JP3957556B2 - 音声多重信号復調回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機や家庭用VTRなどに使われ、音声多重放送を復調する音声多重信号復調回路に関するもので、特に音声主信号中に音声副信号が混入するのを低減した音声多重信号復調回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、テレビジョン放送で使用されている音声多重放送は、テレビの音声をステレオ放送又は2カ国語(バイリンガル)で伝送することができる。図2はそのような音声多重信号の周波数スペクトラムを示す。4.5MHZの音声FM信号をFM検波すると図2の周波数スペクトラムの信号が発生する。
【0003】
ベースバンドとなるメイン信号(L+R)は、音声主信号と呼ばれ、周波数fH(約15.75KHZ)付近までの領域に存在する。サブ信号(L−R)は、音声副信号と呼ばれ周波数2fHを中心として+fHから−fHの周波数偏移の領域でFM変調されて存在する。制御信号はAM変調されており音声放送がステレオ放送であるか2カ国語放送であるかの判別情報となる。
【0004】
テレビの音声がステレオ放送の場合、メイン信号(L+R)とサブ信号(L−R)は、音声多重信号復調回路内のマトリクス回路で加算と減算が行われ左右のステレオ信号に分離される。このマトリクス回路にはメイン信号(L+R)はベースバンドであるのでLPFを通過させれば印加することが可能であるが、サブ信号(L−R)は、FM変調されているのでFM復調してからLPFを通しマトリクス回路に印加する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の音声多重信号復調回路ではメイン信号(L+R)とサブ信号(L−R)の位相が正確には一致しておらず(相対位相が音声多重信号復調回路内でずれてしまう)、マトリクス回路におけるセパレーションの悪化を招きステレオ感の低減起きていた。一方、単純に位相調整を行うと音声信号の周波数は変化してしまう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した従来技術の課題に鑑みなされたもので、FM復調されたベースバンドの音声主信号が印加され、可聴帯域の周波数の信号を通過させるLPFと、FM変調されている音声副信号をFM復調するFM復調器と、該FM復調器の出力信号が印加され移相を行うALL PASSフィルタと、前記LPFからの音声主信号と前記ALL PASSフィルタからの音声副信号とをマトリクスするマトリクス回路とを備えているので、ALL PASSフィルタによりメイン信号(L+R)とサブ信号(L−R)の位相ずれを補正できる。
【0007】
また本発明によれば、ベースバンドの音声主信号とFM変調されている音声副信号とを発生する音声中間周波数回路と、該音声中間周波数回路の出力信号が印加される音声副信号抽出用のBPFと、前記音声中間周波数回路からの音声主信号が印加され、可聴帯域の周波数の信号を通過させるLPFと、前記BPFからの音声副信号をFM復調するFM復調器と、該FM復調器の出力信号が印加され移相を行うALL PASSフィルタと、前記LPFからの音声主信号と前記ALL PASSフィルタからの音声副信号とをマトリクスするマトリクス回路とを備えているので、ALL PASSフィルタによりメイン信号(L+R)とサブ信号(L−R)の位相ずれ(BPFとFM復調器により発生)を補正できる。
【0008】
また本発明によれば、ベースバンドの音声主信号とFM変調されている音声副信号とを発生する音声中間周波数回路と、該音声中間周波数回路の出力信号が印加される音声副信号抽出用のBPFと、前記音声中間周波数回路からの音声主信号が印加され、可聴帯域の周波数の信号を通過させる第1のLPFと、前記BPFからの音声副信号をFM復調するFM復調器と、該FM復調器の出力信号が印加され可聴帯域の周波数の信号を通過させる第2のLPFと、該第2のLPFの出力信号が印加され移相を行うALL PASSフィルタと、前記LPFからの音声主信号と前記ALL PASSフィルタからの音声副信号とをマトリクスするマトリクス回路とを備えているので、ALL PASSフィルタによりメイン信号(L+R)とサブ信号(L−R)の位相ずれ(BPFとFM復調器により発生)を正確に補正できる。
【0009】
更に、本発明によれば、FM復調されたベースバンドの音声主信号が印加され、可聴帯域の周波数の信号を通過させるLPFと、FM変調されている音声副信号をFM復調するFM復調器と、前記LPFの出力信号が印加され移相を行うALL PASSフィルタと、前記ALL PASSフィルタからの音声主信号と前記FM復調器からの音声副信号とをマトリクスするマトリクス回路とを備えているので、ALL PASSフィルタによりメイン信号(L+R)とサブ信号(L−R)の位相ずれを正確に補正できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る音声多重信号復調回路のブロック図である。
【0011】
図1において、入力端子(1)に4.5MHZのSIF(音声中間周波数)信号が印加される。入力端子(1)に印加されたSIF信号はSIF回路(2)によって増幅及びFM復調される。SIF回路(2)の出力は主信号路と副信号路に分岐される。
【0012】
主信号路中、(3)はSIF回路(2)の多重化された出力信号中からメ
イン信号(L+R)を抽出するとともにディエンファシスをかける2.19KLPF、(4)はSIF回路(2)の多重化された出力信号中からメイン信号(L+R)を抽出するとともにディエンファシスをかける1次の遮断特性を備える15KLPFである。
【0013】
副信号路中、(5)はSIF回路(2)の多重化された出力信号中からサブ信号(L―R)を抽出するBPF、(6)はBPF(5)の出力信号をFM復調し、ベースバンドのサブ信号を取り出すFM復調器である。
【0014】
(7)はFM復調器(6)の出力信号中からサブ信号(L―R)を抽出するとともにディエンファシスをかける2.19KLPF、(8)は2.19KLPF(7)の出力信号中からサブ信号(L―R)を抽出するとともにディエンファシスをかける1次の遮断特性を備える15KLPFである。そして、(9)は15KLPF(8)の出力信号の移相(位相を変化させる)を行うALL PASSフィルタである。
【0015】
また、(10)は15KLPF(4)からのメイン信号と、ALL PASSフィルタ(9)からのサブ信号とのマトリクスを行うマトリクス回路である。
このように、2.19KLPF(3)と15KLPF(4)は、主信号路を形成し、BPF(5)、FM復調器(6)、2.19KLPF(7)、15KLPF(8)及びALL PASSフィルタ(9)は、副信号路を形成する。
【0016】
次に上述した構成の音声多重信号復調回路の動作を説明する。入力端子(1)からのSIF信号は、SIF回路(2)で増幅及びFM復調される。このSIF回路(2)の出力信号の周波数スペクトラムは図2に示した通りである。
【0017】
この周波数スペクトラムの信号は、2.19KLPF(3)と15KLPF(4)からなる主信号路と、BPF(5)、FM復調器(6)、2.19KLPF(7)及び3次15KLPF(8)からなる副信号路に夫々印加される。2.19KLPF(3)は、2.19KHZに遮断周波数を有し、15KLPF(4)は、15KHZに遮断周波数を有する。音声信号は、エンファシスされて送られ、この2.19KLPF(3)と15KLPF(4)とでディエンファシスが施される。
【0018】
一方、BPF(5)からのサブ信号は、FM復調器(6)でFM復調されて2.19KLPF(7)及び15KLPF(8)に印加される。2.19KLPF(7)及び15KLPF(8)は、ディエンファシスの機能と、2.19KLPF(3)と15KLPF(4)との位相を合わせる機能とを同時に達成する。これらのフィルタ構成を同一にすることで全く等しい位相変化を呈することが可能になる。
【0019】
ALL PASSフィルタ(9)は、主信号路と副信号路の位相を最終的に一致させるために配置されており、全ての周波数を通過させ一定の移相を行なう。このALL PASSフィルタ(9)の働きによりマトリクス回路(10)には位相が一致し、互いの信号混入がないメイン信号(L+R)とサブ信号(L―R)が印加される。その結果、マトリクス回路(10)の出力端子(11)(12)にはL信号とR信号が得られる。
【0020】
図3は図1のALL PASSフィルタ(9)の具体例を示す。図3の入力端子(50)(Vin)から印加された信号は、差動増幅器(51)、インバータ(52)及びコンデンサ(53)C1からなる第1のフィルタ(54)に印加される。差動増幅器(55)及びコンデンサ(56)C2は、第2のフィルタ(57)を構成する。コンデンサ(56)C2の一端は入力端子(50)に接続され出力信号が入力信号側に帰還される。
【0021】
また、入力端子(50)(Vin)から印加された信号は、インバータ(52)及びコンデンサ(53)を介して差動増幅器(55)の入力に直接印加される。この第1のフィルタ(54)と第2のフィルタ(57)の接続により全ての周波数の信号を通過させることができ、一定の移相を行なうALL PASSフィルタを構成することができる。ALL PASSフィルタの出力信号は、出力端子(58)に得られる。ALL PASSフィルタ(9)は、BPF(5)やFM復調器(6)で生ずる位相変化を補償する。ALL PASSフィルタ(9)は位相変化のみを呈し、周波数によるレベル変化を通過信号に与えない。
【0022】
図4は、本発明の別の実施例を示す。図1ではALL PASSフィルタ(9)が副信号路に入っていた。しかし、ALL PASSフィルタ(9)は、主信号路に配置してもよい。図4はALL PASSフィルタ(9)を主信号路に配置した場合の実施例である。図4において、図1と同じブロックのものは同じ符号を付している。図4において、ALL PASSフィルタ(9)は15KLPF(4)とマトリクス回路(10)との間に設けられる。この場合もALL PASSフィルタ(9)は、主信号路と副信号路の位相を最終的に一致させるために配置されており、全ての周波数を通過させ一定の移相を行なう。このALL PASSフィルタ(9)の働きによりマトリクス回路(10)には位相が一致し、互いの信号混入がないメイン信号(L+R)とサブ信号(L―R)が印加される。その結果、マトリクス回路(10)の出力端子(11)(12)にはL信号とR信号が得られる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、音声副信号路もしくは音声副信号路にALL PASSフィルタを挿入したので音声主信号路と音声副信号路の間における位相変動が起こらず、マトリクス回路におけるセパレーションを高めることができる。
【0024】
そして、この際、周波数によるレベル変化を通過信号に与えないので音声信号の音質に影響しない。
【0025】
又、本発明によれば、音声主信号路挿入したLPFと同じLPFを音声副信号路にも挿入したので音声主信号と音声副信号の位相を精度よく一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る音声多重信号復調回路のブロック図である。
【図2】従来例に係る音声FM信号の周波数スペクトラム図である。
【図3】本発明のALL PASSフィルタの具体例である。
【図4】本発明の別の実施形態に係る音声多重信号復調装置のブロック図である。
【符号の説明】
(2)SIF回路
(3)2.19KLPF
(4)15KLPF
(5)BPF
(6)FM復調器
(7)2.19KLPF
(8)15KLPF
(9)ALL PASSフィルタ
(10)マトリクス回路
Claims (2)
- ベースバンドの音声主信号とFM変調されている音声副信号とを発生する音声中間周波数回路と、
該音声中間周波数回路の出力信号が印加される音声副信号抽出用のBPFと、
前記音声中間周波数回路からの音声主信号が印加され、可聴帯域の周波数の信号を通過させる第1のLPFと、
前記BPFからの音声副信号をFM復調するFM復調器と、
該FM復調器の出力信号が印加され可聴帯域の周波数の信号を通過させる第2のLPFと、
該第2のLPFの出力信号が印加され移相を行うALL PASSフィルタと、
前記LPFからの音声主信号と前記ALL PASSフィルタからの音声副信号とをマトリクスするマトリクス回路とを備え、前記第1のLPFと前記第2のLPFを同一の回路構成にするとともに前記ALL PASSフィルタにより前記BPFと前記FM復調器の位相変動分を補償するようにしたことを特徴とする音声多重信号復調回路。 - FM復調されたベースバンドの音声主信号が印加され、可聴帯域の周波数の信号を通過させる第1LPFと、
FM変調されている音声副信号をFM復調するFM復調器と、
該FM復調器の出力信号が印加され可聴帯域の周波数の信号を通過させる第2のLPFと、
前記主信号路を通過する信号が印加され移相を行うALL PASSフィルタと、
前記ALL PASSフィルタからの音声主信号と前記FM復調器からの音声副信号とをマトリクスするマトリクス回路とを備え、前記第1のLPFと前記第2のLPFを同一の回路構成としたことを特徴とする音声多重信号復調装置。
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