JP3954868B2 - 包装装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装装置、特に、容器に収容されてない被包装物を緊張保持されたフィルムに対して押し当てて包装する包装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
青果物などの被包装物をフィルムで覆って密封する包装装置が一般に利用されている。このような包装装置としては、例えば、ストレッチ包装装置が知られている。このストレッチ包装装置では、緊張保持されたフィルムに対して被包装物を押し上げ、フィルムの周辺部を被包装物の底部側に折込んで熱シールすることで、被包装物をフィルムによって包装する。
【0003】
このような包装装置では、包装を美しく行うために、フィルムの長さや折込み量などの包装条件を被包装物の特性に合わせて選択することが行われている。この場合の被包装物の特性とは、被包装物の種類や被包装物の大きさ等がある。従来の包装装置では、オペレータは、被包装物の種類や大きさ等を選択し、包装装置は、オペレータの選択に基づいた包装条件により包装を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような包装装置を用いて同一種類の複数の被包装物を続けて包装する場合には、オペレータは、初めに被包装物の種類を選択しておけばよい。しかし、被包装物の大きさは、被包装物ごとに異なることが多い。特に、被包装物が、容器に収容されていない商品の場合は、同一種類の商品であっても被包装物の大きさは、被包装物ごとに異なる。例えば、青果物は、収穫された季節や成長の度合いによって、個々の大きさが異なる。また、長芋や大根などの長さのある青果物は、切断されて包装されることが多く、切り方によっても大きさが異なることがある。このように、被包装物が、容器に収容されていない商品の場合は、同一種類の被包装物の包装を行う場合であっても様々な大きさの被包装物が混在することがあり、常に同じ大きさの被包装物の包装を行うとは限らない。この場合、従来の包装装置では、オペレータは、包装を仕上がりよく行うためには、被包装物ごとに被包装物の大きさを選択する必要があり、煩雑である。
【0005】
本発明の課題は、様々な大きさの被包装物が混在する場合であっても簡易に仕上がりのよい包装を行うことができる包装装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、容器に収容されてない被包装物をフィルムに対して押し当てて包装する包装装置であって、入力手段と検知手段と制御部とを備える。入力手段は、被包装物の種類を入力する。検知手段は、被包装物の大きさを検知する。制御部は、入力手段によって入力された被包装物の種類と検知手段が検知した情報との両方に対応したフィルムの包装条件を決定する。
【0007】
容器に収容されていない被包装物では、被包装物ごとにその大きさが異なることが多い。例えば、青果物は、同一種類の物であっても、収穫された季節や切り方によって大きさが異なる。したがって、このような被包装物を直接フィルムによって包装する場合に仕上がりよく包装するためには、各被包装物の大きさに適した包装条件で包装する必要がある。
【0008】
この包装装置では、制御部は、入力手段によって入力された被包装物の種類と検知手段が検知した情報との両方に対応したフィルムの包装条件を決定する。このため、初めに被包装物の種類を入力しておけば、同一種類の複数の被包装物を包装する場合に、様々な大きさの被包装物が混在していても、自動的に各被包装物の大きさに適した包装条件で包装が行われる。これにより、この包装装置は、様々な大きさの被包装物が混在する場合であっても簡易に仕上がりのよい包装を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の包装装置であって、制御部は、入力手段によって入力される被包装物の種類と、検知手段によって検知される被包装物の大きさごとに包装条件が書き込まれたテーブルを参照してフィルムの包装条件を決定する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の包装装置であって、検知部は、被包装物の大きさを「大」または「小」のいずれかに判断する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の包装装置であって、折込部材と移動機構とをさらに備える。折込部材は、フィルムに押し当てられた被包装物を覆うようにフィルムの周辺部を折込む。移動機構は、制御部によって制御され、折込部材をフィルムの周辺部を折り込むように移動させる。そして、包装条件は、折込部材の移動量である。
【0012】
折込部材が、フィルムに押し当てられた被包装物を覆うようにフィルムの周辺部を折込むことにより包装を行う包装装置では、仕上がりよく包装を行うためには、被包装物の大きさに適した折込部材の移動量を選択する必要がある。例えば、小さな被包装物に対して折込部材の移動量が小さすぎると、フィルムの引っ張りが不十分になるため、フィルムにシワが生じやすくなる。これでは、仕上がりよく包装を行うことは難しい。
【0013】
この包装装置では、検知手段が検知した被包装物の大きさに基づいて折込部材の移動量が決定される。このため、同一種類の複数の被包装物を包装する場合に、様々な大きさの被包装物が混在していても、自動的に各被包装物の大きさに適した折込部材の移動量で包装が行われる。これにより、この包装装置は、様々な大きさの被包装物が混在する場合であっても簡易に仕上がりのよい包装を行うことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の包装装置であって、制御部によって制御されフィルムの周辺部を把持するクランプをさらに備え、制御部は、フィルムの周辺部を折込むように移動している折込部材が所定位置に達したときに、フィルムの周辺部の把持を解除するようにクランプを制御する。そして、包装条件は、この所定位置である。
【0015】
包装装置では、フィルムのシワを少なくして仕上がりよく包装するために、クランプによりフィルムの周辺部を把持させることがある。この場合、折込部材がフィルムを折込む際に把持をそのまま継続していると、折込部材とクランプとの間でフィルムに余分な張力がかかってしまい、フィルムに孔が生じたりフィルムが破れたりする恐れが大きくなり、包装の仕上がりに影響を与えてしまう。また、クランプによるフィルムの把持の開放が早すぎると、フィルムが緩んでシワが生じやすくなる。これでは、仕上がりのよい包装を行うことは難しい。したがって、仕上がりのよい包装を行うためには、折込部材が適切な所定位置に達したときに、フィルムの周辺部の把持を解除する必要がある。そして、この所定位置は、被包装物の大きさによって異なる。
【0016】
この包装装置では、この包装装置では、検知手段が検知した被包装物の大きさに基づいて所定位置が決定される。このため、同一種類の複数の被包装物を包装する場合に、様々な大きさの被包装物が混在していても、自動的に各被包装物の大きさに適した所定位置で包装が行われる。これにより、この包装装置は、様々な大きさの被包装物が混在する場合であっても簡易に仕上がりのよい包装を行うことができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の包装装置であって、包装条件は、フィルムの長さである。
【0018】
フィルムに対して被包装物を押し当てて包装する包装装置では、フィルムを緊張保持することによりフィルムのシワを伸ばして、包装の仕上がりをよくすることが多い。この場合、例えば、小さな被包装物に対して、フィルムの長さが長すぎると、シワを伸ばしきれず、仕上がりの良い包装を行い難くなる。
【0019】
この包装装置では、検知手段が検知した被包装物の大きさに基づいてフィルムの長さが決定される。このため、同一種類の複数の被包装物を包装する場合に、様々な大きさの被包装物が混在していても、自動的に各被包装物の大きさに適したフィルムの長さで包装が行われる。これにより、この包装装置は、様々な大きさの被包装物が混在する場合であっても簡易に仕上がりのよい包装を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
<全体構成および概略動作>
本発明の一実施形態に係るストレッチ包装装置の概略の側面図、正面図、および平面図を、図1〜図3に示す。また、ストレッチ包装装置100の制御ブロックを図4に示す。このストレッチ包装装置100は、小型の計量包装値付装置であり、青果などをノートレーで包装することができる。
【0021】
なお、ストレッチ包装装置100は計量機能および値付機能(計量値や値段を含むラベル作成機能)を有しているが、ここではストレッチ包装装置100の包装機能に焦点を当てて説明を行う。
【0022】
ストレッチ包装装置100は、本体フレーム15に各機構が取り付けられている装置であって、主として、表示操作部10と、商品導入機構20と、リフト機構30と、フィルム搬送機構40と、フィルム保持機構50と、フィルム押込機構60と、フィルム左右折込機構66と、熱シール兼フィルム前後折込機構70とを備えている。
【0023】
オペレータの手によって商品G(図1の前側の商品Gを参照)が商品導入機構20の導入台21上に載せられると、計量器29によって商品Gの計量が行われた後、商品Gがリフト機構30へと送られる(図1の後側の商品Gを参照)。一方、フィルム搬送機構40によってリフト機構30の上方に搬送されてきたフィルムFは、フィルム保持機構50により前後左右の端部が把持された状態でプリストレッチされる(図10(b)参照)。このプリストレッチされたフィルムFに対してリフト機構30に支持された商品Gが押し上げられると、商品GはフィルムFを突き上げた状態でフィルムFによって上方および側方が覆われた状態となる(図10(c)参照)。
【0024】
このように商品Gの上方および側方を覆ったフィルムFの周辺部は、左右押込部材61,62および後折込板71によって商品Gの底部側に折込まれる(図10(e)参照)。この折込み動作の前には、左右折込板64,65が商品Gの底部の左右端近傍に入り込み、リフト機構30とともに商品Gの底部を支える役割を果たす。そして、商品Gの底部側に折込まれたフィルムFは、後折込板71と前側固定部材72との間に挟まれた状態で前側固定部材72に装着されたニクロム線81からの入熱を受け、熱シールされる(図13(d)参照)。
【0025】
このように熱シールを含むフィルムFによる包装が為された商品Gは、オペレータの手によって取り出され、図示しない値付機構から排出されたラベルが貼り付けられる。
【0026】
<表示操作部10の構成>
表示操作部10は、図2(a)に示すように、液晶モニタ11と、入力キー部12とを備えている。オペレータは、表示操作部10により、包装装置100の操作内容を入力する。液晶モニタ11には、包装装置100の操作入力画面や包装装置100に関する各種の情報が表示される。なお、液晶モニタには、タッチパネル方式が採用されており、液晶画面上の文字キーを押すことにより文字入力を行うことができる。入力キー部12は、テンキーや呼出キーなどを有している。オペレータは、入力キー部12を用いることにより、各種の操作画面の呼出しや数字の入力等を行うことができる。青果物をノートレーで包装する場合、オペレータは、まず、包装する商品の種類を液晶モニタ11と入力キー部12とにより入力する。例えば、オペレータは、商品の種類の選択画面を呼出し、プリセットされている複数の品目の中から、希望する品目を選択し、そのプリセット番号を入力する。表示操作部10は、入力された商品の種類を後述する制御部90へと送る。
【0027】
<商品導入機構20の構成>
商品導入機構20は、図1および図4に示すように、主として、導入台21と、導入台上下動モータ22と、導入台前後動モータ23と、センサ24とを備えている。導入台21は、左右方向に並べられた複数の支持板21aによって商品Gを支持している。これらの支持板21aと、図7に示すリフト機構30の各支持部材34a,34b,35a(後述)とは、左右方向にずれて配置されている。導入台21の下方には、導入台21に載せられた商品Gの重量を計測するための計量器29が配置されている。この導入台21は、ベルトやプーリーなどを介して導入台前後動モータ23と連結されており、導入台前後動モータ23の作動により前後に移動する。また、導入台21および導入台前後動モータ23を含む前後動ユニット全体が、導入台上下動モータ22によって上下に動くように構成されている。センサ24は、図1に示すように、包装装置100の前面に設けられた導入台21の出入口の上部に設けられている。また、図2に示すように、2つのセンサ24が、包装装置100の左右方向に所定間隔を隔てて設けられている。このセンサ24は、その下方を商品が通過したことを検知し、その情報を制御部90へと送る。なお、このセンサ24は、商品導入機構20により包装装置100の内部へと導入される被包装物の大きさを検知するために設けられるものであるが、センサ以外にもCCDカメラ等を用いてもよい。
【0028】
後述する制御部90からの指令により商品導入機構20の各モータ22,23が作動すると、導入台21が矩形運動を行い、ウォーキングビーム方式で導入台21に載置された商品Gが後側のリフト機構30の支持部材34a,34b,35aの上に送られる。このとき、導入台21上に置かれた被包装物は、2つのセンサ24の下方を通過する。
【0029】
<リフト機構30の構成>
リフト機構30は、商品導入機構20から送られてきた商品Gの底部を支持し、その商品Gを上方に持ち上げるために設けられている。また、このリフト機構30は、後述するように、フィルムFの周辺部が商品Gの底部側に折り込まれる際にも、商品Gの底部を支持する役割を果たす。
【0030】
リフト機構30は、図1、図2(b)、図4および図5に示すように、主として、左右に配置される垂直レール30aと、垂直レール30aに沿って上下に動くスライダー31aと、リンク機構30cと、リンク機構30cを介してスライダー31aを上下動させるリフト用モータ30dと、スライダー31aに装着される第1ベース31と、第1ベース31の上部中央から下方に延びる小型レール31bに沿って上下に動く第2ベース32とを備えている。また、リフト機構30は、回帰機構と、時間差下降用ソレノイドスイッチ37とを備えている。
【0031】
リンク機構30cは、リフト用モータ30dの作動によってピン支持部30bを中心に回動し、スライダー31aおよび第1ベース31を垂直レール30aに沿って上下に移動させる。
【0032】
〔第1ベース31〕
第1ベース31は、図5および図7に示すように、スライダー31aと一体に形成されており、左右支持部材34aおよび中央前後支持部材34bとを有している。第1ベース31は、左右に7分割された部分を有しており、それぞれの分割部から1つずつ支持部材34a(あるいは34b)が上方に延びている。左右支持部材34aは、商品Gを支持する上面が水平面となっており、左右にそれぞれ3つずつが配置されている。これらの左右支持部材34aは、それぞれ上部が内側に倒れ込み得る構造となっており、後述する左右折込板64,65や左右押込部材61,62が中に寄ってきたときに左右折込板64,65等から作用する力によって内側に倒れる。一方、中央前後支持部材34bは、7分割されている第1ベース31のうち中央のものから上方に延びており、倒れる構造とはなっていない。また、中央前後支持部材34bは、後述する中央支持部材35aとともに商品Gの左右方向の中央部分を下から支える役割を果たすが、中央支持部材35aと合わせた側面視において凹形状を形成し商品Gが安定して支持されるようにしている(図5(a)参照)。なお、中央前後支持部材34bは、商品Gの左右方向の中央部分のうち、前の方の部分および後ろの方の部分を支持する。
【0033】
2本の小型レール31bは、第1ベース31の上部中央から下方に向けて延びている。小型レール31bは、第1ベース31に固定される左右支持部材34aおよび中央前後支持部材34bと、第2ベース32にピン支持される中央支持部材35aとを上下に相対移動させるために設けられている。
【0034】
〔第2ベース32〕
第2ベース32は、後側部分であるスライド部32aが小型レール31bに対して上下にスライド自在に係合している。したがって、第2ベース32は、第1ベース31に対して相対的に上下に移動することができる。また、2本の小型レール31bの下端は、第2ベース32のスライド部32aが小型レール31bから抜け落ちないようするための部材により連結されている。この2本の小型レール31bの下端を結ぶ部材にはストッパーボルトが装着されており、そのボルトの頭が、第2ベース32のスライド部32aの下面を下から支えている。このため、スライダー31aおよび第1ベース31が上昇するときには、第2ベース32も上昇することになる。
【0035】
第2ベース32は、4本のリンク用バー35bによって、中央支持部材35aを支持している。中央支持部材35aは、商品Gの底部の中央部分を支持するための2枚の板状部材である。この中央支持部材35aの上面は、図5に示すように側面視において凹状にされている。リンク用バー35bは、上部が中央支持部材35aにピン接合されており、下部が第2ベース32にピン接合されている。これらのリンク用バー35bは、第2ベース32に対して中央支持部材35aを前後に所定距離だけ移動させる役割を果たす。すなわち、中央支持部材35aは、前後方向に固定されている第2ベース32に対し、所定の範囲で前後に動くように構成されている(図5(b),(c)参照)。
【0036】
また、第2ベース32のスライド部32aの後端から下方には、延長部材32bが延びている。延長部材32bは、その下端が後方に折り曲げられて水平部32cとなっている。水平部32cは、フィルムFの周辺部が商品Gの底部側に折り込まれる際に、後述するソレノイドスイッチ37のシャフト37aによって下側から支持される(図5(a)参照)。
【0037】
〔回帰機構〕
リフト機構30の回帰機構は、第2ベース32が中央支持部材35aをリンク用バー35bを介して前後移動可能に支持する構造と、第1ベース31の前端に設けられるガイドローラ36aとから構成される。ガイドローラ36aは、第1ベース31の前端に回転自在に支持されており、中央支持部材35aが必要以上に前に移動しないように前側のリンク用バー35bの中央部に当たって中央支持部材35aの前方移動を規制する役割を果たす(図5(c)参照)。また、ガイドローラ36aは、第1ベース31が先に下降し第2ベース32が後から下降する際に、中央支持部材35aが後方に戻るように導く役割を果たす。
【0038】
第1ベース31が先に下降した後に第2ベース32が下降するときには、ガイドローラ36aから前側のリンク用バー35bに対して後ろ向きの反力(中央支持部材35aの下降慣性力に対する反力)が作用する。例えば、図6(a)に示す状態においては、ガイドローラ36aからリンク用バー35bに対して後ろ向きの力が作用している。これにより、中央支持部材35aが後方に元の位置に戻る(図6(b)参照)。
【0039】
なお、中央支持部材35aが後方へ必要以上に移動しないように、中央支持部材35aが元の前後位置に戻ったときにはストッパー32dが働く。このストッパー32dは、第2ベース32の前端に設けられており、後側のリンク用バー35bの下端の前方移動を規制することによって過剰な中央支持部材35aの後方移動を防ぐ。
【0040】
〔時間差下降用ソレノイドスイッチ37〕
リフト機構30の時間差下降用ソレノイドスイッチ37は、本体フレーム15に固定されている。このソレノイドスイッチ37は、第1および第2ベース31,32が最高点まで上昇した直後に作動し、そのシャフト37aが第2ベース32の水平部32cの下面を下側から支持する(図5(a)参照)。これにより、第2ベース32は、図5(b)に示すように第1ベース31が下降しても、ソレノイドスイッチ37がオフされるまでは、そのままの高さ位置が維持される。
【0041】
<フィルム搬送機構40の構成>
フィルム搬送機構40は、所定の大きさに切断したフィルムFをリフト機構30により支持される商品Gの上方に搬送し、フィルム保持機構50により緊張保持させる機構である。フィルム搬送機構40は、主として、フィルムロールRを回転自在に支持するロール保持部41と、フィルムロールRから繰り出されているフィルムFの先端を保持する前側クランプ54と、前側クランプ54を前後動させる前側クランプ移動機構とから構成されている。前側クランプ移動機構は、前側クランプ前後動モータ56a(図4参照)、ベルト機構、前側クランプ支持部材などから構成されている。ここでは、前側クランプ前後動モータ56aを作動させることにより、前側クランプ54が前後に移動する。前側クランプ54は、図4に示す前側クランプ用ソレノイドスイッチ56bのオン・オフによって、フィルムFの前端部を把持したり離したりする。
【0042】
制御部90からフィルムFを搬送する指令が出されると、前側クランプ54は、後方に移動して、フィルムロールRから繰り出されて後側クランプ53付近まで来ているフィルムFの先端を掴む。そして、フィルムFの先端を把持した状態で前側クランプ54が前方に移動することによって、フィルムFがリフト機構30の上方に位置するようになる。
【0043】
<フィルム保持機構50の構成>
フィルム保持機構50は、主として、フィルム搬送機構40の構成要素でもある前側クランプ54および前側クランプ移動機構と、後側クランプ53および後側クランプ移動機構と、左クランプ51と、右クランプ52と、後述するフィルム押込機構60の構成要素でもある左右押込部材移動機構とから構成されている。
【0044】
後側クランプ53は、図4に示す後側クランプ用ソレノイドスイッチ55bのオン・オフによってフィルムFの後端部を把持したり離したりするものであり、後側クランプ移動機構によって前後に移動する。後側クランプ移動機構は、後側クランプ前後動モータ55a(図4参照)、ベルト機構、後側クランプ支持部材などから構成されている。
【0045】
左クランプ51および右クランプ52は、図9に示すように、後述する左右押込部材61,62の下方に設けられており、フィルムFを左右押込部材61,62との間に挟み込むことでフィルムFを把持する。すなわち、左クランプ51および右クランプ52は、上に移動して左右押込部材61,62と接触することによってフィルムFを把持し、下に移動して左右押込部材61,62から離れることによってフィルムFの把持を解除する。したがって、左クランプ51および右クランプ52を上下動させるために、図4に示すように、左クランプ上下動モータ51aおよび右クランプ上下動モータ52aが設けられている。左クランプ上下動モータ51aおよび右クランプ上下動モータ52aが作動すると、左クランプ51および右クランプ52を支持している左クランプ支持ベース51bおよび右クランプ支持ベース52bが上下に移動する。また、左クランプ支持ベース51bおよび右クランプ支持ベース52bを左右方向に移動させるために、左クランプ左右動モータ51dおよび右クランプ左右動モータ52dが設けられている(図4参照)。左クランプ左右動モータ51dおよび右クランプ左右動モータ52dが作動すると、左クランプ51および右クランプ52を支持している左クランプ支持ベース51bおよび右クランプ支持ベース52bが左右方向に移動する。この左クランプ支持ベース51bおよび右クランプ支持ベース52bの左右方向の移動により、左クランプ支持ベース51bおよび右クランプ支持ベース52bの左右方向の初期位置が決定される。
【0046】
また、左クランプ51および右クランプ52は、左クランプ支持ベース51bおよび右クランプ支持ベース52bによって、所定距離だけ左右移動自在に支持されている。そして、左右移動により左クランプ51および右クランプ52が弧状の軌跡を描かないよう、左クランプ51および右クランプ52は、左クランプ支持ベース51bおよび右クランプ支持ベース52bに対して若干の上下動ができるように構成されている。したがって、左クランプ51および右クランプ52が左右押込部材61,62に下から押し当たっている状態において左右押込部材61,62が左右に動くと、その動きに左クランプ51および右クランプ52が追随する。すなわち、左右押込部材61,62を左右に移動させる左右押込部材移動機構は、左クランプ51および右クランプ52を左右に移動させる役割も果たすことになる。
【0047】
このフィルム保持機構50は、リフト機構30により商品Gが押し上げられてくるときにフィルムFの周辺部を把持する役割を果たすとともに、商品Gが押し上げられてくる直前には、フィルムFを張った状態にするプリストレッチ動作を行う。このプリストレッチ動作によって、フィルムFの周辺部を把持した各クランプ53,54,51,52が外方に水平移動し、フィルムFが所定量だけ引き伸ばされる。
【0048】
<フィルム押込機構60の構成>
フィルム押込機構60は、左右の押込部材61,62と、これらの押込部材61,62を左右に移動させる左右押込部材移動機構とから構成されている。左右押込部材移動機構は、図4に示すフィルム押込用モータ63a、ベルト機構、左右押込部材61,62を支持する支持部材などから構成されている。フィルム押込用モータ63aは、制御部90からの指令によって作動し、左右の押込部材61,62を左右に移動させる。
【0049】
また、左右の押込部材61,62は、左クランプ51および右クランプ52との間でフィルムFを挟み込むことによってフィルムFを把持することができ、クランプの一部として作用する。左右の押込部材61,62には、このクランプ作用を強化するための長孔が形成されている。いずれの押込部材61,62でも同様であるため、ここでは、図9(b)に示す左の押込部材61に形成される長孔61aについて説明を行う。この長孔61aは、前後方向に長く形成されており、左クランプ51の上面から上に突出する突出部51cが挿入可能な大きさとなっている。左クランプ51が上に移動して押込部材61に密着すると、左クランプ51の突出部51cが長孔61aに入り込み、フィルムFは突出部51cおよび長孔61aの間に入り込むようになって、フィルムFの左右方向の移動が強く規制される。このように、突出部51cおよび長孔61aの存在によって、クランプ51および押込部材61によりフィルムFを把持する把持度合いが強化されている。
【0050】
<フィルム左右折込機構66の構成>
フィルム左右折込機構66は、主として、左右の折込板64,65と、これらの左右の折込板64,65を左右に移動させるための左右折込用モータ68a(図4参照)とから構成されている。左右折込用モータ68aは、ベルト機構や折込板64,65を支持する支持部材などを介して、折込板64,65を左右に移動させる。
【0051】
左右の折込板64,65は、左右の押込部材61,62の上方に配置され、後述する後折込板71によるフィルム折込み動作時において商品Gの底部を支える。
【0052】
<熱シール兼フィルム前後折込機構70の構成>
熱シール兼フィルム前後折込機構70は、商品Gを覆うフィルムFの左右端部が商品Gの下に折り込まれた後に作動して、フィルムFの後端部を商品Gの下側に折り込むとともに、商品Gの下方においてフィルムFを挟み込んで熱シールする機構である。
【0053】
この機構70は、主として、後折込板71および後折込板移動機構と、後側クランプ53および後側クランプ移動機構(前述)と、前側固定部材72と、前側クランプ54および前側クランプ移動機構(前述)と、前側固定部材72に装着されるニクロム線81およびサーミスタ82とから構成される。
【0054】
後折込板71は、高さ方向に左右の押込部材61,62と左右の折込板64,65との間に配置されており、商品Gの底部側に後ろからフィルムFを折り込むとともに、前側固定部材72との間でフィルムFを挟み込んで熱シールに必要な押圧力をフィルムFに与える。後折込板移動機構は、後折込板移動モータ71a(図4参照)、ベルト機構、後折込板を支持する支持部材などから構成されている。制御部90からの指令により後折込板移動モータ71aが作動すると、後折込板71が前後に移動する。
【0055】
後折込板71は、その本体71bの前面が、図3に示す範囲において粗され、表面がざらざらの状態になっている。また、後折込板71の先端には、図8に示すように、ベークライト部材71cが装着されている。ベークライト部材71cは、適当な硬度、耐熱性、耐摩耗性、絶縁性などを兼ね備えた材質のものである。このような構成によって、フィルムFを折り込むときにフィルムFに接触する後折込板71の部分は、フィルムFが密着しにくい状態となっている。
【0056】
前側固定部材72は、本体フレーム15に固定されている。この前側固定部材72は、アルミ板72aと、ステンレス板72bと、ローラ72cとから構成されている。アルミ板72aは、ステンレス板72bとローラ72cとによって上下に挟まれる位置に配されている。そして、アルミ板72aの後側の面(後折込板71と対向する面)にはニクロム線81が装着されるが、そのニクロム線81がステンレス板72bの後面およびローラ72cの後端よりも前側に引っ込むように、ステンレス板72bおよびローラ72cが配置されている。ニクロム線81(高さ寸法2mm)は、アルミ板72aの後側の面(高さ寸法5mm)に対して、絶縁性のあるテープを介して装着されている。
【0057】
また、アルミ板72aの温度を測定することによってニクロム線81からフィルムFに加えられる熱量を推定するために、温度センサであるサーミスタ82がアルミ板72aの中に埋め込まれている。
【0058】
さらに、アルミ板72aは、左右に2分割されており、ニクロム線81の熱膨張に応じた伸びを吸収する。
【0059】
<ストレッチ包装装置100の動作詳細>
次に、ストレッチ包装装置100の動作のうち、フィルムFを左右から商品Gの底部側に折り込む動作、およびフィルムFを後方から商品Gの底部側に折り込んでフィルムFを熱シールさせる動作について、詳細に説明する。
【0060】
〔左右折込み動作および押込み動作〕
図10(a)に示すように、フィルム搬送機構40によってリフト機構30の上方にフィルムFが搬送されてくると、左右のクランプ51,52が上昇して左右の押込部材61,62との間でフィルムFの左右部分を把持する。このときには、フィルムFの前後部分についても、前後のクランプ53,54によって把持されている。
【0061】
次に、左右の押込部材61,62およびそれらに追随する左右のクランプ51,52が外側に開き、フィルムFが左右方向にプリストレッチされる(図10(b)参照)。このときには、フィルムFが前後方向にもプリストレッチされる。
【0062】
このようにプリストレッチされ皺のなくなったフィルムFに対し、リフト機構30が支持部材34a,34b,35aに載置させた商品Gを上昇させ、商品GによってフィルムFが突き上げられた状態を作る(図10(c)参照)。このときには、商品Gは、フィルムFを突き上げた状態で、フィルムFによって上方および側方が覆われた状態となる。
【0063】
図10(c)に示すように商品GがフィルムFを突き上げた状態になると、左右の折込板64,65が先行して内側に入ってくるとともに、少し遅れて左右の押込部材61,62および後折込板71も内側に入ってくる。そして、左右の折込板64,65は、商品Gの底部を支持できる位置まで内側に入ったところで、その移動を停止する。一方、左右の押込部材61,62およびそれらに追随する左右のクランプ51,52は、左右の折込板64,65の移動によりフィルムFに過剰な張力が作用しないように左右の折込板64,65に続いて内側に移動するとともに、適当な位置で左右のクランプ51,52を下降させてフィルムFの左右部分の把持を解除する(図10(d)参照)。
【0064】
フィルムFの左右部分の把持を解除した後も左右の押込部材61,62は内側への移動を続けてフィルムFを商品Gの底部側に押込み、最終的に左右の折込板64,65よりも内側に入ったところまで移動して止まる(図10(e)参照)。このときの平面視における左右の折込板64,65および左右の押込部材61,62と、後折込板71および前側固定部材72との位置関係を図11に示す。
【0065】
なお、上記の左右折込み動作において、リフト機構30による商品Gの支持については、中央前後支持部材34bおよび中央支持部材35aによる支持が継続し、左右支持部材34aによる支持は左右の折込板64,65による支持に置き換わる。左右の折込板64,65が内側に入ってくると、左右支持部材34aは外側のものから順番に、左右の折込板64,65に押されて内側に倒れる。
【0066】
〔後折り込み動作および熱シール動作〕
上記の左右折込み動作および押込み動作によって図10(e)や図11に示す状態となった商品GおよびフィルムFは、側面視においては図12(a)に示すような状態にある。後折込み動作では、まず後折込板71が前方に移動し、少し遅れて後側クランプ53が前方に移動する。この後、後側クランプ53は、フィルムFに過剰な張力が作用しないように、後折込板71の動きに合わせて前方に移動していく(図12(b)参照)。
【0067】
そして、後折込板71がリフト機構30に近づいた時点で、第1ベース31が下降し、中央前後支持部材34bによる商品Gの支持が解除される(図12(c)参照)。このときには、リフト用モータ30dにより第1ベース31が下降するが、時間差下降用ソレノイドスイッチ37はそのままの状態を維持するため、第2ベース32は下降せずに同じ高さ位置に留まる。したがって、第1ベース31の下降後しばらくは、第2ベース32に支持される中央支持部材35aおよび左右の折込板64,65だけにより商品Gが支持される状態となる。
【0068】
そして、さらに後折込板71が前進してリフト機構30の中央支持部材35aに当たると、後折込板71からの前向きに力に押されて中央支持部材35aが前方に移動し始める(図12(d)参照)。これに従い、商品Gも前方に移動し始める。また、中央支持部材35aおよび商品Gが前方に移動していくと、商品Gの前側のフィルムFの張力を適正に保つために、前側クランプ54が前方に移動する(図13(a),(b)参照)。中央支持部材35aが商品Gを支持しながら前方に移動しているときの後折込板71等の平面図を、図14に示す。
【0069】
リフト機構30の中央支持部材35aおよび商品Gが前側固定部材72に近づいてくると、時間差下降用ソレノイドスイッチ37のシャフト37aが引っ込み、第2ベース32および中央支持部材35aが下降する(図5(c),図6(a),図6(b)参照)。これにより、商品Gの下方において後折込板71や後側クランプ53の進入を妨げるものがなくなり、後折込板71および後側クランプ53がさらに前方に移動してくる(図13(b),(c)参照)。このときにも、フィルムFを介して後折込板71から前向きの力を受ける商品Gは、左右の折込板64,65上をスライドして前方に移動を続ける。
【0070】
そして、最終的には、後折込板71が前側固定部材72に当たり、具体的には、後折込板71のベークライト部材71cが前側固定部材72のニクロム線81に当たり、前側のフィルムFと後側のフィルムFとが商品Gの下方において押圧力およびニクロム線81からの入熱によって熱シールされる(図13(d)参照)。なお、ニクロム線81からの入熱の時点あるいはその直前に、後側クランプ53および前側クランプ54によるフィルムFの把持が解除される。入熱時におけるフィルムFの張力変化を防ぐためである。
【0071】
その後、後折込板71および後側クランプ53が後方に戻っていき、フィルムFで覆われて熱シールが為された商品Gは、左右の折込板64,65の前方部分に支持された状態となる。
【0072】
<制御部90の構成および制御部90による特徴的な制御>
制御部90は、ストレッチ包装装置100の各機構20,30,40,50,60,66,70の動作をコントロールする。この制御部90は、RAM等の記憶部91を有している。この記憶部91には、表示操作部10により入力された商品の種類やセンサ24が検知した情報が記憶される。
【0073】
〔表示操作部10による操作内容の入力〕
オペレータは、入力キー部12は液晶モニタ11上のキーを押すことにより、商品の種類の選択画面を呼出し、プリセットされている複数の品目の中から、希望する品目を選択し、そのプリセット番号を入力する。入力されたプリセット番号は制御部90へと送られる。そして、オペレータの手によって商品Gが商品導入機構20の導入台21上に載せられ、商品Gがリフト機構30へと送られる。
【0074】
〔センサ24による被包装物の大きさの検知〕
導入台21に乗せられた商品Gが、リフト機構30へと送られる途中で、センサ24の下方を通過すると、センサ24は、その情報を制御部90へと送る。そして、制御部90は、以下のようにして商品Gの大きさを判断する。すなわち、2つのセンサ24の両方から商品Gがその下方を通過したとの情報が送られた場合は、制御部90は、その商品Gの大きさを「大」と判断する。2つのセンサ24のどちらか一方のみから商品Gがその下方を通過したとの情報が送られた場合、または、どちらのセンサ24からも商品Gがその下方を通過したとの情報が送られない場合は、制御部90は、その商品Gの大きさを「小」と判断する。なお、導入台21の上面の中央には、オペレータが商品Gを置くべき位置として、マーク又は窪みが設けられており、商品Gは導入台21の中央に置かれることになる。あるいは、商品Gを導入台21の中央に置き直すセンタリング機構を包装装置100に設けてもよい。
【0075】
制御部90の記憶部91には、オペレータが選択する商品Gの種類と大きさごとに包装条件が書込まれたテーブルが記憶されている。例えば、オペレータが表示操作部10から入力した商品Gの種類が「大根」で、センサ24からの情報により制御部90が包装装置100に搬入された大根の大きさを「大」と判断した場合は、テーブルの「大根」「大」の欄に対応した包装条件が読み込まれる。
【0076】
〔左右折込み動作および押込み動作に関する制御〕
制御部90は、記憶部91から読み込んだ包装条件に基づいて、フィルム押込用モータ63aおよび左右折込用モータ68aを制御し、左右押込部材61,62および左右折込板64,65の移動量を商品Gの大きさに適したものとする。例えば、商品Gの大きさが「大」の場合の左右折込板64,65の移動量は、商品Gの大きさが「小」の場合の左右折込板64,65の移動量よりも小さくなっている。これは、以下の理由によるものである。すなわち、左右折込板64,65がフィルムFを商品Gの底部側に折り込む場合、フィルムFが引っ張れられてフィルムFに張力がかかる。商品Gの大きさが「大」の場合に左右折込板64,65の移動量が大きいと、フィルムFの引っ張り量が大きくなりすぎるため、フィルムFが破れる恐れがある。逆に商品Gの大きさが「小」の場合の左右折込板64,65の移動量は、商品Gの大きさが「大」の場合の左右折込板64,65の移動量よりも大きくなっている。これは、商品Gの底部側に十分にフィルムFを折込むためであり、また、商品Gが左右折込板64,65に支えられずに落下することを防ぐためである。すなわち、図10(c)と図10(d)において、左右折込板64,65が商品Gの底部側に入り込むように移動して、商品Gを支えているが、このとき左右折込板64,65の移動量が小さいと、左右折込板64,65が十分に商品Gの底部側に入込まず、商品Gが左右折込板64,65に支えられず落下することがあり、これを防止するためである。
【0077】
〔クランプ51,52に関する制御〕
また、左右折込み動作におけるフィルムFの左右部分の把持の解除タイミング、すなわち、左右のクランプ51,52を下降させるタイミングについても、上記の包装条件に基づく制御が為されている。すなわち、制御部90は、フィルムFの周辺部を折り込むように左右に移動している折込板64,65が所定位置(以下「クランプ解除位置」と言う。)に達したときに、フィルムFの周辺部の把持を解除するように左右のクランプ51,52を下降させるが、このクランプ解除位置は、前述した包装条件に基づいて決定される。例えば、商品Gの大きさが「大」の場合のクランプ解除位置は、商品Gの大きさが「小」の場合のクランプ解除位置よりも外側になっている。言い換えれば、商品Gの大きさが「大」の場合のクランプ51,52を下降させるタイミングは、商品Gの大きさが「小」の場合のタイミングよりも早い。これは、左右の折込板64,65の移動量に連動したものであり、また、クランプ51,52の解除が遅くなるとフィルムFに過剰な張力がかかり、フィルムFに孔が生じたりフィルムFが破れたりする恐れがあるからである。
【0078】
〔緊張保持されたフィルムFの長さに関する制御〕
制御部90は、包装運転の前に、あるいは包装運転においてフィルムFに商品Gを押し当てる前に、左クランプ左右動モータ51dおよび右クランプ左右動モータ52dを制御して左クランプ支持ベース51bおよび右クランプ支持ベース52bを図9(a)の矢印Aの方向へ移動させる。これにより制御部90は、選択した包装条件に基づいて、左右のクランプ51,52間の距離、すなわち、左右のクランプ51,52により緊張保持されるフィルムFの長さWが適切な値になるように、左右クランプ51,52の左右方向の初期位置を適切に決定する。例えば、包装される商品Gの大きさが「小」である場合は、左右のクランプ51,52により緊張保持されるフィルムFの長さWが、テーブルの「小」の欄に書込まれたフィルム長さとなるように、左クランプ支持ベース51bおよび右クランプ支持ベース52bを移動させる。例えば、商品Gの大きさが「小」の場合のフィルム長さは、商品Gの大きさが「大」の場合のフィルム長さよりも短くなるように設定されている。これは、次のような理由によるものである。すなわち、商品Gの大きさが「小」の場合に緊張保持されたフィルムFの長さが長すぎると、しわを伸ばす必要のない部分までプリストレッチ動作で伸ばしてしまう無駄が生じる。または、十分なプリストレッチ量を確保するために必要なクランプの移動量が大きくなってしまう。しかし、このように緊張保持されたフィルムFの長さを制御すると、フィルムFの周辺部分を無駄に伸ばすことが無くなり、少ないクランプの動きで十分なプリストレッチ量を確保することができるのである。また、緊張保持されたフィルムの張り具合を容易に調整することができる。
【0079】
<ストレッチ包装装置100の特徴>
複数の商品GをフィルムFにより連続して包装する場合に、仕上がりよく包装するためには、各商品Gの大きさに適した包装条件で包装する必要がある。各商品Gの大きさに合わせてフィルムFの長さやフィルムFの折込量などを調節することにより、無駄なフィルムFの省略や、シワの少ない綺麗な包装を行うことができるためである。
【0080】
商品Gをトレーに収容して包装する場合は、使用するトレーの大きさは、一定であり、あらかじめ判明している。複数の種類のトレーを用いる場合であっても、各種類のトレーごとに数パターンの大きさがあるだけである。一方、大根、きゅうり、なす等の青果物は、トレー等の容器に収容されずにそのままフィルムFで包装されることが多い。そして、このような青果物は、同一種類のものでもその大きさが異なるものである。例えば、同じ大根という種類であっても、その個々の大きさは成長の度合いや収穫の時期等によって異なる。また、長芋のような長細い青果物は、切断された状態で包装されることが多く、切り方によって長さが異なることになる。従って、このようなノートレーで包装される商品Gを包装する場合には、商品Gをトレーに収容して包装する場合よりも、より様々な大きさの物が混在することになる。従って、ノートレーで包装される商品Gを包装する場合には、包装条件の選択を手動で行っていたのでは、商品Gをトレーに収容して包装する場合よりも、包装装置100の操作がさらに煩雑となる。
【0081】
しかし、この包装装置100では、制御部90は、表示操作部10によって入力された商品Gの種類とセンサ24が検知した情報とに基づいて包装条件を決定する。このため、初めに商品Gの種類を入力しておけば、同一種類の複数の商品Gを包装する場合に、様々な大きさの商品Gが混在していても、自動的に各商品Gの大きさに適した包装条件で包装が行われる。そして、この包装条件は、上述したように、左右の折込板64,65の移動量、クランプ51,52の解除位置、緊張保持されたフィルムFの長さWである。これらの包装条件は、フィルムFの張力や包装後のフィルムFの余りの量などに影響を与えるため、包装の仕上がりにも影響を与える。したがって、この包装装置100は、様々な大きさの商品Gが混在する場合であっても、オペレータが商品Gごとに包装条件を選択する煩雑さに煩わされること無く、簡易に仕上がりのよい包装を行うことができる。
【0082】
[他の実施形態]
上記実施形態では、商品Gの左右方向の大きさ(図2参照)により包装条件を選択しているが、商品Gの奥行き(図1における前後方向の大きさ)や厚み(図1における上下方向の大きさ)により包装条件を選択してもよい。これにより、商品Gの大きさにさらに適した包装条件を選択することができ、さらに仕上がりのよい包装を行うことができる。
【0083】
また、商品Gの大きさを検知する手段として、商品Gの重量から判断する方法も考えられる。同一種類の商品Gであれば、その大きさは重量に概ね対応することになるため、重量から商品Gの大小を容易に判断できるからである。この場合には、計量器29が検知手段を構成する。
【0084】
上記実施形態では、テーブルから商品Gの大きさに対応した包装条件が読み込まれているが、CCDカメラにより商品Gの大きさを検知し、商品Gの大きさから各種の包装条件を計算するプログラムにより包装条件を決定してもよい。これにより、商品Gの大きさにより細やかに対応した包装条件を決定することができ、さらに仕上がりのよい包装を行うことができる。
【0085】
【発明の効果】
本発明にかかる包装装置では、制御部は、入力手段によって入力された被包装物の種類と検知手段が検知した情報との両方に対応したフィルムの包装条件を決定する。このため、初めに被包装物の種類を入力しておけば、同一種類の複数の被包装物を包装する場合に、様々な大きさの被包装物が混在していても、自動的に各被包装物の大きさに適した包装条件で包装が行われる。これにより、この包装装置は、様々な大きさの被包装物が混在する場合であっても簡易に仕上がりのよい包装を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ストレッチ包装装置の概略側面図。
【図2】 (a)ストレッチ包装装置の外観の正面図
(b)ストレッチ包装装置の概略正面図(図1のII-II矢視図)。
【図3】 ストレッチ包装装置の概略平面図。
【図4】 ストレッチ包装装置の制御ブロック図。
【図5】 リフト機構の第1ベースおよび第2ベースの動きを示す図。
【図6】 リフト機構の第1ベースおよび第2ベースの動きを示す図。
【図7】 リフト機構の平面図。
【図8】 図3のVIII-VIII矢視図。
【図9】 (a)左右クランプの初期位置調整におけるパラメータを示す図。
(b)左クランプおよび左押込部材の接合部分を示す図。
【図10】 左右折込み動作を示す図。
【図11】 左右折込み完了時の平面概略図。
【図12】 後折込み動作を示す図。
【図13】 後折込み動作および熱シール動作を示す図。
【図14】 後折込み動作中の一平面概略図。
【符号の説明】
10 表示操作部(入力手段)
24 センサ(検知手段)
51,52 左右クランプ(クランプ)
64,65 左右折込板(折込部材)
68a 左右折込用モータ(移動機構)
90 制御部
F フィルム
G 商品(被包装物)
Claims (6)
- 容器に収容されてない被包装物をフィルムに対して押し当てて包装する包装装置であって、
前記被包装物の種類を入力する入力手段と、
前記被包装物の大きさを検知する検知手段と、
前記入力手段によって入力された前記被包装物の種類と前記検知手段が検知した情報との両方に対応した前記フィルムの包装条件を決定する制御部と、
を備える包装装置。 - 前記制御部は、前記入力手段によって入力される前記被包装物の種類と、前記検知手段によって検知される前記被包装物の大きさごとに包装条件が書き込まれたテーブルを参照して前記フィルムの包装条件を決定する、
請求項1に記載の包装装置。 - 前記検知部は、前記被包装物の大きさを大または小のいずれかに判断する、
請求項1または2に記載の包装装置。 - 前記フィルムに押し当てられた被包装物を覆うように前記フィルムの周辺部を折込む折込部材と、
前記制御部によって制御され、前記折込部材を前記フィルムの周辺部を折り込むように移動させる移動機構と、
をさらに備え、
前記包装条件は、前記折込部材の移動量である、
請求項1から3のいずれかに記載の包装装置。 - 前記制御部によって制御され、前記フィルムの周辺部を把持するクランプをさらに備え、
前記制御部は、前記フィルムの周辺部を折込むように移動している前記折込部材が所定位置に達したときに、前記フィルムの周辺部の把持を解除するように前記クランプを制御し、
前記包装条件は、前記所定位置である、
請求項4に記載の包装装置。 - 前記包装条件は、前記フィルムの長さである、
請求項1から5のいずれかに記載の包装装置。
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