JP2020190056A - マルチフィラメントの糸条形態測定装置および糸条形態測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、布帛品位に影響を与える単糸間幅を、布帛加工状態に近い糸条形態のまま、精度良くかつ効率的に検出するためのマルチフィラメントの糸条形態測定装置および糸条形態測定方法を提供する。【解決手段】 本発明マルチフィラメントの糸条形態測定装置は、マルチフィラメントからなる糸条を一定の速度で引き出し、所定の張力を付与しながら走行させ、その糸条の単糸群のなかで最外部の両端にある単糸間の幅を測定する光学式計測手段を備えた装置であって、前記式光学式計測手段に、測定する糸条に対して光を照射する投光部と、照射された光量を検出する検出部を備え、単糸もしくは単糸群によって遮られた光量変化よりそれらひとつひとつの位置情報を検出し、検出された単糸もしくは単糸群位置の中から、最も離れている単糸間の幅を連続的に測定するために照射された光量を検出する受光素子が複数個配置されているマルチフィラメントの糸条単糸間幅の糸条形態測定装置である。【選択図】 図2
Description
本発明は、特に衣料用分野における織編物用マルチフィラメントからなる糸条において、布帛品位に影響を与える糸条の糸幅を、布帛加工状態に近い糸条形態のまま精度よくかつ効率的に検出するためのマルチフィラメントの糸条形態測定装置および糸条形態測定方法に関するものである。
ポリアミド繊維やポリエステル繊維等に代表される合成繊維、中でも衣料用合成繊維は、一般的に溶融紡糸された糸条にエアーなどを吹き付ける交絡処理と呼ばれる糸条に集束性を付与する工程を経て、その後、複数のロールを用いて引取・延伸しながら巻き取る工程により製造されている。
特に、これらの製造工程の中でも、交絡処理工程は糸条に集束性を与えることにより、糸条の摩擦抵抗を少なくすることができるため、延伸時のロール上の工程通過性の向上や、巻き取り性の向上を図ることができる。また、糸条に収束性を与えていない状態で延伸や巻き取りを実施すると、糸条を構成する単糸の糸切れが発生し、毛羽やタルミ等の品質異常を引き起こしてしまうという課題がある。
更に、その後のマルチフィラメントを布帛にする高次加工工程においても、糸条の集束性は各加工工程の工程通過性に影響を与えるに留まらず、布帛品位にも影響を与える。すなわち、マルチフィラメントを布帛にする場合、マルチフィラメントを何本も並べた上で、織りまたは編んでいく必要があるため、糸条の集束性の違いによって、糸条の糸条幅が変化する。このとき隣接する糸条同士の幅の違いによって、隣接糸条の隙間に差が出来てしまい、布帛上で見た目の変化、いわゆるスジなどが発生し、布帛品位の異常を引き起こすという課題がある。また、布帛は何万mも走らせながら加工するため、マルチフィラメントの長手方向に糸条幅のムラがあった場合でも、同様に長手方向に布帛品位の異常が発生してしまう。
したがって、布帛品位を担保するためには、各マルチフィラメントの糸条幅の大きさや均一性などを長手方向に長い距離で評価し管理することが極めて重要な課題である。
このように極めて重要な課題であるマルチフィラメントの糸条幅評価技術として、交絡度の測定装置として、走行させている糸条にV字状のガイドの上でピンを挿入し、交絡部で生じるピンの引っ掛かりによる抵抗を測定するピンカウント法を用いた交絡度検査装置が提案されている(特許文献1参照。)。そして、その効果は、交絡度を高精度かつ効率的に算出できるとされている。
また別に、弛緩状態にて液面上にマルチフィラメントを走行させ、浮かせて開繊させた状態でその画像を測定し、画像処理によって交絡度や開繊幅測定する糸条の集束状態評価装置が提案されている(特許文献2参照。)。そして、その効果は、糸条の交絡状態を定量的に数値化できるとされている。
更にその他の手段として、上記の特許文献1に記載されている光学法と呼ばれる測定方法がある。光学法とは、マルチフィラメントを所定の経路で走行させ、半導体レーザやLED素子などの投光素子から光を一方向から糸条に照射し、これを投光素子から対向方向に配置された受光素子によって、投光された光量を検出し、その受光量に応じて、出力される電圧などの電気信号をもとに糸条幅を測定する方法である。
この光学法では、投光された光の一部は、走行しているマルチフィラメントの糸条幅によって遮られるため、糸条幅の違いによって受光素子で検出される光量が変化する。光学法は、この変化をもとに糸条幅を測定するというものである。
しかしながら、特許文献1の提案では、集束性の一因子である交絡度を測定できるものの、走行糸条にピンを挿入しているため、マルチフィラメントの開繊状態がピンの影響を受けて変化してしまい、実際の布帛上での糸条形態とは異なった形態でしか測定することはできない。また、測定項目についても交絡度のみの測定で、実際の布帛品位に影響を与える糸条幅の測定に関しては何ら検討も示唆もされておらず、また上記の理由により糸条幅を正確に測定することは困難である。更に、ピンを糸条に挿入させて糸条を走らせる場合、ピンによる抵抗があるため、あまり速く糸条を走行させることができず、必然的に長手に長く集束状態を評価するためには、膨大な時間を要してしまうという課題がある。
また、特許文献2の提案では、開繊された糸条幅を測定しているが、糸条を液面に浮かべているため、糸条に付着している油剤によって開繊形態が異なることや、液面の表面張力によって実際の布帛上での糸条幅とは異なりかなり広がった開繊形態になるため、布帛品位に影響する糸条幅を正確に測定することは困難である。また、走行糸条を液面に浮かべる場合、速く糸条を走行させると、液面上で走行糸条方向への流れが生じるため、開繊状態が変化して正確な測定が出来なくなる。よって、特許文献1と同様に、比較的遅い速度でしか糸条を走行させることができず、長手方向への効率的な測定は困難であった。
更に、特許文献1において一部記載のある光学法による測定では、非接触でマルチフィラメントの糸条幅を測定できるため、効率的な測定を実施することができるが、マルチフィラメントの糸条幅形態は、それぞれの単糸間が集束と開繊を長手方向に繰り返していく形態を有しているため、開繊部ではそれぞれの単糸の間には隙間が生じることになる。
このため、光学法を用いて糸幅測定のために光を投光する場合、単糸に遮られる光と単糸間をすり抜けてしまう光があるため、受光部で検出される光量はすり抜けた光の分だけ減少し、実際に測定したい糸幅とは誤差が生じてしまう。この検出誤差は、大きく開いた開繊状態であればより大きな検出誤差になる。また、集束部では単糸間の隙間は小さくなり、検出誤差は小さくなるが、誤差自体の発生は避けられないものであった。
したがって、光学法によってマルチフィラメントの糸幅を測定する場合、原理上、正確な糸幅を測定することは困難であった。そのため、光学式による測定を採用する場合は、予め経験的に設けた基準値と比較し、その基準値との大小によって、糸条幅の大小を相対的に判断する程度しか利用することができず、絶対値としての糸条幅を測定することは実現できなかった。
これらの従来技術においては、布帛品位に影響をあたえる糸条幅を、実際の布帛加工状態に近い糸条形態のまま測定するのは困難であった。また、仮に長手方向にある程度長く糸条幅を測定するにしても、作業には多くの時間や労力を要するうえ、布帛に必要なフィラメント数は数千本にもなるため、実質布帛品位に影響する全てのマルチフィラメントの糸条幅を評価することはできていなかった。
そこで、本発明の目的は、上述したような課題を解決し、布帛品位に影響を与えるマルチフィラメントの糸条幅を、布帛加工状態に近い糸条形態のまま、精度良く検出することができるマルチフィラメントの糸条形態測定装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、膨大な本数および長さのフィラメントからなる糸条で構成される布帛において、各フィラメントの糸条幅の変化がもたらす布帛品位への影響を測定するため、長手方向に長い距離を短い時間で効率的に測定可能なマルチフィラメントの糸条形態測定装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記のマルチフィラメントの糸条形態測定装置により、マルチフィラメントからなる糸条を一定の速度で引き出し、所定の張力を付与しながら案内・走行させ、その糸条の単糸群のなかで最外部の両端にある単糸間の幅を測定して、前記の目的を達成するマルチフィラメントの糸条形態測定方法を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置は、マルチフィラメントからなる糸条を一定の速度で引き出し、所定の張力を付与しながら走行させ、その糸条の単糸群のなかで最外部の両端にある単糸間の幅を測定する装置であって、前記糸条を一定の速度で引き出し走行させる糸条送り手段と、前記糸条に所定の張力を付与する張力付与手段と、前記引き出され糸条を所定の経路に引き回す案内手段と、前記走行させた糸条の単糸群の最外部の両端にある単糸間の幅を測定する光学式計測手段とを備え、前記光学式計測手段は測定する糸条に対して光を照射する投光部と、照射された光量を検出する検出部とを備え、前記検出部は単糸もしくは単糸群によって遮られた光量変化よりそれらひとつひとつの位置情報を検出し、検出された単糸もしくは単糸群の位置情報から最も離れている単糸間の幅を連続的に測定するために照射された光量を検出する受光素子を複数個配置していることを特徴とするマルチフィラメントの糸条形態測定装置である。
本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置の好ましい態様によれば、前記光学式計測手段の検出部において、光量変化を検出する受光素子を複数個配置しており、受光素子の幅が0.5μm以下であることである。
本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置の好ましい態様によれば、糸条送り手段が引き出し速度を自由に可変できる速度可変機構を、張力付与手段が引き出された糸条に任意の張力を付与できる張力付与機構を有し、光学式計測手段により検出した単糸間幅のデータを演算処理する演算処理部を設けていることである。
本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定方法は、前記の糸条形態測定装置を用いて、マルチフィラメントからなる糸条を引き出し速度100〜600m/分、張力0.1〜50cN/dtexで走行させながら、マルチフィラメントの長手方向に1mm以下の間隔で単糸間幅を測定し、得られた単糸間幅から20〜100mの長さ当たりの平均値およびCV%を算出することを特徴とするマルチフィラメントの糸条形態測定方法である。
本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置および糸条形態測定方法によれば、布帛品位に影響を与えるマルチフィラメントの糸条幅を、布帛加工状態に近い糸条形態のまま、精度良くかつ効率的に検出することが可能となる。
また、本発明によれば、高次加工工程と同じ速度および張力条件を再現しながら糸条を走行させることによって、実際の布帛加工状態に近い糸条形態のまま、糸条幅を図ることが可能になり、より正確に糸条幅の変化がもたらす布帛品位への影響を評価することが可能となる。これにより、布帛にする前のマルチフィラメントの状態で、布帛品位が予測できるため、布帛を作製し評価する労力を無くせることや、布帛欠点につながるマルチフィラメントの選別・排除が正確かつ短時間で実施でき、検査労力・時間の低減を図ることが可能となる。
本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置は、光学法を用いた非接触の糸条形態体測定装置である。本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置は、マルチフィラメントからなる糸条を一定の速度で引き出し、所定の張力を付与しながら案内・走行させ、その糸条の単糸群のなかで最外部の両端にある単糸間の幅を測定する装置であって、前記糸条を一定の速度で引き出し走行させる糸条送り手段と、前記糸条に所定の張力を付与する張力付与手段と、前記引き出され糸条を所定の経路に引き回す案内手段と、前記走行させた糸条の単糸群の最外部の両端にある単糸間の幅を測定する光学式計測手段とを備え、前記光学式計測手段は測定する糸条に対して光を照射する投光部と、照射された光量を検出する検出部とを備え、前記検出部は単糸もしくは単糸群によって遮られた光量変化よりそれらひとつひとつの位置情報を検出し、検出された単糸もしくは単糸群の位置情報から最も離れている単糸間の幅を連続的に測定するために照射された光量を検出する受光素子を複数個配置しているマルチフィラメントの糸条形態測定装置である。
また、本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定方法は、マルチフィラメントからなる糸条を一定の速度で引き出し、所定の張力を付与しながら案内・走行させ、その糸条の単糸群のなかで最外部の両端にある単糸間の幅を測定する前記の糸条形態測定装置を用いて、マルチフィラメントからなる糸条を引き出し速度100〜600m/分、張力0.1〜50cN/dtexで走行させながら、マルチフィラメントの長手方向に1mm以下の間隔で単糸間幅を測定し、得られた単糸間幅から20〜100mの長さ当たりの平均値および求めた標準偏差を平均値で割ったCV%を算出するマルチフィラメントの糸条形態測定方法である。前記の平均値はマルチフィラメントの糸条形態において、糸条の全体的な幅を示す指標であり、CV%はその糸条の幅が平均値から長手方向にどの程度変動しているか、すなわち均一な糸条幅であるかを示す指標となる。
次に、本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置と糸条形態測定方法の測定原理を含む実施態様について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置の測定原理を説明するための概略斜視図(A)と平面図(B)である。
本発明のマルチフィラメントの糸条形態定装置において用いられる光学式計測手段は、図1(A)における、測定するマルチフィラメント1に対して光を照射する投光部2と、前記投光部2から照射された光を検出し、その光量を電圧などの電気信号に変換して検出する検出部3、および、図1(B)における、前記検出部3において検出する受光素子が配置されている受光素子4からなる。また、図1(B)において、測定結果である単糸間幅Xが示されている。
本発明のマルチフィラメントの糸条形態定装置において用いられる光学式計測手段は、図1(A)における、測定するマルチフィラメント1に対して光を照射する投光部2と、前記投光部2から照射された光を検出し、その光量を電圧などの電気信号に変換して検出する検出部3、および、図1(B)における、前記検出部3において検出する受光素子が配置されている受光素子4からなる。また、図1(B)において、測定結果である単糸間幅Xが示されている。
投光部2から投光された光は、あいだを走行しているマルチフィラメント1の単糸または単糸群によって一部が遮られる。投光部2と対向方向に配置された検出部3では、この遮られた光量の変化を検出する受光素子4が複数個並べて配置されているため光量の変化、すなわち光量の有無をひとつひとつの受光素子4で検出することができる。
よって、遮られた光量変化を検出した複数の受光素子4のうち、糸条の走行方向に対して、垂直方向に最も離れている受光素子4同士の位置情報をもとにその距離を算出すれば、単糸間幅Xを算出することが可能となる。
このように、受光素子を細かく配置することにより、マルチフィラメント1を構成する糸条の単糸間の間をすり抜けてしまう光量などに影響されずに、走行しているマルチフィラメント1の単糸間幅Xを連続的かつ正確に測定することが可能となる。
また、受光量の算出においては、光の有無をのみ検出することができればよいので、微妙な光量変化等を測定する必要がなく、検出と算出結果の高速化、すなわち測定糸条を高速に走らせても正確に測定することが可能となる。受光素子4の配置については、測定原理上、配置数によって測定できる精度が変化するため、受光素子の幅は0.5μm以下になるように格子状に分割し配置することが好ましい態様である。より好ましくは0.25μm以下であり、また好ましい可能な下限値は0.1μmである。また、測定間隔については、糸条の開繊部の長さが約1〜10cm程度の間隔で変化していくため、少なくとも1mm以下の間隔で連続的に測定できるようにすることが好ましい態様である。より好ましくは0.5mm以下であり、また好ましい可能な下限値は0.1mmである。
図1では、測定対象物であるマルチフィラメント1を挟んで投光部2と検出部3が存在し、一方の投光部2から光を発し、他方の検出部3で光量を検出する、いわゆる透過型のセンサーを例示したが、投光部2と検知部3が一体化され、投光部2から光を測定対象物であるマルチフィラメント1に照射し、測定対象物から反射され戻ってきた反射光の光量変化を検出する反射型のセンサーを用いることもできる。
また、投光方向を水平方向のみの1方向から投光するセンサーを例示したが、合わせて垂直方向からも2方向で投光し、それぞれの方向からの糸条幅を算出するような構成にすると、更に精度よく測定することが可能となる。
次に、本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置とその糸条形態測定装置を用いた糸条形態測定方法の実施形態を、図2と図3を用いて説明する。
図2は、本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置と、その測定装置を用いた糸条形態測定方法の一実施形態を説明するための概略正面図である。
図2において、測定するマルチフィラメントパッケージ5、前記マルチフィラメントパッケージ5を保持するパッケージスタンド6、走行糸条に所定の張力を付与する張力付与手段7、走行糸条を案内する糸道規制ガイド(案内手段8)、糸条幅を測定する光学式計測手段9、走行糸条を一定の速度で引き出し走行させる糸条送りローラ10a、10b(糸条送り手段)、走行糸条を吸引する糸条吸引装置11を示す。
本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置および糸条形態測定方法は、パッケージスタンド6にセットしたマルチフィラメントパッケージ5を、糸条送りローラ10a、10b(糸条送り手段)および糸条吸引装置11によって、布帛加工速度と同じ速度で一定速度で引き出しつつ、そして張力付与手段7で布帛加工条件に近い張力を付与しつつ、糸道規制ガイド(案内手段8)を通して、走行糸条を図1にて説明した受光素子4を複数個備えた光学式計測手段9に導くことにより、マルチフィラメントの糸条幅を測定する装置および測定方法である。
ここでいう布帛加工速度とは、主に、整経速度(織物経糸、経編)、製織速度(織物緯糸)、および丸編速度をターゲットとしているが、これらに限定されない。
上記構成のように、高次加工工程と同じ速度および張力条件を再現しながら糸条を走行させることによって、実際の布帛加工状態に近い糸条形態のまま、糸条幅を図ることが可能になり、より正確に糸条幅の変化がもたらす布帛品位への影響を評価することが可能となる。
一般的な高次加工工程の条件範囲としては、速度範囲は好ましくは100〜600m/分であり、張力条件範囲は好ましくは0.1〜50cN/dtexであるため、本発明の糸条形態測定装置についても、上記と同等の条件範囲を再現できるように、張力付与手段7と糸条送りローラ10a、10b(糸条送り手段)を設置することが好ましい態様である。
また、マルチフィラメントパッケージ5を解舒の際に張力付与手段7までは変曲点がない状態が好ましく、マルチフィラメントパッケージ5から張力付与手段7までの間の距離は好ましくは30〜100cmである。
張力付与手段7については、テンサーなどの任意で張力を設定できるもの以外にも、複数のガイドで糸道を屈曲させ、その屈曲具合を調整することにより張力を付与する構成にすることができる。
次に、図3は、本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置と、その測定装置を用いた糸条形態測定方法の他の一実施形態を説明するための概略正面図である。
図3において、測定するマルチフィラメントパッケージ5、前記マルチフィラメントパッケージ5を保持するパッケージスタンド6、走行糸条に所定の張力を付与する張力付与手段7、走行糸条を案内する糸道規制ガイド(案内手段8)、糸条幅を測定する光学式計測手段9、走行糸条を一定の速度にて引き出し走行させる糸条送りローラ10a、10b(糸条送り手段)、走行糸条を吸引する糸条吸引装置11、糸条送りローラの速度を任意で変更できる速度可変機構12、走行糸条の張力を任意に変更できる張力付与機構13、検出結果を送信する検出結果送信部14、送信された検出結果を演算処理する演算処理部15を示す。
図3において、図2の構成に加えて、速度可変機構12と張力付与機構13を設けることにより、簡易的に条件変更が可能となり、測定における条件設定の簡易化を図ることができる。また、測定した単糸間幅のデータは検出結果送信部14を通じて演算処理部15に送られる。演算処理部15では、検出結果や速度条件などをもとに測定した単糸間幅の平均値やCV%などを算出することができる。
次に、本発明における単糸間幅測定結果の算出方法について説明する。
図4は、本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置で得られた単糸間幅チャートを例示した図(グラフ)である。
図4において、グラフの縦軸は単糸間幅を、グラフの横軸は測定長をそれぞれ示している。本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置およびその糸条形態測定方法より、図4に示すような連続的な単糸間幅測定結果が得られる。ここから、測定結果の定量化に向けて得られた単糸間幅データの平均値やCV%を算出される。
算出に向けて必要な測定長については、約20〜100mの範囲で測定したデータをもとに算出するのが好ましい。それは、前述のとおり、開繊部の長さは約1〜10cm程度であるため、測定長で20〜100m程度測定できれば、単糸間幅の評価に必要十分な開繊部の測定サンプリング数を取ることができるからである。
また、上記の測定長範囲であれば、測定に掛かる時間も数秒で済むため、検査にかかる時間と労力を大幅に削減することができ、かつ布帛品位の評価に必要な多くの本数の測定を実施することが可能となり、検査の効率化を図ることができる。また、上記の単糸間幅データからの算出方法以外にも、単糸間幅の最大値と最小値や、最大・最小値の差のバラツキなどを算出して比較することができる。得られた単糸間幅データの算出方法は、上記に限られるものでない。
本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置および糸条形態測定方法が好適なマルチフィラメントは、ポリアミド繊維やポリエステル繊維などの溶融紡糸可能な合成繊維であれば、特に、限定されるものではない。また、このような合成繊維は、例えば、他のホモポリマー、共重合ポリマー、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、および滑剤等を含むことが許容される。
また、本発明において測定できる合成繊維は、単成分紡糸でも複合成分紡糸で得られる繊維でもよく、複合成分紡糸で得られる繊維の場合には、例えば、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、海島型複合繊維、および混繊繊維等の繊維が挙げられる。また、合成繊維の断面形状は、丸型の他、三角形および平等の異形状や、中空であっても許容される。
本発明において測定対象とするマルチフィラメントの単繊維繊度やフィラメント数は、2フィラメント以上のマルチフィラメントであれば特に限定させるものではない。また、測定対象とするマルチフィラメントの糸条集束状態も交絡糸以外にも、加撚糸や無撚糸などのさまざまな集束状態を持つマルチフィラメントで測定が可能である。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。実施例における特性値の測定法等は、次のとおりである。
(1)繊度:125m/周の検尺器に繊維試料をセットし、400回転させてループ状かせを作成し、熱風乾燥機で乾燥後(105±2℃×60分)、天秤でかせ質量を量り、公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。ナイロン6繊維の公定水分率は、4.5質量%とした。
(2)単糸間幅(平均値およびCV%):本発明のマルチフィラメントの糸条形態測定装置を用いて、測定糸を600m/分で走行させながら、測定間隔0.625mm(一秒間に16000回計測)で、測定長20m/分の単糸間幅を測定し、得られた単糸間幅データより平均値およびCV%を算出した。
(3)布帛品位:ベテラン検査員による布帛調査を実施して、目視にて布帛上に一定方向に通して発生するスジ状の見た目の違いを確認し、そのスジの有無によって次の2段階で評価した。
○:良好(スジ状の欠点がなし)
×:不良(スジ状の欠点があり)。
○:良好(スジ状の欠点がなし)
×:不良(スジ状の欠点があり)。
[実施例1]
それぞれ異なった交絡処理を施した基準繊度22dtex、20フィラメントのナイロン6マルチフィラメントからなる糸条を4水準用意し、本発明のマルチフィラメントの糸条形態幅測定装置を用いて、単糸間幅の測定を実施した。
それぞれ異なった交絡処理を施した基準繊度22dtex、20フィラメントのナイロン6マルチフィラメントからなる糸条を4水準用意し、本発明のマルチフィラメントの糸条形態幅測定装置を用いて、単糸間幅の測定を実施した。
各水準のナイロン6マルチフィラメントを、パッケージ5から40cmの距離に置かれた張力付与手段7であるアルミナ材質の湯浅糸道製テンサーガイドを通過させ、テンサーガイド出口の張力を0.15cN/dtexになるように調整した後、テンサーガイドから50cmの距離にある光学式計測手段9の前後5cm間隔に配置した案内手段8であるアルミナ製スリットガイド(スリット幅2mm、前ガイドから光学式計測手段9の距離5cm、光学式計測手段9から後ガイドの距離5cm)を介して糸条を走行させ、糸条送りローラ10a、10bに周回させ、走行速度を600m/分に制御しながら糸条を給糸し、測定を実施した。その後、それらの測定した糸条を、測定速度と同等の整経速度600m/分で経編地の布帛に製編し、得られた布帛の品位を評価した。その結果を。表1に示す。
表1に示すとおり、単糸間幅の平均値が大きくかつCV%が小さい水準2と3については、布帛上でのスジ状の欠点は見られず、布帛品位は良好であった。また、逆に単糸間幅の平均値が小さくかつCV%が大きい水準が1と4については、布帛上にスジ状の欠点が見られ、布帛品位を不良であった。これは、単糸間幅の平均値が小さい場合、隣り合う糸条同士の隙間が大きくなりかつ、CV%が大きく糸条幅が長手方向に変動が大きいためスジ状の欠点が発生したことがわかる。このように布帛加工状態に近い糸条形態のまま、糸条幅を測定することにより、布帛品位への影響を評価することが可能となる。
1:マルチフィラメント
2:投光部
3:検出部
4:受光素子
5:マルチフィラメントパッケージ
6:パッケージスタンド
7:張力付与手段
8:案内手段
9:光学式計測手段
10a、10b:糸条送りローラ(糸条送り手段)
11:糸条吸引装置
12:速度可変機構
13:張力付与機構
14:検出結果送信部
15:演算処理部
X:単糸間幅
Y:走行糸条
2:投光部
3:検出部
4:受光素子
5:マルチフィラメントパッケージ
6:パッケージスタンド
7:張力付与手段
8:案内手段
9:光学式計測手段
10a、10b:糸条送りローラ(糸条送り手段)
11:糸条吸引装置
12:速度可変機構
13:張力付与機構
14:検出結果送信部
15:演算処理部
X:単糸間幅
Y:走行糸条
Claims (4)
- マルチフィラメントからなる糸条を一定の速度で引き出し、所定の張力を付与しながら走行させ、その糸条の単糸群のなかで最外部の両端にある単糸間の幅を測定する装置であって、
前記糸条を一定の速度で引き出し走行させる糸条送り手段と、
前記糸条に所定の張力を付与する張力付与手段と、
前記引き出された糸条を所定の経路に引き回す案内手段と、
前記走行させた糸条の単糸群の最外部の両端にある単糸間の幅を測定する光学式計測手段とを備え、
前記光学式計測手段は測定する糸条に対して光を照射する投光部と、
照射された光量を検出する検出部とを備え、
前記検出部は単糸もしくは単糸群によって遮られた光量変化よりそれらひとつひとつの位置情報を検出し、
検出された単糸もしくは単糸群の位置情報から最も離れている単糸間の幅を連続的に測定するために照射された光量を検出する受光素子を複数個配置している
ことを特徴とするマルチフィラメントの糸条形態測定装置。 - 光学式計測手段の検出部において、光量変化を検出する受光素子を複数個配置しており、受光素子の幅が0.5μm以下であることを特徴とする請求項1記載のマルチフィラメントの糸条形態測定装置。
- 糸条送り手段が引き出し速度を自由に可変できる速度可変機構を、張力付与手段が引き出された糸条に任意の張力を付与できる張力付与機構を有し、光学式計測手段により検出した単糸間幅のデータを演算処理する演算処理部を設けていることを特徴とする請求項1または2記載のマルチフィラメントの糸条形態測定装置。
- 請求項1から3のいずれかに記載のマルチフィラメントの糸条形態測定装置を用いて、マルチフィラメントからなる糸条を引き出し速度100〜600m/分、張力0.1〜50cN/dtexで走行させながら、マルチフィラメントの長手方向に1mm以下の間隔で単糸間幅を測定し、得られた単糸間幅から20〜100mの長さ当たりの平均値およびCV%を算出することを特徴とするマルチフィラメントの糸条形態測定方法。
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JP2019095882A JP2020190056A (ja) | 2019-05-22 | 2019-05-22 | マルチフィラメントの糸条形態測定装置および糸条形態測定方法 |
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