JP3961134B2 - 液晶駆動基板の検査装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネルに用いられる液晶駆動基板の検査装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、液晶表示パネルは、液晶に電界を加える液晶駆動基板に液晶が封入されたガラス板を対向配置したものである。この液晶表示パネルは、液晶駆動基板の画素電極に加えるデータ電圧を制御して液晶に加える電界を調節し、この電界調節によって液晶の光透過率をコントロールして画像を表示するものである。このような液晶表示パネルに用いられる液晶駆動基板は、ガラス板上に行列状態に設けられた複数の画素電極を備え、これら画素電極に加える電圧をTFT等のスイッチング素子を用いてコントロールするものである。
【0003】
上記液晶駆動基板の作動を検査する検査装置としては、例えば特開平5−256794号公報に記載された電気光学素子板(モジュレータと称する)を用いるものがある。
【0004】
図6は、このような検査装置の構成例を示す概要図である。この図において、符号Bはモジュレータである。このモジュレータBは、内部に液晶が封入された液晶シートb1の片面に薄膜透明電極b2を貼り合わせ、またもう一方の面にモジュレータBに照射された光を反射する誘電体反射膜b3を蒸着または貼り合わせて構成される。このようなモジュレータBは、図示しない検査装置本体に固定され、また液晶駆動基板AはモジュレータBに微小ギャップ(10μm〜数10μm)を隔てて対向配置される。液晶駆動基板Aは、ガラス基板a1上に多数の画素電極a2が行列状に設けられ、これら各画素電極a2への電圧の印加がTFT(薄膜トランジスタ:図示略)等のスイッチング素子によって制御されるようになっている。
【0005】
そして、モジュレータBの薄膜透明電極b2及び液晶駆動基板Aの各TFTのゲート電極とソース電極には、電圧印加装置Cによって液晶駆動基板Aの動作を検査するために必要な所定電圧が印加され、さらにモジュレータBの表面には光源D(LED等)によって光が照射される。この状態において、CCDカメラEは、モジュレータBの表面からの反射光によってモジュレータBの表面の模様を画像として捉える。
【0006】
ここで、液晶駆動基板Aは微小間隔をおいてモジュレータBに対向して配置されているので、液晶シートb1内に封入された液晶は、薄膜透明電極b2と液晶駆動基板Aの各画素電極a2との間に発生する電界の影響を受けて分子の配向状態が変化することになる。この結果、該液晶の分子配向の状態に応じて液晶シートb1の光透過率が調節され、よってモジュレータBに照射された光の反射率が変化することになる。
【0007】
この結果、CCDカメラEによって捉えられるモジュレータBの表面画像は、液晶駆動基板Aの各画素電極a2に印加された電圧を反映させた輝度の画像(電圧イメージ画像)となる。画像処理装置Fは、この電圧イメージ画像に一定の画像処理を施すことによって正常な電圧が印加されていない画素電極a2(欠陥画素)を特定し、例えばその欠陥数等に基づいて液晶駆動基板Aの良否を検査する。そして、この検査結果は、モニタGに送られて表示される。
【0008】
ところで、上記画像を得る場合に薄膜透明電極b2には、モジュレータBの電気光学特性を考慮して一定パターンのバイアス電圧が印加される。図7は、モジュレータBの電気光学特性の一例を示すものであり、この電気光学特性つまりモジュレータBへの印加電圧に対する反射光量の関係は、図示するように非線形特性を有する。
【0009】
また、図8は、このような電気光学特性を有するモジュレータBを用いた液晶駆動基板Aの検査の際に印加されるバイアス電圧とデータ電圧の波形を示すものである。この図に示すように、従来の検査では、例えば±230Vp-pの両極性方形波をバイアス電圧として薄膜透明電極b2に印加し、該バイアス電圧が正極性の期間について所定電圧のデータ電圧を各画素電極a2に印加していた。
【0010】
そして、できるだけ精度良く画素電極a2の電圧イメージを得るために、モジュレータBの表面画像を、例えばAフレーム〜Dフレームまで合計4フレーム撮影し、これら各フレームの画像を加算することによって被検画像(最終的な電圧イメージ画像)としている。そして、この被検画像を画像処理することによって画素電極a2の電圧印加異常等を検出し、液晶駆動基板Aの動作異常を検査していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記バイアス電圧の周波数は、CCDカメラEのフレーム周波数に合わせて、例えば33.3msに設定されている。したがって、バイアス電圧が正極性である期間つまり約16msの間に、データ電圧をTFTのソース電極に印加して各画素電極a2にデータ電圧を書き込み、該データ電圧の書き込みによってモジュレータBの反射光量が十分に飽和して安定した状態でモジュレータBの表面の画像を取得しなければならない。
【0012】
しかし、全画素に信号を書き込むための時間が10数ms必要な液晶駆動基板の場合は、画素への信号の書き込みが完了してからモジュレータBの表面の画像を取得するまでの時間が数msしか残されていない。したがって、このような液晶駆動基板の場合、上記16msの時間は、液晶シートb1の液晶の応答遅れの影響によって、モジュレータBからの反射光量が安定するために必要な十分な時間ではなく、よってデータ電圧の書き込み時間を従来よりも長くしたいという要求があったが、この場合、バイアス電圧の周波数は、従来の2倍つまり66.6msとなるため検査のスループットが低下するという問題点がある。
【0013】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、スループットの低下を来すことなく、データ電圧の十分な書き込み時間を確保することが可能な液晶駆動基板の検査装置及び方法の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、液晶駆動基板の検査装置に係わる第1の手段として、一面に透明電極が備えられ、画素電極が行列状に多数設けられた液晶駆動基板に対向配置された電気光学素子板と、前記透明電極に撮像手段のフレーム周波数に同期した両極性のバイアス電圧を印加すると共に、画素電極にはバイアス電圧の各極性毎にデータ電圧を印加する電源装置と、バイアス電圧とデータ電圧とが印加された状態で、電気光学素子板の表面の画像を撮像する撮像手段と、バイアス電圧の各々の極性期間における複数フレームに亘る画像を加算して被検画像を生成し、該被検画像を画像処理して画素電極の異常箇所を識別して検査結果を出力する画像処理装置とを具備する手段を採用する。
【0015】
また、液晶駆動基板の検査装置に係わる第2の手段として、上記第1の手段において、バイアス電圧の周波数を撮像手段のフレーム周波数の1/2に設定するという手段を採用する。
【0016】
液晶駆動基板の検査装置に係わる第3の手段として、上記第2の手段において、データ電圧をバイアス電圧の半周期毎に異なる電圧値とし、画像処理装置は、連続する4フレームの画像をバイアス電圧の各極性における電気光学素子板の電気光学特性の差を打ち消すように加算して被検画像を生成するという手段を採用する。
【0017】
液晶駆動基板の検査装置に係わる第4の手段として、上記第3の手段において、連続する4フレームの画像をA〜Dとした場合に、演算式(A+B−C−D)に基づいて被検画像Rを生成するように画像処理装置を構成するという手段を採用する。
【0018】
液晶駆動基板の検査装置に係わる第5の手段として、 上記第3の手段において、連続する4フレームの画像をA〜Dとした場合に、演算式(A−B−C+D)に基づいて被検画像Rを生成するように画像処理装置を構成するという手段を採用する。
【0019】
液晶駆動基板の検査装置に係わる第6の手段として、 上記第4の手段において、データ電圧を画像A,Dの撮像時には第1の電圧値Vhiとし、画像B,Cの撮像時には第2の電圧値Vloに設定するように電源装置を構成するという手段を採用する。
【0020】
液晶駆動基板の検査装置に係わる第7の手段として、 上記第5の手段において、データ電圧を画像A,Bの撮像時には第1の電圧値Vhiに設定し、画像C,Dについては第2の電圧値Vloに設定するように電源装置を構成するという手段を採用する。
【0021】
一方、本発明では、液晶駆動基板の検査方法に係わる第1の手段として、一面に透明電極が備えられた電気光学素子板を画素電極が行列状に多数設けられた液晶駆動基板に対向配置し、透明電極に撮像手段のフレーム周波数に同期した両極性のバイアス電圧また画素電極にはバイアス電圧に同期したデータ電圧を印加し、複数フレームに亘って撮像手段で撮影された電気光学素子板表面の画像を加算して被検画像を生成し、該被検画像に基づいて画素電極の異常箇所を識別する液晶駆動基板の検査方法において、バイアス電圧の各々の極性期間毎にデータ電圧を印加し、これら各極性期間に得られた前記画像から被検画像を生成するという手段を採用する。
【0022】
また、液晶駆動基板の検査方法に係わる第2の手段として、上記第1の手段において、バイアス電圧の周波数を撮像手段のフレーム周波数の1/2とするという手段を採用する。
【0023】
液晶駆動基板の検査方法に係わる第3の手段として、上記第2の手段において、データ電圧をバイアス電圧の半周期毎に異なる電圧値とし、連続する4フレームの画像をバイアス電圧の各極性における電気光学素子板の電気光学特性の差を打ち消すように加算して被検画像を生成するという手段を採用する。
【0024】
液晶駆動基板の検査方法に係わる第4の手段として、上記第3の手段において、連続する4フレームの画像をA〜Dとした場合に、演算式(A+B−C−D)に基づいて被検画像Rを生成するという手段を採用する。
【0025】
液晶駆動基板の検査方法に係わる第5の手段として、上記第3の手段において、連続する4フレームの画像をA〜Dとした場合に、演算式(A−B−C+D)に基づいて被検画像Rを生成するという手段を採用する。
【0026】
液晶駆動基板の検査方法に係わる第6の手段として、上記第4の手段において、データ電圧を、画像A,Dについては第1の電圧値Vhiとし、画像B,Cについては第2の電圧値Vloとするという手段を採用する。
【0027】
液晶駆動基板の検査方法に係わる第7の手段として、上記第5の手段において、データ電圧を、画像A,Bについては第1の電圧値Vhiとし、画像C,Dについては第2の電圧値Vloとするという手段を採用する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係わる液晶駆動基板の検査装置及び方法の一実施形態について説明する。なお、上述した図面について既に説明した部材については、同一符号を付すと共にその説明を省略する。
【0029】
図1は、本実施形態における上記検査装置の構成図である。この図において、符号1は電気光学素子板(モジュレータ)であって、内部に液晶が封入された液晶シート1aと薄膜透明電極1bと誘電体反射膜1cとから構成されている。このモジュレータ1は、例えば方形状(40mm×40mm)の液晶シート1aの片面に薄膜透明電極1bを貼り合わせ、かつもう一方の面に誘電体反射膜1cを蒸着または貼り合わせて構成されている。
【0030】
このモジュレータ1は、その面が水平かつ誘電体反射膜1cが下向きとなるように図示しない検査装置本体に固定され、その下方には微小ギャップ△d(10μm〜数10μm)を隔てて上述した液晶駆動基板Aが対向配置されるようになっている。
【0031】
符号2はX−Yステージであり、図示しない制御装置による制御の下に、水平面内で液晶駆動基板Aを移動させるものである。液晶駆動基板Aが比較的大型の場合には、液晶駆動基板Aの面積がモジュレータ1よりも大きくなるので、すべての画素電極a2をモジュレータ1と対向させることができない。そこで、液晶駆動基板AをX−Yステージ2上に載置し、該X−Yステージ2を作動させることによって液晶駆動基板Aが水平面内で移動され、すべての画素電極a2がモジュレータ1と対向し得るようにしている。
【0032】
符号3はビームスプリッタ、4は光源である。ビームスプリッタ3は、モジュレータ1の上方に対向状態に備えられ、その側方に備えられた光源4から照射された光を反射してモジュレータ1の全面に照射する。また、このビームスプリッタ3は、モジュレータ1からの反射光を上方に透過させる作用を持つものである。ここで、光源4は、例えばLED(Light-Emitting Diode)等の高輝度の光を放射するものが適用され、図示しない制御装置によってストロボ状にその発光が制御されるものである。
【0033】
符号5はフィルタ(光学フィルタ)であり、上記ビームスプリッタ3の上方に備えられ、該ビームスプリッタ3を透過したモジュレータ1の反射光から特定波長範囲の光のみをレンズ6に透過するものである。レンズ6は凸レンズであり、フィルタ5を透過した光を集光させてCCDカメラ7に導くものである。
【0034】
CCDカメラ7は、レンズ6から入射された光に基づいて上記モジュレータ1の表面の画像を撮像するものである。このCCDカメラ7は、例えば撮像時のフレーム周波数が30Hz(周期:33.3ms)、空間分解能が2.8CCD/100μm、画素数が1024kの性能を有し、撮像した電圧イメージ画像をデジタル映像信号として画像処理装置8に出力する。なお、上記液晶駆動基板Aの画素電極a2のピッチは、例えば100μm程度であり、上記CCDカメラ7の分解能は、この画素電極a2のピッチに対して十分な性能を有している。
【0035】
画像処理装置8は、CCDカメラ7から入力されたデジタル映像信号に所定の画像処理を施すことによって、上記電圧イメージ画像から液晶駆動基板Aの欠陥部分(正常にデータ電圧が印加されていない、または印加されたデータ電圧が正常に保持されない画素電極a2)を検出し、その結果をモニタ9に出力する。例えば、画像処理装置8は、欠陥部分と正常部分とを色分けしてモニタ9に表示させたり、欠陥部分の個数を数値表示させるための映像信号をモニタに出力する。なお、この画像処理装置8における処理については、以下に詳述する。
【0036】
また、符号10は電源装置であって、モジュレータ1の薄膜透明電極1bにバイアス電圧EBを印加すると共に、液晶駆動基板Aにデータ電圧EDを印加するためのものである。バイアス電圧EBは、上記CCDカメラ7のフレーム周波数30Hz(周期:33.3ms)の1/2つまり周波数15Hz(周期:66.6ms)で±230Vp-pの両極性方形波である。一方、データ電圧EDは、上記TFTのソース端子に加えられて該TFTが導通状態となったときに画素電極a2に印加されるものであり、上記バイアス電圧EBに同期して所定電圧Eaから±△eだけ方形波状に変化するものである。
【0037】
なお、図示しないが、液晶駆動基板AにはTFTの導通/遮断状態を制御するためのゲート電圧も電源装置10から供給されるようになっている。この電源装置10は、図示しない制御装置による制御の下、上記バイアス電圧EBとデータ電圧EDとを出力する。
【0038】
次に、このように構成された液晶駆動基板の検査装置の動作について詳しく説明する。
【0039】
本実施形態において、画像処理装置8は、上記図2に示すようにモジュレータ1表面に係わるAフレーム〜Dフレームまでの連続4フレームの電圧イメージ画像を加算することによって、画像処理の対象とする被検画像を生成する。
【0040】
この際、上記バイアス電圧EBは、例えばAフレーム及びCフレームの撮像期間においては正極性、またBフレーム及びDフレームの撮像期間においては負極性とされ、また各フレームのデータ電圧EDは全て異なる値とされる。例えば、図2に示すように、データ電圧EDは、Aフレームでは所定電圧Eaに対して電圧△eaを加算した値、Bフレームでは所定電圧Eaに対して電圧△ebを加算した値、Cフレームでは所定電圧Eaに対して電圧△ecを減算した値、Dフレームでは所定電圧Eaに対して電圧△edを減算した値とされる。
【0041】
すなわち、図8に示した従来の電圧印加パターンと比較すると判るように、本実施形態ではバイアス電圧EBの負極性期間をも利用してバイアス電圧EBの負極性期間及び正極性期間を2倍(約16.6ms→33.3ms)とすることによって、従来と同様に4フレームの期間つまりスループットを低下させることなく、各フレームにおけるデータ電圧EDの印加時間を原理的に2倍長くすることができる。
【0042】
このようにバイアス電圧EBとデータ電圧EDとがそれぞれ印加された状態において、ゲート電圧が印加されて各TFTが導通状態とされてデータ電圧EDが画素電極a2に印加される。そして、画素電極a2の電圧が十分に飽和して安定した状態において、光源4からストロボ状に光が出射され、ビームスプリッタ3を介してモジュレータ1に照射される。
【0043】
そして、上記バイアス電圧EB及び画素電極a2へのデータ電圧EDの印加状態に応じてモジュレータ1の液晶シート1aに加えられる電界の強度が決まり、この電界強度に応じて液晶シート1aの光反射率が操作されるので、モジュレータ1において反されれる反射光の光量(反射光量)が変わる。すなわち、CCDカメラ7に入射する光は、モジュレータ1に照射された光がバイアス電圧EB及び各画素電極a2に実際に印加された電圧によって強度変調された反射光となる。
【0044】
しかし、実際には、モジュレータ1の液晶シート1aの電荷移動等の影響により、モジュレータ1の液晶シート1aの内部に印加される実質的な電界が変化する。これは、同じバイアス電圧EB、同じデータ電圧EDを印加して液晶シート1aの両面に印加される電圧が一定であっても、時間の経過とともに液晶シート1aの内部に実質的に加えられる電界が変化するからである、例えば、そのまま同じ外部電圧を保持した場合、最終的には液晶シート1aの内部にかかる実質的な電圧は0Vとなる。
【0045】
このような性質のため、ある時刻における液晶シート1a内部の実質電圧は、当該時刻におけるバイアス電圧EBとデータ電圧EDのみから決定されるものではなく、それ以前の印加電圧履歴によって電荷がどこに偏在しているかにも影響される。例えば、バイアス電圧EBの正負の極性のそれぞれの印加期間に長短がある場合には、期間が長い極性を相殺するような電荷の偏在が発生しており、正負の両極性で同じ絶対値の外部電圧が印加されても、液晶シート1a内部の実質電圧は、正極性と負極性とで差異が発生する。
【0046】
また、例えばバイアス電圧EBが0Vの状態から電圧を印加開始した場合には、初期段階では各極性における液晶シート1aの実質的な内部電圧の絶対値は等しくない。この場合、モジュレータ1から得られる反射光量は、バイアスの正負極性期間において、電荷移動等による影響がない場合の値に対して各々にオフセットを持った値となる。
【0047】
CCDカメラ7は、このような反射光に基づいてAフレーム〜Dフレームの電圧イメージ画像を撮像し、画像処理装置8にデジタル映像信号として出力する。そして、画像処理装置8は、これら各フレームの電圧イメージを以下の式(1)あるいは式(2)に基づいて被検画像Rを生成する。
R={A−B−C+D}/2 (1)
R={A+B−C−D}/2 (2)
【0048】
このような演算によって被検画像Rを得ることによって、バイアス電圧EBが正極性側にあるときのモジュレータ1の応答特性とバイアス電圧EBが負極性側にあるときのモジュレータ1の応答特性との間に定常的に発生している反射光量の差を打ち消すことができる。画像処理装置8は、この被検画像Rを電圧に変換する係数Gを乗算することにより実際のイメージ電圧を生成する。
【0049】
例えば、各フレームに印加されるデータ電圧EDをPA,PB,PC,PDとし、上式(1)に基づいてイメージ電圧V1を算出すると、下式(3)のように求められる。
V1={PA+PB−PC−PD}/2 (3)
また、上式(2)に基づいてイメージ電圧V2を算出すると下式(4)のように求められる。
V2={PA−PB−PC+PD}/2 (4)
なお、このイメージ電圧V1,V2の算出の詳細については、以下に詳述する。
【0050】
何らかの異常によりある画素電極a2にデータ電圧EDが正常に印加されない場合、この画素電極a2に対向するモジュレータ1の部分は、正常にデータ電圧EDが印加された周囲の画素電極a2に対向するモジュレータ1の部分と比較して輝度が異なることになる。この場合、画像処理装置8は、被検画像Rを2値化することによって、正常動作をしている画素電極a2の部分に対して正常に動作していない画素電極a2の部分を識別することができる。
【0051】
画像処理装置8は、この識別情報に基づいて異常な画素電極a2の個数やその分布状態等を検査結果としてモニタ9に出力する。この結果を検査員が指定した許容値に基づいて当該検査対象となっている液晶駆動基板の良否を判定して検査が終了する。
【0052】
次に、上記式(1)に基づいて被検画像Rを生成することの技術的根拠について説明する。なお、この説明では説明を容易にするため、データ電圧ED=0Vとする。
【0053】
図3は、上記モジュレータ1の液晶部分に実際に印加される電圧VMの絶対値|VM|と反射光量IRとの関係(電気光学特性)を示すグラフである。図3に示すように、モジュレータ1の電気光学特性は略S字状の特性(Sカーブ)を有しており、このうち直線状の特性部分を利用して液晶駆動基板Aのイメージングを行っている。この電気光学特性の直線部分を数式化すると、式(5)のように表される。
IR=K1・|VM|+b (5)
【0054】
この式(5)から解るように、モジュレータ1の電気光学応答(E/0応答)は、理論的には印加電圧に対して正負対称である。しかし、実際にはモジュレータ1の内部の電荷移動等の影響によってモジュレータ1の液晶シートに印加される電圧VMが変化する。同じバイアス電圧EBを印加していても時間経過とともに電圧VMが変化して最終的には0Vになってしまう。
【0055】
図4は、モジュレータ内の電荷移動の様子を模式的に示した説明図である。図4に示すように、例えばモジュレータ1の両面に+Eボルトの電圧を印加した場合、モジュレータ内では電荷の移動が発生する。この電荷の移動は、ある一定の時間遅れで起こり、印加電圧の極性が+Eボルトから−Eボルトに反転しても、溜まった電荷はすぐには解消されず、反転直後においてはモジュレータ1の内部電界を強める方向に働く。
【0056】
このような応答をする実際のモジュレータ1においては、バイアス電圧EBをの正負極性の印加期間の微妙な差や電圧レベルの差によって、モジュレータ1の内部に実際に印加される電圧VMが正負非対称になることが考えられる。図5は、このような状態でのモジュレータ電圧の変化の様子を示す図である。なお、この図では、正負非対称成分のみを強調するために、パネルに書き込むデータ電圧EDを0V(一定)としている。
【0057】
液晶駆動基板Aのイメージングは、上述したようにバイアス電圧VBの正負極性の各所定時点においてストロボを発光させて行われる。理論的にはバイアス電圧EBの正負極性のパルス幅の差が無い(すなわデューティ比が50%)場合は、電圧イメージを撮像するタイミングにおける電圧VMの絶対値lVMlは、正極及び負極の両極において同じ値(以下、理論値という)となる。
【0058】
しかし、実際には、バイアス電圧EBの正負極性の期間の微妙な差によって、モジュレータ1の内部に印加される電圧VMは、理論値に対してオフセットを持つ。ストロボタイミングにおける理論的な電圧VMの絶対値をlVMl、正極における絶対値lVMlの理論値と実際の値との差をVOFFSET(+)、負極における電圧絶対値lVMlの理論値と実際の値との差をVOFFSET(-)、データ電圧EDをVP、バイアス電圧EBをVBとすると、バイアス電圧EBの各極性について次のような関係式(6),(7)が成立する。
【0059】
正極性の場合:lVMI=K2(VB−VP)+VOFFSET(+) (6)
負極正の場合:lVMI=K2(−VB+VP)+VOFFSET(-) (7)
ここで、係数K2は、モジュレータ1の容量とエアギャップの容量の逆比である。エアギャップが同じであれば一定の値を取る。
【0060】
これら関係式(6),(7)を式(5)に代入すると、以下のような関係式(8),(9)が得られる。
正極性の場合:IR+=K1{K2(VB−VP)+VOFFSET(+)}+b (8)
負極正の場合:IR-=K1{K2(−VB+VP)+VOFFSET(-)}+b……(9)
【0061】
ここで、モジュレータ1の反射光量IRは、モジュレータ1にかかる電圧の大きさに比例して変化する。バイアス電圧EBの正負に関係なく、モジュレータ−液晶駆動基板間の電圧の大きさが同じであれば、同じ反射光量IRとなる。つまり、モジュレータ1にかかる電圧は、モジュレータ−液晶駆動基板間にかかる電圧の容量の逆比で表されるため、モジュレータ−液晶駆動基板間電圧の大きさが同じであれぱ、モジュレータ1にかかる電圧も同じとなる。
【0062】
しかし、上記関係式(8),(9)の通り、モジュレータ−液晶駆動基板間にかかる電圧が同じであっても、オフセット分だけ反射光量IRが変化する。この変化分は、データ電圧EDとは無関係であり無用の情報であるため、バイアス電圧VBの両極性を使用して液晶駆動基板Aのイメージングをする場合、このオフセット分の影響を相殺するための演算方式が必要となる。その演算方式について以下に説明する。
【0063】
データ電圧EDを0V一定とした場合、モジュレータ1から得られる電圧イメージの演算結果の期待値も0Vとなる。イメージ電圧は、理論的にはSカーブにおけるE/0ゲイン(反射光量IRをイメージ電圧に変換するための係数)とオフセットとの関係から、反射光量IRが分かれば求めることができる。しかし、データ電圧VPとバイアス電圧VBが同じであっても、モジュレータ1と液晶駆動基板Aとの間のギャップは、時と場所とによって変化し、またランプ照明系の照度も場所によって変化するため、Sカーブは時と場所によって変化する。
【0064】
そこで、イメージングする毎にモジュレータ1がカバーする全ての部位におけるE/Oゲインとオフセットを予め求める必要がある。E/0ゲインは、Sカーブの直線応答領域のどの場所でも一定であるので、Sカーブ上の異なる2点のデータを取ることによって測定できる。しかし、オフセットは、Sカーブに起因するパラメークが多く、それら全てのパラメータを特定しないとその絶対的な値を特定することはできない。そこで、絶対値はわからなくても少なくとも2つのフレームの反射光量IRの差分を取ることにより、オフセット成分を相殺する方法を考案した。
【0065】
考え方によっては、一方をオフセットを検知するための基準フレームイメージと捉えることも可能であるが、液晶駆動基板Aには欠陥画素部も含まれているため、パネル上の全ての部位で同じ条件でオフセットを検知することはできない。このような意味では、2つのイメージのどちらかを基準にするという考え方は成立しない。また、なるべく多くの現象を時間の無駄なく採取するという意味で、2つのイメージで別な印加波形を印加して,2つの現象を一つのイメージとして得られるというメリットがある。このイメージをフレーム差分イメージという。
【0066】
画像処理装置8によるイメージ演算の結果出力されるイメージ電圧Vは、下式(10)に示すように2つ以上のフレームの差分の電圧である。
V=G・△I (10)
ここで、Gは反射光量IRをイメージ電圧に変換するための係数であり、0以外の値を取る。したがって、この計算結果が0Vになるためには、演算後の反射光量△Iが0となる必要がある。
【0067】
上式(8),(9)にVP=0,バイアス電圧EBの正極性電圧を+E、負極正電圧を−Eとして代入すると、バイアス電圧EBが正極性の場合における反射光量IR+と負極性の場合における反射光量IR-について、下式(11),(12)が得られる。
【0068】
この2つのフレームの反射光量IR+,IR-の差分を用いて上記イメージ電圧Vを求めると、次式(13)のように求められる。
【0069】
この式(13)から解るように、正極性のフレームイメージと負極性のフレームイメージとの差分だけでは非対称成分のオフセットが残る。このため、このオフセット分を打ち消すための必要最小限のフレーム数と演算方式を検討する必要がある。
【0070】
バイアス電圧EBの正極性電圧が印加されるフレームをAフレーム、次の負極性電圧が印加されるフレームをBフレーム、以後C,D,E,F……とすると、演算後の反射光量△Iが0となるような演算方式には、以下の4式(14)〜(17)がある。
【0071】
ここで、上記A−C,B−Dに関しては、バイアス電圧EBの同一極性の部分しか使用しないため検討から除外する。この結果、A+B−C−D,A−B−C+Dの演算方式が有効であることが判る。
【0072】
式(1)あるいは式(2)のいずれを用いて被検画像Rを生成できるが、以下に詳説するように式(1)を用いた場合には、モジュレータ1の応答特性の経時的なドリフトをもキャンセルすることが可能であり、より精度の良い被検画像Rを得ることができるという特徴を有する。当然、モジュレータ1の応答特性の経時的なドリフトを考慮する必要がないと判断される場合には、式(1)あるいは式(2)のいずれを用いても良い結果が得られる。
【0073】
以上の検討では、モジュレータ1の経時的なドリフト成分が無いものとして検討を行っている。これは、実際の検査では相対しきい値手法(電圧分布のピークを基準としてしきい値を設定するの手法)を用いているため、ドリフト成分は影響しないからである。しかし、実際のモジュレータ1の電気光学特性では、同じ条件(同じデータ電圧ED、固じバイアス電圧EB、同じモジュレータ−液晶駆動基板間ギャップ)でも時間的に反射光量IRが変化する。このため、モジュレータ1のドリフト成分を考えた場合に、A+B−C−DあるいはA−B−C+Dの演算方式で結果がどのようになるか、以下に検討する。
【0074】
このドリフト量は、種々の計測結果から時間的に比例していると見なすことができる。ここで、Aフレームを基準にドリフト成分を考えた場合と、反射光量IRは以下のようになる。なお、ここでは、ドリフト成分が無い場合の反射光量IRをIA,IB,IC,ID、ドリフト量をαとする。
Aフレーム:IA
Bフレーム:IB+α
Cフレーム:IC+2α
Dフレーム:ID+3α
【0075】
上記ドリフト成分を考慮してA+B−C−D,A−B−C+Dの演算方式で反射光量IRの計算を行うと、下式(18),(19)のようになる。
【0076】
上式(19)は、本実施形態で採用したA−B−C+Dの演算方式を用いることにより、経時的なモジュレータ1のドリフト成分をキャンセルできることを示している。
【0077】
次に、Aフレームではデータ電圧EDを所定電圧Eaに対して電圧△Eeaを加算した値、Bフレームでは所定電圧Eaに対して電圧△Eebを加算した値、Cフレームでは所定電圧Eaに対して電圧△Eecを減算した値、Dフレームでは所定電圧Eaに対して電圧△Eedを減算した値とすることの技術的根拠について補足説明する。
【0078】
(A+B−C−D)あるいは(A−B−C+D)の演算方式を用いた場合において、データ電圧EDを一般化した式を導出する。上述したようにイメージ演算の結果得られるイメージ電圧Vは式(10)によって与えられる。この式(10)において、△Iは演算後の反射光量であり、(A+B−C−D)あるいは(A−B−C+D)の演算結果により表される。
【0079】
ここで、Aフレームのデータ電圧ED(ED=Ea+△Eea)をPA,Bフレームのデータ電圧ED(ED=Ea+△Eeb)をPB,Cフレームのデータ電圧ED(ED=Ea−△Eec)をPC,Dフレームのデータ電圧ED(ED=Ea−△Eed)をPDとし、式(8),(9),(11),(12)より各フレームにおける演算後の反射光量IRA,IRB,IRC,IRDは下式(20)〜(23)のように求められる。
IRA=K1{K2(VB−PA)+VOFFSET(+)}+b (20)
IRB=K1{K2(−VB+PB)+VOFFSET(-)}+b (21)
IRC=K1{K2(VB−Pc)+VOFFSET(+)}+b (22)
IRD=K1{K2(−VB+PD)+VOFFSET(-)}+b (23)
【0080】
(a)A+B−C−Dの演算方式の場合
【0081】
また、係数Gについては、以下のように表せる。
G=−l/(K1・K2) (25)したがって、上式(24),(25)より、イメージ電圧V2は下式(26)のように表される。
V2=(PA−PB−PC+PD)/2 (26)
【0082】
(b)A−B−C+Dの演算方式の場合
したがって、この式(27)と上式(25)とより、イメージ電圧V1は下式(28)のように求められる。
V1=(PA+PB−PC−PD)/2 (28)
【0083】
式(26),(28)より、データ電圧EDが各フレーム間で同じである場合、データ電圧EDが0Vでなくても、イメージ電圧Vは0Vとなる。このため、データ電圧EDを得るためには最低2種類の電圧を液晶駆動基板に印加する必要があることが解る。例えば、このデータ電圧EDを2つの異なる電圧値、つまり第1の電圧値Vhiあるいは第2の電圧値Vlo(Vhi>Vlo)とすると、式(26)によって正極のバイアス電圧EBにおけるデータ電圧EDを得る場合、各フレームのデータ電圧EDを下式(29),(30)のように設定することが考えられる。
PA=PD=Vhi (29)
PB=PC=Vlo (30)
【0084】
これら式(29),(30)を上記式(26)に代入すると、式(31)が得られる。
V=(Vhi−Vlo)>0 (31)
したがって、演算式(A+B−C−D)を予め2で除算しておくことにより、データ電圧EDから簡単にイメージ電圧Vの理論値を求めることができる。
【0085】
一方、式(28)に基づいてバイアス電圧EBが正極のときのデータ電圧EDを得る場合、各フレームのデータ電圧EDを下式(32),(33)のように設定する必要がある。
PA=PB=Vhi (32)
PC=PD=Vlo (33)
【0086】
これら式(32),(33)を上記式(28)に代入すると、式(34)が得られる。
V=(Vhi−Vlo)>0 (34)
この場合についても、演算式A+B−C−Dを2で予め除算しておくことにより、データ電圧EDから簡単にイメージ電圧Vの理論値を求めることができる。
【0087】
以上の技術検討から、本実施形態では、イメージ電圧Vを求めるための演算方式を(A+B−C−D)または(A−B−C+D)とした。また、データ電圧EDを一般化した場合のイメージ電圧Vは、演算方式がA+B−C−Dの場合には、V=(PA−PB−PC+PD)/2のように求められ、演算方式がA−B−C+Dの場合には、V=(PA+PB−PC−PD)/2のように求められる。すなわち、各フレームのデータ電圧EDは任意の値でよい。
【0088】
ただし、様々な原因による欠陥画素を正常画素に対して識別するためには、各フレームのデータ電圧PA,PB,PC,PDをV≠0となるように設定することが好ましい。例えば、演算式がA+B−C−Dの場合には、PA及びPDを第1の電圧値Vhiとし、PB及びPCを第2の電圧値Vloとすることが考えられる。また、演算式がA−B−C+Dの場合には、PA及びPBを第1の電圧値Vhiとし、PC及びPDを第2の電圧値Vloとすることが考えられる。この場合、最小限の2種類のデータ電圧Vhi,Vloによってイメージ電圧V(≠0)を得ることができるので、種々の欠陥画素をより正確に検出できると共に、データ電圧EDの設定が容易である。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係わる液晶駆動基板の検査装置及び方法によれば、以下のような効果を奏する。
(1)液晶駆動基板の検査装置に係わる第1の手段として、一面に透明電極が備えられ、画素電極が行列状に多数設けられた液晶駆動基板に対向配置された電気光学素子板と、前記透明電極に撮像手段のフレーム周波数に同期した両極性のバイアス電圧を印加すると共に、画素電極にはバイアス電圧の各極性毎に所定電圧値のデータ電圧を印加する電源装置と、バイアス電圧とデータ電圧とが印加された状態で、電気光学素子板の表面の画像を撮像する撮像手段と、バイアス電圧の各々の極性期間における複数フレームに亘る画像を加算して被検画像を生成し、該被検画像を画像処理して画素電極の異常箇所を識別して検査結果を出力する画像処理装置とを具備するので、従来のようにバイアス電圧の一方の極性期間のみにデータ電圧を印加して画像を撮影する場合に対して、スループットの低下を来すことなく、データ電圧の十分な書き込み時間を確保することが可能である。したがって、液晶駆動基板を短時間かつ精度良く検査することができる。
【0090】
(2)バイアス電圧の周波数を撮像手段のフレーム周波数の1/2に設定するので、スループットの低下を来すことなくデータ電圧の十分な書き込み時間を確保することが可能であり、よって液晶駆動基板を短時間かつ精度良く検査することができる。
【0091】
(3)データ電圧をバイアス電圧の半周期毎に異なる電圧値とし、画像処理装置は、連続する4フレームの画像をバイアス電圧の各極性における電気光学素子板の電気光学特性の差を打ち消すように加算して被検画像を生成するので、バイアス電圧の両極性を用いても該極性の違いによる電気光学素子板の電気光学特性の差の影響を受けることなく安定した検査が可能である。したがって、液晶駆動基板をさらに精度良く検査することができる。
【0092】
(4)画像処理装置は、連続する4フレームの画像をA〜Dとした場合に、演算式(A+B−C−D)に基づいて被検画像Rを生成するので、バイアス電圧の両極性を用いても該極性の違いによる電気光学素子板の電気光学特性の差を最小限のフレーム数でキャンセルすることができる。したがって、液晶駆動基板を短時間かつ精度良く検査することができる。
【0093】
(5)画像処理装置は、連続する4フレームの画像をA〜Dとした場合に、演算式(A−B−C+D)に基づいて被検画像Rを生成するので、バイアス電圧の両極性を用いても該極性の違いによる電気光学素子板の電気光学特性の差を最小限のフレーム数でキャンセルするとともに、電気光学素子板の電気光学特性の経時的なドリフトをもキャンセルすることができる。したがって、さらに精度良く液晶駆動基板を検査することができる。
【0094】
(6)電源装置は、データ電圧を画像A,Dの撮像時には第1の電圧値Vhiに設定し、画像B,Cの撮像時には第2の電圧値Vloに設定するので、最小限の設定電圧数で種々の原因で発生する欠陥画素を正常画素に対してより確実に識別することができる。
【0095】
(7)電源装置は、データ電圧を画像A,Bの撮像時には第1の電圧値Vhiに設定し、画像C,Dの撮像時には第2の電圧値Vloに設定するので、最小限の設定電圧数で種々の原因で発生する欠陥画素を正常画素に対してより確実に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる液晶駆動基板の検査装置及び方法の一実施形態の構成図である。
【図2】 本発明に係わる液晶駆動基板の検査装置及び方法の位置実施形態におけるバイアス電圧とデータ電圧の印加パターンを示す波形図である。
【図3】 本発明に係わる液晶駆動基板の検査装置及び方法の技術的背景を説明するための第1の説明図である。
【図4】 本発明に係わる液晶駆動基板の検査装置及び方法の技術的背景を説明するための第2の説明図である。
【図5】 本発明に係わる液晶駆動基板の検査装置及び方法の技術的背景を説明するための第3の説明図である。
【図6】 従来の液晶駆動基板の検査装置の概要を示す構成図である。
【図7】 モジュレータの電気光学特性を示すグラフである。
【図8】 従来の液晶駆動基板の検査装置における電圧印加パターンを示す波形図である。
【符号の説明】
1……モジュレータ
1a……液晶シート
1b……薄膜透明電極(透明電極)
1c……誘電体反射膜
2……X−Yステージ
3……ビームスプリッタ
4……光源
5……フィルタ
6……レンズ
7……CCDカメラ(撮像手段)
8……画像処理装置
9……モニタ
10……電源装置
A……液晶駆動基板
a1……ガラス板
a2……画素電極
EB……バイアス電圧
ED……データ電圧
Claims (14)
- 一面に透明電極が備えられ、画素電極が行列状に多数設けられた液晶駆動基板に対向配置された電気光学素子板と、
前記透明電極に撮像手段のフレーム周波数に同期した両極性のバイアス電圧を印加すると共に、画素電極には前記バイアス電圧の各極性毎にデータ電圧を印加する電源装置と、
バイアス電圧とデータ電圧の印加時に電気光学素子板の表面の画像を撮像する撮像手段と、
バイアス電圧の各々の極性期間における複数フレームに亘る画像を加算して被検画像を生成し、該被検画像を画像処理して画素電極の異常箇所を識別して検査結果を出力する画像処理装置と、
を具備することを特徴とする液晶駆動基板の検査装置。 - 請求項1記載の液晶駆動基板の検査装置において、前記バイアス電圧の周波数を撮像手段のフレーム周波数の1/2に設定することを特徴とする液晶駆動基板の検査装置。
- 請求項2記載の液晶駆動基板の検査装置において、データ電圧を、バイアス電圧の半周期毎に異なる電圧値とし、画像処理装置は、連続する4フレームの画像をバイアス電圧の各極性における電気光学素子板の電気光学特性の差を打ち消すように加算して被検画像を生成することを特徴とする液晶駆動基板の検査装置。
- 請求項3記載の液晶駆動基板の検査装置において、画像処理装置は、連続する4フレームの画像をA〜Dとした場合に、演算式(A+B−C−D)に基づいて被検画像Rを生成することを特徴とする液晶駆動基板の検査装置。
- 請求項3記載の液晶駆動基板の検査装置において、画像処理装置は、連続する4フレームの画像をA〜Dとした場合に、演算式(A−B−C+D)に基づいて被検画像Rを生成することを特徴とする液晶駆動基板の検査装置。
- 請求項4記載の液晶駆動基板の検査装置において、電源装置は、データ電圧を画像A,Dの撮像時については第1の電圧値Vhiに設定し、画像B,Cの撮像時については第2の電圧値Vloに設定することを特徴とする液晶駆動基板の検査装置。
- 請求項5記載の液晶駆動基板の検査装置において、電源装置は、データ電圧を画像A,Bの撮像時については第1の電圧値Vhiに設定し、画像C,Dの撮像時については第2の電圧値Vloに設定することを特徴とする液晶駆動基板の検査装置。
- 一面に透明電極が備えられた電気光学素子板を画素電極が行列状に多数設けられた液晶駆動基板に対向配置し、透明電極に撮像手段のフレーム周波数に同期した両極性のバイアス電圧また画素電極にはバイアス電圧に同期したデータ電圧を印加し、複数フレームに亘って撮像手段で撮影された電気光学素子板表面の画像を加算して被検画像を生成し、該被検画像に基づいて画素電極の異常箇所を識別する液晶駆動基板の検査方法において、
バイアス電圧の各々の極性期間毎にデータ電圧を印加し、これら各極性期間に得られた前記画像から被検画像を生成することを特徴とする液晶駆動基板の検査方法。 - 請求項8記載の液晶駆動基板の検査方法において、バイアス電圧の周波数を撮像手段のフレーム周波数の1/2とすることを特徴とする液晶駆動基板の検査方法。
- 請求項9記載の液晶駆動基板の検査方法において、データ電圧をバイアス電圧の半周期毎に異なる電圧値とし、連続する4フレームの画像をバイアス電圧の各極性における電気光学素子板の電気光学特性の差を打ち消すように加算して被検画像を生成することを特徴とする液晶駆動基板の検査方法。
- 請求項10記載の液晶駆動基板の検査方法において、連続する4フレームの画像をA〜Dとした場合に、演算式(A+B−C−D)に基づいて被検画像Rを生成することを特徴とする液晶駆動基板の検査方法。
- 請求項10記載の液晶駆動基板の検査方法において、連続する4フレームの画像をA〜Dとした場合に、演算式(A−B−C+D)に基づいて被検画像Rを生成することを特徴とする液晶駆動基板の検査方法。
- 請求項11記載の液晶駆動基板の検査方法において、データ電圧を、画像A,Dについては第1の電圧値Vhiとし、画像B,Cについては第2の電圧値Vloとすることを特徴とする液晶駆動基板の検査方法。
- 請求項12記載の液晶駆動基板の検査方法において、データ電圧を、画像A,Bについては第1の電圧値Vhiとし、画像C,Dについては第2の電圧値Vloとすることを特徴とする液晶駆動基板の検査方法。
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