JP3962231B2 - サイクロン式電気掃除機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、渦流によりエアと塵埃とが分離されるサイクロン式電気掃除機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のサイクロン式電気掃除機としては、掃除機本体の後部内に電動送風機を配設し、掃除機本体の前部に集塵容器を着脱可能に保持させ、電動送風機のエア吸込口を集塵容器の上端部に設けた集塵フィルタを介して集塵容器内に連通させると共に、この集塵容器の上部内に連通するホース接続口に集塵ホースの一端部を接続し、この集塵ホースの他端部に延長管を介して吸込口体を接続したものが知られている。そして、電動送風機のエア吸込口は、集塵容器、集塵ホース、延長管等により形成される吸込風路を介して吸込口体に連通させられている。
【0003】
このようなサイクロン式電気掃除機では、電動送風機を作動させると、電動送風機の吸込負圧が集塵容器、集塵ホース、延長管を介して吸込口体に作用する。この状態で、吸込口体を被清掃面上で移動操作することにより、被清掃面の塵埃がエアと共に吸込口体内に吸い込まれて被清掃面上が清掃される。そして、この塵埃を含むエアは、延長管、集塵ホースを介して集塵容器の上部内に流入させられる。この際、エアは、集塵容器内に渦を巻くように流入させられる。この渦流によりエア内の塵埃の大半が自重によりエアから分離させられて集塵容器の底部に堆積させられる。一方、集塵容器内に流入したエアは、掃除機用集塵フィルタを介して電動送風機に吸い込まれることになる。この際、残りの塵埃は集塵フィルタに捕捉されて、清浄化したエアが電動送風機に吸い込まれることになる。そして、この電動送風機に吸い込まれたエアは、電動送風機の駆動モータ内を流れて内部を冷却した後、排気口から排気される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の集塵容器は、硬質の合成樹脂により形成されているので、吸い込まれた塵埃が砂や金属等の硬い物質である場合、この塵埃が集塵容器に流入して渦を巻く際に内壁に沿って流れ、塵埃と内壁との間に摩擦音が生じて騒音の原因となっていた。また、粒子の大きい砂やガラス片あるいは金属片等塵埃を吸い込んだ場合も、この塵埃が集塵容器の内壁に沿って流れ、この内壁が傷つけられることもあった。
【0005】
さらに、被清掃面上に水等の液体があった場合、液体が集塵容器内に捕集されずにエアと共に電動送風機内に吸い込まれることも考えられる。この場合には、電動送風機の駆動モータ内に液体が吸い込まれて駆動モータがショートしたりし、故障の原因となることも考えられる。
【0006】
そこで、この発明は、集塵容器に渦流となって吸い込まれた塵埃が集塵容器の内壁に沿って流れる際に発生する騒音を抑えると共に、その内壁が塵埃によって傷つくことを防止するサイクロン式電気掃除機を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、吸い込まれた塵埃を捕集する集塵容器を有し、その集塵容器内に吸い込まれたエアの流れが渦流になるサイクロン式電気掃除機において、集塵容器は積層された複数層から構成されていると共に、複数層のうち外側層が硬質材料から形成され、その外側層の内側に設けられ且つ吸水性を有する材料から形成されて吸い込まれたエアが沿って流れる内側層が軟質材料から形成され、この内側層が外側層に着脱自在に配設されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、集塵容器の外側層が硬質材料から形成され、内側層が軟質材料から形成されているので、この集塵容器内に吸い込まれた硬い物質の塵埃が集塵容器の内壁に沿って流れても、その衝撃力が軟質材料からなる内側層に吸収されて摩擦音が生じずに騒音の発生が抑制される。また、粒子の大きい砂等の塵埃を吸い込んでも外側層に直接塵埃が接触せず、集塵容器の内壁が傷つけられることが防止される。
【0010】
また、内側層が吸水性を有する材料から形成されているので、被清掃面上にある液体を吸い込んだ場合でも集塵容器の内部に入ったらすぐに内側層に吸収され、電動送風機の駆動モータにまで液体が吸い込まれず、駆動モータの故障が防止される。
さらに、内側層が外側層に対して着脱自在に配設されているので、外側層と内側層とを分離させて集塵容器の洗浄が簡単に行うことができる上、内側層又は外側層のみの交換も可能となる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電気掃除機において、内側層の内側には摩擦抵抗の小さい薄膜からなる低摩擦層が積層されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加え、内側層の内側に摩擦抵抗の少ない低摩擦層が積層されているので、集塵容器内に渦を巻きながら吸い込まれた塵埃が、この集塵容器の内壁に引っ掛かることなく捕集され、集塵容器内の底部に堆積させることができる。また、この低摩擦層は薄膜であるので、塵埃が集塵容器の内壁に沿って流れる際の衝撃力を内側層にそのまま吸収させることができ、摩擦音を生じさせず騒音を抑えることも可能となる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の電気掃除機において、低摩擦層には多数の通水孔が形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項2の効果に加え、低摩擦層に多数の通水孔が形成されているので、被清掃面上にある液体を吸い込んだ場合であっても、集塵容器内に吸い込まれた液体は、通水孔を介してすぐに内側層に吸収され、電動送風機の駆動モータにまで液体が吸い込まれずに駆動モータの故障を防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1及び図2に示すサイクロン式電気掃除機1は掃除機本体2を備えており、この掃除機本体2の後部内には電動送風機3(図4参照)が内蔵されている。掃除機本体2の前部には上方開放型の集塵容器4が着脱自在に載置され、その上端部には集塵フィルタ4aが装着されている。また、掃除機本体2の上面は図1に示したように蓋体5により覆われている。この蓋体5は、後部が図示しないヒンジによりヒンジ結合されていて、図2に示すように上方向に開くようになっている。
【0019】
蓋体5の前端部にはホース接続口6aを有する接続パイプ6が設けられている。そして、蓋体5の内側には、接続パイプ6に連通するとともに蓋体5を閉じたときに下方に向けて開口する開口7aと、前後に伸びる案内風路7Aとが形成されている。この案内風路7Aの前後端には、蓋体5を閉じたときに下方に向けて開口する開口7b、7cが形成されている。また、開口7cは、蓋体5を閉じたときに、掃除機本体2に設けられた吸気口8に対向する。さらに、この吸気口8は電動送風機3の吸引口(図示せず)と連通している。
【0020】
これにより、電動送風機3により発生する吸込負圧は、吸気口8、案内風路7A及び集塵フィルタ4aを介して集塵容器4内に作用し、集塵容器4内の空気が吸引されるようになっている。なお、9は電動送風機3から排出される空気を排気する排気口である。
【0021】
掃除機本体2の上面の左右部分には、方形状の一対の突出部10、10が設けられており、この突出部10、10の外側には凹部10a、(他方図示せず)が設けられている。一方、蓋体5の前後方向に対する中間位置の両側には一対の係止爪10b、10bが設けられており、蓋体5を閉めると係止爪10b,10bが突出部10、10の凹部10a、(他方図示せず)に係止して蓋体5は掃除機本体3にロックされるようになっている。このロックの解除は、蓋体5のホース接続口6aの後方に設けられた解除ボタン10cを押すことにより行えるようになっている。
【0022】
蓋体5が掃除機本体2にロックされると、掃除機本体2と蓋体5とによって集塵容器4が上下方向から挟み込まれて固定するようになっている。
【0023】
<集塵容器4>
この集塵容器4は、図3に示すように上方が開口した円筒形状に形成され、積層された複数層を有する。すなわち、この層は、外郭側から順に嵌着積層した有底筒状の第一層(外側層)21、有底筒状の第二層(内側層)22、有底筒状の第三層(低摩擦層)を備えている。
【0024】
この第一層21は、硬質材料、例えばプラスチック等により形成され、集塵容器4の外郭を形成している。また、第一層21の外壁に把持部4b(図1参照)を一体に形成しても良い。
【0025】
第一層21の内壁21aには、軟質材料から形成されている第二層22が嵌着されている。この第二層22は、軟質であると共に吸水性を有する材料、例えばウレタン、スポンジ、紙、高分子吸収体等から形成されている。第二層22には、第一層21の内壁21aに隙間なく密着させるため適宜切り込み等が形成されている。また、第二層22は、第一層21の内壁21aから着脱自在に形成されている。
【0026】
さらに、この第二層22の内壁22aには、摩擦抵抗の少ない薄膜からなる第三層23が積層されている。ここでは、第二層22と第三層23とが接着又は熱溶着等により一体に形成されている。また、この第三層23には多数の通水孔24が形成されている。
【0027】
以下に、このサイクロン式電気掃除機1の作用について説明する。
【0028】
このサイクロン式電気掃除機1を使用して掃除を行うには、まず掃除機本体2等に設けられた図示しないスイッチを入れて電動送風機3を稼動させて吸込負圧を発生させ、この吸込負圧を図示しない吸込口体に作用させて被清掃面の掃除を行う。
【0029】
このとき、サイクロン式電気掃除機1の図示しない吸込口体には、塵埃がエアとともに吸い込まれる。この吸い込まれた塵埃及びエアは、図示しない延長管を介して図4に示すように、まずホース接続口6aから掃除機本体2内に入り、接続パイプ6を介して開口7aを通過する。そしてこのエアは、開口7a及び集塵フィルタ4aのエア吸込筒部4cを通って集塵容器4の内部に流入する。
【0030】
このとき塵埃を含んだエアは、図5に示すように、エア吸込筒部4cの下端の開口から突出して設けられたエアガイド4dに案内されて、集塵容器4の内周壁23aである第三層23に沿って渦流を発生させる。
【0031】
この渦流によって塵埃の大半は、第三層23に沿って下方に流れながら、自重によりエアから分離して集塵容器4の底部に堆積させられる。このとき、第三層23は摩擦抵抗が少ないので、集塵容器4に流入した塵埃が、この集塵容器4の内周壁23aに引っ掛かることなく底部に堆積する。
【0032】
そして、塵埃が分離されたエアは、集塵容器4の上方から排出されて集塵フィルタ4aを通過し、集塵フィルタ4aに対向している開口7bに向かう。さらにこのエアは、開口7bから延びている案内風路7A及び開口7cを介して吸気口8に吸い込まれる。吸気口8に吸気されたエアは、電動送風機3の吸気風路(図示せず)を介して電動送風機3内に吸気された後に電動送風機3の図示しない排気口から排気され、図示しない排気風路を介して排気口9から外へ排気されていく。
【0033】
ここで、集塵容器4の内部にエアと共に流入した塵埃は、第三層23の内側に接触しながら流れて、第一層21の内壁面21aに直接接触することはない。さらに、この第三層23に塵埃が接触するときの衝撃力は、薄膜から形成された第三層23を介して軟質部材である第二層22に吸収され、集塵容器4の内周壁23aに傷がつくことも防止される。
【0034】
また、この塵埃が流れていく方向が集塵容器4の内周壁23aに沿って渦流により周方向に変更させられる際に、この変更に伴う衝撃力が集塵容器4の内周壁23aに作用する。しかし、このときの衝撃力も薄膜によって形成された第三層23を介して第二層22により吸収され、塵埃と内周壁23aとの間に摩擦音が生じることが抑えられる。したがって、塵埃が集塵容器4に吸い込まれた際に生じる騒音を発生することが防止される。
【0035】
さらに、被清掃面上に水等の液体があった場合において、集塵容器4内にエアとともに液体が吸い込まれても、その液体は集塵容器4の内周壁23aに形成された通水孔24を介して第二層22により吸収される。したがって、液体が電動送風機3内の駆動モータ(図示せず)にまで入り込むことが防止され、駆動モータの故障を防ぐことができる。
【0036】
また、この集塵容器の内側が塵埃等で汚れても、第二層22及びその第二層22に一体に積層された第三層23を、第一層21から外して別々に洗浄したり、新しいものと交換したりすることが簡単にでき、清潔な状態に保持することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に係る発明よれば、集塵容器内に渦流になったエアと共に吸い込まれた硬い物質の塵埃が集塵容器の内壁に沿って流れても、その衝撃力が軟質材料からなる内側層に吸収されて摩擦音が生じずに騒音の発生が抑制される。また、外側層に塵埃が直接接触せず、集塵容器の内壁が傷つけられることが防止される。
【0038】
したがって、集塵容器に渦流となって吸い込まれた塵埃が集塵容器の内壁に沿って流れる際に発生する騒音を抑えると共に、その内壁が塵埃によって傷つくことを防止するサイクロン式電気掃除機を提供することができる。
【0039】
また、被清掃面上にある液体を集塵容器内に吸い込んだとしても、液体は内側層にすぐに吸収されて電動送風機の駆動モータにまで液体が吸い込まれず、駆動モータの故障が防止される。
さらに、集塵容器の洗浄を行う際に外側層と内側層とを分離させ、この集塵容器の洗浄が簡単に行うことができる上、内側層又は外側層のみの交換も可能となる。
【0040】
請求項2に係る発明によれば、請求項1の効果に加え、集塵容器内に渦を巻きながら吸い込まれた塵埃が、この集塵容器の内壁に引っ掛かることなく捕集され、集塵容器内の底部に堆積させることができる。また、この低摩擦層は薄膜であるので、塵埃が集塵容器の内壁に沿って流れる際の衝撃を内側層に吸収させることができて、摩擦音を生じさせず、騒音を抑えることも可能となる。
【0041】
請求項3に係る発明によれば、請求項2の効果に加え、被清掃面上にある液体を吸い込んだ場合であっても、低摩擦層に形成された通水孔を介して、集塵容器内に吸い込まれた液体をすぐに内側層に吸い込ませることができ、駆動モータの故障を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るサイクロン式電気掃除機の全体斜視図である。
【図2】本発明に係るサイクロン式電気掃除機の蓋体を開いた場合の全体斜視図である。
【図3】本発明に係るサイクロン式電気掃除機に載置される集塵容器の破断斜視図である。
【図4】本発明に係るサイクロン式電気掃除機の内部を流れるエアを示した説明図である。
【図5】本発明に係るサイクロン式電気掃除機に載置される集塵容器内を流れるエアを示した説明図である。
【符号の説明】
1 サイクロン式電気掃除機
4 集塵容器
21 外側層(第一層)
22 内側層(第二層)
23 低摩擦層(第三層)
24 通水孔

Claims (3)

  1. 吸い込まれた塵埃を捕集する集塵容器を有し、該集塵容器内に吸い込まれたエアの流れが渦流になるサイクロン式電気掃除機において、
    前記集塵容器は積層された複数層から構成されていると共に、前記複数層のうち外側層が硬質材料から形成され、該外側層の内側に設けられ且つ吸水性を有する材料から形成されて吸い込まれたエアが沿って流れる内側層が軟質材料から形成され、この内側層が前記外側層に着脱自在に配設されていることを特徴とするサイクロン式電気掃除機。
  2. 請求項1において、前記内側層の内側には摩擦抵抗の小さい薄膜からなる低摩擦層が積層されていることを特徴とするサイクロン式電気掃除機。
  3. 請求項2において、前記低摩擦層には多数の通水孔が形成されていることを特徴とするサイクロン式電気掃除機。
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