JP3955441B2 - シリコンウエーハの評価方法および窒素ドープアニールウエーハ - Google Patents
シリコンウエーハの評価方法および窒素ドープアニールウエーハ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシリコンウエーハの酸素析出物密度を正確に評価する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウエーハの品質の1つとして、デバイスプロセス中の重金属不純物のゲッタリングサイトとしての酸素析出物(以下、BMDと呼ぶことがある。)密度の重要性が高まっている。一般に、シリコンウエーハ中の酸素析出物密度は、例えば、評価対象であるウエーハに800℃、4時間+1000℃、16時間等の熱処理を施すことにより、ウエーハ中に元々存在した酸素析出物の密度を変化させることなく検出可能なサイズに成長させた後、赤外干渉法や赤外散乱法などの光学的手法や選択エッチングを行なって顕微鏡観察することにより測定されている。
【0003】
しかしながら、例えば赤外干渉法を用いた装置の一つであるHigh Yield Technology社製OPP(Optical Precipitate Profiler)の場合、検出可能なBMDの下限サイズは直径50nm程度であるため、熱処理により成長させたBMDのサイズがそれ以下であると、BMDとしてカウントされないことになる。一方、ゲッタリング能力を発揮するためのBMDの下限サイズはそれよりも小さく、20〜30nm程度でも十分にゲッタリング効果が得られると考えられている。
【0004】
従って、評価対象ウエーハのゲッタリング能力を評価する目的でBMD密度を厳密に評価するためには、ウエーハ中に潜在している全てのBMDを熱処理により検出可能なサイズに成長させる必要があるが、評価対象ウエーハの製造条件(単結晶引き上げ条件、格子間酸素濃度、熱処理条件など)が異なればその熱処理が異なることが予想されるため、例えば、800℃、4時間+1000℃、16時間といった代表的な熱処理が、必ずしもすべてのウエーハに対して適切な熱処理であるかどうかは不明であった。従って、評価対象ウエーハ次第では本来のBMD密度が適切に測定できていないと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、シリコンウエーハ中に潜在的に含まれるBMD密度を正確に評価する方法を提供することにより、評価対象のシリコンウエーハのゲッタリング能力を正しく把握することを目的とする。また、その評価方法によってBMD密度を測定することにより、デバイスプロセス投入前から確実に優れたゲッタリング能力を有するシリコンウエーハを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために為されたもので、本発明は、シリコンウエーハの評価方法であって、特定の測定装置により検出可能な酸素析出物の下限サイズより小さな酸素析出物を含有するシリコンウエーハに、新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理を加えて、前記下限サイズより小さな酸素析出物のすべてを前記特定の測定装置により検出可能なサイズに成長させた後に、前記シリコンウエーハ中の酸素析出物密度を前記特定の測定装置により測定することを特徴とするシリコンウエーハの評価方法である。
【0007】
このように評価対象であるシリコンウエーハに、新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理を加えて、下限サイズより小さな酸素析出物のすべてを特定の測定装置により検出可能なサイズに成長させた後に、シリコンウエーハ中の酸素析出物密度を測定することにより、どのような製造条件で製造されたシリコンウエーハであっても、シリコンウエーハ中に潜在的に含まれる酸素析出物密度を正確に評価することができる。
【0008】
この場合、前記特定の測定装置の検出可能な酸素析出物の下限サイズに応じて、前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理温度および熱処理時間を調整することが好ましい。
このようにすれば、評価対象のシリコンウエーハ中の潜在的に存在する酸素析出物のすべてを確実に測定装置により検出可能なサイズにまで成長させることができる。また、最小限度の熱処理温度および熱処理時間に調整することができるため、評価に要する電力や時間を最小限に抑えることができる。
【0009】
この場合、前記特定の測定装置として、赤外干渉法または赤外散乱法を用いた装置を使用することができる。
赤外干渉法は、非破壊であり、試料の汚染に関係がなく、化学処理も必要とせず、手早く再現性が良いという利点がある。また焦点位置をウエーハの深さ方向に移動させることで、ウエーハの酸素析出物の深さ方向の分布を評価することもできる。一方、赤外散乱法はウエーハの深さ方向の情報を得るにはウエーハの劈開が必要とされるが、それ以外は赤外干渉法と同様に簡便であり、検出感度が高い。
【0010】
この場合、前記赤外干渉法を用いた装置がOPPであり、該OPPにより測定される平均信号強度が1.5V以上となった場合に、前記酸素析出物が全て検出可能なサイズに成長したと判断することができる。
OPPにより測定される平均信号強度が1.5V以上となった場合には、全ての酸素析出物が確実に検出可能なサイズに成長しており、測定データが正確にウエーハのゲッタリング能力を評価しているか否かが判ることになる。
【0011】
この場合、予め新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理温度および熱処理時間と特定の測定装置により測定される酸素析出物密度との関係を求め、前記特定の測定装置により測定される酸素析出物密度が飽和値に達する熱処理温度および熱処理時間で前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理を行うことが好ましい。
【0012】
このように、測定に用いる測定装置の種類ごとに、予め酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理温度および熱処理時間と前記特定の測定装置により測定される酸素析出物密度との関係を求めておき、前記特定の測定装置により測定される酸素析出物密度が飽和値に達する熱処理温度および熱処理時間で前記酸素析出物を成長させる熱処理を行うようにすれば、最小限度の熱処理温度と熱処理時間でシリコンウエーハ中に潜在的に含まれる酸素析出物を検出可能なサイズまで確実に成長させることができ、シリコンウエーハを正確に短時間で評価することができる。
【0013】
あるいは、特定の測定装置としてOPPを使用する場合には、予め前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理温度および熱処理時間と前記OPPにより測定される平均信号強度との関係を求め、前記OPPにより測定される平均信号強度が1.5V以上となる熱処理温度および熱処理時間で前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理を行うことが好ましい。
【0014】
このように、OPPで測定される平均信号強度が1.5V以上であれば、酸素析出物密度は飽和値に達しており、このような信号強度となる熱処理温度および熱処理時間で酸素析出物を成長させる熱処理を行うようにすれば、下限サイズより小さな酸素析出物のすべてを確実に検出可能なサイズにまで成長させることができる。従って、シリコンウエーハのゲッタリング能力を正確にかつ短時間で評価することができる。
【0015】
この場合、前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理を750℃以上の温度で行うことが好ましい。
これは、概ね750℃以上の熱処理であれば新たな酸素析出物(酸素析出核)を発生させることはなく、酸素析出物のサイズを検出可能な大きさまで成長させることができるからである。但し、通常、熱処理温度が900℃以上であると元々存在したgrown−in析出物の中には溶解してしまうものも発生するので酸素析出物を成長させる熱処理の初段の熱処理温度として900℃以上に設定することは好ましくない。
【0016】
この場合、前記シリコンウエーハは、窒素がドープされたCZシリコンウエーハであるものとすることができる。
窒素をドープされたCZシリコンの場合、as−grownであっても、高温で安定なgrown−in酸素析出物が形成されるので、酸素析出物を析出させる熱処理の初段から1000℃以上の高温熱処理を行うことができ、熱処理を短時間で効率よく行うことができる。
【0017】
この場合、前記シリコンウエーハは、前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理の前に予め1000℃以上の温度で熱処理されたアニールウエーハであるものとすることができる。
このように予め1000℃以上の高温熱処理を施されたアニールウエーハを評価する場合は、その高温熱処理後に残存している酸素析出物が評価対象となるため、その高温熱処理温度を越えない温度であれば、酸素析出物を成長させる熱処理の初段から1000℃以上の高温熱処理を施すことができ、熱処理を短時間で効率よく行うことができる。
【0018】
また本発明は、窒素がドープされたCZシリコンウエーハを熱処理して得られる窒素ドープアニールウエーハであって、OPPにより測定される平均信号強度が1.5V以上であり、かつ、酸素析出物密度が1×109個/cm3以上であることを特徴とする窒素ドープアニールウエーハである。
【0019】
このような窒素ドープアニールウエーハは、十分なサイズと密度の酸素析出物を有するものであり、デバイスプロセス初期からゲッタリング能力を発揮するウエーハとして極めて有効である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明は、従来一般的に行なわれていた、800℃、4時間+1000℃、16時間の熱処理等では、元々のサイズが20〜30nm程度と小さいながらゲッタリング能力を発揮できるBMDを検出可能なサイズまで十分に成長させることができず、正確にウエーハのゲッタリング能力を評価できない場合があることに鑑みなされたものである。すなわち、本発明はシリコンウエーハの酸素析出物の析出挙動に応じて、新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理を行い、検出下限より小さな微小酸素析出物を前記特定の光学的測定装置により検出可能なサイズに成長させた後、前記シリコンウエーハ中の酸素析出物密度を前記特定の光学的測定装置により測定することを特徴とする。
【0021】
これにより従来の一般的な800℃、4時間+1000℃、16時間の熱処理等では、検出可能なサイズに成長させることができず、正確な評価が不可能であったウエーハに対しても適切な成長熱処理を施すことによって、ウエーハ中に潜在的に存在する酸素析出物を漏れなく成長させて検出することが可能となり、すべてのウエーハに対して正確な評価が可能となる。
【0022】
この場合、好ましくは特定の測定装置の検出可能な酸素析出物の下限サイズに応じて、酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理温度および熱処理時間を調整する。このようにすることで、最小限度の熱処理温度および熱処理時間によって酸素析出物を検出可能なサイズにまで成長させることができる。
【0023】
そして、本発明において、検出可能なサイズにまで成長した酸素析出物の密度を測定するには、例えばOPPを適用することができる。ここで、OPPは、ノルマルスキータイプ微分干渉顕微鏡を応用したもので、まず光源からでたレーザ光を偏光プリズムで2本の互いに直交する90°位相が異なる直線偏光のビームに分離して、ウエーハ鏡面側から入射させる。この時1つのビームが欠陥を横切ると位相シフトが生じ、もう1つのビームとの位相差が生じる。この位相差をウエーハ裏面透過後に、偏光アナライザーにより検出することにより欠陥を検出する。
【0024】
このOPPは、非破壊測定法であり、試料の汚染も関係がなく、化学処理も必要とせず、手早く再現性が良いという利点がある。そのため、プロセスの途中でウエーハを抜き取って評価し、またプロセスに戻すこともできる。また焦点位置をウエーハの深さ方向に移動させることで、ウエーハの酸素析出物の深さ方向の分布を評価することもできるという利点もある。
【0025】
本発明者らは、酸素析出物を成長させる熱処理の条件を調整するため、熱処理温度および熱処理時間と特定の測定装置により測定される酸素析出物密度との関係について、以下に示す実験を行った。
(実験1)
CZ法により作製された初期格子間酸素濃度が異なる直径200mmの窒素ドープアニールウエーハを複数枚用意した。ウエーハの製造条件、ウエーハ仕様は以下の通りである。
(200mmウエーハ)
p型、結晶方位<100>、抵抗率約10Ωcm
窒素濃度5×1013個/cm3、
初期格子間酸素濃度11,13,15ppma(JEIDA:日本電子工業振興協会の規格)、アニール条件:Ar100%雰囲気、1200℃、1時間
【0026】
これらのウエーハについて1000℃で4〜24時間の熱処理を、酸素を2%含有する窒素雰囲気において施した。そして、これらのウエーハの酸素析出物密度を、赤外干渉法を用いた装置であるOPP(High Yield Technology社製)および赤外散乱法を用いた装置であるBMDアナライザーMO−401(三井金属鉱山社製)により測定した。BMDアナライザーMO−401ではLST(赤外線散乱トモグラフィー)法を用いて測定を行った。ここで、LST法は光散乱法の一種であり、赤外線をウエーハの表面又は劈開面から照射し、酸素析出物で散乱した光を劈開面若しくは表面から観察することにより、酸素析出物の大きさ、分布を測定する方法である。
実験結果を図1および図2に示す。
尚、酸素析出物密度は、1000℃の熱処理を行わないものについても測定した。
【0027】
図1より、OPP測定の場合、初期格子間酸素濃度(Oi)が15、13、11ppmaのウエーハについて、それぞれ1000℃での熱処理時間が約15時間、約16時間、約24時間となるまでは、検出されるBMD密度は増加していくことが判る。しかし、それ以上熱処理時間が長くなると、BMD密度の検出値は飽和値に達し、それ以上は検出値が増大しないことが判る。
【0028】
また図2より、LST測定の場合、BMD密度が飽和する時間は、初期格子間酸素濃度(Oi)が15、13、11ppmaのウエーハについて、それぞれ1000℃での熱処理時間が約0時間(Arアニールのみ)、約4時間、約8時間となるまでは、検出されるBMD密度は増加していくことが判る。しかし、それ以上熱処理時間が長くなると、OPP測定の場合と同様にBMD密度の検出値は飽和値に達し、それ以上は検出値が増大しないことが判る。
【0029】
以上の結果より、それぞれの測定方法による検出値が飽和値に達したときは、ウエーハ内の全ての酸素析出物が検出可能なサイズにまで成長したため、それ以上熱処理を継続しても酸素析出物密度には変化がないことが予想される。
【0030】
したがって、各々の測定装置について予め酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理温度および熱処理時間と特定の測定装置により測定される酸素析出物密度との関係を求めておき、測定される酸素析出物密度が飽和値に達する熱処理温度および熱処理時間で酸素析出物を成長させる熱処理を行えば、最小限の熱処理温度および熱処理時間でウエーハ内に潜在的に存在する酸素析出物を検出可能なサイズに成長させることができるとともに、その酸素析出物密度から正確にゲッタリング能力を知ることができる。
【0031】
なお、BMD密度が飽和値に達する熱処理時間についてのOPP測定とLST測定の違いは、検出感度の差によるものであり、LST測定の方がサイズに関する検出感度が高いと言える。また、飽和密度は測定した窒素ドープアニールウエーハの潜在BMD密度を示しており、飽和密度のOPPとLSTの差は測定誤差と考えられる。
【0032】
さらに、本発明者らはOPPを用いて測定する場合において、以下の実験を行った。
(実験2)
(実験1)で用いたウエーハと同一の条件のCZ法により作製された直径200mmの窒素ドープアニールウエーハと、同じくCZ法により作製され、低温熱処理で微小BMDを導入した直径150mmのウエーハ(窒素ノンドープ)とを用意した。150mmウエーハの製造条件、ウエーハ仕様は以下の通りである。
(150mmウエーハ)
p型、結晶方位<100>、抵抗率約10Ωcm
初期格子間酸素濃度15,16,19ppma(JEIDA規格)
アニール条件:N2100%雰囲気、700℃、4時間
【0033】
これらのサンプルに対して2%の酸素を含有する窒素雰囲気により1000℃で4〜24時間の熱処理を施すことによりBMDサイズを変化させて、OPPによりその密度とサイズを測定した。また、窒素ドープアニールウエーハについては、1000℃の熱処理を行なわないものも測定した。測定モードはZスキャンで、測定位置はウエーハ表面から深さ30〜90μmとし、ウエーハの中心、R/2(中心から半径の1/2だけ外周寄りの位置)、エッジ10mm(ウエーハの最外周より10mm内側の位置)の3点について、散乱光の平均信号強度とBMD密度との関係を測定した。測定結果を図3に示す。
【0034】
図3より、BMD密度は信号強度と共に増加し、最終的な飽和値いかんにかかわらず、約1.5V以上でほとんど変化しないことが判る。また、この傾向はウエーハの種類や初期酸素濃度に依存しなかった。この結果から、測定されたウエーハ中には、ほとんどの酸素析出物が検出可能なサイズ以上に成長したものと、検出下限未満の酸素析出物を含むものがあり、測定されたBMD密度が一定の飽和値に達したものは、ほとんどの酸素析出物が検出可能なサイズ以上に成長したものと考えられる。平均信号強度が約1.5V以上であれば、ほとんどのBMDが検出可能なサイズまで成長し、測定対象のウエーハが有する本来のBMD密度が測定できることが推定される。これに対して、平均信号強度が約1.5Vを下回る場合は、BMDが十分なサイズに到達していないために、BMD密度の測定値は検出下限を上回ったサイズの酸素析出物の密度のみを示すことになると考えられる。
【0035】
したがって、予め酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理温度および熱処理時間と前記OPPにより測定される平均信号強度との関係を求めておき、測定される平均信号強度が1.5V以上となる熱処理温度および熱処理時間で熱処理を行えば、最小限の熱処理温度および熱処理時間でウエーハ内に潜在的に存在する酸素析出物を検出可能なサイズに確実に成長させることができる。
【0036】
なお、本発明で、新たな酸素析出物を発生させることのない熱処理とは、その熱処理温度により決定され、シリコンウエーハ中の格子間酸素濃度や単結晶の引き上げ条件などにより異なるが、概ね、750℃以上の熱処理であれば新たな酸素析出物(酸素析出核)を発生させることはない。
【0037】
一方、酸素ドナーを消滅させる熱処理以外は未熱処理のas−grownウエーハの場合、その初段の熱処理温度が900℃以上であると元々存在したgrown−in析出物の中には溶解してしまうものも発生するので酸素析出物を成長させる熱処理の初段の熱処理温度として900℃以上に設定することは好ましくない。
【0038】
これに対し、予め1000℃以上の高温熱処理を施されたアニールウエーハを評価する場合は、その高温熱処理後に残存している酸素析出物が評価対象となるため、その高温熱処理温度を越えない温度であれば、酸素析出物を成長させる熱処理の初段に高温熱処理を行なっても問題はない。
【0039】
また、評価するウエーハが窒素ドープされたCZシリコンウエーハの場合、as−grownであっても、高温で安定なgrown−in酸素析出物が形成されるので、アニールウエーハと同様に酸素析出物を成長させる熱処理の初段に1000℃以上の高温熱処理を行なうことができる。
【0040】
本発明の評価方法の利用方法として、as−grownウエーハやアニールウエーハに関わらず、ウエーハユーザーに出荷するウエーハを本発明の評価方法により評価して酸素析出物密度を求め、このウエーハに施した熱処理条件(新たな酸素析出物を発生させることのない熱処理)のデータと共にウエーハユーザーに提供することが考えられる。この場合、そのウエーハユーザーは、例えば、その熱処理温度以下の熱処理でデバイスプロセスを設計する等の配慮をすることにより、少なくともその酸素析出物密度により決定されるゲッタリング効果が得られることを予測することができるからである。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
直径200mm、結晶方位<100>、抵抗率約10Ωcmの窒素をドープしたシリコンウエーハを評価試料として製造した。ウエーハの窒素濃度は5×1013個/cmであった。また、ウエーハの格子間酸素濃度11ppma(JEIDA)であった。
このウエーハに対してAr雰囲気下で1200℃で1時間の熱処理を施した後、ウエーハ中の酸素析出物を評価した。
【0042】
ここで、予め求めた図1および図3によると、上記ウエーハと同一条件のウエーハについて、酸素析出物のサイズが前述のOPPによりすべて検出可能なサイズに成長する熱処理は、1000℃で24時間の熱処理である。そこで、評価されるウエーハに対して酸素析出物を成長させる熱処理を2%の酸素を含有する窒素雰囲気において1000℃で24時間施した。熱処理後のウエーハの酸素析出物密度をOPPにより測定した。測定結果は4×109個/cm3であった。この時の平均信号強度は1.5V以上で、酸素析出物は十分成長しており、得られた析出物密度は正確な測定値であることが判った。
【0043】
(比較例1)
実施例1と同一の条件のシリコンウエーハを製造し、従来の一般的な熱処理であるN2ガス雰囲気で800℃、4時間の熱処理の後、O2ガス雰囲気により1000℃、16時間の熱処理を施した。その後、実施例で用いたのと同じOPPによりウエーハの酸素析出物密度を測定した。測定結果は1×109個/cm3となり、同じ条件のウエーハを同じ測定装置で測定しているにもかかわらず、実施例の数値を下回るものとなった。
【0044】
以上の結果より、本発明の方法によれば、ウエーハ内に潜在的に存在する酸素析出物を全て検出可能なサイズに成長させて測定することができ、ウエーハに対する正確な評価が可能となることが判る。
一方、従来の方法によると、ウエーハの製造条件によってはウエーハ内の微小な酸素析出物を全て検出可能なサイズにすることができないため、測定値は検出下限を上回ったサイズの酸素析出物についてのみの値を示すことになり、正確な評価が不可能になる場合があることが判る。
【0045】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0046】
例えば、上記説明においては、測定装置として主にOPPを使用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、LST法等の光学的な手法や光学的な手法を用いない測定装置を使用する場合にも適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明により、ウエーハの製造条件にかかわらず、シリコンウエーハ中に潜在的に含まれる酸素析出物密度を正確に評価することができる評価方法が提供される。そのため、評価対象のシリコンウエーハのゲッタリング能力を正しく把握することができる。また、この評価方法によりウエーハを特定することにより、デバイスプロセス投入前から優れたゲッタリング能力を有するシリコンウエーハを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理時間とOPPにより測定される酸素析出物密度との関係を示した図である。
【図2】酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理時間とLST法を用いた測定装置により測定される酸素析出物密度との関係を示した図である。
【図3】OPPにより測定される平均信号強度とその際のBMD密度との関係を示した図である。
Claims (7)
- シリコンウエーハの評価方法であって、赤外干渉法を用いた測定装置であるOPPにより検出可能な酸素析出物の下限サイズより小さな酸素析出物を含有するシリコンウエーハに、新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理を加えて、前記下限サイズより小さな酸素析出物のすべてを前記OPPにより検出可能なサイズに成長させた後に、前記OPPにより測定される平均信号強度が1.5V以上となった場合に、前記酸素析出物が全て検出可能なサイズに成長したと判断して、前記シリコンウエーハ中の酸素析出物密度を前記OPPにより測定することを特徴とするシリコンウエーハの評価方法。
- 前記OPPの検出可能な酸素析出物の下限サイズに応じて、前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理温度および熱処理時間を調整することを特徴とする請求項1に記載されたシリコンウエーハの評価方法。
- 予め前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理温度および熱処理時間と前記OPPにより測定される酸素析出物密度との関係を求め、前記OPPにより測定される酸素析出物密度が飽和値に達する熱処理温度および熱処理時間で前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたシリコンウエーハの評価方法。
- 予め前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理の熱処理温度および熱処理時間と前記OPPにより測定される平均信号強度との関係を求め、前記OPPにより測定される平均信号強度が1.5V以上となる熱処理温度および熱処理時間で前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載されたシリコンウエーハの評価方法。
- 前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理を750℃以上の温度で行うことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載されたシリコンウエーハの評価方法。
- 前記シリコンウエーハは、窒素がドープされたCZシリコンウエーハであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載されたシリコンウエーハの評価方法。
- 前記シリコンウエーハは、前記新たな酸素析出物を発生させることなく酸素析出物を成長させる熱処理の前に予め1000℃以上の温度で熱処理されたアニールウエーハであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載されたシリコンウエーハの評価方法。
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