JP3958397B2 - 化学気相蒸着炭化ケイ素材の製造方法 - Google Patents

化学気相蒸着炭化ケイ素材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体プロセスの用途に好適な化学気相蒸着炭化ケイ素材の製造方法の改良に関するものである。さらに詳しくは、半導体プロセスに使用されるダミーウェハ、テストウェハ、また枚葉式炉内で使用されるリフレクター、ウェハホルダー、均熱リングなどの部品、あるいは半導体プロセスで使用されるイオン注入装置内のイオン保護板等などに好適な板状の化学気相蒸着炭化ケイ素材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の化学気相蒸着(以下「CVD(Chemical Vapor Deposition)」という。)炭化ケイ素材のうち板状のもの、例えばその代表例であるダミーウェハの製造は、従来、高純度等方性黒鉛円板を基材とし、その上にCVD法により炭化ケイ素層を形成した後、側周部を研削し、中央部の黒鉛基材を燃焼除去して単独の炭化ケイ素材となし、さらに厚み調整のための研磨、表面洗浄というプロセスで行われている。(リアライズ社発行、BREAK THR0UGH 1996年1 月号P26 〜28)。
【0003】
即ち、図5に基づき具体的に説明すると、円板状黒鉛基材1の外表面全体にCVD法により炭化ケイ素を蒸着させてCVD−炭化ケイ素被覆層2を形成した後、二点鎖線の外側、つまり黒鉛基材1の側周部分の全体を切取り加工(切削)し、さらに中央を一点鎖線のようにスライス加工して半割り品3とし(図では上側の半割り品だけを示している。)、次いで各半割り品3の黒鉛基材1を燃焼除去(灰化処理)し、さらに必要に応じて厚み調整のための研磨(機械加工)を施して所定の厚み寸法のCVD−炭化ケイ素材2aを取り出し、最後にこのCVD−炭化ケイ素材2aの表面を洗浄して、製品としてのダミーウェハ4を製造している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の製造方法の場合、製造工程の途中で、特に黒鉛基材の燃焼除去工程あるいはその後の厚み調整のための研磨工程の段階でCVD−炭化ケイ素材にクラックが入りやすいという欠点があった。
【0005】
本発明者らは、前記クラックが発生する原因について様々な角度から調べた結果、まず第1に黒鉛基材の外表面全体に形成したCVD−炭化ケイ素被覆層の側周部分の全体を切取り加工(切削)するときに、その炭化ケイ素被覆層の側面に生じる切削傷に主たる原因があることをつきとめた。即ち、炭化ケイ素が成長する方向(黒鉛基材面に垂直な方向)に沿って切削傷が付きやすく、一旦傷が付くと、その部分が後の燃焼除去時には熱応力集中の核として作用し、そして冷却後研磨の段階で亀裂が進行する、つまりクラックが発生することを見い出した。また、燃焼除去した後の炭化ケイ素被覆層単体は残留圧縮応力の影響を受けて比較的大きく反り返っており、このことも研磨時における既存亀裂の促進又は新たな亀裂の発生の一因となっていることを見い出した。
【0006】
本発明は、こうした原因を取り除き上記従来技術の欠点を解決するためにさらに研究の末、完成したものである。即ち、本発明の目的とするところは、クラックの発生率を非常に少なくしてCVD−炭化ケイ素材の製造歩留りを高め、結果として安価なCVD−炭化ケイ素材を製造することのできる方法を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明のうち請求項1記載の発明は、高純度等方性黒鉛基材上の全面にCVD法により炭化ケイ素の被覆層を形成した後、前記黒鉛基材を除去して板状のCVD−炭化ケイ素材を製造する方法であって、前記黒鉛基材の平面側には、目的とする板状製品の寸法に相当する径の開口を有し、かつ球面加工された底面を有する座ぐり凹部が形成されてなることを特徴とする。
【0008】
これにより、黒鉛基材の外表面全体に形成したCVD−炭化ケイ素被覆層に対し、従来のように側周部分を切削せずに上下方向からの切削だけで、つまり座ぐりにより生じた基材の立ち上がり周縁部分の上に形成されたCVD−炭化ケイ素被覆層だけを上側から取り除くだけで基材の座ぐり凹部に所要寸法径の板状の炭化ケイ素被覆層を保持した状態を確保することができる。従って、板状製品となる予定の、座ぐり凹部内の炭化ケイ素被覆層の側面には、つまり炭化ケイ素が成長する方向には切削傷は一切付かないので、従来のようにその切削傷を核として後の燃焼除去工程や冷却後研磨工程で起きていたクラックの発生、成長を回避することができる。
【0009】
また、上記の燃焼除去工程で黒鉛基材を取り除いた段階のCVD−炭化ケイ素被覆層は、通常、残留圧縮応力が作用して黒鉛基材に対して離れるように、特にCVD−炭化ケイ素被覆層のより内部側(黒鉛基材に近い側)が断面形状にして上向き弓なり状に反る傾向がある。しかし、本発明では、座ぐり凹部の底面を予め球面に加工しているので、燃焼除去により黒鉛基材を取り除いた後では、CVD−炭化ケイ素被覆層の黒鉛基材に接していた側(下向き弓なりに反った断面形状を有する側)は、残留圧縮応力の作用を受けることにより、上向きに反るので、結果的にその下向き弓なり状に膨らんだ部分は萎んでほぼ平坦面となる。
【0010】
つまり基材の座ぐり凹部に保持されたCVD−炭化ケイ素被覆層から基材を除去すると、結果として、反りがほとんどない炭化ケイ素被覆層単体が得られる。従って、従来のように燃焼除去後の研磨時に反りがあるために起きていた既存亀裂の促進や新たな亀裂の発生を回避することができるため、この面からも、クラック発生の未然防止効果を一層確実なものとすることができる。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、高純度等方性黒鉛基材上の全面に化学気相蒸着により炭化ケイ素の被覆層を形成した後、前記黒鉛基材を除去して板状の化学気相蒸着炭化ケイ素材を製造する方法であって、前記黒鉛基材の平面側には、目的とする板状製品の寸法に相当する径の開口を有し、かつ半径が500〜50000mmに球面加工された底面を有する座ぐり凹部が形成されてなることを特徴とする。これにより、自動制御による球面加工を可能としつつ、発明の効果を有効に発揮し得る汎用性のあるCVD−炭化ケイ素材の製造方法とすることができる。球面の半径が500mmより小さい場合は、灰化処理後のCVD−炭化ケイ素被覆層に残留圧縮応力が作用しても、下向き弓なり状の反りが現れるからであり、球面の半径が50000mmより大きい場合は、逆に上向き弓なり状の反りが現れるからである。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項に記載の発明の構成に加えて、座ぐり凹部の表面が炭素質離型材で被覆されていることを特徴とする。これにより、黒鉛基材上に成長したCVD−炭化ケイ素材被覆層を黒鉛基材から容易に分離できるので、従来における黒鉛基材除去のための燃焼工程を省略すること、つまり製造工程の簡素化を図ることができる。また、黒鉛基材の除去を燃焼させて行う場合でも、適量塗布しておくことで、燃焼処理したときのCVD−炭化ケイ素被覆層の黒鉛界面での炭化ケイ素粒子(これは黒鉛の気孔に侵入した炭化ケイ素が遊離したものである)の発生を未然に防ぐことができ、製品の歩留り低下に寄与することができる。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、請求項に記載の発明の構成に加えて、座ぐり凹部の表面が熱分解炭素で被覆されていることを特徴とする。熱分解炭素も炭素質離型材の一種であるが、離型効果に優れていること及びCVD工程時に使用する原料ガスをそのまま熱分解炭素の生成にも利用できるため工程上の有利性もあって、請求項に記載の発明の効果を一層有利な形で発揮させることができる。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、請求項乃至請求項4のいずれか一項に記載の発明の構成のうち、CVD−炭化ケイ素材が、円板の外周部を一部切り欠いた形状のダミーウェハ又はテストウェハであることを特徴とする。これにより、ダミーウェハ等に求められているニーズ(製品の移送や加工がしやすいように把持しやすいものであること)に十分対応し得る製造方法とすることができる。
【0015】
また、請求項6記載の発明は、請求項乃至請求項4のいずれか一項に記載の発明の構成のうち、CVD−炭化ケイ素材が半導体プロセスで使用されるイオン注入装置内のイオン保護部品であることを特徴とし、さらに、請求項7記載の発明は、請求項乃至請求項4のいずれか一項に記載の発明の構成のうち、CVD−炭化ケイ素材が、枚葉式の半導体熱処理炉内部品であることを特徴とする。即ち、本発明方法の実施により、半導体イオン注入装置及び枚葉式半導体熱処理炉の内部に用いられる部品に適した良質のCVD−炭化ケイ素材を安価に提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係るCVD−炭化ケイ素材の製造方法を示す概略系統図である。
【0017】
まず、黒鉛基材5としては、その拡大図である図2に示すように、通常の製法で得られた高純度等方性黒鉛ブロックから平板状の成形体を一旦切り出した後、該平板状成形体の上面側及び下面側にそれぞれ、目的とする製品寸法相当径D(mm)を有する開口6と所定の肩口深さh(mm)(製品寸法の厚みの2倍以上が望ましい。)を有する座ぐり凹部7を形成し、さらにその凹部の底面8を球面加工したものを使用する。
【0018】
底面8の球面加工に際しては、目的の製品に応じて最適な球面となるように、つまり座ぐり凹部のCVD−炭化ケイ素被覆層に作用する残留応力を基材自体の形状矯正に最も好ましい方向で利用できるように形成する必要がある。
【0019】
また、座ぐり凹部7の隅部9は図示のようにR(アール)加工しておくことが望ましい。R(アール)加工されていない場合は、この座ぐり凹部7で形成されるCVD−炭化ケイ素被覆層の下面外周にいわゆるエッジ部が形成されることになるが、このようなエッジ部が形成されていると、製造工程後半における厚み調整のための研磨の際、そのエッジ部に亀裂や欠けが生じやすいからである。
【0020】
また、座ぐり凹部7は、黒鉛基材5の上面側又は下面側のいずれか一方だけに形成してもよいが、図示のように両面に形成しておけば生産性を2倍にすることができ、この点で望ましい態様である。
【0021】
次に、黒鉛基材5の特性について説明する。使用する黒鉛は、水銀ポロシメーターで測定した平均気孔半径が0.5〜2μm、熱膨張係数(CTE)が3.5〜5.5×10-6/K(25〜400℃の温度範囲の平均値)、室温時で測定したガス放出速度が1×10-6Pa・m3 /(s・m3)以下、300〜500℃室で測定したガス放出速度が1×10-4Pa・m3 /(s・m3)以下であることが望ましい。
【0022】
望ましい平均気孔半径として0.5〜2μmに限定したのは、0.5より小さいと、脱ガス処理に手間がかかるのでコスト高になる反面、2μmより大きいと、黒鉛基材5に緻密な炭化ケイ素膜を被覆しにくくなるからである。また、熱膨張係数が3.5〜5.5×10-6/Kの範囲を外れる場合は、炭化ケイ素の熱膨張係数との不一致のため炭化ケイ素の成長後の冷却工程でクラックが生じやすいからである。さらに、ガス放出速度が上記の上限値を超える場合は、緻密なCVD−炭化ケイ素被覆層として成長しにくくなるからである。
【0023】
また、CVD−炭化ケイ素被覆層の成長速度としては0.5〜500μm/hが望ましい。0.5μm/h未満の場合は、緻密な炭化ケイ素層が成長しにくく、一方500μm/hを超える場合は、HClガスや塩酸に対する耐食性に劣り、また機械強度にも劣るからである。
【0024】
また、黒鉛基材5の表面に予め炭素質離型材を被覆しておくと、成長したCVD−炭化ケイ素被覆層を容易に取り除くことができる。従って、黒鉛基材5除去のための燃焼工程を省略すること、つまり製造工程の簡素化を図ることができる。また、黒鉛基材5の除去を従来どおり燃焼により行う場合でも、適量塗布しておけば、燃焼処理したときに従来のようなCVD−炭化ケイ素被覆層と黒鉛との界面に生じていた硬い炭化ケイ素粒子(これは黒鉛の気孔に侵入した炭化ケイ素が遊離したものである)の付着を回避することができる。従って、従来のように厚み調整時の研磨工程で生じやすかった表面傷の発生を未然に防止することができ、製品の歩留り向上に寄与することができる。
【0025】
上記炭素質離型材の代わりに熱分解炭素を所定の厚みで、好ましくは3〜20μmの厚みで黒鉛基材5の表面に被覆しておくことも有効である。離型効果に優れている利点に加えて、CVD工程の簡素化を図ることができるからである。即ち、CVD工程で生じた例えばメタンガスを原料にして熱分解炭素を一旦黒鉛基材5に成長させた後、原料ガスをシラン/メタンに切り替えるだけで、その熱分解炭素被膜の上からさらに炭化ケイ素被膜を成長させることができるからである。
【0026】
次に、上記のように予め形状加工した黒鉛基材5を使用してCVD−炭化ケイ素材を製造する一例を図1に基づき説明する。まず、黒鉛基材5に対して、CVD処理によりその表面全体に炭化ケイ素被覆層10を形成する。CVD処理は、基本的には常法に従って実施すればよいが、緻密なCVD−炭化ケイ素被覆層10を得るためには、炭化ケイ素膜の成長速度が適切(一般には60μm/h程度が望ましい。)でなければならない。またCVD処理を繰り返して目的の厚みの炭化ケイ素被覆層10に形成することも可能である。
【0027】
次に、炭化ケイ素層10の成長面の表面を図中矢印方向から二点鎖線の位置まで研削する。つまり研削開始時点の炭化ケイ素被覆層10の表面10aの位置が、座ぐり凹部7内で成長した炭化ケイ素被覆層10の表面10bの位置に一致するまで研削する。なお、研削後の状態は、図面では、上下対象性を考慮して中心(一点鎖線の位置)から上側半分だけを示して簡略化している。この状態で、研削面(図中A面)には黒鉛基材5のリング状のむき出し面(図中B面)が形成されている。次いで、このむき出し面(B面)を有する黒鉛基材5を燃焼除去して単独のCVD−炭化ケイ素被覆層11を得る。
【0028】
また、CVD処理後の黒鉛基材5の中央(図中一点鎖線の位置)を燃焼前にスライスして分割し、炭化ケイ素被覆層11の反対側の黒鉛を大きくむき出しの状態にしておくと、燃焼が速くなり生産性の向上につながるので、都合がよい。
【0029】
ところで、黒鉛基材上にCVD法により炭化ケイ素被覆層を形成させる場合は、炭化ケイ素被覆層に亀裂が生じにくいようにするため黒鉛基材に対して適度の圧縮応力をもった状態でその被覆層が形成される。従って、この後、黒鉛基材を除去すると、その被覆層内に残留圧縮応力が作用して黒鉛基材(除去される前の黒鉛基材の上面)から離れるように、特に炭化ケイ素被覆層のより内部側(黒鉛基材に近い側)が断面形状にして上向き弓なり状に反る傾向がある。
【0030】
しかし、本発明では、座ぐり凹部7の底面8を予め球面に加工しているので、燃焼除去により黒鉛基材5を取り除いた後では、炭化ケイ素被覆層11の黒鉛基材5に接していた側(下向き弓なりに反った断面形状を有する側で図中では点線で示している。)は、残留圧縮応力の作用を受けることにより、上向きに反るので、結果的にその下向き弓なり状に膨らんだ部分(図中点線に近い部分)は萎んで、図示のようにほぼ平坦面11cとなる。つまり結果として、反りがほとんどない炭化ケイ素被覆層単体が得られる。従って、従来のように燃焼除去後の研磨時に反りがあるために起きていた既存亀裂の促進や新たな亀裂の発生を未然に防止することができる。
【0031】
また、そのことの利点以上に炭化ケイ素被覆層11については、従来施されていた側周部分の切削は一切なく、上下方向からの切削(図中、研削面は上面にのみ存在するリング上の(C)の部分)だけで得られるという特徴がある。従って、炭化ケイ素被覆層11の側面11bには、つまり炭化ケイ素が成長する方向には切削傷は一切付かないので、後の厚み調整のための研磨工程においても、従来のように切削傷が原因で生じていたクラックの発生を回避することができる。
【0032】
厚み調整工程の段階では、炭化ケイ素被覆層11をその両面から研磨し、最後に表面を洗浄することにより所定の寸法のCVD−炭化ケイ素材製品12を得ることができる。
【0033】
ところで、上記の研磨工程において研磨を円滑に行うためには、真円の接着具を使用して単体のCVD−炭化ケイ素被覆層を把持する必要があるが、例えば図3に示すように、シリコンウェハと同じようにいわゆるノッチやフラットが形成されたもの(円板の外周部を一部切り欠いた形状のもの)であると、そのような接着具を使用せずに研磨することができ、経済的である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1記載の発明に係る製造方法によれば、黒鉛基材の外表面全体に形成したCVD−炭化ケイ素被覆層に対し、従来のように側周部分の切削をせずに上下方向からの切削だけで、つまり座ぐりにより生じた基材の立ち上がり周縁部分の上に形成されたCVD−炭化ケイ素被覆層だけを上側から取り除くだけで基材の座ぐり凹部に所要寸法径の板状の炭化ケイ素被覆層を保持した状態を確保することができる。従って、板状製品となる予定の、座ぐり凹部内の炭化ケイ素被覆層の側面には、つまり炭化ケイ素が成長する方向には切削傷は一切付かないので、従来のようにその切削傷を核として後の燃焼除去工程や冷却後研磨工程で起きていたクラックの発生、成長を回避することができる。
【0035】
また、本発明で使用する黒鉛基材の座ぐり凹部の底面を予め球面に加工しているので、燃焼除去により黒鉛基材を取り除いた後では、CVD−炭化ケイ素被覆層の黒鉛基材に接していた側(下向き弓なりに反った断面形状を有する側)は、残留圧縮応力の作用を受けることにより、上向きに反るので、結果的にその下向き弓なり状に膨らんだ部分は萎んでほぼ平坦面となる。
【0036】
つまり基材の座ぐり凹部に保持されたCVD−炭化ケイ素被覆層から基材を除去すると、結果として、反りがほとんどない炭化ケイ素被覆層単体が得られる。従って、従来のように燃焼除去後の研磨時に反りがあるために起きていた既存亀裂の促進や新たな亀裂の発生を回避することができるため、この面からも、クラック発生の未然防止効果を一層確実なものとすることができる。
【0037】
また、請求項2記載の発明は、高純度等方性黒鉛基材上の全面に化学気相蒸着により炭化ケイ素の被覆層を形成した後、前記黒鉛基材を除去して板状の化学気相蒸着炭化ケイ素材を製造する方法であって、前記黒鉛基材の平面側には、目的とする板状製品の寸法に相当する径の開口を有し、かつ半径が500〜50000mmに球面加工された底面を有する座ぐり凹部を形成したものである。従って、自動制御による球面加工を可能としつつ、汎用性のあるCVD−炭化ケイ素材の製造方法とすることができる。
【0038】
また、請求項3記載の発明は、請求項に記載の発明の構成に加えて、座ぐり凹部の表面を予め炭素質離型材で被覆したものである。従って、黒鉛基材上に成長したCVD−炭化ケイ素被覆層を黒鉛基材から容易に分離できるので、従来における黒鉛基材除去のための燃焼工程を省略すること、つまり製造工程の簡素化を図ることができる。また、黒鉛基材の除去を燃焼させて行う場合でも、適量塗布しておくことで、燃焼処理したときのCVD−炭化ケイ素被覆層の黒鉛界面での炭化ケイ素粒子(これは黒鉛の気孔に侵入した炭化ケイ素が遊離したものである)の付着の発生を未然に防ぐことができ、製品の歩留り低下に寄与できる。
【0039】
また、請求項4記載の発明は、請求項に記載の発明の構成に加えて、座ぐり凹部の表面を熱分解炭素で被覆するものである。この結果、離型効果に優れていること及びCVD工程時に使用する原料ガスをそのまま熱分解炭素の生成にも利用できるため工程上の有利性もあって、請求項に記載の発明の効果を一層有利な形で発揮させることができる。
【0040】
また、請求項5記載の発明の製造方法であれば、円板の外周部を一部切り欠いた形状のCVD−炭化ケイ素材、即ち、ダミーウェハやテストウェハ等に求められているニーズ(製品の移送や加工がしやすいように把持しやすいものであること)に十分対応し得る製造方法とすることができる。
【0041】
また、請求項6記載の発明の製造方法及び請求項7記載の発明の製造方法によれば、半導体イオン注入装置及び枚葉式半導体熱処理炉の内部に用いられる部品に適した良質のCVD−炭化ケイ素材を安価に提供することができる。
【0042】
【実施例】
(実施例1)
平均粒子サイズ10μmの石炭系コークス(骨材)にバインダーとしてのタールピッチを質量比1:1で加熱混合し、冷却後粉砕した後ラバープレスにより等方性炭素基材となし、さらに1000℃での焼成、ピッチ含浸、再焼成を順次行い、最終的に2900℃に加熱処理(黒鉛化)して350×800×800(mm)の黒鉛ブロックを得た。このブロックから300×300×20(mm)の成形体を切り出し、その後エンドミルにてその成形体の両面にそれぞれ、直径200mmの開口及び5mアールで球面加工された底面を有し、かつ肩口深さ2mmである座ぐり凹部を加工した(図2参照)。
【0043】
その後、座ぐり凹部が形成された板状黒鉛成形体に対し、塩素ガス及び四フッ化メタンを用いて2400℃にて高純度化を行った。含有不純物は、灰分は5mass ppm以下で、Bは0.4mass ppm、Ca,Ni,Fe,Al,Na,Cuは0.1mass ppmであった。また、室温時の物理特性は嵩密度:1.75Mg/m3 、気孔率:19vol%、CTE:3.9×10-6/K(25〜400℃の温度範囲の平均値)、黒鉛基材の平均気孔半径:1.8μmであった。
【0044】
表面を研磨紙で研磨した後、黒鉛製離型材を塗布し、その後表面を表面粗さ(Ra)が0.1μmとなるように研磨した。さらに塩素ガス及び四フッ化メタンを用いて1800℃にて10時間高純度化処理を行った。さらに、真空下で2000℃にて10時間脱ガス処理を行い、高純度等方性黒鉛基材を得た。なお、同じ黒鉛ブロックから切り出し、同じ処理を行った20×20×210(mm)の寸法を有する同部材についてガス放出速度を測定したところ、室温時ではガス放出速度は1×10-6Pa・m3 /(s・m3)、300〜500℃ではガス放出速度が1×10-4Pa・m3 /(s・m3)であった。
【0045】
この黒鉛基材を基材温度:1350℃、炉内圧力:50kPa、原料ガス:メタン及び四塩化ケイ素、キャリアーガス:アルゴン+水素というCVD条件にて成長速度:60μm/hで炭化ケイ素被覆層を2回に分けて1.5mm成長させた。その後、図1に示すように成長面の表面側より研削して黒鉛部分を出して800℃、純酸素雰囲気の炉で基材黒鉛を燃焼除去し、直径200mm、厚み1.5mmの板状CVD−炭化ケイ素被覆層単体からなる成形体を得た。次いで、厚み0.725mmまで両面を研磨し、塩素ガス雰囲気中1200℃の加熱洗浄を経て8インチのダミーウェハを12枚得た。その表面粗さ(Ra)は10nmであった。製作した12枚すべてのダミーウェハについてクラックは生じなかった。
【0046】
参照例1)実施例1と同じ黒鉛ブロックから実施例1と同様にしてエンドミルにて底面がフラットな形状の直径200mm、深さ2mmの座ぐり凹部を加工し、さらにジクロロエタン(CCl)を原料として常圧、950℃にて熱分解炭素を5μm被覆し高純度黒鉛を製作した。この基材の表面に実施例1と同様なCVD条件にて炭化ケイ素層を1.5mm成長させた後、実施例1と同様に黒鉛基材を燃焼し、研磨、洗浄を順次行い、8インチのダミーウェハを12枚得た。12枚ともクラックは生じなかったが、全数、黒鉛基材と反対に凸の状態で反りかえった。その反り量は1.0〜3.5mmであった。
【0047】
(比較例1)
実施例1と同じ黒鉛ブロックから300×300×20(mm)の成形体を切り出し、実施例1と同様の高純度化処理を行っただけの、座ぐり凹部の無い板状高純度黒鉛基材を得た。実施例1と同様にして黒鉛基材上にCVD−炭化ケイ素被覆層を成長させた(図4の符号2に相当)。このCVD−炭化ケイ素被覆層2に対し、砥石加工にて側周部を図中の二点鎖線で示す位置まで、つまり直径が200mmとなるように切り出し、さらに黒鉛を燃焼させて12枚のダミーウェハを得た。12枚すべてのダミーウェハについてクラックが発生した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るCVD−炭化ケイ素材の製造方法を示す概略系統図である。
【図2】黒鉛基材の断面形状を拡大して示す断面模式図である。
【図3】外周部を一部切り欠いたダミーウェハの平面図であり、(a)はノッチ付きのもの、(b)はフラット付きのものである。
【図4】比較例で得られたCVD−炭化ケイ素材の断面模式図である。
【図5】従来のCVD−炭化ケイ素材の製造方法を示す概略系統図である。
【符号の説明】
1、5 黒鉛基材
2、10、11 CVD−炭化ケイ素被覆層
3 半割り品
4、12 ダミーウェハ
6 座ぐり凹部の開口
7 座ぐり凹部
8 座ぐり凹部の底面
9 座ぐり凹部の隅部

Claims (7)

  1. 高純度等方性黒鉛基材上の全面に化学気相蒸着により炭化ケイ素の被覆層を形成した後、前記黒鉛基材を除去して板状の化学気相蒸着炭化ケイ素材を製造する方法であって、前記黒鉛基材の平面側には、目的とする板状製品の寸法に相当する径の開口を有し、かつ球面加工された底面を有する座ぐり凹部が形成されてなることを特徴とする化学気相蒸着炭化ケイ素材の製造方法。
  2. 高純度等方性黒鉛基材上の全面に化学気相蒸着により炭化ケイ素の被覆層を形成した後、前記黒鉛基材を除去して板状の化学気相蒸着炭化ケイ素材を製造する方法であって、前記黒鉛基材の平面側には、目的とする板状製品の寸法に相当する径の開口を有し、かつ半径が500〜50000mmに球面加工された底面を有する座ぐり凹部が形成されてなることを特徴とする化学気相蒸着炭化ケイ素材の製造方法。
  3. 前記座ぐり凹部の表面が炭素質離型材で被覆されていることを特徴とする請求項に記載の化学気相蒸着炭化ケイ素材の製造方法。
  4. 前記座ぐり凹部の表面が熱分解炭素で被覆されていることを特徴とする請求項に記載の化学気相蒸着炭化ケイ素材の製造方法。
  5. 化学気相蒸着炭化ケイ素材が、円板の外周部を一部切り欠いた形状のダミーウェハ又はテストウェハである請求項乃至請求項4のいずれか一項に記載の化学気相蒸着炭化ケイ素材の製造方法。
  6. 化学気相蒸着炭化ケイ素材が半導体プロセスで使用されるイオン注入装置内のイオン保護部品であることを特徴とする請求項乃至請求項4のいずれか一項に記載の化学気相蒸着炭化ケイ素材の製造方法。
  7. 化学気相蒸着炭化ケイ素材が枚葉式の半導体熱処理炉内部品であることを特徴とする請求項乃至請求項4のいずれか一項に記載の化学気相蒸着炭化ケイ素材の製造方法。
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