JP6252647B1 - 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、燃焼騒音の抑制、NOx排出量の低減、及び、熱効率の向上を図る。【解決手段】エンジン1は、エンジン本体10と、インジェクタ6と、燃焼室17の中央側に臨む電極71を有しかつ、該電極71から火花を放電するように構成された点火プラグ7と、インジェクタ6及び点火プラグ7に対して信号を出力するよう構成されたPCM100と、を備える。エンジン本体10は、幾何学的圧縮比が16以上に設定されており、PCM100は、エンジン本体10の負荷が第2運転領域Bにあるとき、燃焼室17において電極71を含んだ領域R1に形成される第1混合気G1の空燃比が、着火時点において、理論空燃比よりもリーンかつ、第1混合気G1よりも外周側の領域R2に形成される第2混合気G2の空燃比よりもリーンになるようにインジェクタ6へ信号を出力する。【選択図】図7
Description
ここに開示する技術は、予混合圧縮着火式エンジンの制御装置に関する。
従来、ガソリンを含んだ燃料をシリンダ内に供給しかつ、その燃料と空気との混合気を圧縮着火により燃焼させるよう構成された予混合圧縮着火式エンジンが知られている。
具体的に、特許文献1には、予混合圧縮着火式エンジンの制御装置の一例として、点火プラグから放電した火花によって混合気を強制的に着火させて、その火炎伝播に伴う燃焼室の高温化をきっかけにして、混合気が圧縮着火燃焼(Compression Ignition:CI燃焼)をすることが開示されている。
ところが、本願発明者等は、前記特許文献1に記載された、着火アシストを伴うCI燃焼において、燃焼騒音の抑制、NOx排出量の低減、及び、熱効率の向上(つまり、燃費の向上)の全てを実現するような構成を見出した。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、燃焼騒音の抑制、NOx排出量の低減、及び、熱効率の向上を図ることにある。
本願発明者等は、火花点火をきっかけにした火炎伝播による燃焼(Spark Ignition:SI燃焼)とCI燃焼とを組み合わせた新しい燃焼形態(以下、「SI+CI燃焼」という)を成立させた。SI燃焼は着火制御性に有利である一方、CI燃焼は熱効率の向上に有利であるから、SI燃焼からCI燃焼に繋がる燃焼を行うようにした。SI燃焼は、燃焼室内の混合気のうち、点火プラグ周辺の混合気に対して火花点火を行うようになっている。そこで、本願発明者等は、点火プラグ周辺の混合気の空燃比をリーンにすれば、単位体積あたりの発熱量が小さくなるため、SI燃焼による燃焼温度の上昇が抑えられ、RawNOxの増大が抑制されると共に、火炎伝播による長い燃焼期間が確保され、NOx低減と燃焼騒音の抑制との両立が可能になる点に着目した。その一方で、空燃比がリーンになると、混合気の火炎伝播それ自体が抑制されてしまうため、圧縮着火をアシストする上で不都合となり得る。そこで、空燃比をリーンにしつつも、火炎伝播が十分に行われるような構成が必要となる。
ここに開示する技術は、予混合圧縮着火式エンジンの制御装置に係る。この制御装置は、シリンダヘッドの天井部と、シリンダブロックに設けられたシリンダと、前記シリンダ内を往復動するピストンとによって区画される燃焼室を有して構成されたエンジン本体と、前記燃焼室内に燃料を噴射するよう構成されたインジェクタと、前記燃焼室の中央側に臨む電極を有しかつ、該電極から火花を放電するように構成された点火プラグと、前記インジェクタ及び前記点火プラグに対して信号を出力するよう構成された制御部と、を備える。
そして、前記エンジン本体は、幾何学的圧縮比が16以上に設定されており、前記制御部は、前記エンジン本体の負荷が所定の部分負荷域にあるとき、前記燃焼室において前記電極を含んだ領域に形成される第1混合気の空燃比が、着火時点において、理論空燃比よりもリーンかつ、前記燃焼室において前記第1混合気よりも外周側の領域に形成される第2混合気の空燃比よりもリーンになるように前記インジェクタへ信号を出力すると共に、前記点火プラグから放電された火花によって前記第1混合気が着火をして火炎伝播する共に、燃焼後半には、前記第2混合気が圧縮着火燃焼をする。
ここで、「燃焼室」は、ピストンが圧縮上死点に至ったときに形成される空間の意味に限定されない。「燃焼室」の語は広義で用いる場合がある。つまり、ピストンの位置に拘わらず、ピストン、シリンダ、及び、シリンダヘッドによって形成される空間を意味する場合がある。
この構成によると、制御部は、インジェクタ及び点火プラグに対して出力した信号を介して、SI+CI燃焼を実現する。具体的に、燃焼室内において、第1混合気がSI燃焼を開始すると、その火炎伝播によって筒内温度が高まって、燃焼後半に、第2混合気がCI燃焼をする。第1混合気はSI燃焼をするため、その燃焼期間が長くなる。燃焼期間が長くなった分、筒内圧力が緩慢に上昇するようになるから、そのことで、燃焼騒音を抑制することが可能になる。
ここで、制御部は、第1混合気の空燃比が、理論空燃比、及び、第2混合気の空燃比よりもリーンになるようにインジェクタへ信号を出力する。点火プラグまわりをリーンにすることで、前述の如く、SI燃焼による燃焼温度の上昇が抑えられて、ひいては、NOxの発生を抑制することが可能になる。
また、第2混合気は、第1混合気よりも相対的にリッチに設定されているから、混合気全体が燃焼したときに発生する熱量のうち、第2混合気のCI燃焼によって発生する熱量の割合を比較的大きくすることが可能になる。このことは、熱効率を相対的に高く保ち、ひいては、燃費の向上を図る上で有効である。
その一方で、第1混合気における火炎伝播は、空燃比がリーンになるにつれて抑制される。このことは、SI+CI燃焼を実現する上で不都合となる。
しかし、本願発明者等は、前記のように構成された制御装置において、さらに、エンジン本体の幾何学的圧縮比が16以上に設定されていれば、第1混合気を十分に火炎伝播させることができる、ということを見出した。
すなわち、幾何学的圧縮比は、前記の範囲内に設定された場合には比較的大きくなるから、その分だけ、エンジンの高圧縮化が実現される。これにより、ピストンが上死点へ至ったときの筒内温度が高まる。筒内温度が高まると、第1混合気が着火したときに、その火炎が伝播し易くなる、と考えられる。その結果、空燃比がリーンでありながらも、火炎伝播が十分に行われるような構成を実現することができる。これにより、第2混合気の圧縮着火を十分にアシストすることが可能になる。
このように、前記の構成によれば、混合気の火炎伝播を損なうことなく、SI+CI燃焼を実現することが可能になる。
また、エンジンの高圧縮化は、エンジンの高膨張化を意味する。エンジンの高膨張化は、膨張行程において、燃焼室の体積膨張割合が比較的大きくなることを意味している。そのため、エンジンが効率的に仕事を行うためには、燃焼を可及的に速やかに終えることが求められる。
しかし、前述の如く、第1混合気において十分な火炎伝播燃焼が行われることによって、第2混合気がCI燃焼を行うタイミングを適切に設定することができる。そのことで、膨張行程中のCI燃焼を適切に終了させ、ひいては、燃費の向上を図る上で有利になる。
さらに、前記の構成によると、第1混合気をリーンにすることによって、熱効率が向上する。このことは、SI燃焼に係る燃費の向上を図る上で有効である。
かくして、前記の構成によれば、燃焼騒音の抑制、NOx排出量の低減、及び、熱効率の向上(燃費の向上)の全てを実現することができる。
また、前記制御部は、前記インジェクタが、前記燃焼室の全域に燃焼を拡散させる第1噴射と、該第1噴射の後、前記燃焼室の一部に燃料を偏在させる第2噴射とを実行するよう、前記インジェクタへ信号を出力し、前記第1噴射により噴射された燃料が、前記第1混合気を形成する一方、前記第1噴射により噴射された燃料と、前記第2噴射により噴射された燃料とが、前記第2混合気を形成するように構成されている、としてもよい。
この構成は、第1混合気と第2混合気との間で空燃比を異ならせた上で、それらの混合気を、互いに異なる箇所に形成する上で有効である。
さらに、前記インジェクタは、吸気行程から圧縮行程前期までの期間内に前記第1噴射を実行し、該第1噴射以降から圧縮行程中期までの期間内に前記第2噴射を実行する、としてもよい。
この構成によると、第1噴射により噴射させた燃料を燃焼室の全域に拡散させたり、第2噴射により噴射させた燃料を燃焼室の一部に偏在させたりする上で有利になる。このことは、第1混合気と第2混合気との間で空燃比を異ならせた上で、それらの混合気を、互いに異なる箇所に形成するのに有効である。
また、前記制御部は、前記エンジン本体の負荷が高まるにつれて、前記第1混合気の空燃比がリッチ側にシフトするよう、前記インジェクタへ信号を出力する、としてもよい。
通常、エンジン本体の負荷が高まるにつれて、燃料の噴射量が増大する。
この構成によると、燃料の噴射量を増やすときに、第1混合気の空燃比をリッチ側にシフトさせる。これにより、例えば第2混合気の空燃比のみを調整する構成と比較すると、第1混合気の空燃比がリッチになった分だけ、火炎伝播が促される。これにより、第2混合気の圧縮着火をアシストする上で有利になる。
さらに、前記制御部は、所定の点火タイミングで放電するように前記点火プラグへ信号を出力し、前記制御部はまた、前記第1混合気の空燃比がリーン側にシフトするにつれて、前記点火タイミングを進角させる、としてもよい。
前述の如く、第1混合気の空燃比がリーンになるにつれて、火炎伝播は抑制される。
この構成によると、火炎伝播が抑制された分、点火タイミングを早めに設定する。これにより、第1混合気において、より確実に火炎伝播させることが可能になる。
また、前記制御部は、前記点火タイミングを圧縮上死点以前に設定するよう構成されている、としてもよい。
この構成によると、点火タイミングを設定する上で、適切な構成が得られる。
さらに、前記制御部は、前記エンジン本体の負荷にかかわらず、前記第2混合気の空燃比が一定に保たれるよう、前記インジェクタへ信号を出力する。
この構成によると、制御部は、エンジン本体の負荷が変動したときに、第1混合気の空燃比を変更する一方、第2混合気の空燃比を一定に保つ。これにより、第2混合気の空燃比を、例えば理論空燃比に保つことで、未燃燃料の発生を抑制する上で有利になる。
また、前記エンジン本体は、幾何学的圧縮比が35以下に設定されている、としてもよい。
この構成によると、幾何学的圧縮比を設定する上で、適切な構成が得られる。
また、前記燃焼室内に既燃ガスを導入するように構成されたEGRシステムを備え、
前記制御部は、前記エンジン本体が前記所定の部分負荷域にあるときに、前記燃焼室内に既燃ガスを導入するよう、前記EGRシステムへ信号を出力する、としてもよい。
前記制御部は、前記エンジン本体が前記所定の部分負荷域にあるときに、前記燃焼室内に既燃ガスを導入するよう、前記EGRシステムへ信号を出力する、としてもよい。
この構成によると、制御部は、燃焼室内に既燃ガスを導入するような、信号を出力する。既燃ガスを導入することにより、燃焼温度を低減し、NOxの生成を抑制することが可能になる。
ここに開示する別の技術は、予混合圧縮着火式エンジンの制御装置に係る。この制御装置は、シリンダヘッドの天井部と、シリンダブロックに設けられたシリンダと、前記シリンダ内を往復動するピストンとによって区画される燃焼室を有して構成されたエンジン本体と、前記燃焼室内に燃料を噴射するよう構成されたインジェクタと、前記燃焼室の中央側に臨む電極を有しかつ、該電極から火花を放電するように構成された点火プラグと、前記インジェクタ及び前記点火プラグに対して信号を出力するよう構成された制御部と、を備える。
前記エンジン本体は、幾何学的圧縮比が16以上に設定されており、前記制御部は、前記エンジン本体の負荷が所定の部分負荷域にあるとき、前記インジェクタが、前記燃焼室の全域に燃焼を拡散させる第1噴射と、該第1噴射の後、前記燃焼室の一部に燃料を偏在させる第2噴射とを実行するよう、前記インジェクタへ信号を出力し、前記第1噴射により噴射された燃料が、前記燃焼室において前記電極を含んだ領域に、理論空燃比よりもリーンな第1混合気を形成する一方、前記第1噴射により噴射された燃料と前記第2噴射により噴射された燃料とが、前記燃焼室において前記第1混合気よりも外周側の領域に第2混合気を形成する。
そして、前記インジェクタは、吸気行程から圧縮行程前期までの期間内に前期第1噴射を実行し、該第1噴射以降から圧縮行程中期までの期間内に前期第2噴射を実行する。
この構成によれば、混合気の火炎伝播を損なうことなく、SI+CI燃焼を実現することが可能になる。そのことで、燃焼騒音の抑制、NOx排出量の低減、及び、熱効率の向上(燃費の向上)の全てを実現することができる。
以上説明したように、前記予混合圧縮着火式エンジンの制御装置によると、燃焼騒音の抑制、NOx排出量の低減、及び、熱効率の向上の全てを実現することができる。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明は例示である。
〈エンジンの全体構成〉
図1は、実施形態に係る予混合圧縮着火式エンジンの制御装置が適用されたエンジン1の概略構成を示し、図2は、その制御に係る構成を示すブロック図である。このエンジン1は、多気筒のガソリンエンジンである。ここで、エンジン1の燃料は、本実施形態ではガソリンであるが、バイオエタノール等を含むガソリンであってもよく、少なくともガソリンを含む液体燃料であれば、どのような燃料であってもよい。
図1は、実施形態に係る予混合圧縮着火式エンジンの制御装置が適用されたエンジン1の概略構成を示し、図2は、その制御に係る構成を示すブロック図である。このエンジン1は、多気筒のガソリンエンジンである。ここで、エンジン1の燃料は、本実施形態ではガソリンであるが、バイオエタノール等を含むガソリンであってもよく、少なくともガソリンを含む液体燃料であれば、どのような燃料であってもよい。
図示しないが、エンジン1は、過給機付きのエンジンであってもよい。過給機の構成は、特に限定されず、排気エネルギによって駆動するターボ過給機、及び、エンジン1によって直接的に駆動される機械式過給機のいずれであってもよい。また、エンジン1は、自然吸気エンジンであってもよい。
エンジン1は、エンジン本体10、エンジン本体10に付随する様々なアクチュエータ、様々なセンサ、及び、該センサからの信号に基づきアクチュエータを制御するPCM(パワートレイン・コントロール・モジュール)100を含む。尚、PCM100は、「制御部」の例示である。
エンジン本体10は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えており、シリンダブロック12の内部には、複数のシリンダ11が形成されている(図1では、1つのみを示す)。各シリンダ11内には、ピストン16が摺動自在に嵌挿されており、各ピストン16は、コネクティングロット14を介してクランクシャフト15に連結されている。ピストン16は、シリンダ11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画している。尚、「燃焼室」は、ピストン16が圧縮上死点に至ったときに形成される空間の意味に限定されない。「燃焼室」の語は広義で用いる場合がある。つまり、ピストン16の位置に拘わらず、ピストン16、シリンダ11、及び、シリンダヘッド13によって形成される空間を意味する場合がある。
本実施形態では、燃焼室17の天井面170(シリンダヘッド13の天井部)は、三角屋根状(いわゆるペントルーフ形状)をなしている。すなわち、燃焼室17は、ペントルーフ型の燃焼室である。
具体的に、燃焼室17の天井面170は、吸気ポート18が開口しかつ、シリンダ11の中央に向かって登り勾配となった吸気側天井面171と、排気ポート19が開口しかつ、シリンダ11の中央に向かって登り勾配となった排気側天井面172と、を備えて構成されている。吸気側天井面171と排気側天井面172とは、クランクシャフト15の軸方向に延びる谷部において繋がっている。この谷部は、ペントルーフの稜線を成しており、図1に示す例では、シリンダ11のボア中心に一致している。尚、ペントルーフの稜線は、シリンダ11のボア中心に一致する場合、及び、一致しない場合の両方があり得る。
ピストン16の頂面160には、凹状のキャビティ161が形成されている。キャビティ161は、ピストン16の中央に形成されている。キャビティ161は、実質的に浅皿状に形成されており、その中央部は、天井面170に向かって隆起している。詳しくは、キャビティ161の周縁部161cは、略円環状に凹陥している。その一方で、キャビティ161の周縁部161cよりも中央側部分は、ピストン16の中央に向かって隆起するよう形成されている。
燃焼室17は、前述の天井面170、ピストン16の頂面160、及び、シリンダ11のボア面によって構成される。エンジン本体10は、幾何学的圧縮比が16以上、具体的には20に設定されている。すなわち、エンジン1の幾何学的圧縮比は、比較的高い。
図1には1つのみ示すが、シリンダヘッド13には、1つのシリンダ11毎に2つの吸気ポート18が形成されている。各吸気ポート18は、シリンダヘッド13に配設された吸気弁21によって開閉される。吸気弁21は、吸気弁駆動機構により駆動され、所定のタイミングで往復動する。吸気弁駆動機構は、図示は省略するが、クランクシャフト15に駆動連結された吸気カムシャフトを有している。吸気カムシャフトは、クランクシャフト15の回転と同期して回転する。吸気弁駆動機構は、この例では、吸気カムシャフトの位相を所定の角度範囲内で連続的に変更可能な、液圧式又は電動式の位相可変機構(Variable Valve Timing:VVT)23を、少なくとも含んで構成されている。
同様に、シリンダヘッド13には、1つのシリンダ11毎に2つの排気ポート19が形成されている。各排気ポート19は、シリンダヘッド13に配設された排気弁22によって開閉される。排気弁22は、排気弁駆動機構により駆動され、所定のタイミングで往復動する。排気弁駆動機構は、図示は省略するが、クランクシャフト15に駆動連結された排気カムシャフトを有している。排気カムシャフトは、クランクシャフト15の回転と同期して開展する。排気弁駆動機構は、この例では、排気カムシャフトの位相を所定の角度範囲内で連続的に変更可能な、液圧式又は電動式の位相可変機構(Variable Valve Timing:VVT)24を、少なくとも含んで構成されている。
各シリンダ11の吸気ポート18は、図1において明示されない吸気マニホールドを介して吸気通路30に連通している。吸気通路30には、各シリンダ11への吸入空気量を調節するスロットル弁31が配設されている。
エンジン1は、既燃ガスをシリンダ11内に再導入するよう構成されたEGRシステム50も備えて構成されている。本実施形態では、EGRシステム50は、いわゆる外部EGRシステムとして構成されている。具体的に、図1に示すように、吸気通路30におけるスロットル弁31の下流側部分と、排気通路40とが、排気ガスの一部を吸気通路30へ還流するためのEGR通路51によって接続されている。EGR通路51には、排気ガスの吸気通路30への還流量を調整するためのEGR弁52と、排気ガスを冷却するための、水冷式のEGRクーラ53とが配設されている。EGRシステム50は、EGR通路51、EGR弁52、及び、EGRクーラ53を含んで構成されている。尚、EGRシステム50は、こうした外部EGRシステムに限られない。EGRシステム50には、シリンダ11内の既燃ガスの一部を、実質的にシリンダ11内に留める内部EGRシステムが含まれる。
各シリンダ11の排気ポート19は、同様に明示されない排気マニホールドを介して排気通路40に連通している。排気通路40には、排気ガス中の有害成分を浄化する触媒コンバータ(不図示)が配設されている。触媒コンバータは、EGR通路51との接続箇所よりも下流側部分に配設されている。触媒コンバータは、三元触媒を内蔵しており、排気通路40を通過する排気ガス中に含まれる有害成分(HC、CO、NOx)の浄化機能を有している。但し、触媒は、三元触媒に限定されない。
また、シリンダヘッド13には、シリンダ11内(つまり、燃焼室17内)に燃料を直接噴射するインジェクタ6が取り付けられている。インジェクタ6は、吸気側天井面171と排気側天井面172とが繋がっているペントルーフの稜線上に配設されており、その噴射軸心が、シリンダ11の軸線に沿うように配設されている。尚、インジェクタ6の噴射軸心は、シリンダ111の軸線と一致する場合、及び、シリンダ11の軸線からずれる場合の両方がある。
また、インジェクタ6の噴射先端は、燃焼室17内に臨んでおり、ピストン16のキャビティ161の山部に対向している。
インジェクタ6は、例えば外開式の燃料噴射弁である。詳細は省略するが、インジェクタ6は、ノズル口が形成されたノズル本体と、ノズル口を開閉するようにリフトする外開弁とを有している。インジェクタ6は、外開弁を介してノズル口を開放することにより、シリンダ11の中心軸を中心としたコーン状(詳しくはホローコーン状)に燃料を噴射する。そのコーンのテーパ角(噴霧角)は、本実施形態では、90°〜100°である。インジェクタ6は、外開弁のリフト量を調整することにより、ノズル口から噴射する燃料噴霧の粒径を変更することが可能である。
尚、外開式のインジェクタに限らず、VCO(Valve Covered Orifice)ノズルタイプのインジェクタであってもよい。VCOノズルタイプのインジェクタも、ノズル口に発生するキャビテーションの度合いを調整することにより、噴射する燃料噴霧の粒径を変更することが可能である。
さらに、インジェクタ6は、その噴射先端に複数の噴孔が設けられかつ、所定の噴霧角で燃料を噴射するマルチホールタイプのインジェクタとしてもよいし、ホロ−コーン状に燃料を噴射するスワールインジェクタとしてもよい。インジェクタ6は、どのような構成であってもよい。
燃料供給システム67は、インジェクタ6を駆動するための電気回路と、インジェクタ6へ燃料を供給する燃料供給系とを備えている。PCM100は、リフト量に応じた電圧を有する噴射信号を、所定のタイミングで電気回路へ出力する。この電気信号が、電気回路を介してインジェクタ6の外開弁を作動させて、シリンダ11内に所望量の燃料を噴射させる。尚、噴射信号の非出力時(噴射信号の電圧が0であるとき)には、外開弁によりノズル口が閉じられた状態となる。以下の記載において、インジェクタ6の作動を制御するべく、PCM100が燃料供給システム67へ信号を出力することを、単に、「インジェクタ6へ信号を出力する」という。
また、燃料供給系には、図示省略の高圧燃料ポンプや、コモンレールが設けられている。高圧燃料ポンプは、低圧燃料ポンプを介して燃料タンクより供給されてきた燃料をコモンレールに圧送する。コモンレールは、その圧送された燃料を所定の燃料圧力で蓄える。そして、インジェクタ6が作動する(本実施形態では外開弁がリフトされる)ことによって、コモンレールに蓄えられている燃料がノズル口から噴射される。
詳しくは後述するが、このエンジン1は、シリンダ11内に形成した混合気を圧縮着火により燃焼させるように構成されている。そうした構成を実現するべく、エンジン1のシリンダヘッド13には、所定の部分負荷域において混合気の着火をアシストするための、放電電極としての点火プラグ7が取り付けられている。
点火プラグ7は、燃焼室17の中央側(具体的には、ピストン16のキャビティ161)に臨む電極71を有しかつ、該電極71から火花を放電するように構成されている。詳しくは、点火プラグ7の先端部は、燃焼室17の天井面170から突出しており、燃焼室17内に臨んでいる。この先端部は、図示の関係上、図1ではずらして描いているが、実際は、吸気ポート18と排気ポート19の間でかつ、インジェクタ6のノズル口の近傍に位置している。点火プラグ7の先端部には、棒状の電極71が設けられている。この電極71は、燃焼室17の中央側に臨むように配設されており、シリンダヘッド13やシリンダブロック12から電気的に絶縁された状態で、燃焼室17内に突出している。電極71は、所定の電気回路によって印加された電圧を受けて、燃焼室17内に放電する。
PCM100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
PCM100は、少なくとも、車速センサ81からの車速信号、アクセル開度センサ82からのアクセル開度信号、エアフローセンサ84からの吸気流量に関する信号、クランク角センサ85からのクランク角パルス信号、カム角センサ86からカムシャフトパルス信号、及び、水温センサ87からの冷却水温を示す信号を、それぞれ受ける。
PCM100は、各センサからの信号に基づいて、要求トルクの演算や、エンジン1の負荷の予測等を行う。尚、過給機付きエンジンにおいては、PCM100には、さらに、過給圧を検出する過給圧センサが接続され、PCM100は、過給圧センサから過給圧を示す信号を受ける。
PCM100は、演算した要求トルク等に基づいて、スロットル開度信号、燃料噴射パルス、バルブ位相角信号等といった、エンジン1の制御パラメータを計算する。そして、PCM100は、各制御パラメータに対応する信号を、吸気VVT23、排気VVT24、スロットル弁31、EGR弁52、燃料供給システム67、及び、点火プラグ7等へ出力する。
前述したように、エンジン本体10は、幾何学的圧縮比が20に設定されている。幾何学的圧縮比は、16以上とすればよく、特に、16以上35以下が好ましい。圧縮比が高いほど膨張比も高くなるため、エンジン1は、高圧縮比と同時に、比較的高い膨張比を有するエンジンでもある。このエンジン1は、基本的には、全運転領域でシリンダ11内に形成した混合気を圧縮着火により燃焼させるよう構成されている。圧縮着火燃焼は、言い換えると、CAI(Controlled Auto Ignition)燃焼である。高い幾何学的圧縮比によって、圧縮着火燃焼が安定化する。
〈エンジンの運転制御〉
図3は、エンジン1の運転領域を例示している。エンジン1の運転領域は、負荷の高低に応じて、第1運転領域Aと、第2運転領域Bとの2つに分けられている。第1運転領域Aは、エンジン本体10の負荷が、図3に実線で示す所定の負荷よりも低い低負荷側の運転領域である。そして、第2運転領域Bは、第1運転領域Aよりも高負荷側の運転領域である。尚、第2運転領域Bは、「部分負荷域」の例示である。
図3は、エンジン1の運転領域を例示している。エンジン1の運転領域は、負荷の高低に応じて、第1運転領域Aと、第2運転領域Bとの2つに分けられている。第1運転領域Aは、エンジン本体10の負荷が、図3に実線で示す所定の負荷よりも低い低負荷側の運転領域である。そして、第2運転領域Bは、第1運転領域Aよりも高負荷側の運転領域である。尚、第2運転領域Bは、「部分負荷域」の例示である。
PCM100は、前述したように、吸気VVT23、排気VVT24、スロットル弁31、及び、EGR弁52に対し、エンジン本体10の運転状態に応じた信号を出力する。これによって、燃焼室17内のガス状態が、エンジン本体10の運転状態に応じて調整される。尚、EGRシステム50は、エンジン本体10の運転領域の全域において、燃焼室17内に排気ガスを導入する。排気ガスを導入することにより、燃焼温度を低減し、NOxの生成を抑制することが可能になる。
また、PCM100は、第1運転領域A、及び、第2運転領域Bのそれぞれにおいて、燃焼室17内への燃料噴射の形態を異ならせる。以下、各領域A、Bにおける噴射形態について詳述する。
−第1運転領域Aにおける噴射形態−
図4は、第1運転領域の所定負荷における燃料噴射、及び、その燃料噴射に応じた熱発生率を例示した図である。図4は、左から右に向かってクランク角が進む。燃料噴射は、符号Fを付した四角によって図示されており、その面積が燃料の噴射量を示し、四角の位置が噴射タイミングを示している。また、その燃料噴射Fに応じた熱発生率には、符号Qが付されている。
図4は、第1運転領域の所定負荷における燃料噴射、及び、その燃料噴射に応じた熱発生率を例示した図である。図4は、左から右に向かってクランク角が進む。燃料噴射は、符号Fを付した四角によって図示されており、その面積が燃料の噴射量を示し、四角の位置が噴射タイミングを示している。また、その燃料噴射Fに応じた熱発生率には、符号Qが付されている。
第1運転領域Aにおいて、PCM100は、一般的なCI燃焼を実行するように、インジェクタ6に対して信号を出力する。インジェクタ6は、PCM100から出力された信号を受けて、1回の燃料噴射Fを実行する。
具体的に、PCM100は、インジェクタ6に対して信号を出力することにより、吸気行程以降の所定タイミングにおいて、キャビティ161内へ燃料を噴射させる。図4の下側に示したように、この1回の燃料噴射Fによって噴射された燃料と、吸気通路30から導入された空気(既燃ガスを含んでいてもよい)とから形成された混合気Gが、ピストン16の圧縮作用により高温かつ、高圧化して、圧縮上死点付近で同時多発的に着火して燃焼する。こうして、図4の波形Qに示すような熱が発生する。
−第2運転領域Bにおける噴射形態−
CI燃焼は、熱効率が相対的に高く、燃費に優れているものの、エンジン1の負荷が高くなるにつれて、圧縮着火時の圧力変動が激しくなり、ひいては、燃焼騒音が増大してしまう、という不都合がある。
CI燃焼は、熱効率が相対的に高く、燃費に優れているものの、エンジン1の負荷が高くなるにつれて、圧縮着火時の圧力変動が激しくなり、ひいては、燃焼騒音が増大してしまう、という不都合がある。
そこで、PCM100は、高負荷側の第2運転領域Bにおいては、いわゆる着火アシストを伴うCI燃焼を実行するよう構成されている。
具体的に、PCM100は、インジェクタ6が燃焼噴射を実行した後に、点火プラグ7(具体的には、点火プラグ7の電極71)が火花を放電するように、インジェクタ6及び点火プラグ7に対して信号を出力する。この場合、混合気が強制的に着火されて、火炎伝播が生じる。その火炎伝播による燃焼室17の高温化をきっかけにして、混合気が圧縮着火を開始する。
本願発明者等は、そうした着火アシストを伴うCI燃焼において、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせた新しい燃焼形態(SI+CI燃焼)を成立させた。SI燃焼は着火制御性に有利である一方、CI燃焼は熱効率の向上に有利であるから、SI燃焼からCI燃焼に繋がる燃焼を行うようにした。SI燃焼は、燃焼室17内の混合気のうち、点火プラグ7の電極71周辺の混合気に対して火花点火を行うようになっている。そこで、本願発明者等は、電極71周辺の混合気の空燃比をリーンにすれば、単位体積あたりの発熱量が小さくなるため、SI燃焼による燃焼温度の上昇が抑えられ、RawNOxの増大が抑制されると共に、火炎伝播による燃焼期間が長くなって、燃焼騒音の抑制が可能になる点に着目した。
本実施形態に係るPCM100は、エンジン本体10の負荷が第2運転領域Bにあるとき、そうした燃焼形態を実現するための混合気が形成されるよう、インジェクタ6に対して信号を出力する。
具体的に、PCM100は、エンジン本体10の負荷が第2運転領域Bにあるとき、燃焼室17において電極71を含んだ中央側領域R1に形成される第1混合気G1の空燃比が、着火時点において、理論空燃比(空気過剰率をλとすると、λ=1)よりもリーンかつ、燃焼室17において第1混合気G1よりも外周側の外周側領域R2に形成される第2混合気G2の空燃比よりもリーンになるようにインジェクタ6へ信号を出力する。
以下、第2運転領域Bにおける混合気の形態について、詳細に説明する。
図5は、第2運転領域Bにおける混合気の形成手順を示す説明図である。また、図6は、第2運転領域Bにおける混合気の形成領域を示す概略図である。図5は、上から下に向かってクランク角が進むことを示しており、図5の(1)〜(4)は、それぞれ、燃焼室17内の状態を、クランク角の進行に応じて概念的に示している。図5の(1)は、吸気行程中の燃焼室17内の状態を示しており、図5の(2)〜(4)は、圧縮行程中の燃焼室17内の状態を示している。
図5の(1)に示すように、インジェクタ6は、PCM100からの信号を受けて、燃焼室17の全域に燃料を拡散させる燃料噴射(以下、「第1噴射」という)F1を1回行う。インジェクタ6は、吸気行程から圧縮行程前期までの期間内に、第1噴射F1を行う。圧縮行程における前期は、圧縮行程を前期と、中期と、後期とに三等分したときの前期である。
図5の(2)に示すように、インジェクタ6が第1噴射F1を行うことで、燃焼室17内の全体には、希薄かつ、均質又はほぼ均質な混合気が形成される。この混合気の空燃比は、少なくとも着火時点において、理論空燃比よりもリーンになるように設定される(λ>1)。
尚、好ましくは、第1噴射F1は、吸気行程の前半に行われる。吸気行程の前半は、吸気行程を前半と後半とに二等分したときの前半である。こうすることで、吸気ポート18から燃焼室17へ流入する空気の流速が比較的高くなるようなタイミングで、第1噴射F1を行うことが可能になる。このことは、第1噴射F1によって噴射された燃料を、燃焼室17内に均質に拡散させる上で有効である。
図5の(3)に示すように、第1噴射F1の後、インジェクタ6は、PCM100からの信号を受けて、燃焼室17の一部に燃料を偏在させる燃料噴射(以下、「第2噴射」という)F2を1回行う。インジェクタ6は、第1噴射以降から圧縮行程中期までの期間内に、第2噴射F2を実行する。圧縮行程における中期は、圧縮行程を前期と、中期と、後期とに三等分したときの中期である。
第2噴射F2によって噴射された燃料は、キャビティ161の周縁部161cへ至る。周縁部161cへ至った燃料は、該周縁部161cに沿って天井面170側へ向かって流れる。これにより、第2噴射F2によって噴射された燃料は、キャビティ161の外周囲へ至る。
図5の(4)に示すように、第1噴射F1によって噴射された燃料と、第2噴射F2によって噴射された燃料とが合わさって、キャビティ161の外周囲に、比較的リッチな混合気が形成される。
すなわち、図6に示すように、第1噴射F1により噴射された燃料は、燃焼室17において点火プラグ7の電極71を含んだ中央側領域R1に、少なくとも着火時点において理論空燃比よりもリーンになるように設定された第1混合気G1を形成する。
その一方で、第1噴射F1により噴射された燃料と、第2噴射F2により噴射された燃料とは、燃焼室17において第1混合気G1よりも外周側の外周側領域R2に、第2混合気G2を形成する。第2混合気G2は、第1混合気G1を形成している燃料と、第2噴射F2により噴射された燃料とが合わさって形成されているから、第1混合気G1よりもリッチになる。本実施形態では、第2混合気G2の空燃比は、少なくとも着火時点において、理論空燃比になるように調整されている(λ=1)。
前述の如く、点火プラグ7の電極71まわりには、比較的リーンな第1混合気G1が形成されている。点火プラグ7は、PCM100からの信号を受けて、その第1混合気G1に対して火花点火を行う。
図7の(a)は、第2運転領域Bの所定の負荷域(以下、単に「低負荷域」という)における燃料噴射と、その燃料噴射に応じた熱発生率とを例示した図であり、(b)は、第2運転領域Bにおいて(a)よりも高負荷側の負荷域(以下、単に「中負荷域」という)における燃料噴射と、その燃料噴射に応じた熱発生率とを例示した図であり、(c)は、第2運転領域Bにおいて(b)よりも高負荷側の負荷域(以下、単に「高負荷域」という)における燃料噴射と、その燃料噴射に応じた熱発生率とを例示した図である。図7の(a)〜(c)は、それぞれ、左から右に向かってクランク角が進む。各図において、燃料噴射は、符号を付した四角によって図示されており、その四角の面積が燃料の噴射量を示し、四角の位置が噴射タイミングを示している。図4とは異なり、図7の(a)〜(c)には、それぞれ、2つの四角が図示されている。2つの四角のうちの一方が第1噴射F1を示し、他方が第2噴射F2を示している。また、(a)〜(c)のそれぞれにおける熱発生率(符号Qa、Qb、Qcを付す)は、実質的な凸形状を成す波形によって図示されている。
例えば図7の(a)には、吸気行程の前期から中期にかけてのタイミングで第1噴射F1が行われていること、及び、その第1噴射F1の後、圧縮行程の中期付近のタイミングで第2噴射F2が行われていること、が図示されている。第1噴射F1によって燃料が燃焼室17の全体に拡散すること、及び、第2噴射F2によって燃焼室17内に第1混合気G1と第2混合気G2とが配置されることは、図7下段の左図、及び、中央図にも概略的に示す。
第2噴射F2が行われた後、燃焼室17内の第1混合気G1が、所定の点火タイミングTaで着火される(図7下段の右図も参照)。つまり、PCM100は、所定の点火タイミングTaで放電するように点火プラグ7へ信号を出力し、点火プラグ7の電極71は、その信号を受けて、点火タイミングTaにおいて火花を放電する。
第1混合気G1が着火すると、該第1混合気G1において火炎伝播が生じるようになっている。第1混合気G1は、その火炎伝播を主体としたSI燃焼によって燃焼する。第1混合気G1が着火をした直後は、SI燃焼が主体となる。そのため、概念的に図示したように、熱発生率Qaは緩慢に上昇する。その後、火炎伝播によって筒内温度が高まると、筒内温度の高まりをきっかけにして、第2混合気G2がCI燃焼を開始する。CI燃焼が発生すると、熱発生率Qaは急峻に変動する。
このように、本実施形態に係るSI+CI燃焼を実施した場合、点火プラグ7から放電された火花によって第1混合気G1が着火をして火炎伝播する。これにより、着火直後においては、火炎伝播を主体としたSI燃焼が進行する。一方で、燃焼後半においては、その火炎伝播による高温化をきっかけにして、第2混合気G2がCI燃焼を行う。燃焼後半は、燃焼期間を前半と後半とに二等分したときの後半である。
ここで、第1混合気G1の空燃比がリーンになるにつれて、SI燃焼による燃焼温度の上昇が抑えられ、RawNOxの増大を抑制できると共に、第1混合気G1の燃焼期間つまり、第1混合気G1がSI燃焼を行う期間が長くなる。SI燃焼を行う期間が長くなった分、筒内圧力が緩慢に上昇するようになるから、そのことで、燃焼騒音を抑制することが可能になる。また、第2混合気G2は、第1混合気G1よりもリッチに設定されているから、混合気全体が燃焼したときに発生する熱量のうち、第2混合気G2のCI燃焼によって発生する熱量の割合を比較的大きくすることが可能になる。このことは、熱効率を相対的に高く保ち、ひいては、燃費の向上を図る上で有効である。
その一方で、第1混合気G1の火炎伝播は、その空燃比がリーンになるにつれて抑制される。このことは、SI+CI燃焼を実現する上で不都合である。
しかし、本願発明者等は、前記のように構成されたエンジン1において、さらに、エンジン本体10の幾何学的圧縮比が16以上に設定されていれば、第1混合気G1を十分に火炎伝播させることができる、ということを見出した。
すなわち、幾何学的圧縮比は、前記の範囲内に設定された場合には比較的大きくなるから、その分だけ、エンジン1の高圧縮化が実現される。これにより、ピストン16が圧縮上死点へ至ったときの筒内温度が高まる。筒内温度が、例えば混合気の圧縮着火が発生する直前(例えば、800〜1000ケルビン)まで高まると、第1混合気G1が着火したときに、その火炎が伝播し易くなると考えられる。その結果、空燃比がリーンでありながらも、火炎伝播が十分に行われるような構成を実現することができる。これにより、第2混合気G2の圧縮着火を十分にアシストすることが可能になる。
このように、前記の構成によれば、混合気の火炎伝播を損なうことなく、SI+CI燃焼を実現することが可能になる。
また、前述の如く、エンジン1の高圧縮化は、エンジン1の高膨張化を意味する。エンジン1の高膨張化は、膨張行程において、燃焼室17の体積膨張割合が比較的大きくなることを意味している。そのため、エンジン1が効率的に仕事を行うためには、燃焼期間を可及的に短くすることが求められる。
しかし、前述の如く、第1混合気G1において十分な火炎伝播燃焼が行われることによって、第2混合気G2がCI燃焼を行うタイミングを適切に設定することができる。そのことで、膨張行程中のCI燃焼を適切に終了させ、ひいては、燃費の向上を図る上で有利になる。
さらに、前記の構成によると、点火プラグ7まわりをリーンにすることによって、熱効率が向上する。このことは、SI燃焼に係る燃費の向上を図る上で有効である。
SI燃焼は、CI燃焼と比較すると、燃焼温度が高くなる分だけNOxが発生し易い。
しかし、前記の構成によると、点火プラグ7まわりをリーンにすることで、燃焼温度が低減する。このことは、NOxの発生を抑制する上で有効である。
かくして、前記の構成によれば、燃焼騒音の抑制、NOx排出量の低減、及び、熱効率の向上(燃費の向上)の全てを実現することができる。
また、PCM100は、インジェクタ6及び点火プラグ7に対して、エンジン本体10の負荷に応じた信号を出力するよう構成されている。
例えば、PCM100は、エンジン本体10の負荷が高まるにつれて、第1混合気G1の空燃比がリッチ側にシフトするよう、インジェクタ6へ信号を出力する。
具体的に、図7の(a)と(b)、及び、(b)と(c)との比較から見て取れるように、PCM100は、エンジン本体10の負荷が高まるにつれて、第1噴射F1による噴射量を増やすよう、インジェクタ6へ信号を出力する。これにより、第1混合気G1の空燃比は、第1噴射F1の噴射量を増やした分だけ、リッチ側へシフトする。
燃料の噴射量を増やすときに、第1混合気G1の空燃比をリッチ側にシフトさせる。これにより、例えば第2混合気G2の空燃比のみを調整する構成と比較すると、第1混合気G1の空燃比がリッチになった分だけ、火炎伝播が促される。これにより、第2混合気G2の圧縮着火をアシストする上で有利になる。
その一方で、PCM100は、エンジン本体10の負荷が高まるにつれて、第2噴射F2による噴射量を減らすよう、インジェクタ6へ信号を出力する。第1噴射F1による噴射量を増やす一方、第2噴射F2による噴射量を減らすことで、第2混合気G2の空燃比は、エンジン本体10の負荷の大きさに拘わらず、理論空燃比付近に保たれる。このことは、未燃燃料の発生を抑制する上で有効である。
尚、例えば図7の(c)に示すように、PCM100は、エンジン本体10の負荷が所定の設定値よりも高くなったときには、第1噴射F1のみを行うよう、インジェクタ6へ信号を出力してもよい。この場合、第1混合気G1、及び、第2混合気G2は、双方とも第1噴射F1のみによって形成されるようになるから、それぞれの空燃比は、互いに一致するようになる。
さらに、PCM100は、第1混合気G1の空燃比がリーン側にシフトするにつれて、点火プラグ7の点火タイミングを進角させるよう構成されている。
前述の如く、PCM100は、エンジン本体10の負荷が高まるにつれて、第1混合気G1の空燃比がリッチ側にシフトするよう、インジェクタ6へ信号を出力する。還元すれば、PCM100は、エンジン本体10の負荷が低くなるにつれて、第1混合気G1の空燃比がリーン側にシフトするよう、インジェクタ6へ信号を出力する。その際、図7の(c)と(b)、及び、(b)と(a)との比較から見て取れるように、PCM100は、第1混合気G1の空燃比がリーン側にシフトするにつれて、点火プラグ7の点火タイミングを進角させる。具体的には、低負荷域における点火タイミングTaに対して、中負荷域における点火タイミングをTb、高負荷域における点火タイミングをTcとすると、TaはTbよりも早くかつ、TcはTbよりも早い。
第1混合気G1の空燃比がリーン側にシフトするにつれて、第1混合気G1の火炎伝播は抑制される。そこで、この実施形態に係るPCM100は、火炎伝播が抑制された分、点火タイミングを進角させることで、そうした混合気を早めに着火する。そうすることで、火炎伝播が抑制された影響を低減し、ひいては第1混合気G1をより確実に火炎伝播させることが可能になる。
尚、PCM100は、点火タイミングTaを圧縮上死点以前に設定する。こうした設定は、SI+CI燃焼の燃焼重心を、膨張行程前期に保つ上で有効である。尚、燃焼重心とは、燃焼室17内に噴射した燃料のうち、その50%(質量パーセント)分の燃料が燃焼したタイミングを示す。また、膨張行程における前期は、膨張行程を前期と、中期と、後期とに三等分したときの前期である。燃焼重心を膨張前期に保つことで、SI+CI燃焼によって発生したエネルギを、効率的に出力する上で有利になる。図7のQa、Qb、及びQcに示すように、本実施形態に係るエンジン1は、エンジン本体10の負荷の大きさに拘わらず、燃焼重心が所定のクランク角付近に保たれるよう、構成されている。
次に、実施形態に係るエンジン1の熱発生率Qa、Qb、及び、Qcについて、図8に示すグラフに基づいて詳細に説明する。
図8は、クランク角[deg.ATDC]と、混合気の燃焼による熱発生率[J/deg]との間の関係を示すグラフである。図8の曲線C1〜C3は、それぞれ、第2運転領域Bにおいて、前述の燃焼形態を実現したときの熱発生率を示している。図8の曲線C1は、前述の低負荷域(図7の(a))における熱発生率Qaに対応しており、曲線C2は、前述の中負荷域(図7の(b))における熱発生率Qbに対応しており、曲線C3は、前述の高負荷域(図7の(c))における熱発生率Qcに対応している。また、曲線C4は、第1運転領域Aにおいて、第2運転領域Bの低負荷域(曲線C1)と同量の燃料を噴射したときの、通常のCI燃焼による熱発生率を概略的に示している。この曲線C4は、図4の熱発生率Qに対応している。
表1に、各負荷域におけるパラメータを示す。表1に示すように、例えば低負荷域では、SI側のA/F(第1混合気G1の空燃比)は17であり、CI側のA/F(第2混合気G2の空燃比)は14.7であり、点火プラグ7の点火タイミングは圧縮上死点前60degである。この表から見て取れるように、第2混合気G2の空燃比は、理論空燃比と略一致しており、第1混合気G1の空燃比は、第2混合気G2の空燃比、及び、理論空燃比よりもリーンに設定されている。
また、前述のように、エンジン本体10の幾何学的圧縮比は20に設定されている。
中負荷域では、負荷が増した分だけ第1混合気G1の空燃比がリッチ側にシフトしていたり(A/F=16.0)、第2混合気G2の空燃比が理論空燃比付近に保持されていたり、点火タイミングが遅角されていたり(圧縮上死点前30deg)する。この中負荷域においても、第2混合気G2の空燃比は、理論空燃比と略一致しており、第1混合気G1の空燃比は、第2混合気G1の空燃比、及び、理論空燃比よりもリーンに設定されている。
高負荷域においては、第1混合気G1の空燃比は、第2混合気G2の空燃比と一致しており、理論空燃比とも略一致している。この高負荷域においては、点火タイミングがさらに遅角されている(圧縮上死点前20deg)。
図8の曲線C1に示すように、低負荷域における熱発生率は、そのピーク以前の部分については、比較的緩やかに上昇した後、比較的速やかに上昇している一方、ピーク以降の部分については、全体的に速やかに下降している。このことは、着火アシストによって、第1混合気G1が着火をして火炎伝播が生じたこと、及び、その火炎伝播をきっかけとして、第2混合気G2の圧縮着火がアシストされたことを示している。
このように、第1混合気G1の空燃比を、理論空燃比、及び、第2混合気G2の空燃比よりもリーンに設定した場合であっても、エンジン1の圧縮比を高めることで、SI+CI燃焼を実現することが可能になる。
尚、中負荷域、及び、高負荷域においても同様である。これらの負荷域においては、燃料の噴射量を増やした分、熱発生率の値は、概ね、曲線C1に示すものよりも高くなるものの、負荷の変動に応じた点火タイミングの調整により、曲線C2及び曲線C3の双方のピークの位置は、曲線C1と略同じ位置に保持されている。
それに対して、図8の曲線C4に示すように、通常のCI燃焼による熱発生率は、そのピーク以前の部分についても、ピーク以降の部分と同様に、急峻に変動している。このことは、SI+CI燃焼とは異なり、混合気の火炎伝播が生じておらず、圧縮着火のみによって燃焼したことを示している。
《他の実施形態》
前記実施形態では、第2混合気G2の空燃比は理論空燃比付近に保たれていたが、この構成には限られない。例えば、第2混合気G2の空燃比を、理論空燃比よりも高く設定してもよい。
前記実施形態では、第2混合気G2の空燃比は理論空燃比付近に保たれていたが、この構成には限られない。例えば、第2混合気G2の空燃比を、理論空燃比よりも高く設定してもよい。
1 エンジン
10 エンジン本体
11 シリンダ
12 シリンダブロック
13 シリンダヘッド
16 ピストン
17 燃焼室
170 天井面(シリンダヘッドの天井部)
50 EGRシステム
6 インジェクタ
7 点火プラグ
71 電極
100 PCM(制御部)
B 第2運転領域(所定の部分負荷域)
R1 中央側領域
R2 外周側領域
G1 第1混合気
G2 第2混合気
10 エンジン本体
11 シリンダ
12 シリンダブロック
13 シリンダヘッド
16 ピストン
17 燃焼室
170 天井面(シリンダヘッドの天井部)
50 EGRシステム
6 インジェクタ
7 点火プラグ
71 電極
100 PCM(制御部)
B 第2運転領域(所定の部分負荷域)
R1 中央側領域
R2 外周側領域
G1 第1混合気
G2 第2混合気
Claims (10)
- シリンダヘッドの天井部と、シリンダブロックに設けられたシリンダと、前記シリンダ内を往復動するピストンとによって区画される燃焼室を有して構成されたエンジン本体と、
前記燃焼室内に燃料を噴射するよう構成されたインジェクタと、
前記燃焼室の中央側に臨む電極を有しかつ、該電極から火花を放電するように構成された点火プラグと、
前記インジェクタ及び前記点火プラグに対して信号を出力するよう構成された制御部と、を備え、
前記エンジン本体は、幾何学的圧縮比が16以上に設定されており、
前記制御部は、前記エンジン本体の負荷が所定の部分負荷域にあるとき、前記燃焼室において前記電極を含んだ領域に形成される第1混合気の空燃比が、着火時点において、理論空燃比よりもリーンかつ、前記燃焼室において前記第1混合気よりも外周側の領域に形成される第2混合気の空燃比よりもリーンになるように前記インジェクタへ信号を出力すると共に、
前記点火プラグから放電された火花によって前記第1混合気が着火をして火炎伝播する共に、燃焼後半には、前記第2混合気が圧縮着火燃焼をする予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。 - 請求項1に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
前記制御部は、前記インジェクタが、前記燃焼室の全域に燃焼を拡散させる第1噴射と、該第1噴射の後、前記燃焼室の一部に燃料を偏在させる第2噴射とを実行するよう、前記インジェクタへ信号を出力し、
前記第1噴射により噴射された燃料が、前記第1混合気を形成する一方、前記第1噴射により噴射された燃料と、前記第2噴射により噴射された燃料とが、前記第2混合気を形成するように構成された予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。 - 請求項2に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
前記インジェクタは、吸気行程から圧縮行程前期までの期間内に前記第1噴射を実行し、該第1噴射以降から圧縮行程中期までの期間内に前記第2噴射を実行する予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
前記制御部は、前記エンジン本体の負荷が高まるにつれて、前記第1混合気の空燃比がリッチ側にシフトするよう、前記インジェクタへ信号を出力する予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。 - 請求項4に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
前記制御部は、所定の点火タイミングで放電するように前記点火プラグへ信号を出力し、
前記制御部はまた、前記第1混合気の空燃比がリーン側にシフトするにつれて、前記点火タイミングを進角させる予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。 - 請求項5に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
前記制御部は、前記点火タイミングを圧縮上死点以前に設定するよう構成されている予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。 - 請求項4〜6のいずれか1項に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
前記制御部は、前記エンジン本体の負荷にかかわらず、前記第2混合気の空燃比が一定に保たれるよう、前記インジェクタへ信号を出力する予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
前記エンジン本体は、幾何学的圧縮比が35以下に設定されている予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の予混合圧縮着火式エンジンの制御装置において、
前記燃焼室内に既燃ガスを導入するように構成されたEGRシステムを備え、
前記制御部は、前記エンジン本体が前記所定の部分負荷域にあるときに、前記燃焼室内に既燃ガスを導入するよう、前記EGRシステムへ信号を出力する予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。 - シリンダヘッドの天井部と、シリンダブロックに設けられたシリンダと、前記シリンダ内を往復動するピストンとによって区画される燃焼室を有して構成されたエンジン本体と、
前記燃焼室内に燃料を噴射するよう構成されたインジェクタと、
前記燃焼室の中央側に臨む電極を有しかつ、該電極から火花を放電するように構成された点火プラグと、
前記インジェクタ及び前記点火プラグに対して信号を出力するよう構成された制御部と、を備え、
前記エンジン本体は、幾何学的圧縮比が16以上に設定されており、
前記制御部は、前記エンジン本体の負荷が所定の部分負荷域にあるとき、前記インジェクタが、前記燃焼室の全域に燃焼を拡散させる第1噴射と、該第1噴射の後、前記燃焼室の一部に燃料を偏在させる第2噴射とを実行するよう、前記インジェクタへ信号を出力し、
前記第1噴射により噴射された燃料が、前記燃焼室において前記電極を含んだ領域に、理論空燃比よりもリーンな第1混合気を形成する一方、
前記第1噴射により噴射された燃料と前記第2噴射により噴射された燃料とが、前記燃焼室において前記第1混合気よりも外周側の領域に第2混合気を形成し、
前記インジェクタは、吸気行程から圧縮行程前期までの期間内に前記第1噴射を実行し、該第1噴射以降から圧縮行程中期までの期間内に前記第2噴射を実行する予混合圧縮着火式エンジンの制御装置。
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