許容欠陥Ycの量に基づき、準良品をさらにランク付けしても良い。例えば、準良品のうち、許容欠陥Ycの量が比較的少ないものを準1級品とし、許容欠陥Ycの量が比較的多いものを準2級品としても良い。この場合、上記(2)〜(5)の変形例において、ランクに応じて準良品のパッケージPに付与する識別情報を異ならせることで、準良品のランクを識別することが可能となる。例えば、準良品のランクに応じて、スタンプの色や形、シールの色や形、ICタグに書き込む情報等を異ならせれば良い。或いは、準良品をさらに細かくランク付けしても良い。
(8)前記までの実施形態においては、パッケージPが準良品の場合にのみクリアラ制御部37からユニット制御部60に判断信号が送信されるものとしたが、これには限られない。例えば、ユニット制御部60とクリアラ制御部37が双方向に通信可能な構成において、パッケージPが満巻になるタイミングで、満巻直前であることを示す信号をユニット制御部60からクリアラ制御部37に送信しても良い。そして、この時点でパッケージPが準良品であると判断されていなければ、パッケージPが良品であることを示す信号をクリアラ制御部37からユニット制御部60に送信しても良い。
(9)前記までの実施形態においては、クリアラ制御部37が、形成途中のパッケージPが準良品であるか否かを判断するものとしたが、これには限られない。例えば、ユニット制御部60が、糸欠陥の情報をクリアラ制御部37から受け取り、上記判断を行っても良い。この場合、ユニット制御部60が、本発明の判断部に相当する。
(10)前記までの実施形態においては、表示部50によってオペレータへの報知が行われるものとしたが、これには限られない。例えば、機台制御装置4に設けられた不図示のタワーランプを用いて報知を行っても良く、或いは、音による報知を行っても良い。
(11)本発明は、自動ワインダ1以外にも適用可能である。すなわち、ヤーンクリアラ34等の糸品質測定装置を有する繊維機械(例えば、空気精紡機やオープンエンド紡績装置等)にも適用可能である。
1 自動ワインダ(繊維機械)
2 巻取ユニット
3 玉揚装置
20 給糸部
34 ヤーンクリアラ(糸品質測定装置)
34a クリアラ本体(糸品質測定部)
34b カッタ(切断部)
37 クリアラ制御部(判断部)
50 表示部(報知部)
60 ユニット制御部
71 コンベア
72 個別通路
73 ストッパー
Bm 巻取ボビン(巻取管)
P パッケージ
Y 糸
Yb 非許容欠陥
Yc 許容欠陥

Claims (12)

  1. 給糸部から供給される糸を巻取管に巻き取ってパッケージを形成する糸巻取処理を実行する巻取ユニットを備える繊維機械であって、
    前記巻取ユニットは、
    走行している糸を監視して、除去する必要のある非許容欠陥及び除去する必要のない許容欠陥を検出する糸品質測定部と、前記非許容欠陥が検出されたときに糸を切断する切断部と、を備えた糸品質測定装置と、
    前記パッケージが、前記許容欠陥の量が所定の基準値以下の良品と、前記許容欠陥の量が前記基準値を超える準良品のいずれであるかについて、前記許容欠陥のデータに基づき判断する判断部と、
    ユニット制御部と、を有し、
    前記ユニット制御部は、
    前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合に、前記パッケージが前記良品である場合と異なる動作を前記巻取ユニットに行わせることを特徴とする繊維機械。
  2. 前記糸品質測定装置が、前記判断部を有することを特徴とする請求項1に記載の繊維機械。
  3. 前記巻取ユニットは、情報を報知する報知部を有し、
    前記ユニット制御部は、
    前記パッケージが前記準良品であると前記判断部により判断された場合に、前記パッケージが前記準良品であることを示す情報を前記報知部に報知させることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維機械。
  4. 前記判断部は、
    前記巻取ユニットによる前記パッケージの形成が行われている間、前記糸品質測定装置によって検出された許容欠陥の量を順次加算し、前記パッケージに含まれている前記許容欠陥の総量が前記基準値を超えた時点で前記パッケージが準良品であると判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維機械。
  5. 前記ユニット制御部は、
    前記パッケージの形成途中で、前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合に、前記巻取ユニットによる前記糸巻取処理を中断させることを特徴とする請求項4に記載の繊維機械。
  6. 前記ユニット制御部は、
    前記パッケージの形成途中で、前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合でも、前記パッケージが満巻になるまで前記巻取ユニットに前記パッケージの形成を続けさせることを特徴とする請求項4に記載の繊維機械。
  7. 前記パッケージを玉揚げする玉揚装置を備え、
    前記ユニット制御部は、
    前記パッケージが前記良品である場合には、前記玉揚装置による玉揚げを要求する玉揚要求信号を出力し、
    前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合には、前記玉揚要求信号を出力しないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維機械。
  8. 前記ユニット制御部は、
    前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合には、前記準良品を前記良品と識別可能にする識別情報の付与を前記玉揚装置に行わせることを要求する信号を出力することを特徴とする請求項7に記載の繊維機械。
  9. 前記パッケージを玉揚げする玉揚装置を備え、
    前記ユニット制御部は、
    前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合には、前記玉揚装置による玉揚げをするより前に、前記準良品を前記良品と識別可能にする識別情報の付与を前記玉揚装置に行わせる要求する信号を出力することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維機械。
  10. 前記パッケージを玉揚げする玉揚装置を備え、
    前記巻取ユニットは、
    前記玉揚装置による玉揚げを要求する玉揚要求信号を出力するための玉揚要求操作がオペレータによって行われる操作部を有し、
    前記ユニット制御部は、
    前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合には、オペレータによって前記玉揚要求操作が行われた場合にのみ、前記玉揚要求信号を出力することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維機械。
  11. 複数の前記巻取ユニットと、
    前記複数の巻取ユニットによって形成された複数の前記パッケージを運搬するコンベアと、
    前記複数の巻取ユニットと前記コンベアとの間にそれぞれ設けられ、各巻取ユニットから前記コンベアに向かって前記パッケージが移動する複数の個別通路と、
    各個別通路と前記コンベアとの間に設けられたストッパーと、を備え、
    前記ストッパーは、
    前記パッケージが前記コンベアまで転がることを許容する許容位置と、
    前記パッケージが前記コンベアまで転がることを阻止する阻止位置との間で位置を切換可能であり、
    前記ユニット制御部は、
    前記判断部により前記パッケージが前記準良品であると判断された場合に、前記ストッパーを前記阻止位置に位置させることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の繊維機械。
  12. 前記判断部は、
    前記非許容欠陥の発生の判断及び前記許容欠陥の発生の判断を、前記糸品質装置によって監視される糸の太さに基づいて行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の繊維機械。
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