JP3953369B2 - 被覆発泡性熱可塑性樹脂粒子及び発泡成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆発泡性熱可塑性樹脂粒子及び発泡成形品に関する。特に、本発明の発泡成形品は、それに収納された即席麺、フライドチキン等の油性食品、脂肪含有食品のような油脂、コーヒー、果汁、清涼飲料、アイスボックスの氷水等が、発泡成形品を構成する発泡粒子の融着面を通して外側へ滲み出にくいという難滲出性を有している。
【0002】
【従来の技術】
発泡性熱可塑性樹脂粒子は、発泡剤として易揮発性の脂肪族炭化水素を樹脂粒子の水性懸濁液中で含浸せしめる方法、又は樹脂粒子に対して溶解性を有する溶剤を少量含有する水性懸濁液中で発泡剤を含浸せしめる方法等により製造される。
このようにして得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を予め予備発泡させて、この予備発泡粒子を小孔を有する成形機の金型内に充填し、加圧の水蒸気で軟化点以上に加熱して発泡成形品を得る。
【0003】
発泡成形品は、これを破断したとき各粒子の融着状態が良好、すなわち破断面における各粒子の表面が全く現れず、100%融着してあっても、それは面接着ではなく、微細な毛細管が外部に開口している。例えば、界面活性剤を含む染料水を成形品に入れると、染料水が粒子融着面を通過して外部に滲み出してくることで外部に開口する毛細管を確認することができる。
例えば、発泡性熱可塑性樹脂粒子の一種である発泡ポリスチレン粒子を用いて通常の成形法で得られたコップが正常な融着状態であっても、前述のように界面活性剤水溶液を入れると、それが各粒子の間隙を通過してコップの外側に滲み出してくるのが観察できる。つまり、これらのコップは、コーヒー、アイスボックスの氷水等や、油性食品類、例えばドーナツ、ハンバーガー、フライドチキン、マーガリン等のサラダ油、油脂等を含有する食品を長時間保存すると、徐々に内容物が器壁外に滲み出すため、商品価値が低下していた。
【0004】
発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いて、内容物の滲み出しを防止するには、成形時の加熱条件を高温にする、あるいは加熱時間を延ばす必要がある。このような処理により内容物の滲み出しは防止できるが、耐熱性が高くないため発泡粒子が溶融収縮し、商品になりうる外観美麗な成形品が得られがたい。また、成形サイクルが長くなることで、生産性が劣るという問題がある。
容器中の内容物が容器外壁に滲み出すことを防止するために、発泡性樹脂粒子の表面を滲み出しを防止する添加剤で被覆する方法が提案されている。例えば、特開平5−140364号公報及び特開平10−298339号公報では、含フッ素ビニル系重合体で表面被覆する方法、特公昭56−34172号公報では、ショ糖エステルで表面被覆する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案は、滲み出しを防止する点で有効な手段ではあるが十分とはいえない。また、含フッ素ビニル系重合体で表面被覆する方法では、発泡粒子の静電気による成形時の充填不良や離型不良を起こしやすいといった問題がある。更に、ショ糖エステルで表面被覆する方法では、発泡粒子がべとつくため、流動性が悪く、送粒に時間がかかるという問題、送粒管内に発泡粒子が付着して、それが後に汚れた発泡粒子として成形品に混入するという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面の少なくとも1部を複分解法で得られたラウリン酸亜鉛の粒子で被覆した被覆粒子であり、ラウリン酸亜鉛の粒子が発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して0.03〜0.5重量部使用され、発泡性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径D50をラウリン酸亜鉛の粒子の平均最大粒径d(個々の粒子画像を撮像し、その画像における個々の粒子の粒径の最大値の平均値)で除した値D50/dが、5〜500の範囲であることを特徴とする被覆発泡性熱可塑性樹脂粒子が提供される。
更に本発明によれば、上記発泡性熱可塑性樹脂粒子を発泡成形して得られる発泡成形品が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
一般に、予備発泡時のブロッキング防止剤として脂肪酸金属塩が知られており、更に脂肪酸金属塩が撥水性及び撥油性を有することも知られている。しかし、いまだ十分満足しうる撥水性及び撥油性を備えた脂肪族金属塩は見い出されていない。これに対して、本発明の発明者は、脂肪酸金属塩のもつ撥水性及び撥油性をいかに効率よく発現させるかについて鋭意検討した結果、発泡性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径に対して特定の平均最大粒径を有するラウリン酸亜鉛の粒子を特定量使用することで、極めて良好な滲み出し防止効果(難滲出性)、特に改善された撥水性が得られることを意外にも見出し本発明に至った。
以下、本発明を説明する。
【0008】
本発明に使用される発泡性熱可塑性樹脂粒子は、少なくとも基材樹脂とそれに含浸させた発泡剤とからなる。基材樹脂としては、無機又は有機の発泡剤により発泡可能な樹脂であれば特に限定されない。例えば、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、AS樹脂等のスチレン系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系単独重合体及び共重合体樹脂、ポリフェニレンエーテル等の重合体、これら重合体の混合物(例えば、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンとの混合樹脂)、ポリオレフィンの一部にビニル単量体がグラフト共重合している複合樹脂等が挙げられる。なお、(メタ)アクリルとは、メタクリル又はアクリルを意味する。
【0009】
上記基材樹脂中でも、発泡成形品の使用時の内容物の滲み出し防止を目的として、スチレン系樹脂を使用することが特に好ましい。具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系単量体の単独重合粒子又はこれら単量体を2種以上組み合わせた共重合体粒子、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、セチルメタクリレート等のアクリル酸及びメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレート、アルキレングリコールジメタクリレート等のスチレン系単量体以外の単量体との共重合体粒子が挙げられる。更に、スチレン系樹脂とそれ以外の樹脂とを押出しブレンドして得られた樹脂粒子であってもよい。スチレン系樹脂以外の樹脂としては、ポリフェニルエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ゴム成分等が挙げられる。
【0010】
発泡剤としては、特に限定されず、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン等の易揮発性の脂肪族炭化水素や、フレオン11、フレオン12等のフレオン化合物、二酸化炭素、窒素、水蒸気等の無機化合物等の常温で液体又は気体である発泡剤が挙げられる。これ以外にも、加熱により分解して気体を発生する分解性の発泡剤を使用することもできる。これら発泡剤は、1種又は複数種組み合わせて使用することができる。
発泡性熱可塑性樹脂粒子には、紫外線吸収剤、増量剤、着色剤等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0011】
本発明で使用される発泡性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径D50は、0.2〜1.5mmであることが好ましい。平均粒径D50が、1.5mmより大きい場合は、容器等の金型細部における充填が不十分となり、商品価値の低下及び漏れ防止の低下を招くので好ましくなく、0.2mmより小さい場合は、容器等の成形品の強度が劣るので実用上使用が難しく、更には、発泡機、成形機の蒸気孔が目詰まりするので好ましくない。より好ましい平均粒径D50は、0.3〜1.0mmである。
【0012】
ここで、平均粒径D50は、次のように測定した値である。平均粒径D50は、JIS標準ふるい目開き2.36mm、目開き2.00mm、目開き1.70mm、目開き1.40mm、目開き1.18mm、目開き1.00mm、目開き0.85mm、目開き、0.71mm、目開き0.60mm、目開き0.50mm、目開き0.425mm、目開き0.355mm、目開き0.300mm、目開き0.250mm、目開き0.212mm、目開き0.180mmで分級し、分級結果を基に累積重量分布曲線を作成し、その曲線を基にして算出された累積重量が50%となる粒径(メディアン径)である。
【0013】
発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造できる。例えば、発泡剤として易揮発性の脂肪族炭化水素を水性懸濁液中に含浸せしめる方法、又は樹脂粒子に対して溶解性を有する溶剤を少量含有する水性懸濁液中に発泡剤と共に含浸せしめる方法等が挙げられる。発泡剤の含有量は、熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して、2〜10重量部であることが好ましい。
【0014】
本発明において使用されるラウリン酸亜鉛の粒子の形状は、特に限定されず、球状、鱗片状、棒状、不定形状等のいずれでもよい。また、ラウリン酸亜鉛の粒子は、発泡性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径D50に対して、平均最大粒径dが、5≦D50/d≦500を満たす関係を有している。ここで、D50/dが、5より小さいと発泡性熱可塑性樹脂粒子の大きさに対してラウリン酸亜鉛の粒子が比較的大きくなり、発泡性熱可塑性樹脂粒子を均一に表面被覆出来ず、内容物の漏れ防止効果が発揮しにくい。一方、500より大きいと、混合力の弱い混合機で表面被覆するときにラウリン酸亜鉛の粒子同士が凝集し発泡性熱可塑性樹脂粒子を均一に表面被覆出来ず、内容物の漏れ防止効果が発揮しにくい。より好ましい、D50/dは、10〜400の範囲である。また、平均最大粒径dは、0.1〜25μmの範囲が好ましい。
【0015】
なお、平均最大粒径dは、個々の粒子画像を撮像し、その画像における個々の粒子の粒径の最大値の平均値であり、次のように測定した値である。すなわち、平均最大粒径dの測定は、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて行なう。マルチイメージアナライザーは、粒子がアパチャーチューブを介してアパチャーを通過するとき、アパチャーチューブ後方のストロボにより光線を照射し、個々の粒子の投影画像をCCDカメラにより撮影する装置である。本発明におけるマルチイメージアナライザーによる粒子の平均最大粒径dの測定には、アパチャーの直径が100μmのアパチャーチューブを使用し、CCDカメラの計測倍率が40倍のレンズを使用する。また、画像処理における1画素の大きさは0.219μm、撮影範囲となるフレームサイズの設定値は314、二値化レベルの設定値は200、ノイズカットの設定値は0.5とする。撮影された1000個の粒子画像から、個々の粒径の最大値を測定し、その測定結果を平均することで平均最大粒径を算出する。なお、この測定には、電解液として、アイソトンII−PC(ベックマン・コールター社製)を使用する。
【0016】
上記ラウリン酸亜鉛の粒子は、例えば、直接法と複分解法によって製造したものを使用できる。複分解法によればラウリン酸亜鉛の鱗片状粒子や不定形粒子の凝集体を得ることができる。特に、凝集体は、発泡性熱可塑性樹脂粒子表面への被覆効率がよいと考えられるため、複分解法によって製造したラウリン酸亜鉛の粒子を使用することが好ましい。本発明において鱗片状とは、鱗片の平均最大長に対する厚みが10分の1以下の形状を意味する。凝集体を構成する鱗片の個数は、5個以上であることが好ましい。5個以上とすることで、それから得られる発泡成形品の内容物の滲み出しの防止能力をより向上させることができる。ここで、凝集体の平均最大長は、上記粒子の平均最大粒径dの測定において、粒子を凝集体に置き換えること以外は同様に測定された値である。
【0017】
また、凝集体の平均最大長は、0.5〜30μmであることが好ましい。平均最大長が、30μmより大きい場合は、該粒子の個々の表面に凝集体が偏在して被覆されやすくなり、結果として漏れ防止効果が低下する恐れがあるので好ましくなく、0.5μmより小さい場合は、漏れ防止の効果が低下する恐れがあるので好ましくない。
なお、直接法と複分解法は、以下のような方法を意味する。
【0018】
(直説法)
反応槽にラウリン酸を入れ、加熱溶融させてから亜鉛化合物(例えば、酸化亜鉛、水酸化亜鉛)を加え、溶融状態を保ちながら反応水を系外に取り出し反応を進める。水分が無くなり反応が進まなくなったら、溶融状態のまま反応槽から取り出し、冷却固化させる。次にこれを粉砕器で粉砕することでラウリン酸亜鉛を得ることができる。
【0019】
(複分解法)
亜鉛塩水溶液(例えば、塩化亜鉛)とアルカリ石鹸(例えば、ナトリウムやカリウムとラウリン酸の塩)を反応させ、ラウリン酸亜鉛とアルカリ金属塩(例えば、塩化ナトリウム)を生成させる。反応後は静置によりラウリン酸亜鉛層と水層に分層させ、水層を抜きとったのち水洗により、生成したラウリン酸亜鉛を洗浄し、残存するアルカリ金属塩を遠心分離機やフィルタープレス等で取り除き、真空乾燥、熱風乾燥等により水分を除くことで粉末状のラウリン酸亜鉛を得ることができる。
発泡性熱可塑性樹脂粒子は、その表面がラウリン酸亜鉛の粒子で被覆されて被覆粒子となるが、発泡性熱可塑性樹脂粒子は少なくとも1部が被覆されていればよく、必ずしも発泡性熱可塑性樹脂粒子全面が被覆されていなくてもよい。
【0020】
被覆方法は、特に限定されず、公知の方法を使用することができる。例えばスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等の混合機を用いて、発泡性熱可塑性樹脂粒子と粒子とを混合する方法が挙げられる。
ラウリン酸亜鉛の粒子は、発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して0.03〜0.5重量部使用される。使用量が0.03重量部未満の場合、得られる発泡成形品の内容物(特に、水性内容物)の滲み出しの防止能力が劣り、0.5重量部より多い場合、成形時の粒子の融着がラウリン酸亜鉛の粒子により阻害され、かつ不経済であるため好ましくない。より好ましい粒子の使用量は、0.1〜0.4重量部である。
【0021】
更に、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の脂肪族酸金属塩を使用してもよい。他の脂肪族酸金属塩としては、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪族酸の金属塩(マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛等)が挙げられる。なお、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させる場合、樹脂粒子同士の合着を防ぐために、発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して、ラウリン酸亜鉛を含む脂肪酸金属塩の量を0.05重量部以上とすることが好ましい。
更に、融着促進剤や帯電防止剤を使用してもよい。これら剤は、発泡性熱可塑性樹脂粒子内に存在させる又は表面を被覆することで存在させることができるが、表面に存在させることが剤の使用量をより少なくすることができるので好ましい。
【0022】
融着促進剤としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。例えば、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、米糖油のアミドや硬化牛脂アミド等の天然脂肪酸をアミド化したもの、ステアリン酸トリグリセライド、パルミチン酸トリグリセライド等の脂肪酸のトリグリセライド、大豆硬化油や硬化ヒマシ油等の天然トリグリセライド等が挙げられる。
帯電防止剤としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類が挙げられる。
【0023】
融着促進剤や帯電防止剤で発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面を被覆する方法は、特に限定されず公知の方法を使用することができる。例えば、上記凝集体で発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面を被覆するのと同じ方法が使用できる。
なお、凝集体、融着促進剤及び帯電防止剤の被覆順は特に限定されない。例えば、凝集体、融着促進剤及び帯電防止剤の順、帯電防止剤、凝集体及び融着促進剤の順が挙げられる。
上記被覆粒子は、公知の方法により発泡成形することで発泡成形品とすることができる。例えば、被覆粒子を、いったん予備発泡させて予備発泡粒子とし、予備発泡粒子を所望の金型に入れ、発泡させることで発泡成形品とする方法が挙げられる。
【0024】
予備発泡は、発泡機内に被覆粒子を入れ、蒸気のような媒体で加熱することで行なうことができる。予備発泡粒子の嵩密度は、0.015〜0.5g/cm3程度であることが好ましい。
発泡成形品は、予備発泡粒子を成形用金型内に充填し、金型内へ蒸気を吹き込むことで、予備発泡粒子が加熱され、膨張するが、成形用金型によって発泡できる空間が限定されているので、粒子が互いに密着すると共に融着一体化し、その結果、所望の形状で得ることができる。
【0025】
発泡成形品の形状は、特に限定されず、種々の形状を採ることができる。例えば、コップ状、皿状、どんぶり状、トレー状、箱状等が挙げられる。また、発泡成形品の内容物は、牛脂、大豆油、菜種油等の植物油類、ラード、即席麺類、シチュー、マヨネーズ、ドレッシングソース、カレールー、バター、マーガリン、ホワイトソース、ヨーグルト類、アイスクリーム、ドーナツ、ハンバーガー、フライドチキン等の油性食品や脂肪食品、界面活性剤を含む水溶液等が挙げられる。すなわち、発泡成形品を構成する発泡粒子間より外部へ内容物(油脂、水溶液、色素等)が浸透することを長時間にわたり抑制することができる。本発明は、前記内容物が水溶液の場合、特に効果を奏する。
【0026】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例1〜5は参考例である。
実施例1
発泡剤として5.5重量%のn−ペンタンを含有する平均粒径D50が0.4mmの発泡性ポリスチレン粒子1000gと、直接法で製造した平均最大粒径dが25μmのラウリン酸亜鉛2.0g(D50/d=16)と、ポリエチレングリコール0.3gをスーパーミキサーに入れ、4分間撹拌することで、ラウリン酸亜鉛の粒子で被覆された発泡性ポリスチレン粒子を得た。
【0027】
このポリスチレン粒子をバッチ型予備発泡機に入れ、水蒸気で均一に加熱することで、かさ密度0.1g/mlになるように発泡させて予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子を大気中で6時間熟成・乾燥させた。
次いで、予備発泡粒子を内容量450cc、肉厚2mmのカップ形成用金型に充填し、0.2MPa(ゲージ圧)の水蒸気で6秒間加熱し、水冷してカップ成形品を得た。
得られたカップ成形品に界面活性剤の水溶液を8分目まで入れ、カップ成形品の外壁への界面活性剤水溶液の滲み出し始め時間を測定した(測定法は以下に記載)。結果を表1に示す。
【0028】
実施例2
直接法で製造したラウリン酸亜鉛を4.0g使用したこと以外は実施例1と同様にしてカップ成形品を得た。得られたカップ成形品の界面活性剤水溶液の滲み出し始め時間を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0029】
実施例3
直接法で製造したラウリン酸亜鉛を0.5g使用し、更にステアリン酸亜鉛を1.0g使用したこと以外は実施例1と同様にしてカップ成形品を得た。得られたカップ成形品の界面活性剤水溶液の滲み出し始め時間を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0030】
実施例4
発泡性ポリスチレン粒子の平均粒径D50を0.2mmとしたこと以外は実施例1と同様にしてカップ成形品を得た(D50/d=8)。得られたカップ成形品の界面活性剤水溶液の滲み出し始め時間を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0031】
実施例5
直接法で製造したラウリン酸亜鉛の平均最大粒径dを11μmにしたこと以外は実施例1と同様にしてカップ成形品を得た(D50/d=36.4)。得られたカップ成形品の界面活性剤水溶液の滲み出し始め時間を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0032】
実施例6
直接法で製造したラウリン酸亜鉛を、複分解法で製造した平均最大粒径dが10μmのラウリン酸亜鉛の粒子の凝集体2.0gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてカップ成形品を得た(D50/d=40)。得られたカップ成形品の界面活性剤水溶液の滲み出し始め時間を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0033】
実施例7
複分解法で製造したラウリン酸亜鉛の粒子の凝集体4.0g使用したこと以外は実施例1と同様にしてカップ成形品を得た。得られたカップ成形品の界面活性剤水溶液の滲み出し始め時間を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0034】
比較例1
直接法で製造したラウリン酸亜鉛にかえてステアリン酸亜鉛を使用したこと以外は実施例1と同様にしてカップ成形品を得た。得られたカップ成形品の界面活性剤水溶液の滲み出し始め時間を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0035】
比較例2
直接法で製造したラウリン酸亜鉛を0.2g、更にステアリン酸亜鉛を1.0g使用したこと以外は実施例1と同様にしてカップ成形品を得た。得られたカップ成形品の界面活性剤水溶液の滲み出し始め時間を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0036】
比較例3
発泡性ポリスチレン粒子の平均粒径D50を0.1mmとしたこと以外は実施例1と同様にしてカップ成形品を得た(D50/d=4)。得られたカップ成形品の界面活性剤水溶液の滲み出し始め時間を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
比較例4
直接法で製造したラウリン酸亜鉛に代えてラウリン酸カルシウムを使用したこと以外は実施例1と同様にしてカップ成形品を得た。得られたカップ成形品の界面活性剤水溶液の滲み出し始め時間を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1から、粒子の使用割合及び平均最大粒径を本発明の範囲にすることで、融着性に優れ及び内容物の滲み出しを防ぎうる発泡成形品を製造可能な発泡性熱可塑性樹脂粒子を提供することができる
【0039】
【発明の効果】
本発明のラウリン酸亜鉛の粒子で被覆された発泡性熱可塑性樹脂粒子によれば、内容物の滲み出しが防止された発泡成形品を製造することができる。
Claims (2)
- 発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面の少なくとも1部を複分解法で得られたラウリン酸亜鉛の粒子で被覆した被覆粒子であり、ラウリン酸亜鉛の粒子が発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して0.03〜0.5重量部使用され、発泡性熱可塑性樹脂粒子の平均粒径D50をラウリン酸亜鉛の粒子の平均最大粒径d(個々の粒子画像を撮像し、その画像における個々の粒子の粒径の最大値の平均値)で除した値D50/dが、5〜500の範囲であることを特徴とする被覆発泡性熱可塑性樹脂粒子。
- 請求項1に記載の被覆発泡性熱可塑性樹脂粒子を発泡成形して得られる発泡成形品。
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