JP2013194644A - 内燃機関及びその制御方法 - Google Patents

内燃機関及びその制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013194644A
JP2013194644A JP2012063858A JP2012063858A JP2013194644A JP 2013194644 A JP2013194644 A JP 2013194644A JP 2012063858 A JP2012063858 A JP 2012063858A JP 2012063858 A JP2012063858 A JP 2012063858A JP 2013194644 A JP2013194644 A JP 2013194644A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
injection
fuel
internal combustion
combustion engine
fuel injection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012063858A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5900073B2 (ja
Inventor
Ryo Kiyosue
涼 清末
Tatsuya Tanaka
達也 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2012063858A priority Critical patent/JP5900073B2/ja
Publication of JP2013194644A publication Critical patent/JP2013194644A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5900073B2 publication Critical patent/JP5900073B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】インジェクタ33により燃焼室17内に燃料を噴射して燃焼させるエンジン1において、燃焼ガスとシリンダ壁面との温度差に起因して生じる冷却損失の低減と、エミッションの向上との両立を図る。
【解決手段】圧縮行程にてインジェクタ33より燃料を噴射させる前段噴射と、膨張行程にてインジェクタ33より燃料を噴射させる後段噴射とを、該各噴射により燃焼室17内に供給される噴射燃料がシリンダ壁面に到達する前にその燃焼を終了するように実行することで、前段燃焼時及び後段燃焼時にそれぞれ、燃焼ガスとシリンダ壁面との間に空気断熱層50を形成するようにした。
【選択図】図4

Description

本発明は、シリンダ壁面とピストンの冠面とシリンダヘッドの下面とに囲まれた燃焼室の上部の中心部に配置される燃料噴射弁の先端部から、シリンダ径方向の外側に向かって燃料を噴射するとともに、該噴射した燃料を火花着火又は自己着火により燃焼させる内燃機関、及び内燃機関の制御方法に関する技術分野に属する。
従来より、この種の内燃機関の制御方法として、燃焼室内に予め着火用火炎を形成しておき、この着火用火炎に向けて主噴射を行うことで燃焼火炎を形成するようにしたものが知られている。
例えば、特許文献1に示す内燃機関では、先ず、圧縮行程後期に燃焼室内にパイロット噴射を行い、このパイロット噴射された燃料を火花着火させることで着火用火炎を形成し、次いで、膨張行程の前半にこの着火用火炎に向けて主噴射を行うことで、主噴射により噴射された燃料を自己着火させて燃焼火炎を形成するようにしている。
特開2008−121429号公報
しかしながら、上述の特許文献1に示す内燃機関では、パイロット噴射は着火用火炎を形成するためのものであるからその噴射量は少量に抑えられていて、1サイクルに必要な燃料の大半を主噴射により噴射するようにしている。このため、比較的多くの燃料を必要とする中高負荷運転領域においては、主噴射を行った際に、燃焼室内の当量比が高くなってエミッションが悪化するという問題がある。
また、このように主噴射による燃料噴射量が多いと、燃焼時に燃焼ガスがシリンダ壁面に接触することにより、燃焼ガスの熱がシリンダ壁面から外部へと逃げて、冷却損失が増加するという問題がある。
特に、燃焼室内に噴射された燃料を自己着火させるいわゆる圧縮自己着火式のエンジンでは、火花点火式エンジンに比べて圧縮比が高く設定されているため、燃焼ガス温度が高くなって、上述の冷却損失の問題が顕著になる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃焼ガスがシリンダ壁面に接触することで生じる冷却損失の低減と、エミッションの向上とを両立可能な内燃機関及び内燃機関の制御方法を提供しようとすることにある。
第1の発明では、シリンダ壁面とピストンの冠面とシリンダヘッドの下面とに囲まれた燃焼室の上部の中心部に配置される燃料噴射弁の先端部から、シリンダ径方向の外側に向かって燃料を噴射するとともに、該噴射した燃料を火花着火又は自己着火により燃焼させる内燃機関の制御方法を対象としている。
そして、圧縮行程にて上記燃料噴射弁より燃料を噴射する前段噴射工程と、膨張行程にて上記燃料噴射弁より燃料を噴射する後段噴射工程と、を備え、上記前段噴射工程及び上記後段噴射工程は、該各工程にて上記燃料噴射弁より噴射される燃料がシリンダ壁面に到達する前にその燃焼を終了するように、上記燃料噴射弁により燃料噴射を実行させる工程であるものとする。
第1の発明によれば、前段噴射工程及び後段噴射工程において燃料噴射弁より噴射された燃料は、シリンダ壁面に到達する前に着火してその燃焼を終了することとなる。これにより、前段噴射燃料の燃焼時及び後段噴射燃料の燃焼時に、燃焼ガスとシリンダ壁面との間(燃焼ガスの周囲)に空気断熱層を形成することができる。よって、この空気断熱層により、燃焼ガスの熱がシリンダ壁面へと逃げるのを抑制して、冷却損失の低減を図ることが可能となる。
また、燃料噴射工程を前段噴射工程と後段噴射工程との2回に分けるようにしているため、1回の噴射により燃焼室内に供給される燃料量は、燃料を一括噴射する場合に比べて少なくなる。したがって、噴射燃料がシリンダ壁面に到達する前に該噴射燃料の燃焼を確実に終了させることができる。よって、前段噴射燃料及び後段噴射燃料の燃焼時(以下、前段燃焼時及び後段燃焼時という)の双方において、燃焼ガスの周囲に空気断熱層を確実に形成して、冷却損失の低減を図ることが可能となる。
そうして空気断熱層を形成した場合には、燃焼時に使用可能な燃焼室内の空気量が減少するため、燃料空気混合気の当量比が高くなる傾向にあるが、本発明では、燃料噴射を2回に分けて実行するようにしたことで、1回の噴射により燃焼室内に供給される燃料噴射量が少なくなり、これにより、噴射燃料を十分に低い当量比(エミッションを発生させない程度の十分に低い当量比であって、例えば0.2〜0.5)で燃焼させることができる。よって、本発明では、エミッションの向上と冷却損失の低減との両立を図ることができる。
第2の発明では、第1の発明において、上記前段噴射工程における燃料噴射時期は、圧縮行程末期に燃焼室内に生じる順スキッシュ流の強さが最大になる時期と同じか又はその直前であるものとした。
第2の発明によれば、燃焼室内に生じる順スキッシュ流を利用して前段燃焼時の空気利用率を向上させることができる。すなわち、圧縮行程において燃料噴射弁の先端部からシリンダ径方向外側に向かって噴射された燃料は、圧縮行程末期に生じる順スキッシュ流による慣性力を受けて、その進行方向をシリンダ軸心方向へと近づけていく。こうして、後段噴射燃料はその噴射広がり角を変化させながら燃焼するので、前段噴射燃料の燃焼時における空気利用率を向上させることができる。よって、前段噴射燃料を当量比が低い状態で確実に燃焼させることができ、延いては、エミッションの向上を図ることができる。
第3の発明では、第1又は第2の発明において、上記後段噴射工程における燃料噴射時期は、圧縮上死点から膨張行程に移行する際に燃焼室内に生じる逆スキッシュ流の強さが最大になる時期と同じか又はその直前であるものとした。
第3の発明によれば、燃焼室内に生じる逆スキッシュ流を利用して後段燃焼時の空気利用率を向上させることができる。すなわち、膨張行程において、燃料噴射弁の先端部からシリンダ径方向外側に向かって噴射された燃料は、圧縮上死点から膨張行程に移行する際に生じる逆スキッシュ流による慣性力を受けて、その進行方向をシリンダ軸心方向から遠ざけていく。こうして、後段噴射燃料はその噴射広がり角を変化させながら燃焼するので、後段噴射燃料の燃焼時における空気利用率を向上させることができる。よって、後段噴射燃料を当量比が低い状態で確実に燃焼させることができ、延いては、エミッションの向上を図ることができる。
第4の発明では、第1乃至第3のいずれか一つの発明において、上記内燃機関の負荷が所定閾値以上となる運転領域においては、上記前段噴射工程及び上記後段噴射工程の実行を許容する一方、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値未満となる運転領域においては、上記前段噴射工程の実行を許容するものの上記後段噴射工程の実行を禁止する禁止工程をさらに備えているものとした。
第4の発明によれば、エンジン負荷が所定閾値未満となる運転領域においては、禁止工程にて、後段噴射工程の実行が禁止されて前段噴射工程のみが実行される。これにより、燃料を一括噴射しても過濃混合気部分が生じない程に目標燃料噴射量が少ない運転領域(内燃機関の負荷が所定閾値未満となる運転領域)においては、圧縮行程噴射である前段噴射のみを実行することで、膨張行程噴射である後段噴射を併用することによる熱効率の低下を抑制することができる。
第5の発明では、第4の発明において、上記前段噴射工程及び後段噴射工程は、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値以上となる運転領域のうち低負荷側の運転領域においては、後段噴射工程における燃料の噴射量が前段噴射工程における燃料の噴射量よりも少なくなるように、上記燃料噴射弁による燃料噴射量を制御する一方、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値以上となる運転領域のうち高負荷側の運転領域においては、後段噴射工程における燃料の噴射量が前段噴射工程における燃料の噴射量よりも多くなるように、上記燃料噴射弁による燃料噴射量を制御する工程であるものとした。
第5の発明によれば、内燃機関の負荷が所定閾値以上となる運転領域のうち低負荷側の運転領域においては、後段噴射の噴射量が前段噴射の噴射量よりも少なくなるので、後段燃焼時においても前段燃焼時に形成された空気断熱層を維持することができる。
一方、内燃機関の負荷が所定閾値以上となる運転領域のうち高負荷側の運転領域においては、後段噴射の噴射量が前段噴射の噴射量よりも多くなる。したがって、後段噴射された燃料の噴霧先端は、前段噴射時に燃料が到達することができなかった領域(つまり前段燃焼時に形成された空気断熱層領域)にまで達する。このため、後段燃焼時には、前段燃焼後の既燃ガス中に残った空気に加えて、空気断熱層内の一部(空気断熱層の内周寄りの一部)の空気を利用して燃料を十分に燃焼させることができる。そうして、燃料の燃焼反応が十分に促進されることと、前段燃焼後の既燃ガスによるEGR効果とが相俟って、エミッションの向上を図ることができる。しかも、この高負荷側の運転領域においては、後段噴射の噴射量は前段噴射の噴射量よりも多くなるが、例えば前段噴射を単なる火種形成用の少量噴射とした場合と比較すると、前段噴射の噴射量が格段に多い分だけ後段噴射の噴射量を低減することができる。したがって、後段噴射燃料の到達距離を低減して、後段燃焼時においても燃焼ガスとシリンダ壁面との間に十分な空気断熱層を形成することができる。よって、高出力を得ながらエミッションの向上と冷却損失の低減との両立を図ることが可能となる。
第6の発明は、シリンダ壁面とピストンの冠面とシリンダヘッドの下面とに囲まれた燃焼室と、該燃焼室内の上部の中心部に配設され、該中心部からシリンダ径方向の外側に向かって燃料を噴射する燃料噴射弁と、該燃料噴射弁の作動を制御する噴射弁制御手段とを備え、該燃料噴射弁より噴射された燃料を火花着火又は自己着火により燃焼させる内燃機関を対象とする。
そして、上記噴射弁制御手段は、圧縮行程にて上記燃料噴射弁より燃料を噴射させる前段噴射と、膨張行程にて上記燃料噴射弁より燃料を噴射させる後段噴射とを、それぞれの噴射燃料がシリンダ壁面に到達する前にその燃焼を終了するように実行するよう構成されているものとした。
第6の発明によれば、第1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
第7の発明は、第6の発明において、上記噴射弁制御手段は、上記前段噴射による燃料の噴射時期が、圧縮行程末期に燃焼室内に生じる順スキッシュ流の強さが最大になる時期と同じか又はその直前になるように、上記燃料噴射弁の作動を制御するように構成されているものとした。
第7の発明によれば、第2の発明と同様の作用効果を得ることができる。
第8の発明では、第6又は第7の発明において、上記噴射弁制御手段は、上記後段噴射による燃料の噴射時期が、圧縮上死点から膨張行程に移行する際に燃焼室内に生じる逆スキッシュ流の強さが最大になる時期と同じか又はその直前になるように、上記燃料噴射弁の作動を制御するように構成されているものとした。
第8の発明によれば、第3の発明と同様の作用効果を得ることができる。
第9の発明では、第6乃至第8のいずれか一つの発明において、上記噴射弁制御手段は、上記内燃機関の負荷が所定閾値以上となる運転領域においては、上記前段噴射及び上記後段噴射の双方を実行する一方、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値未満となる運転領域においては、上記前段噴射のみを実行して上記後段噴射の実行を禁止するように構成されているものとした。
第9の発明によれば、第4の発明と同様の作用効果を得ることができる。
第10の発明は、第9の発明において、上記噴射弁制御手段は、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値以上となる運転領域のうち低負荷側の運転領域においては、後段噴射による燃料噴射量が前段噴射による燃料噴射量よりも少なくなるように、上記燃料噴射弁による燃料噴射量を制御する一方、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値以上となる運転領域のうち高負荷側の運転領域においては、後段噴射による燃料噴射量が前段噴射による燃料噴射量よりも多くなるように、上記燃料噴射弁による燃料噴射量を制御するように構成されているものとした。
第10の発明によれば、第5の発明と同様の作用効果を得ることができる。
第11の発明は、第6乃至第10のいずれか一つの発明において、上記燃焼室の底面を形成するピストンの冠面には、シリンダ軸心に沿った断面で見て略ω状をなすキャビティが形成されており、上記キャビティは、上記燃料噴射弁より噴射された噴射燃料が該キャビティ内に指向するように形成されているものとした。
第11の発明によれば、燃料噴射弁により噴射された燃料は、ピストンの冠面に形成されたキャビティ内に指向するため、該キャビティを形成しない場合に比べて、ピストン冠面への燃料の付着(到達)を抑制することができる。よって、噴射燃料がピストンの冠面に到達後に燃焼することで冷却損失が増加するのを防止することができる。
以上説明したように、本発明の内燃機関及び内燃機関の制御方法によると、燃料噴射弁による燃料噴射を、圧縮行程で行う前段噴射と膨張行程で行う後段噴射との2回に分けるとともに、該各噴射により燃焼室内に供給された噴射燃料がシリンダ壁面に到達する前にその燃焼を終了するように、該前段噴射及び後段噴射を実行するようにしたことで、冷却損失の低減とエミッションの向上との両立を図ることが可能となる。
本発明の実施形態に係るエンジン(内燃機関)を示す概略図である。 (a)圧縮行程末期に燃焼室内に生じる順スキッシュ流を示す模式図であり、(b)圧縮上死点から膨張行程に移行する際に燃焼室内に生じる逆スキッシュ流を示す模式図である。 インジェクタによる燃料噴射時期を示す、横軸にクランク角をとり且つ縦軸にスキッシュ強さをとったグラフである。 燃料の噴射イメージを示す模式図であり、(a)は前段噴射を示し、(b)は後段噴射を示している。 燃料噴射制御を実行する際に使用する制御マップの一例である。 前段噴射の噴射量と後段噴射の噴射量との大小関係を示すグラフであり、(a)はエンジンが第1運転領域r1にある場合を示し、(b)はエンジンが第2運転領域r2にある場合を示している。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン1を概略的に示す。本実施形態では、エンジン1は、後述するように圧縮自己着火モードと火花着火モードとを有している。エンジン1には、エンジン本体に付随する様々なアクチュエータ、様々なセンサ、及び、該センサからの信号に基づきアクチュエータを制御するエンジン制御器100を含む。
エンジン1は、自動車等の車両に搭載され、その出力軸は、図示しないが、変速機を介して駆動輪に連結されている。エンジン1の出力が駆動輪に伝達されることによって、車両が推進する。エンジン1のエンジン本体は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えており、シリンダブロック12の内部に複数のシリンダ11(気筒)が形成されている(図1では、1つのみ示す)。シリンダブロック12及びシリンダヘッド13の内部には、図示は省略するが冷却水が流れるウォータージャケットが形成されている。
各シリンダ11内には、ピストン15が摺動自在にそれぞれ嵌挿されており、ピストン15は、シリンダ11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画している。本実施形態では、燃焼室17はいわゆるペントルーフ型であり、その天井面(シリンダヘッド13の下面)は吸気側及び排気側の2つの傾斜面からなる三角屋根状をなしている。ピストン15の冠面は、上記天井面に対応した凸形状をなしていて、冠面の中心部には、凹状のキャビティ15aが形成されている。尚、上記天井面及びピストン15の冠面の形状は、後述の高い幾何学的圧縮比が可能であれば、どのような形状であってもよく、例えば、天井面及びピストン15の冠面(キャビティ15aを除く部分)の両方が、シリンダ11の中心軸に対して垂直な面で構成されていてもよく、天井面が上記のように三角屋根状をなす一方、ピストン15の冠面(キャビティ15aを除く部分)がシリンダ11の中心軸に対して垂直な面で構成されていてもよい。
図1には1つのみ示すが、シリンダ11毎に2つの吸気ポート18がシリンダヘッド13に形成され、それぞれがシリンダヘッド13の下面(燃焼室17の天井面における吸気側の傾斜面)に開口することで燃焼室17に連通している。同様に、シリンダ11毎に2つの排気ポート19がシリンダヘッド13に形成され、それぞれがシリンダヘッド13の下面(燃焼室17の天井面の排気側の傾斜面)に開口することで燃焼室17に連通している。吸気ポート18は、シリンダ11内に導入される新気が流れる吸気通路(図示省略)に接続されている。吸気通路には、吸気流量を調整するスロットル弁20が介設しており、エンジン制御器100からの制御信号を受けて、スロットル弁20の開度が調整される。一方、排気ポート19は、各シリンダ11からの既燃ガス(排気ガス)が流れる排気通路(図示省略)に接続されている。排気通路には、図示は省略するが、1つ以上の触媒コンバータを有する排気ガス浄化システムが配置される。
シリンダヘッド13には、吸気弁21及び排気弁22が、それぞれ吸気ポート18及び排気ポート19を燃焼室17から遮断(閉)することができるように配設されている。吸気弁21は吸気弁駆動機構により、排気弁22は排気弁駆動機構により、それぞれ駆動される。吸気弁21及び排気弁22は所定のタイミングで往復動して、それぞれ吸気ポート18及び排気ポート19を開閉し、シリンダ11内のガス交換を行う。吸気弁駆動機構及び排気弁駆動機構は、図示は省略するが、それぞれ、クランクシャフトに駆動連結された吸気カムシャフト及び排気カムシャフトを有し、これらのカムシャフトはクランクシャフトの回転と同期して回転する。また、少なくとも吸気弁駆動機構は、吸気カムシャフトの位相を所定の角度範囲内で連続的に変更可能な、液圧式又は機械式の位相可変機構(Variable Valve Timing:VVT)23を含んで構成されている。尚、VVT23と共に、弁リフト量を連続的に変更可能なリフト可変機構(CVVL(Continuous Variable Valve Lift))を備えるようにしてもよい。
また、シリンダヘッド13には、点火プラグ31が配設されている。この点火プラグ31は、例えばねじ等の周知の構造によって、シリンダヘッド13に取付固定されている。点火プラグ31は、本実施形態では、シリンダ11の中心軸に対し、排気側に傾斜した状態で取付固定されており、その先端部(電極)は燃焼室17の天井部に臨んでいる。点火プラグ31は、点火システム32によって火花を発生する。点火システム32は、エンジン制御器100からの制御信号を受けて、点火プラグ31が所望の点火タイミングで火花を発生するよう、それに通電する。
シリンダヘッド13におけるシリンダ11の中心軸上には、燃焼室17内に燃料を直接噴射するインジェクタ33が配設されている。このインジェクタ33は、例えばブラケットを使用する等の周知の構造でシリンダヘッド13に取付固定されている。インジェクタ33の先端は、燃焼室17の天井部の中心に臨んでいる。
インジェクタ33は、燃焼室17内に燃料を噴射するノズル口を開閉する外開弁式のインジェクタである。ノズル口は、シリンダ11の中心軸に沿って延びる燃料管43の先端部において、先端側ほど径が大きくなるテーパ状に形成されている。そして、インジェクタ33のノズル口から燃焼室17内に燃料が、シリンダ11の中心軸を中心とするコーン状(詳しくはホローコーン状)に噴射される。
燃料供給システム34は、外開弁42を駆動するための駆動回路と、インジェクタ33に燃料を供給する燃料供給系とを備えている。エンジン制御器100は、所定のタイミングで、リフト量に応じた電圧を有する噴射信号を上記駆動回路に出力することで、該駆動回路を介して外開弁42を作動させて、所望量の燃料を、燃焼室17内に噴射させる。
上記燃料供給系には、図示省略の高圧燃料ポンプやコモンレールが設けられており、その高圧燃料ポンプは、低圧燃料ポンプを介して燃料タンクより供給されてきた燃料をコモンレールに圧送し、コモンレールは、その圧送された燃料を、所定の燃料圧力で蓄える。そして、インジェクタ33が作動する(外開弁がリフトされる)ことによって、上記コモンレールに蓄えられている燃料がノズル口から噴射される。
エンジン制御器100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
エンジン制御器100は、少なくとも、エアフローセンサ71からの吸気流量に関する信号、クランク角センサ72からのクランク角パルス信号、アクセル・ペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ73からのアクセル開度信号、及び、車速センサ74からの車速信号をそれぞれ受ける。エンジン制御器100は、これらの入力信号に基づいて、例えば、所望のスロットル開度信号、燃料噴射パルス、点火信号、バルブ位相角信号等といった、エンジン1の制御パラメーターを計算する。そして、エンジン制御器100は、それらの信号を、スロットル弁20(スロットル弁20を動かすスロットルアクチュエータ)、燃料供給システム34(上記電気回路)、点火システム32、VVT23等に出力する。
このエンジン1の幾何学的圧縮比εは、18以上40以下とされている。この幾何学的圧縮比εは、特に25以上35以下が好ましい。本実施形態では、エンジン1は圧縮比=膨張比となる構成から、高圧縮比と同時に、比較的高い膨張比を有するエンジン1でもある。尚、圧縮比≦膨張比となる構成(例えばアトキンソンサイクルや、ミラーサイクル)を採用してもよい。
燃焼室17は、図1に示すように、シリンダ11の壁面と、ピストン15の冠面と、シリンダヘッド13の下面(天井面)と、吸気弁21及び排気弁22それぞれのバルブヘッドの面と、によって区画形成されている。
エンジン1は、燃焼室17内に噴射された燃料を圧縮自己着火させる圧縮自己着火モードと点火プラグ31により火花着火させる火花着火モードとを切換え可能になっている。
本実施形態では、エンジン1は、基本的には圧縮自己着火モードで運転され、燃料の着火性が悪化する寒冷地走行時など所定条件下において火花着火モードで運転される。この着火モードの切換えはエンジン制御器100により行われる。以下の説明では、この圧縮自己着火モードにおけるエンジン1の運転制御について説明するが、本発明の構成は、噴射燃料を圧縮自己着火させる場合に限らず、火花着火させる場合にも適用することができる。
エンジン制御器100は、アクセル開度センサ73からのアクセル開度信号と、車速センサ74からの車速信号とを基に要求負荷を算出して、この要求負荷を得るために必要な1エンジンサイクル当たりの目標燃料噴射量を算出する。そして、エンジン制御器100は、インジェクタ33の作動を制御することで、この目標燃料噴射量と同量の燃料を燃焼室17内に噴射供給する。圧縮自己着火モードにおいては、燃焼室17内に噴射された燃料がピストン15の上昇により圧縮されて自己着火する。
ここで、燃焼室17内で燃焼される燃料量が多いと、燃焼室17内に過濃混合気部分(燃料空気混合気中の過濃部分であって、例えば当量比が0.5を越える部分)が形成されてエミッションが悪化するという問題がある。
そこで、本実施形態では、燃焼室17内で燃焼される燃料量がエンジン負荷が増加するに従って増量されることを考慮して、エンジン負荷が所定閾値L1以上となる運転領域では、燃料噴射を2回に分けて実行することで、1回の燃料噴射による噴射量を低減してエミッションの向上を図るようにしている。
具体的には、本実施形態では、エンジン制御器100は、エンジン負荷が所定閾値L1未満となる低負荷運転領域Qにおいては、圧縮行程で燃料を一括噴射する一方、エンジン負荷が上記所定閾値L1以上となる中高負荷運転領域Rにおいては、圧縮行程で燃料を噴射する前段噴射と膨張行程で燃料を噴射する後段噴射とを実行するように構成されている。このように、中高負荷運転領域Rにおいては燃料噴射を2回に分けることで、燃料を一括噴射する場合に比べて、各回の燃料噴射量が減少するので、燃焼室17内に過濃混合気部分が形成されるのを防止してエミッションの向上を図ることができる。
上記前段噴射により噴射された燃料は、ピストン15の上昇により圧縮されて自己着火して、その噴霧の先端から順に周りの空気を取り込みながら拡散燃焼する。一方、上記後段噴射により噴射された燃料は、前段噴射された燃料の自己着火燃焼により生じた熱でもって着火し、同じく噴霧先端側から順に拡散燃焼する。
ここで、この拡散燃焼による火炎(燃焼ガス)がシリンダ壁面に達すると、シリンダ壁面と燃焼ガスとの温度差により、燃焼ガスの熱がシリンダ壁面を介して外部に逃げてしまう。この結果、燃焼ガスの熱エネルギーを有効に仕事に変換することができず冷却損失が生じるという問題がある。
そこで、本実施形態では、インジェクタ33より燃焼室17内に供給された噴射燃料がシリンダ壁面に到達する前にその燃焼を終了するように、前段噴射及び後段噴射の噴射量や噴射時期等を制御するようにしている。具体的には、エンジン制御器100は、インジェクタ33により燃焼室17内に噴射された燃料のペネトレーションを、燃料噴霧がシリンダ11の壁面(周壁面)まで届かないような大きさに抑えるように、前段噴射及び後段噴射の噴射量及び噴射時期を制御する。これにより、前段及び後段噴射燃料の燃焼時(以下、前段燃焼時及び後段燃焼時という)の双方において、燃焼室17の中心部の燃焼ガス層とシリンダ壁面との間に空気断熱層50を形成することができる(図4参照)。したがって、燃焼ガス層の断熱化を図って冷却損失を低減することが可能となる。
そうして、前段燃焼時及び後段燃焼時に空気断熱層50を形成した場合、空気断熱層50を形成しない場合に比べて、燃焼時に使用可能な空気量が減少するので燃焼室17内に過濃混合気部分が生じる(エミッションが悪化する)ように思える。しかし、本実施形態では、上述のように燃料噴射を前段噴射と後段噴射との2回に分けるようにしているため、1回の噴射(前段噴射又は後段噴射)により燃焼室17内に供給される燃料量は、燃料を一括噴射する場合に比べて少なく、したがって、燃焼室17内に過濃混合気部分を生じさせることなく、その当量比を極力低く抑えて、エミッションの向上を図ることができる。
本実施形態では、エンジン制御器100は、前段噴射及び後段噴射をそれぞれ、燃焼室17内の燃料空気混合気の当量比が0.2〜0.5になるように実行する。これにより、NOx、CO及びHCの3つ全ての排出量を同時に低減することができる。
また、本実施形態では、エミッションのさらなる低減を図るために、インジェクタ33による前段噴射時期及び後段噴射時期をそれぞれ、燃焼室17内の順スキッシュ流及び逆スキッシュ流の発生時期に対応させるようにしている。ここで、順スキッシュ流とは、図2(a)に太矢印で示すように、圧縮行程末期に、ピストン15の冠面の周縁部とシリンダヘッド13の下面との間で圧縮されたガス流体が、シリンダ径方向内側に向かって下方に押し出されることによって生じる流れであり、逆スキッシュ流とは、図2(b)に太矢印で示すように、圧縮上死点から膨張行程に移行する際に、ピストン冠面の周縁部とシリンダヘッド13の下面との間に生じる隙間(負圧空間)にガス流体が引き込まれることで生じる流れであって、その向きは順スキッシュ流とは逆向き(上方に向かってシリンダ径方向外側)になる。
図3は、クランク角の変化に対する順スキッシュ流及び逆スキッシュ流の強さの変化を示す概略のグラフであり、縦軸よりも左側に描かれた曲線が順スキッシュ流の強さの変化を表しており、縦軸よりも右側に描かれた曲線が逆スキッシュ流の強さの変化を表している。図3中に矢印で示すように、エンジン制御器100は、インジェクタ33による前段噴射の実行時期を、順スキッシュ流の強さが最大になる時期よりも7°〜10°進角した時期(直前)に制御するとともに、後段噴射の実行時期を、逆スキッシュ流の強さが最大になる時期よりも7°〜10°進角した時期(直前)に制御する。
これにより、前段噴射燃料は、図4(a)に示すように、順スキッシュ流による慣性を受けて、噴射広がり角(コーン角)αを狭めながら(噴射燃料の進行方向をシリンダ軸心方向に近づけながら)斜め下方へと突き進む。また、後段噴射燃料は、図4(b)に示すように、逆スキッシュ流による慣性を受けて、噴射広がり角αを拡げながら斜め下方へと突き進む。
こうして、前段噴射及び後段噴射された燃料は、噴射広がり角αを変化させながら周りの空気を取り込んで拡散燃焼するので、スキッシュ流を利用しない場合に比べて、前段燃焼時及び後段燃焼時における空気利用率を格段に向上させることができる。延いては、前段噴射燃料及び後段噴射燃料を、当量比が0.2〜0.5となる比較的リーンな状態で燃焼させることが可能となり、これにより、エミッションの向上を図ることができる。
ここで、順スキッシュ流を利用した前段噴射時には、噴射広がり角αが最小になって、逆スキッシュ流を利用した後段噴射時に比べて、噴射燃料の進行方向が下側(つまりピストン15の冠面側)を向く。このため、インジェクタ33からの噴射燃料がピストン15の冠面に到達し易くなり、この結果、燃焼時の冷却損失が増加するという問題がある。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、ピストン15の冠面にキャビティ15aを形成して、噴射燃料をキャビティ15a内に指向させるようにした。これにより、噴射燃料の噴射広がり角αが最大になる場合は勿論のこと最小になる場合にも、ピストン15の冠面に噴射燃料が到達するのを防止することができる。本実施形態では、このキャビティ15aは、シリンダ軸心に沿った任意の断面で見て略ω状をなしていて、ピストン15の軸心方向から見て環状をなしている。
次に、エンジン負荷が所定閾値L1未満となる低負荷運転領域Q(図5参照)における燃料噴射制御について説明する。この低負荷運転領域Qにおいては、エンジン1の要求負荷が小さいため、1エンジンサイクル当たりの目標燃料噴射量も少ない。よって、燃料を一括噴射したとしても、燃焼室17内に過濃混合気部分が生じることはなく、したがって、エミッションが悪化することもない。
本実施形態では、エンジン制御器100は、エンジン負荷が所定閾値L1未満となる低負荷運転領域Qにおいては(過濃混合気部分が生じない程に目標噴射量が少ない運転領域においては)、インジェクタ33により前段噴射(圧縮行程での噴射)のみを実行して後段噴射(膨張行程での噴射)を禁止するように構成されている。このように、低負荷運転領域Qにおいては、燃料を圧縮行程で一括噴射することで、膨張行程噴射を併用する場合に比べて、噴射燃料をピストンが上死点から下死点に向かう膨張行程よりも前で燃焼させることができ、これにより、高い熱効率を得ることができる。
上記エンジン制御器100による燃料噴射制御は、図5に示す制御マップに基づいて実行される。同図に示すように、エンジン負荷が所定閾値L1未満の低負荷運転領域Qにおいては、インジェクタ33による燃料噴射は、圧縮行程での一括噴射(前段噴射のみ)とされる。この燃料噴射量は、エンジン1の要求負荷の増加に伴って増加するが、本実施形態では、燃料噴射量に上限値Imaxを設定するようにしている。この上限値Imaxは、空気断熱層50を形成することができ且つ燃料空気混合気の当量比を0.2〜0.5に抑えることができる燃料噴射量の最大値である。本実施形態では、エンジン1の要求負荷が所定閾値L1に達すると、インジェクタ33による前段噴射の噴射量が上限値Imaxに達する。
エンジン1の要求負荷が所定閾値L1を上回る中高負荷運転領域Rに移行すると、前段噴射のみでは要求負荷を賄えなくなるため、前段噴射に加えて後段噴射を開始する。エンジン1の要求負荷が所定閾値を上回る中高負荷運転領域Rにおいては、エンジン負荷の増加に対して、前段噴射の噴射量を上限値Imaxに維持したまま、後段噴射の噴射量を増加させることで対応する。
すなわち、本実施形態に係る燃料噴射量制御は、エンジン1の要求負荷の増加に対しては基本的に前段噴射の噴射量を増加させることで対応するが、エンジン1の要求負荷が前段噴射によって賄えないほどに増加した場合には、前段噴射に加えて後段噴射を併用することで、この要求負荷の増加に対応しようとするものである。
このような燃料噴射量制御を行った場合、中高負荷運転領域Rのうち低負荷側の第1運転領域r1においては、前段噴射の噴射量の方が後段噴射の噴射量よりも多くなるが(図6(a)参照)、エンジン1の要求負荷が増加するにしたがって、後段噴射の噴射量が次第に増加し、高負荷側の第2運転領域r2においては、後段噴射の噴射量の方が前段噴射の噴射量よりも多くなる(図6(b)参照)。
上記第1運転領域r1においては、前段噴射の噴射量よりも後段噴射の噴射量が少ないので、後段燃焼時にも、前段燃焼時と同様に空気断熱層50を維持することができる。また、後段噴射された燃料は、前段燃焼により生じた既燃ガス中を突き進みながら拡散燃焼するが、前段燃焼がリーン燃焼(当量比0.2〜0.5)であるためこの既燃ガス中にも空気が幾分か残っており、このため、後段燃焼時においてもこの空気を利用して燃料を十分に燃焼させることができる。また、前段燃焼後の既燃ガスのEGR効果により、後段燃焼時の燃焼温度を下げてNOxの低減を図ることができ、エミッションの向上を図ることができる。
一方、上記第2運転領域r2においては、後段噴射の噴射量が前段噴射の噴射量よりも多いので、後段噴射された燃料の噴射到達距離は、前段噴射された燃料の噴射到達距離に比べて長くなる。したがって、後段噴射された燃料の噴霧先端は、前段噴射時に燃料が到達することができなかった領域、つまり前段燃焼時に燃焼ガスとシリンダ壁面との間に形成された空気断熱層50領域にまで達する。このため、後段燃焼時には、前段燃焼後の既燃ガス中に残った空気に加えて、空気断熱層50内の一部(空気断熱層の内周側の一部)の空気を利用して燃料を十分に燃焼させることができる。そうして、噴射燃料の燃焼反応が十分に促進されることと、上述した前段燃焼後の既燃ガスによるEGR効果とが相俟って、エミッションの向上を図ることができる。また、該第2運転領域r2においては、例えば前段噴射を単なる火種形成用の少量噴射とした場合と比較すると、前段噴射の噴射量が格段に多い分だけ後段噴射の噴射量を低減することができる。これにより、後段噴射燃料の到達距離を低減して、後段燃焼時にも燃焼ガスとシリンダ壁面との間に十分な空気断熱層50を形成することができる。よって、高出力を得ながらエミッションの向上と冷却損失の低減との両立を図ることが可能となる。
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、エンジン1は、火花着火モードと圧縮自己着火モードとを備えているが、これに限ったものではなく、火花着火のみを行うエンジンであってもよいし、圧縮自己着火のみを行うエンジンであってもよい。すなわち、噴射燃料の着火形態は、自己着火であってもよいし火花着火であってもよい。
上記実施形態では、燃焼室17の天井面をペントルーフ状に形成した例を示したが、これに限ったものではなく、例えばコーンルーフ状に形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、インジェクタ33による前段噴射の実行時期を、順スキッシュ流の強さが最大になる時期に対して進角させるようにしているが、同時に設定してもよい。また、上記実施形態では、インジェクタ33による後段噴射の実行時期を、逆スキッシュ流の強さが最大になる時期よりも進角させるようにしているが、同時に設定してもよい。
また、前段噴射及び後段噴射の時期を、必ずしも順スキッシュ流及び逆スキッシュ流の強さが最大となる時期に対応させる必要はない。
また、上記実施形態では、インジェクタ33のノズル口から燃焼室17内に向けて燃料をコーン状(詳しくはホローコーン状)に噴射するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、燃料を放射状に噴射するようにしてもよい。すなわち、燃焼室17の中心部に配設されたインジェクタ33の先端部からシリンダ径方向の外側に向かって燃料を噴射するものであれば、どのようなインジェクタ33を採用してもよい。
本発明は、シリンダ壁面とピストンの冠面とシリンダヘッドの下面とに囲まれた燃焼室の上部の中心部に配置される燃料噴射弁の先端部から、シリンダ径方向の外側に向かって燃料を噴射するとともに、該噴射した燃料を火花着火又は自己着火により燃焼させる内燃機関、及び該内燃機関の制御方法に有用であり、特に、目標燃料噴射量が多くなる中高負荷運転領域において有用である。
1 エンジン(内燃機関)
r1 第1運転領域(低負荷側の運転領域)
r2 第2運転領域(高負荷側の運転領域)
11 シリンダ
13 シリンダヘッド
15 ピストン
15a キャビティ
17 燃焼室
33 インジェクタ(燃料噴射弁)
100 エンジン制御器(噴射弁制御手段)

Claims (11)

  1. シリンダ壁面とピストンの冠面とシリンダヘッドの下面とに囲まれた燃焼室の上部の中心部に配置される燃料噴射弁の先端部から、シリンダ径方向の外側に向かって燃料を噴射するとともに、該噴射した燃料を火花着火又は自己着火により燃焼させる内燃機関の制御方法であって、
    圧縮行程にて上記燃料噴射弁より燃料を噴射する前段噴射工程と、
    膨張行程にて上記燃料噴射弁より燃料を噴射する後段噴射工程と、を備え、
    上記前段噴射工程及び上記後段噴射工程は、該各工程にて上記燃料噴射弁より噴射される燃料がシリンダ壁面に到達する前にその燃焼を終了するように、上記燃料噴射弁により燃料噴射を実行させる工程であることを特徴とする内燃機関の制御方法。
  2. 請求項1記載の内燃機関の制御方法において、
    上記前段噴射工程における燃料噴射時期は、圧縮行程末期に燃焼室内に生じる順スキッシュ流の強さが最大になる時期と同じか又はその直前であることを特徴とする内燃機関の制御方法。
  3. 請求項1又は2記載の内燃機関の制御方法において、
    上記後段噴射工程における燃料噴射時期は、圧縮上死点から膨張行程に移行する際に燃焼室内に生じる逆スキッシュ流の強さが最大になる時期と同じか又はその直前であることを特徴とする内燃機関の制御方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御方法において、
    上記内燃機関の負荷が所定閾値以上となる運転領域においては、上記前段噴射工程及び上記後段噴射工程の実行を許容する一方、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値未満となる運転領域においては、上記前段噴射工程の実行を許容するものの上記後段噴射工程の実行を禁止する禁止工程をさらに備えていることを特徴とする内燃機関の制御方法。
  5. 請求項4記載の内燃機関の制御方法において、
    上記前段噴射工程及び後段噴射工程は、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値以上となる運転領域のうち低負荷側の運転領域においては、後段噴射工程における燃料の噴射量が前段噴射工程における燃料の噴射量よりも少なくなるように、上記燃料噴射弁による燃料噴射量を制御する一方、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値以上となる運転領域のうち高負荷側の運転領域においては、後段噴射工程における燃料の噴射量が前段噴射工程における燃料の噴射量よりも多くなるように、上記燃料噴射弁による燃料噴射量を制御する工程であることを特徴とする内燃機関の制御方法。
  6. シリンダ壁面とピストンの冠面とシリンダヘッドの下面とに囲まれた燃焼室と、該燃焼室内の上部の中心部に配設され、該中心部からシリンダ径方向の外側に向かって燃料を噴射する燃料噴射弁と、該燃料噴射弁の作動を制御する噴射弁制御手段とを備え、該燃料噴射弁より噴射された燃料を火花着火又は自己着火により燃焼させる内燃機関であって、
    上記噴射弁制御手段は、圧縮行程にて上記燃料噴射弁より燃料を噴射させる前段噴射と、膨張行程にて上記燃料噴射弁より燃料を噴射させる後段噴射とを、該各噴射により燃焼室内に供給される噴射燃料がシリンダ壁面に到達する前にその燃焼を終了するように実行することを特徴とする内燃機関。
  7. 請求項6記載の内燃機関において、
    上記噴射弁制御手段は、上記前段噴射の実行時における燃料の噴射時期が、圧縮行程末期に燃焼室内に生じる順スキッシュ流の強さが最大になる時期と同じか又はその直前になるように、上記燃料噴射弁の作動を制御するように構成されていることを特徴とする内燃機関。
  8. 請求項6又は7記載の内燃機関において、
    上記噴射弁制御手段は、上記後段噴射の実行時における燃料の噴射時期が、圧縮上死点から膨張行程に移行する際に生じる逆スキッシュ流の強さが最大になる時期と同じか又はその直前になるように、上記燃料噴射弁の作動を制御するように構成されていることを特徴とする内燃機関。
  9. 請求項6乃至8のいずれか一項に記載の内燃機関において、
    上記噴射弁制御手段は、上記内燃機関の負荷が所定閾値以上となる運転領域においては、上記前段噴射及び上記後段噴射の双方を実行する一方、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値未満となる運転領域においては、上記前段噴射のみを実行して上記後段噴射の実行を禁止するように構成されていることを特徴とする内燃機関。
  10. 請求項9記載の内燃機関において、
    上記噴射弁制御手段は、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値以上となる運転領域のうち低負荷側の運転領域においては、後段噴射による燃料噴射量が前段噴射による燃料噴射量よりも少なくなるように、上記燃料噴射弁による燃料噴射量を制御する一方、上記内燃機関の負荷が上記所定閾値以上となる運転領域のうち高負荷側の運転領域においては、後段噴射による燃料噴射量が前段噴射による燃料噴射量よりも多くなるように、上記燃料噴射弁による燃料噴射量を制御するように構成されていることを特徴とする内燃機関。
  11. 請求項6乃至10のいずれか一項に記載の内燃機関において、
    上記燃焼室の底面を形成するピストンの冠面には、シリンダ軸心に沿った断面で見て略ω状をなすキャビティが形成されており、
    上記キャビティは、上記燃料噴射弁より噴射された噴射燃料が該キャビティ内に指向するように形成されていることを特徴とする内燃機関。
JP2012063858A 2012-03-21 2012-03-21 内燃機関及びその制御方法 Active JP5900073B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012063858A JP5900073B2 (ja) 2012-03-21 2012-03-21 内燃機関及びその制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012063858A JP5900073B2 (ja) 2012-03-21 2012-03-21 内燃機関及びその制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013194644A true JP2013194644A (ja) 2013-09-30
JP5900073B2 JP5900073B2 (ja) 2016-04-06

Family

ID=49393912

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012063858A Active JP5900073B2 (ja) 2012-03-21 2012-03-21 内燃機関及びその制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5900073B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015169110A (ja) * 2014-03-06 2015-09-28 マツダ株式会社 エンジンの動弁装置
JP2016098790A (ja) * 2014-11-26 2016-05-30 マツダ株式会社 直噴エンジンの燃焼室構造
WO2016103735A1 (ja) * 2014-12-25 2016-06-30 マツダ株式会社 直噴エンジンの燃焼室構造
JP2016135992A (ja) * 2015-01-23 2016-07-28 マツダ株式会社 直噴エンジンの燃料噴射制御装置
JP2016135991A (ja) * 2015-01-23 2016-07-28 マツダ株式会社 直噴エンジンの燃料噴射制御装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03210021A (ja) * 1990-01-12 1991-09-13 Yanmar Diesel Engine Co Ltd ディーゼル機関の燃焼装置
JP2006328999A (ja) * 2005-05-24 2006-12-07 Yanmar Co Ltd 予混合圧縮自着火式内燃機関
JP2007154824A (ja) * 2005-12-07 2007-06-21 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃焼制御装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03210021A (ja) * 1990-01-12 1991-09-13 Yanmar Diesel Engine Co Ltd ディーゼル機関の燃焼装置
JP2006328999A (ja) * 2005-05-24 2006-12-07 Yanmar Co Ltd 予混合圧縮自着火式内燃機関
JP2007154824A (ja) * 2005-12-07 2007-06-21 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃焼制御装置

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015169110A (ja) * 2014-03-06 2015-09-28 マツダ株式会社 エンジンの動弁装置
JP2016098790A (ja) * 2014-11-26 2016-05-30 マツダ株式会社 直噴エンジンの燃焼室構造
WO2016103735A1 (ja) * 2014-12-25 2016-06-30 マツダ株式会社 直噴エンジンの燃焼室構造
JP2016121630A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 マツダ株式会社 直噴エンジンの燃焼室構造
CN107110004A (zh) * 2014-12-25 2017-08-29 马自达汽车株式会社 直喷发动机的燃烧室构造
US10156182B2 (en) 2014-12-25 2018-12-18 Mazda Motor Corporation Combustion chamber structure for direct injection engine
CN107110004B (zh) * 2014-12-25 2019-08-06 马自达汽车株式会社 直喷发动机的燃烧室构造
JP2016135992A (ja) * 2015-01-23 2016-07-28 マツダ株式会社 直噴エンジンの燃料噴射制御装置
JP2016135991A (ja) * 2015-01-23 2016-07-28 マツダ株式会社 直噴エンジンの燃料噴射制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5900073B2 (ja) 2016-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9932883B2 (en) Spark-ignition direct-injection engine
US10247156B2 (en) Internal combustion engine
JP6011161B2 (ja) 火花点火式エンジン
JP5915472B2 (ja) 火花点火式直噴エンジン
JP5494568B2 (ja) ガソリンエンジン
WO2013035272A1 (ja) 直噴ガソリンエンジン及び直噴ガソリンエンジンの制御方法
JP5494545B2 (ja) 火花点火式ガソリンエンジン
JP5505368B2 (ja) ガソリンエンジン
JP2015140775A (ja) 直噴ガソリンエンジンの制御装置
JP6172375B2 (ja) 直噴ガソリンエンジンの制御装置
JP6252647B1 (ja) 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置
JP6015047B2 (ja) エンジンの制御装置
JP6056895B2 (ja) 直噴エンジンの燃料噴射制御装置
JP5900073B2 (ja) 内燃機関及びその制御方法
JP2015102058A (ja) 直噴ガソリンエンジン
JP5447434B2 (ja) 火花点火式ガソリンエンジン
WO2010035342A1 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2015102059A (ja) 直噴ガソリンエンジン
JP6221901B2 (ja) エンジンの制御装置
JP2014047646A (ja) 火花点火式直噴エンジン
JP6019935B2 (ja) 火花点火式直噴エンジン
JP6244882B2 (ja) 直噴エンジンの制御装置
JP2015124738A (ja) 直噴エンジンの制御装置
JP6225699B2 (ja) 直噴エンジンの制御装置
JP5907012B2 (ja) 火花点火式直噴エンジン

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150813

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150825

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151019

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160222

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5900073

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150