JP3871816B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両のエンジンに取り付けられるランドル型の回転子を有する車両用交流発電機に関し、特に冷却性能を向上させる車両用交流発電機の遠心ファン構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13は従来の車両用交流発電機の構成を示す断面図、図14は図13に示される車両用交流発電機の遠心ファンを示す斜視図である。
従来の車両用交流発電機は、ランドル型の回転子7がアルミニウム製のフロントブラケット1およびリアブラケット2から構成されたケース3内にシャフト6を介して回転自在に装着され、固定子8が回転子7の外周側を覆うようにケース3の内壁面に固着されて構成されている。
シャフト6は、フロントブラケット1およびリアブラケット2に回転可能に支持されている。このシャフト6の一端にはプーリ4が固着され、エンジンの回転トルクをベルト(図示せず)を介してシャフト6に伝達できるようになっている。回転子7に電流を供給するスリップリング9がシャフト6の他端部に固着され、一対のブラシ10がこのスリップリング9に摺接するようにケース3内に配設されたブラシホルダ11に収納されている。固定子8で生じた交流電圧の大きさを調整するレギュレータ17がブラシホルダ11に嵌着されたヒートシク16に接着されている。固定子8に電気的に接続され、固定子8で生じた交流を直流に整流する整流器12がケース3内に装着されている。
【0003】
回転子7は、電流を流して磁束を発生する回転子コイル13と、この回転子コイル13を覆うように設けられ、回転子コイル13で発生された磁束によって磁極が形成される一対のポールコア18、19とから構成される。一対のポールコア18、19は、鉄製で、それぞれ台形状の爪状磁極20、21が外周縁に周方向に等角ピッチで複数突設され、爪状磁極20、21をかみ合わせるように対向してシャフト6に固着されている。そして、隣り合う爪状磁極20、21は、爪間で磁束が漏れないように、また回転子コイル13を冷却するための冷却風通路を構成するように、ある一定の磁極間隙間22が設けられている。
固定子8は、固定子コア15と、この固定子コア15に導線を巻回してなり、回転子7の回転に伴い、回転子7からの磁束の変化で交流が生じる固定子コイル16とから構成されている。
【0004】
遠心ファン5は、ポリアミド製のファンブレード5aが鉄製のファンプレート5bの外周部に周方向に複数取り付けられてなり、回転子7の軸方向の両端に固着されている。このファンブレード5aは、滑らかなR状の外面形状に形成されている。
【0005】
このように構成された従来の車両用交流発電機では、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ10およびスリップリング9を介して回転子コイル13に供給され、磁束が発生される。この磁束により、一方のポールコア18の爪状磁極20がN極に着磁され、他方のポールコア19の爪状磁極21がS極に着磁される。一方、エンジンの回転トルクがベルトおよびプーリ4を介してシャフト6に伝達され、回転子7が回転される。そこで、固定子コイル16に回転磁界が与えられ、固定子コイル16に起電力が発生する。この交流の起電力が整流器12を通って直流に整流されるとともに、その大きさがレギュレータ17により調整され、バッテリに充電される。
【0006】
ここで、遠心ファン5が回転子7の回転とともに回転し、図13中矢印で示されるように、冷却風がフロントブラケット1およびリアブラケット2の吸入口1a、2aから流入し、排出口1b、2bから排出される。つまり、この冷却風は、シャフト6の方向から流入し、径方向外方に排出される。そこで、冷却風が固定子コイル16に衝突し、発電中常に発熱している固定子8の温度上昇が抑えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成された従来の車両用交流発電機では、遠心ファン5のファンブレード5aが滑らかなR状の外面形状に形成されているので、ファンブレード5aの吸い込み側端部から吸い込まれた冷却風はファンブレード5aの滑らかな外面に沿って流れ、吹き出し側端部から径方向外方に吹き出される。そこで、ファンブレード5aの吹き出し側端部から吹き出された冷却風は、固定子コイル16に衝突、冷却するが、ここの冷却風の乱れが充分でないため、優れた冷却性能が得られないという課題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、遠心ファンのファンブレードにより冷却風の乱れを促進し、遠心ファンの冷却性能を向上させ、固定子の温度上昇を抑制できる車両用交流発電機を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る車両用交流発電機は、ケースに回転自在に支承されたシャフトと、外周縁部に突設された複数の台形状の爪状磁極を有する一対のポールコアが該爪状磁極を互いに噛み合うように対向して上記シャフトに固着されて上記ケース内に配置された回転子と、上記回転子の外周に位置するように上記ケース内に配置された固定子コアおよび固定子コイルを有する固定子と、上記回転子の軸心方向の両端に固着された遠心ファンとを備えた車両用交流発電機において、上記遠心ファンは、上記回転子の軸心方向の両端に沿って配設されるファンプレートと、このファンプレートの外周縁部に周方向に複数配設されたファンブレードとを有し、冷却風乱流促進手段が該ファンブレードの正圧面に設けられているものである。
【0010】
また、上記冷却風乱流促進手段が、上記ファンブレードの正圧面の外径側に設けられているものである。
【0011】
また、上記冷却風乱流促進手段は、突起が上記ファンブレードの正圧面に島状に複数設けられて構成されているものである。
【0012】
また、上記冷却風乱流促進手段は、突起が上記ファンブレードの正圧面に該正圧面の軸心方向の一端から他端に至るように延設されて構成されているものである。
【0013】
また、上記ファンブレードが軸心と平行な軸周りに回動可能に上記ファンプレートに取り付けられ、上記回転子の高速回転時にファンブレードの径方向角度が大きくなるように取り付けられているものである。
【0014】
また、上記ファンブレードがプレス成形により上記ファンプレートの外周縁部を曲げ起こして形成され、上記冷却風乱流促進手段が該ファンブレードの正圧面に該正圧面の軸心方向の一端から他端に至るように凹設された凹溝で構成されているものである。
【0015】
また、リング状のプレートが、上記ファンプレートの外周縁部に周方向に設けられた上記ファンブレードの該ファンプレートと逆側の端面を覆うように配設されているものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンを示す斜視図、図2および図3はそれぞれ図1に示される遠心ファンのファンブレードを示す斜視図および平面図である。
各図において、ファンブレード41は、ポリイミド製であり、滑らかなR状の外面形状に形成され、冷却風乱流促進手段としての微小な半球状の突起43がその一方の外面の中央部に島状に複数個設けられている。そして、突起43が設けられた外面が回転方向の前面、即ち正圧面となるように、ファンブレード41を鉄製のファンプレート42の外周部に周方向に等ピッチで、もしくは不等ピッチで複数個取り付けられ、遠心ファン40が構成されている。
なお、この実施の形態1は、図14に示される従来の遠心ファン5に代えて遠心ファン40を用いている点を除いて、図13に示される車両用交流発電機と同様に構成されている。
【0017】
ここで、回転子7と一体に回転する遠心ファン40によって発生する冷却風の流れを図13を参照しつつ説明する。
フロント側の遠心ファン40の回転によってフロントブラケット1の吸入口1aからケース3内に流入した冷却風は、フロント側の遠心ファン40に到達し、遠心ファン40の作用によりファンプレート42に沿って径方向の外側に向きを変えられて、ファンブレード41の吸い込み側端部に侵入する。そして、ファンブレード41の正圧面に沿って流れる冷却風が、突起43によりファンブレード41の正圧面の界面から強制的に剥離される。その結果、冷却風の乱れは促進されてファンブレード41の吹き出し側端部から径方向の外側に吹き出される。この乱流促進された冷却風が、固定子コイル16に衝突し、固定子コイル16を冷却した後、排出口1bから排出される。
なお、フロント側の冷却風の一部は、シャフト6の軸方向に直進し、フロント側のポールコア19の隣り合う爪状磁極21間を通って磁極間隙間22に侵入する。磁極間隙間22に侵入した冷却風は、回転子コイル13および回転子コイル13の熱が伝わるポールコア18、19を冷却した後、リヤ側から吸い込まれる冷却風と合流する。
【0018】
一方、リヤ側の遠心ファン40の回転によってリヤブラケット2の吸入口2aからケース3内に流入した冷却風は、レギュレータ17、整流器12、ブラシ10、スリップリング9等の発熱部品を冷却する。その後、冷却風は、リヤ側の遠心ファン40に到達し、遠心ファン40の作用によりファンプレート42に沿って径方向の外側に向きを変えられて、ファンブレード41の吸い込み側端部に侵入する。そして、ファンブレード41の正圧面に沿って流れる冷却風が、突起43によりファンブレード41の正圧面の界面から強制的に剥離される。その結果、冷却風の乱れは促進されてファンブレード41の吹き出し側端部から径方向の外側に吹き出される。この乱流促進された冷却風が、固定子コイル16に衝突し、固定子コイル16を冷却した後、排出口2bから排出される。
なお、リヤ側の冷却風の一部は、シャフト6の軸方向に直進し、リヤ側のポールコア18の隣り合う爪状磁極20間を通って磁極間隙間22に侵入する。磁極間隙間22に侵入した冷却風は、回転子コイル13および回転子コイル13の熱が伝わるポールコア18、19を冷却した後、フロント側から吸い込まれる冷却風と合流する。
【0019】
この実施の形態1によれば、複数個の突起43がファンブレード41の正圧面の中央部に設けられているので、ファンブレード41を通過する冷却風に乱れを生じさせることができる。そこで、固定子コイル16に衝突する冷却風が乱流促進され、固定子コイル16の冷却性を向上でき、固定子8の温度上昇を抑えることができる。
なお、上記実施の形態1では、ファンブレード41の正圧面に突起43を島状に多数設けて冷却風乱流促進手段を構成するものとしているが、ファンブレード41の正圧面に微小な穴(凹部)を多数設け、あるいはファンブレード41の正圧面に微小な凹凸を多数設けて冷却風乱流促進手段を構成するものとしても、同様の効果が得られる。
【0020】
実施の形態2.
この実施の形態2では、図4および図5に示されるように、突起43がファンブレード41aの正圧面の外径側に島状に複数個設けられている。
この実施の形態2によれば、突起43が冷却風速度の速いファンブレード41aの正圧面の外径側に設けられているので、上記実施の形態1に比べて、ファンブレード41aを通過する冷却風に生じる乱れを助長させることができる。そこで、固定子8の冷却性を更に向上させることができる。
【0021】
実施の形態3.
この実施の形態3では、図6および図7に示されるように、冷却風乱流促進手段としての断面半円状の突起44がファンブレード41bの一方の外面(正圧面)の外径側に、シャフト6の軸方向の一端側から他端側に至るように、シャフト6の軸方向と平行に延設されている。
この実施の形態3では、突起44がファンブレード41bの正圧面の外径側に、シャフト6の軸方向の一端側から他端側に至るように設けられているので、突起44はファンブレード41bの正圧面に沿って流れる冷却風の流れをシャフト6の軸方向の全域で遮るようになっている。
そこで、この実施の形態3によれば、上記実施の形態1、2に比べて、ファンブレード41bを通過する冷却風に乱れを確実に生じさせることができ、固定子8の冷却性を更に向上させることができる。
【0022】
実施の形態4.
この実施の形態4では、図8に示されるように、ファンブレード41bがファンプレート42の外周部に周方向に等ピッチで、もしくは不等ピッチで複数個取り付けられ、さらにリング状のプレート45がファンプレート42と相対して周方向に配列された複数個のファンブレード41bを挟み込むように取り付けられて、遠心ファン40aが構成されている。
【0023】
この実施の形態4では、ファンブレード41bの吸い込み側端部から侵入した冷却風は、ファンブレード41bの正圧面に沿って流れ、突起44によりファンブレード41bの正圧面の界面から強制的に剥離、乱流促進され、ファンブレード41bの吹き出し側端部から径方向の外側に吹き出される。そして、ファンブレード41b、ファンプレート42およびプレート45により包囲された冷却風通路が形成されているので、ファンブレード41bの吸い込み側端部から侵入した冷却風は、径方向以外の方向に吹き出されることが抑制される。
従って、この実施の形態4によれば、ファンブレード41bの吸い込み側端部から侵入した冷却風がもれなくファンブレード41bの吹き出し側端部から径方向の外側に吹き出されるので、固定子コイル16の冷却に供せられ冷却風量が増大し、かつ、突起44による冷却風の乱流化が増大し、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0024】
実施の形態5.
図9はこの発明の実施の形態5に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンを示す一部破断平面図、図10は図9に示される遠心ファンの要部を示す一部破断拡大平面図、図11は図10のXI−XI矢視断面図である。
各図において、ファンブレード41cがファンプレート42の外周部に周方向に等ピッチで、もしくは不等ピッチで複数個取り付けられている。突起44がファンブレード41cの正圧面の外径側に、シャフト6の軸方向の一端側から他端側に至るように設けられている。また、リング状のプレート45がファンプレート42と相対して周方向に配列された複数個のファンブレード41bを挟み込むように取り付けられている。
このファンブレード41cは、ファンプレート42とプレート45との間にシャフト6の軸心方向と平行な軸46周りに回動可能に取り付けられている。さらに、ファンブレード41cは、弾性部材としてのコイルバネ47により軸46周りにシャフト6の回転方向に付勢されている。
【0025】
このように構成された遠心ファン40bでは、回転子7の回転に伴って軸46周りに回転子7の回転方向と逆向きの回転モーメントがファンブレード41cに作用する。そして、この回転モーメントがコイルバネ47の付勢力に抗してファンブレード41cを軸46周りに回転子7の回転方向と逆向きに回動させる。そこで、図9に示されるファンブレード41cの径方向角度θが回転子7の回転速度に応じて変動される。つまり、回転子7の回転速度が速くなるほど、ファンブレード41cの径方向角度θが大きくなる。
【0026】
回転子7の回転速度が遅い領域では、ファンブレード41cの径方向角度θが小さい。そこで、ファンブレード41cの吸い込み側端部から侵入した冷却風は、ファンブレード41cの正圧面に沿って流れ、突起44によりファンブレード41cの正圧面の界面から強制的に剥離、乱流促進され、ファンブレード41cの吹き出し側端部から径方向の外側に吹き出され、固定子コイル16の冷却に供せられる。
回転子7の回転速度が速くなると、ファンブレード41cの径方向角度θが徐々に大きくなる。そして、ファンブレード41cの径方向角度θが所定値を超えると、ファンブレード41cの吸い込み側端部から侵入した冷却風は、ファンブレード41cの正圧面に沿って流れ、正圧面の径方向半ばで正圧面の界面からの剥離、乱流促進され、ファンブレード41cの吹き出し側端部から径方向の外側に吹き出され、固定子コイル16の冷却に供せられる。この時には、突起44は冷却風の乱流促進に関与していない。
【0027】
上記各実施の形態では、回転子7の回転速度が速くなるほど突起43、44による冷却風の乱れが促進され、冷却性能が向上されるが、突起43、44が冷却風に乱流を生じさせる際に発生する風騒音を増大させてしまう。
しかしながら、この実施の形態5では、高速回転域において、ファンブレード41cの径方向角度θが大きくなり、突起44は冷却風の乱流促進に関与しなくなる。
従って、この実施の形態5によれば、風騒音を悪化させることなく、冷却性能を向上させることができる。
なお、上記実施の形態5では、弾性部材としてコイルバネ47を用いるものとしているが、弾性部材はコイルバネ47に限定されるものではなく、例えば板ばねを用いてもよい。
【0028】
実施の形態6.
図12はこの発明の実施の形態6に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンを示す斜視図である。
図12において、ファンブレード48は、プレス加工により鉄製のファンプレート49の外周縁部を等ピッチあるいは不等ピッチで複数箇所曲げ起こされて形成されている。そして、冷却風乱流促進手段としての凹溝50がファンブレード48の正圧面の外径側に、シャフト6の軸方向の一端側から他端側に至るように、シャフト6の軸方向と平行に凹設されている。さらに、リング状のプレート45がファンプレート49と相対して周方向に配列された複数個のファンブレード48を挟み込むように取り付けられている。
【0029】
このように構成された遠心ファン40cでは、ファンブレード48の吸い込み側端部から侵入した冷却風は、ファンブレード48の正圧面に沿って流れ、凹部50によりファンブレード48の正圧面の界面から強制的に剥離、乱流促進され、ファンブレード48の吹き出し側端部から径方向の外側に吹き出され、固定子コイル16の冷却に供せられる。また、ファンブレード48、ファンプレート49およびプレート45により包囲された冷却風通路が形成されているので、ファンブレード48の吸い込み側端部から侵入した冷却風は、径方向以外の方向に吹き出されることが抑制される。
そこで、この実施の形態6においても、上記実施の形態4と同様の効果が得られる。
【0030】
ここで、プレス加工によりファンプレートの外周縁部を曲げ起こしてファンブレードを形成する場合、ファンブレードの正圧面を押えて曲げ起こすことになるので、プレス加工前にファンブレードの正圧面に突起を形成することはできない。また、プレス加工後にファンブレードの正圧面に突起を形成することも甚だ困難である。
しかしながら、この実施の形態6では、ファンブレード48の正圧面に凹溝50を形成するようにしているので、例えば板材からファンプレート49を打ち抜く工程においてファンブレードの正圧面に相当する部位に凹溝50を刻設し、打ち抜かれたファンプレート49の外周縁部をプレス加工により曲げ起こしてファンブレード48を形成できる。この時、凹溝50を刻設する際に形成される突起はファンブレードの負圧面に相当する部位に形成されるので、プレス加工による曲げ起こしが問題なく行われる。
【0031】
このように、この実施の形態6によれば、ファンプレート49に一体に形成されたファンブレード48を板材からプレス加工により簡易に作製できるので、上記各実施の形態のように、ファンプレートとファンブレードとを別部品で構成する必要がなく、生産性が向上し、低コスト化が図られる。
【0032】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0033】
この発明によれば、ケースに回転自在に支承されたシャフトと、外周縁部に突設された複数の台形状の爪状磁極を有する一対のポールコアが該爪状磁極を互いに噛み合うように対向して上記シャフトに固着されて上記ケース内に配置された回転子と、上記回転子の外周に位置するように上記ケース内に配置された固定子コアおよび固定子コイルを有する固定子と、上記回転子の軸心方向の両端に固着された遠心ファンとを備えた車両用交流発電機において、上記遠心ファンは、上記回転子の軸心方向の両端に沿って配設されるファンプレートと、このファンプレートの外周縁部に周方向に複数配設されたファンブレードとを有し、冷却風乱流促進手段が該ファンブレードの正圧面に設けられているので、固定子の冷却に供せられる冷却風が乱流促進され、遠心ファンの冷却性能が向上され、固定子の温度上昇を抑制できる車両用交流発電機を得ることができる。
【0034】
また、上記冷却風乱流促進手段が、上記ファンブレードの正圧面の外径側に設けられているので、冷却風の乱流化が促進され、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0035】
また、上記冷却風乱流促進手段は、突起が上記ファンブレードの正圧面に島状に複数設けられて構成されているので、冷却風乱流促進手段を簡易に構成することができる。
【0036】
また、上記冷却風乱流促進手段は、突起が上記ファンブレードの正圧面に該正圧面の軸心方向の一端から他端に至るように延設されて構成されているので、正圧面の軸心方向の全域において冷却風の乱流促進が図られ、その分冷却性能を向上させることができる。
【0037】
また、上記ファンブレードが軸心と平行な軸周りに回動可能に上記ファンプレートに取り付けられ、上記回転子の高速回転時にファンブレードの径方向角度が大きくなるように取り付けられているので、ファンブレードが遠心ファンの高速回転域で軸周りに回動し、冷却風乱流促進手段が冷却風を乱流促進できないようにし、風騒音を悪化させることなく、固定子の温度上昇を抑えることができる。
【0038】
また、上記ファンブレードがプレス成形により上記ファンプレートの外周縁部を曲げ起こして形成され、上記冷却風乱流促進手段が該ファンブレードの正圧面に該正圧面の軸心方向の一端から他端に至るように凹設された凹溝で構成されているので、ファンプレートに一体に形成されたファンブレードを板材からプレス加工により簡易に作製でき、生産性が向上し、低コスト化が図られる。
【0039】
また、リング状のプレートが、上記ファンプレートの外周縁部に周方向に設けられた上記ファンブレードの該ファンプレートと逆側の端面を覆うように配設されているので、ファンブレードの吸い込み側端部から侵入した冷却風がもれなく吹き出し側端部から吹き出されるため、乱流促進が助長され、冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンを示す斜視図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンのファンブレードを示す斜視図である。
【図3】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンのファンブレードを示す平面図である。
【図4】 この発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンのファンブレードを示す斜視図である。
【図5】 この発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンのファンブレードを示す平面図である。
【図6】 この発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンのファンブレードを示す斜視図である。
【図7】 この発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンのファンブレードを示す平面図である。
【図8】 この発明の実施の形態4に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンを示す斜視図である。
【図9】 この発明の実施の形態5に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンを示す一部破断平面図である。
【図10】 この発明の実施の形態5に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンの要部を示す一部破断拡大平面図である。
【図11】 図10のXI−XI矢視断面図である。
【図12】 この発明の実施の形態6に係る車両用交流発電機に適用される遠心ファンを示す一部破断斜視図である。
【図13】 従来の車両用交流発電機を示す断面図である。
【図14】 従来の車両用交流発電機に適用される遠心ファンを示す斜視図である。
【符号の説明】
3 ケース、6 シャフト、7 回転子、8 固定子、15 固定子コア、16 固定子コイル、18、19 ポールコア、20、21 爪状磁極、40、40a、40b、40c 遠心ファン、41、41a、41b、41c、48 ファンブレード、42、49 ファンプレート、43、44 突起(冷却風乱流促進手段)、45 プレート、46 軸、47 コイルバネ(弾性部材)、50 凹溝(冷却風乱流促進手段)。

Claims (7)

  1. ケースに回転自在に支承されたシャフトと、外周縁部に突設された複数の台形状の爪状磁極を有する一対のポールコアが該爪状磁極を互いに噛み合うように対向して上記シャフトに固着されて上記ケース内に配置された回転子と、上記回転子の外周に位置するように上記ケース内に配置された固定子コアおよび固定子コイルを有する固定子と、上記回転子の軸心方向の両端に固着された遠心ファンとを備えた車両用交流発電機において、
    上記遠心ファンは、上記回転子の軸心方向の両端に沿って配設されるファンプレートと、このファンプレートの外周縁部に周方向に複数配設されたファンブレードとを有し、冷却風乱流促進手段が該ファンブレードの正圧面に設けられていることを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 上記冷却風乱流促進手段が、上記ファンブレードの正圧面の外径側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の車両用交流発電機。
  3. 上記冷却風乱流促進手段は、突起が上記ファンブレードの正圧面に島状に複数設けられて構成されていることを特徴とする請求項1また請求項2記載の車両用交流発電機。
  4. 上記冷却風乱流促進手段は、突起が上記ファンブレードの正圧面に該正圧面の軸心方向の一端から他端に至るように延設されて構成されていることを特徴とする請求項1また請求項2記載の車両用交流発電機。
  5. 上記ファンブレードが軸心と平行な軸周りに回動可能に上記ファンプレートに取り付けられ、上記回転子の高速回転時にファンブレードの径方向角度が大きくなるように取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両用交流発電機。
  6. 上記ファンブレードがプレス成形により上記ファンプレートの外周縁部を曲げ起こして形成され、上記冷却風乱流促進手段が該ファンブレードの正圧面に該正圧面の軸心方向の一端から他端に至るように凹設された凹溝で構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用交流発電機。
  7. リング状のプレートが、上記ファンプレートの外周縁部に周方向に設けられた上記ファンブレードの該ファンプレートと逆側の端面を覆うように配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の車両用交流発電機。
JP25148898A 1998-09-04 1998-09-04 車両用交流発電機 Expired - Fee Related JP3871816B2 (ja)

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