JP3957927B2 - 天井埋込型空気調和装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内ユニットを天井面に埋め込むようにして設置される天井埋込型空気調和装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
天井埋込型空気調和装置の室内ユニットの一例を図6に示す。図において、符号1は天井に埋設されたキャビネットであり、その内部には熱交換器2、ファン3、送風用モータ4、導風板5、ドレンパン6等が配置され、さらにキャビネット1にはその下部開口を覆うようにして天井パネル7が取り付けられている。
【0003】
天井パネル7の中央には吸込口7aが形成され、さらに吸込口7aの両側には吹出口7bが形成されている。また、吸込口7aには集塵のためのエアフィルタ8を組み合わされた吸込グリル9が填め込まれている。
【0004】
この天井埋込型空気調和装置では、送風用モータ4を駆動させてファン3を回転させると、室内の空気が吸込グリル9、エアフィルタ8を通じて吸込口7aから吸い込まれ、導風板5に案内されてファン3に吸入され付勢される。次いで、付勢された空気は熱交換器2を吹き抜ける過程で冷却または加熱され、所望の状態に調和されて吹出口7bから室内に吹き出されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような構造の天井埋込型空気調和装置においては、次のような問題点が指摘されている。
天井埋込型空気調和装置はオフィス等の広いスペースの空調用として用いられるのが一般的である。そこで、このような広いスペース内でより均一な空気調和を図るために、調和された空気を吹出口7bから天井面に対して平行に近い角度で吹き出すようにしている。吹出口7bから吹き出された空気は天井面に沿って流れようとする性質があるので、これを利用して調和空気をより遠くまで行き届かせるようにしているのである(これを天井効果という)。
【0006】
ところで、この天井効果を利用すると、吹き出された空気に触れる天井面に汚れが付着するという弊害が生じる。吸込口7aから吸入される空気は、エアフィルタ8を通過する過程で集塵されるが、例えばたばこのヤニ成分のように非常に微細な汚れは完璧には集塵されず、いくらかは吹出口7bから再度室内に戻されてしまう。このとき、調和空気は天井面の所定の範囲に常時連続して吹き付けられるようになるので、所定範囲の天井面に上記のような汚れが付着するのである。
この汚れは吹き出される空気の速度が比較的遅い吹出口7bの両端部で顕著であり、天井パネル7の周囲に模様を描いたようになるため、清掃に余計な手間が必要になるだけでなく室内の美観を損ねるといった問題がある。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、天井面に汚れが付着し難く、室内の美観を損ねることのない天井埋込型空気調和装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、次のような構造の天井埋込型空気調和装置を採用する。すなわち、本発明に係る請求項1記載の天井埋込型空気調和装置は、室内ユニットが天井面に埋め込まれるようにして設置される天井埋込型空気調和装置であって、前記室内ユニットには、矩形をなす各辺部にそれぞれ対応して横長の吹出口が形成され、該吹出口には吹き出した空気を天井面に導く導風部が形成されるとともに該導風部の終端には空気の一部を堰き止める段部が形成され、さらに該段部の高さは前記吹出口の幅方向両端部において大きく、幅方向中央部に近づくほど漸次小さくなるように形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の天井埋込型空気調和装置は、請求項1記載の天井埋込型空気調和装置において、前記段部に繋がる前記導風部が、高さが変化する前記段部に連続するように、前記吹出口の幅方向および吹出方向のいずれについても曲面状をなして形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の天井埋込型空気調和装置は、室内ユニットが天井面に埋め込まれるようにして設置され、該室内ユニットに着脱可能に設けられた吸込グリルをこれに連結された複数のワイヤで吊持するとともに該ワイヤを巻き上げまたは送り出すことにより着脱する天井埋込型空気調和装置であって、前記室内ユニットには、矩形をなす各辺部にそれぞれ対応して横長の吹出口が形成され、該吹出口には吹き出した空気を天井面に導く導風部が形成されるとともに該導風部の終端には空気の一部を堰き止める段部が形成され、さらに該段部の高さは前記吹出口の幅方向両端部において大きく、幅方向中央部に近づくほど漸次小さくなるように形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の天井埋込型空気調和装置は、請求項3記載の天井埋込型空気調和装置において、前記段部に繋がる前記導風部は、高さが変化する前記段部に連続するように、前記吹出口の幅方向および吹出方向のいずれについても曲面状をなして形成されていることを特徴としている。
【0012】
本発明に係る天井埋込型空気調和装置においては、導風部の終端に空気の一部を堰き止める段部を形成することにより、吹出口から吹き出される空気の流れが天井面から離れて斜め下方に向かうようになり、天井に沿う空気の流れが減少して天井に汚れが付着し難くなる。
【0013】
さらに、段部の高さを吹出口の幅方向両端部において大きく、幅方向中央部に近づくほど漸次小さくなるように形成することにより、汚れが付着し易い吹出口両端部ほど天井に沿う空気の流れが少なくなって汚れの付着が防止され、汚れが付着し難い吹出口中央部ではほとんど減少せずに天井効果が十分に生かされる。
【0014】
また、本発明に係る天井埋込型空気調和装置においては、段部に繋がる導風部を、高さが変化する段部に連続するように、吹出口の幅方向および吹出方向のいずれについても曲面状に形成することにより、吹出口から吹き出される空気の流れが両端に近づくにつれて徐々に斜め下方に向かい、両側から回り込むようにして吹出口中央部から吹き出される空気の流れに巻き込まれ、あたかも渦を巻くような三次元的な空気の流れが形成される。これにより、汚れが防止されるとともに天井効果による調和空気の到達距離が延長される。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る天井埋込型空気調和装置の実施形態を図1ないし図5に示して説明する。
天井埋込型空気調和装置の室内ユニットの構造を図1に示す。図において、符号11は天井に埋設されたキャビネットであり、その内部には熱交換器12、ファン13、送風用モータ14、導風板15、ドレンパン16等が配置され、さらにキャビネット11にはその下部開口を覆うようにして天井パネル17が取り付けられている。
【0016】
天井パネル17の中央には矩形の吸込口17aが形成され、さらに吸込口17aの周囲には、矩形をなす各辺部にそれぞれ対応して横長の吹出口17bが形成されている。
【0017】
吸込口17aには、集塵のためのエアフィルタ18を組み合わされた吸込グリル19が填め込まれている。吹出口17bには、調和された空気の吹出方向を変化させる可動フィン17cが設けられている。
【0018】
この天井埋込型空気調和装置には、エアフィルタ18の交換や吸込グリル19の清掃を簡単に行えるように、吸込グリル19をワイヤで吊り下げて昇降させる機構が設けられている。図2に示すように、キャビネット11には正逆転可能なモータ20が固定されており、各モータ20の回転軸に固定されたプーリ21にワイヤ22が巻回され、さらにワイヤ22の先端が吸込口17aの四隅の1箇所に設置されたガイド23a、吸込グリル19の四隅の隣り合う2箇所に設置されたガイド23b,23bに順に通され、さらにガイド23aに隣り合う吸込口17aの四隅の1箇所に固定されている。そして、ワイヤ22を巻き上げることで吸込グリル19を上昇させて吸込口17aに填め込み、ワイヤ22を送り出すことで吸込グリル19を吸込口17aから外して降下させるようになっている。なお、モータ20はキャビネット11にではなく、天井パネル17等、室内ユニットを構成するその他の部材に固定されていても構わない。
【0019】
上記天井埋込型空気調和装置では、送風用モータ14を駆動させてファン13を回転させると、室内の空気が吸込グリル19、エアフィルタ18を通じて吸込口17aから吸い込まれ、導風板5に案内されてファン13に吸入され付勢される。次いで、付勢された空気は熱交換器12を吹き抜ける過程で冷却または加熱され、所望の状態に調和されて吹出口17bから室内に吹き出されるようになっている。
【0020】
本実施形態において、吹出口17bには、吹き出した空気を天井面に導く導風部24が形成され、導風部24の終端には空気の一部を堰き止めるように段部25が形成されている。段部25はその高さが吹出口17bの幅方向両端部(図4(a)参照)において大きく、幅方向中央部に近づくほど漸次小さく(図4(b)参照)形成されている。
【0021】
また、段部25に繋がる導風部24は、高さが変化する段部25に連続するように、吹出口17bの幅方向および吹出方向のいずれについても曲面状をなしており、図3に示すようにあたかも球面の一部をなすように形成されている。
【0022】
上記のように構成された天井埋込型空気調和装置においては、吹出口17bから吹き出される空気の流れが段部25に堰き止められ、天井面から離れて斜め下方に向かうようになり、天井に沿う空気の流れが減少して天井に汚れが付着し難くなる。
【0023】
さらに、段部25の高さを吹出口17bの幅方向両端部において大きく、幅方向中央部に近づくほど漸次小さくなるように形成することにより、汚れが付着し易い吹出口17b両端部ほど天井に沿う空気の流れが少なくなって汚れの付着が防止され、汚れが付着し難い吹出口17b中央部ではほとんど減少せずに天井効果が十分に生かされる。
【0024】
また、段部25に繋がる導風部24をあたかも球面をなすように形成することにより、吹出口17bから吹き出される空気の流れが両端に近づくにつれて徐々に斜め下方に向かい、両側から回り込むようにして吹出口17b中央部から吹き出される空気の流れに巻き込まれ、図5に示すようにあたかも渦を巻くような三次元的な空気の流れが形成される。これにより、天井面の汚れが防止されるとともに天井効果による調和空気の到達距離が延長される。
【0025】
なお、本実施形態においては、吸込グリル19を昇降させてメインテナンス作業を行い易くした構造を有する天井埋込型空気調和装置について説明したが、本発明に係る天井埋込型空気調和装置はこういった吸込グリルの昇降機構を備えるものに限らず、通常の着脱式吸込グリルを備えるものについても実施可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る天井埋込型空気調和装置によれば、導風部の終端に空気の一部を堰き止める段部を形成することにより、吹出口から吹き出される空気の流れが天井面から離れて斜め下方に向かうようになり、天井に沿う空気の流れが減少して天井に汚れが付着し難くなるので、室内の美観を保つことができる。
【0027】
さらに、段部の高さを吹出口の幅方向両端部において大きく、幅方向中央部に近づくほど漸次小さくなるように形成することにより、汚れが付着し易い吹出口両端部ほど天井に沿う空気の流れが少なくなって汚れの付着が防止され、汚れが付着し難い吹出口中央部ではほとんど減少せずに天井効果が十分に生かされる。
【0028】
また、本発明に係る天井埋込型空気調和装置によれば、段部に繋がる導風部を、高さが変化する段部に連続するように、吹出口の幅方向および吹出方向のいずれについても曲面状に形成することにより、吹出口から吹き出される空気の流れが両端に近づくにつれて徐々に斜め下方に向かい、両側から回り込むようにして吹出口中央部から吹き出される空気の流れに巻き込まれ、あたかも渦を巻くような三次元的な空気の流れが形成される。これにより、汚れが防止されつとともに天井効果による調和空気の到達距離が延長されるので、天井面への汚れの付着を防止しながらも高い送風能力が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る天井埋込型空気調和装置の実施形態を示す図であって、天井に設置される室内ユニットの側断面図である。
【図2】 室内ユニットに具備される吸込グリルの昇降機構を示す斜視図である。
【図3】 天井パネルに設けられる吹出口とその周辺の構造を示す斜視図である。
【図4】 図3におけるIV(a)-IV(a)線矢視断面図、ならびにIV(b)-IV(b)線矢視断面図である。
【図5】 吹出口から吹き出される調和空気の流れを示す状態説明図である。
【図6】 従来の天井埋込型空気調和装置における室内ユニットの側断面図である。
【符号の説明】
17 天井パネル
17b 吹出口
24 導風部
25 段部

Claims (4)

  1. 室内ユニットが天井面に埋め込まれるようにして設置される天井埋込型空気調和装置であって、
    前記室内ユニットには、矩形をなす各辺部にそれぞれ対応して横長の吹出口が形成され、該吹出口には吹き出した空気を天井面に導く導風部が形成されるとともに該導風部の終端には空気の一部を堰き止める段部が形成され、さらに該段部の高さは前記吹出口の幅方向両端部において大きく、幅方向中央部に近づくほど漸次小さくなるように形成されていることを特徴とする天井埋込型空気調和装置。
  2. 前記段部に繋がる前記導風部は、高さが変化する前記段部に連続するように、前記吹出口の幅方向および吹出方向のいずれについても曲面状をなして形成されていることを特徴とする請求項1記載の天井埋込型空気調和装置。
  3. 室内ユニットが天井面に埋め込まれるようにして設置され、該室内ユニットに着脱可能に設けられた吸込グリルをこれに連結された複数のワイヤで吊持するとともに該ワイヤを巻き上げまたは送り出すことにより着脱する天井埋込型空気調和装置であって、
    前記室内ユニットには、矩形をなす各辺部にそれぞれ対応して横長の吹出口が形成され、該吹出口には吹き出した空気を天井面に導く導風部が形成されるとともに該導風部の終端には空気の一部を堰き止める段部が形成され、さらに該段部の高さは前記吹出口の幅方向両端部において大きく、幅方向中央部に近づくほど漸次小さくなるように形成されていることを特徴とする天井埋込型空気調和装置。
  4. 前記段部に繋がる前記導風部は、高さが変化する前記段部に連続するように、前記吹出口の幅方向および吹出方向のいずれについても曲面状をなして形成されていることを特徴とする請求項3記載の天井埋込型空気調和装置。
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