JP3954062B2 - R−t−b系永久磁石用原料粉末の製造方法、r−t−b系永久磁石及び粉砕処理システム - Google Patents
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Description
したがって本発明は、R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、T(TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を主成分とするR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法であって、原料合金に水素ガスを吸蔵させる水素吸蔵処理工程と、水素吸蔵処理された原料合金を、解砕メディアを伴う振動ふるいを用いて解砕しつつ分級して粗粉砕粉を得る粗粉砕工程と、気流式粉砕機により粗粉砕粉を粉砕して微粉砕粉を得る微粉砕工程と、を備えたことを特徴とするR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法を提供する。
本発明によれば、発熱が少なくて済む解砕により粗粉砕粉を得ることができるので、得られる粉末の酸素量の増加を抑制することができる。しかも、解砕は水素吸蔵処理された原料合金に発生している微小なクラックを起点とするものであるから、微細な粉末を生じさせる可能性が低い。このことも粉末の酸素量増加の抑制に寄与する。なお、水素吸蔵処理された、とは一旦水素を吸蔵していればよく、その後に脱水素処理が行われていてもよい。また、本発明は解砕しつつ分級を行うので、後工程にとって都合のよい粒径の粉末を効率よく得ることができる。
用いる解砕メディアは、100MPa以上のヤング率を有するボール状のメディアとすることが望ましい。解砕メディアが硬質なほど解砕能力が高くなるためである。
本発明の粉砕処理システムは、解砕機で得られた粗粉末を一旦所定の容器に保管し、しかる後に容器から取り出した粗粉末を気流式粉砕機に供給する形態を包含している。しかし、解砕機で処理された粉末を気流式粉砕機に供給する供給路を備え、非酸化性ガスを用いて粗粉末を直接気流式粉砕機に送ることが望ましい。粗粉末をカプセル等に一時保管し、その後、気流式粉砕機に粗粉末を供給する場合には酸素との接触の可能性が増えるためである。
また本発明の粉砕処理システムによれば、上記の効果を享受するとともに、解砕機で処理された粉末を気流式粉砕機に供給する供給路を備える場合には、酸素含有量の増加をさらに抑制することができる。
図1は本実施の形態における粉砕処理システム1の構成を示すブロック図、図2は解砕機2の構成を示す図である。
図1に示すように、粉砕処理システム1は、解砕機2と、解砕機2で処理された粉末をさらに微細に粉砕する微粉砕機3(例えば、気流式粉砕機)を備えている。解砕機2と微粉砕機3とは搬送配管4で接続されており、解砕機2で処理された粉末は搬送配管4を通じて例えばキャリアガスによって微粉砕機3まで搬送される。微粉砕機3で得られた微粉末はカプセル5に充填して保管される。カプセル5は複数用意され、通常、一度の微粉砕により得られた微粉末は複数のカプセル5に分けて保管される。
図2に示すように、解砕機2は、内部に第1のふるい22が配設されている。第1のふるい22の上面には、原料合金を解砕するためのボールメディアB1が所定数だけ載置されている。また、第1のふるい22の下方には第2のふるい23が第1のふるい22と所定間隔だけ隔てて配設されている。第1のふるい22は、微粉砕機3で処理するのに適した粒径の粉末を通過させるに足りる目開きを有している。例えば、第1のふるい22の目開きは1.0mmである。第2のふるい23は、第1のふるい22の目開きよりも大きくて、かつ後述する目詰まり防止ボールB2を保持するのに足りるだけの目開きを有していればよい。第1のふるい22及び第2のふるい23ともにステンレス鋼で構成することができる。前記第1のふるい22の目開きは、後工程にある微粉砕の際に安定した原料供給を行うため、5.0mm以下が好ましく、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下とする。
目開きを0.1mmより細かくすると目詰まりが発生する虞が高く、処理時間も長時間化するために好ましくない。
解砕機2はまた、解砕が十分に行われなかった原料合金を収容するための回収ポット25が配設されている。
本発明が適用されるR−T−B系永久磁石の組成は目的に応じ選択すればよいが、磁気特性に優れた磁石を得るためには、焼結後の磁石組成においてR:20〜40wt%、B:0.5〜4.5wt%、T:残部、となるような配合組成とすることが望ましい。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYの1種又は2種以上である。Rの量が20wt%未満であると、希土類永久磁石の主相となるR2Fe14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが40wt%を超えると主相であるR2Fe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なR−リッチ相が減少し、保磁力の低下を招くため、Rの量は20〜40wt%とする。Ndは資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが望ましい。
さらに、保磁力を改善するために、Mを加えてR−T−B−M系の希土類永久磁石とすることもできる。ここで、Mとしては、Al、Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、Nb、Sn、W、V、Zr、Ti、Mo、Bi、Ag及びGaなどの元素を1種又は2種以上添加することができる。一方、酸素、窒素、炭素等の不純物減を極力低減することが好ましい。磁気特性を害する酸素は、6000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。特に、本発明の方法を使用する場合は、酸素量が3000ppm以下、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1500ppm以下の希土類磁石を作成する際に好適である。
この処理を適用する原料合金としては、鋳型を用いて得た鋳塊、ストリップキャスト法による急冷合金、その他のいかなる形態を有していてもよい。ただし、合金のサイズが大きすぎると、水素吸蔵効率が低下する。1つの尺度として、鋳塊であれば厚さが30mm以下とすることが望ましい。用いる原料合金としては、ストリップキャスト法による急冷合金が望ましい。このストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板又は薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。また、急冷凝固された合金は、後の粉砕粉末の粒度分布をシャープにし磁気特性を向上させるために、厚さが0.05〜3mm、Rリッチ相が5μm以下に微細分散した金属組織とすることが望ましい。急冷凝固された合金の厚さは、0.05〜1mmが水素吸蔵効率の観点から、より望ましい。
水素吸蔵が終了した後に、水素吸蔵が行われた原料合金を加熱保持する脱水素処理が施される。この処理は、磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。吸蔵処理した水素量の50〜90%程度を放出するような熱処理を行うことが望ましい。加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金のサイズ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。脱水素処理は、真空中又は不活性ガス中で行うのが、その効率の点から望ましい。さらに、脱水素処理工程後、空冷、水冷、油冷、冷却ガスの何れか、もしくはこれらの組み合わせにより脱水素処理された原料合金粉末を冷却したのち後工程に移動させることが望ましい。このとき、脱水素処理された原料合金粉末は200℃程度以下まで冷却すればよい。好ましくは100℃以下、より好ましくは50℃以下までとする。
なお、本発明における水素吸蔵処理は、この脱水素処理を必須とするものではない。
次に、微粉砕機3で得られた微粉末は磁場中成形に供される。この磁場中成形は、800〜1600kA/m(10〜20kA/m)前後、好ましくは960kA/m(12kOe)以上の磁場中で、30〜300MPa(0.3〜3.0t/cm2)、好ましくは50〜150MPa(0.5〜1.5t/cm2)前後の圧力で行えばよい。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
以上により、R−T−B系永久磁石を得ることができる。
30.3wt%Nd−1.0wt%Dy−1.0wt%B−0.5wt%Co−0.2wt%Al−0.07wt%Cu−残部Feからなる厚さ500μmの合金をストリップキャスト法により作製した。得られたストリップキャスト合金に室温で水素を吸蔵させた後に、500℃の温度下で脱水素する水素吸蔵・脱水素処理を行った。
次いで、水素吸蔵・放出処理された合金を実施の形態で説明した解砕機2により処理した。ふるいの目開きは1.0mmであり、メディアとして直径30mmのボールメディアB1(72個使用)を用いた。ボールメディアB1は表1に示す5種類の材質を用意した。また、合金は5000g投入し、処理雰囲気は酸素を100ppm含む窒素ガスとした。
解砕機2による所定処理時間毎の回収状況を確認するとともに、120秒処理後の酸素量を測定した。なお、解砕機2による処理については、ボールメディアB1を用いない場合についても同様に評価した。また、酸素量については、上記と同様の水素吸蔵・脱水素処理を行った合金をブラウンミルにより粉砕した粉末についても測定した。酸素量の測定結果を表1に、解砕機2による所定処理時間毎の回収状況を表2に示す。なお、表2中の「残量」とは第1のふるい22上に残っている合金の量を、また「回収率」とは第1のふるい22を通過した合金の投入合金量に対する比率をいう。
Claims (7)
- R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、T(TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を主成分とするR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法であって、
原料合金に水素ガスを吸蔵させる水素吸蔵処理工程と、
水素吸蔵処理された前記原料合金を、解砕メディアを伴う振動ふるいを用いて解砕しつつ分級して粗粉砕粉を得る粗粉砕工程と、
気流式粉砕機により前記粗粉砕粉を粉砕して微粉砕粉を得る微粉砕工程と、
を備えたことを特徴とするR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法。 - 前記解砕メディアは、100MPa以上のヤング率を有するボール状のメディアであることを特徴とする請求項1に記載のR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法。
- 前記粗粉砕工程は、非酸化性雰囲気で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法によるR−T−B系永久磁石用原料粉末を用いて製造されたことを特徴とするR−T−B系永久磁石。
- R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、T(TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を主成分とするR−T−B系永久磁石用原料合金を粉砕する粉砕処理システムであって、
前記原料合金を解砕する解砕機と、
前記解砕機で処理された粉末をさらに粉砕する気流式粉砕機とを備え、
前記解砕機は振動エネルギが付与されるふるいと、前記ふるい上に供給された前記原料合金と衝突するメディアを含むことを特徴とする粉砕処理システム。 - 前記解砕機で処理された粉末を前記気流式粉砕機に供給する供給路を備えることを特徴とする請求項5に記載の粉砕処理システム。
- 前記解砕機は前記ふるいの目詰まり防止機構を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の粉砕処理システム。
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