JP3953346B2 - 副室式希薄燃焼ガスエンジン - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記副室式希薄燃焼ガスエンジンは、例えば特開2001−336451号公報に開示されるものであって、ピストンの下死点基準の圧縮比Cr、つまり、ピストン下死点での燃焼室容積とピストン上死点での燃焼室容積との比が14以上でありながらも、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きいものであるから、圧縮行程における自己着火によるノッキングを回避しながらも、ピストンの下死点基準の圧縮Cr、つまり膨張比の増大により高効率化を図れるものである。
尚、上記実圧縮比とは、吸気弁閉時期における燃焼室容積とピストン上死点での燃焼室容積の比であり、ピストンの下死点基準の圧縮比Cr及びピストンの下死点基準の膨張比は、上述の如く、ピストン下死点での燃焼室容積とピストン上死点での燃焼室容積との比である。さらに、燃焼室容積は、主室の容積、副室の容積、及び、クレビス容積の総和である。
【0003】
説明を加えると、副室式希薄燃焼ガスエンジンおいては、主室と副室との夫々に対して別個の系統にて燃料がを供給されることになる。つまり、主室には、ガス燃料と燃焼用空気とを燃料濃度が低い状態に混合させた希薄な混合気が供給され、そして、副室には、ガス燃料のみが供給されることが多いが、ガス燃料と燃焼用空気とを燃料濃度が高い状態に混合させた過濃な混合気が供給されることもある。
主室に供給された希薄な混合気は、圧縮行程中にその一部が副室内に流れ込んで、副室内の燃料ガスあるいは過濃な混合気と混合して、副室内に適切な濃度の混合気を生成する。そして、その副室内の適切な濃度の混合気が点火プラグにて着火され、副室と主室とを結ぶ複数の噴口より、副室から主室内にトーチが噴出されて、主室内での燃焼が行われることになる。
【0004】
このような副室式希薄燃焼ガスエンジンおいて、吸気行程においてピストンが下死点に到達する以前の段階で、主室に希薄な混合気が供給されるのを停止するように吸気弁を早目に閉じるようにしたり、あるいは、圧縮行程においてピストンが下死点を過ぎてから吸気弁を遅れて閉じるようにして、実圧縮比を減少させて、実圧縮比が膨張比よりも小さくなるようにすることにより、圧縮行程での主室内の温度低下を促進して、自己着火によるノッキングを抑えながらも、ピストンの下死点基準の圧縮比Cr、つまり、ピストンの下死点基準の膨張比を14以上と大きくすることにより、高効率化を図れるものとなっている。
【0005】
かかる副室式希薄燃焼ガスエンジンにおいて、従来では、例えば特開2001 −227344号公報に開示されるように、副室と主室とを結ぶ複数の噴口面積の総和である総噴口面積と副室容積との比である噴口面積比f(f=総噴口面積mm2 /副室容積cc)を、2.7〜3.6の範囲に設定することが行われていた。
説明を加えると、上記公開公報に開示されている副室式希薄燃焼ガスエンジンは、ピストンの下死点基準の圧縮比Crが、通常一般の9〜12を対象とするものであり、従来では、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンにおいても、噴口面積比f(f=総噴口面積mm2 /副室容積cc)を、2.7〜3.6の範囲に設定することが行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンにおいては、噴口面積比fが、2.7〜3.6の範囲であると、主室壁面(燃焼室壁面)、つまりピストンの表面やシリンダ壁面への放熱が多くなるため、十分な低燃費化つまり高効率化を図ることができないものであった。
【0007】
説明を加えると、ピストンの下死点基準の圧縮比Crを増大させるには、通常下記の方法が採用されることになる。
(1)ピストンのストロークを同一のまま、主室の容積を小さくする。
(2)主室の容積をそのままにして、ピストンのストロークを大きくする。
(3)上記(1)と(2)とを組み合わせる。
換言すると、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上の副室式希薄燃焼ガスエンジン(以下の説明において、高圧縮比ガスエンジンと略称する場合もある)は、ピストンの下死点基準の圧縮比Crが9〜12の副室式希薄燃焼ガスエンジン(以下の説明において、通常圧縮比ガスエンジンと略称する場合もある)を、上記(1)〜(3)の圧縮比増大方法を用いて、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上となるようにしたものであると考えることができる。
【0008】
上記(1)の圧縮比増大方法にて、通常圧縮比ガスエンジンを高圧縮比ガスエンジンにした場合には、主室の容積が小さいにもかかわらず、通常圧縮比ガスエンジンの噴口面積比であるため、噴口から主室に噴出されるトーチ点火の貫徹力が強過ぎ、火炎が拡散する前に、主室壁面に直接トーチが接触し、エンジン外部への放熱が多くなり、十分な低燃費化を達成できないものとなる。
上記(2)の圧縮比増大方法にて、通常圧縮比ガスエンジンを高圧縮比ガスエンジンにした場合には、ピストンの移動速度が速く、ピストンやシリンダ壁面での流速が大きく、それに伴いピストン表面、シリンダ表面での乱れが大きくなる傾向にあるにもかかわらず、通常圧縮比ガスエンジンの噴口面積比であるため、噴口から主室に噴出されるトーチが、ピストン表面やシリンダ表面に流れ込み易く、上記(1)の圧縮比増大方法と同様に、火炎が拡散する前に、主室壁面にトーチが接触し、エンジン外部への放熱が多くなり、十分な低燃費化を達成できないものとなる。
上記(3)の圧縮比増大方法については説明しないが、上記(1)の圧縮比増大方法や上記(2)の圧縮比増大方法で述べた理由により、十分な低燃費化を達成できないものとなる。
【0009】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンにおいて、十分な低燃費化を達成できるようにする点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の副室式希薄燃焼ガスエンジンは、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きく構成されているものであって、
副室と主室とを結ぶ複数の噴口の面積の総和である総噴口面積と副室容積との比である噴口面積比f(f=総噴口面積mm2 /副室容積cc)を、前記ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの関係において下記の範囲に設定したことを特徴とする。
2.7 +0.4 ×(Cr−11)≦f≦ 3.6 +0.4 ×(Cr−11)
【0011】
すなわち、上記範囲にて設定される噴口面積比fは、従来の噴口面積比fに比べて大きな値になる。つまり、副室容積の大きさの割に総噴口面積が大きくなるものであり、噴口から主室に噴出されるトーチの貫徹力が、従来の噴口面積比fの場合にに比べて弱くなる傾向になるものである。
その結果、上記(1)の圧縮比増大方法、つまり、ピストンのストロークを同一のまま、主室の容積を小さくする方法が用いられ場合においても、噴口から主室に噴出されるトーチの貫徹力が強過ぎないから、火炎が拡散する前に主室壁面(燃焼室壁面)に直接トーチが接触することを抑制して、エンジン外部への放熱が少なくなり、エンジンの燃費の向上を図ることができるのである。
また、上記(2)の圧縮比増大方法、つまり、主室の容積をそのままにして、ピストンのストロークを大きくする方法が用いられる場合においても、噴口から主室に噴出されるトーチの貫徹力が強過ぎないから、ピストン表面やシリンダ表面にトーチが流れ込んで、火炎が拡散する前に主室壁面(燃焼室壁面)に直接トーチが接触することを抑制して、エンジン外部への放熱が少なくなり、エンジンの燃費の向上を図ることができるのである。
さらに、上記(3)の圧縮比増大方法、つまり、上記(1)の圧縮比増大方法と上記(2)の圧縮比増大方法を組み合わせる場合にも、同様に、火炎が拡散する前に主室壁面(燃焼室壁面)に直接トーチが接触することを抑制して、エンジン外部への放熱が少なくなり、エンジンの燃費の向上を図ることができるのである。
【0012】
要するに、噴口面積比fを上記範囲に設定することにより、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンにおいて、十分な低燃費化を達成できるようにすることが可能となるのであり、もって、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンの設計、及び、製造において、エンジンの燃費の向上を図れる状態に噴口面積比fを的確に設定することが可能となった。
【0013】
請求項2の副室式希薄燃焼ガスエンジンは、請求項1に加えて、前記副室容積を、ピストン上死点時の燃焼室容積の2〜4%に設定した点を特徴とする。
ちなみに、前記燃焼室容積は、副室の容積、主室の容積、及び、クレビス容積の総和である。
【0014】
このように、ピストン上死点時の燃焼室容積との関係において副室容積を定めることにより、安定した燃焼を行わせ、且つ、NOxの増加を抑制するようになっている。
つまり、副室の容積が小さ過ぎると、主室内の希薄な混合気を十分に燃焼させにくいものとなり、逆に、副室の容積が大き過ぎると、NOxの増加を伴うものとなるからである。
【0015】
請求項3の副室式希薄燃焼ガスエンジンは、請求項1に加えて、前記副室容積を、ピストン上死点時の燃焼室容積の2. 5〜3.5%に設定した点を特徴とする。
ちなみに、前記燃焼室容積は、前記請求項2の説明でも記した通り、副室の容積、主室の容積、及び、クレビス容積の総和である。
【0016】
このように、ピストン上死点時の燃焼室容積との関係において副室容積を定めることにより、安定した燃焼を行わせ、且つ、NOxの増加を抑制するようになっている。
つまり、副室の容積が小さ過ぎると、主室2内の希薄な混合気を十分に燃焼させにくいものとなり、逆に、副室の容積が大き過ぎると、NOxの増加を伴うものとなるからであるが、本請求項3は、上記請求項2よりも好ましい範囲を設定することによって、安定した燃焼及びNOxの増加の抑制を一層適切に得られるものとなっている。。
【発明の実施の形態】
本発明に係わる副室式希薄燃焼ガスエンジンについて図面に基づいて説明する。
図1は、副室式希薄燃焼ガスエンジンの燃焼室及び燃料供給系を示すものであって、1はシリンダヘッド、2は主室であり、ピストンヘッド3の上面とシリンダ4の内面とシリンダヘッド1の下面により区画形成されている。この主室2には、天然ガス系都市ガス13Aである燃料ガスと空気の希薄混合気が吸気バルブ5を通して導入されるようになっており、また、排気バルブ6を通して主室内の燃焼排ガスが排出されるようになっている。吸気バルブ5や排気バルブ6は、クランク軸の回転に同期する弁操作機構Aにて開閉される。
【0017】
7は副室であり、シリンダヘッド1の略中央部に、シリンダ軸線方向に軸方向を有する筒状に形成されている。この副室7の上部には副室上部金物8が設けられ、副室7の下部には副室口金9が設けられている。この副室口金9の先端部には、副室7と主室2とを結ぶ複数の噴口10が形成されている。11は前記副室上部金物8内に形成されたガスチャンバであり、天然ガス系都市ガス13Aである燃料ガスを供給するガス供給通路12が接続されている。ガス供給通路12には、ガス供給圧を制御するガス圧制御装置Sが設けられている。
13は副室上部金物8内に設けられた副室バルブであって、副室7とガスチャンバ11との間の連通を開閉するものであり、前記吸気バルブ5や排気バルブ6と同様に弁操作機構Aにて開閉される。14は副室7内の燃料ガスに点火するための点火プラグである。
【0018】
また、この副室式希薄燃焼ガスエンジンは、ピストンの下死点基準の圧縮比Cr、つまりピストン下死点での燃焼室容積とピストン上死点での燃焼室容積との比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比(ピストン下死点での燃焼室容積とピストン上死点での燃焼室容積との比)が実圧縮比よりも大きく構成されている。
ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きく構成されている点について説明を加えると、前記操作機構Aによる吸気弁5の閉じ操作が、吸気行程においてピストン3が下死点に到達する以前の段階で、主室2に希薄な混合気が供給されるのを停止するように吸気弁5を早目に閉じるタイミングにて行われるようにしたり、あるいは、圧縮行程においてピストン3が下死点を過ぎてから吸気弁5を遅れて閉じるタイミングで行われるようにして、実圧縮比を減少させることにより、実圧縮比が膨張比よりも小さくなるように構成されている。
尚、ピストンの下死点基準の圧縮比Crは、14〜20が好ましく、14〜17が最も好ましいものである。つまり、ピストンの下死点基準の圧縮比Crを過度に大きくすると、ノッキングが発生し、燃料消費量が最適なポイントとなる運転条件を実現できなくなるからである。
【0019】
さらに、この副室式希薄燃焼ガスエンジンは、副室7と主室2とを結ぶ複数の噴口10の面積の総和である総噴口面積と副室容積との比である噴口面積比f(f=総噴口面積mm2 /副室容積cc)を、前記ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの関係において下記の範囲に設定されている。
2.7 +0.4 ×(Cr−11)≦f≦ 3.6 +0.4 ×(Cr−11)
つまり、 噴口面積比fを、前記ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの関係において上記範囲に設定することにより、噴口10から主室2に噴出されるトーチの貫徹力が強過ぎないようにして、火炎が拡散する前に主室壁面(燃焼室壁面)に直接トーチが接触することを抑制して、エンジン外部への放熱を少なくなして、エンジンの燃費の向上を図るようになっている。
【0020】
加えて、この副室式希薄燃焼ガスエンジンは、前記副室7の容積(以下、副室容積と記載)を、ピストン上死点時の燃焼室容積の2〜4%に設定する、好ましくは、2. 5〜3.5%に設定している。ちなみに、前記燃焼室容積は、副室7の容積、主室2の容積、及び、クレビス容積の総和である。
このように、ピストン上死点時の燃焼室容積との関係において副室容積を定めることにより、安定した燃焼を行わせ、且つ、NOxの増加を抑制するようになっている。
つまり、副室7の容積が小さ過ぎると、主室2内の希薄な混合気を十分に燃焼させにくいものとなり、逆に、副室7の容積が大き過ぎると、NOxの増加を伴うものとなるからである。
尚、システムの空気過剰率は、1.5〜2.5の範囲に設定するのが好ましいものである。空気過剰率が小さ過ぎると、NOxが急激に増加するものとなり、また、空気過剰率が大きくなり過ぎると、混合気が希薄になり過ぎて安定した燃焼を行い難いものとなるからである。
【0021】
次に、本願発明についてその適用例について具体例を挙げて説明する。
先ず、本願発明を適用したエンジンの諸元、及び主な条件を示す。
エンジン:副室式希薄燃焼エンジン
回転速度:1200rpm
ピストンの下死点基準の圧縮比Cr:14〜15
噴口面積比f:3〜6
副室への燃料ガス供給圧力:エンジンシリンダ入口圧力+(5〜80kPa)
点火時期:3゜〜25゜bTDC(クランク角度が上死点より3゜〜25゜早い時期)
空気過剰率:1.9
平均有効圧力:1.1MPa
【0022】
図2は、ピストンのストロークを同一のまま主室の容積を小さくして、ピストンの下死点基準の圧縮比Crを15に増加させたエンジンにおいて、噴口面積比fを3.0 、3.5 、4.0 、4.5 、5.0 、5.5 、6.0 として、それぞれ燃費が最も良くなるポイントの運転条件(ちなみに、副室への燃料ガス供給圧力、点火時期、空気過剰率)を設定した際のエンジンの燃費を計測した結果を示す。
ピストンの下死点基準の圧縮比Crが15の場合には、本発明によれば、噴口面積比fは4.3 〜5.2 (4.3 ≦f≦5.2 )となるが、噴口面積比が4.3 〜5.2 の範囲にあれば、最も燃費が良くなる点からの燃費の増加を概ね3%以内に抑えることが可能である。
【0023】
図3は、図2の場合と同様に、ピストンのストロークを同一のまま主室の容積を小さくして、ピストンの下死点基準の圧縮比Crを14に増加させたエンジンにおいて、噴口面積比fを3.0 、3.5 、4.0 、4.5 、5.0 、5.5 、6.0 として、それぞれ燃費が最も良くなるポイントの運転条件(ちなみに、副室への燃料ガス供給圧力、点火時期、空気過剰率)を設定した際のエンジンの燃費を計測した結果を示す。
ピストンの下死点基準の圧縮比Crが14の場合には、本発明によれば、噴口面積比fは3.9 〜4.8 (3.9 ≦f≦4.8 )となるが、噴口面積比が3.8 〜4.8 の範囲にあれば、図2の場合と同様に、最も燃費が良くなる点からの燃費の増加を概ね3%以内に抑えることが可能である。
【0024】
図4は、主室の容積をそのままにして、ピストンのストロークを大きくすることにより、ピストンの下死点基準の圧縮比Crを15に増加させたエンジンにおいて、噴口面積比fを3.0 、3.5 、4.0 、4.5 、5.0 、5.5 、6.0 として、それぞれ燃費が最も良くなるポイントの運転条件(ちなみに、副室への燃料ガス供給圧力、点火時期、空気過剰率)を設定した際のエンジンの燃費を計測した結果を示す。
ピストンの下死点基準の圧縮比Crが15の場合には、図2の例で説明した如く、本発明によれば、噴口面積比fは4.3 〜5.2 (4.3 ≦f≦5.2 )となるが、噴口面積比が4.3 〜5.2 の範囲にあれば、最も燃費が良くなる点からの燃費の増加を概ね3%以内に抑えることが可能である。
【0025】
これらの本発明を適用した具体例からもわかるように、本発明によれば、噴口面積比fを、エンジンの設計・製造において、エンジンの燃費の向上を図れる状態に的確に設定できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】副室式希薄燃焼エンジンの要部縦断面図
【図2】ピストンの下死点基準の圧縮比Crを主室容積の小型化によって15にしたエンジンの燃費と噴口面積比との関係を示す図
【図3】ピストンの下死点基準の圧縮比Crを主室容積の小型化によって14にしたエンジンの燃費と噴口面積比との関係を示す図
【図4】ピストンの下死点基準の圧縮比Crをピストンのストロークの長大化によって15にしたエンジンにおけるエンジンの燃費と噴口面積比との関係を示す図
【符号の説明】
2 主室
3 ピストン
7 副室
10 噴口
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記副室式希薄燃焼ガスエンジンは、例えば特開2001−336451号公報に開示されるものであって、ピストンの下死点基準の圧縮比Cr、つまり、ピストン下死点での燃焼室容積とピストン上死点での燃焼室容積との比が14以上でありながらも、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きいものであるから、圧縮行程における自己着火によるノッキングを回避しながらも、ピストンの下死点基準の圧縮Cr、つまり膨張比の増大により高効率化を図れるものである。
尚、上記実圧縮比とは、吸気弁閉時期における燃焼室容積とピストン上死点での燃焼室容積の比であり、ピストンの下死点基準の圧縮比Cr及びピストンの下死点基準の膨張比は、上述の如く、ピストン下死点での燃焼室容積とピストン上死点での燃焼室容積との比である。さらに、燃焼室容積は、主室の容積、副室の容積、及び、クレビス容積の総和である。
【0003】
説明を加えると、副室式希薄燃焼ガスエンジンおいては、主室と副室との夫々に対して別個の系統にて燃料がを供給されることになる。つまり、主室には、ガス燃料と燃焼用空気とを燃料濃度が低い状態に混合させた希薄な混合気が供給され、そして、副室には、ガス燃料のみが供給されることが多いが、ガス燃料と燃焼用空気とを燃料濃度が高い状態に混合させた過濃な混合気が供給されることもある。
主室に供給された希薄な混合気は、圧縮行程中にその一部が副室内に流れ込んで、副室内の燃料ガスあるいは過濃な混合気と混合して、副室内に適切な濃度の混合気を生成する。そして、その副室内の適切な濃度の混合気が点火プラグにて着火され、副室と主室とを結ぶ複数の噴口より、副室から主室内にトーチが噴出されて、主室内での燃焼が行われることになる。
【0004】
このような副室式希薄燃焼ガスエンジンおいて、吸気行程においてピストンが下死点に到達する以前の段階で、主室に希薄な混合気が供給されるのを停止するように吸気弁を早目に閉じるようにしたり、あるいは、圧縮行程においてピストンが下死点を過ぎてから吸気弁を遅れて閉じるようにして、実圧縮比を減少させて、実圧縮比が膨張比よりも小さくなるようにすることにより、圧縮行程での主室内の温度低下を促進して、自己着火によるノッキングを抑えながらも、ピストンの下死点基準の圧縮比Cr、つまり、ピストンの下死点基準の膨張比を14以上と大きくすることにより、高効率化を図れるものとなっている。
【0005】
かかる副室式希薄燃焼ガスエンジンにおいて、従来では、例えば特開2001 −227344号公報に開示されるように、副室と主室とを結ぶ複数の噴口面積の総和である総噴口面積と副室容積との比である噴口面積比f(f=総噴口面積mm2 /副室容積cc)を、2.7〜3.6の範囲に設定することが行われていた。
説明を加えると、上記公開公報に開示されている副室式希薄燃焼ガスエンジンは、ピストンの下死点基準の圧縮比Crが、通常一般の9〜12を対象とするものであり、従来では、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンにおいても、噴口面積比f(f=総噴口面積mm2 /副室容積cc)を、2.7〜3.6の範囲に設定することが行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンにおいては、噴口面積比fが、2.7〜3.6の範囲であると、主室壁面(燃焼室壁面)、つまりピストンの表面やシリンダ壁面への放熱が多くなるため、十分な低燃費化つまり高効率化を図ることができないものであった。
【0007】
説明を加えると、ピストンの下死点基準の圧縮比Crを増大させるには、通常下記の方法が採用されることになる。
(1)ピストンのストロークを同一のまま、主室の容積を小さくする。
(2)主室の容積をそのままにして、ピストンのストロークを大きくする。
(3)上記(1)と(2)とを組み合わせる。
換言すると、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上の副室式希薄燃焼ガスエンジン(以下の説明において、高圧縮比ガスエンジンと略称する場合もある)は、ピストンの下死点基準の圧縮比Crが9〜12の副室式希薄燃焼ガスエンジン(以下の説明において、通常圧縮比ガスエンジンと略称する場合もある)を、上記(1)〜(3)の圧縮比増大方法を用いて、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上となるようにしたものであると考えることができる。
【0008】
上記(1)の圧縮比増大方法にて、通常圧縮比ガスエンジンを高圧縮比ガスエンジンにした場合には、主室の容積が小さいにもかかわらず、通常圧縮比ガスエンジンの噴口面積比であるため、噴口から主室に噴出されるトーチ点火の貫徹力が強過ぎ、火炎が拡散する前に、主室壁面に直接トーチが接触し、エンジン外部への放熱が多くなり、十分な低燃費化を達成できないものとなる。
上記(2)の圧縮比増大方法にて、通常圧縮比ガスエンジンを高圧縮比ガスエンジンにした場合には、ピストンの移動速度が速く、ピストンやシリンダ壁面での流速が大きく、それに伴いピストン表面、シリンダ表面での乱れが大きくなる傾向にあるにもかかわらず、通常圧縮比ガスエンジンの噴口面積比であるため、噴口から主室に噴出されるトーチが、ピストン表面やシリンダ表面に流れ込み易く、上記(1)の圧縮比増大方法と同様に、火炎が拡散する前に、主室壁面にトーチが接触し、エンジン外部への放熱が多くなり、十分な低燃費化を達成できないものとなる。
上記(3)の圧縮比増大方法については説明しないが、上記(1)の圧縮比増大方法や上記(2)の圧縮比増大方法で述べた理由により、十分な低燃費化を達成できないものとなる。
【0009】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンにおいて、十分な低燃費化を達成できるようにする点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の副室式希薄燃焼ガスエンジンは、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きく構成されているものであって、
副室と主室とを結ぶ複数の噴口の面積の総和である総噴口面積と副室容積との比である噴口面積比f(f=総噴口面積mm2 /副室容積cc)を、前記ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの関係において下記の範囲に設定したことを特徴とする。
2.7 +0.4 ×(Cr−11)≦f≦ 3.6 +0.4 ×(Cr−11)
【0011】
すなわち、上記範囲にて設定される噴口面積比fは、従来の噴口面積比fに比べて大きな値になる。つまり、副室容積の大きさの割に総噴口面積が大きくなるものであり、噴口から主室に噴出されるトーチの貫徹力が、従来の噴口面積比fの場合にに比べて弱くなる傾向になるものである。
その結果、上記(1)の圧縮比増大方法、つまり、ピストンのストロークを同一のまま、主室の容積を小さくする方法が用いられ場合においても、噴口から主室に噴出されるトーチの貫徹力が強過ぎないから、火炎が拡散する前に主室壁面(燃焼室壁面)に直接トーチが接触することを抑制して、エンジン外部への放熱が少なくなり、エンジンの燃費の向上を図ることができるのである。
また、上記(2)の圧縮比増大方法、つまり、主室の容積をそのままにして、ピストンのストロークを大きくする方法が用いられる場合においても、噴口から主室に噴出されるトーチの貫徹力が強過ぎないから、ピストン表面やシリンダ表面にトーチが流れ込んで、火炎が拡散する前に主室壁面(燃焼室壁面)に直接トーチが接触することを抑制して、エンジン外部への放熱が少なくなり、エンジンの燃費の向上を図ることができるのである。
さらに、上記(3)の圧縮比増大方法、つまり、上記(1)の圧縮比増大方法と上記(2)の圧縮比増大方法を組み合わせる場合にも、同様に、火炎が拡散する前に主室壁面(燃焼室壁面)に直接トーチが接触することを抑制して、エンジン外部への放熱が少なくなり、エンジンの燃費の向上を図ることができるのである。
【0012】
要するに、噴口面積比fを上記範囲に設定することにより、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンにおいて、十分な低燃費化を達成できるようにすることが可能となるのであり、もって、ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンの設計、及び、製造において、エンジンの燃費の向上を図れる状態に噴口面積比fを的確に設定することが可能となった。
【0013】
請求項2の副室式希薄燃焼ガスエンジンは、請求項1に加えて、前記副室容積を、ピストン上死点時の燃焼室容積の2〜4%に設定した点を特徴とする。
ちなみに、前記燃焼室容積は、副室の容積、主室の容積、及び、クレビス容積の総和である。
【0014】
このように、ピストン上死点時の燃焼室容積との関係において副室容積を定めることにより、安定した燃焼を行わせ、且つ、NOxの増加を抑制するようになっている。
つまり、副室の容積が小さ過ぎると、主室内の希薄な混合気を十分に燃焼させにくいものとなり、逆に、副室の容積が大き過ぎると、NOxの増加を伴うものとなるからである。
【0015】
請求項3の副室式希薄燃焼ガスエンジンは、請求項1に加えて、前記副室容積を、ピストン上死点時の燃焼室容積の2. 5〜3.5%に設定した点を特徴とする。
ちなみに、前記燃焼室容積は、前記請求項2の説明でも記した通り、副室の容積、主室の容積、及び、クレビス容積の総和である。
【0016】
このように、ピストン上死点時の燃焼室容積との関係において副室容積を定めることにより、安定した燃焼を行わせ、且つ、NOxの増加を抑制するようになっている。
つまり、副室の容積が小さ過ぎると、主室2内の希薄な混合気を十分に燃焼させにくいものとなり、逆に、副室の容積が大き過ぎると、NOxの増加を伴うものとなるからであるが、本請求項3は、上記請求項2よりも好ましい範囲を設定することによって、安定した燃焼及びNOxの増加の抑制を一層適切に得られるものとなっている。。
【発明の実施の形態】
本発明に係わる副室式希薄燃焼ガスエンジンについて図面に基づいて説明する。
図1は、副室式希薄燃焼ガスエンジンの燃焼室及び燃料供給系を示すものであって、1はシリンダヘッド、2は主室であり、ピストンヘッド3の上面とシリンダ4の内面とシリンダヘッド1の下面により区画形成されている。この主室2には、天然ガス系都市ガス13Aである燃料ガスと空気の希薄混合気が吸気バルブ5を通して導入されるようになっており、また、排気バルブ6を通して主室内の燃焼排ガスが排出されるようになっている。吸気バルブ5や排気バルブ6は、クランク軸の回転に同期する弁操作機構Aにて開閉される。
【0017】
7は副室であり、シリンダヘッド1の略中央部に、シリンダ軸線方向に軸方向を有する筒状に形成されている。この副室7の上部には副室上部金物8が設けられ、副室7の下部には副室口金9が設けられている。この副室口金9の先端部には、副室7と主室2とを結ぶ複数の噴口10が形成されている。11は前記副室上部金物8内に形成されたガスチャンバであり、天然ガス系都市ガス13Aである燃料ガスを供給するガス供給通路12が接続されている。ガス供給通路12には、ガス供給圧を制御するガス圧制御装置Sが設けられている。
13は副室上部金物8内に設けられた副室バルブであって、副室7とガスチャンバ11との間の連通を開閉するものであり、前記吸気バルブ5や排気バルブ6と同様に弁操作機構Aにて開閉される。14は副室7内の燃料ガスに点火するための点火プラグである。
【0018】
また、この副室式希薄燃焼ガスエンジンは、ピストンの下死点基準の圧縮比Cr、つまりピストン下死点での燃焼室容積とピストン上死点での燃焼室容積との比が14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比(ピストン下死点での燃焼室容積とピストン上死点での燃焼室容積との比)が実圧縮比よりも大きく構成されている。
ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きく構成されている点について説明を加えると、前記操作機構Aによる吸気弁5の閉じ操作が、吸気行程においてピストン3が下死点に到達する以前の段階で、主室2に希薄な混合気が供給されるのを停止するように吸気弁5を早目に閉じるタイミングにて行われるようにしたり、あるいは、圧縮行程においてピストン3が下死点を過ぎてから吸気弁5を遅れて閉じるタイミングで行われるようにして、実圧縮比を減少させることにより、実圧縮比が膨張比よりも小さくなるように構成されている。
尚、ピストンの下死点基準の圧縮比Crは、14〜20が好ましく、14〜17が最も好ましいものである。つまり、ピストンの下死点基準の圧縮比Crを過度に大きくすると、ノッキングが発生し、燃料消費量が最適なポイントとなる運転条件を実現できなくなるからである。
【0019】
さらに、この副室式希薄燃焼ガスエンジンは、副室7と主室2とを結ぶ複数の噴口10の面積の総和である総噴口面積と副室容積との比である噴口面積比f(f=総噴口面積mm2 /副室容積cc)を、前記ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの関係において下記の範囲に設定されている。
2.7 +0.4 ×(Cr−11)≦f≦ 3.6 +0.4 ×(Cr−11)
つまり、 噴口面積比fを、前記ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの関係において上記範囲に設定することにより、噴口10から主室2に噴出されるトーチの貫徹力が強過ぎないようにして、火炎が拡散する前に主室壁面(燃焼室壁面)に直接トーチが接触することを抑制して、エンジン外部への放熱を少なくなして、エンジンの燃費の向上を図るようになっている。
【0020】
加えて、この副室式希薄燃焼ガスエンジンは、前記副室7の容積(以下、副室容積と記載)を、ピストン上死点時の燃焼室容積の2〜4%に設定する、好ましくは、2. 5〜3.5%に設定している。ちなみに、前記燃焼室容積は、副室7の容積、主室2の容積、及び、クレビス容積の総和である。
このように、ピストン上死点時の燃焼室容積との関係において副室容積を定めることにより、安定した燃焼を行わせ、且つ、NOxの増加を抑制するようになっている。
つまり、副室7の容積が小さ過ぎると、主室2内の希薄な混合気を十分に燃焼させにくいものとなり、逆に、副室7の容積が大き過ぎると、NOxの増加を伴うものとなるからである。
尚、システムの空気過剰率は、1.5〜2.5の範囲に設定するのが好ましいものである。空気過剰率が小さ過ぎると、NOxが急激に増加するものとなり、また、空気過剰率が大きくなり過ぎると、混合気が希薄になり過ぎて安定した燃焼を行い難いものとなるからである。
【0021】
次に、本願発明についてその適用例について具体例を挙げて説明する。
先ず、本願発明を適用したエンジンの諸元、及び主な条件を示す。
エンジン:副室式希薄燃焼エンジン
回転速度:1200rpm
ピストンの下死点基準の圧縮比Cr:14〜15
噴口面積比f:3〜6
副室への燃料ガス供給圧力:エンジンシリンダ入口圧力+(5〜80kPa)
点火時期:3゜〜25゜bTDC(クランク角度が上死点より3゜〜25゜早い時期)
空気過剰率:1.9
平均有効圧力:1.1MPa
【0022】
図2は、ピストンのストロークを同一のまま主室の容積を小さくして、ピストンの下死点基準の圧縮比Crを15に増加させたエンジンにおいて、噴口面積比fを3.0 、3.5 、4.0 、4.5 、5.0 、5.5 、6.0 として、それぞれ燃費が最も良くなるポイントの運転条件(ちなみに、副室への燃料ガス供給圧力、点火時期、空気過剰率)を設定した際のエンジンの燃費を計測した結果を示す。
ピストンの下死点基準の圧縮比Crが15の場合には、本発明によれば、噴口面積比fは4.3 〜5.2 (4.3 ≦f≦5.2 )となるが、噴口面積比が4.3 〜5.2 の範囲にあれば、最も燃費が良くなる点からの燃費の増加を概ね3%以内に抑えることが可能である。
【0023】
図3は、図2の場合と同様に、ピストンのストロークを同一のまま主室の容積を小さくして、ピストンの下死点基準の圧縮比Crを14に増加させたエンジンにおいて、噴口面積比fを3.0 、3.5 、4.0 、4.5 、5.0 、5.5 、6.0 として、それぞれ燃費が最も良くなるポイントの運転条件(ちなみに、副室への燃料ガス供給圧力、点火時期、空気過剰率)を設定した際のエンジンの燃費を計測した結果を示す。
ピストンの下死点基準の圧縮比Crが14の場合には、本発明によれば、噴口面積比fは3.9 〜4.8 (3.9 ≦f≦4.8 )となるが、噴口面積比が3.8 〜4.8 の範囲にあれば、図2の場合と同様に、最も燃費が良くなる点からの燃費の増加を概ね3%以内に抑えることが可能である。
【0024】
図4は、主室の容積をそのままにして、ピストンのストロークを大きくすることにより、ピストンの下死点基準の圧縮比Crを15に増加させたエンジンにおいて、噴口面積比fを3.0 、3.5 、4.0 、4.5 、5.0 、5.5 、6.0 として、それぞれ燃費が最も良くなるポイントの運転条件(ちなみに、副室への燃料ガス供給圧力、点火時期、空気過剰率)を設定した際のエンジンの燃費を計測した結果を示す。
ピストンの下死点基準の圧縮比Crが15の場合には、図2の例で説明した如く、本発明によれば、噴口面積比fは4.3 〜5.2 (4.3 ≦f≦5.2 )となるが、噴口面積比が4.3 〜5.2 の範囲にあれば、最も燃費が良くなる点からの燃費の増加を概ね3%以内に抑えることが可能である。
【0025】
これらの本発明を適用した具体例からもわかるように、本発明によれば、噴口面積比fを、エンジンの設計・製造において、エンジンの燃費の向上を図れる状態に的確に設定できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】副室式希薄燃焼エンジンの要部縦断面図
【図2】ピストンの下死点基準の圧縮比Crを主室容積の小型化によって15にしたエンジンの燃費と噴口面積比との関係を示す図
【図3】ピストンの下死点基準の圧縮比Crを主室容積の小型化によって14にしたエンジンの燃費と噴口面積比との関係を示す図
【図4】ピストンの下死点基準の圧縮比Crをピストンのストロークの長大化によって15にしたエンジンにおけるエンジンの燃費と噴口面積比との関係を示す図
【符号の説明】
2 主室
3 ピストン
7 副室
10 噴口
Claims (3)
- ピストンの下死点基準の圧縮比Crが14以上で、ピストンの下死点基準の膨張比が実圧縮比よりも大きい副室式希薄燃焼ガスエンジンにおいて、
副室と主室とを結ぶ複数の噴口の面積の総和である総噴口面積と副室容積との比である噴口面積比f(f=総噴口面積mm2 /副室容積cc)を、前記ピストンの下死点基準の圧縮比Crとの関係において下記の範囲に設定した副室式希薄燃焼ガスエンジン。
2.7 +0.4 ×(Cr−11)≦f≦ 3.6 +0.4 ×(Cr−11) - 前記副室容積を、ピストン上死点時の燃焼室容積の2〜4%に設定した請求項1記載の副室室希薄燃焼ガスエンジン。
- 前記副室容積を、ピストン上死点時の燃焼室容積の2. 5〜3.5%に設定した請求項1記載の副室室希薄燃焼ガスエンジン。
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