JP2015102059A - 直噴ガソリンエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】自己着火燃焼のリタード可能な期間を拡大させる。
【解決手段】エンジン1は、インジェクタ33により気筒内に噴射された、少なくともガソリンを含有する燃料を自己着火させるものである。エンジン1は、幾何学的圧縮比が、15以上であり、気筒内にオゾンを発生させるオゾン発生器31と、インジェクタ33による燃料噴射を制御するエンジン制御器100とを備えている。エンジン制御器100は、インジェクタ33に、燃料が熱炎反応に至らずに酸化反応する量の燃料を噴射して、少なくとも圧縮上死点以降に燃料を酸化反応させる前段噴射と、前段噴射よりも後に燃料を噴射する主噴射とを行わせ、オゾン発生器31に、主噴射よりも後にオゾンを発生させ、主噴射による燃料を自己着火燃焼させる。
【選択図】図4

Description

ここに開示された技術は、直噴ガソリンエンジンに関するものである。
従来より、少なくともガソリンを含有する燃料を気筒内に供給し、混合気を圧縮させることにより燃料を自己着火させる直噴ガソリンエンジンが知られている。
例えば、特許文献1に開示された、燃料を自己着火燃焼させるエンジンは、燃焼時の気筒内の圧力上昇率(クランク角変化に対する気筒内の圧力変化の比率)を低減させるべく、エンジンのモータリング時の圧力上昇率が負の最大値となる時点と燃焼期間とが重複するように燃焼タイミングを制御している。具体的には、モータリング時の圧力上昇率は、圧縮上死点の手前で最大となり、圧縮上死点で0となり、圧縮上死点後は負の値となり、やがて負の最大値となる。つまり、上記エンジンでは、自己着火燃焼の着火時期を膨張行程の所定の時期までリタードさせ、燃焼期間をモータリング時の圧力上昇率が負の最大値となる時点と重複させている。これにより、燃焼時の圧力上昇率が低減され、振動騒音(NVH)レベルが低減される。
尚、上記エンジンのモータリング時とは、エンジンのクランク軸を電動モータで回した時の燃焼を伴わない状態時のことで、研究上、燃焼の有無による気筒内の圧力上昇率等の比較に起用される。
特開2013−57268号公報
しかしながら、膨張行程が進むにつれて筒内温度は低下するため、着火タイミングをリタードさせ過ぎると、失火を生じる虞がある。特に、エンジンの圧縮率が高いほど、膨張行程における筒内温度の低下速度が速いため、着火時期をあまりリタードできない。
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、自己着火燃焼のリタード可能な期間を拡大させる。
ここに開示された技術は、インジェクタにより気筒内に噴射された、少なくともガソリンを含有する燃料を自己着火させる直噴ガソリンエンジンが対象である。そして、この直噴ガソリンエンジンは、幾何学的圧縮比が、15以上であり、上記気筒内にオゾンを発生させるオゾン発生器と、上記インジェクタによる燃料噴射を制御する制御部とを備え、上記制御部は、上記インジェクタに、燃料が熱炎反応に至らずに酸化反応する量の燃料を噴射して、少なくとも圧縮上死点以降に該燃料を酸化反応させる前段噴射と、該前段噴射よりも後に燃料を噴射する主噴射とを行わせ、上記オゾン発生器に、上記主噴射よりも後にオゾンを発生させ、該主噴射による燃料を自己着火燃焼させるものとする。
上記の構成によれば、幾何学的圧縮比が15以上という幾何学的圧縮比が比較的高いエンジンであるので、燃焼時の圧力上昇率が高くなる傾向にある。つまり、上記エンジンは、振動騒音(NVH)レベルが高くなる傾向にある。
しかしながら、燃料が熱炎反応に至らずに酸化反応する量の燃料が上記前段噴射によって供給され、少なくとも圧縮上死点以降に該燃料の酸化反応が生じるので、圧縮上死点以降の筒内温度の低下を抑制される。そのため、着火時期をリタードさせても、自己着火燃焼を実現することができる。それに加えて、オゾン添加によってエネルギが付与されるので、自己着火燃焼がアシストされる。例えば、前段噴射を行っても、いずれは筒内温度が低下して、着火し難くなる。そのような場合には、オゾンを添加することによって燃料の着火を容易にすることができる。本明細書では、燃料が熱炎反応に至らずに酸化反応をすることを「部分酸化反応」と称する。
こうすることで、自己着火燃焼の燃焼期間がモータリング時の圧力上昇率が負の最大値となる時点と重複するまで、あるいは、自己着火燃焼の燃焼中心が負の圧力上昇率が大きい期間(圧縮上死点後10°〜20°)と重複するまで自己着火燃焼をリタードさせることができる。その結果、燃焼時の圧力上昇率を低減することができ、振動騒音(NVH)レベルを低減することができる。
さらに、前段噴射による燃料は熱炎反応に至らないので、酸化反応により生じる熱量が比較的小さく、筒内温度が高くなり過ぎることが防止される。筒内温度が高くなり過ぎると、主噴射を行ったときに燃料が適切に混ざり切る前に局所的に着火して、煤が発生してしまう虞がある。つまり、前段噴射による燃料を熱炎反応に至らせることなく酸化反応させることによって、煤の発生を低減することができる。
また、燃焼時の圧力上昇率を低減するためには、EGR量を増加させることも考えられるが、EGR量を増加すると、新規量が減少することになる。その結果、十分なトルクを確保できない虞がある。特に、圧力上昇率の大きさが問題となるのは高負荷の運転領域であり、この領域では大きなトルクが要求される。それに対して、上記の構成によれば、新規量を確保できるので、十分なトルクを発生させることができる。
また、上記制御部は、上記オゾン発生器によるオゾンの発生時期をエンジン回転数が小さいほど遅角させてもよい。
つまり、エンジン回転数が小さいほど、筒内に噴射された燃料が高温に晒される時間が長くなり、異常燃焼が発生しやすくなる。そのため、エンジン回転数が小さいほど、主燃焼の燃焼時期をリタードさせ、異常燃焼が発生しにくくしている。そこで、オゾンの発生時期もエンジン回転数が小さいほど遅角させることによって、オゾンの発生時期を主燃焼の燃焼時期に対応させている。
さらに、上記制御部は、上記オゾン発生器によるオゾンの発生時期をエンジン負荷が高いほど遅角させてもよい。
オゾンの発生時期が遅角されると、主燃焼のリタード量が大きくなる。エンジン負荷が大きいほど、筒内の圧力上昇率が大きくなり、振動騒音レベルが高くなる。そこで、エンジン負荷が高いほど、オゾンの添加時期を遅角させ、主燃焼のリタード量を大きくしている。こうして、主燃料のリタード量を大きくすることによって、燃焼時の圧力上昇率を低減し、高負荷時の振動騒音レベルを低減している。
上記前段噴射は、少なくとも第1前段噴射と、該第1前段噴射の後に燃料を噴射する第2前段噴射とに分割されていてもよい。
前段噴射を分割することによって、圧縮上死点以降の筒内温度を調整し易くなる。例えば、第1前段噴射によって圧縮上死点における筒内温度を調整し、第2前段噴射によって圧縮上死点以降の筒内温度の変動が抑制される期間を調整することができる。
上記制御部は、圧縮上死点以降の筒内温度の変動を上記前段噴射によって所定の温度幅に収めており、圧縮上死点以降の筒内温度が該温度幅の下限値を下回った場合には上記オゾン発生器にオゾンを発生させるようにしてもよい。
前記の構成によれば、圧縮上死点以降の筒内温度の変動、は前段噴射によって所定の温度幅に収められる。つまり、圧縮上死点以降の筒内温度は、低下が抑制されつつ、過度な上昇も抑制され、燃料が異常燃焼することなく且つ自己着火燃焼できる温度に維持される。しかしながら、筒内温度が温度幅の下限値を下回ると、燃料の自己着火燃焼が難しくなる。そこで、筒内温度が温度幅の下限値を下回った場合には、オゾン添加が実行され、燃料の自己着火燃焼がアシストされる。
ここで、所定の温度幅の上限値は、主噴射による燃料が筒内の空気に混合される前に着火してしまう温度未満の温度である。例えば、上限値は、圧縮上死点における筒内温度よりも50度だけ高い温度である。所定の温度幅の下限値は、圧縮上死点における筒内温度をモータリングを行うことで低下させた温度よりも高い温度である。モータリングでは、燃焼による熱量の発生がないので、圧縮上死点以降の筒内温度は、筒内の体積変化に応じて低下していく。例えば、下限値は、圧縮上死点における筒内温度よりも50度だけ低い温度である。つまり、前段噴射によって、圧縮上死点から主燃焼が生じるまでの筒内温度は、主噴射による燃料が筒内の空気に混合される前に着火する温度未満であって、圧縮上死点における筒内温度をモータリングを行うことで低下させた温度よりも高い温度に維持される。
上記温度幅の下限値は、1000Kであってもよい。
また、上記前段噴射は、空気過剰率が8以上となる量の燃料を噴射するようにしてもよい。
この構成によれば、前段噴射による燃料は、酸化反応するものの熱炎反応には至らない。その結果、前段噴射による燃料は、筒内温度を上げ過ぎることなく、筒内温度の低下を抑制できる程度の熱量を発生する。
上記直噴ガソリンエンジンによれば、自己着火燃焼のリタード可能な期間を拡大することができる。
直噴ガソリンエンジンを示す概略図である。 インジェクタの内部構造を示す断面図である。 自己着火燃焼の形態を決定するためのマップである。 (A)は、リタード自己着火燃焼時の噴射形態を示す図であり、(B)は、筒内温度の変化を示す図である。 燃焼による中間生成物の量のクランク角に対する変化を示し、(A)は空気過剰率λが4であり、(B)は空気過剰率λが6であり、(C)は空気過剰率λが8である。 、前段噴射における空気過剰率λを変更したときの筒内温度の変化を示す図である。 (A)は、クランク角に対する筒内温度変化を示す図であり、(B)は、クランク角に対する筒内圧力変化を示す図であり、(C)は、クランク角に対する筒内圧力上昇率を示す図である。 リタード自己着火燃焼時の各種パラメータの変化を示す図であり、(A)は熱発生率を、(B)は筒内圧力を、(C)は圧力上昇率を示す。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る直噴ガソリンエンジン(以下、「エンジン」という)1を概略的に示す。本実施形態では、エンジン1は、エンジン本体に付随する様々なアクチュエータ、様々なセンサ、及び、該センサからの信号に基づきアクチュエータを制御するエンジン制御器100を含む。
エンジン1は、自動車等の車両に搭載され、その出力軸は、図示しないが、変速機を介して駆動輪に連結されている。エンジン1の出力が駆動輪に伝達されることによって、車両が推進する。エンジン1のエンジン本体は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えており、シリンダブロック12の内部に複数のシリンダ11(気筒)が形成されている(図1では、1つのみ示す)。シリンダブロック12及びシリンダヘッド13の内部には、図示は省略するが冷却水が流れるウォータージャケットが形成されている。
各シリンダ11内には、ピストン15が摺動自在にそれぞれ嵌挿されており、ピストン15は、シリンダ11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画している。本実施形態では、燃焼室17は所謂ペントルーフ型であり、その天井面(シリンダヘッド13の下面)は吸気側及び排気側の2つの傾斜面からなる三角屋根状をなしている。ピストン15の冠面は、上記天井面に対応した凸形状をなしていて、冠面の中心部には、凹状のキャビティ15aが形成されている。尚、上記天井面及びピストン1の冠面の形状は、後述の高い幾何学的圧縮比が可能であれば、どのような形状であってもよく、例えば、天井面及びピストン1の冠面(キャビティ15aを除く部分)の両方が、シリンダ11の中心軸に対して垂直な面で構成されていてもよく、天井面が上記のように三角屋根状をなす一方、ピストン1の冠面(キャビティ15aを除く部分)がシリンダ11の中心軸に対して垂直な面で構成されていてもよい。
図1には1つのみ示すが、シリンダ11毎に2つの吸気ポート18がシリンダヘッド13に形成され、それぞれがシリンダヘッド13の下面(燃焼室17の天井面における吸気側の傾斜面)に開口することで燃焼室17に連通している。同様に、シリンダ11毎に2つの排気ポート19がシリンダヘッド13に形成され、それぞれがシリンダヘッド13の下面(燃焼室17の天井面の排気側の傾斜面)に開口することで燃焼室17に連通している。吸気ポート18は、シリンダ11内に導入される新気が流れる吸気通路(図示省略)に接続されている。吸気通路には、吸気流量を調整するスロットル弁20が介設しており、エンジン制御器100からの制御信号を受けて、スロットル弁20の開度が調整される。一方、排気ポート19は、各シリンダ11からの既燃ガス(排気ガス)が流れる排気通路(図示省略)に接続されている。排気通路には、図示は省略するが、1つ以上の触媒コンバータを有する排気ガス浄化システムが配置(図示省略)される。触媒コンバータは例えば、三元触媒で構成される。
シリンダヘッド13には、吸気弁21及び排気弁22が、それぞれ吸気ポート18及び排気ポート19を燃焼室17から遮断(閉)することができるように配設されている。吸気弁21は吸気弁駆動機構により、排気弁22は排気弁駆動機構により、それぞれ駆動される。吸気弁21及び排気弁22は所定のタイミングで往復動して、それぞれ吸気ポート18及び排気ポート19を開閉し、シリンダ11内のガス交換を行う。吸気弁駆動機構及び排気弁駆動機構は、図示は省略するが、それぞれ、クランクシャフトに駆動連結された吸気カムシャフト及び排気カムシャフトを有し、これらのカムシャフトはクランクシャフトの回転と同期して回転する。また、少なくとも吸気弁駆動機構は、吸気カムシャフトの位相を所定の角度範囲内で連続的に変更可能な、液圧式又は機械式の位相可変機構(Variable Valve Timing:VVT)23を含んで構成されている。尚、VVT23と共に、弁リフト量を連続的に変更可能なリフト可変機構(CVVL(Continuous Variable Valve Lift))を備えるようにしてもよい。
シリンダヘッド13におけるシリンダ11の中心軸上には、気筒内(燃焼室17内)に燃料を直接噴射するインジェクタ33が配設されている。このインジェクタ33は、例えばブラケットを使用する等の周知の構造でシリンダヘッド13に取付固定されている。インジェクタ33の先端は、燃焼室17の天井部の中心に臨んでいる。
図2に示すように、インジェクタ33は、気筒内に燃料を噴射するノズル口41を開閉する外開弁42を有する、外開弁式のインジェクタである。ノズル口41は、シリンダ11の中心軸に沿って延びる燃料管43の先端部において、先端側ほど径が大きくなるテーパ状に形成されている。燃料管43の基端側の端部は、内部にピエゾ素子44が配設されたケース45に接続されている。外開弁42は、弁本体42aと、弁本体42aから燃料管43内を通ってピエゾ素子44に接続された連結部42bとを有している。弁本体42aの連結部42b側の部分が、ノズル口41と略同じ形状を有しており、該部分がノズル口41に当接(着座)しているときには、ノズル口41が閉状態となる。このとき、弁本体42aの先端側の部分は、燃料管43の外側に突出した状態となっている。
ピエゾ素子44は、電圧の印加による変形により、外開弁42をシリンダ11の中心軸方向の燃焼室17側に押圧することで、その外開弁42を、ノズル口41を閉じた状態からリフトさせてノズル口41を開放する。このとき、ノズル口41から気筒内に燃料が、シリンダ11の中心軸を中心とするコーン状(詳しくはホローコーン状)に噴射される。そのコーンのテーパ角は、本実施形態では、90°〜100°である(内側の中空部のテーパ角は70°程度である)。そして、ピエゾ素子44への電圧の印加が停止すると、ピエゾ素子44が元の状態に復帰することで、外開弁42がノズル口41を再び閉状態とする。このとき、ケース45内における連結部42bの周囲に配設された圧縮コイルバネ46がピエゾ素子44の復帰を助長する。
ピエゾ素子44に印加する電圧が大きいほど、外開弁42の、ノズル口41を閉じた状態からのリフト量(以下、単にリフト量という)が大きくなる。このリフト量が大きいほど、ノズル口41の開度が大きくなってノズル口41から気筒内に噴射される燃料噴霧のペネトレーションが大きくなる(長くなる)とともに、単位時間当たりに噴射される燃料量が多くなりかつ燃料噴霧の粒径が大きくなる。ピエゾ素子44の応答は速く、後述の噴射を容易に実現することが可能である。但し、外開弁42を駆動する手段としては、ピエゾ素子44には限られない。
燃料供給システム34は、外開弁42(ピエゾ素子44)を駆動するための電気回路と、インジェクタ33に燃料を供給する燃料供給系とを備えている。エンジン制御器100は、所定のタイミングで、リフト量に応じた電圧を有する噴射信号を上記電気回路に出力することで、該電気回路を介してピエゾ素子44及び外開弁42を作動させて、所望量の燃料を、気筒内に噴射させる。上記噴射信号の非出力時(噴射信号の電圧が0であるとき)には、外開弁42によりノズル口41が閉じられた状態となる。このようにピエゾ素子44は、エンジン制御器100からの噴射信号によって、その作動が制御される。こうしてエンジン制御器100は、ピエゾ素子44の作動を制御して、インジェクタ33のノズル口41からの燃料噴射及び該燃料噴射時におけるリフト量を制御する。
上記燃料供給系には、図示省略の高圧燃料ポンプやコモンレールが設けられており、その高圧燃料ポンプは、低圧燃料ポンプを介して燃料タンクより供給されてきた燃料をコモンレールに圧送し、コモンレールは、その圧送された燃料を、所定の燃料圧力で蓄える。そして、インジェクタ33が作動する(外開弁42がリフトされる)ことによって、上記コモンレールに蓄えられている燃料がノズル口41から噴射される。
また、エンジン201のシリンダヘッド13には、オゾン発生器31が配設されている。このオゾン発生器31は、例えばねじ等の周知の構造によって、シリンダヘッド13に固定されている。オゾン発生器31の先端部は燃焼室17の天井部に臨んでいる。このオゾン発生器31の先端部は、インジェクタ33のノズル口41の近傍に位置する。オゾン発生器31は、互いに絶縁され且つ対向して配置された2つの電極を有している。オゾン発生器31は、オゾン発生システム32によって駆動される。オゾン発生システム32は、オゾン発生回路を有している。オゾン発生システム32は、エンジン制御器100からの制御信号を受けて、高圧の高周波電圧をオゾン発生器31に出力する。オゾン発生器31は、高周波電圧が印加されると、2つの電極間にオゾンを発生させる。オゾン発生器31に印加する高周波電圧の大きさ又は周波数を変更することによって、オゾンの濃度を調整することができる。尚、オゾン発生器31の配置及び構成は、これに限定されるものではない。
ここで、エンジン1の燃料は、本実施形態ではガソリンであるが、バイオエタノール等を含むガソリンであってもよく、少なくともガソリンを含む燃料(液体燃料)であれば、どのような燃料であってもよい。
エンジン制御器100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。エンジン制御器100は、制御部の一例である。
エンジン制御器100は、少なくとも、エアフローセンサ71からの吸気流量に関する信号、クランク角センサ72からのクランク角パルス信号、アクセル・ペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ73からのアクセル開度信号、及び、車速センサ74からの車速信号をそれぞれ受ける。エンジン制御器100は、これらの入力信号に基づいて、例えば、所望のスロットル開度信号、燃料噴射パルス、点火信号、バルブ位相角信号等といった、エンジン1の制御パラメーターを計算する。そして、エンジン制御器100は、それらの信号を、スロットル弁20(スロットル弁20を動かすスロットルアクチュエータ)、燃料供給システム34(上記電気回路)、VVT23等に出力する。
このエンジン1の幾何学的圧縮比εは、15以上40以下とされている。この幾何学的圧縮比εは、特に25以上35以下が好ましい。本実施形態では、エンジン1は圧縮比=膨張比となる構成から、高圧縮比と同時に、比較的高い膨張比を有するエンジン1でもある。尚、圧縮比≦膨張比となる構成(例えばアトキンソンサイクルや、ミラーサイクル)を採用してもよい。また、吸気弁の遅閉じ等を行う場合には、エンジン1の有効圧縮比は、12以上に設定される。好ましくは、エンジン1の有効圧縮比は、18以上に設定される。
燃焼室17は、図1に示すように、シリンダ11の壁面と、ピストン15の冠面と、シリンダヘッド13の下面(天井面)と、吸気弁21及び排気弁22それぞれのバルブヘッドの面と、によって区画形成されている。そして、冷却損失を低減するべく、これらの各面に、断熱層61,62,63,64,65が設けられることによって、燃焼室17が断熱化されている。尚、以下において、これらの断熱層61〜65を総称する場合は、断熱層に符号「6」を付す場合がある。断熱層6は、これらの区画面の全てに設けてもよいし、これらの区画面の一部に設けてもよい。また、図例では、シリンダ壁面の断熱層61は、ピストン15が上死点に位置した状態で、そのピストンリング14よりも上側の位置に設けられており、これにより断熱層61上をピストンリング14が摺動しない構成としている。但し、シリンダ壁面の断熱層61はこの構成に限らず、断熱層61を下向きに延長することによって、ピストン15のストロークの全域、又は、その一部に断熱層61を設けてもよい。また、燃焼室17を直接区画する壁面ではないが、吸気ポート18や排気ポート19における、燃焼室17の天井面側の開口近傍のポート壁面に断熱層を設けてもよい。尚、図1に図示する各断熱層61〜65の厚みは実際の厚みを示すものではなく単なる例示であると共に、各面における断熱層の厚みの大小関係を示すものでもない。
燃焼室17の断熱構造について、さらに詳細に説明する。燃焼室17の断熱構造は、上述の如く、燃焼室17を区画する各区画面に設けた断熱層61〜65によって構成されるが、これらの断熱層61〜65は、燃焼室17内の燃焼ガスの熱が、区画面を通じて放出されることを抑制するため、燃焼室17を構成する金属製の母材よりも熱伝導率が低く設定される。ここで、シリンダ11の壁面に設けた断熱層61については、シリンダブロック12が母材であり、ピストン15の冠面に設けた断熱層62についてはピストン15が母材であり、シリンダヘッド13の天井面に設けた断熱層63については、シリンダヘッド13が母材であり、吸気弁21及び排気弁22それぞれのバルブヘッド面に設けた断熱層64,65については、吸気弁21及び排気弁22がそれぞれ母材である。したがって、母材の材質は、シリンダブロック12、シリンダヘッド13及びピストン15については、アルミニウム合金や鋳鉄となり、吸気弁21及び排気弁22については、耐熱鋼や鋳鉄等となる。
また、断熱層6は、冷却損失を低減する上で、母材よりも容積比熱が小さいことが好ましい。つまり、燃焼室17内のガス温度は燃焼サイクルの進行によって変動するが、燃焼室17の断熱構造を有しない従来のエンジンは、シリンダヘッドやシリンダブロック内に形成したウォータージャケット内を冷却水が流れることにより、燃焼室17を区画する面の温度は、燃焼サイクルの進行にかかわらず、概略一定に維持される。
一方で、冷却損失は、冷却損失=熱伝達率×伝熱面積×(ガス温度−区画面の温度)によって決定されることから、ガス温度と壁面の温度との差温が大きくなればなるほど冷却損失は大きくなってしまう。冷却損失を抑制するためには、ガス温度と区画面の温度との差温は小さくすることが望ましいが、冷却水によって燃焼室17の区画面の温度を概略一定に維持した場合、ガス温度の変動に伴い差温が大きくなることは避けられない。そこで、断熱層6の熱容量を小さくして、燃焼室17の区画面の温度が、燃焼室17内のガス温度の変動に追従して変化するようにすることが好ましい。
上記断熱層6は、例えば、母材上にZrO等のセラミック材料をプラズマ溶射によってコーティングして形成すればよい。このセラミック材料の中には、多数の気孔を含んでいてもよい。このようにすれば、断熱層6の熱伝導率及び容積比熱をより低くすることができる。
また、本実施形態では、図1に示すように、熱伝導率が非常に低くて断熱性に優れかつ耐熱性にも優れたチタン酸アルミニウム製のポートライナ181を、シリンダヘッド13に一体的に鋳ぐるむことによって、吸気ポート18に断熱層を設けている。この構成は、新気が吸気ポート18を通過するときに、シリンダヘッド13から受熱して温度が上がることを抑制乃至回避し得る。これによってシリンダ11内に導入する新気の温度(初期のガス温度)が低くなるため、燃焼時のガス温度が低下し、ガス温度と燃焼室17の区画面との差温を小さくする上で有利になる。燃焼時のガス温度を低下させることは熱伝達率を低くし得るから、そのことによる冷却損失の低減にも有利になる。尚、吸気ポート18に設ける断熱層の構成は、ポートライナ181の鋳ぐるみに限定されない。
本実施形態では、上記の燃焼室17及び吸気ポート18の断熱構造に加えて、気筒内(燃焼室17内)においてガス層による断熱層を形成することで、冷却損失を大幅に低減するようにしている。
具体的には、エンジン制御器100は、エンジン1の気筒内(燃焼室17内)の外周部に新気を含むガス層が形成されかつ中心部に混合気層が形成されるように、圧縮行程においてインジェクタ11のノズル口41から気筒内に燃料を噴射させるべく、燃料供給システム34の電気回路に噴射信号を出力する。すなわち、圧縮行程においてインジェクタ33により気筒内に燃料を噴射させかつその燃料噴霧のペネトレーションを、燃料噴霧が気筒内の外周部まで届かないような大きさ(長さ)に抑えることで、気筒内の中心部に混合気層が形成されかつその周囲に新気を含むガス層が形成されるという、成層化が実現する。このガス層は、新気のみであってもよく、新気に加えて、既燃ガス(EGRガス)を含んでいてもよい。尚、ガス層に少量の燃料が混じっても問題はなく、ガス層が断熱層の役割を果たせるように混合気層よりも燃料リーンであればよい。
上記のようにガス層と混合気層とが形成された状態で燃料が自己着火すれば、混合気層とシリンダ11の壁面との間のガス層により、混合気層の火炎がシリンダ11の壁面に接触することがなく、そのガス層が断熱層となって、シリンダ11の壁面からの熱の放出を抑えることができるようになる。この結果、冷却損失を大幅に低減することができる。
尚、冷却損失を低減させるだけでは、その冷却損失の低減分が排気損失に転換されて図示熱効率の向上にはあまり寄与しないところ、このエンジン1では、高圧縮比化に伴う高膨張比化によって、冷却損失の低減分に相当する燃焼ガスのエネルギを、機械仕事に効率よく変換している。すなわち、エンジン1は、冷却損失及び排気損失を共に低減させる構成を採用することによって、図示熱効率を大幅に向上させているということができる。
エンジン1は、全運転領域において、インジェクタ33により気筒内に噴射された燃料を自己着火燃焼させる。より詳しくは、エンジン1は、図3に示すように、エンジン負荷が低、中負荷の運転領域であって、通常の自己着火燃焼を行う通常運転領域Aと、通常運転領域Aよりも高負荷側の運転領域であって、リタードさせた自己着火燃焼を行うリタード運転領域Bとを有している。
通常運転領域Aでは、圧縮上死点付近で燃料を自己着火燃焼させる。例えば、インジェクタ33による燃焼噴射開始時期が圧縮行程中に設定される。通常運転領域Aでは、エンジン制御器100は、エンジン回転数、エンジン負荷及び有効圧縮比に応じて、燃料量、燃料の噴射タイミング、燃料の噴射形態を調整する。通常運転領域Aでは、圧縮上死点以降に主燃焼が開始されるが、後述するリタード運転領域Bのような、圧縮上死点以降の筒内温度を維持するための燃料噴射を行わない。
尚、通常運転領域Aでは、気筒内(燃焼室17内)全体の空気過剰率λが2以上、又は、気筒内におけるガスの燃料に対する重量比G/Fが30以上に設定され得る。これにより、断熱層による断熱化を図って図示熱効率を向上させながら、RawNOxを低減することができる。RawNOx低減の観点からは、上記空気過剰率λ≧2.5がより一層好ましい。また、上記空気過剰率λ=8で図示熱効率がピークになることから、上記空気過剰率λの範囲としては、2≦λ≦8(より好ましくは2.5≦λ≦8)が好ましい。尚、混合気のリーン化は、スロットル弁20を開き側に設定することになるから、ガス交換損失(ポンピングロス)の低減による図示熱効率の向上にも寄与し得る。
リタード運転領域Bは、オゾンを添加することなくリタード自己着火燃焼を行う第1運転領域B1と、主噴射の後に筒内にオゾンを添加してリタード自己着火燃焼を行う、運転領域B1よりも高負荷側の第2運転領域B2とを含んでいる。
第1運転領域B1では、圧縮上死点から主噴射の燃料が自己着火するまでの筒内温度を実質的に圧縮上死点における筒内温度のまま維持するための熱量を発生させる前段噴射と、膨張行程において自己着火燃焼を生じさせるための主噴射とが行われる。以下、前段噴射によって圧縮上死点以降の筒内温度を維持しつつ、着火時期をリタードさせる自己着火燃焼を「リタード自己着火燃焼」と称する。
前段噴射は、噴射した燃料を部分酸化反応させる空燃比となる量だけ燃料を噴射するものであって、圧縮上死点以降の筒内温度を所定の期間、主噴射による燃料が自己着火可能な温度に維持するためのものである。前段噴射では、燃料が酸化反応するものの熱炎反応には至らないので、圧縮上死点以降の筒内温度の低下を抑制する程度の熱量しか発生しない。つまり、前段噴射は、筒内温度が高くなり過ぎることを防止しつつ、圧縮上死点以降の筒内温度を維持するためのものである。この前段噴射により、圧縮上死点以降の混合気は、温度変化が所定の温度幅内に抑制された状態で膨張、即ち、実質的に等温膨張する。本明細書では、この実質的な等温膨張のことを単に「等温膨張」という。
所定の温度幅の上限値は、主噴射による燃料が筒内の空気に混合される前に着火してしまう温度未満の温度である。所定の温度幅の下限値は、圧縮上死点における筒内温度をモータリングを行うことで低下させた温度よりも高い温度である。つまり、前段噴射によって、圧縮上死点から主燃焼が生じるまでの筒内温度は、主噴射による燃料が筒内の空気に混合される前に着火する温度未満であって、圧縮上死点における筒内温度をモータリングを行うことで低下させた温度よりも高い温度に維持される。例えば、「所定の温度幅」は、100度である。より具体的には、圧縮上死点から主燃焼が生じるまでの筒内温度は、1000〜1100Kに維持される。
主噴射は、エンジントルクを生成する主燃焼(1サイクル中で最も大きな熱量を発生させる燃焼)を生じさせるための噴射である。主噴射は、膨張行程において筒内温度の変動が上記所定の温度幅内に収まっている間に燃料が着火するタイミングで燃料を噴射する。さらに、主噴射の噴射タイミングは、主燃焼の燃焼期間がモータリング時の気筒内の圧力上昇率が負の最大値となる時点と重複するタイミングとなっている。ここで、着火とは、燃料の燃焼質量割合が10%以上となった時点を意味する。例えば、主噴射は、圧縮上死点以降であって、膨張行程中(より詳しくは、膨張行程を初期、中期、終期に3等分したときの初期)に実行される。主噴射は、トルクを発生させる主燃焼を生じさせるものであるので、必要なトルクに見合った燃料を噴射する必要がある。例えば、主噴射では、前段噴射による噴射量と主噴射による噴射量とを合わせた全噴射量のうち3/4以上の燃料を噴射することが好ましい。
このように主燃焼をリタードさせる場合、リタードできる期間には限界がある。つまり、吸気行程が進むと、筒内の容積の増大に伴って筒内温度が低下するので、主燃焼をリタードさせ過ぎると失火してしまう。吸気行程における筒内温度の低下速度は、圧縮比が高いほど速い。そのため、圧縮比が高いほど、リタード可能な期間が短くなる。しかしながら、上記前段噴射により圧縮上死点以降の筒内温度を維持することによって、主燃焼をリタードできる期間を拡大することができる。
ただし、圧縮上死点以降の筒内温度を高くする際に、筒内温度を高くし過ぎると、主噴射により噴射した燃料が筒内の空気と混ざり切る前に局所的に着火してしまい、煤を発生させる虞がある。しかし、前段噴射によれば、圧縮上死点以降の筒内温度の変動が所定の温度幅内に抑制されるので、筒内温度の過度な上昇も抑制される。その結果、主噴射による燃料が局所的に着火して煤が発生してしまうことを抑制することができる。
このように、第1運転領域B1においては、エンジン制御器100は、自己着火燃焼をリタードさせる際のリタード期間を後述するオゾン添加をすることなく、前段噴射のみによって拡大している。
第2運転領域B2では、エンジン制御器100は、上記前段噴射及び主噴射をインジェクタ33に行わせた後、オゾン発生器31にオゾンを発生させる。主噴射によって気筒内に噴射された燃料は、オゾンによってエネルギが付与され、容易に自己着火燃焼する。つまり、オゾンは、燃料の自己着火燃焼をアシストする。
前段噴射によれば、圧縮上死点以降の筒内温度の低下を抑制できるため、自己着火燃焼をリタードできる期間を延長することができる。しかしながら、リタードできる期間を延長できたとしても限界がある。それに対し、オゾンを添加することによって、オゾンの添加が無ければ着火が困難又は着火が不可能な時点まで着火時期をリタードさせたとしても燃料を自己着火させることができる。このように、第2運転領域B2では、エンジン制御器100は、前段噴射及びオゾン添加によって、自己着火燃焼をリタードさせる際のリタード期間を拡大している。
尚、リタード運転領域Bでは、トルク優先により、気筒内全体の空気過剰率λ=1に設定され得る。
また、上記主噴射による燃焼、即ち、主燃焼を、エンジンの回転数が高くなるほど進角させる。つまり、エンジン回転数が低くなるほど、燃料が筒内の高温に晒される時間が長くなり、異常燃焼が発生し易くなる。そのため、エンジン回転数が低くなるほど、主燃焼をリタードさせて、異常燃焼の発生を抑制する。それに対し、エンジン回転数が高くなるほど、燃料が筒内の高温に晒される時間が短くなり、異常燃焼が生じ難くなる。そのため、基本的には、燃焼時の圧力上昇率を低減するために、主燃焼をリタードさせるものの、その燃焼時期はエンジン回転数が高いほど、エンジン回転数が低い場合に比べて進角している。
次に、噴射形態の一例を説明する。前段噴射は、図4(A)に示すように、エンジン制御器100は、前段噴射、主噴射及びオゾン添加をこの順でインジェクタ33及びオゾン発生器31に行わせる。図4(A)の例では、第1前段噴射とそれに続く第2前段噴射とに分割されている。第1前段噴射は、圧縮上死点における筒内温度を調整するためのものである。つまり、第1前段噴射の噴射量が多くなるほど、圧縮上死点における筒内温度が高くなる。第2前段噴射は、圧縮上死点以降の温度維持期間(筒内温度の変動が所定の温度幅に維持される期間)の長さを調整するためのものである。つまり、第2前段噴射の噴射量が多くなるほど、圧縮上死点以降の筒内温度が圧縮上死点における筒内温度に維持される期間が長くなる(図4(A)の一点鎖線参照)。第1前段噴射は、圧縮行程終期に実行される。第2前段噴射は、圧縮上死点の近傍(圧縮上死点後すぐ)で実行される。
第1前段噴射による噴射量は、全噴射量の5%であり、第2前段噴射による噴射量は、全噴射量の15%である。主噴射の噴射量は、全噴射量の80%である。
第1前段噴射、第2前段噴射及び主噴射の全噴射量は、筒内全体の空気過剰率が1となるように設定されている(混合気層では、空気過剰率λ<1となる)。これにより、トルクが確保できるとともに、排気ガス浄化システムの三元触媒によって排気ガスを効率良く浄化することができる。
尚、前段噴射が分割されていない場合には、1度の前段噴射の噴射量によって、圧縮上死点の筒内温度及び温度維持期間の長さを調整する。
そして、オゾン添加は、主噴射の後に実行される。
ここで、オゾン添加は、圧縮上死点以降の筒内温度が所定の温度を下回ったときに実行される。この所定の温度は、オゾン添加が無くても、燃料の自己着火燃焼が可能な温度である。つまり、圧縮上死点以降の筒内温度を前段噴射によって維持するだけでは主噴射による燃料の自己着火燃焼が困難な状況において、オゾンが添加される。
尚、オゾンの添加時期は、これに限られるものではない。圧縮上死点以降の筒内温度が所定の温度を下回る前にオゾンを添加してもよい。筒内温度が所定の温度以上であっても、膨張行程が進んで筒内圧力が低下すると、燃料が自己着火燃焼し難くなる。そのため、圧縮上死点以降の筒内温度が所定の温度以上であっても、オゾン添加を行うことにより燃焼の自己着火燃焼をアシストするようにしてもよい。
このような噴射形態においては、主として第1前段噴射の噴射量によって圧縮上死点における筒内温度が調整され、主として第2前段噴射の噴射量によって筒内温度を略一定に維持する期間の長さが調整される。そして、主燃焼の噴射タイミングを一定とした場合には、主としてオゾンの添加時期(発生時期)及び濃度によって主燃焼のリタード量が調整される。詳しくは、オゾンの添加時期を遅くするほど、主燃焼の着火時期は遅くなる(図中の一点鎖線)。また、オゾンの濃度を大きくするほど、主燃焼の着火時期は早くなる(図中の二点鎖線)。尚、実際には、主燃焼のリタード量は、第2前段噴射の噴射量、主燃焼の噴射時期並びにオゾンの添加時期及び濃度を変更することによって調整される。
また、エンジン制御器100は、オゾンの添加時期をエンジン回転数が小さいほど遅角させる。
さらに、エンジン制御器100は、オゾンの添加時期をエンジン負荷が高いほど遅角させる。
オゾンの添加時期が遅角されると、主燃焼のリタード量が大きくなる。エンジン負荷が大きいほど、筒内の圧力上昇率が大きくなり、振動騒音レベルが高くなる。そこで、エンジン負荷が高いほど、オゾンの添加時期を遅角させ、主燃焼のリタード量を大きくしている。こうして、主燃料のリタード量を大きくすることによって、燃焼時の圧力上昇率を低減し、高負荷時の振動騒音レベルを低減している。
続いて、前段噴射による等温膨張について詳細に説明する。図5は、燃焼による中間生成物の量のクランク角に対する変化を示し、(A)は空気過剰率λが4であり、(B)は空気過剰率λが6であり、(C)は空気過剰率λが8である。図6に、前段噴射における空気過剰率λを変更したときの筒内温度の変化を示す。
前段噴射による等温膨張は、前段噴射時の空燃比(空気過剰率)を調整することによって実現される。具体的には、混合気をリーンにしていくと、発熱量が減少し、等温膨張の実現が可能となる。
図5(A)に示すように、空気過剰率λが4のときには、クランク角が進むにつれて、CO、H、HCHOが減少し、OHが増加している。ここで、COの減少は、COからCOへの変化を意味している。COからCOへの変化を大きな発熱を伴うため、筒内温度が大きく上昇する。そのため、図6に示すように、空気過剰率λが4の場合には、圧縮上死点以降、筒内温度が急激に上昇している。
図5(B)に示すように、空気過剰率λが6のときには、クランク角に対するCOの減少量が小さい。つまり、空燃比をリーンにするほど、COからCOへの変化が生じ難くなっている。その結果、図6に示すように、空気過剰率λが6の場合には、空気過剰率λが4の場合と比べて、圧縮上死点以降の筒内温度の上昇が緩やかになっている。
図5(C)に示すように、空気過剰率λが8のときには、COの量がクランク角が進んでもほとんど変化していない。つまり、COからCOへの変化がほとんど生じていない。これは、燃料が酸化反応するものの、熱炎反応には至っていないためである。これにより、図6に示すように、圧縮上死点以降の筒内温度の上昇を抑制することができる。図6の例では、圧縮上死点以降の筒内温度の上昇を圧縮上死点における筒内温度よりも50度高い温度以下に抑制している。具体的には、圧縮上死点以降の筒内温度を1100K以下に抑制している。一方で、燃料は、熱炎反応には至らないものの酸化反応しており、燃焼室の膨張に伴う筒内温度の低下を補償する程度の微小な熱量を発生している。その結果、筒内温度が圧縮上死点以降も圧縮上死点における筒内温度と同程度に維持され、モータリング時に比べて、膨張行程における筒内温度の低下が抑制されている。
次に、等温膨張による筒内温度、筒内圧力、圧力上昇率について説明する。図7(A)は、クランク角に対する筒内温度変化を示し、図7(B)は、クランク角に対する筒内圧力変化を示し、図7(C)は、クランク角に対する筒内圧力上昇率を示す。何れの図においても、モータリング時の変化を破線で、等温膨張における変化を実線で示す。
モータリング時の筒内温度は、圧縮行程において圧縮上死点に近づくにつれて上昇し、圧縮上死点において最大となり、圧縮上死点以降は低下していく。モータリング時の筒内圧力も、筒内温度と同様に、圧縮行程において圧縮上死点に近づくにつれて上昇し、圧縮上死点において最大となり、圧縮上死点以降は低下していく。このとき、圧力上昇率は、圧縮上死点前は正の値であり、例えば圧縮上死点前10°あたりで最大値となり、圧縮上死点において0となる。圧縮上死点以降は、圧力上昇率は、負の値となり、例えば圧縮上死点後10°あたりで最小値となる。
一方、等温膨張によれば、筒内温度は、圧縮行程において圧縮上死点に向かって上昇し、圧縮上死点において最大となった後、しばらくの間(即ち、温度維持期間の間)、実質的に圧縮上死点における温度に維持される。その後、筒内温度は低下していく。等温膨張における筒内圧力は、圧縮行程において圧縮上死点に近づくにつれて上昇し、圧縮上死点において最大となり、圧縮上死点以降は低下する。この挙動は、モータリング時と同じである。ただし、圧縮上死点以降の等温膨張における筒内圧力は、モータリング時の筒内圧力よりも僅かに高い。同様に、等温膨張における圧力上昇率の基本的な挙動は、モータリング時と同じである。ただし、膨張行程における圧力上昇率が等温膨張中だけモータリング時よりも大きくなっている。しかしながら、この圧力上昇率の増加は僅かである。
要するに、前段噴射によって筒内温度を維持できるだけの熱量を発生させたとしても、圧縮上死点以降の負の圧力上昇率はモータリング時に比べて僅かに大きくなるだけである。圧縮上死点以降の筒内温度を高くできたとしても圧縮上死点以降の圧力上昇率も高くなってしまっては、主燃焼をリタードできるものの、振動騒音(NVH)レベルを低減できない。つまり、前段噴射によれば、筒内温度の低下を抑制しつつ、筒内の圧力上昇率を低いままに維持することができるので、自己着火燃焼をリタードさせることによって燃焼時の圧力上昇率を低減することができる。
続いて、リタード自己着火燃焼における、熱発生率、筒内圧力及び筒内圧力上昇率について説明する。図8(A)に熱発生率を、図8(B)に筒内圧力を、図8(C)に圧力上昇率を示す。各図において、実線はリタード自己着火燃焼を表し、一点鎖線は通常の自己着火燃焼(前段噴射のような圧縮上死点以降の筒内温度の維持のための燃料噴射を行わない自己着火燃焼)を表す。図8(B)、(C)においては、モータリング時の値を破線で示す。尚、この例でのリタード自己着火燃焼は、オゾン添加を実行していない。
尚、図8におけるエンジンの幾何学的圧縮比は25であり、吸気弁を吸気下死点後80°の時点で閉じ、エンジン回転数は1000rpmである。リタード自己着火燃焼は、圧縮上死点前90°の時点で前段噴射を1回だけ行い、圧縮上死点前3.6°の時点で主噴射を行った。通常の自己着火燃焼は、圧縮上死点前270°の時点で1回だけ燃料噴射を行った。
図8(A)に示すように、通常の自己着火燃焼の場合、圧縮上死点直後に着火して、熱発生率が急上昇している。リタード自己着火燃焼の場合、圧縮上死点以降であって、通常の自己着火燃焼よりも遅れたタイミングで着火して、熱発生率が上昇している。リタード自己着火燃焼の熱発生率のピークは、圧縮上死点後約10〜20°の時点である。圧縮上死点から着火までの期間は、筒内温度を維持している期間であるが、この期間は熱発生率がほとんど上昇していない。また、リタード自己着火燃焼の方が通常の自己着火燃焼に比べて熱発生率の上昇が緩やかになっている。
通常の自己着火燃焼の筒内圧力は、図8(B)に示すように、圧縮行程において圧縮上死点に向かって上昇し、自己着火燃焼に伴ってさらに上昇する。リタード自己着火燃焼の筒内圧力は、圧縮行程において圧縮上死点に向かって上昇し、圧縮上死点において極大になる。リタード自己着火燃焼は、着火時期がリタードしているので、筒内圧力は、圧縮上死点において極大になった後、一旦低下し、膨張行程初期の自己着火燃焼に伴って再び上昇する。筒内圧力は、その後、極大となり、低下する。圧縮上死点前後におけるリタード自己着火燃焼の筒内圧力は、モータリング時の筒内圧力とほとんど変わらない。圧縮上死点近傍において、リタード自己着火燃焼の筒内圧力の方がモータリング時の筒内圧力よりもわずかに高くなっているが、圧縮上死点以降は、リタード自己着火燃焼の筒内圧力は、モータリング時の筒内圧力と同様に低下していく。そして、自己着火燃焼に伴う筒内圧力の再度の上昇が圧縮上死点以降の筒内圧力が低下しているところから始まるので、自己着火燃焼に伴う筒内圧力の極大値は、通常の自己着火燃焼の筒内圧力の最大値に比べて大幅に小さい。
通常の自己着火燃焼の圧力上昇率は、図8(C)に示すように、圧縮上死点直後から上昇し、最大値となり、やがて減少する。一方、リタード自己着火燃焼の圧力上昇率は、圧縮上死点以降はしばらく負の値であって且つ膨張行程が進むにつれて減少していく。そして、圧力上昇率は、膨張行程初期の自己着火燃焼に伴って上昇に転じ、正の値となり、最大値となった後、減少する。リタード自己着火燃焼の燃焼期間(燃料の燃焼質量割合が10%以上90%以下となる期間)は、モータリング時の圧力上昇率が負の最大値となる時点と重複している。つまり、本来、圧力上昇率が低い期間にリタード自己着火燃焼が生じる。そのため、リタード自己着火燃焼における燃焼時の圧力上昇率の最大値は、通常の自己着火燃焼における燃焼時の圧力上昇率の最大値に比べて大幅に低減されている。その結果、リタード自己着火燃焼の振動騒音(NVH)レベルは、通常の自己着火燃焼の振動騒音(NVH)レベルに比べて大幅に低減される。
したがって、上記直噴ガソリンエンジン1は、インジェクタ33により気筒内に噴射された、少なくともガソリンを含有する燃料を自己着火させるものであって、幾何学的圧縮比が、15以上であり、上記気筒内にオゾンを発生させるオゾン発生器31と、上記インジェクタ33による燃料噴射を制御するエンジン制御器100とを備えている。上記エンジン制御器100は、上記インジェクタ33に、燃料が熱炎反応に至らずに酸化反応をする量の燃料を噴射して、少なくとも圧縮上死点以降に該燃料を酸化反応させる前段噴射と、該前段噴射よりも後に燃料を噴射する主噴射とを行わせ、上記オゾン発生器31に、上記主噴射よりも後にオゾンを発生させ、該主噴射による燃料を自己着火燃焼させる。
この構成によれば、前段噴射によって圧縮上死点以降の筒内温度の低下が抑制されるので、自己着火燃焼において着火時期をリタードできる期間を長くすることができる。それに加えて、オゾンが添加されるので、リタードできる期間をさらに長くすることができる。そのため、幾何学的圧縮比が15以上の高圧縮比のエンジンであっても、自己着火燃焼の着火時期を燃焼期間がモータリング時の圧力上昇率が負の最大値となる時点と重複する時期までリタードさせることができる。その結果、騒音振動レベルを低減することができる。
また、圧縮上死点以降の筒内温度の低下を抑制することによって、筒内温度の過度な上昇も抑制することができる。その結果、主噴射による燃料が筒内の空気と混ざり切る前に局所的に着火して煤を発生させることを抑制することができる。
尚、燃焼時の圧力上昇率を低減する方法としては、EGR量を増加させることも考えられる。しかし、EGR量が増加すると、新規量が減少することになり、十分なトルクを確保できない。特に、圧力上昇率の大きさが問題となるのは高負荷の運転領域であり、この領域では大きなトルクが要求される。それに対して、上記の前段噴射により筒内温度を維持する構成によれば、新規量を確保できるので、十分なトルクを発生させることができる。
上記制御部は、上記オゾン発生器によるオゾンの発生時期をエンジン回転数が小さいほど遅角させる。
つまり、エンジン回転数が小さいほど、筒内に噴射された燃料が高温に晒される時間が長くなり、異常燃焼が発生しやすくなる。そのため、エンジン回転数が小さいほど、主燃焼の燃焼時期をリタードさせ、異常燃焼が発生しにくくしている。そこで、オゾンの発生時期もエンジン回転数が小さいほど遅角させることによって、オゾンの発生時期を主燃焼の燃焼時期に対応させている。
また、上記エンジン制御器100は、上記オゾン発生器によるオゾンの発生時期をエンジン負荷が高いほど遅角させる。
オゾンの発生時期が遅角されると、主燃焼のリタード量が大きくなる。エンジン負荷が大きいほど、筒内の圧力上昇率が大きくなり、振動騒音レベルが高くなる。そこで、エンジン負荷が高いほど、オゾンの添加時期を遅角させ、主燃焼のリタード量を大きくしている。こうして、主燃料のリタード量を大きくすることによって、燃焼時の圧力上昇率を低減し、高負荷時の振動騒音レベルを低減している。
上記エンジン制御器100は、圧縮上死点以降の筒内温度の変動を上記前段噴射によって所定の温度幅に収めており、圧縮上死点以降の筒内温度が該温度幅の下限値を下回った場合に上記オゾン発生器31にオゾンを発生させる。
つまり、圧縮上死点以降から所望の着火時期までの筒内温度の変動を前段噴射によって所定の温度幅に収めることができる場合には、オゾンの添加を行うことなく、自己着火燃焼が行われる。しかしながら、前段噴射では圧縮上死点以降から所望の着火時期までの筒内温度の変動を所定の温度幅に収めることができない場合には、筒内温度が該温度幅の下限値を下回った場合にはオゾン添加を実行する。これにより、筒内温度が所定の温度幅の下限値を下回ったとしても自己着火燃焼を行うことができる。つまり、自己着火燃焼をリタードできる期間を拡大することができる。
例えば、上記温度幅の下限値は、1000Kである。
また、上記前段噴射は、空気過剰率が8以上となる量の燃料を噴射する。
空気過剰率を8以上とすることによって、前段噴射による燃料は、熱炎反応に至ることなく酸化反応を生ずる。その結果、筒内温度を上げ過ぎることなく、筒内温度を維持できるだけの熱量を発生させることができる。
また、上記前段噴射及び上記主噴射による燃料の合計の噴射量に対する該主噴射による燃料の噴射量の比は、3/4である。
この構成によれば、主噴射による噴射量を確保できるので、十分なトルクを発生させることができる。
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記エンジンは、一例に過ぎない。例えば、エンジン運転状態の全領域において自己着火燃焼させるエンジンに限るものではない。
また、上記実施形態では、燃焼室17及び吸気ポート18の断熱構造を採用するとともに、気筒内(燃焼室17内)にガス層による断熱層を形成するようにしたが、燃焼室17及び吸気ポート18の断熱構造を採用しないエンジンや、ガス層による断熱層を形成しないエンジンにも本技術を適用することができる。
圧縮上死点以降の筒内温度の変動が収められる温度幅は、100度に限られるものではない。燃料の異常燃焼を防止し且つリタードさせた自己着火燃焼を可能にする温度幅であれば、90度や110度等、それ以外の値であってもよい。
同様に、筒内温度の変動が所定の温度幅に収められている間の筒内温度は、1000〜1100Kに限られるものではない。燃料の異常燃焼を防止し且つリタードさせた自己着火燃焼を可能にする温度であれば、950〜1100K、1000〜1150K、1100〜1200K等、それ以外の値であってもよい。
また、上記実施形態では、前段噴射を第1前段噴射と第2前段噴射とに分割しているが、これに限られるものではない。前段噴射を1回だけ行うものであってもよい。その場合、前段噴射の噴射量を、時間と共に変化させてもよい。例えば、前段噴射の噴射量が徐々に増加するように調整してもよい。
以上説明したように、ここに開示された技術は、直噴ガソリンエンジンについて有用である。
1,201 エンジン
31 オゾン発生器
33 インジェクタ
100,200 エンジン制御器(制御部)

Claims (7)

  1. インジェクタにより気筒内に噴射された、少なくともガソリンを含有する燃料を自己着火させる直噴ガソリンエンジンにおいて、
    上記エンジンの幾何学的圧縮比は、15以上であり、
    上記気筒内にオゾンを発生させるオゾン発生器と、
    上記インジェクタによる燃料噴射を制御する制御部とを備え、
    上記制御部は、
    上記インジェクタに、燃料が熱炎反応に至らずに酸化反応する量の燃料を噴射して、少なくとも圧縮上死点以降に該燃料を酸化反応させる前段噴射と、該前段噴射よりも後に燃料を噴射する主噴射とを行わせ、
    上記オゾン発生器に、上記主噴射よりも後にオゾンを発生させ、該主噴射による燃料を自己着火燃焼させる直噴ガソリンエンジン。
  2. 請求項1に記載の直噴ガソリンエンジンにおいて、
    上記制御部は、上記オゾン発生器によるオゾンの発生時期をエンジン回転数が小さいほど遅角させる直噴ガソリンエンジン。
  3. 請求項1又は2に記載の直噴ガソリンエンジンにおいて、
    上記制御部は、上記オゾン発生器によるオゾンの発生時期をエンジン負荷が高いほど遅角させる直噴ガソリンエンジン。
  4. 請求項1乃至3の何れか1つに記載の直噴ガソリンエンジンにおいて、
    上記前段噴射は、少なくとも第1前段噴射と、該第1前段噴射の後に燃料を噴射する第2前段噴射とに分割されている直噴ガソリンエンジン。
  5. 請求項1乃至4の何れか1つに記載の直噴ガソリンエンジンにおいて、
    上記制御部は、圧縮上死点以降の筒内温度の変動を上記前段噴射によって所定の温度幅に収めており、圧縮上死点以降の筒内温度が該温度幅の下限値を下回った場合には上記オゾン発生器にオゾンを発生させる直噴ガソリンエンジン。
  6. 請求項5に記載の直噴ガソリンエンジンにおいて、
    上記温度幅の下限値は、1000Kである直噴ガソリンエンジン。
  7. 請求項1乃至6の何れか1つに記載の直噴ガソリンエンジンにおいて、
    上記前段噴射は、空気過剰率が8以上となる量の燃料を噴射する直噴ガソリンエンジン。
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