JP3956228B2 - 手乾燥装置 - Google Patents

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本発明は、洗浄後の濡れた手を衛生的に乾燥させることができる手乾燥装置に関するものである。
洗浄後の濡れた手に付着した水滴を高速空気流によって吹き飛ばして乾燥させる手乾燥装置がある。箱体には処理空間としての凹状の手挿入部が設けられ、その上部には箱体の幅方向に長いスリット状の吹出し孔を一列形成した吹出しノズルが配設され、吹出しノズルにはブロアーに接続されたエアーダクトが繋がれて、手挿入部の上部から手挿入部内に高速空気流を噴出する。
手乾燥装置の手挿入部に手を挿入すると、手に付着した水滴は吹出しノズルから吹き出した高速空気流によって吹き飛ばされ、手挿入部の底部に設けられた排水口から手挿入部の下方に備えられたドレン容器に滴下して受容される。こうして、手の乾燥処理が行われる(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−178742号公報(第1〜2頁、図1)
上記のように構成した従来の手乾燥装置によれば、濡れた手は高速空気流の運動エネルギーによって素早く乾燥されるが、吹出しノズルの吹出し孔から吹出した気流が手挿入部に差し入れた手全体に当たらず、乾燥効率が良くなかった。ここで、吹出し孔の幅を広くすると、手の乾燥範囲を広くできるが、気流の速度が遅くなってしまう。一方、吹出し孔の幅を狭くして流速を上げ、手表面の水滴を吹飛ばす力を大きくすると、騒音が大きくなってしまう。
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、吹出し孔から吹出される高速気流の風速を落とすことなく乾燥効率を向上させ、騒音を低減させることができ、使用感が良好な手乾燥装置を提供することを目的とする。
本発明に係る手乾燥装置は、手を出し入れする処理空間と、作動気流を吹き出す高圧空気流発生装置と、前記処理空間の幅方向に配向して長方形状のスリットによって構成される吹出し孔が設けられるとともに、これらの長方形状のスリットによって構成される吹出し孔が前記処理空間の前後方向に2列設けられ、前記高圧空気流発生装置からの作動気流を前記長方形状のスリットによって構成される吹出し孔から前記処理空間に吹きだし、吹き出された前記作動気流が気流幅を広げて合流し、一体化されて幅広い高速気流を形成する吹出しノズルとを備えた手乾燥装置であって、前記処理空間の前後方向の前側に前記長方形状のスリットを1箇所設け、後ろ側に前記長方形状のスリットを対向する端部同士の間隔を隔てて2箇所設けて、これらの長方形状のスリットを千鳥状に配設し、前記長方形状のスリットの前後方向の対向する端部近傍がそれぞれほぼ同じ長さだけ前記処理空間の幅方向に重なり合うようにしたものである。
乾燥効率を向上し、騒音を低減し、使用感を向上させて、洗浄後の濡れた手を衛生的に乾燥させる。
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る手乾燥装置の縦断面図、図2は図1の吹出し孔の平面図である。図に示すように、外殻をなす箱体1は、正面に手挿入口2を有し、手挿入口2に続く処理空間として手挿入部3を備えており、手を挿抜できるようにしてある。手挿入部3は、箱体1の正面下部に、正面と両側面が開放した開放シンク状の凹部として形成され、下部を形成する水受け部4と奥側とにはその端縁部に曲面構成の立上がりによる防壁構造5が設けられ、側方や前方に水が飛散しないようになっている。水受け部4の底部は前方に向かって下傾していて、その傾斜下端に排水口6が設けられている。
水受け部4の下方には排水口6から滴下する水を貯留するドレン容器7が抜き差し自在に設けらている。なお、手挿入部3の内面には、シリコン系もしくはフッ素系等の撥水性コーティング、酸化チタン等の親水性を有するコーティング、又は抗菌剤が含浸され、内面に汚れが付着するのを軽減したり、細菌が繁殖するのを低減するようにしてある。
箱体1内には高圧空気流発生装置8が組み込まれており、DCブラシレスモーター(通常の整流子モーター又は誘導電動機であってもよい)と、これを駆動させる駆動回路及びDCブラシレスモーターによって回転するターボファンとにより構成されて、箱体1の手挿入部3の真上に取り付けられている。高圧空気流発生装置8の吸気側は、箱体1の背面側であって手挿入部3の奥側背面に近接して縦方向に設けられた下端の開放した吸気通路10に臨んでおり、吸気通路10の下端から着脱可能のエアーフィルター11を通じて空気を吸込むことができるようになっている。
高圧空気流発生装置8の吹出口は、円形カップ状のファンケーシングの外周に、周方向に間隔を置いて、複数個が半径方向に向かって開設されている。このファンケーシングの外側は、ターボファンの回転方向に沿う方向に誘導路を設けた円形カップ状のケーシング9によって覆われ、ケーシング9の誘導路の端に、高圧空気流発生装置8から送られてくる高圧空気を高速の気流に変換して手挿入部3に吹出す吹出しノズル12が接続されている。
吹出しノズル12は、手挿入部3の手挿入口近傍の上部に噴出口を下向きにして取付けっており、吹出しノズル12に形成された吹出し孔13から手挿入部3内に挿入した手に付着した水分を吹飛ばす高速の気流を吹付け、手を摺り合わせることなく水滴を手の表面から剥離して吹飛ばす。
なお、吹出しノズル12の背後には、手挿入部3に面して手の挿抜を検知する手検知センサー14が設けられている。
吹出しノズル12に形成された吹出し孔13は箱体1の幅方向(図1の紙面の前後方向、又は図2の紙面の左右方向)に配向して例えば長方形状をなすスリット状に形成され、箱体1の前後方向(図1の紙面の左右方向、又は図2の紙面の上下方向)に複数列、本実施の形態1では2列設けられて、第1、第2の吹出し孔13a、13bを構成している。
上記のように構成した本実施の形態1の作用を説明する。手を手挿入口2から手挿入部3内に手首付近まで入れると、手検知センサー14によって手の挿入が検知され、制御回路の処理により高圧空気流発生装置8が作動し、吹出しノズル12から高い運動エネルギーを持つ高速空気流が手挿入部3内に吹き出される。この際、図3に示すように、個々の吹出し孔、すなわち第1、第2の吹出し孔13a、13bから吹出した高速の気流、すなわち第1、第2の気流15a、15bは、周囲の空気を巻込みながら気流幅を広げ、やがて互いの気流が合流し、一体化した幅広い高速気流15cを形成する。
こうして、幅広い高速気流15cが挿入された手に当たり、手に付着した水分を手挿入部3の水受け部4に吹き飛ばす。さらに、手挿入部3内で手を挿抜させることによって、手全体に付着していた水滴がすべて排除され、手が乾燥処理される。そして、手の乾燥処理終了後、手を手挿入部3から抜き出すと手検知センサー14がこれを検知し、高圧空気流発生装置8が停止する。手から吹き飛ばされた水滴は、前傾構造の水受け部4において排水口6に向かって流下し、排水口6からドレン容器7に収容される。
こうして、一体化した幅広い高速気流15cによって手乾燥範囲が広がり、高速の気流を手全体に当てることができるため、乾燥効率が向上する。また、必要以上に流速を高める必要がないため、発生騒音を抑えることができる。
これに対して、従来のように、吹出し孔が前後方向に一列しか設けていない場合は、吹出し孔の幅を広くすると手乾燥範囲を広くできるが、気流の流速が遅くなって乾燥性能が低下する。また、吹出し孔の幅を狭くして流速を大きくし、手表面の水滴吹飛ばし力を上げると乾燥効率を向上できるが、吹出された気流騒音と気流が手に衝突する際に発生する気流衝突騒音が増大する。これらの気流騒音と気流衝突騒音は流速のおよそ6乗に比例するため、僅かな流速増加によって大幅に騒音が上昇する。
[実施の形態2]
図4は本発明の実施の形態2に係る手乾燥装置の吹出し孔の平面図である。なお、実施の形態1と同一部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態2では、手乾燥装置の吹出し孔13を千鳥状に配置にしたものである。すなわち、箱体1の幅方向に配向させて例えば長方形状をなすスリット状の吹出し孔13を3個設けたもので、箱体1の前後方向の前側第1列目に第1の吹出し孔13aを1個設け、後側第2列目の前後方向同一位置に第2、第3の吹出し孔13b、13cを2個設けたものである。この場合、第2列目に位置する第3の吹出し孔13c端部と第1列目に位置する第1の吹出し孔13a端部との間、及び第1列目に位置する第1の吹出し孔13a端部と第2列目に位置する第2の吹出し孔13b端部との間は、それぞれ幅方向にほぼ同じ距離だけ離してある。
本実施の形態2におけるその他の作用、効果は、実施の形態1で示した場合と実質的に同様なので、説明を省略する。
[実施の形態3]
図5は本発明の実施の形態3に係る手乾燥装置の吹出し孔の平面図である。なお、実施の形態1と同一部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態3では、手乾燥装置の吹出し孔13を千鳥状に配置したものである。すなわち、箱体1の幅方向に配向させて長方形状をなすスリット状の吹出し孔13を3個設けたもので、箱体1の前後方向の前側第1列目に第1の吹出し孔13aを1個設け、後側第2列目の前後方向同一位置に第2、第3の吹出し孔13b、13cを2個設けたものである。この場合、第2列目に位置する第3の吹出し孔13cと第1列目に位置する第1の吹出し孔13aの端部近傍と、第1列目に位置する第1の吹出し孔13aと第2列目に位置する第2の吹出し孔13bの端部近傍がそれぞれほぼ同じ長さだけ幅方向に重なり合うように配設してある。
上記のように構成した本実施の形態3によれば、吹出し孔13が重なり合う部分に相当する気流分布は、図6に示すように、局部的に厚い気流幅15cを形成する。局部的に厚い部分は他の部分に比べて水滴の吹飛ばし力が強いため、例えば水滴が残りやすい指先に当てて選択的に使用すると使用感が向上し、乾燥効率が向上する。
本実施の形態3における他の作用、効果は、実施の形態1で示した場合と実質的に同様なので、説明を省略する。
本発明の実施の形態1に係る手乾燥装置の縦断面図である。 図1の吹出し孔の平面図である。 図1の作用説明図である。 本発明の実施の形態2に係る手乾燥装置の吹出し孔の平面図である。 本発明の実施の形態3に係る手乾燥装置の吹出し孔の平面図である。 図5の作用説明図である。
符号の説明
3 手挿入部(処理空間)、8 高圧空気流発生装置、12 吹出しノズル、13、13a〜13c 吹出し孔、15a〜15c 気流。

Claims (1)

  1. 手を出し入れする処理空間と、
    作動気流を吹き出す高圧空気流発生装置と、
    前記処理空間の幅方向に配向して長方形状のスリットによって構成される吹出し孔が設けられるとともに、これらの長方形状のスリットによって構成される吹出し孔が前記処理空間の前後方向に2列設けられ、前記高圧空気流発生装置からの作動気流を前記長方形状のスリットによって構成される吹出し孔から前記処理空間に吹きだし、吹き出された前記作動気流が気流幅を広げて合流し、一体化されて幅広い高速気流を形成する吹出しノズルとを備えた手乾燥装置であって、
    前記処理空間の前後方向の前側に前記長方形状のスリットを1箇所設け、後ろ側に前記長方形状のスリットを対向する端部同士の間隔を隔てて2箇所設けて、これらの長方形状のスリットを千鳥状に配設し、前記長方形状のスリットの前後方向の対向する端部近傍がそれぞれほぼ同じ長さだけ前記処理空間の幅方向に重なり合うようにしたことを特徴とする手乾燥装置。
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