JP3961980B2 - 釣竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に釣竿は、複数の竿管を軸方向に継合して構成されており、この継合する方式として、いわゆる振出し式、或いは並継ぎ式が知られている。また、釣竿の仕舞い寸法が短くなるように、リールが装着されて握持される部分(ハンドル、手元グリップとも称される)を、それより先の竿管に対して分離できるようにした方式(追継ぎ方式)も知られている。
【0003】
通常、上記した釣竿を構成する竿管は、芯金に対して、強化繊維に合成樹脂を含浸させたシート(プリプレグ)を巻回し、これを加熱した後、脱芯することで成形されている。この場合、プリプレグは、ガラス繊維、カーボン繊維等の強化繊維を一方向に引き揃えたもの、繊維の配向が異なるシートを重ねたもの、織布状にしたもの等、釣竿の用途、節位置等に応じて様々な構成のものが用いられている。
【0004】
そして、通常、竿管同士の継合部分は、割れ等が生じ易いために、例えば、特許文献1にあるように、芯金に対してプリプレグを巻回する際、補強用のプリプレグを巻回することが行なわれている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−299157号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
通常、補強用プリプレグは、外面が面一状に形成されたテーパを有する芯金に巻回されることから、成形後の竿管の外周は、補強用プリプレグの部分が必然的に外部に膨出した状態となっている。このため、このような膨出部分によって、竿管本体を構成している本体プリプレグは、膨出する部分の境界部分で皺が生じたり繊維が蛇行する等、強度低下が生じてしまう。また、竿管外周の一部が膨出すると、各種のパーツを装着する際、装着し難かったり装着強度が低下する等の問題が生じる。具体的には、例えば、追継ぎ式の釣竿のハンドル部分では、竿管先端領域にリールシート、及びグリップを装着することから、竿管の外周面が膨出していると、これらパーツが装着し難くなり、また、その膨出部によりクリアランスが生じて装着強度が低下する等の問題が生じる。
【0007】
この発明は、上記した問題に基づいてなされたものであり、竿管同士の継合部分の強度低下を防止すると共に、その領域の外周面を面一状に形成した釣竿を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明に係る釣竿は、プリプレグを巻回して成形された竿管を複数本、軸方向に継合して構成されており、前記複数の竿管の内、リールシート、及びグリップを有する竿管の先端側に形成される継合部には、外周面が略面一で内周に向けて膨出する補強部が形成されており、前記補強部の後端は、前記リールシートの範囲内に位置していることを特徴とする。
【0009】
上記した構成によれば、補強部領域において、竿管の端部が外方に向けて膨出するようなことが無いため、竿管本体を構成する本体プリプレグの補強部との境界部分に皺が生じたり、繊維が蛇行するようなことがなく、強度低下が防止される。この場合、外周面が「略面一」の状態とは、竿管全体を見たときに、補強用プリプレグの肉厚に基づく膨出がない状態を意味する。また、上記した継合部分の構成は、特に限定されることは無く、振出し式、並継ぎ式であっても良い。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態を示す図であり、振出し式に構成された釣竿の全体構成を示す図である。この実施形態に係る釣竿1は、1番節(トップ)1a、2番節1b、3番節1c、4番節1dを備えており、これらは、振出し式に構成されると共に、各節を構成する管状体(竿管)は、強化繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグ(FRP)を芯金に対して巻回し、その後、常法に従って、加熱工程、脱芯工程等を経ることで成形されている。各節には、釣糸を案内する遊動ガイド2が装着されると共に、1番節1aの先端にはトップガイド3が、また、4番節1dには、固定両脚ガイド4が装着されている。また、4番節の基端部には、4番節に対して着脱可能となるようにハンドル(手元グリップ)10が継合されている。
【0013】
ハンドル10は、図2に示すように、上記した各節と同様に成形された竿管11と、この竿管11の外周に装着されるリアグリップ12、フォアグリップ13と、各グリップ間に配設されたリールシート15とを備えて構成されており、矢印方向から4番節の基端部が挿入されるようになっている。
【0014】
前記リアグリップ12及びフォアグリップ13は、握持、保持し易い材料、例えばコルク、EVA、発泡材等によって形成されており、これらの材料で所定形状に成形された部材を接着固定、或いは糸巻きやゴムチューブ等を用いて竿管11を囲繞するように嵌着したり、或いはこれらの材料を、竿管11を囲繞するようにインジェクション成形することで竿管11に固着されている。また、前記リールシート15は、リール脚載置面16aを有する本体16を備えており、この本体16も同様に竿管11を囲繞するように嵌着されている。
【0015】
本体16には、リール脚載置面16aの前方側に、固定フード17が設けられており、また、リール脚載置面16aの後方側の外周面に雄ネジ部16bを形成して、軸方向に移動可能な移動フード18を螺合させている。なお、リールシートの構成については、特に限定されることは無く、固定フードを後方側に配置して、移動フードを前方側に配置した構成であっても良いし、或いは、リール脚を固定する方式は、捩じ込み式に限られず、レバーを倒伏操作する方式であっても良い。
【0016】
上記した竿管11は、図3に示すように、芯金20に対して、強化繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグを巻回し、その後、常法に従って、加熱工程、脱芯工程等を経ることで成形される。この場合、竿管11は、その全体を構成する本体プリプレグ30と、4番節が継合される先端側を補強する補強用プリプレグ40によって構成されており、本体プリプレグ30は、強化繊維を周方向に引き揃えた周方向プリプレグ31(最内層)、強化繊維を軸長方向に引き揃えた軸長方向プリプレグ32(中間層)、及び強化繊維を周方向に引き揃えた周方向プリプレグ33(最外層)によって構成されている。また、補強用プリプレグ40は、周方向プリプレグ31の内側に所定の軸方向長さ分巻回され、強化繊維を斜め方向(略+45°)に引き揃えた第1斜方向プリプレグ41と、強化繊維を斜め方向(略−45°)に引き揃えた第2斜方向プリプレグ42とを重ねて構成されている。なお、図2において、本体プリプレグ30によって形成される本体部を符号35で示し、補強用プリプレグ40によって形成される補強部を符号45で示す。
【0017】
前記芯金20には、補強用プリプレグ40が巻回される部分に対応して、小径部21が形成されている(本体プリプレグ30のみが巻回される部分は大径部22であり、小径部21と大径部22との境界は段部になっている)。この小径部21は、図4に示すように、補強用プリプレグ40を巻回した状態でその表面が芯金20の表面と略面一となるように形成されており、この上から本体プリプレグ30を巻回した際に、補強用プリプレグの肉厚によってその部分が外方に膨出しないように設定されている。これによって、成形される竿管11の外表面は、図2に示すように、略フラット状態になると共に、4番節との継合部(4番節の基端部が嵌入される部分)は、本体よりも肉厚で内側に膨出した状態となる。
【0018】
上記したように、竿管11の外表面が略フラットに形成されていることから、各種のパーツ(フォアグリップ13、リールシート15)を固定(接着等)する際、クリアランスを必要最小限に設定することができ、軽量化と同時に固定力を強固に維持でき、装着曲がりや偏心を発生し難くすることができる。また、補強用プリプレグの肉厚による外方への膨出がなくなることから、膨出部近傍における強化繊維の蛇行、皺の発生が防止され、強度低下を効果的に防止することができる。
【0019】
そして、追継ぎ方式のハンドル10に、上記したような竿管内側に膨出する補強部45を形成する構成においては、補強部45と本体部35の境界となる段部Pは、リールシート15の範囲内に位置するように形成することが好ましい。通常、このような段部Pには、応力が集中し、竿管を破損する等の原因になるが、このような応力集中部分を曲がり等が発生し難いリールシート15の範囲内にすることで、破損等を効果的に防止することができる。或いは、図に示すような直角状の段部Pを形成する変わりに、応力が集中し難いように、テーパ状に肉厚が変化するように構成しても良い。このような形状は、芯金20の小径部21と、それより基端側の大径部22との間を滑らかなテーパで連続しておくことで形成することが可能である。
【0020】
上記した構成において、リール脚載置面16a部分が肉厚であれば、リールをセットし、移動フード18を締め込んでも、竿管が変形し難く、竿管破損を防止することができる。また、リールシートの内、少なくともリール脚載置面16a部分は上記した補強部45上に位置していることが好ましい。通常、リール脚載置面部分にはリールの圧迫による荷重が加わるが、この部分に補強部45が位置することで、変形や潰れを効果的に防止することができる。また、ハンドル10が追継ぎ方式ではなく、振出し式に構成されている場合は、変形等によって収納節が引っ掛かることを防止でき、スムーズな出し入れが可能となる。
【0021】
上記したように成形される竿管は、釣竿の用いられる位置に応じて適宜変形することが可能である。例えば、芯金に対して巻回される本体プリプレグや補強用プリプレグの構成(強化繊維の種類、引き揃え方向、樹脂含浸量、肉厚等)や、各プリプレグの巻回数、巻回方法(複数のプリプレグを予め接着しておく等)、補強用プリプレグの軸方向長さ等は、適宜変形することが可能である。例えば、図2に示す追継ぎ方式のハンドル10は、補強部の肉厚は0.8mm程度で長さが160mm程度、それ以外の本体の肉厚は0.65mm程度になるように形成されている。
【0022】
なお、並継ぎ式の竿管を成形する場合と、振出し式の竿管を成形する場合とでは、芯金に形成される小径部の構成、及び補強部の巻回方法は異なる。並継ぎ式の竿管の場合、例えば、図5に示すように、芯金20の小径部21は略ストレートに延出しており、ここに、大径部22との間で段差が生じること無く、かつ補強用プリプレグ40が均一厚さに巻回される。また、振出し式の竿管の場合、例えば、図6に示すように、芯金20の小径部21は、先細テーパ状に延出しており、ここに、大径部22との間で段差が生じること無く、かつ補強用プリプレグ40が、先端に行くに従って厚肉となるように巻回される(補強用プリプレグは均一厚さに巻回されても良い)。
【0023】
以上、本発明の実施形態を、釣糸ガイドが装着された釣竿を例示して説明したが、本発明は、中通し式の釣竿にも適用することが可能である。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、竿管同士の継合部分の強度低下が防止されると共に、その領域の外周面が面一状に形成された釣竿が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る釣竿の一例を示す全体構成図。
【図2】図1に示す釣竿のハンドル部分の拡大断面図。
【図3】ハンドル部分の竿管を構成するプリプレグの構成例を示す図。
【図4】補強用プリプレグと芯金の小径部との関係を示す図。
【図5】並継ぎ式の竿管を成形する場合の、芯金に形成される小径部と補強用プリプレグの関係を示す図。
【図6】振出し式の竿管を成形する場合の、芯金に形成される小径部と補強用プリプレグの関係を示す図。
【符号の説明】
1 釣竿
10 ハンドル
11 竿管
15 リールシート
20 芯金
21 小径部
22 大径部
30 本体プリプレグ
35 本体部
40 補強用プリプレグ
45 補強部
Claims (2)
- プリプレグを巻回して成形された竿管を複数本、軸方向に継合して構成される釣竿において、
前記複数の竿管の内、リールシート、及びグリップを有する竿管の先端側に形成される継合部には、外周面が略面一で内周に向けて膨出する補強部が形成されており、
前記補強部の後端は、前記リールシートの範囲内に位置していることを特徴とする釣竿。 - 前記リールシートのリール脚載置面は、前記補強部上に位置していることを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
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