JP3957729B1 - ハンダ付け方法及び電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低い接合温度でも充分に接合できるようにしたり、または接合温度が高くなっても問題が生じないようにしたりする。
【解決手段】 電極2上に電線1を置き、接合材4を盛る。接合材4を第一の温度まで加熱し、絶縁被覆12を分解溶出させる。さらに加熱して第一の温度より高い第二の温度とすると、接合材4中の接合用金属が融解し、親和性の違いから、接合用金属の層41と絶縁材料の層42に層分離する。さらに加熱を続けると、熱硬化樹脂が硬化し、金属層41を覆うようにして硬化した樹脂層(硬化層)42が形成される。
【選択図】 図1

Description

本願の発明は、電子部品を回路基板にハンダ付けする場合のような導体部材同士をハンダ付けする際の材料及び方法に関するものである。
導体部材同士を接合して導通を確保することは、電子部品や電気部品の実装等の分野で盛んに行われている。このような導体部材同士の接合は、通常、ハンダ付けにより行われる。ハンダ付けに用いられるハンダ材は、線状又はクリーム状等の所定の性状にするため、金属の粉にフラックスと呼ばれる樹脂を混ぜて作られている。
ハンダ付けは、ハンダ材を高温に加熱して金属成分(ハンダ用金属)を融解させ、導体部材の表面と合金化させることで行われる。この際、混ぜ合わせたフラックスが残さとして残る。残ったフラックスは、電気特性を悪化させたり見栄えを悪くしたりするので、残さフラックスを除去する必要がある。残さフラックスの除去は、通常、ハンダ付け後にワークを洗浄液で洗浄することで行われる。
尚、以下の説明では、電子部品又は電気部品を総称して「電子部品」とする。
特開平4-209687号公報
上記のようにハンダ付け後に洗浄を行うことは、工程が増えるため生産性向上のためには好ましくない。また、ワークによっては洗浄液を使用することが好ましくない(ドライプロセスが求められる)場合もある。このようなことから、洗浄不要のハンダが無洗浄ハンダとして開発されている。しかしながら、発明者の知るところによれば、無洗浄ハンダとして開発されたものに実用に耐え得るものは存在しない。無洗浄ハンダとして開発されたものは、沸点の低いフラックスを使用することでハンダ付け時にフラックスが揮発して残らないようにしたり、フラックスの特性を改良して残ったとしてもハンダ付け箇所の電気特性が悪化しないようにしたものであるが、いずれも実用に耐え得る性能は得られていない。
本願発明の一つの目的は、係る課題を考慮したものであり、ハンダ付け後の洗浄を不要にする実用的な接合材を提供する点である。
また、上述したハンダ付けにおいて、ハンダ付けのみでは機械的な接合強度が確保できない等の理由から、ワークを接着剤で接着することがある。例えば、チップ部品をプリント基板上にハンダ付けする際、予め接着剤で接着してチップ部品をプリント基板に固定することがしばしば行われる。また、集積回路パッケージの組み立てにおいては、端子をリード線にハンダ付けした後、全体を樹脂でモールドし、全体を固着する場合がある。
しかしながら、接着工程を別途行うことは生産性を低下させる原因となる。本願発明の別の目的は、この点を考慮したもので、機械的強度を確保する等のための接着をハンダ付けとともに行えるようにし、工程の省略により生産性の向上を可能にすることである。
また、ハンダ付けにおいて、導体部材の少なくとも一方が絶縁被覆で覆われていることがある。被覆電線のハンダ付けがその典型例である。絶縁被覆としては、ポリウレタンが使用されることが多い。ポリウレタンがハンダ付けの熱により融解して除去できるので、作業が容易なためである。その反面、耐熱性が低い欠点もあり、ワーク全体を加熱炉等で加熱してハンダ用金属をリフローさせるような場合に温度がポリウレタンの耐熱性を越えてしまうこともある。このため、耐熱性の高いポリイミドが絶縁被覆として使われることもある。
しかしながら、ポリイミド被覆電線の場合、ハンダ付けや溶接時の高温のみでは被覆が除去できないので、事前にニッパー等で剥離する必要がある。このような作業は面倒でコスト上昇の原因となる他、極細線化された被覆電線のような微細な電子部品の場合、本体(導体部材)を残して絶縁被覆だけを剥離することは困難になることもある。
本願発明の別の目的は、係る課題を考慮したもので、絶縁被覆を予め除去することを不要にし、生産性の向上に寄与することにある。
また、最近のハンダ付けの傾向として、鉛フリーの要求により接合時の温度が高くなってきている点が挙げられる。鉛はハンダ材の粘度を下げたり、又は融点を下げたりする目的で添加される。従って、鉛を添加しないと接合材の融点は一般的に高くなる。このため、ハンダ付け時の加熱温度(ハンダ付け温度)も高くしなければならなくなってきている。ハンダ付け温度の上昇は、色々な問題や課題を生じさせている。
一例を示すと、電子部品を実装する場合の他、電子部品自体の製造においても、ハンダ付けはしばしば行われる。例えば、小型のコイルの製造では、コアにワイヤーを巻き付けた後、コアに設けられた端子にワイヤーをハンダ付けしてコイルを完成させる。このようなコイルは、プリント基盤等に実装される際、やはりハンダ付けが行われる。実装時のハンダ付け温度が高くなってくると、既にハンダしたコイル内のハンダ付け箇所が、実装時の加熱によってハンダ材が融けだしてしまうことがある。
このような問題を解決するには、部品の製造時のハンダ付けにおいて高融点のハンダ材を使用すれば良いが、この場合には、さらに高い温度(実装時よりも高い温度)でハンダ付けをすることになり、部品を構成する他の部材の耐熱性が問題となったり、完成する部品の特性に悪影響を与えたりする問題が生ずる。
また、ハンダ付け温度が高くなってくると、絶縁被覆の滲み出しの問題も生じてくる。即ち、ハンダ材は、ワイヤーのうち絶縁被覆を除去した箇所(裸の箇所)を覆うように盛られるが、裸の箇所を完全に覆うため、残っている絶縁被覆にも一部重なるようにハンダ材が盛られる。この際、ハンダ付け温度が高いと、絶縁被覆が融解し、融解したハンダ材中に滲み出してくる問題がある。絶縁被覆の滲み出しは、ハンダ付け箇所の導通性低下や固定強度低下等の問題を生じさせる。
さらに、電子部品の製造では、ハンダ付けに加え、熱可塑性樹脂を使用した固着が行われる場合がある。例えば前述した小型コイルを例にすると、絶縁被覆をさらに熱可塑性樹脂で覆った二重被覆ワイヤーが使用されることがある。二重被覆ワイヤーをコアに巻き付けて端子にハンダ付けした後、全体を加熱して熱可塑性樹脂を軟化させる。その後冷却すると、巻かれたワイヤーが全体に固着したコイルができあがる。
このような固着用に熱可塑性樹脂を使用した電子部品では、実装時のハンダ付け温度が高いと、熱可塑性樹脂が軟化し、固着部分の強度が低下したり、または固着が解除されてしまったりする問題が生じる。
本願発明の別の目的は、このような問題や課題を解決することであって、低いハンダ付け温度でも充分にハンダ付けできるようにしたり、または実装時のハンダ付け温度が高くなっても問題が生じないようにしたりすることを目的としている。
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、導電性の表面を有する導体部材同士をハンダ材によりハンダ付けするハンダ付け方法であって、
ハンダ材は、ハンダ用金属と絶縁剤とが混合されて成るものであって、絶縁材は熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂より成るものであり、このハンダ材にはエポキシ樹脂の硬化を阻害する硬化阻害剤が配合されており、
硬化阻害剤は、導体部材同士を接合することが可能な程度にハンダ用金属を加熱して融解させるのに必要な熱量を超える熱量で加熱された際にエポキシ樹脂が硬化するようエポキシ樹脂の硬化を阻害するものであり、
ハンダ材を導体部材同士のハンダ付け箇所に付着させた後、ハンダ材を第一の熱量で加熱してエポキシ樹脂を未硬化のままとしてハンダ用金属を融解させる第一の加熱ステップと、
第一の加熱ステップに引き続いてさらに加熱してエポキシ樹脂を熱硬化させる第二の加熱ステップとを含む方法であり、
第一の加熱ステップでは、前記親和性の違いから表面側にエポキシ樹脂の層が形成され内部側にハンダ用金属の層が形成された状態とされ、第二の加熱ステップにおいてこの層分離状態を維持しつつエポキシ樹脂を熱硬化する方法であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項9記載の発明は、ハンダ材により導体部材同士をハンダ付けしたハンダ付け部を有する電子部品であって、
ハンダ付け部は、導体部材同士をハンダ付けしたハンダ用金属の層である金属層と、金属層を覆う絶縁層で形成されており、
絶縁層は、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂が熱硬化したものであって、金属層を構成するハンダ用金属を加熱して融解させるのに必要な熱量を超える熱量で加熱されることで硬化したものであり、
金属層及び絶縁層は、ハンダ用金属が加熱されて融解状態になった際、硬化阻害剤によりエポキシ樹脂の硬化が阻害されることで導体部材双方の表面に対する親和性の違いから層分離したものであり、層分離した状態でエポキシ樹脂が熱硬化したものであるという構成を有する。
以下に説明する通り、請求項1のハンダ付け方法によれば、ハンダ用金属に混ぜ合わされた絶縁剤が熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂であり、ハンダ付けの際に層分離し更なる加熱で熱硬化樹脂が硬化して硬化層が形成されるので、従来のような洗浄工程は不要である。つまり、従来洗浄して洗い流す必要があった樹脂成分を熱硬化させてしまう構成としたので、洗浄は本質的に不要である。そして、ハンダ付けされた箇所が必然的に熱硬化性樹脂で覆われた状態となるので、ハンダ付け箇所の保護、電気特性の向上等の効果が同時に得られる。即ち、硬化層によって覆われるので、耐衝撃性等の機械的強度が向上するとともに、化学的な損傷からも保護される。
また、請求項3のハンダ付け方法によれば、上記効果に加え、絶縁被覆と反応して絶縁被覆を分解溶出させる被覆分解剤が配合されているので、予め絶縁被覆を除去しておくことが不要である。このため、生産性が向上する。
また、請求項5のハンダ付け方法によれば、上記効果に加え、被覆分解剤として用いたアミン化合物が熱硬化性樹脂の硬化剤に兼用されているので、別途硬化剤を配合することが不要であり、コストの面でメリットがある。
また、請求項6のハンダ付け方法によれば、上記効果に加え、導体部材同士のハンダ付けとともに他の部材に対する接着も同時に行えるので、工程の省略による生産性の向上やコストの低減が見込める。
また、請求項7のハンダ付け方法によれば、上記効果に加え、電子部品の実装の際に電気的導通とともにプリント基盤への接着が同時に行えるので、工程の省略による生産性の向上やコストの低減が見込める。
また、請求項9の電子部品によれば、ハンダ付け部が、導体部材同士をハンダ付けした金属層と、金属層を覆う熱硬化樹脂より成る樹脂層で形成されているので、ハンダ付け箇所の機械的又は化学的な保護、電気特性の悪化防止等の効果が得られる。また、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であるので、電気絶縁性や機械的強度の点で良好である。
次に、本願発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)について説明する。
実施形態のハンダ付け方法に使用されるハンダ材は、ハンダ用金属と絶縁剤とが混合されて成るものである。このハンダ材は、ハンダ付けに使用されるものであることは当然であるが、後述するように、「接着」も行うことが可能なものである。尚、以下の説明において、「接合」は、「ハンダ付け」と「接着」の両者を包含する用語として用いられている。
ハンダ用金属は、ハンダ付け、即ち、加熱により融解し導体部材と合金化して導通を確保する金属(合金の場合を含む)である。Sn−Pb合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Cu合金等、ハンダ用金属として現在使用されているすべての材料について採用でき、特に限定されない。合金の比率についても、特に限定はされない。
熱硬化性樹脂としては、ノボラック樹脂やレゾール樹脂のようなフェノール樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル等が使用できるが、エポキシ樹脂のような接着力の高い樹脂が好適に使用できる。
実施形態の大きな特徴点は、熱硬化性樹脂は、導体部材同士をハンダ付けすることが可能な程度にハンダ用金属を加熱して融解させるのに必要な熱量(以下、融解熱量という)を超える熱量でハンダ材が加熱された際に硬化するものとなっている点である。
熱硬化性樹脂の硬化温度がハンダ用金属の融点より高い場合、この要件を満足する。また、熱硬化性樹脂の硬化は、ある温度で一定時間以上加熱した場合(加熱量が一定以上になった場合)に生じることがある。この場合は、その温度がハンダ用金属の融点と同じか又は実質的に同じであって、一定時間というのがハンダ用金属を融解させるのに必要な時間より多い時間であればよい。つまり、ハンダ材に対しある熱量を与えてハンダ用金属を融解させた際、さらに熱量をハンダ材に与えた場合に熱硬化樹脂が硬化するということが条件になる。熱量を与えた結果、ハンダ材の温度が一定温度を保つか、それより高い温度になるかは、いずれの場合もあるということである。
尚、厳密な話をすれば、加熱されたハンダ材からの熱の放散が全くない場合、ハンダ材の温度が一定に保つということは加熱量もゼロということになるが、実際にはあり得ないことであり、上記説明は、ハンダ材からの熱放散があることを前提にしている。
また、上記条件は、言い換えると、ハンダ用金属が融解して固体から液体に変化した時点では、熱硬化性樹脂は未硬化のままであるということである。熱硬化性樹脂が常温で液体の場合、熱硬化するまでは液体状態を保つ場合には、この要件を満足する。熱硬化性樹脂が常温で固体の場合、適当な溶剤に溶解させ、ハンダ用金属の融点までの温度において溶解状態を保ち、流動性を保持するようにする。例えば、溶剤の沸点がハンダ用金属の融点より高いか、又は、溶剤の量を適宜設定してハンダ付けが可能な程度にハンダ用金属が融解するまでに溶剤が蒸発しきらないようにする。
また、常温で固体の樹脂であっても、加熱された場合、ある程度の温度まで熱可塑性を示し、それよりも高い温度に加熱されると逆に熱硬化性を示すものもある。この場合、融解熱量までの加熱においては熱可塑性のままであり、融解熱量以上の熱量でハンダ材が加熱された際に熱硬化性に変性するものであれば使用可能である。
さらに、熱硬化性樹脂が常温で固体の場合にあっても、その熱硬化樹脂を粉末にした際、融解したハンダ用金属中を樹脂の粒子が泳動可能な場合、層分離できる可能性がある。この場合には、熱硬化性樹脂は溶剤に溶解させなくともよい。
上記熱硬化樹脂には、加熱のみで硬化するものもあるが、硬化剤によって硬化するものも多い。加熱のみで硬化する熱硬化樹脂の場合、上記の通り、融解熱量を超える熱量でハンダ材が加熱された際に硬化するものであれば、そのまま使用が可能である。
硬化剤を使用して硬化させる熱硬化樹脂の場合、硬化剤を適宜選択して硬化熱量(熱硬化性樹脂が硬化するのに必要な熱量)が融解熱量よりも高くなるようにする。硬化剤には、熱硬化性樹脂を硬化させる触媒作用を有するもの、硬化反応に直接関与して熱硬化性樹脂分子の連鎖中に組み込まれるもの、及び、その両者の作用を有するものがある。いずれの場合にも、硬化剤による熱硬化樹脂の硬化に必要な熱量が、融解熱量よりも高くなるようなものを選定する。尚、加熱しないで(常温で)硬化させることが可能な硬化剤に対して、一定温度に加熱しないと硬化作用が得られない硬化剤を潜在性硬化剤と呼ぶことがある。ほとんどの場合、ハンダ用金属の融点は常温より高いので、前記意味では、硬化剤は潜在性硬化剤ということになる。
硬化剤を使用する場合、硬化温度を調整するための材料が併せて配合されることがある。熱硬化樹脂の場合、通常は硬化温度を下げるため、反応性の高い硬化剤が用いられることが多い。しかし、本実施形態では、融解熱量より多い熱量で硬化するようにするため、逆に反応性が低い方が良いという面もある。従って、硬化剤の反応性が高く、通常の使用方法であると硬化熱量が融解熱量以下になってしまう場合には、硬化剤による硬化作用を阻害して、硬化作用が融解熱量を超える熱量で加熱された際に生じるようにする阻害剤が用いられる。
阻害剤としては、硬化剤の触媒作用を融解熱量より多い熱量で加熱されるまでは阻害して熱硬化性樹脂を硬化させないもの、硬化剤と予め反応して化合物を形成しており、融解熱量より多い熱量で加熱されると分解し、硬化剤を生成するものなどが考えられる。後者の場合、熱硬化樹脂の硬化に与る官能基と予め結合し、融解熱量より多い熱量で加熱されると結合が解離するものが考えられる。
より具体的な例を示すと、前述したエポキシ樹脂の場合、硬化剤としてアミン化合物(第一アミン、第二アミン等)がしばしば使用される。しかしながら、アミン化合物は反応性が高く、常温ないし比較的に低い加熱温度で架橋重合反応が進行してしまうことが多い。
アミンによるエポキシ樹脂の架橋重合反応を阻害する方法として、エポキシ基の開環反応作用は有するものの架橋重合には進展しない材料を阻害剤として使用する方法がある。そして、比較的沸点の低い阻害剤を使用するようにし、融解熱量より多い熱量で加熱された際に架橋重合反応が進展するようにする。
例えば、アルコール類はエポキシ基の開環反応作用があることで知られている。従って、比較的沸点の低い適当なアルコール類を使用しエポキシ基を予め開環してアルコールと反応させておくようにする。尚、アルコール類は、無機塩基触媒(水酸化カリウムなど)や有機塩基触媒(第三アミンなど)があると、エポキシ樹脂の架橋重合反応を促進させる効果(硬化剤として作用)があるので、注意を要する。即ち、アルコールを阻害剤として用いる場合、硬化剤として作用が生じないように注意する。
このハンダ材の別の大きな特徴点は、導体部材を覆う絶縁被覆と反応して絶縁被覆を分解溶出させる被覆分解剤が配合されている点である。被覆分解剤は、常温で絶縁被覆と反応して分解溶出させるものでもよく、常温からハンダ用金属の融点までの範囲の温度に加熱された際に分解溶出させるものでもよい。
例えば、絶縁被覆として広く使用されているポリウレタンは、加熱された際、アミン化合物に反応し、分解する。即ち、加熱によってアミン結合が活性化され、活性化されたアミン結合は、ポリウレタン中のイソシアネートに反応し、ポリウレタンが分解される。分解したポリウレタンは、ハンダ材中に溶出する。
尚、絶縁被覆の分解溶出に加熱が必要な場合、加熱温度は、ハンダ用金属の融点以下とすることが好ましい。加熱温度がハンダ用金属の融点より高い場合、ハンダ付けのために加熱されてハンダ用金属が融解した際にも、絶縁被覆はまだ分解しない状態となってしまう。後述するように、層分離は金属同士の親和性の高さを利用するものであるので、ハンダ用金属が融解した際に絶縁被覆が分解溶出していないと、融解したハンダ用金属が導体部材の表面(金属)に接触しない状態となるので、層分離が十分に生じなくなってしまう。
上述した各材料が配合されるハンダ材は、使用し易い粘度に調製される。ハンダ用金属としては、粉状にしたものが用意される。熱硬化樹脂は、常温で液体のものと固体のものがある。液体のものはそのまま使用できるが、固体のものは、前述した通り、粉状にするか、溶剤に溶かして使用する。常温で液体の場合でも、粘度が高い場合には、溶剤に溶かして粘度を下げて使用する場合もある。また、粘度の違う二種類(三種類以上でも可)の熱硬化性樹脂を使用し、適切な粘度を得る場合もある。硬化材や阻害剤についても同様であり、常温で固体の場合には、紛状のものを用意するか、溶剤に溶かして使用する。各材料を混ぜた後、よく攪拌して均一にする。粘度としては、ペースト状にする場合が多いが、線状のような所定の形状を保持する程度の粘度(塑性変形可能な粘度)にする場合もある。所定の粘度のペースト状又は塑性変形可能な状態とすると、接合時の作業性の点で良好である。
上記構成に係るハンダ材の作用について説明する、図1は、実施形態のハンダ付け方法について模式的に示した概略図である。図1では、絶縁被覆電線1を電極2に固定する場合について示されている。電極2は、電子部品の本体又は回路基盤等の部材(以下、基盤と総称する)3に固定されている。電線1は、心線11と絶縁被覆12とから成る。
図1(1)に示すように、電極2上の所定位置に電線1を配置する。そして、電極2に上記ハンダ材4を所定量盛る。この量は、ハンダ材4が電線1を覆い電極2に十分な面積で接触する量である。
この状態で、ハンダ材4を加熱する。加熱方法としては、レーザー照射による加熱、加熱炉内に配置して加熱等があげられる。最初に、絶縁被覆12を分解溶出させる第一の温度まで加熱を行う。この状態では、ハンダ材4中のハンダ用金属は融解しておらず各材料は散在した状態である(層分離が生じていない)。このため、図1(2)に示すように、絶縁被覆12は、ハンダ材4中の被覆分解剤により分解し被覆分解剤中に溶出する。この結果、心線11の表面が露出した状態となる。
次に、さらに加熱を行い、第一の温度より高い第二の温度までハンダ材4を加熱する。この第二の温度は、ハンダ用金属の融点かそれより若干高い温度であり、この加熱によってハンダ用金属が融解する。この際、電極2や心線11の表面の材料(金属)に対してハンダ用金属ハンダ材4中の他の材料に比べて親和性が高いので、融解したハンダ用金属は電極2や心線11の表面付近に集まり、親和性が相対的に低い他の材料は、電極2や心線11の表面から遠い側に集まる。即ち、図1(3)に示すように、ハンダ用金属の層(以下、金属層)41と絶縁材料の層(以下、樹脂層)42とが形成される。
層分離が生じた状態からさらに加熱を続け、加熱量を増加させる。この際、第二の温度のまま加熱量を増加させても良いし、第二の温度よりさらに高い温度にしても良い。この加熱により、熱硬化樹脂が硬化し、金属層41を覆うようにして硬化した樹脂層(硬化層)42が形成される。その後、加熱を終了して冷却するとハンダ用金属が硬化して端子と配線との接合が完了する。冷却は、自然冷却でも強制冷却でも良い。
この際、図1(3)に示すように、熱硬化性樹脂の量を適宜設定して硬化層42が基盤3に十分な面積で接触するようにする。このようにすると、ハンダ付けとともに電線1を基盤3に対しても固定することができる。この例のように、場合によっては、電極2の基盤3に対する固定も同時に行える。
第一第二の各温度について一例を示すと、第一の温度は、絶縁被覆の材料や被覆分解剤の種類や量にもよるが、一般的には150〜200℃である。第二の温度は、ハンダ用金属の融点以上の温度ということになるが、例えば220〜400℃の範囲である。
尚、上記の通り、熱硬化樹脂の硬化は、第二の温度での加熱において加熱量がある程度多くなった時点で生じるか、又は、第二の温度より高い温度に加熱された場合に生じる。後者の場合、熱硬化性樹脂の硬化点が第二の温度より高くなるよう、熱硬化樹脂や硬化剤を選定すれば良い。前者の場合、例えば阻害剤の量を調整してハンダ用金属が完全に融解するまでは蒸発しきらない量とし、ハンダ用金属が完全に融解した後の継続的な加熱によって完全に蒸発するようにすることが考えられる。
また、上述したように、アミン化合物は、硬化剤としても使用可能であり、被覆分解剤としても使用可能である。一種類のアミン化合物を使用して両者に兼用する場合、使用量が最適に決められる。第一の加熱により絶縁被覆が分解溶出した際、アミン化合物に変性が生ずる場合がある。変性したアミン化合物が硬化剤として機能しないか又は機能が低下する場合、変性しない量をアミン化合物が十分確保されるよう、アミン化合物の当初の配合量を決定する。
上記構成及び作用に係る本実施形態のハンダ付け方法によれば、ハンダ用金属に混ぜ合わされた樹脂成分に熱硬化性樹脂が含まれており、ハンダ付けの際に層分離し更なる加熱で熱硬化樹脂が硬化して硬化層が形成されるので、従来のような洗浄工程は不要である。つまり、従来洗浄して洗い流す必要があった樹脂成分を熱硬化させてしまう構成としたので、洗浄は本質的に不要である。
そして、ハンダ付けされた箇所が必然的に熱硬化性樹脂で覆われた状態となるので、ハンダ付け箇所の保護、電気特性の向上等の硬化が同時に得られる。即ち、硬化層によって覆われるので、耐衝撃性等の機械的強度が向上するとともに、腐食等の化学的な損傷からも保護される。このため、酸化による特性悪化やハンダ付け箇所の破断による導通不良等の問題の発生が防止される。
さらに、上述したように、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂のような接着性を有する材料を使用し、ハンダ用金属によって導体部材同士をハンダ付けする際、硬化層が他の部材に対して接触するようにすれば、導体部材同士のハンダ付けとともに当該他の部材に対する接着も同時に行える。
また、上記ハンダ材では、導体部材の表面を覆う絶縁被覆の分解溶出が可能なので、予め絶縁被覆を除去しておくことが不要である。このため、生産性が向上する。
次に、上記ハンダ材を使用した実施形態のハンダ付け方法について、図2及び図3を使用して説明する。図2及び図3は、上記ハンダ材を使用した実施形態のハンダ付け方法の例について示した図である。
上述したハンダ材は、各種の電子部品における導体部材同士のハンダ付けに使用できるが、例えば、図2(1)に示すように、コイル7の製造に用いることができる。コイル7を製作する場合、絶縁被覆電線1をコア5に巻いた後、絶縁被覆電線1の端部をコア5に固定された端子6にハンダ付けする。この際、このハンダ材4を用いれば、予め絶縁被覆を除去しておくことが不要な他、ハンダ付け後の洗浄も不要である。そして、ハンダ付け箇所を硬化層42が覆って接着するので、接合強度が向上し、且つ機械的・化学的な保護が行われる。
次に、図2を使用して、実施形態のハンダ付け方法のメリットについて説明する。図2(2)は、従来のハンダ材を使用した場合について示している。
従来のハンダ付けの問題点の一つに、絶縁被覆の熱収縮の問題がある。即ち、図2(2)に拡大して示すように、融解したハンダ材8の熱により、絶縁被覆12が収縮し、ハンダ付け後に心線11が露出してしまうことがある。心線11が露出すると、腐食等の化学的損傷が生じ易くなるほか、機械的強度も低下するので、信頼性の点で問題が大きい。
一方、本実施形態のハンダ付け方法によると、図2(1)に拡大して示すように、硬化層42が表面側にあり、硬化層42が絶縁被覆12に連続するように形成されるので、心線11の露出は無い。即ち、従来のハンダ付けにおける絶縁被覆12の収縮の一因として、融解したハンダ材8に対して絶縁被覆12の親和性が低いことがある。本実施形態のハンダ材4を使用すると、層分離して形成された樹脂層42は絶縁被覆12との親和性が高いので、絶縁被覆12が加熱された状態でも樹脂層42は絶縁被覆12と連続した(接触した)状態を保つ。そして、図2(1)に拡大して示すように、樹脂層42と絶縁被覆12とが連続した状態で樹脂層12が硬化する。従って、心線11の露出は無い。このため、心線11の露出に伴う問題とは無縁である。
また、本実施形態のハンダ付け方法は、携帯電話等における高密度実装に好適に使用することができる。図3には、この例が示してある。図3(1)に示すように、高密度実装を行う場合、スルーホール型のプリント基盤81を用い、配線82に設けた微細なスルーホールに電子部品83の端子84を通してハンダ付けすることがある。この際、図3(2)に示すように、プリント基盤81の裏面の全面を覆うようにして、本実施形態のハンダ材4を付着させる。そして、前述したのと同様に第一の温度、第二の温度というように加熱する。電子部品83の端子84に絶縁被覆が無い場合、第一の温度を所定時間保持することなく、第二の温度まで加熱することがある。
この加熱の際、同様に層分離が生じ、融解したハンダ用金属の層(金属層)41と樹脂層42とに分離する。この際、融解したハンダ用金属は、金属である端子84や配線82に対して親和性が高いので、図3(3)に示すように、端子83の挿通箇所に集まる。プリント基盤81の表面の材質(配線82がプリントされている部分以外のプリント基盤の表面の材質)を、融解したハンダ用金属に対して濡れ性の悪い材質にしておけば、この傾向はさらに促進され、ハンダ用金属は端子84付近に十分に集まるようになる。
一方、プリント基盤81は樹脂等で形成されている場合が多く、樹脂成分との親和性が相対的に高い。従って、図3(3)に示すように、樹脂成分はプリント基盤81の裏面の全面を覆った状態を保ち、この状態で硬化する。このため、ハンダ付けとともにハンダ付け箇所の保護被覆が形成された状態となり、信頼性の高いハンダ付けが工程を増やすことなく行える。
また、本実施形態のハンダ付け方法は、樹脂モールドを行っている電子部品にも好適に使える可能性がある。従来の電子部品の中には、ハンダ付けの後、ハンダ付け箇所も含めて全体を樹脂で覆ってモールド成型することがある。しかしながら、本実施形態のハンダ材を使用すれば、ハンダ付けとともに樹脂による被覆が行えるので、樹脂モールドは不要となる可能性がある。
上述した各効果を持つ本実施形態のハンダ付け方法に使用されるハンダ材は、ハンダ付けと接着との機能を併せ持つものであるが、従来公知の導電性接着材とは本質的に異なる。導電性接着材は、あくまで接着剤であって、導電性を確保するために金属を配合しているものの、それらは散在しており、本実施形態のように層分離するものではない。即ち、従来公知の導電性接着材の中には、熱硬化性樹脂を接着材に用いるものがあるが、樹脂の硬化温度に比べてハンダ用金属(金属)の融点は遙かに高く、樹脂の熱硬化の際にハンダ用金属は融解していない。従って、層分離は生じない。
例えば、特開平4−209687号公報には、「導電性ペースト」の発明の実施例として、エポキシ樹脂を配合したものが開示されている。しかしながら、開示された各実施例では、導電性粉末に銀が使用されている。銀の融点は、961.93℃であり、エポキシ樹脂の硬化温度より遙かに高い。従って、エポキシ樹脂が硬化する際に銀が融解していることはあり得ない。尚、上記本願発明の実施形態における層分離は、いわゆるブリードに相当するものと言うこともできるが、同公報では、ブリードは問題を生じさせるものであるとし、それを防止するすることを課題としている。
また、被覆分解剤として用いたアミン化合物が熱硬化性樹脂の硬化剤に兼用されているので、別途硬化剤を配合することが不要であり、コストの面でメリットがある。
尚、阻害剤を使用する点は、熱硬化性樹脂の選択の範囲を広げるメリットを有する。阻害剤を使用しない場合、融解熱量までの加熱において熱硬化が生じないものに制限される。阻害剤を使用すれば、そのような制限はなく、適当な阻害剤がある限り、接着性、機械的特性又は化学的特性などの各種の観点から最適な熱硬化性樹脂を選ぶことができる。
また、本実施形態のハンダ付け方法によれば、樹脂成分や溶剤の配合量を適宜選定することでハンダ材全体の粘度を最適に調整することができる。このため、鉛フリーのハンダ材として好適である。鉛を使用しないのでハンダ付け温度を比較的低くすることができる。このため、前述したように実装時の高温ハンダ付けにより電子部品の耐熱性が問題となることはなく、プロセスの低温化に寄与する。但し、本願発明は、鉛を配合することを排除するものではない。
また、一旦ハンダ付けされた後は、硬化した表面の樹脂層が金属層を覆うので、再び高い温度で加熱されても、内部のハンダ用金属が流れ出してしまうことはない。従って、本実施形態のハンダ材は、実装時に高いハンダ付け温度とされる電子部品製造の際のハンダ付け(例えば前述した小型コイルの端子へのワイヤーのハンダ付け)に好適に用いることができる。
本願発明の実施形態の構成においては、「熱硬化性樹脂」の語や「硬化阻害剤」の語における「硬化」は、通常よりも広い意味を有する場合がある。即ち、「硬化」は、完全硬化だけではなく、いわゆる半硬化やゲル化を指す場合もある。「半硬化」は、「仮硬化」、「部分硬化」とか、「Bステージ」、「B状態」などと呼ばれることもあるが、硬化反応が半分程度生じていて、さらに加熱すると本硬化(完全硬化)になる状態を指す。
熱硬化樹脂の硬化反応は、周知のように不可逆反応であり、硬化後に再加熱しても、硬化前のように熱融解することはない。半硬化の状態も同様であり、半硬化する程度に加熱した場合、常温に戻した後に再加熱しても、未硬化状態のようには熱融解しない。加熱量を多くしていくと、本硬化に至るのみである。「熱硬化樹脂」又は「硬化阻害剤」における「硬化」は、このような半硬化も含む。
また、ゲル化は、熱硬化性樹脂の硬化反応において、加熱を始めた後、架橋反応が進んで粘度が急激に増し、樹脂が流動性を失ってゼリー状に固化することを指す。ゲル化も、完全な硬化ではないが、流動性を失う程度に(液体では無くなる程度に)硬化が進んだ状態ということができる。本願発明を実施した場合、「熱硬化樹脂」又は「硬化阻害剤」における「硬化」が、このようなゲル化に相当する場合もある。
例えば、ハンダ材の用途によっては、熱硬化性樹脂を完全に硬化せずに、半硬化又はゲル化の状態にとどめておいた方が良い場合もある。例えば接合箇所に柔軟性が必要な場合、意図的に本硬化させず、半硬化又はゲル化にとどめておく場合があり得る。このような半硬化やゲル化は、加熱量を適宜制御すればよく、当業者においては容易に実施可能である。
「硬化阻害剤」という用語でいうと、阻害するのが「本硬化」ではなく、「半硬化」又は「ゲル化」の場合もある。上述したように、ハンダ材における必要十分条件は、ハンダ付けのための加熱によりハンダ用金属が融解した際、熱硬化性樹脂がまだ硬化しておらず流動性を保っているがために層分離が可能で、層分離の後のさらなる加熱により樹脂が硬化することである。従って、硬化阻害剤が阻害するのは、熱硬化性樹脂が層分離を阻害する程度に流動性を失ってしまうことであり、それで足りる。従って、硬化阻害剤は、半硬化又はゲル化を阻害するものであり得る。
尚、「硬化阻害剤」における「阻害」は、「遅延」と表現した方が適切な場合もある。上記のように、ハンダ用金属が融解した際に熱硬化性樹脂が硬化していなければ良いのであるから、ハンダ用金属の融解に比べて熱硬化性樹脂の硬化(流動性を失うこと)を十分に遅延させることが、「硬化阻害剤」の機能であり得る。
次に、本願発明の実施例について説明する。
ハンダ用金属として、千住金属工業(株)製のエコソルダーM705を用いた。このハンダ用金属は、Sn−Ag−Cu合金の粉末であり、配合比は、Sn:Ag:Cuが重量比で96.5%:3.0%:0.5%である。このハンダ用金属の融点について説明すると、固相線温度は217℃、液相線温度は220℃である。粒径は30〜45μm程度である。
熱硬化性樹脂として、化1により表現される新日本理化(株)製のエポキシ樹脂DME−100を用いた。このDME−100のみでは粘度が高いので、粘度の低い別の熱硬化性樹脂として、化2により表現される日本化薬(株)製のエポキシ樹脂GOTを併用した。GOTはDME−100の溶剤としても機能する。
Figure 0003957729
Figure 0003957729
Figure 0003957729
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これらエポキシ樹脂の硬化剤として、化3により表現される富士化成工業(株)製のアミン化合物FEX−1030を使用した。このアミン化合物は、被覆分解剤としても機能する。
上述したエポキシ樹脂のうちGOTは特に反応性が高く、ハンダ用金属の融点より低い温度で硬化してしまうため、阻害剤を用いた。阻害剤としては、化4により表現されるベンジルアルコール(東京応化工業(株)製)を用いた。
各有機材料の配合比率は、重量%で以下の通りである。
エポキシ樹脂DME−100:25%
エポキシ樹脂GOT:12.5%
アミン化合物FEX−1030:12.5%
ベンジルアルコール:50%
これらから成る樹脂コンパウンドを、さらに粘度を調整するため、溶媒に溶解させた。溶媒としては、N−MP(N−メチル−2−ピロリドン,沸点204℃)を使用し、溶媒に対して樹脂コンパウンドを80重量%の割合で溶解させた。
溶解の後、混合して良く撹拌し、80℃の温度で30分加熱した。この加熱は、阻害剤であるベンジルアルコールに、エポキシ樹脂GOTのエポキシ基の開環反応を生じさせるためのものである。
その後、ハンダ用金属に対し、上記溶解させた樹脂コンパウンドを混ぜ合わせて良く撹拌することで目的とするハンダ材が得られた。比率は、重量比で、ハンダ用金属10に対し溶媒と樹脂コンパウンドの総量が1.2となる割合とした。
得られたハンダ材を使用して、実際に接合テストを行った。接合テストは、図2に示すような場合を想定し、絶縁被覆電線を端子上に接合するテストとした。絶縁被覆電線は、心線が銅で、絶縁被覆がポリウレタンより成るものである。心線の太さは直径0.09mm程度、絶縁被覆の厚さは6μm程度である。端子の材料は、燐青銅である。
端子に絶縁被覆電線の端部を接触させ、得られたハンダ材を盛り、加熱した。まず、第一の温度として180℃に加熱し、この加熱温度を2分間保持した。この加熱により、絶縁被覆を分解してハンダ材中に溶出させた。その後、さらに加熱を続けて、ハンダ材の温度を第二の温度である260℃に加熱した。第二の温度になった直後にハンダ材中のハンダ用金属が融解し始め、やがてハンダ用金属が完全に融解した。さらに第二の温度を保持すると、層分離が生じ、表面に樹脂成分が浮いてきた(ブリードアウトした)。さらに第二の温度で加熱を続けると、表面の樹脂成分が硬化した。ハンダ用金属が完全に融解するまでの時間は、40秒程度、ハンダ用金属の融解後、層分離して樹脂が硬化するまでの時間は3分程度であった。
樹脂の硬化後、加熱を終了して常温まで自然冷却した。ハンダ付け部分の導通性をチェックしたところ、導通は良好であった。また、電線を覆い端子に接触するようにして硬化層が形成されており、硬化層によってハンダ付け箇所の接着が行われていた。
実施例2として、以下の構成が挙げられる。
まず、ハンダ用金属としては、前述した千住金属工業(株)製のエコソルダーM705をを用いる。
熱硬化性樹脂としては、以下の化学式5で示されるジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート1001(軟化点64℃)と、化学式6で示される同社製のエピコート828(常温で液状)とを用いる。
Figure 0003957729
Figure 0003957729
また、硬化剤としては、実施例1と同様に富士化成工業(株)製のアミン化合物FEX−1030を使用する。同様に、このアミン化合物は、被覆分解剤としても機能する。
また、粘度調整のための溶剤としては、同様に、ベンジルアルコール(沸点204.7℃)とN−MP(N−メチル−2−ピロリドン)を使用する。ベンジルアルコールは同様に阻害剤としても機能する。
実施例2における各有機材料の配合比は、重量比で以下の通りである。
エピコート1001:10
エピコート828:10
FEX−1030:5
ベンジルアルコール:20
N−MP:10
このようにして各有機材料を配合し、良く攪拌した後、同様に80℃で30分間加熱した。このようにして得た樹脂コンパウンドをハンダ用金属に混ぜ合わせた。混合比は、同様にハンダ用金属:樹脂コンパウンド=10:1.2の重量比とした。但し、混合比は、所定の粘度等の特性を得るため、ハンダ用金属10に対して1.0〜1.5程度の範囲で適宜調整される。このようにして得たハンダ材を使用して同様の対象物に対し同様の条件で接合試験を行ったところ、同様に樹脂成分がブリードアウトして層分離が生じ、表面側の樹脂層が硬化した。そして、冷却後、十分にハンダ付けされたことが同様に確認された。
実施例3として、実施例2のエピコート828に代えて、以下の化学式7で示される、新日本理化(株)製のエポキシ樹脂HBE−100(常温で液状)を使用する例が挙げられる。
Figure 0003957729
樹脂コンパウンドにおける各有機材料の配合比は、重量比で以下の通りである。
エピコート1001:4.0
HBE−100:9.6
FEX−1030:5.15
ベンジルアルコール:16.48
N−MP:2.4
以下、実施例1,2と同様にしてハンダ材を得て接合試験を行ったところ、同様に樹脂成分がブリードアウトして層分離が生じ、表面側の樹脂層が硬化した。そして、冷却後、十分にハンダ付けされたことが同様に確認された。
実施形態のハンダ付け方法について模式的に示した概略図である。 実施形態のハンダ付け方法の例について示した図である。 実施形態のハンダ付け方法の例について示した図である。
符号の説明
1 絶縁被覆電線
11 心線
12 絶縁被覆
2 電極
3 基盤
ハンダ材
41 金属層
42 樹脂層(硬化層)
5 コア
6 端子
7 コイル
81 プリント基盤
82 配線
83 電子部品
84 端子

Claims (11)

  1. 導電性の表面を有する導体部材同士をハンダ材によりハンダ付けするハンダ付け方法であって、
    ハンダ材は、ハンダ用金属と絶縁剤とが混合されて成るものであって、絶縁材は熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂より成るものであり、このハンダ材にはエポキシ樹脂の硬化を阻害する硬化阻害剤が配合されており、
    硬化阻害剤は、導体部材同士を接合することが可能な程度にハンダ用金属を加熱して融解させるのに必要な熱量を超える熱量で加熱された際にエポキシ樹脂が硬化するようエポキシ樹脂の硬化を阻害するものであり、
    ハンダ材を導体部材同士のハンダ付け箇所に付着させた後、ハンダ材を第一の熱量で加熱してエポキシ樹脂を未硬化のままとしてハンダ用金属を融解させる第一の加熱ステップと、
    第一の加熱ステップに引き続いてさらに加熱してエポキシ樹脂を熱硬化させる第二の加熱ステップとを含む方法であり、
    第一の加熱ステップでは、前記親和性の違いから表面側にエポキシ樹脂の層が形成され内部側にハンダ用金属の層が形成された状態とされ、第二の加熱ステップにおいてこの層分離状態を維持しつつエポキシ樹脂を熱硬化する方法であることを特徴とするハンダ付け方法。
  2. 前記ハンダ用金属は、Sn−Pb合金、Sn−Ag−Cu合金又はSn−Cu合金であることを特徴とする請求項記載のハンダ付け方法。
  3. 前記導体部材の少なくとも一方には絶縁被覆が設けられているとともに、前記ハンダ材にはこの絶縁被覆に反応して絶縁被覆を分解溶出させる被覆分解剤が配合されており、
    第一の加熱ステップに際して被覆分解剤が絶縁被覆を分解溶出して絶縁被覆が破断することを特徴とする請求項1又は2記載のハンダ付け方法。
  4. 前記絶縁被覆はエナメルから成るものであって、前記被覆分解剤はアミン化合物であることを特徴とする請求項記載のハンダ付け方法。
  5. 前記アミン化合物により前記熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする請求項載のハンダ付け方法。
  6. 前記導体部材以外の他の部材に前記エポキシ樹脂が接触するようにして硬化させることで、前記導体部材同士のハンダ付けとともに、当該他の部材との接着を行うことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のハンダ付け方法。
  7. 前記導体部材の一方は電気部品の端子であり、他方はプリント基盤に設けられた配線であって、他の部材はプリント基盤であることを特徴とする請求項記載のハンダ付け方法。
  8. 前記第二の加熱ステップにおいて、エポキシ樹脂の熱硬化を、半硬化又はゲル化の状態にとどめることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のハンダ付け方法。
  9. ハンダ材により導体部材同士をハンダ付けしたハンダ付け部を有する電子部品であって、
    ハンダ付け部は、導体部材同士をハンダ付けしたハンダ用金属の層である金属層と、金属層を覆う絶縁層で形成されており、
    絶縁層は、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂が熱硬化したものであって、金属層を構成するハンダ用金属を加熱して融解させるのに必要な熱量を超える熱量で加熱されることで硬化したものであり、
    金属層及び絶縁層は、ハンダ用金属が加熱されて融解状態になった際、硬化阻害剤によりエポキシ樹脂の硬化が阻害されることで導体部材双方の表面に対する親和性の違いから層分離したものであり、層分離した状態でエポキシ樹脂が熱硬化したものであることを特徴とする電子部品。
  10. 前記金属層を構成するハンダ用金属は、Sn−Pb合金、Sn−Ag−Cu合金又はSn−Cu合金であることを特徴とする請求項記載の電子部品。
  11. 前記絶縁層は、前記エポキシ樹脂が半硬化又はゲル化したものであることを特徴とする請求項9又は10記載の電子部品。
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