JP3957858B2 - 操作パネルの外ケースにおける蓋装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、操作パネルの外ケースにおける蓋装置に関する。この発明に係る操作パネルは、例えば電気錠を施解錠する為に暗証番号を入力用のテンキーパネルであって、少くともその操作パネルを内装した外ケースはドア自体又はドアの近傍の壁部等に取り付けられるものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の蓋装置における従来のものとしては、例えば、テンキー等の操作パネルを内装した外ケースに該操作パネルを覆うための開閉可能な蓋板を上端部において枢着し、また、蓋板の下端部に設けた係止部に常態で係合して該蓋板を閉鎖位置に保持できるようにした操作釦を外ケースに装着し、更に蓋板は操作釦の開放操作による、初期開放位置(小角度で浮き上がった状態の位置)に至るまでの間を揺動できるようにばねで付勢させて成るものを挙げることができる。なお、前記の蓋板は操作パネルを雨水やほこり等から保護する目的で設けられていることは言うまでもない。
【0003】
また、他の型式の従来の蓋装置として、蓋板の上端の枢着部に摩擦抵抗が生じるようにばね部材を設け、蓋板を操作釦から解放した後は片手で任意の角度位置に置くことができるようにしたものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のような従来装置によれば、操作パネルの操作者は、操作釦を押した後は、わずかに浮き上がった状態にある蓋板を一方の手で大きく開いてそのまま保持し、他方の手の指でテンキーその他のパネルを押さなければならず、使い勝手が悪いという不都合があった。殊に、操作者が手に荷物を持っている時は、一端荷を置いてから操作パネルを押さなければならず、なかなか面倒であった。
【0005】
また、蓋板に摩擦を利かせる型式の蓋装置は、ばねで初期開放位置に押上げることができないので、蓋板を開ける際片手で操作釦を押し、もう一方の手で蓋板を開ける必要がある。
【0006】
この発明に係る操作パネルの外ケースにおける蓋装置は前述のような使い勝手上の問題点を解決し、また、簡単な構造でその問題点を解決出来るようにすることを目的として提案されたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る蓋装置は、ドア又はドアの近傍に取り付けられ、少くとも操作パネルを内装した外ケースに、該操作パネルを覆うための開閉可能な蓋板をその上端部において水平な枢軸によって枢着し、一方、外ケース外面の上端部に、横断面形状が上が開いたコ字形の第1ばねと、横断面下向き山形の山形部を有する第2ばねとを配設し、蓋板を閉じたとき、蓋板の内面上端部に突設された当接片が第1ばねを弾性変形させて、その第1ばねの弾力により蓋板が開放方向に付勢されるようにし、他方、開放方向に付勢された蓋板を閉鎖位置に拘束するため、蓋板の下方における外ケース外面に、蓋板の下端に形成された係止部と係合する方向に付勢された操作釦を設け、以て、常態では蓋板を閉鎖位置に保持すると共に、操作釦の開放操作により第1ばねの抗力と蓋板の自重に基くモーメントとのバランスにより定まる初期開放位置迄蓋板が開くようにし、また、蓋板の内面上端部に係合突部を形成し、この係合突部の形成位置及び大きさを、蓋板を初期開放位置から更に開いたとき、係合突部が第2ばねの下側を回り、その山形部を弾性的に乗り越えてこれに係止されることにより、蓋板が完全開放位置に迄開き、かつその位置を保持できるように設定したことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1の蓋装置において、第1ばね及び第2ばねを単一の板ばね材で形成したことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施例に基いてこの発明について説明する。
図1〜図3において、正面形が例えば長方形状をなす中空の外ケース1は、前面側の本体部分11と裏板12とで構成され、ドア自体10又はドアの近傍の壁部等に対し取付ねじ91等で固定されている。
【0010】
前記の外ケース1には、少なくも、暗証番号入力用のテンキーパネルその他の操作パネル2が内装されており、その操作パネル2は押えねじ92等で固定されている。符号21は通電コードである。
【0011】
そして、操作パネル2が外部に露出する外ケース1の開口部分13には、不使用時そこを覆う為の開閉可能な蓋板3が設けられている。蓋板3は例えば横断面がコ字状をなし、その上端部が水平な枢軸31で外ケース1に対し枢着してある。
【0012】
図中、符号33は蓋板3の内面に一体に突設した枢軸31の抜け止めで、枢軸31の段部端面に当接するように形成してある。
【0013】
一方、蓋板3の下端部には一体に又は別体として係止部32が設けてあり、その係止部32は段部32a及び該蓋板3の閉鎖作動時に後述の操作釦4に対する係合の案内となる案内斜面32bを有している(図3参照)。
【0014】
後記の操作釦4に手を触れていない常態では、前記の係止部32の段部32aに該操作釦4の先端(上端)が係合して蓋板3を閉鎖位置に保持させることができる。
【0015】
操作釦4は、外ケース1に対し一対の脚部41、41において水平枢軸42で揺動可能に枢支してあり、また、ねじりばね等の戻しばね43で該操作釦4の先端が蓋板3における係止部32の段部32a係合できるように付勢させてある。
【0016】
図3で符号44は操作釦4の後端部(下端部)を弯曲させて形成した指掛け部で、表面には滑り止めのための多数の溝が形成してある。なお、滑り止めのための指掛け部44上の多数の溝は、図1においてはその記載を省略してある。
【0017】
図示例の水平枢軸42は外ケース1に対し受け枠45を介して支持させてあるが、外ケース1に対し直接支持させるようにしてもよいことは勿論である。なお、図中符号46は操作釦4の常態における角度位置を規定するストッパーである。
【0018】
また、図示例の操作釦4は揺動型であるが、その操作釦は他の形式とすることもできる。他の形式の操作釦としては、外ケース1の上下方向(長さ方向)にスライドできるようにした摺動型のものや、外ケース1の一部を弾性変形するようにした弾性変形型のものを挙げることができる。
【0019】
前者のものにあっては、その操作釦を上方に向け付勢させ、常態状態において蓋板3の係止部32に係合させて該蓋板3を閉鎖位置に保持できるようにする。
【0020】
また、後者のものにあっては、常態において外ケース1に一体に形成した釦状のものを蓋板3の係止部32に係合させ、蓋板3の開放時にはその釦状のものを手指で弾性的に変形させて蓋板3との係合を解くようにすればよい。
【0021】
一方、図1において、符号5は図示しない電気錠に不具合が生じたときに手動で錠機構を作動させるために外ケース1内に設けた非常用のシリンダ錠、51はシリンダ錠5を用いる時に開放される錠カバー、52は外ケース1に後方から固定されたシリンダ錠5の止め枠、6はレバーハンドル、61はハンドル軸をそれぞれ示すが、これら部材は本発明の装置にとって必須の構成部材ではない。
【0022】
次に図1〜図3に戻ってこの発明の要部について説明する。
この発明の外ケース本体11の上端部には、側面が例えばC字状をなすように板ばね材を屈曲させて作られた蓋ばね7が、操作パネル2の押えねじを兼ねる止めねじ92で取り付けられている。
【0023】
この蓋ばね7は、単一にして共通の板ばね材を用いて第1ばね71及び第2ばね72としての2つの役割を果たすように形成されている。
【0024】
即ち、図2に明示するように、蓋ばね7は、幅広の細長い本体部分73と、脚片74、74と、脚片74、74と平行にして本体部分73の中央部から直角に延びる頂片75と、頂片75から更に直角に延び内に凸の山形部76aを有する拘束片76とから成る。
【0025】
第1ばね71は、主として脚片74、74と、本体部分73と、頂片75がその役割を果たし、図3に明示するように、蓋板3の閉鎖時、蓋板3の上端部内面に一体に突設された当接片34により第1ばね71が予め弾性変形されて該蓋板3を開放方向に付勢させている。
【0026】
従って、閉鎖時の蓋板3は、操作釦4の開放操作によって蓋板3の係止片32と操作釦4の先端との係合が解けると、第1ばね71の復元力、すなわち初期変形に基く付勢力で初期開放位置に至るまでの間のわずかな角度範囲を揺動し、第1ばね71の抗力と蓋板3の自重に基くモーメントとのバランスによりその初期開放位置に留まる(図4参照)。
【0027】
初期開放位置に浮き上った蓋板3の下端部を手指で掴み、蓋板3の開放角度を更に増大させて操作パネル2を指で押すことが可能となる完全開放位置(図5参照)まで持ち上げると、そこでは第2ばね72が作用することになり、蓋板3は完全開放位置での開放状態が保持されることになる。
【0028】
蓋板3のこの位置における開放角度の保持は、蓋板3の内面上端部に内方に向け一体に又は別体として突設した係合突部35が主として拘束片76と頂片75とで成る第2ばね72で自動的に拘束されることにより達成される。
【0029】
更に具体的には、図5に示すように、先端が側面においてV字状をなすように形成された係合突部35が第2ばね72における拘束片76の山形部76aを弾性的に乗り越えてその奥側で係止されることにより、蓋板3は完全開放位置で保持されることになる。
【0030】
なお、図示例では、第1ばね71と第2ばね72とは共通の蓋ばね7として設けてあるが、2つのばね71、72は格別に設けることもできる。その場合、第1ばね(71)は例えば圧縮コイルばねとして蓋板3側に固定することもできる。
【0031】
次に、以上に説明したこの発明の蓋装置の作用について図3〜図5において説明する。
【0032】
図3では蓋板3はその係止部32が操作釦4の先端に係合されており、常態の閉鎖位置に保持されている。この際、第1ばね71は弾性変形された状態にあって、閉鎖位置に係合保持された蓋板3を開放方向に付勢させている。
【0033】
この蓋板3を開放するには、先ず、操作釦4を手指により戻しばね43に抗して図3で時計方向に向けわずかに揺動させる。
【0034】
この操作釦4の開放操作により、操作釦4と蓋板3との係合が解除されるので、図4に示すように、蓋板3は第1ばね71の復元力(付勢力)により初期開放位置までの間を揺動し、わずかに開いた状態となる。
【0035】
そこで、蓋板3を手指で掴んで更に大きく押し上げると、図5に示すように、蓋板3は予め定められた完全開放位置に至って、その係合突部35が蓋ばね7における第2ばね72を弾性変形させつつ第2ばね72の山形部76aの内側に係入し、ここで手指を離しても蓋板3はそのまま完全開放位置に係止保持される。
【0036】
この開放状態においては、操作パネル2は開口部分13を通じて指で押圧できることになる。
【0037】
完全開放位置にある蓋板3を図3に示す閉鎖された常態位置に戻すには、蓋板3を単に手指で押し下げてやればよく、各部材は、自動的に当初の位置に復帰する。
【0038】
【発明の効果】
以上に説明したこの発明に係る捜査パネルの外ケースにおける蓋装置によれば、蓋板を大きく開いた完全開放位置では、それを手指で押えていなくてもその開放状態が保持されるので、操作パネルを押圧操作する際に、蓋板を他方の手で押さえておく必要がなく、使い勝手を著しく向上させる上、機能の割に構造が極めて簡単である。
【0039】
また、蓋板に摩擦を利かせる型式の蓋装置と比較して、その開閉に要する力が極く少なくて済む、等種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を蓋板を閉鎖した常態で示す部分縦断側面図。
【図2】その実施例から取り外した蓋ばねを拡大して示す図で、(A)は正面図、(B)は図2の(A)のII−II線による横断側面図、(C)は平面図である。
【図3】図1の実施例の要部を蓋板を閉鎖した状態で示す拡大縦断側面図。
【図4】蓋板を初期開放位置に置いた状態で示す、その要部の拡大縦断側面図。
【図5】蓋板を完全開放位置に置いた状態で示す、その要部の拡大縦断側面図。
【符号の説明】
10 ドア
1 外ケース
2 操作パネル
3 蓋板
32 係止部
35 係合突部
4 操作釦
71 第1ばね
72 第2ばね
Claims (2)
- ドア又はドアの近傍に取り付けられ、少くとも操作パネルを内装した外ケースに、該操作パネルを覆うための開閉可能な蓋板をその上端部において水平な枢軸によって枢着し、一方、外ケース外面の上端部に、横断面形状が上が開いたコ字形の第1ばねと、横断面下向き山形の山形部を有する第2ばねとを配設し、蓋板を閉じたとき、蓋板の内面上端部に突設された当接片が第1ばねを弾性変形させて、その第1ばねの弾力により蓋板が開放方向に付勢されるようにし、他方、開放方向に付勢された蓋板を閉鎖位置に拘束するため、蓋板の下方における外ケース外面に、蓋板の下端に形成された係止部と係合する方向に付勢された操作釦を設け、以て、常態では蓋板を閉鎖位置に保持すると共に、操作釦の開放操作により第1ばねの抗力と蓋板の自重に基くモーメントとのバランスにより定まる初期開放位置迄蓋板が開くようにし、また、蓋板の内面上端部に係合突部を形成し、この係合突部の形成位置及び大きさを、蓋板を初期開放位置から更に開いたとき、係合突部が第2ばねの下側を回り、その山形部を弾性的に乗り越えてこれに係止されることにより、蓋板が完全開放位置に迄開き、かつその位置を保持できるように設定したことを特徴とする操作パネルの外ケースにおける蓋装置。
- 第1ばね及び第2ばねを単一の板ばね材で形成したことを特長とする請求項1記載の操作パネルの外ケースにおける蓋装置。
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