JP4403998B2 - 希土類合金微粉の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、閉回路内で希土類元素を含有する原料合金粗粉を気流粉砕する粉砕工程と、粉砕した希土類合金微粉を前記閉回路及び大気から隔離された空間に収容する回収工程とを繰り返し行う希土類合金微粉の製造方法に関する。
例えばNd−Fe−B磁石等のR−T−B系(Rは、Y、希土類元素から選ばれる1種以上である。Tは、Feを必須とし、必要に応じてその他の遷移金属元素を含む。)焼結磁石は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であること等の利点を有することから、近年、その需要は益々拡大する傾向にある。このような状況から、R−T−B系焼結磁石の磁気特性を向上するための研究開発や、品質の高い希土類焼結磁石を製造するための製造方法の改良等が各方面において進められている。
希土類焼結磁石の製造方法としては、粉末冶金法が一般的であり、溶解→鋳造→合金塊粗粉砕→微粉砕→プレス成形→焼結の各工程からなるプロセスが広く適用されている。具体的には、原料合金を粗粉砕及び微粉砕した後、磁場中にて加圧成形し、焼結及び熱処理することにより磁石体を得ている。
このうち微粉砕処理を行う際には、粉末の活性度を下げて扱いやすくするために、粉砕ガスとして、窒素等の不活性ガスに例えば0.3%程度の若干の酸素を導入する場合が多い。例えば特許文献1においては、閉回路内の酸素濃度を0.5〜2.0%とする閉回路粉砕装置等が提案されている。特許文献1の発明によれば、閉回路内部に酸素含有ガス等の成分調整ガスを混入させることで被処理物の表面のみに予め燃焼活性の低い層を形成しておき、当該被処理物を大気中に取り出した際の、被処理物の酸化あるいは燃焼を防止することができるとされる。また、粉砕中の系内の酸素濃度を0.3%程度としておけば、粉砕の結果得られる微粉を大気中に取り出しときに微粉が燃焼するといった不都合が抑制される。
特開平11−156224号公報
近年、磁気特性のより一層の高特性化が要求されており、これに対処するため、使用する合金粉末についてもより一層の低酸素化が必要になってきている。ところが特許文献1に記載されるように、大気中での微粉の取扱い性を高めるために粉砕システムの閉回路内に酸素ガスを導入すると、合金粉末に含まれる酸素量が増加するので、磁気特性の低下を招く。そこで今後は、閉回路内に酸素ガスを供給せずに前記閉回路内の酸素濃度をほぼゼロ(例えば0.2%未満)とした雰囲気下で粉砕を行うことが望まれる。閉回路内の酸素濃度をほぼゼロとして粉砕して得た希土類合金微粉はほとんど酸化されていないので、高磁気特性の磁石原料として最適である。
しかしながら、閉回路内の酸素濃度をほぼゼロとして粉砕して得られる希土類合金微粉は、その活性度の高さから、希土類合金微粉同士、又は閉回路内部の粉砕機、配管壁等へ非常に付着しやすい傾向にある。また粉砕機、配管壁等に酸素含有量の低い原料合金微粉が付着すると、その後、配管壁等から脱落させることは非常に困難となる。さらに粉砕機、配管壁等の狭小部あるいは屈曲部のようなデッドスペースにも希土類合金微粉が残存する。配管壁等に付着した希土類合金微粉(以下、残粉と称する。)は、微粉回収後も閉回路内に残粉として残存し、投入材料量に対する収率低下の原因となる。そればかりか、低酸素濃度雰囲気で粉砕した後の残粉は取扱いが非常に難しく、例えば粉砕・回収後に閉回路から直ちに大気中に取り出すと、大気中の酸素と反応して酸化により発熱・発火するという問題がある。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、高磁気特性用の希土類合金微粉を高い収率で得るとともに、粉砕システム内に残存した希土類合金微粉(残粉)の取扱いを容易にすることが可能な希土類合金微粉の製造方法を提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために、請求項1に係る希土類合金微粉の製造方法は、閉回路内で希土類元素を含有する原料合金粗粉を気流粉砕する粉砕工程と、粉砕した希土類合金微粉を前記閉回路及び大気から隔離された空間に収容する回収工程とを繰り返し行う希土類合金微粉の製造方法であって、前記閉回路内の酸素濃度を0.2%未満として前記粉砕工程を行った場合、当該粉砕工程により得られた低酸素希土類合金微粉を前記回収工程で回収した後、前記閉回路内を酸素濃度0.8%〜2.0%として閉回路内に残存する残粉を徐酸化し、徐酸化した残粉を回収して前記低酸素希土類合金微粉と混合することを特徴とする。
以上のような希土類合金微粉の製造方法では、閉回路内に残存する残粉を徐酸化し、回収した後、先に回収した低酸素希土類合金微粉に混合するので、低酸素希土類合金微粉を高い収率で得ることができる。
請求項1に係る発明では、徐酸化した残粉を低酸素希土類合金微粉と混合するため、混合後の希土類合金微粉における酸素量の増加が懸念されるが、閉回路内での徐酸化による酸素の増加量は、大気中での酸化に比べると軽微なものである。また、残粉の徐酸化を行っている間、予め回収しておいた低酸素希土類微粉は、閉回路及び大気から隔離され低酸素量を維持している。したがって、残粉の発生量が少量であれば、混合後の希土類合金微粉全体としての酸素量の増加は僅かで済み、磁気特性への悪影響は最小限に抑えられる。
また、徐酸化した残粉を回収した後、依然として残粉が閉回路内に残存している場合がある。しかし、この残粉は徐酸化によって安定化されているので、例えば閉回路を大気に開放するなどして大気中に取り出したときに比べて安全性が高くなり取扱いが非常に容易である。
さらに、請求項1に係る発明では、配管壁等に付着する残粉と低酸素希土類合金粉末とを混合することで、混合後の希土類合金微粉の合金組成が原料合金粗粉の合金組成に近づく。その結果、この希土類合金微粉を原料とする希土類磁石において所望の特性が発揮されるという利点もある。
また、本発明の請求項3に係る希土類合金微粉の製造方法は、閉回路内で希土類元素を含有する原料合金粗粉を気流粉砕する粉砕工程と、粉砕した希土類合金微粉を前記閉回路及び大気から隔離された空間に収容する回収工程とを繰り返し行う希土類合金微粉の製造方法であって、前記閉回路内の酸素濃度を0.2%未満として前記粉砕工程を行った場合、当該粉砕工程により得られた低酸素希土類合金微粉を前記回収工程で回収した後、前記閉回路内を酸素濃度0.8%〜2.0%として閉回路内に残存する残粉を徐酸化し、閉回路を大気開放することなく次の粉砕工程及び回収工程を行い、前記残粉を当該次の粉砕工程により得られる希土類合金微粉とともに回収することを特徴とする。
以上のような希土類合金微粉の製造方法では、閉回路内に残存する残粉を徐酸化した後、次の粉砕で得られる希土類合金微粉とともに回収し、これを希土類磁石の原料として用いる。したがって、複数回の粉砕を通して見たとき、高い収率にて希土類合金微粉を得ることができる。
請求項3に係る発明では、徐酸化した残粉を次に粉砕される希土類合金微粉の一部として使用するので、当該希土類合金微粉における酸素量の増加が懸念されるが、閉回路内での徐酸化による酸素の増加量は、大気中での酸化に比べると軽微なものである。したがって、希土類合金微粉全体としての酸素量の増大は僅かで済み、磁気特性への悪影響は最小限に抑えられる。
閉回路内の酸素濃度を例えば0.2%〜0.5%として粉砕し、回収された希土類合金微粉は、通常は大気中で安定であることから、一般的に成形工程を大気中で行っている。そのため、閉回路内の酸素濃度を0.2%未満とする粉砕工程、粉砕した低酸素希土類合金微粉を回収する工程を行った後、閉回路を大気開放することなく、酸素濃度を0.2%〜0.5%として次の粉砕工程及び回収工程を行うと、先の粉砕で生じた低酸素量の残粉が得られる希土類合金微粉に混入し、希土類合金微粉を大気中で取り扱う際に酸化による発熱・発火するおそれがある。
これに対し本発明では、残粉を徐酸化した後に、次の粉砕工程を行うので、例えば次の粉砕が例えば酸素濃度0.2%〜0.5%雰囲気下での粉砕であり、得られる希土類合金微粉を大気中で取り扱う場合であっても、残粉に起因する発熱・発火が抑制され、安全性が高くなり希土類合金微粉の取扱いをより一層容易なものとすることができる。
本発明の請求項1に係る希土類合金微粉の製造方法によれば、閉回路内で残粉を徐酸化させた後、先に回収しておいた低酸素希土類合金微粉に混入させることで、希土類合金微粉における磁気特性の低下を最小限に抑えるとともに、希土類合金微粉を高い収率で得ることができる。したがって、得られた希土類合金微粉を成形し、焼結することで、高磁気特性の希土類磁石を高い材料歩留まりにて製造することができる。
また、本発明の請求項3に係る希土類合金微粉の製造方法によれば、残粉を徐酸化させた後、大気開放することなく連続して次の粉砕を行い、次の粉砕で得られる希土類合金微粉とともに閉回路内の残粉を回収することで、複数回の粉砕を通してみたときの収率を高めるとともに、希土類合金微粉における磁気特性の低下を最小限に抑えることができる。したがって、得られた希土類合金微粉を成形し、焼結することで、高磁気特性の希土類磁石を高い材料歩留まりにて製造することができる。
以下、本発明を適用した希土類合金微粉の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
先ず、本発明の製造対象である希土類合金微粉を原料とする希土類磁石について、その概略を説明する。
希土類磁石、中でも希土類焼結磁石は、希土類元素、遷移金属元素を主成分とするものである。ここで、磁石組成(合金組成)は、目的に応じて任意に選択すればよい。例えば、R−T−B(Rは希土類元素の1種又は2種以上、但し希土類元素はYを含む概念である。TはFeまたはFe及びCoを必須とする遷移金属元素の1種または2種以上であり、Bはホウ素である。)系希土類焼結磁石とする場合、磁気特性に優れた希土類焼結磁石を得るためには、焼結後の磁石組成において、希土類元素Rが20〜40質量%、ホウ素Bが0.5〜4.5質量%、残部が遷移金属元素Tとなるような配合組成とすることが好ましい。ここで、Rは、希土類元素、すなわちY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb及びLuから選ばれる1種、または2種以上である。中でも、Ndは、資源的に豊富で比較的安価であることから、主成分をNdとすることが好ましい。また、Dyの含有は異方性磁界を増加させるため、保磁力Hcjを向上させる上で有効である。
あるいは、添加元素Mを加えて、R−T−B−M系希土類焼結磁石とすることも可能である。この場合、添加元素Mとしては、Al、Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、Nb、Sn、W、V、Zr、Ti、Mo、Bi、Ga等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を選択して添加することができる。これら添加元素Mの添加量は、残留磁束密度等の磁気特性を考慮して、3質量%以下とすることが好ましい。添加元素Mの添加量が多すぎると、磁気特性が劣化するおそれがある。
勿論、これら組成に限らず、希土類焼結磁石として従来公知の組成全般に適用可能であることは言うまでもない。
前述の希土類焼結磁石を製造するには、粉末冶金法が採用される。粉末冶金法による希土類焼結磁石の製造プロセスは、基本的には、合金化工程、粗粉砕工程、微粉砕工程、磁場中成形工程、焼結工程、時効工程、加工工程、及び表面処理工程とにより構成される。なお、酸化防止のために、時効後までの各工程は、ほとんどの工程を真空中、あるいは非酸化性ガス雰囲気中(窒素雰囲気中、Ar雰囲気中等)で行う。
合金化工程では、原料となる金属、あるいは合金を磁石組成に応じて配合し、真空あるいは不活性ガス、例えばAr雰囲気中で溶解し、鋳造することにより合金化する。鋳造法としては、溶融した高温の液体金属を回転ロール上に供給し、合金薄板を連続的に鋳造するストリップキャスト法(連続鋳造法)が生産性等の観点から好適であるが、それに限られるものではない。原料金属(合金)としては、純希土類元素、希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。
合金は、ほぼ最終磁石組成である単一の合金を用いても良いし、最終磁石組成になるように、組成の異なる複数種類の合金を混合しても良い。混合は、合金・原料粗粉・原料微粉のどの工程でもよい。
粗粉砕工程では、先ず、鋳造した原料合金の薄板、あるいはインゴット等をある程度粉砕して、合金塊とし、水素吸蔵に供する。合金塊の寸法、形状に特に制限はないが、5〜50mm角程度とすることが好ましい。この粉砕は、例えばジョークラッシャ等により行えばよい。
粗粉砕工程では、前記合金塊に対して水素吸蔵させ、粉砕を行う。原料合金塊に水素を吸蔵させると、相によって水素吸蔵量が異なり、これにより表面から自己崩壊的に粉砕が進行する。粗粉砕工程では、前記水素吸蔵処理の後、熱処理することが一般的である。更にディスクミル等の機械的粉砕を行なうこともある。
前述の粗粉砕工程が終了した後、通常、粗粉砕した原料合金粗粉に粉砕助剤を添加する。粉砕助剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、オレイン酸アミドといった脂肪酸系化合物や金属せっけん等の添加剤等を使用することができるが、特に、脂肪酸アミドを粉砕助剤として用いることで、良好な磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることができる。粉砕助剤の添加量としては、0.01〜0.3質量%程度とすることが好ましい。この範囲内で粉砕助剤を添加した場合、焼結後の残留炭素の量を抑制することができ、希土類焼結磁石の磁気特性を向上させる上で有効である。
粗粉砕工程の後、微粉砕工程を行う。微粉砕工程は、後述するような粉砕システムにおいて、例えばジェットミル等の気流式粉砕機を使用した気流粉砕により行われる。微粉砕の際の条件は、用いる気流式粉砕機等に応じて適宜設定すればよいが、高磁気特性用の低酸素希土類合金微粉を得る際には、微粉砕雰囲気中の酸素濃度を0.2%未満に制御する。原料合金粗粉は、平均粒径が1〜10μm程度、例えば3〜6μmとなるまで微粉砕する。ジェットミルは、高圧の不活性ガス(例えば窒素ガス)を狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速の搬送ガス流により粉体の粒子を加速し、粉体の粒子同士の衝突や、衝突板あるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。ジェットミルは、一般的に、流動層を利用するジェットミルや渦流を利用するジェットミル等気流生成手法により、或いは衝突板等の作用物もしくは機構を用いるジェットミル等に分類される。気流生成手法や作用物等の組合せ並びに条件により粉砕粒径などを設定・制御する。
微粉砕工程の後、磁場中成形工程において、希土類合金微粉を磁場中にて成形する。具体的には、微粉砕工程にて得られた希土類合金微粉を電磁石を配置した金型内に充填し、磁場印加によって結晶軸を配向させた状態で磁場中成形する。磁場中成形は、縦磁場成形(プレス方向に平行磁界を印加)、横磁場成形(プレス方向に垂直磁界を印加)のいずれであってもよい。この磁場中成形は、例えば400〜1600kA/mの磁場中で、50〜260MPa前後の圧力で行えばよい。磁場配向にはパルス磁界を用いても良く、また静磁界とパルス磁界の組み合わせでも良い。パルス磁界としては2400kA/m以上が望ましい。
前記微粉砕工程において雰囲気中の酸素濃度を0.2%未満に制御して微粉砕を行った場合、得られる低酸素希土類合金微粉の酸素含有量は低く、活性度が高いので、磁場中成形を低酸素濃度雰囲気下で行うことが望ましい。
次に焼結工程・時効工程において、焼結及び時効処理を実施する。すなわち、焼結工程は希土類合金微粉を磁場中成形後、成形体を真空または不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、例えば1000〜1150℃で5時間程度焼結すればよい。焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことが好ましい。この時効工程は、得られる希土類焼結磁石の保磁力Hcjを制御する上で重要な工程であり、例えば不活性ガス雰囲気中あるいは真空中で時効処理を施す。時効処理としては、2段時効処理が好ましく、1段目の時効処理工程では、800℃前後の温度で1〜3時間保持する。次いで、室温〜200℃の範囲内にまで冷却する第1冷却工程を設ける。2段目の時効処理工程では、550℃前後の温度で1〜3時間保持する。次いで、室温まで冷却する第2冷却工程を設ける。600℃近傍の熱処理で保磁力Hcjが大きく増加するため、時効処理を一段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
前記焼結工程・時効工程の後、加工工程及び表面処理工程を行う。加工工程は、得られた焼結体に切断加工、研削加工、研磨加工等を行い、所望の形状に機械的に加工する工程である。表面処理工程は、得られた希土類焼結磁石の酸化や割れ・クラックなどを抑えるため、あるいは接着性を改善させるためなどに行う工程であり、例えばメッキ被膜や樹脂被膜を希土類焼結磁石の表面に形成する。なお、前記焼結工程後、加工工程を行い、時効工程、表面処理工程を行ってもよい。
以下、前述の微粉砕工程において使用される粉砕システムについて、図1を参照しながら説明する。図1に示す粉砕システムは、系(閉回路)L内で希土類元素を含有する原料合金粗粉を気流粉砕する粉砕工程と、粉砕した希土類合金微粉を系L及び大気から隔離された空間に収容する回収工程とを繰り返し行うための粉砕システムである。
粉砕システムは、原料合金粗粉を粉砕システムの系L内に供給するためのフィーダ(供給装置)10、フィーダ10から送り込まれた原料合金粗粉をキャリアガスで搬送し、粉砕する粉砕機(気流式粉砕機)20、粉砕機20で粉砕された粉砕粉のうち、所定の範囲の粒径のものを回収するサイクロン30、サイクロン30で回収された希土類合金微粉を収容し、系L及び大気から隔離された空間を形成するホッパー40、ホッパー40で収容された後、粉砕初期の段階で粉砕された希土類合金微粉と粉砕終了の段階で粉砕された希土類合金微粉とを均一に撹拌・混合するためのミキサ50、ミキサ50で撹拌・混合された希土類合金微粉を系L外へ取り出すための回収保管容器51、サイクロン30で回収されなかった希土類合金微粉を回収するバグフィルタ(捕集装置)60及びアフターフィルタ61、アフターフィルタ61を通過したキャリアガスを再度粉砕機20に循環させ、系Lを閉回路とするための低圧タンク62、コンプレッサ63及び高圧タンク64を備えている。
また、粉砕システムは、系L内に窒素ガス等の不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置71、系L内に酸素ガスを供給する酸素含有ガス供給装置72、不活性ガスと酸素含有ガスとを混合するガス混合器73を備えている。なお、ガス混合器73を設けずに不活性ガス供給装置71、酸素含有ガス供給装置72によりそれぞれのガスを個別に系L内に供給するようにしてもよい。また、粉砕システムは、ガス混合器73における酸素濃度を測定する酸素濃度計74、系L内のガスを回収するガス回収タンク75を備えている。さらに、粉砕システムは、サイクロン30で回収した希土類合金微粉の粒度分布を測定するためのオンラインの粒度分布測定装置80を備えている。
図1に示す粉砕機20は、ジェットミルである。この粉砕機20は、いわゆる縦型の粉砕機であり、上下方向に軸線を有する外筒(容器)21と、外筒21の軸線方向に沿って設けられた内筒22と、外筒21の底部に設けられたエジェクタノズル(図示せず)と、内筒22の内径側に取り付けられた内筒22の衝突板23とを備えるものである。外筒21内において、内筒22の上端部の上方には、粉砕された粉末を分級する分級ロータ24が設けられる。分級ロータ24は、略水平方向(粉砕装置内において希土類合金微粉の流れに略直交する方向)に軸線を有した円筒状で、その外周面には、所定幅のスリットが複数形成されており、外筒21の外部に設けられた図示しない駆動モータにより、その軸線周りに回転駆動されるようになっている。また、分級ロータ24の側方には、分級ロータ24の内部空間に連通し、分級された希土類合金微粉をサイクロン30に送り込む微粉搬送配管(排出部)25が設けられている。
フィーダ10から配管11を介して送り込まれ、外筒21内に投入された原料合金粗粉は、エジェクタノズルからキャリアガスとともに噴出され、衝突板23に当たって粉砕される。粉砕の結果得られた希土類合金微粉は、キャリアガスの流れに乗って上昇し、分級ロータ24において分級される。分級ロータ24のスリットを通過した所定寸法以下の希土類合金微粉のみが微粉搬送配管25を通ってサイクロン30へ送り込まれる一方、残りの希土類合金微粉は外筒21と内筒22との隙間を通って落下し、粉砕機20内を再び循環する。
粉砕機20で粉砕して得られた希土類合金微粉は、サイクロン30において、重量に基づき、さらに所定の粒径範囲のもののみが回収され、配管31を介してホッパー40に回収される。
サイクロン30から希土類合金微粉をホッパー40に供給する配管31には、開閉可能なダンパーが2段階に設けられたダブルダンパ(ダンパ)41が設けられる。このダブルダンパ41を適宜作動させることで、系L内とホッパー40とのガス圧を遮断可能としている。また、粉砕システムは、ホッパー40の入り口側にバルブ43を備え、このバルブ43により系L内とホッパー40とのガスの流通を遮断可能としている。ホッパー40に回収された希土類合金微粉は、配管42を介してミキサ50に送り込まれる。
ミキサ50で撹拌・混合された希土類合金微粉は、回収保管容器51へ送り込まれ、回収保管容器51の弁を閉じることによって系L外へ取り出されて磁場中成形工程に供給される。回収保管容器51に送り込まれた希土類合金微粉を系L外に取り出す際、配管42の弁を閉じることにより、系L内への大気の侵入を防ぎ、系Lの雰囲気を所定酸素濃度に維持することができる。なお、粉砕システムは、回収保管容器51を複数個備えるとともに、回収保管容器51を任意のタイミング(例えばロット毎)で交換可能な構成とされている。図1においては、回収保管容器51を1つだけ図示する。
配管31には、サイクロン30で回収した希土類合金微粉の粒度分布を測定するための粒度分布測定装置80が設けられる。粒度分布測定装置80は、配管31の壁面に開口した開口部(図示無し)に接続されたサンプリング管(流路)81と、このサンプリング管81内にレーザ光等を照射し、その透過度合いに基づいて粒度分布を測定する測定装置本体(粒度分布測定計)82と、測定装置本体82を通過した希土類合金微粉を回収するサイクロン83とを備えている。なお、粒度分布測定装置80としては、図1に示すような配管31とサイクロン83との間にサンプリング管81を設ける形式に限定されるものではなく、希土類合金微粉をサンプリング可能であればいかなる形式であってもよい。例えば、粒度分布測定装置80は、微粉搬送配管25から分岐してサイクロン30に至る形式でも構わない。
低圧タンク62とコンプレッサ63とをつなぐ配管65には、ガス混合器73で混合された不活性ガスを供給するためのガス供給管76が接続される。不活性ガス供給装置71及び酸素含有ガス供給装置72からそれぞれ供給されたガスは、ガス混合器73で所望の酸素含有量等に調整された後、ガス供給管76を通って配管65(系L内)へ供給される。ガス混合器73を備えずに不活性ガス供給装置71及び酸素含有ガス供給装置72を直接配管65へ供給してもよい。酸素濃度計74は、ガス混合器73中の酸素濃度を測定する。なお、図1においては、ガス混合器73に酸素濃度計74を設けた例を図示したが、粉砕システムは系Lの各部に酸素濃度計74を複数備える構成であってもよい。こうすることによって、所望の酸素含有量等に調整されていることが確認し易くなる。ガス混合器73を備えずに不活性ガス供給装置71及び酸素含有ガス供給装置72を直接配管65へ供給する場合であっても同様である。低圧タンク62とガス回収タンク75、及び高圧タンク64とガス回収タンク75との間の配管には、それぞれバルブ77,78が設けられている。
以下、図1に示す粉砕システムを用いて、系L内の酸素濃度を0.2%未満として原料合金粗粉を微粉砕する場合について説明する。先ず、不活性ガス供給装置71、酸素含有ガス供給装置72等を作動させて系L内に不活性ガスを供給し、系L内の雰囲気中の酸素濃度を0.2%未満に制御する。次に、これをキャリアガスとして、フィーダ10から供給された原料合金粗粉を粉砕機20において気流粉砕する粉砕工程を行う。
次に、回収工程に移る。回収工程では、前記粉砕工程により得られた低酸素希土類合金微粉のうち、所定の粒径の低酸素希土類合金微粉を回収し、サイクロン30を介してホッパー40又は回収保管容器51に収容する。この間、系L内の雰囲気の酸素濃度を0.2%未満に維持する。
ところで、系L内に投入した原料合金粗粉の全量を低酸素希土類合金微粉としてホッパー40又は回収保管容器51で回収することが望ましいが、実際には、回収作業後の粉砕システム内(例えば系Lを構成する配管壁、粉砕機20の内部、サイクロン30の内部等)に、若干量の希土類合金微粉が付着し、残粉として残存してしまう。特に、系L内の酸素濃度を前述のように低下させた状態で粉砕した場合、残粉の量は増える傾向にあり、収率低下の大きな原因となっている。そればかりか、残粉の酸素含有量は非常に低いものであり、この残粉を大気中に取り出すと大気中の酸素と激しく反応して酸化し、発熱・発火するという問題もある。
そこで本発明では、系L内に残存した残粉を、以下に説明する第1の方法又は第2の方法により処理する。先ず、第1の方法について説明する。第1の方法においては、閉回路内の残粉を先に回収しておいた低酸素希土類合金微粉に混入させ、希土類磁石の原料として用いる。
第1の方法では、先ず、先の回収工程で回収した低酸素希土類合金微粉を系L及び大気から隔離した状態で、系L内の酸素濃度を0.8%〜2.0%に制御し、所定時間保持する。具体的には、例えば低酸素希土類合金微粉を収容したホッパー40と系Lとのガスの流通をホッパー40の入り口側に設けられたバルブ43を閉じて遮断した状態とする。この状態で、不活性ガス供給装置71、酸素含有ガス供給装置72、ガス混合器73をそれぞれ作動させることにより、系L内の酸素濃度を0.8%〜2.0%に制御した状態で所定時間保持する。これにより、系L内の残粉を徐酸化して表面の活性度を下げ、配管壁等から脱離し易い状態とする。また、残粉を安定化させ、大気中に取り出したときに発熱・発火しない等、大気中での残粉の取扱いを容易なものとする。
残粉を徐酸化させるには、系L内の雰囲気中の酸素濃度を、0.8%〜2.0%に制御することが必要である。前記範囲未満であると、残粉の徐酸化に長時間を要したり、残粉の徐酸化が不十分となり、大気中で酸化し、発熱・発火する等の問題がある。逆に前記範囲を上回る場合、残粉の酸化反応が急速に進行して発熱・発火するおそれがある。また、徐酸化の酸素濃度が前記範囲を上回る場合、次の粉砕を行う目的で系L内の酸素濃度を低下させる際、所望の酸素濃度まで低下させるのに長時間を要し、生産効率の低下を招くおそれがある。
系L内の酸素濃度を0.8%〜2.0%に保持する時間は、系L内の残粉を大気中に取り出したときに残粉が発熱・発火しない程度であればよく、例えば20分間〜180分間とすることができる。系Lの規模にもよるが、効率的な徐酸化条件に雰囲気を設定しておけば20分間〜150分間程度でよい。
次に、配管壁等に付着した残粉を脱離させるとともに、脱離した残粉をキャリアガスで移送して回収する。このとき、配管壁等からの残粉の脱離を促進するために、配管壁等に振動を加えてもよい。
その後、回収した残粉を、徐酸化前に回収しておいた低酸素希土類合金微粉に混合する。このとき、回収した残粉を大気に触れさせない状態とする。低酸素希土類合金微粉と徐酸化後の残粉とは、別々のホッパー40に回収した後にミキサ50において均一に混合してもよいし、同一のホッパー40に回収した後、ミキサ50において均一に混合してもよい。その結果得られた混合物を、回収保管容器51へ送り込み、希土類合金微粉として希土類磁石の製造に使用する。
以上の第1の方法によれば、系L内の残粉を希土類合金微粉の一部として使用するので、原料合金粗粉に対する収率を高め、希土類磁石の歩留まりを改善することができる。また、残粉は閉回路内で徐酸化され、先に回収した低酸素希土類合金微粉は大気及び閉回路から隔離しておくことで低酸素量を維持しているので、回収した残粉量にもよるが、回収した残粉を低酸素希土類合金微粉に混合することによる磁気特性の低下はほとんど問題とならない。つまり、歩留まり向上と、高磁気特性の希土類磁石の製造とを両立することができる。
さらに、第1の方法は、最終的に得られる希土類合金微粉において、原料合金粗粉に近い組成を得られる点で好ましい方法である。原料合金粗粉の粉砕物が組成的に偏りをもって配管壁等に付着した場合、先に回収された低酸素希土類合金微粉の組成が原料合金粗粉の本来の組成からずれるおそれがある。第1の方法においては、残粉を同一の原料合金粗粉に由来する低酸素希土類合金微粉に混合することにより、混合後の希土類合金微粉において、原料合金粗粉の組成に非常に近い組成が得られる。したがって、希土類磁石において所望の特性を確実に得ることができる。
ところで、残粉を回収した後の閉回路内に、依然として残粉が残存していることがあるが、この残粉は既に徐酸化されているので、大気と接触しても発熱・発火することがない。このため、第1の例によれば、粉砕システムの各部の点検作業や部品交換作業、あるいは系L内の残粉の機械的な除去作業等のために系Lを大気に開放する作業を、特別な安全設備等を要することなく簡単に実施することができる。
次に、系L内に残存した残粉を処理するための第2の方法について説明する。第2の方法においては、閉回路内の残粉を徐酸化させた後、連続して次の粉砕を行い、当該次の粉砕により得られる希土類合金微粉と混合して希土類磁石の原料として用いる。
第2の方法では、先ず、系L内の残粉を徐酸化して表面の活性度を下げて、配管壁等から脱離し易い状態とする。残粉を徐酸化させる処理については、第1の方法と同様であるため、ここでは説明を省略する。
なお、第2の方法では、ホッパー40又は回収保管容器51に収容しておいた低酸素希土類合金微粉は、例えば粉砕システムから取り出し、磁場中成形工程等に搬送してもよい。この低酸素希土類合金微粉は、酸素含有量が低く、高磁気特性用の希土類合金微粉として最適である。
次に、系Lを大気開放することなく、すなわち系Lを閉じた状態のまま、不活性ガス供給装置71、酸素含有ガス供給装置72等を作動させて系L内を所定の酸素濃度雰囲気とし、フィーダ10から次の原料合金粗粉を供給して次の粉砕を行う。先の粉砕で付着した残粉は、徐酸化されているので、連続して次の粉砕を行うことによって配管壁等から容易に脱離する。そして、脱離した残粉を、当該次の粉砕により得られる希土類合金微粉とともにキャリアガスで搬送し、バルブ43を開いてホッパー40へ回収する。或いは、徐酸化により配管壁等から脱離した残粉をキャリアガスで搬送し、予めホッパー40へ回収した後、当該次の粉砕工程を行う。これにより先の残粉とともにホッパー40へ回収する。このとき、徐酸化中もしくは徐酸化終了後に配管壁等からの残粉の脱離を促進するために、配管壁等に振動を加えてもよい。残粉が混入した希土類合金微粉は、ミキサ50で均一に混合し、回収保管容器51へ送り込まれ、希土類磁石の製造に使用される。
以上のような第2の方法によれば、系L内の残粉を、次の粉砕工程で得られる希土類合金微粉の一部として回収するので、複数回の粉砕を通してみたときの収率を高め、希土類磁石の歩留まりを改善することができる。また、残粉は徐酸化されるものの大気に接触していないので、徐酸化後の残粉を次の粉砕で得られる希土類合金微粉に混合することによる磁気特性の低下はほとんど問題とならない。つまり、収率向上と、高磁気特性の希土類磁石の製造とを両立することができる。
さらに、第2の方法は、次の粉砕工程として、系L内の酸素濃度を0.2%〜0.5%に保持して粉砕を行う場合の安全性をより一層高めることができる。次の粉砕を行う前に系L内に残存した残粉を徐酸化してあるので、酸素量の低い残粉を次の粉砕で得られる希土類合金微粉に混入した状態のように、この希土類合金微粉を大気に取り出したときに発熱・発火することはない。つまり、次の粉砕で得られる希土類合金微粉を大気中でより安定に取り扱うことができる。
なお、徐酸化後の残粉を、第1の方法、第2の方法のいずれで取り扱うかは任意であり、希土類磁石の特性への影響等を考慮して適宜選択すればよい。ただし、投入した原料合金粗粉量に対して残粉量が比較的多い場合、組成ズレを考慮する場合、第1の方法を採用することが好ましい。
以上、R−T−B系希土類焼結磁石用希土類合金微粉の製造を例にして、本発明の希土類合金微粉の製造方法の実施形態について説明したが、本発明がこの実施形態に限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、対象となる希土類合金微粉としては、R−T−B系希土類合金微粉に限らず、例えばSmCo系合金粉末等にも適用可能である。ただし、その場合には、適用する合金粉末の種類に応じて、不活性ガス中の酸素濃度を適正な範囲に設定する必要がある。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
<実施例1>
質量百分率でNd30.3%、Dy1.0%、B1.0%、Nb0.7%Co0.5%、Al0.2%、Cu0.07%、残部Feなる組成を有するNd−Fe−B系原料合金粗粉(目の開き2mmの篩を通過)を用い、図1に示す粉砕システムを用いて微粉砕を行った。微粉砕は、酸素濃度0.5ppmの純窒素ガスをキャリアガスとして使用し、平均粒径が4.1μmとなるまで気流粉砕を行った。その後、回収保管容器に、所定の粒径を有する低酸素希土類合金微粉を回収した。原料合金粗粉の投入質量800kgに対し、回収保管容器に収容された低酸素希土類合金微粉の質量は784kgであった。バグフィルタ及びアフターフィルタにて捕集されたさらに微細な粉末の質量も差し引くと、粉砕システムの系内に残存した残粉の質量は、5.2kgと推測される。粉砕中に系内の酸素が希土類合金微粉に吸着されるため、回収後の粉砕システム系内の酸素濃度は実質的に0ppmであった。
次に、低酸素希土類合金微粉収容後の回収保管容器と配管とを遮断し、その後、不活性ガス供給装置と酸素含有ガス供給装置からのガスを混合し供給することにより、系内の酸素濃度を上昇させた。具体的には、エアシリンダによる振動装置により粉砕システムを構成する配管を振動させながら、系内の酸素濃度を0ppmから13000ppmまで約50分間かけて上昇させた。その後、系内の酸素濃度13000ppmの状態を60分間保持した。系内の酸素濃度を8000ppm以上に保持した時間は、合わせて85分間であった。
これにより、粉砕システムの別の回収容器に残粉を回収した。徐酸化後に回収された残粉は4.4kgであった。回収された残粉を大気中に取り出したところ、発熱・発火は起きなかった。また、回収された残粉の酸素含有量を測定した結果、5300ppmであった。この酸素含有量は、希土類磁石の希土類合金微粉として問題ない値であり、先に収容した低酸素希土類合金微粉の重量比で0.5%程度であれば混合しても十分使用可能な値であった。
以上の実験結果から、適正な酸素濃度の不活性ガスを閉回路内に供給することで、閉回路を大気に開放することなく、4.4kgの残粉を効率的に回収できることが確認された。また、残粉の酸素含有量は3000ppm〜6000ppmに抑えられていることが確認された。したがって、この残粉を先に回収した低酸素希土類合金微粉に混合するか、あるいは大気開放することなく次の粉砕工程及び回収工程を行い、残粉を当該粉砕で得られる希土類合金微粉に混合することによって、希土類磁石の材料歩留まりを改善するとともに、磁気特性の低下を抑制することが可能であることがわかる。
本実施形態の希土類合金微粉の製造方法に用いられる粉砕システムを模式的に示す図である。
符号の説明
10 フィーダ、20 粉砕機、30 サイクロン、40 ホッパー、50 ミキサ、51 回収保管容器、バグフィルタ60、71 不活性ガス供給装置、72 酸素含有ガス供給装置73 ガス混合器、74 酸素濃度計、75 ガス回収タンク、80 粒度分布測定装置

Claims (4)

  1. 閉回路内で希土類元素を含有する原料合金粗粉を気流粉砕する粉砕工程と、粉砕した希土類合金微粉を前記閉回路及び大気から隔離された空間に収容する回収工程とを繰り返し行う希土類合金微粉の製造方法であって、
    前記閉回路内の酸素濃度を0.2%未満として前記粉砕工程を行った場合、当該粉砕工程により得られた低酸素希土類合金微粉を前記回収工程で回収した後、前記閉回路内を酸素濃度0.8%〜2.0%として閉回路内に残存する残粉を徐酸化し、徐酸化した残粉を回収して前記低酸素希土類合金微粉と混合することを特徴とする希土類合金微粉の製造方法。
  2. 徐酸化する時間が20分間〜180分間であることを特徴とする請求項1記載の希土類合金微粉の製造方法。
  3. 閉回路内で希土類元素を含有する原料合金粗粉を気流粉砕する粉砕工程と、粉砕した希土類合金微粉を前記閉回路及び大気から隔離された空間に収容する回収工程とを繰り返し行う希土類合金微粉の製造方法であって、
    前記閉回路内の酸素濃度を0.2%未満として前記粉砕工程を行った場合、当該粉砕工程により得られた低酸素希土類合金微粉を前記回収工程で回収した後、前記閉回路内を酸素濃度0.8%〜2.0%として閉回路内に残存する残粉を徐酸化し、閉回路を大気開放することなく次の粉砕工程及び回収工程を行い、前記残粉を当該次の粉砕工程により得られる希土類合金微粉とともに回収することを特徴とする希土類合金微粉の製造方法。
  4. 徐酸化する時間が20分間〜180分間であることを特徴とする請求項3記載の希土類合金微粉の製造方法。
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