JP3954062B2 - R−t−b系永久磁石用原料粉末の製造方法、r−t−b系永久磁石及び粉砕処理システム - Google Patents

R−t−b系永久磁石用原料粉末の製造方法、r−t−b系永久磁石及び粉砕処理システム Download PDF

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Description

本発明は、R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、T(TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を主成分とするR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法に関し、特に低酸素含有量で高い磁気特性を示すR−T−B系永久磁石を得るための原料粉末の製造方法に関するものである。
希土類永久磁石の中でも、R−T−B系永久磁石は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であることから、需要は年々、増大している。R−T−B系永久磁石の磁気特性を向上するための研究開発も精力的に行われており、その中でR−T−B系永久磁石に含まれる酸素量を低減することが盛んに検討されている。
R−T−B系永久磁石は、粉末冶金法で製造することができる。この製造工程は、原料合金の作製、原料合金の粉砕、粉砕で得られた粉末の磁場中における成形、焼結、時効熱処理を含んでいる。R−T−B系永久磁石の酸素含有量を低減するためには、以上の製造工程及びその間を酸素量が低減された雰囲気とする。また、R−T−B系永久磁石の酸素含有量を単純に低減しただけでは、焼結時に結晶粒の異常成長が起きて角型比が低下することから、異常成長を低減するための元素として特許文献1(特開2000−234151号公報)では、Zr及び/又はCrを添加することも提案されている。
ところで、原料合金の粉砕は、一般的に粗粉砕及びそれに引き続く微粉砕という2段階の粉砕処理から構成される。そして、粗粉砕はスタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル、ディスクミルで、また、微粉砕はジェットミル、ディスクミル、ボールミルで行うことができる(特許文献2(特開昭61−87825号公報))。
特開2000−234151号公報 特開昭61−87825号公報
本発明者等は、R−T−B系永久磁石に含まれる酸素量を低減するために、各製造工程における雰囲気を低酸素雰囲気とする検討を行った。具体的には、水素吸蔵を行った原料合金を粉砕して粗粉末を得た後にジェットミルで微粉砕を行うというプロセスについて、酸素含有量の変動を確認した。その結果、水素吸蔵を行った原料合金に比べて粗粉末の酸素含有量が著しく増加することを確認した。そこで本発明は、水素吸蔵を行った原料合金の酸素含有量の増加を抑制して粗粉末を得ることのできる技術を提供することを目的とする。また本発明は、そのような技術を用いた粉砕処理システムを提供することを課題とする。
本発明者等は、水素吸蔵を行った原料合金を粗粉砕することにより酸素含有量が増加する原因について検討した。本発明者等が粗粉砕に用いた粉砕機は、特許文献2にも開示されているブラウンミルである。ブラウンミルは、処理対象物に強い摩擦力を生じさせて粉砕を行うため、処理対象物の摩擦による発熱が顕著となる。ブラウンミルによる粉砕は非酸化性雰囲気下で行われるが、工業的な大量生産を行う場合には、非酸化性ガスで粉砕系内を完全に置換することは困難である。したがって、粉砕に伴う発熱が酸化を助長する。しかも、ブラウンミルによる粉砕は、処理対象物に強い摩擦力を生じさせるため、粉砕後に極めて微細な粉末を含むことになる。粉末の粒径が細かいほど活性度が上がる。以上の理由により、ブラウンミルを用いた場合に酸素量が増加するものと解される。なお、ここではブラウンミルについて言及したが、特許文献2に開示されているスタンプミル、ジョークラッシャー及びディスクミルもブラウンミルと同様と判断される。
一方、水素吸蔵された原料合金には微小なクラックが発生している。したがって、それを砕くためにはそれほど強い機械的衝撃を与えて粉砕するのではなく、所謂解砕で足りることに着目した。そして、振動ふるいを用いて解砕することにより粗粉末を取得できることを確認した。
したがって本発明は、R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、T(TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を主成分とするR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法であって、原料合金に水素ガスを吸蔵させる水素吸蔵処理工程と、水素吸蔵処理された原料合金を、解砕メディアを伴う振動ふるいを用いて解砕しつつ分級して粗粉砕粉を得る粗粉砕工程と、気流式粉砕機により粗粉砕粉を粉砕して微粉砕粉を得る微粉砕工程と、を備えたことを特徴とするR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法を提供する。
本発明によれば、発熱が少なくて済む解砕により粗粉砕粉を得ることができるので、得られる粉末の酸素量の増加を抑制することができる。しかも、解砕は水素吸蔵処理された原料合金に発生している微小なクラックを起点とするものであるから、微細な粉末を生じさせる可能性が低い。このことも粉末の酸素量増加の抑制に寄与する。なお、水素吸蔵処理された、とは一旦水素を吸蔵していればよく、その後に脱水素処理が行われていてもよい。また、本発明は解砕しつつ分級を行うので、後工程にとって都合のよい粒径の粉末を効率よく得ることができる。
本発明のR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法において、解砕メディアを伴う振動ふるいを用いて解砕を行う。発熱が少ない、微細な粉末を生じさせないという効果を享受する以外に、振動ふるいを用いることにより混入した異物や粗大粒を除去することを同時に行うことができる。したがって、別個に異物や粗大粒除去を行う場合よりも工程を短縮することができる。また、解砕メディアを伴う振動ふるいによる処理量は、前述したブラウンミル等に比べて多いことから、短時間で多量の粗粉末を得ることが可能となり、後工程である微粉砕への粉末の安定供給を図ることもできる。
用いる解砕メディアは、100MPa以上のヤング率を有するボール状のメディアとすることが望ましい。解砕メディアが硬質なほど解砕能力が高くなるためである。
本発明は、以上のR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法を実現する粉砕処理システムを提供する。この粉砕処理システムは、R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、T(TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を主成分とするR−T−B系永久磁石用原料合金を粉砕する粉砕処理システムであって、この原料合金を解砕する解砕機と、解砕機で処理された粉末をさらに粉砕する気流式粉砕機とを備え、解砕機は振動エネルギが付与されるふるいと、ふるい上に供給された原料合金と衝突するメディアを含むことを特徴とする。
本発明の粉砕処理システムは、解砕機で得られた粗粉末を一旦所定の容器に保管し、しかる後に容器から取り出した粗粉末を気流式粉砕機に供給する形態を包含している。しかし、解砕機で処理された粉末を気流式粉砕機に供給する供給路を備え、非酸化性ガスを用いて粗粉末を直接気流式粉砕機に送ることが望ましい。粗粉末をカプセル等に一時保管し、その後、気流式粉砕機に粗粉末を供給する場合には酸素との接触の可能性が増えるためである。
本発明の粉砕処理システムは解砕機にふるいを使用しており、このふるいが目詰まりを起こす虞がある。目詰まりは連続運転を阻害するため、本発明による解砕機はふるいの目詰まり防止機構を備えることが望ましい。目詰まり防止機能としては、ふるいの下方からふるいに対してボール等を衝突させるものとすることができる。
以上説明したように、本発明のR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法によれば、酸素含有量の増加を抑制することができる。特に振動ふるいを用いることにより混入した異物や粗大粒を除去することを同時に行うことができるとともに、短時間で多量の粉末を処理することが可能となり、後工程である微粉砕への粉末の供給安定化を図ることもできる。
また本発明の粉砕処理システムによれば、上記の効果を享受するとともに、解砕機で処理された粉末を気流式粉砕機に供給する供給路を備える場合には、酸素含有量の増加をさらに抑制することができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は本実施の形態における粉砕処理システム1の構成を示すブロック図、図2は解砕機2の構成を示す図である。
図1に示すように、粉砕処理システム1は、解砕機2と、解砕機2で処理された粉末をさらに微細に粉砕する微粉砕機3(例えば、気流式粉砕機)を備えている。解砕機2と微粉砕機3とは搬送配管4で接続されており、解砕機2で処理された粉末は搬送配管4を通じて例えばキャリアガスによって微粉砕機3まで搬送される。微粉砕機3で得られた微粉末はカプセル5に充填して保管される。カプセル5は複数用意され、通常、一度の微粉砕により得られた微粉末は複数のカプセル5に分けて保管される。
解砕機2には、予め水素吸蔵処理されたR−T−B系永久磁石用原料合金(以下、単に原料合金)が供給される。水素吸蔵処理された原料合金は、水素吸蔵に伴って微小なクラックが発生している。このクラックを起点として原料合金を解砕するのが解砕機2である。なお、解砕処理中は、合金に含まれる酸素量の増加を抑制するため、解砕機2の内部は非酸化性ガス(例えば、窒素)に置換し、さらに含まれる酸素量を500ppm以下、望ましくは300ppm以下、より望ましくは100ppm以下とする。解砕機2を前述の酸素量に制御するためには、解砕機2の内部圧力を外部圧力より高い状態に維持することが好ましい。また、上記と同様な理由から、原料合金を室温にて解砕することが好ましく、水素処理された原料合金はより冷却された状態で解砕することが望ましい。解砕する原料合金の温度が高い場合は、解砕機2内部に導入するガスとして、冷却した非酸化性ガスを利用するか、解砕機2自体を空冷、水冷、油冷等の手段を用いて冷却してもよい。
図2に示すように、解砕機2は、内部に第1のふるい22が配設されている。第1のふるい22の上面には、原料合金を解砕するためのボールメディアB1が所定数だけ載置されている。また、第1のふるい22の下方には第2のふるい23が第1のふるい22と所定間隔だけ隔てて配設されている。第1のふるい22は、微粉砕機3で処理するのに適した粒径の粉末を通過させるに足りる目開きを有している。例えば、第1のふるい22の目開きは1.0mmである。第2のふるい23は、第1のふるい22の目開きよりも大きくて、かつ後述する目詰まり防止ボールB2を保持するのに足りるだけの目開きを有していればよい。第1のふるい22及び第2のふるい23ともにステンレス鋼で構成することができる。前記第1のふるい22の目開きは、後工程にある微粉砕の際に安定した原料供給を行うため、5.0mm以下が好ましく、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下とする。
目開きを0.1mmより細かくすると目詰まりが発生する虞が高く、処理時間も長時間化するために好ましくない。
解砕機2は、第1のふるい22及び第2のふるい23を振動させる振動源24を備えている。振動源24は、第1のふるい22及び第2のふるい23に振動エネルギを付与できるものであればよく、振動モータ、超音波振動子等、公知の振動エネルギ発生手段を広く適用することができる。
解砕機2はまた、解砕が十分に行われなかった原料合金を収容するための回収ポット25が配設されている。
振動源24を駆動すると、第1のふるい22上のボールメディアB1は、第1のふるい22の振動に伴って第1のふるい22上を転動する。この状態で原料合金受け入れ口21から原料合金を投入すると、原料合金と転動するボールメディアB1が衝突することにより、原料合金は解砕される。ボールメディアB1は、後述する実施例に示すように、硬質であることが望ましい。具体的には、ヤング率が100MPa以上、さらには500MPa以上の材料で構成することが望ましい。ただし、ボールメディアB1は単一の材料で構成するものに限る必要はなく、例えば、芯部に金属を配し、その周囲をゴムで包んだ複合構造のボールメディアB1とすることもできる。また、ボールメディアB1は、同一種のもののみを用いてもよいし、異種のものを混合して用いてもよい。
解砕され所定の粒径以下となった原料合金(解砕粉末)は、第1のふるい22及び第2のふるい23を通過して合金排出口26から搬送配管4に排出される。そして、解砕粉末は搬送配管4を通じて微粉砕機3に搬送される。一方、所定の解砕処理を終了しても第1のふるい22を通過できない原料合金は、吸引や排出(振動による排出、圧縮ガスによる排出)等の手段を用いて回収ポット25に収容される。収容された原料合金は、再度水素吸蔵処理を施して解砕機2に投入することができる。
解砕の過程で第1のふるい22が目詰まりを起こす虞がある。そこで、第2のふるい23を振動させ、目詰まり防止ボールB2を転動させる。転動する目詰まり防止ボールB2は、第1のふるい22にその下面から衝突することにより目詰まりを防止する。なお、ボールメディアB1、目詰まり防止ボールB2は同一種であっても異種であってもよい。また、本実施の形態では、目詰まり防止ボールB2を第1のふるい22に衝突させることにより第1のふるい22の目詰まりを防止するが、ボール以外の形態としてもよいことは言うまでもない。
解砕粉末は微粉砕機3に搬送される。所定量の解砕粉末が蓄積されたならば、微粉砕機3で微粉砕処理を行う。微粉砕機3としては、気流式粉砕機を用いるのが一般的であり、平均粒径1〜10μm程度まで微粉砕処理する。この微粉砕処理過程での酸素量増加を抑制するため、気流式粉砕機の場合に用いる非酸化性ガス中に含まれる酸素量は500ppm以下、望ましくは300ppm以下、より望ましくは100ppm以下とする。
次に、粉砕処理システム1の前・後の工程に拘わる事項について説明する。
本発明が適用されるR−T−B系永久磁石の組成は目的に応じ選択すればよいが、磁気特性に優れた磁石を得るためには、焼結後の磁石組成においてR:20〜40wt%、B:0.5〜4.5wt%、T:残部、となるような配合組成とすることが望ましい。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYの1種又は2種以上である。Rの量が20wt%未満であると、希土類永久磁石の主相となるR2Fe14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが40wt%を超えると主相であるR2Fe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なR−リッチ相が減少し、保磁力の低下を招くため、Rの量は20〜40wt%とする。Ndは資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが望ましい。
また、ホウ素Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。ただし、ホウ素Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を4.5wt%とする。望ましいホウ素Bの量は0.5〜1.5wt%である。
さらに、保磁力を改善するために、Mを加えてR−T−B−M系の希土類永久磁石とすることもできる。ここで、Mとしては、Al、Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、Nb、Sn、W、V、Zr、Ti、Mo、Bi、Ag及びGaなどの元素を1種又は2種以上添加することができる。一方、酸素、窒素、炭素等の不純物減を極力低減することが好ましい。磁気特性を害する酸素は、6000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。特に、本発明の方法を使用する場合は、酸素量が3000ppm以下、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1500ppm以下の希土類磁石を作成する際に好適である。
粉砕し難い金属間化合物(R2Fe14B)を含む原料合金は、水素吸蔵・脱水素処理を施して解砕を容易にする。
この処理を適用する原料合金としては、鋳型を用いて得た鋳塊、ストリップキャスト法による急冷合金、その他のいかなる形態を有していてもよい。ただし、合金のサイズが大きすぎると、水素吸蔵効率が低下する。1つの尺度として、鋳塊であれば厚さが30mm以下とすることが望ましい。用いる原料合金としては、ストリップキャスト法による急冷合金が望ましい。このストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板又は薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。また、急冷凝固された合金は、後の粉砕粉末の粒度分布をシャープにし磁気特性を向上させるために、厚さが0.05〜3mm、Rリッチ相が5μm以下に微細分散した金属組織とすることが望ましい。急冷凝固された合金の厚さは、0.05〜1mmが水素吸蔵効率の観点から、より望ましい。
水素吸蔵は、原料合金を常温下で水素含有雰囲気に曝すことにより行うことができる。水素吸蔵処理に要する時間は、特に限定されないが、0.5〜5時間とすることが望ましい。水素吸蔵反応は発熱反応であるため、温度上昇に伴って吸蔵水素量が低下することを防止することが望ましい。したがって、処理中は原料合金を0〜200℃に保持することが望ましく、この温度を保持するために、反応容器を冷却する等の手段を適用してもよい。なお、水素吸蔵処理に使用するガスは、水素ガスに限られず、水素ガスとHe、Ar等の不活性ガス及びその他の非酸化性ガスとを含んだ混合ガスを用いることができる。
水素吸蔵が終了した後に、水素吸蔵が行われた原料合金を加熱保持する脱水素処理が施される。この処理は、磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。吸蔵処理した水素量の50〜90%程度を放出するような熱処理を行うことが望ましい。加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金のサイズ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。脱水素処理は、真空中又は不活性ガス中で行うのが、その効率の点から望ましい。さらに、脱水素処理工程後、空冷、水冷、油冷、冷却ガスの何れか、もしくはこれらの組み合わせにより脱水素処理された原料合金粉末を冷却したのち後工程に移動させることが望ましい。このとき、脱水素処理された原料合金粉末は200℃程度以下まで冷却すればよい。好ましくは100℃以下、より好ましくは50℃以下までとする。
なお、本発明における水素吸蔵処理は、この脱水素処理を必須とするものではない。
次に、微粉砕を微粉砕機3にて行う。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、平均粒径2.5〜6μmまで微粉化される。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。微粉砕前に潤滑剤を添加混合しても良く、微粉砕後あるいはその両方で潤滑剤を添加混合しても良い。
次に、微粉砕機3で得られた微粉末は磁場中成形に供される。この磁場中成形は、800〜1600kA/m(10〜20kA/m)前後、好ましくは960kA/m(12kOe)以上の磁場中で、30〜300MPa(0.3〜3.0t/cm2)、好ましくは50〜150MPa(0.5〜1.5t/cm2)前後の圧力で行えばよい。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
磁場中成形後、その成形体を真空又は非酸化性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、950〜1200℃、好ましくは1000〜1100℃で1〜10時間程度焼結すればよい。焼結工程の前に成形体に含まれている粉砕助剤、ガスなどを除去する処理を行ってもよい。焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行う場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行うと、保磁力が増大する。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
焼結体を得た後に、保護膜を形成することが望ましい。R−T−B系永久磁石は耐食性が劣るからである。保護膜の形成は、保護膜の種類に応じて公知の手法に従って行えばよい。例えば、電解メッキの場合には、焼結体加工、バレル研磨、脱脂、水洗、エッチング(例えば硝酸)、水洗、電解メッキによる成膜、水洗、乾燥という常法を採用することができる。
以上により、R−T−B系永久磁石を得ることができる。
以上の実施の形態に基づいて行った本発明の具体的な実施例について説明する。
30.3wt%Nd−1.0wt%Dy−1.0wt%B−0.5wt%Co−0.2wt%Al−0.07wt%Cu−残部Feからなる厚さ500μmの合金をストリップキャスト法により作製した。得られたストリップキャスト合金に室温で水素を吸蔵させた後に、500℃の温度下で脱水素する水素吸蔵・脱水素処理を行った。
次いで、水素吸蔵・放出処理された合金を実施の形態で説明した解砕機2により処理した。ふるいの目開きは1.0mmであり、メディアとして直径30mmのボールメディアB1(72個使用)を用いた。ボールメディアB1は表1に示す5種類の材質を用意した。また、合金は5000g投入し、処理雰囲気は酸素を100ppm含む窒素ガスとした。
解砕機2による所定処理時間毎の回収状況を確認するとともに、120秒処理後の酸素量を測定した。なお、解砕機2による処理については、ボールメディアB1を用いない場合についても同様に評価した。また、酸素量については、上記と同様の水素吸蔵・脱水素処理を行った合金をブラウンミルにより粉砕した粉末についても測定した。酸素量の測定結果を表1に、解砕機2による所定処理時間毎の回収状況を表2に示す。なお、表2中の「残量」とは第1のふるい22上に残っている合金の量を、また「回収率」とは第1のふるい22を通過した合金の投入合金量に対する比率をいう。
Figure 0003954062
Figure 0003954062
表1に示すように、解砕機2を用いるとブラウンミルに比べて酸素量の増加を著しく低減できることがわかる。また、表2に示すように、ボールメディアB1を用いることにより、処理能力が向上し、特にヤング率の高い硬質な材料でボールメディアB1を構成することが処理能力の向上が顕著であることがわかる。
次に、解砕機2で処理された粉末及びブラウンミルで処理された粉末をジェットミルで平均粒径が5μmになるまで微粉砕を行った。なお、ジェットミルは、酸素濃度100ppm以下の窒素ガスをキャリアガスとして使用した。微粉砕後の粉末の酸素量を測定した結果を表1に示す。解砕機2で処理された粉末の方が微粉砕後の酸素量が低いことがわかる。
ジェットミルで処理された粉末を磁場中成形した後に、1050℃で4時間焼結し、さらに900℃で1時間保持の後、530℃で1時間保持する時効処理を施して焼結体を得た。この焼結体の磁気特性(残留磁束密度(Br)、保磁力(Hcj))及び密度(D)を測定した結果を表3に示す。表3に示すように、解砕機2で処理された粉末を用いた焼結体の磁気特性、特に保磁力(Hcj)がブラウンミルで処理された粉末を用いた焼結体に比べて高いことが確認された。
Figure 0003954062
本実施の形態における粉砕処理システムの構成を示すブロック図である。 本実施の形態における解砕機の構成を示す図である。
符号の説明
1…粉砕処理システム、2…解砕機、21…原料合金受け入れ口、22…第1のふるい、23…第2のふるい、24…振動源、25…回収ポット、26…合金排出口、3…微粉砕機、4…搬送配管、5…カプセル、B1…ボールメディア、B2…目詰まり防止ボール

Claims (7)

  1. R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、T(TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を主成分とするR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法であって、
    原料合金に水素ガスを吸蔵させる水素吸蔵処理工程と、
    水素吸蔵処理された前記原料合金を、解砕メディアを伴う振動ふるいを用いて解砕しつつ分級して粗粉砕粉を得る粗粉砕工程と、
    気流式粉砕機により前記粗粉砕粉を粉砕して微粉砕粉を得る微粉砕工程と、
    を備えたことを特徴とするR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法。
  2. 前記解砕メディアは、100MPa以上のヤング率を有するボール状のメディアであることを特徴とする請求項1に記載のR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法。
  3. 前記粗粉砕工程は、非酸化性雰囲気で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のR−T−B系永久磁石用原料粉末の製造方法によるR−T−B系永久磁石用原料粉末を用いて製造されたことを特徴とするR−T−B系永久磁石。
  5. R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、T(TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を主成分とするR−T−B系永久磁石用原料合金を粉砕する粉砕処理システムであって、
    前記原料合金を解砕する解砕機と、
    前記解砕機で処理された粉末をさらに粉砕する気流式粉砕機とを備え、
    前記解砕機は振動エネルギが付与されるふるいと、前記ふるい上に供給された前記原料合金と衝突するメディアを含むことを特徴とする粉砕処理システム。
  6. 前記解砕機で処理された粉末を前記気流式粉砕機に供給する供給路を備えることを特徴とする請求項に記載の粉砕処理システム。
  7. 前記解砕機は前記ふるいの目詰まり防止機構を備えることを特徴とする請求項又はに記載の粉砕処理システム。
JP2004315201A 2003-10-31 2004-10-29 R−t−b系永久磁石用原料粉末の製造方法、r−t−b系永久磁石及び粉砕処理システム Active JP3954062B2 (ja)

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