以下、本発明の実施形態に係る天井設置型室内機1について図面を参照して説明する。
<天井設置型室内機の全体構造>
図1及び図2に示すように、天井設置型室内機1は、天井71に埋め込まれるカセット室内機である。この室内機1は、天井71に設けられた開口に埋め込まれる室内機本体2と、室内機本体2の下部に取り付けられた下面パネル(化粧パネル)3とを備える。
室内機本体2は、ターボファンなどの送風機11、熱交換器13、ドレンパン14、ベルマウス17、ドレンポンプ25(図4参照)などの複数の構成部品と、これらの構成部品を収容するケース10とを備える。
ケース10は、天板10aと、側板10bとを有する箱状の部材である。ケース10の下部は開口しており、この開口部は、下面パネル3によって塞がれている。ケース10は、平面視で多角形状を呈しているが、これに限られない。本実施形態では、ケース10は、平面視で矩形の四隅が面取りされたような八角形状であるが、これに限られず、例えば正方形や長方形などの四角形状などであってもよい。ケース10内の4つの角部C1〜C4のうちの一つの角部C1(図1,図4参照)にドレンポンプ25などの構成部品が配置されている。
図2に示すように、送風機11は、羽根車16とファンモータ12とを備える。ファンモータ12は、室内機本体2の天板10aの略中央に固定されている。羽根車16は、ハブ19と、シュラウド20と、複数のファンブレード21とを含む。ハブ19は、ファンモータ12のシャフトの下端部に固定されている。シュラウド20は、ハブ19の下方に配置されている。複数のファンブレード21は、ハブ19とシュラウド20との間において羽根車16の回転方向に沿って所定の間隔をあけて配列されている。ベルマウス17は、羽根車16に空気を案内する。
熱交換器13は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能する。熱交換器13は、室内機本体2内に吸い込まれる室内の空気と冷媒との熱交換を行う。熱交換器13は、冷房運転時には室内の空気を冷却し、暖房運転時には室内の空気を暖める。熱交換器13としては、例えばフィンアンドチューブ型熱交換器を例示できるが、これに限られない。
図2及び図3(A),(B)に示すように、熱交換器13は、厚み(本実施形態では水平方向の寸法)の小さな扁平な形状を有している。熱交換器13は、ドレンパン14から上方に起立した状態で送風機11の周囲を囲むように配置されている。
ドレンパン14は、熱交換器13において生じる水滴を収容する。ドレンパン14は、断熱材によって形成されている。断熱材としては、例えば発泡ポリスチレンなどの発泡プラスチックを例示することができるが、これに限られない。図2及び図3(A),(B)に示すように、ドレンパン14は、熱交換器13の下端部に沿って設けられた皿形状を有する。
図2、図3(A),(B)及び図4に示すように、ドレンパン14は、熱交換器13の下端部に対して上下方向に対向する底壁140と、底壁140における内側の側端部から上方に延びる第1側壁141と、底壁140における外側の側端部から上方に延びる第2側壁142とを含む。主に底壁140の上面、第1側壁141の側面及び第2側壁142の側面によって形成される凹部がドレン水の収容空間として機能する。ドレンパン14のより詳細な構造については後述する。
ドレンポンプ25は、ドレンパン14内に収容されたドレン水を室内機1の外に排出する。ドレンポンプ25は、ケース10内において何れか1つの角部に配置されている。図4に示す本実施形態では、ドレンポンプ25は、ケース10内の角部C1(ドレンパン14の角部C1)に設けられている。ドレンポンプ25の配置については後述する。
下面パネル3は、平面視の形状が室内機本体2よりも一回り大きく、天井71の開口を覆った状態で室内に露出している。本実施形態の下面パネル3は、平面視で略矩形状であるが、これに限られない。下面パネル3は、室内の空気をケース10内に吸い込む吸込口91を有する。本実施形態では、吸込口91は例えば矩形状を有し、下面パネル3の中央部に設けられているが、これに限られない。吸込口91には、図略のグリルが設けられている。
また、下面パネル3は、熱交換器13において冷媒と熱交換した空気を室内に吹き出す吹出流路50を形成する吹出部5を有する。下面パネル3は1つ又は複数の吹出部5を有する。吹出部5の数は、特に限定されないが、本実施形態では、4つの吹出部5が下面パネル3に設けられている。4つの吹出部5は、吸込口91の周りを囲むように設けられている。4つの吹出部5は、下面パネル3の4つの外縁に沿って設けられている。各吹出部5の下部には、室内に開口する吹出口51が形成されている。吹出流路50及び吹出口51は、下面パネル3の対応する外縁に平行な方向に延びる細長い形状を有する。
吹出部5の吹出流路50には、室内への空気の吹き出し方向を調節するフラップ22が設けられている。フラップ22は、吹出流路50の長手方向の寸法とほぼ同じ大きさ、又は吹出流路50の長手方向の寸法よりも少し小さい大きさを有する細長い形状である。各フラップ22は、その長手方向が対応する吹出流路50の長手方向に平行となるように配置されている。
各フラップ22は、図略の羽根モータによって、下吹き状態と水平吹き状態との間で角度が調節される。下吹き状態は、フラップ22の可動範囲のうちで、吹出流路50から吹き出される気流の向きが鉛直方向に最も近くなる状態であり、水平吹き状態は、フラップ22の可動範囲のうちで、吹出流路50から吹き出される気流の向きが水平方向に最も近くなる状態である。
下面パネル3は、化粧面を構成する化粧板31と、化粧板31の内側(上側)に設けられた枠部材とを有する。枠部材は、内枠部52と、下面パネル3の周縁部を構成する外枠部53とを含む。内枠部52は、底面視で吸込口91と吹出流路50との間に設けられている。内枠部52は、中央に開口(吸込口91)が形成されている。内枠部52は、底面視で環形状を呈する。外枠部53は、底面視で吹出流路50の外側に設けられており、下面パネル3の外周縁を含む。外枠部53は、底面視で環形状を呈する。内枠部52及び外枠部53を含む枠部材は、上述したような断熱材によって形成されている。
吸込口91とベルマウス17との間には、エアフィルタ15が設けられている。エアフィルタ15は、吸込口91から吸入される空気中の塵埃を除去する。エアフィルタ15は、ベルマウス17の下端部の入口を覆う大きさを有する。図2に示す本実施形態では、エアフィルタ15は波形状を有するがこれに限られない。
ファンモータ12によって羽根車16が回転すると、図2及び図3(A),(B)において一点鎖線の矢印Fで示すように、室内の空気が吸込口91から室内機1の内部に吸い込まれる。吸込口91から吸い込まれた空気は、ベルマウス17によって羽根車16に案内され、熱交換器13に送られる。熱交換器13において冷媒と熱交換した空気は、上流側案内流路90、案内流路80及び吹出流路50の順に下方に流れ、吹出口51からから室内に吹き出される。吹き出される空気は、フラップ22によって吹出方向が調節される。
なお、上流側案内流路90は、案内流路80よりも気流方向の上流側に位置して案内流路80に空気を案内する流路である。本実施形態では、上流側案内流路90は、熱交換器13とケース10内の内側面(本実施形態では、側板10bの内面に設けられた断熱材18の内側面)との隙間によって構成されているが、これに限られない。
<本実施形態の特徴>
次に、本実施形態の特徴について説明する。図5(A)に示すように、本実施形態の室内機1では、角部C1に配置されているドレンポンプ25に隣接する案内部8Aの案内流路80における長手方向の長さは、その下方の吹出部5Aの吹出流路50における長手方向の長さよりも小さい。
そして、本実施形態の室内機1は、整流手段としての整流板4を備えることを特徴としている。ケース10内の角部C1にドレンポンプ25が設置されることに起因して吹出部5Aの吹出流路50の端部、すなわちドレンポンプ25の直下に位置する後述の延出流路70に空気が流れ込みにくくなるという課題を解決するために、本実施形態では、整流板4が設けられている。これにより、室内の空気が逆流して吹出部5Aの延出流路70に流れ込むのを抑制することができる。以下、本実施形態の特徴について具体的に説明する。
(案内部)
各案内部8は、複数の壁面を有し、これらの壁面によって案内流路80を形成している。各案内流路80は、吹出部5の吹出流路50に空気を案内するために吹出流路50の上方において吹出流路50の長手方向に沿って延びる空間である。
本実施形態では、各案内流路80を形成する複数の壁面は、ドレンパン14の一部分によって構成されている。具体的には次の通りである。なお、前記複数の壁面は、ドレンパン14とは別の部材によって構成されていてもよい。
図2〜図5(A)に示すように、ドレンパン14は、第3側壁143をさらに有する。第3側壁143は、第2側壁142に対して隙間をあけて水平方向外側に設けられている。また、ドレンパン14は、第2側壁142と第3側壁143とをつなぐ一対の端壁144,145をさらに有する。これらの端壁144,145は、案内流路80の長手方向に互いに対向する位置に間隔をあけて設けられている。一方の端壁144は、第2側壁142における長手方向一方側の端部と、第3側壁143における長手方向一方側の端部とを接続している。他方の端壁145は、第2側壁142における長手方向他方側の端部と、第3側壁143における長手方向他方側の端部とを接続している。
各案内流路80は、第2側壁142の側壁面(第2側壁142における第3側壁143側の側壁面)と、第3側壁143の側壁面(第3側壁143における第2側壁142側の側壁面)と、一方の端壁144の側壁面8a(端壁144における端壁145側の側壁面)と、他方の端壁145の側壁面(端壁145における端壁144側の側壁面)とによって形成されている。
第2側壁142の側壁面及び第3側壁143の側壁面のそれぞれは、案内流路80の長手方向に帯状に延びる面であって、上下方向の寸法よりも長手方向の寸法の方が大きい。一方の端壁144の側壁面8aは、第2側壁142の側壁面における長手方向一方側の縁部と、第3側壁143の側壁面における長手方向一方側の縁部とを接続している。他方の端壁145の側壁面は、第2側壁142の側壁面における長手方向他方側の縁部と、第3側壁143の側壁面における長手方向他方側の縁部とを接続している。
各案内流路80は、上流側案内流路90と吹出流路50との間に設けられており、上流側案内流路90を流れる空気を吹出流路50に案内する。ドレンポンプ25を配置する角部C1に隣接する位置に設けられた案内部8Aの案内流路80の長さは、他の案内部8の案内流路80の長さよりも小さい。
(吹出部)
各吹出部5は、複数の壁面を有し、これらの壁面によって吹出流路50を形成している。各吹出流路50は、室内に空気を案内するために案内流路80の下方において案内流路80の長手方向に沿って延びる空間である。
本実施形態では、各吹出流路50を形成する複数の壁面は、下面パネル3の内枠部52と外枠部53の一部分によって構成されている。具体的には次の通りである。なお、各吹出流路50を形成する複数の壁面は、内枠部52及び外枠部53とは別の部材によって構成されていてもよい。
図2に示すように、内枠部52と外枠部53とは、各吹出流路50を介して水平方向に間隔をあけて設けられている。また、内枠部52と外枠部53とは、各吹出流路50の長手方向の両端部においては連続している。すなわち、内枠部52及び外枠部53を含む枠部材には、各吹出流路50に対応する部位に上下方向に貫通する貫通孔が設けられている。この貫通孔は、内枠部52と、外枠部53と、内枠部52と外枠部53をつなぐ一対の端壁54,55とによって形成されている。これらの端壁54,55は、吹出流路50の長手方向に互いに対向する位置に間隔をあけて設けられている。
したがって、各吹出流路50は、内枠部52の側壁面5b(外枠部53側に向いた側壁面)と、外枠部53の側壁面5c(内枠部52側に向いた側壁面)と、長手方向一方側の端壁54の側壁面(端壁55側に向いた側壁面)と、長手方向他方側の端壁55の側壁面(端壁54側に向いた側壁面)とによって形成されている。
内枠部52の側壁面5b及び外枠部53の側壁面5cのそれぞれは、吹出流路50の長手方向に帯状に延びる面であって、上下方向の寸法よりも水平方向の寸法の方が大きい。一方の端壁54の側壁面は、内枠部52の側壁面における長手方向一方側の縁部と、外枠部53の側壁面における長手方向一方側の縁部とを接続している。他方の端壁55の側壁面は、内枠部52の側壁面5bにおける長手方向他方側の縁部と、外枠部53の側壁面5cにおける長手方向他方側の縁部とを接続している。本実施形態では、4つの吹出流路50の長手方向の長さは同じ大きさとされている。
図5〜図7に示すように、4つの吹出部5のうちの1つの吹出部5Aの吹出流路50は、ドレンポンプ25を配置する角部C1に隣接する位置に設けられた案内流路80の下方に位置している。吹出部5Aの吹出流路50は、主流路60と、延出流路70とを含む。主流路60は、案内部8Aの案内流路80の直下に位置している。延出流路70は、案内部8Aの案内流路80よりも案内流路80の長手方向の外側に主流路60から延出している。延出流路70の延出方向は、吹出流路50の長手方向に平行である。延出流路70の上方には案内流路80は存在していない。
吹出流路50のうちで主流路60が占める割合は、延出流路70が占める割合よりも大きい。具体的に、主流路60の長手方向の長さは、延出流路70の長手方向の長さよりも大きい。延出流路70は、吹出流路50の長手方向の一端部(角部C1側の端部)に位置している。
図6に示すように、ドレンパン14は、角部C1においてドレンポンプ25などの構成部品の下に設けられた構成部品配置部146をさらに有する。本実施形態では、構成部品配置部146の一端部は、端壁144の下端部に接続されている。構成部品配置部146は、ドレンポンプ25などの構成部品に対して上下方向に対向する上面と、下面とを有する。構成部品配置部146の下面は、延出流路70の上部を区画する上壁面7aとして機能する。なお、延出流路70の上部を区画する上壁面7aは、必ずしも構成部品配置部146の下面によって構成されていなくてもよく、構成部品配置部146とは別に設けられた図略の部材の下面によって構成されていてもよい。
主流路60は、内枠部52の側壁面5bにおける端壁55側の一部と、外枠部53の側壁面5cにおける端壁55側の一部と、端壁55の側壁面とによって形成されている。延出流路70は、上壁面7aと、内枠部52の側壁面5bにおける端壁54側の一部と、外枠部53の側壁面5cにおける端壁54側の一部と、端壁54の側壁面とによって形成されている。
(整流手段)
整流手段としての整流板4は、平板部41と、湾曲部42とを含み、図6及び図7に示す第1実施形態では、これらの平板部41と湾曲部42は一体に形成されている。整流板4は、例えば吹出流路50を形成する壁面、案内流路80を形成する壁面などに取り付けることができる。
平板部41は、少なくとも一部分が延出流路70に配置されており、延出流路70において前記長手方向に沿って延びている。平板部41は、空気を延出流路70の延出方向端部側に案内する上面41aを有する。延出流路70の延出方向端部側とは、延出流路70の先端側であって、例えば図6において延出流路70の左端側である。平板部41は、上面41aに沿って延出流路70に案内される空気が下方に流れることが可能なように設けられている。湾曲部42は、空気を延出流路70に案内する湾曲した上面42aを有する。湾曲部42の上面42aは、空気を平板部41に案内する。
図6に一点鎖線の矢印Fで示すように、案内流路80を下方に流れる空気の一部は、湾曲部42の上面42aと境界部分78との間の隙間を通って平板部の上面41aに流れ込む。そして、延出流路70において平板部41の上面41aに沿って案内される空気は、平板部41の下方に案内されて吹出口51から室内に吹き出される。また、案内流路80を下方に流れる空気の他の一部は、平板部の下面に沿って延出流路70に流れ込み、吹出口51から室内に吹き出される。
具体的に、第1実施形態では、平板部41は、平面視で矩形状をなす平板状の部位である。平板部41の上面41aは、平面であり、本実施形態では水平面に対して平行であるが、これに限られず、水平面に対して傾斜していてもよい。また、平板部41の下面は、上面41aに平行な平面であるが、これに限られず、上面41aに対して傾斜していてもよい。
平板部41は、吹出流路50の長手方向に平行な方向の寸法が前記長手方向に直交する幅方向の寸法よりも大きい形状を有する。図6及び図7に示すように、平板部41は、延出流路70の先端側(端壁54側)に位置する先端縁411と、平板部41と湾曲部42の境界部である基端縁412と、吹出流路50の長手方向に沿って延びる内側縁413及び外側縁414とを有する。内側縁413は、平面視で熱交換器13側に位置しており、外側縁414は、平面視でケース10の側板10b側に位置している。
第1実施形態では、平板部41の大半の部分は、延出流路70に位置しており、平板部41の湾曲部42側の一部分は、主流路60に位置している。言い換えると、平板部41の基端縁412は、図6に示すように、案内流路80の端壁144の側面よりも端壁145側に位置している。これにより、平板部41の上面41aは、案内流路80を流れる空気をキャッチしやすくなる。ただし、平板部41の全部が延出流路70に位置していてもよい。
図6に示すように、平板部41の高さ方向の位置H2は、延出流路70の高さ方向の中央よりも上方に位置している。すなわち、平板部41の高さ方向の位置H2は、下面パネル3の下端位置H1よりも延出流路70の上部を区画する上壁面7aの位置H3に近い。ただし、平板部41の高さ方向の位置H2は、図6に示す位置に限られず、例えば延出流路70の高さ方向の中央に位置していてもよく、延出流路70の高さ方向の中央よりも下方に位置していてもよい。
湾曲部42は、平板部41の基端縁412から滑らかに湾曲しながら案内流路80側に延びる板状の部位である。湾曲部42の上面42aは、平板部41側に向かうにつれて下方に位置するように湾曲している。湾曲部42の上面42aは、斜め下側に凹む凹曲面である。湾曲部42の下面は、斜め下方に凸の凸曲面である。
図6において湾曲部42は、吹出流路50の主流路60に設けられている場合を例示しているが、これに限られない。湾曲部42は、その上端縁421が案内流路80に位置するように案内流路80側にさらに延びて主流路60と案内流路80の両方に存在するように設けられていてもよい。
第1実施形態における整流板4では、整流板4の厚みは全体的にほぼ均一であり、平板部41の厚みと湾曲部42の厚みは、ほぼ同じであるが、これに限られない。
図5(B)に示すように、平板部41の側縁413と吹出部5の側壁面5bとの間には隙間G1が設けられており、平板部41の側縁414と吹出部5の側壁面5cとの間には隙間G2が設けられている。本実施形態では、隙間G2は、隙間G1よりも大きいが、これに限られない。隙間G(G1,G2)は、延出流路70において平板部41の上面41aに沿って案内される空気を下方に流す機能を有する。また、隙間G1及び隙間G2のうちの一方を省略することもできる。
また、図5(B)に示すように、平板部41は、延出流路70において平板部41の上面41aに沿って案内される空気を下方に流す1つ又は複数の貫通孔41Hを有する。図5(B)に示す第1実施形態では、平板部41に複数の貫通孔41H(具体的に3つの貫通孔41H)が設けられている。
また、第1実施形態では、平板部41において、内側縁413側(平面視で熱交換器13側)に設けられている貫通孔41Hの開口面積は、外側縁414側(平面視でケース10の側板10b側)に設けられている貫通孔41Hの開口面積よりも大きい。上流側案内流路90及び案内流路80を通って下方に流れる空気は、平面視で熱交換器13側よりもケース10の側板10b側に多く集まりやすい(偏流しやすい)傾向にある。したがって、内側縁413側の貫通孔41Hの開口面積を外側縁414側の貫通孔の開口面積よりも多くすることによって、延出流路70から室内に吹き出される空気の偏流を抑制することができる。
本実施形態では、貫通孔41Hの開口面積を上記のように調節する方法として、内側縁413側の貫通孔41Hの個数を外側縁414側の貫通孔41Hの個数よりも多くしているが、これに限られない。双方の個数を同じにして開口面積だけを異ならせてもよい。また、平板部41に設ける貫通孔41Hの数は、図5(B)に示す形態に限られない。例えば、内側縁413側の貫通孔41Hの数を外側縁414側の貫通孔の数よりも少なくしてもよく、これらの数を同じにしてもよい。
また、第1実施形態では、平板部41において、平板部41の長手方向の中央よりも基端縁412側の領域に設けられている貫通孔41Hの開口面積は、平板部41の長手方向の中央よりも先端縁411側の領域に設けられている貫通孔41Hの開口面積よりも大きいが、これに限られない。
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係る天井設置型室内機1を示す図であり、図2のVI−VI線における断面図である。図9は、第2実施形態における熱交換器13、案内流路80及び吹出流路50と、整流手段との位置関係を示す斜視図である。第2実施形態は、整流手段における平板部41と湾曲部42が互いに別体の部材である点で、第1実施形態と異なっている。以下では、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と同様の構成については第1実施形態の図と同じ符号を付して説明を省略する。
図8及び図9に示すように、整流手段4は、平板部41(第1整流板41)と、湾曲部42(第2整流板42)とを含む。これらの平板部41と湾曲部42は互いに別体の部材である。平板部41は、例えば吹出流路50を形成する壁面などに取り付けることができ、湾曲部42は、案内流路80を形成する壁面などに取り付けることができる。
図8に一点鎖線の矢印Fで示すように、案内流路80を下方に流れる空気の一部は、湾曲部42の上面42aに案内されて主として平板部41の上面41aに流れ込む。そして、延出流路70において平板部41の上面41aに沿って案内される空気は、平板部41の下方に案内されて吹出口51から室内に吹き出される。また、案内流路80を下方に流れる空気の他の一部は、平板部41の下面に沿って延出流路70に流れ込み、吹出口51から室内に吹き出される。
第2実施形態における平板部41は、湾曲部42とは別体の板状部材である点を除いて、第1実施形態における平板部41の形態と同様の特徴を有するので、詳しい説明を省略する。
湾曲部42は、平板部41側に向かって滑らかに湾曲する板状部材である。湾曲部42は、空気を平板部41に案内する湾曲した上面42aを有する。湾曲部42の上面42aは、平板部41側に向かうにつれて下方に位置するように湾曲している。湾曲部42の上面42aは、斜め下側に凹む凹曲面である。湾曲部42の下面は、斜め下方に凸の凸曲面である。
湾曲部42は、上端縁421と、上端縁421よりも下方で且つ平板部41側に位置する下端縁422と、上端縁421と下端縁422をつなぐ内側縁423及び外側縁424とを有する。内側縁423は、平面視で熱交換器13側に位置しており、外側縁424は、平面視でケース10の側板10b側に位置している。
図8において湾曲部42は、案内流路80のみに設けられている場合を例示しているが、これに限られない。湾曲部42の上端縁421が上流側案内流路90に位置していてもよく、また、湾曲部の下端縁422が吹出流路50の主流路60に位置していてもよい。また、図8に示す第2実施形態では、湾曲部42は、案内流路80の長手方向の中央よりも平板部41側に位置しているが、これに限られない。
<変形例>
上述した第1実施形態及び第2実施形態において、延出流路70と案内流路80の境界部分78について説明する。図10(A)〜(E)は、第1実施形態及び第2実施形態の室内機1の変形例を示す概略断面図である。なお、図10(A)〜(E)では、整流手段の図示を省略しているが、実際には上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様の位置に整流手段(整流板4)が設けられている。
図10(A)に示す変形例1では、延出流路70の上部を区画する上壁面7aと案内流路80の延出流路70側の側部を区画する端壁面(側壁面8a)との境界部分78は、これらの壁面がほぼ垂直に交わる角形状を有する。すなわち、変形例1における境界部分78は、略水平面である上壁面7aと略鉛直面である端壁面(側壁面8a)のそれぞれの縁がつながって構成されている。
これに対し、図10(B)〜(E)に示す変形例2〜5では、境界部分78は、外側に凸(斜め下方に凸)の湾曲面である。境界部分78が湾曲面である変形例2〜5は、変形例1に比べて、境界部分78の近傍を流れる空気が湾曲面に沿って延出流路70側に流れやすくなるので、延出流路70に流れ込む空気の量がさらに増加する。
具体的に、図10(B)に示す変形例2では、境界部分78の湾曲面の曲率半径Rは25mmである。図10(C)に示す変形例3では、境界部分78の湾曲面の曲率半径Rは45mmである。図10(D)に示す変形例4では、境界部分78の湾曲面の曲率半径Rは90mmである。変形例2〜4では、湾曲面の断面は円弧状である。変形例5では、湾曲面の断面は楕円弧形状である。図10(E)に示す変形例5では、楕円弧の水平方向の短半径X(例えば45mm)と鉛直方向の長半径Y(例えば90mm)の比は1:2である。なお、図10(A)〜(E)に示す変形例は、第1実施形態及び第2実施形態の一例であって、室内機1は、これらに限られるものではない。
変形例2〜5では、変形例1に比べて、延出流路70の先端側(端壁54側)に空気が届きやすくなる。変形例2,3,5は、延出流路70の先端側に空気を案内する効果に優れているが、変形例4のように曲率半径Rを大きくすると、フラップ22の背面付近からの空気の逆流が生じる傾向にあり、変形例2,3,5に比べて延出流路70の先端側に空気を案内する効果が小さい。
変形例5では、湾曲面が上記のような楕円弧形状であるので、変形例3に比べて、湾曲面に空気がさらに沿って流れやすくなる傾向にある。その結果、変形例5では、変形例2,3に比べて延出流路70の先端側に空気を案内する効果が大きい。
また、境界部分78の湾曲面の曲率半径Rが45mmを超えると、ドレンパン14の端壁144の形状を大きく変形させる必要があり、これに伴って、例えば吹出流路50の延出流路70の大きさが拡大するなどのようにケース10内の内部構造が大きく変わる。したがって、湾曲面の曲率半径Rは、45mm以下であるのが好ましい。
境界部分78の湾曲面の曲率半径Rは、特に限定されないが、例えば5mm以上45mm以下であるのが好ましく、10mm以上40mm以下であるのがより好ましく、15mm以上30mm以下であるのがさらに好ましい。
<実施形態のまとめ>
以上説明したように、第1,第2実施形態及びこれらの変形例では、熱交換器13から吹出流路50に至るまでの空気流路に、延出流路70に空気を案内する整流手段4を配置する。これにより、多くの吹出気流が集まる部位(例えば案内流路80や吹出流路50の長手方向の中央部など)を流れる空気を延出流路70側に案内することができる。また、整流手段4の端部を湾曲形状にすることによって、より多くの吹出気流を延出流路70側に引き込むことができる。
また、延出流路70に整流手段4を設置することにより、吹出気流の流通抵抗が大きくなって延出流路70の先端側(延出流路70の延出方向側)へ気流が流れやすくなる。また、延出流路70に整流手段4を設けることにより、整流手段4を設置しない場合に比べて延出流路70における室内に開口する側の空間の容積が小さくなるので、フラップ22の背面側における空気の逆流が抑制される。また、延出流路70に整流手段4を設置することにより、整流手段4を設置しない場合に比べてフラップ22の背面側において空気が逆流して延出流路70の上部に抜ける空気の流れが生じるのが抑制される。
第1,第2実施形態及びこれらの変形例では、案内流路80を流れる空気は、その直下に位置する吹出流路50の主流路60に案内されるだけでなく、上記した整流手段4によって延出流路70にも案内される。したがって、ケース10内の角部にドレンポンプ25などの構成部品が設置されることに起因して空気の流れ込みにくい延出流路70が形成されている場合であっても、室内の空気が延出流路70に逆流するのを抑制することができる。これにより、延出流路70の近傍(例えばフラップ22、吹出流路50を形成する壁面など)において結露が生じるのを抑制できる。
すなわち、案内流路80を流れる空気の一部は、案内流路80及び主流路60の少なくとも一方に設けられた湾曲部42の湾曲した上面42aによって平板部41に案内される。そして、平板部41に案内された空気は、延出流路70において平板部41の上面41aに沿って延出流路70の延出方向端部側に案内される。これにより、延出流路70に流れ込む空気の量を増加させることができる。そして、延出流路70において平板部41の上面41aに沿って案内される空気は下方に流れて吹出口51から室内に吹き出される。このように吹出流路50では、主流路60だけでなく延出流路70においても下方に流れて吹出口51から室内に吹き出される空気の流れが形成されるので、室内の空気が延出流路70に逆流するのを抑制できる。
第1,第2実施形態及びこれらの変形例1〜5では、平板部41と、延出流路70の側部を区画する側壁面との間には、延出流路70において平板部41の上面41aに沿って案内される空気を下方に流す隙間G(G1,G2)が設けられている。したがって、延出流路70に案内された空気は、延出流路70の延出方向端部側に案内されるとともに、隙間Gを通じて下方に流れて吹出口51から室内に吹き出される。
第1,第2実施形態及びこれらの変形例1〜5では、平板部41は、延出流路70において平板部41の上面41aに沿って案内される空気を下方に流す貫通孔41Hを有している。したがって、延出流路70に案内された空気は、延出流路70の延出方向端部側に案内されるとともに、貫通孔41Hを通じて下方に流れて吹出口51から室内に吹き出される。
第1実施形態及びその変形例1〜5では、平板部41と湾曲部42が一体に形成されている。したがって、部品点数が増加するのを抑制でき、また、室内機1の製造時において整流手段4の取り付け作業が煩雑になるのを抑制できる。
第2実施形態及びその変形例1〜5では、平板部41と湾曲部42は互いに別体の部材によって構成されている。したがって、湾曲部42を平板部41から離れた位置に設けることができるので、湾曲部42を、例えば吹き出し気流が集まりやすい場所に配置することができる。吹き出し気流が集まりやすい場所としては、例えば案内流路80の長手方向の中央及びその近傍などが例示できる。また、この構成では、湾曲部42を平板部41から離れた位置に設けることができるので、整流手段4によって塞がれる吹出流路50の断面積を小さくすることができる。これにより、吹出流路50から吹き出される空気の抵抗が大きくなるのを抑制することができる。
第1,第2実施形態及びこれらの変形例2〜5では、延出流路70の上部を区画する壁面と案内流路80の延出流路70側の側部を区画する壁面との境界部分78は、外側に凸の湾曲面ある。したがって、変形例2〜5では、変形例1のように境界部分78が平面と平面のそれぞれの縁がつながって構成される場合に比べて、境界部分78の近傍を流れる空気が湾曲面に沿って延出流路70側に流れやすくなる。これにより、延出流路70に流れ込む空気の量がさらに増加する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
例えば、前記実施形態では、隙間G及び貫通孔41Hの両方が設けられている場合を例示したが、これに限られない。例えば隙間G及び貫通孔41Hの一方のみを設ける形態であってもよい。また、隙間G及び貫通孔41Hの両方を省略して、上面41aに沿って延出流路70に案内された空気が下方に流れることが可能な別の手段を採用することもできる。
前記実施形態では、4つの吹出部5のうちの1つの吹出部5Aに整流手段4を設ける場合を例示したが、これに限られない。2つ以上の吹出部5Aに整流手段4を設けてもよい。
前記実施形態では、整流手段4が湾曲部41と平板部42とを備える場合を例示したが、これに限られない。整流手段4は、平板部42を備えていなくてもよく、湾曲部42のみからなる形態であってもよい。この場合、湾曲部42は、例えば案内流路80や吹出流路50を形成する壁面などに取り付けられる。