JP3953722B2 - 交流発電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば車両用交流発電機等の交流発電機に関し、特にフレーム内に冷却風を流通させて発熱部品を冷却する交流発電機のファン構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は従来の車両用交流発電機を示す縦断面図、図9は従来の車両用交流発電機に適用される回転子を示す斜視図、図10は従来の車両用交流発電機に適用されるファンを示す一部破断上面図、図11は図10のXI−XI矢視断面図である。
図8および図9において、従来の車両用交流発電機は、ランドル型の回転子7がアルミニウム製のフロントブラケット1およびリヤブラケット2から構成されたフレーム3内にシャフト6を介して回転自在に装着され、固定子8が回転子7の外周側を覆うようにフレーム3の内壁面に固着されて構成されている。
シャフト6は、フロントブラケット1およびリヤブラケット2に回転可能に支持されている。このシャフト6の一端にはプーリ4が固着され、エンジンの回転トルクをベルト(図示せず)を介してシャフト6に伝達できるようになっている。
回転子7に電流を供給するスリップリング9がシャフト6の他端部に固着され、一対のブラシ10がこのスリップリング9に摺接するようにフレーム3内に配設されたブラシホルダ11に収納されている。固定子8の出力電圧を調整するレギュレータ18がブラシホルダ11に嵌着されたヒートシク17に接着されている。固定子8に電気的に接続され、固定子8で生じた交流を直流に整流する整流器12がケース3内に装着されている。
【0003】
回転子7は、電流を流して磁束を発生する界磁巻線13と、界磁巻線13で発生された磁束によって磁極が形成される一対の磁極鉄心20、21とから構成される。磁極鉄心20、21は、鉄製で、円盤状のボス部20a、21aと、ボス部20a、21aの外周部に周方向に所定ピッチで複数突設された略台形形状の爪状磁極20b、21bとから構成され、爪状磁極20b、21bをかみ合わせるようにボス部20a、21a同士を突き合わせてシャフト6に嵌着一体化されている。また、爪状磁極20a、21aの最外周面と軸方向端面との交差部が面取りされて、軸方向端面に対して傾斜するアール形状の肩部22が形成されている。そして、界磁巻線13がボス部20a、21aに巻装されている。さらに、ファン5が回転子7、即ち磁極鉄心20、21の軸方向端面に固着されている。
固定子8は、固定子鉄心15と、この固定子鉄心15に導線を巻回してなり、回転子7の回転に伴い、回転子7からの磁束の変化で交流が生じる固定子巻線16とから構成されている。
【0004】
ファン5は、図10に示されるように、例えば圧延鋼板などの金属板にプレス加工を施して成形されたリング状の基部54と、基部54の外周部を切り起こして形成された複数のブレード55と、基部54と同等の外径を有し、基部54と相対するようにブレード55に固着されたリング状の側板56とから構成されている。このように構成されたファン5は、図11に示されるように、基部54の主面54aと側板56の主面56aとが平行に、かつ、相対して通風路を構成している。
【0005】
このように構成された車両用交流発電機では、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ10およびスリップリング9を介して界磁巻線13に供給され、磁束が発生される。この磁束により、磁極鉄心20の爪状磁極20bがN極に着磁され、磁極鉄心21の爪状磁極21bがS極に着磁される。一方、エンジンの回転トルクがベルトおよびプーリ4を介してシャフト6に伝達され、回転子7が回転される。そこで、固定子巻線16に回転磁界が与えられ、固定子巻線16に起電力が発生する。この交流の起電力が整流器12を通って直流に整流されるとともに、その出力がレギュレータ18により調整され、バッテリに充電される。
【0006】
従来の車両用交流発電機においては、固定子巻線16、整流器12およびレギュレータ18等は、発電中、常に発熱している。そこで、発電により発生する熱を冷却するために、吸気孔1a、2aがフロントブラケット1およびリヤブラケット2の軸方向端部に設けられ、排気孔1b、2bがフロントブラケット1およびリヤブラケット2の径方向側部に設けられている。
リヤ側においては、ファン5の回転により、図8に矢印で示される冷却風の流れが形成され、整流器12、レギュレータ18および固定子巻線16のリヤ側コイルエンドを冷却している。つまり、ファン5の回転により、外気が整流器12のヒートシンク19およびレギュレータ18のヒートシンク17にそれぞれ対向して設けられた吸気孔2aを通じて吸い込まれて整流器12およびレギュレータ18を冷却し、その後基部54と側板56とで構成される通風路を内径側から外径側に通って固定子巻線16のリヤ側のコイルエンドを冷却して、排気孔2bより外部に排出される。
一方、フロント側においては、ファン5の回転により、図8に矢印で示される冷却風の流れが形成され、固定子巻線16のフロント側コイルエンドを冷却している。つまり、ファン5の回転により、外気が吸気孔1aから軸方向に吸い込まれ、その後基部54と側板56とで構成される通風路を内径側から外径側に通って固定子巻線16のフロント側のコイルエンドを冷却して、排気孔1bより外部に排出される。
【0007】
ここで、側板56が省略されている場合、冷却風は、軸中心側からブレード外径側に流れる際に、ファン5と軸方向に対向する内蔵物の表面に沿って流れることになる。そして、ファン5と軸方向に対向する内蔵物の表面は凹凸を有していることから、ファン5の回転に起因して干渉音が発生してしまう。一方、側板56を取り付けた場合、冷却風は、軸中心側から基部54と側板56とで構成される通風路内をブレード55の表面に沿って外径側にスムーズに流れることになり、上述のファン5の回転に起因する干渉音の発生が抑えられる。
なお、固定子巻線16は、発熱度合いが高く、高温度となるとその出力特性が低下してしまうことから、そのフロント側およびリヤ側コイルエンドを基部54と側板56とで構成される通風路と排気孔1b、2bとの間に位置させ、確実に冷却できるように構成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の車両用交流発電機では、基部54と側板56とで構成される通風路の軸方向幅が径方向に一定に形成されているので、ブレード55に沿って流れる冷却風の通風抵抗が基部54と側板56とで構成される通風路で上昇してしまう。特に、冷却風が内径側から外径側へ通風する遠心ファンの場合、外径側の風速が内径側に比べて速いため、冷却風の全体風量が落ちてファンの冷却効率が低下してしまったり、風騒音が悪化するという課題があった。
また、固定子巻線16のコイルエンドやブラケットの排気リブ(図示せず)がファン5の下流側に存在しているので、ファン5の下流側での圧力損失が大きくなり、ファン5の冷却性を悪化させてしまうという課題があった。そして、基部54と側板56とで通風路を構成することは、この冷却性の悪化を助長することになる。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、基部と側板とで構成される通風路の外径側を内径側に対して大きくして、側板を設けることに起因するファンの冷却効率の低下を抑え、風騒音が小さく、冷却性に優れた交流発電機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る交流発電機は、シャフトを回転自在に支承するフレームと、それぞれ爪状磁極が円盤状のボス部の外周部に周方向に所定ピッチで複数設けられ、爪状磁極を噛み合わせるようにボス部同士を突き合わせて上記シャフトに嵌着一体化されて上記フレーム内に配設された一対の磁極鉄心および上記一対の磁極鉄心の上記ボス部に巻装された界磁巻線からなる回転子と、固定子巻線が固定子鉄心に巻装され、上記回転子の外周側に該回転子を囲繞するように上記フレームに固着された固定子と、上記フレームの軸方向に設けられた吸気孔と、上記フレームの径方向側部に設けられた排気孔と、上記一対の磁極鉄心の軸方向の少なくとも一方端に固着され、上記回転子の回転に連動して回転駆動されて外気を上記吸気孔から吸引し、ついで遠心方向に曲げて上記排気孔から排気させるファンとを備えた交流発電機において、上記ファンは、主面と反対側の面を上記磁極鉄心に向けて該磁極鉄心の端面に固着された基部と、上記基部の外周縁部側に該主面から起立するように周方向に配列された複数のブレードと、主面が上記基部の主面に対向するように上記複数のブレードの軸方向端部に固着されて、上記基部との間に通風路を構成するリング状の側板とを備え、上記磁極鉄心が傾斜する肩部を有し、上記基部の外径側が、上記磁極鉄心の傾斜する肩部に沿った形状に形成されて、上記通風路の外径側における上記側板の主面と上記基部の主面との間隙が漸次大きくなるように形成され、上記通風路はその外径側が内径側に対して大きく構成されているものである。
【0014】
また、開口が上記側板の主面に対向し、かつ、上記磁極鉄心の傾斜する肩部に対向する上記基部の部位に穿設されているものである。
【0015】
また、開口が上記側板の主面に対向し、かつ、上記磁極鉄心の隣接する上記爪状磁極間に対向する上記基部の部位に穿設されているものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施例1に係る車両用交流発電機に適用されるファンを示す一部破断上面図、図2は図1のII−II矢視断面図である。
図1および図2において、ファン30は、例えば圧延鋼板などの金属板にプレス加工を施して成形されたリング状の基部31と、基部31の外周部を切り起こして形成された複数のブレード32と、基部31と同等の外径を有し、基部31と相対するようにブレード32に固着されたリング状の側板33とから構成されている。
そして、凸状の段32aがブレード32の外径側の軸方向端面に設けられている。また、凹状の段33bが側板33の主面33aの外径側に環状に設けられている。そして、側板33が段33bを段32aに係合させてブレード32の軸方向端面に載置され、溶接などにより固着されている。
このファン30では、図2に示されるように、基部31の主面31aと側板33の主面33aとが平行に、かつ、相対して通風路35を構成し、ブレード32に沿った通風路35の外径側の主面31a、33a間の隙間Aが内径側の主面31a、33a間の隙間Bより大きくなっている。
このように構成されたファン30は、界磁鉄心20、21の軸方向両端に溶接などにより固着され、図8に示される交流発電機に搭載される。
【0017】
この実施の形態1では、リヤ側においては、ファン30の回転により、外気が整流器12のヒートシンク19およびレギュレータ18のヒートシンク17にそれぞれ対向して設けられた吸気孔2aを通じて吸い込まれて整流器12およびレギュレータ18を冷却し、その後ブレード32に沿って基部31と側板33とで構成される通風路35内を内径側から外径側に通って固定子巻線16のリヤ側のコイルエンドを冷却して、排気孔2bより外部に排出される。
一方、フロント側においては、ファン30の回転により、外気が吸気孔1aから軸方向に吸い込まれ、その後ブレード32に沿って基部31と側板33とで構成される通風路35を内径側から外径側に通って固定子巻線16のフロント側のコイルエンドを冷却して、排気孔1bより外部に排出される。
【0018】
この実施の形態1によれば、基部31と側板33とにより通風路35を構成しているので、冷却風がファン30と軸方向に対向する内蔵物の凹凸を有する表面に沿って流れることに起因する干渉音が低減され、風騒音の小さな車両用交流発電機が得られる。
また、基部31と側板33との主面31a、33a間の隙間が外径側で大きくなるように形成されているので、ブレード32に沿って通風路35内を流れる冷却風の通風抵抗は通風路35の吐出側(外径側)で小さくなり、側板33を設けることに起因する通風抵抗の増大を抑えることができるとともに、通風路35内を内径側から外径側に流れる冷却風がブレード32に沿って通風路35内をスムーズに流れるようになる。これにより、冷却風の全体風量の低下が抑えられ、冷却効率を向上させることができるとともに、風騒音が低減され、固定子巻線のコイルエンドや排気リブなどの存在によるファン30の下流側での大きな圧力損失に起因するファンの冷却性悪化を抑えることができる。
また、凸状の段32aがブレード32の外径側の軸方向端面に設けられ、凹状の段33bが側板33の主面33aの外径側に環状に設けられているので、段32a、33b同士を係合させることにより側板33の位置決めが行われ、ファン30の組立性を向上させることができる。
【0019】
実施の形態2.
この実施の形態2によるファン30Aでは、図3に示されるように、基部31Aの板厚が外径側に向かって漸次薄くなり、ブレード32Aの軸方向高さが外径側に向かって漸次高くなり、側板33Aの板厚が外径側に向かって漸次薄くなるように、それぞれアール形状に形成されている。そして、側板33Aの主面33aのアール形状がブレード32Aの軸方向端面の外周側のアール形状と一致するようになっている。さらに、ブレード32Aに沿った通風路35Aの外径側の主面31a、33a間の隙間Aが内径側の主面31a、33a間の隙間Bより大きくなっている。
【0020】
ここで、基部31Aおよび側板33Aの薄肉形状部は、金属板をプレス加工する際にアール形状に成形することで容易に形成できる。また、軸方向高さが漸次高くなるブレード32Aの軸方向端面形状は切り起こし形状を変えることで容易に形成できる。
【0021】
このように構成されたファン30Aにおいても、基部31Aの主面31aと側板33Aの主面33aとが相対して通風路35Aを構成し、ブレード32Aに沿った通風路35Aの外径側の主面31a、33a間の隙間Aが内径側の主面31a、33a間の隙間Bより大きくなっているので、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、この実施の形態2では、通風路35Aの外径側の主面31a、33aがアール形状に形成されているので、冷却風がブレード32Aに沿って通風路35A内をよりスムーズに流れるようになり、冷却効率が向上される。
また、通風路35Aの外径側の主面31a、33aがアール形状に形成されているので、通風路35Aの通風抵抗が径方向に関してなだらかに小さくなり、風騒音が低減される。
【0022】
なお、上記実施の形態2では、基部31Aおよび側板33Aの主面31a、33aを薄肉形状に形成するものとしているが、ブレード32Aに沿った通風路35Aの外径側の主面31a、33a間の隙間Aが内径側の主面31a、33a間の隙間Bより大きくなっていれば、主面31a、33aの一方を薄肉形状に形成してもよい。
また、上記実施の形態2では、通風路35Aの外径側の主面31a、33aをアール形状に形成するものとしているが、通風路35Aの主面31a、33a間の隙間が外径側にむかって漸次増大するようになっていれば、通風路35Aの外径側の主面31a、33aをテーパー形状に形成してもよい。
【0023】
実施の形態3.
この実施の形態3によるファン30Bでは、図4に示されるように、基部31Bの外径側が爪状磁極20b、21bのアール形状の肩部22に近づくようなアール形状に曲げられており、側板33Bの外径側の主面33aが基部31Bのアール形状の曲率半径より大きな曲率半径を有するアール形状に形成されている。そして、ブレード32Bに沿った通風路35Bの外径側の主面31a、33a間の隙間Aが内径側の主面31a、33a間の隙間Bより大きくなっている。
【0024】
このように構成されたファン30Bにおいても、基部31Bの主面31aと側板33Bの主面33aとが相対して通風路35Bを構成し、ブレード32Bに沿った通風路35Bの外径側の主面31a、33a間の隙間Aが内径側の主面31a、33a間の隙間Bより大きくなっており、通風路35Bの外径側の主面31a、33aがアール形状に形成されているので、上記実施の形態2と同様の効果が得られる。
また、この実施の形態3では、基部31Bの外径側が爪状磁極20b、21bの肩部22に近づくようなアール形状に曲げられているので、冷却風は通風路35Bの外径側から回転子7に対して離反する方向に吹き出される。これにより、冷却風は軸方向に広がって通風路35Bから吹き出されて、ファン30Bに対して径方向に直接対向していない部品に当たって当該部品を冷却するので、冷却範囲を拡大することができる。
【0025】
なお、上記実施の形態3では、基部31Bの外径側が爪状磁極20b、21bのアール形状の肩部22に近づくようなアール形状に曲げられているものとしているが、肩部がテーパー形状に形成されている場合にも適用でき、その場合には基部31Bの外周側を肩部に近づくようなアール形状あるいはテーパー形状に形成すればよい。
【0026】
実施の形態4.
この実施の形態4によるファン30Cでは、図5に示されるように、例えば圧延鋼板などの金属板にプレス加工を施して成形されたリング状の基部31Cと、基部31Cの外周部を切り起こして形成された複数のブレード32Cと、基部31Cの外径と同等の内径を有し、基部31Cと相対するようにブレード32Cに固着されたリング状の側板33Cとから構成されている。このファン30Cでは、図6に示されるように、基部31Cの主面31aと側板33Cの主面33aとが平行に、かつ、相対して通風路35Cを構成している。そして、側板33Cの主面33aに対向する基部31Cの主面31aの部位が各ブレード32Cのそれぞれに対して周方向に一様に開口している。そこで、ブレード32Cに沿った通風路35Cの外径側が内径側に対して大きくなっている。
【0027】
このように構成されたファン30Cにおいても、基部31Cの主面31aと側板33Cの主面33aとが相対して通風路35Cを構成し、ブレード32Cに沿った通風路35Cの外径側が内径側に対して大きく形成されているので、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、この実施の形態4では、側板33Cに対向する基部31Cの外径側が各ブレード32Cに対して周方向に一様に開口している。これにより、通風路35Cの外周側の通風抵抗が周方向に関して略均等となるので、冷却効率が向上される。さらに、冷却風は通風路35Cの外径側から軸方向に広がって吹き出されるので、ファン30Cに対して径方向に直接対向していない部品に当たって当該部品を冷却するので、冷却範囲を拡大することができる。
【0028】
実施の形態5.
この実施の形態5によるファン30Dは、図7に示されるように、例えば圧延鋼板などの金属板にプレス加工を施して成形されたリング状の基部31Dと、基部31Dの外周部を切り起こして形成された複数のブレード32Dと、基部31Dと同等の外径を有し、基部31Dと相対するようにブレード32Dに固着されたリング状の側板33Dとから構成されている。そして、このファン30Dでは、基部31Dの主面31aと側板33Dの主面とが平行に、かつ、相対して通風路を構成している。そして、側板33Dの主面と対向し、かつ、ブレード32Dに近接する基部31Dの主面31aの部位に開口36が穿設されている。そこで、ブレード32Dに沿った通風路の外径側が開口36を設けることにより内径側に対して大きくなっている。
このように構成されたファン30Dが磁極鉄心20(21)の軸方向端面に固着された際に、図7に示されるように、開口36の一部が爪状磁極20b(21b)の肩部22に対向して配置されているとともに、開口36の残りが隣接する爪状磁極20b(21b)間に対向して配置されている。
【0029】
この実施の形態5によれば、開口36が爪状磁極20b(21b)のアール形状の肩部22に対向する基部31Dの部位に穿設され、基部31Dの主面31aと側板33Dの主面とが相対して通風路を構成しているので、ブレード32Dに沿って通風路内を流れる冷却風の一部が開口36から肩部22と基部31Dとの間を通って外周側に流れ、冷却風の残りが通風路の外径側から外周側に流れる。従って、開口36を肩部22に対向するように基部31Dに設けることは、ブレード32Dに沿った通風路の外径側が内径側に対して大きく形成されていると同等の構造となり、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、このファン30Dは従来のファン5に対して開口36を肩部22に対向するように基部31Dに設けることで作製できるので、高コスト化を抑えることができる。
さらに、開口36の下流側に障害がないので、開口36から流れ出る冷却風は広がって流れ、冷却が促進される。
【0030】
さらに、開口36が側板33Dに対向し、かつ、隣接する爪状磁極20b(21b)間に位置する基部31Dの部位に穿設されているので、ブレード32Dに沿って通風路内を流れる冷却風の一部が開口36から爪状磁極20b(21b)間を通って磁極鉄心20(21)内に流れ、冷却風の残りが通風路の外径側から外周側に流れる。従って、冷却風の排出がスムーズとなり、ファンの冷却性を高めることができるとともに、界磁コイル13の温度上昇が抑えられ、出力が向上される。
【0031】
なお、上記実施の形態5では、開口36が肩部22および隣り合う爪状磁極20b(21b)間に位置するように設けられているものとしているが、基部の形状を変更し、開口36を肩部22のみに対向するように設けるようにしてもよく、開口36を隣り合う爪状磁極間に位置するように設けるようにしてもよい。また、開口36は必ずしも全ての肩部に対向して、あるいは、全ての爪状磁極間に設ける必要はない。
【0032】
なお、上記各実施の形態では、圧延鋼板などの金属板をプレス形成して基部を作製し、ブレードを基部から切り起こして形成するものとして説明しているが、基部およびブレードをガラス繊維入りポリアミド樹脂等の樹脂を用いて一体成型するようにしてもよい。この場合、成形性が高められるので、形状自由度(設計自由度)が増大するとともに、製造性が向上される。
また、上記各実施の形態では、車両用交流発電機に適用するものとして説明しているが、本発明は、他の交流発電機に適用しても、同様の効果を奏する。
【0033】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されているような効果を奏する。
【0034】
この発明によれば、シャフトを回転自在に支承するフレームと、それぞれ爪状磁極が円盤状のボス部の外周部に周方向に所定ピッチで複数設けられ、爪状磁極を噛み合わせるようにボス部同士を突き合わせて上記シャフトに嵌着一体化されて上記フレーム内に配設された一対の磁極鉄心および上記一対の磁極鉄心の上記ボス部に巻装された界磁巻線からなる回転子と、固定子巻線が固定子鉄心に巻装され、上記回転子の外周側に該回転子を囲繞するように上記フレームに固着された固定子と、上記フレームの軸方向に設けられた吸気孔と、上記フレームの径方向側部に設けられた排気孔と、上記一対の磁極鉄心の軸方向の少なくとも一方端に固着され、上記回転子の回転に連動して回転駆動されて外気を上記吸気孔から吸引し、ついで遠心方向に曲げて上記排気孔から排気させるファンとを備えた交流発電機において、上記ファンは、主面と反対側の面を上記磁極鉄心に向けて該磁極鉄心の端面に固着された基部と、上記基部の外周縁部側に該主面から起立するように周方向に配列された複数のブレードと、主面が上記基部の主面に対向するように上記複数のブレードの軸方向端部に固着されて、上記基部との間に通風路を構成するリング状の側板とを備え、上記磁極鉄心が傾斜する肩部を有し、上記基部の外径側が、上記磁極鉄心の傾斜する肩部に沿った形状に形成されて、上記通風路の外径側における上記側板の主面と上記基部の主面との間隙が漸次大きくなるように形成され、上記通風路はその外径側が内径側に対して大きく構成されているので、側板を配置することに起因するファンの冷却効率の低下が抑えられ、風騒音が小さく、かつ、冷却性に優れた交流発電機が得られる。
【0038】
また、開口が上記側板の主面に対向し、かつ、上記磁極鉄心の傾斜する肩部に対向する上記基部の部位に穿設されているので、開口の下流側に障害物がなく、開口を通って流れ出る冷却風が広がって流れ、冷却が促進される。
【0039】
また、開口が上記側板の主面に対向し、かつ、上記磁極鉄心の隣接する上記爪状磁極間に対向する上記基部の部位に穿設されているので、開口の下流側に障害物がなく、開口を通って流れ出る冷却風が広がって流れ、冷却が促進されるとともに、界磁巻線の温度上昇を抑えられ、出力が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用されるファンを示す一部破断上面図である。
【図2】 図1のII−II矢視断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機に適用されるファンを示す要部断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機に適用されるファンを示す要部断面図である。
【図5】 この発明の実施の形態4に係る車両用交流発電機に適用されるファンを示す一部破断上面図である。
【図6】 図5のVI−VI矢視断面図である。
【図7】 この発明の実施の形態5に係る車両用交流発電機に適用されるファンを示す一部破断上面図である。
【図8】 従来の車両用交流発電機を示す縦断面図である。
【図9】 従来の車両用交流発電機に適用される回転子を示す斜視図である。
【図10】 従来の車両用交流発電機に適用されるファンを示す一部破断上面図である。
【図11】 図10のXI−XI矢視断面図である。
【符号の説明】
1a、2a 吸気孔、1b、2b 排気孔、3 フレーム、6 シャフト、7回転子、8 固定子、13 界磁巻線、15 固定子鉄心、16 固定子巻線、20、21 磁極鉄心、20a、21a ボス部、20b、21b 爪状磁極、22 肩部、30、30A、30B、30C、30D ファン、31、31A、31B、31C、31D 基部、31a 主面、32、32A、32B、32C、32D ブレード、33、33A、33B、33C、33D 側板、33a主面、33b 段、35、35A、35B、35C 通風路、36 開口。

Claims (3)

  1. シャフトを回転自在に支承するフレームと、
    それぞれ爪状磁極が円盤状のボス部の外周部に周方向に所定ピッチで複数設けられ、爪状磁極を噛み合わせるようにボス部同士を突き合わせて上記シャフトに嵌着一体化されて上記フレーム内に配設された一対の磁極鉄心および上記一対の磁極鉄心の上記ボス部に巻装された界磁巻線からなる回転子と、
    固定子巻線が固定子鉄心に巻装され、上記回転子の外周側に該回転子を囲繞するように上記フレームに固着された固定子と、
    上記フレームの軸方向に設けられた吸気孔と、
    上記フレームの径方向側部に設けられた排気孔と、
    上記一対の磁極鉄心の軸方向の少なくとも一方端に固着され、上記回転子の回転に連動して回転駆動されて外気を上記吸気孔から吸引し、ついで遠心方向に曲げて上記排気孔から排気させるファンとを備えた交流発電機において、
    上記ファンは、主面と反対側の面を上記磁極鉄心に向けて該磁極鉄心の端面に固着された基部と、上記基部の外周縁部側に該主面から起立するように周方向に配列された複数のブレードと、主面が上記基部の主面に対向するように上記複数のブレードの軸方向端部に固着されて、上記基部との間に通風路を構成するリング状の側板とを備え、
    上記磁極鉄心が傾斜する肩部を有し、
    上記基部の外径側が、上記磁極鉄心の傾斜する肩部に沿った形状に形成されて、上記通風路の外径側における上記側板の主面と上記基部の主面との間隙が漸次大きくなるように形成され、
    上記通風路はその外径側が内径側に対して大きく構成されていることを特徴とする交流発電機。
  2. 開口が上記側板の主面に対向し、かつ、上記磁極鉄心の傾斜する肩部に対向する上記基部の部位に穿設されていることを特徴とする請求項1記載の交流発電機。
  3. 開口が上記側板の主面に対向し、かつ、上記磁極鉄心の隣接する上記爪状磁極間に対向する上記基部の部位に穿設されていることを特徴とする請求項1記載の交流発電機。
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