JP2007142063A - シリコン単結晶ウエーハ、これを用いたデバイスの製造方法、並びにそのシリコン単結晶ウエーハの製造方法及び評価方法 - Google Patents

シリコン単結晶ウエーハ、これを用いたデバイスの製造方法、並びにそのシリコン単結晶ウエーハの製造方法及び評価方法 Download PDF

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久之 斉藤
Ryoji Hoshi
亮二 星
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泉 布施川
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Abstract

【課題】低温デバイス製造プロセスにおいても、IG能力を十分に発揮でき、しかも、比較的簡単かつ安価で提供できるシリコン単結晶ウエーハを提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶ウエーハであって、少なくとも、低温熱処理を行った場合に発生するBMDが、強度300mW以上のレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により検出した時に、1×10個/cm以上であることを特徴とするシリコン単結晶ウエーハ。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体集積回路等のデバイスまたは素子を製造するための基板となる、シリコン単結晶ウエーハに関する。
半導体集積回路素子の基板として用いられるシリコン単結晶ウエーハは、主にチョクラルスキー法(CZ法)によって製造されている。CZ法とは、石英ルツボ内で1420℃以上の高温で溶融されたシリコン融液にシリコン単結晶の種結晶を浸漬させ、石英ルツボと種結晶を回転させながら徐々に種結晶を引き上げることによって、円柱状のシリコン単結晶を育成する方法である。
この時、シリコン融液と接触する石英ルツボ表面は溶融し、酸素がシリコン融液中に溶け込み、育成中の結晶の中に取り込まれる。その酸素原子は結晶育成中および冷却中に凝集し、酸素析出核となる。そのため育成されたままの結晶から採取されたシリコン単結晶ウエーハにデバイス工程等で熱処理を施すとこの核がウエーハバルク部で成長しBMD(Bulk Micro Defect)を形成する。このBMDは、集積回路素子形成の過程(デバイス製造プロセス)で起こる重金属不純物汚染を捕獲するという有益な役割を担う。いわゆるイントリンシック・ゲッタリング(IG:Intrinsic gettering)である。従来の高温デバイス製造プロセスでは、このBMDをプロセス中にシリコン単結晶ウエーハに形成させることができた。
近年のデバイス製造プロセスでは、高集積化、プロセスの低温化が進んでいる。しかしながら、低温デバイス製造プロセスでは、プロセス中に酸素析出核が十分に成長せず、BMD形成が困難であると考えられていた。このため、低温デバイス製造プロセスでは、ウエーハに十分なIG能力を付与することが困難であるとされていた。
そこで、低温デバイス製造プロセスに投入する前に、シリコン単結晶ウエーハにBMDを予め作り込んでおき、十分なIG能力を付加させる方策、あるいはウエーハのIG能力が低くても良いように製造ラインの更なるクリーン化を図る方策等が採られていた。
BMDを予め作り込んでおく方策は、シリコン単結晶をウエーハに加工した後に、デバイス工程に投入する前にウエーハを高温で長時間の熱処理をすることによりBMDを形成するものである。他に、引用文献1では、シリコンウエーハの裏面に多結晶シリコンを成長させた後に、1000℃以上1100℃未満且つ1時間以上の熱処理を施すことにより、BMDを形成させることを提案している。しかしながら、このように製造した熱処理ウエーハやエピウエーハはその製造工程ゆえ、比較的高価になるという問題があった。
また、製造ラインの更なるクリーン化を図る方策を採ったとしても、クリーン化には限界がある。そのため、やはり、シリコン単結晶ウエーハ自体に、IG能力を付加する必要があった。しかも、この方策を採った場合、クリーン化のための設備費がかさむという問題もあった。
このため、低温デバイス製造プロセスにおいても、IG能力を十分に発揮でき、しかも、簡単かつ安価で提供できるシリコン単結晶ウエーハが求められていた。
特開平6−45337号公報
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、低温デバイス製造プロセスにおいても、IG能力を十分に発揮でき、しかも、比較的簡単かつ安価で提供できるシリコン単結晶ウエーハを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶ウエーハであって、少なくとも、低温熱処理を行った場合に発生するBMDが、強度300mW以上のレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により検出した時に、1×10個/cm以上であることを特徴とするシリコン単結晶ウエーハを提供する(請求項1)。
すなわち、本発明のシリコン単結晶ウエーハは、低温デバイス製造プロセスに投入した場合にも、微小なBMDを含めBMDを1×10個/cm以上の密度でウエーハバルク部に発生させることができるものである。この微小なBMDは、選択エッチング等の従来方法では観察できないものであるが、従来よりも強度を上げたレーザー光を用いる赤外散乱トモグラフ法により初めて観察することができるものである。しかも、この微小なBMDは、IG能力を発揮し、ウエーハ表層などから重金属不純物を除去できる。そのため、本発明のシリコン単結晶ウエーハを、低温デバイス製造プロセスに投入すれば、デバイス製造プロセス中にウエーハのバルク部に微小なBMDを含めBMDが発生し、該BMDによりウエーハ表面近傍などから金属不純物を除去することができる。したがって、本発明のシリコン単結晶ウエーハを低温デバイス製造プロセスで用いることで高品質なデバイスを製造することができる。また、本発明のシリコン単結晶ウエーハは、従来のようにデバイス製造プロセス投入前に予め熱処理によりウエーハ中にBMDを作り込む必要がないため、比較的簡単且つ安価で提供できる。
ここで、本発明における「低温熱処理」とは、1000℃以上の熱処理が5時間未満である熱処理のことを言う。また、「低温デバイス製造プロセス」とは、1000℃以上の熱処理が5時間未満であるデバイス製造プロセスのことを言う。
さらに、本発明のシリコン単結晶ウエーハでは、前記BMDが、1×1010個/cm以上の密度で発生するものであることが好ましい(請求項2)。
このように、低温熱処理によりBMDが、1×1010個/cm以上の密度で発生するものであれば、より高いIG能力を発揮できるので、ウエーハをより一層清浄に保つことができる。そのため、このようなシリコン単結晶ウエーハを低温デバイス製造プロセスで用いることで、より高品質なデバイスを製造することができる。
また、本発明のシリコン単結晶ウエーハでは、前記シリコン単結晶ウエーハの全面が、熱酸化処理をした際にリング状に発生するOSFの外側のNv領域であるのが好ましい(請求項3)。
このようにウエーハ全面がNv領域であれば、酸素析出が促進され易く、低温デバイス製造プロセスにおいて容易にBMDを形成することができる。
そして、この場合、前記シリコン単結晶ウエーハの全面が、DSODが存在しない領域であるのが好ましい(請求項4)。
このようにウエーハ全面が、DSODが存在しない領域であれば、高酸化膜耐圧で優れた電気特性を有するウエーハとなる。したがって、このようなシリコン単結晶ウエーハを用いることで、より一層高品質なデバイスを製造することができる。
また、本発明のシリコン単結晶ウエーハでは、前記シリコン単結晶ウエーハの酸素濃度が、10ppma以上であるのが好ましい(請求項5)。
このように、酸素濃度が、10ppma以上であれば、低温熱処理であっても酸素析出が生じ易く、したがって、BMDの形成が促進される。
また、本発明のシリコン単結晶ウエーハでは、前記シリコン単結晶ウエーハが、窒素ドープされたものであるのが好ましい(請求項6)。
このように、シリコン単結晶ウエーハが、窒素ドープされたものであれば、ウエーハのバルク部などでは窒素の存在により酸素析出が促進され、容易にBMDを形成することができる。
さらに、本発明は、上記本発明のシリコン単結晶ウエーハを、1000℃以上の熱処理が5時間未満である低温デバイス製造プロセスに投入し、デバイスを製造することを特徴とするデバイスの製造方法を提供する(請求項7)。
このように、上記本発明のシリコン単結晶ウエーハを低温デバイス製造プロセスに投入することで、高品質なデバイスを製造することができる。
また、本発明は、低温デバイス製造プロセス用シリコン単結晶ウエーハの製造方法であって、少なくとも、チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶からサンプルとしてスライスされたシリコン単結晶ウエーハに1000℃以上の熱処理が5時間未満の低温熱処理を施し、該低温熱処理を施したサンプルウエーハのBMDを、強度300mW以上のレーザー光を用いる赤外散乱トモグラフ法により検出し、該BMD密度が1×10個/cm以上であるシリコン単結晶をスライスして得られたシリコン単結晶ウエーハを、低温デバイス製造プロセス用とすることを特徴とする低温デバイス製造プロセス用シリコン単結晶ウエーハの製造方法を提供する(請求項8)。
このようにして製造した低温デバイス製造プロセス用シリコン単結晶ウエーハは、熱処理ウエーハなどのように予めBMDを作り込んでおく必要がなく、このまま低温デバイス製造プロセスに投入しても、プロセス中に微小なBMDを含めBMDを高密度で形成でき、IG能力を十分に発揮できるものである。しかも、従来の熱処理ウエーハよりも比較的簡単かつ安価で提供できる。
さらに、本発明は、シリコン単結晶ウエーハの評価方法であって、少なくとも、シリコン単結晶からスライスされたシリコン単結晶ウエーハに1000℃以上の熱処理が5時間未満の低温熱処理を施し、該低温熱処理を施したウエーハのBMDを、強度300mW以上のレーザー光を用いる赤外散乱トモグラフ法により検出し、前記シリコン単結晶ウエーハのBMDを評価することを特徴とするシリコン単結晶ウエーハの評価方法を提供する(請求項9)。
前述のように、低温熱処理で発生する微小なBMDは、選択エッチング等の従来方法では検出できず、シリコン単結晶ウエーハのBMDを正確に評価することができなかったが、本発明では、従来よりも強度を上げたレーザー光を用いる赤外散乱トモグラフ法により検出することで、そのような微小なBMDを検出でき、より正確にシリコン単結晶ウエーハのBMDを評価することができる。
以上説明したように、本発明によれば、低温熱処理を行った場合に発生するBMDが、強度300mW以上のレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により検出した時に、1×10個/cm以上であるシリコン単結晶ウエーハが提供される。このような本発明のシリコン単結晶ウエーハは、低温デバイス製造プロセスに投入された場合にも、プロセス中に、IG能力を有する微細なBMDを含めBMDを高密度で形成することができる。したがって、本発明のシリコン単結晶ウエーハを用いれば、低温デバイス製造プロセスにおいて発生したBMDにより、デバイス形成領域であるウエーハ表面近傍などから重金属不純物を除去でき、高品質のデバイスを製造することができる。また、本発明のシリコン単結晶ウエーハを用いれば、従来のようにデバイス製造プロセス投入前に予め熱処理によりウエーハ中にBMDを作り込む必要がないので、デバイスの製造コストの点でも有利である。
以下、本発明について詳述するが、本発明は以下で挙げられる実施形態に限られるものではない。
前述のように、低温デバイス製造プロセスにおいても、IG能力を十分に発揮でき、しかも、簡単かつ安価で提供できるシリコン単結晶ウエーハの開発が待たれていた。そこで、本発明者は、従来の熱処理ウエーハやエピウエーハよりも簡単かつ安価で、しかも、低温デバイス製造プロセスにおいてIG能力を十分に発揮できるウエーハを開発すべく鋭意検討を重ねた。
本発明者は、その過程で、ある種のシリコン単結晶ウエーハは、低温デバイス製造プロセスにおける低温熱処理であっても、強度300mW以上のレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により評価できるBMDを高密度で形成できることを見出した。これにより評価できるBMDには、微小なBMDが含まれていた。従来、低温熱処理によって形成される微小なBMDを赤外散乱トモグラフ法で検出することは行われていなかった。また、BMDは、本来、Seccoエッチングなどの選択エッチングにより光学的に評価されるものであるが、この赤外散乱トモグラフ法で見出された微小なBMDは、Seccoエッチング等でも全く評価できないものであった。ここで、Seccoエッチングとは、組成がHF:KCr=2:1の薬液で、面方位<100>の結晶に適したSecco液を用いるエッチングである。
図3に、この種の微小なBMDを観察した写真を示す。いずれも、CZウエーハに1000℃で30分、800℃で20時間の熱処理を施し、ウエーハ断面を観察したものであるが、図3(a)は、強度300mWのレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により観察したものであり、赤外散乱トモグラフ装置として、MO−441(商品名、三井金属鉱業社製)を用いた。一方、図3(b)は、Seccoエッチングにより観察したものである。図3を見て判るように、この微小なBMDは、強度300mW以上のレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法によって初めて観察できるものであり、Seccoエッチングによっては全く観察できないものである。このようにSeccoエッチングと強度300mW以上のレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法の相関は全く無いことが判る。
また、図5に、レーザー光の強度を変えてBMDを評価した実験結果を示す。図5から、この微小なBMDは、レーザー光の強度が100mW以下ではあまり検出できないものの、レーザー光の強度を300mW以上とすることで確実に検出することができることが判る。
本発明者は、強度300mW以上のレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法によって評価できる微小なBMDについて、さらに調査研究を重ねた結果、この微小なBMDが、重金属不純物汚染を十分に捕獲できる能力を有することを見出した。そこで、本発明者は、低温熱処理を行ったときに発生する微小なBMDを含めBMDが高密度で存在するシリコン単結晶ウエーハであれば、高温長時間の酸素析出熱処理をすることなく、そのまま低温デバイス製造プロセスに投入したとしても、IG能力を十分に発揮でき、しかも、従来の熱処理ウエーハ、エピウエーハと比較して簡単かつ安価で提供できることに想到し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶ウエーハであって、少なくとも、低温熱処理を行った場合に発生するBMDが、強度300mW以上のレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により検出した時に、1×10個/cm以上であることを特徴とするシリコン単結晶ウエーハを提供する。
ここで、図2に、低温熱処理後の本発明のシリコン単結晶ウエーハの一例を示す。図2は、断面模式図である。
低温熱処理により、シリコン単結晶ウエーハ10には、酸素析出核が成長し微小なBMDを含むBMDが高密度で存在するBMD層10aが形成される。したがって、このような本発明のシリコン単結晶ウエーハを、低温デバイス製造プロセスに投入すれば、デバイス製造プロセス中にウエーハのバルク部にこのように微小なBMDを含めBMDが高密度で発生し、該BMDにより金属不純物を十分に除去することができる。したがって、このような本発明のシリコン単結晶ウエーハを用いることで高品質なデバイスを製造することができる。また、このような本発明のシリコン単結晶ウエーハは、従来のようにデバイス製造プロセス投入前に予め熱処理によりウエーハ中にBMDを作り込む必要がないため、比較的簡単且つ安価で提供できる。
さらに、本発明のシリコン単結晶ウエーハでは、BMDが、1×1010個/cm以上の密度で発生するものであるのが好ましい。これにより、より高いゲッタリング能力を発揮できるので、ウエーハ表面近傍などをより清浄に保つことができる。そのため、このようなシリコン単結晶ウエーハを低温デバイス製造プロセスに投入することで、より高品質なデバイスを製造することができる。
ここで、図1に、強度300mWのレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により検出できるBMDの密度とIG能力の関係を調べたグラフを示す。
このBMDの密度とIG能力の関係は、以下のように調べた。先ず、シリコン単結晶に、1000℃で0.5時間、750〜850℃で19.5時間の低温熱処理を施し、ウエーハバルク部にBMDを発生させた。次に、強度300mWのレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により、発生させたBMDの密度を調べた。次に、このシリコン単結晶ウエーハの表面を、3.00E+13(3.00×1013)atoms/cmのFeで故意汚染した。そして、600℃で20分の熱処理を施した後、シリコン単結晶ウエーハ表層のFe濃度を測定した。
この中で行った一連の熱処理は、低温デバイス製造プロセスにおける熱処理を想定したものである。尚、通常は、高温デバイス製造プロセスを想定し、例えば800℃で4時間、1000℃で16時間の熱処理を施すことによってBMDを発生させ、測定しているが、ここではこのような高温長時間の熱処理は加えられていない。
また、Feでの故意汚染後、熱処理を施すことにより、ウエーハバルク部の微小なBMDにFeを捕獲させている。そのため、測定されたウエーハ表層のFe濃度が低ければ低いほど、IG能力が高いことを示している。
図1から、強度300mWのレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により検出できるBMDが、1.00E+09(1.00×10)個/cm以上、特には、1.00E+10(1.00×1010)個/cm以上の高密度で存在するものであれば、十分なIG能力を発揮することが判る。このような微小なBMDは、従来の選択エッチング法では見出せなかったものであり、従って、ゲッタリング能力もないものと考えられていたものである。
このように低温熱処理により高密度でBMDを発生させることができるシリコン単結晶ウエーハとしては、例えば、シリコン単結晶ウエーハの全面が、熱酸化処理をした際にリング状に発生するOSFの外側のNv領域であるものが挙げられる。
ここで、OSF、Nv領域等の結晶欠陥領域について図4を用いて説明する。
シリコン単結晶において、結晶成長速度が比較的高速の場合には、空孔型の点欠陥が集合したボイド起因とされているFPD(Flow Pattern Defect)等のGrown−in欠陥が結晶径方向全域に高密度に存在し、これら欠陥が存在する領域はV(Vacancy)領域と呼ばれている。また、成長速度を低めていくと成長速度の低下に伴いOSF(酸化誘起積層欠陥、Oxidation Induced Stacking Fault)が結晶の周辺からリング状に発生している。一方、結晶成長速度が比較的低速の場合には、格子間シリコンが集合した転位ループ起因と考えられているLSEPD(Large Secco Etch Pit Defect)、LFPD(Large Flow Pattern Defect)等の欠陥が低密度に存在し、この欠陥が存在する領域はI(Interstitial)領域と呼ばれている。
近年、V領域とI領域の中間でOSFの外側に、空孔起因のFPD等も、格子間シリコン起因のLSEPD、LFPD等も存在しない領域の存在が発見されている。この領域はN(ニュートラル、Neutral)領域と呼ばれる。また、このN領域をさらに分類すると、OSFの外側に隣接するNv領域(空孔の多い領域)とI領域に隣接するNi領域(格子間シリコンが多い領域)とがあり、Nv領域では、熱酸化処理をした際に酸素析出量が多く、Ni領域では酸素析出が殆ど無いことがわかっている。
したがって、上記のようにウエーハ全面がNv領域であれば、酸素析出が促進され易く、低温熱処理によって容易に微小なBMDを高密度で形成することができる。
これらの結晶欠陥は、引き上げ速度(F)とシリコンの融点から1400℃の間の引き上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値(G)の比であるF/Gというパラメーターにより、その導入量が決定されると考えられている。すなわち、F/Gが一定になるように、引き上げ速度と温度勾配を調節すれば、所望の欠陥領域、あるいは所望の無欠陥領域で単結晶を引き上げることができる。したがって、全面Nv領域となるように制御してシリコン単結晶を引上げ、該引上げたシリコン単結晶からシリコン単結晶ウエーハを切り出すことで、全面Nv領域のシリコン単結晶ウエーハを製造することができる。
また、OSF外側のNv領域の一部にCuデポジション法で検出される欠陥、DSOD(Direct Surface Oxide Defect)が著しく発生する領域が存在することがわかっている。このDSODは、直径15〜20nm程度の微小なVoid欠陥である。
ここで、Cuデポジション法は、シリコン単結晶ウエーハの欠陥位置を正確に測定し、ウエーハ表層に存存する欠陥に対する検出限界を向上させ、より微細な欠陥に対しても正確に評価を行なうことができる特徴を有する。具体的には、ウエーハ表面に所定の厚さの酸化絶縁膜(以下、単に酸化膜ともいう)を形成し、ウエーハ表層に形成された欠陥部位上の酸化絶縁膜を破壊する。そして、破壊された酸化膜部位にCuを析出(デポジション)させて欠陥を特定する。Cuイオンが存在する溶液の中で、ウエーハ表面に形成した酸化膜に電圧を加えると、酸化膜が劣化している部分に電流が流れ、CuイオンがCuとなって析出する。該Cuの析出部は、COP等のボイド起因のグローンイン欠陥の存在部であることが知られているので、これを集光灯下もしくは直接に肉眼で観察するか、光学顕微鏡、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)等により観察することによって、欠陥の分布や密度を評価することができる。
このようなDSODは、酸化膜耐圧特性のような電気特性を劣化させる原因となることが判っている。したがって、本発明のシリコン単結晶ウエーハについて、さらに、ウエーハ全面が、DSODが存在しない領域であるものとすれば、高酸化膜耐圧で優れた電気特性を有するものにできる。そして、このようなシリコン単結晶ウエーハを用いることで、極めて高品質なデバイスを製造することができる。
また、酸素濃度が、10ppma以上であれば、酸素が析出し易いので、低温熱処理によっても容易にBMDを高密度で形成することができる。
ここで、図6は、酸素濃度と低温熱処理後のBMD密度の関係を示すグラフである。図6から、シリコン単結晶ウエーハの酸素濃度が10ppma以上であれば、10ppma未満の場合と比較して、低温熱処理後のBMD密度が大幅に高くなることが判る。すなわち、酸素濃度が10ppma以上であれば、BMDを、容易に高密度で形成することができる
さらに、シリコン単結晶ウエーハが、窒素ドープされたものであれば、ウエーハのバルク部などでは窒素の存在により酸素析出が促進され、容易にBMDを形成することができる。
さらに、本発明は、上記本発明のシリコン単結晶ウエーハを、1000℃以上の熱処理が5時間未満である低温デバイス製造プロセスに投入し、デバイスを製造することを特徴とするデバイスの製造方法を提供する。このように、上記本発明のシリコン単結晶ウエーハを用いて低温デバイス製造プロセスによりデバイスを製造することで、高品質なウエーハを製造することができる。
従来の高温デバイス工程は、酸素析出熱処理にあるように、1000℃以上の熱処理が16時間以上あったが、低温熱処理では、1000℃以上の熱処理が5時間未満である。従って、酸素析出が成長し難い。しかし、本発明のウエーハはこのような低温熱処理であっても、強度300mW以上のレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により検出できるBMDが、1×10個/cm以上発生するので、十分にゲッタリング能力を発揮できる。
次に、このような低温デバイス製造プロセス用シリコン単結晶ウエーハの製造方法について説明する。
先ず、チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶からサンプルとしてシリコン単結晶ウエーハをスライスする。
次に、スライスされたシリコン単結晶ウエーハに1000℃以上の熱処理が5時間未満の低温熱処理を施す。この低温熱処理により、ウエーハにBMDを形成させる。
次に、低温熱処理を施したサンプルウエーハのBMDを、強度300mW以上のレーザー光を用いる赤外散乱トモグラフ法により検出する。すなわち、低温熱処理により微小なBMDを含めBMDが高密度で形成される単結晶を選択するためである。
そして、検出されるBMD密度が1×10個/cm以上であるシリコン単結晶を選択し、このサンプルから切り出されたシリコン単結晶をスライスして得られたシリコン単結晶ウエーハを、低温デバイス製造プロセス用とする。
このようにして、低温デバイス製造プロセス用シリコン単結晶ウエーハを製造することができる。
次に、本発明のシリコン単結晶ウエーハの評価方法について説明する。
先ず、シリコン単結晶からスライスされたシリコン単結晶ウエーハに1000℃以上の熱処理が5時間未満の低温熱処理を施す。この低温熱処理により、ウエーハにBMDを形成させる。
次に、低温熱処理を施したサンプルウエーハのBMDを、強度300mW以上のレーザー光を用いる赤外散乱トモグラフ法により検出する。このように、従来よりも強度を上げたレーザー光を用いることで、低温熱処理で発生する微小なBMDを検出することができる。
そして、シリコン単結晶ウエーハのBMDを評価する。
このようにすることで、より正確にシリコン単結晶ウエーハのBMDを評価することができる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
強度300mWのレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により検出できるBMDの密度とIG能力の関係を示すグラフである。 低温熱処理後の本発明のシリコン単結晶ウエーハを示す模式図である。 低温熱処理後に発生したBMDを観察した写真を示す。 シリコン単結晶における成長速度と結晶欠陥分布の関係を表す説明図である。 レーザー光の強度を変えてBMDを評価した実験結果を示すグラフである。 酸素濃度と低温熱処理後のBMD密度の関係を示すグラフである。
符号の説明
10…シリコン単結晶ウエーハ、 10a…BMD層。

Claims (9)

  1. チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶ウエーハであって、少なくとも、低温熱処理を行った場合に発生するBMDが、強度300mW以上のレーザー光を用いた赤外散乱トモグラフ法により検出した時に、1×10個/cm以上であることを特徴とするシリコン単結晶ウエーハ。
  2. 前記BMDが、1×1010個/cm以上の密度で発生するものであることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶ウエーハ。
  3. 前記シリコン単結晶ウエーハの全面が、熱酸化処理をした際にリング状に発生するOSFの外側のNv領域であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコン単結晶ウエーハ。
  4. 前記シリコン単結晶ウエーハの全面が、DSODが存在しない領域であることを特徴とする請求項3に記載のシリコン単結晶ウエーハ。
  5. 前記シリコン単結晶ウエーハの酸素濃度が、10ppma以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶ウエーハ。
  6. 前記シリコン単結晶ウエーハが、窒素ドープされたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のシリコン単結晶ウエーハ。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のシリコン単結晶ウエーハを、1000℃以上の熱処理が5時間未満である低温デバイス製造プロセスに投入し、デバイスを製造することを特徴とするデバイスの製造方法。
  8. 低温デバイス製造プロセス用シリコン単結晶ウエーハの製造方法であって、少なくとも、チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶からサンプルとしてスライスされたシリコン単結晶ウエーハに1000℃以上の熱処理が5時間未満の低温熱処理を施し、該低温熱処理を施したサンプルウエーハのBMDを、強度300mW以上のレーザー光を用いる赤外散乱トモグラフ法により検出し、該BMD密度が1×10個/cm以上であるシリコン単結晶をスライスして得られたシリコン単結晶ウエーハを、低温デバイス製造プロセス用とすることを特徴とする低温デバイス製造プロセス用シリコン単結晶ウエーハの製造方法。
  9. シリコン単結晶ウエーハの評価方法であって、少なくとも、シリコン単結晶からスライスされたシリコン単結晶ウエーハに1000℃以上の熱処理が5時間未満の低温熱処理を施し、該低温熱処理を施したウエーハのBMDを、強度300mW以上のレーザー光を用いる赤外散乱トモグラフ法により検出し、前記シリコン単結晶ウエーハのBMDを評価することを特徴とするシリコン単結晶ウエーハの評価方法。
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