JP3951824B2 - 車載スピーカの回転式取付け構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両にスピーカを取付けるための、車両用スピーカ取付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車のドアやリヤシェルフ等の車内には、車載ラジオや車載CDプレーヤなどに代表される車載オーディオ機器によって再生された音を出力するスピーカが取付けられている。以下、このようなスピーカを自動車に取付けるための一般的な構造を図22を用いて説明する。
【0003】
図22は従来の車載スピーカの取付け構造の一例であって、スピーカユニット120が自動車のドアパネル104に取付けられる場合を示している。ここで、ドアパネル104にはスピーカユニット120を装着するための開口部105が形成され、この開口部105周辺には、4つの止め孔119が形成されている。この各止め孔119にはスクリュー103と螺合するグロメット102がそれぞれ嵌入されるようになっている。
【0004】
このスピーカユニット120をドアパネル104に取付ける(以後、単に「取付け作業」と記載する場合がある)際、作業者は、スピーカユニット120に形成されたスクリュー孔120aと止め孔119とに装着されたグロメット102との位置合わせを行ない、スピーカユニット120を開口部105に配置した状態を保持して、スクリュー103をスクリュー孔120aに通し、そして、グロメット102に螺合させる。
【0005】
このような作業により、スピーカユニット120はドアパネル104の開口部105の所定位置に取付けられる。
しかしながら、このような従来の車載スピーカの取付け構造によれば、スピーカユニット取付け部分である止め孔119における錆の発生等を考慮してグロメット102を用いる必要があり、部品点数が増大してしまう。
【0006】
更に、従来のスピーカユニット120の取付け作業においては上述の通り煩雑な作業が必要であり、その結果、作業工数が増大してしまう。
つまり、要約すると以下のような課題がある。
・部品数増大のため、製造コストが高い。
・作業工数増大のため作業性や生産性が低く、取付け作業に技術や時間を要する。
【0007】
特に、作業性や生産性の面では、スピーカユニット120のスクリュー孔120aとグロメット102との位置を正確に合わせをする必要があり、また、作業者がスピーカユニット120を保持しつつ、更にスクリュー103を回すための工具(ドライバ;図示略)を同時に保持して取付け作業を実施する必要がある。
これらの問題を解決すべく回転取付け式のスピーカ車載構造が提案されており、その一例として、特開2001−169374号公報の技術などがある。以下、図23を用いて上記特開2001−169374号公報に開示された技術について簡単に説明する。
【0008】
図23に示す斜視図は、車両のドアパネル201におけるスピーカユニット取付け板160にスピーカユニット101を取付ける直前の状態を示している。スピーカユニット101は、樹脂製のスピーカフレーム120を有するスピーカ本体111と防滴カバー113とを有している。また、スピーカ本体111は円環状のスピーカフレーム120内に放射状に形成されたブリッジ120bによりその略中心の所定位置に保持されている。
【0009】
また、各ブリッジ120bには、背面側に突出した係合片140が4つ形成されている。また、スピーカフレーム120の頂部近傍に設けられたブリッジ120bには1つの当接片150が形成されている。この当接片150は背面側に突出しており、スピーカフレーム150の半径方向に弾性変形可能となっている。また、スピーカフレーム120の背面において、スピーカユニット取付け板160に当接する部分にはクッション120aが設けられている。
【0010】
また、スピーカユニット取付け板160には段差を有する取付け開口部170が設けられ、この取付け開口部170には、係合片140に対応する位置に係合片挿入用切欠き部180aが形成されている。係合片挿入用切欠き部180aの開口部分は、傾斜部180bを介して幅の狭い係合片係合部180cに続いている。また、取付け開口部170には、当接片150と対応する位置に当接片挿入用切欠き部190aが形成されており、この当接片挿入用切欠き部190aに続いて当接片係止用切欠き部190bが形成されている。また、当接片挿入用切欠き部190aと当接片係止用切欠き部190bとの間には係止部190cが形成されている。
【0011】
スピーカユニット101をスピーカユニット取付け板160に装着する際には、スピーカユニット101をスピーカユニット取付け板160の正面側から取付け開口部170に挿入する。この時、係合片140は係合片挿入用切欠き部180aに、当接片150は当接片挿入用切欠き部190aにそれぞれ挿入される。
そして、この状態において、スピーカユニット101を矢印Zで示す方向に回転させる。この結果、各係合片140はそれぞれ傾斜部180bに案内されて係合片係合部180cと係合し、スピーカユニット101はスピーカユニット取付け板160に固定される。
【0012】
また、スピーカユニット101を矢印Z方向に回動させることにより、当接片150は当接片挿入用切欠き部190aから段部である係止部190cを経て当接片係止用切欠き部190bと係合する。このため、スピーカユニット101を逆方向(矢印Z方向の逆方向)に回転させようとしても、当接片150は係止部190cに当接してスピーカユニット101の逆方向の回転が禁止される。
【0013】
また、取付け開口部170の内周面には内周壁(フランジ)121が形成されており、この内周壁121は背面側に突出して形成されている。この内周壁121はスピーカユニット101がスピーカユニット取付け板160に取付けられたとき、スピーカユニット101の防滴カバー113と面接触するように構成されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特開2001−169374号公報に開示された技術では、スピーカユニット101とパネル201との間に生ずる隙間から雨水や埃がスピーカユニット101内やドアパネル201の内部へ入り込んでしまうおそれがある。
【0015】
この問題を解決するためには、スポンジやゴムなどのシール部材をスピーカユニット101とドアパネル201との間に介装させ、更にこのシール部材がスピーカユニット101とドアパネル201とによって強く圧縮されるように構成する必要がある。
ところが、このようなシール部材を使った回転取付け式のスピーカ車載構造では、スピーカユニット101をドアパネル201の方向へ強く押さえてシール剤を圧縮しながら回転させることによってドアパネル201に固定しなくてはならない。従って、この回転のためには大きなトルクをスピーカユニット101に加える必要がある。
【0016】
つまり、防水性及び防塵性と回転性とは相反する性質となっており、回転取付け式のスピーカにおいては、スピーカと取付け先(上記の場合はドアパネル)との隙間における防水性及び防塵性を確保しながらスピーカの回転性を確保することが課題となっていた。
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、防水性・防塵性を確保し、且つ取付け作業性の良い、車載スピーカの取付け構造を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明による車載スピーカの回転式取付け構造は、スピーカ本体を保持し、爪部が形成されたスピーカハウジングを有するスピーカユニットと、該スピーカユニットが着脱自在に取付けられるパネル部材とをそなえ、該パネル部材にはスリットが形成され、該爪部を該スリットへ挿入し、該スピーカハウジングを周方向へ回転させることによって該スピーカユニットを車体に取付ける車載スピーカの回転式取付け構造において、該スピーカハウジングと該パネル部材との間に、シール部材が介装され、該シール部材と接触する該スピーカハウジング表面にリブが形成され、該リブは、該爪部に対応する部分における高さが該シール部材と接触する範囲内で該爪部に対応する部分以外における高さよりも低く且つ形成されていることを特徴としている。
【0018】
このため、シール部材を必要な圧縮率で圧縮することが可能となるとともに、シール部材とスピーカハウジングとの間で発生する摩擦力を抑制するので、スピーカハウジングとパネル部材との間から侵入する水や埃を確実に防止する一方で、スピーカハウジングの回転性を低下させず、スピーカユニット取付け作業性の向上に寄与することが出来る。
また、ドアインナパネルとハウジングとの間に生じる隙間の高さが一定でなくなる場合であっても、この隙間に介在するシール部材の圧縮率を一定とすることが可能となり、防塵性や防水性を確保することが出来る。
【0019】
また、請求項2記載の本発明による車載スピーカの回転式取付け構造は、請求項1記載の構成において、該リブは、該スピーカハウジングの全周にわたって形成されていることを特徴としている。
このため、いずれの方向から侵入しようとする水や埃についても確実にその侵入を防止することが出来る。
【0021】
また、請求項3記載の本発明による車載スピーカの回転式取付け構造は、請求項1記載の構成において、該リブは、その断面が三角形状に形成されていることを特徴としている。
このため、その頂点の一角とドアインナパネルとの距離が短くなり、この部分におけるシール部材の圧縮率のみを高めることが出来るので、スピーカハウジングとドアインナパネルとの間で生じる摩擦力を不要に高めることを抑制して、スピーカユニットの取付け作業性を確保するとともに、防塵性、防水性も確保することが出来る。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の一実施形態にかかる車載スピーカの回転式取付け構造について説明する。
図1および図2は本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造の要部構成を示す模式的な分解斜視図、図3はスピーカハウジングを示す模式的斜視図、図4は図3のスピーカハウジング裏面の模式的正面図、図5はスピーカハウジングがパネル部材に取付けられた状態を示す模式的斜視図、図6はパネル部材の裏面を示す模式的正面図とその断面図、図7はスピーカハウジングとパネル部材との断面を示す模式的な断面図であって図4におけるQ−Q断面を示す断面図である。
【0023】
まず、図1および図2に示すように、スピーカユニット(回転取付け式スピーカユニット)1は、主にスピーカ本体11と、このスピーカ11本体を保持するスピーカハウジング(以下、単に“ハウジング”と記載する場合がある)12とから構成されている。
このスピーカ本体11はキャップ1−1,コーン(振動板)1−2,エッジ1−3,ダンパ1−4,ボイスコイル1−5,プレート1−6,マグネット1−7およびヨーク1−8によって構成されている。なお、これらのスピーカ本体11を構成する部品については一般的であるのでその説明を省略する。
【0024】
また、本実施形態では、ハウジング12は樹脂により一体成形されており、図2および図5に示すように、ハウジング12の裏面12bには、スピーカユニット1をドアインナパネル3に固定するための爪部13が3つ設けられている。
また、図1および図2に示すように、スピーカユニット1が取付けられるドアインナパネル3には、略三角形状の開口部4が形成されるとともに、この開口部4の周囲には、上記爪部13に対応する位置にそれぞれスリット5が3つ形成されている。なお、爪部13及びスリット5は、スピーカユニット1の中心に対して120度の位相間隔で形成されている。
【0025】
スピーカユニット1をドアインナパネル3に取付ける際には、まず、ハウジング12の各爪部13を対応するスリット5に挿入し、その後、ハウジング12を、その表面12aの方向から見て時計周り(図2の矢印R2方向)に回転させることにより、図5に示すように、スピーカユニット1のハウジング2がドアインナパネル3に固定されるようになっている。
【0026】
さらに詳しく説明すると、図1及び図2に示すように、この開口部4はスピーカハウジング12の外径より小さな略三角形状に形成されている。具体的には、図6に示すように、この開口部4は3つの直線辺41を有するとともに、各直線辺41の端々を曲線(例えば円弧)42で接続することによって、略三角形状の開口が形成されている。なお、開口部4をこのような略三角形状に形成する理由については後述する。
【0027】
また、図6に示すように、開口部4には、開口部4の縁部を略直角に曲げ加工することによりフランジ44が形成されており、このフランジ44により開口部4の剛性向上が図られている。
また、3つの直線部41外周近傍には、第1スリット5A,第2スリット5B及び第3スリット5Cがそれぞれ配設されている。なお、これらの第1スリット5A,第2スリット5B及び第3スリット5Cの総称として“スリット5”と記載する場合がある。
【0028】
一方、図7に示すように、爪部13の先端13aはスピーカユニット1の中心側に折れ曲がっており、この先端13aとハウジング12とを連結する腕部13bとよって爪部13は構成されている。また、この爪部13の断面は略L字形状となるように形成されるとともに、先端13aの幅B1が腕部13bの幅B2よりも大きくなるように形成されている。
【0029】
そして、この爪部13が挿入されるスリット5は、図6に示すように、爪部13の先端部13aが挿通可能な挿入部51と、この第1スリット51に連通し、腕部13bのみが挿通可能な固定部52とによって構成されている。
そして、スピーカユニット1をドアインナパネル3に取付ける作業(以後、単に「取付け作業」と記載する場合がある)時には、まず、挿入部51に爪部13の先端13aを挿入し、その後ハウジング12を時計回りに回転させて腕部13bを第2スリット52内にスライドさせる。このように、爪部13とスリット5とが係合することによって、スピーカユニット1がドアインナパネル3にしっかりと取付けられるようになっている。
【0030】
つまり、第1スリット5Aを例にとって説明すると、図6および図7に示すように、固定部52−1の隙間の幅W1が、腕部13bの幅B2が通過するのに必要な幅しかないため、腕部13bの幅B2よりも広い幅B1を有する先端13aは固定部52−1の隙間幅W1を通過することが出来ない。つまり、腕部13bが固定部52−1内に移動した状態でスピーカユニット1をドアインナパネル3から引き抜こうとしても、爪部13の先端13aが固定部52−1の隙間W1を通過できない。従って、スピーカユニット1のハウジング12はドアインナパネル3に対して垂直方向に固定される。
【0031】
また、本発明においては、図1、図2および図7に示すロアクッション2(後述する)の復元力によって、爪部13とドアインナパネル3の裏面3bとが強く圧接する構造となっており、スピーカユニット1はドアインナパネル3に対して、垂直方向にも周方向にもしっかりと固定することができる。
しかし、このような構成にすると、ドアインナパネル3が温度変化によって膨張・収縮した場合に、爪部13とドアインナパネル3との接触面が擦れ、この結果、軋み音が発生してしまうおそれがある。
同様に、車両の走行によって発生する振動や衝撃がドアインナパネル3に伝わると、爪部13とドアインナパネル3との接触面が擦れて軋み音が発生してしまうおそれがある。
特に、発生した軋み音がスピーカ本体11のコーン1−2に反響して客室内に伝わり、客室内にいる乗員の不快感を誘うので好ましくなく、この軋み音の低減、消去が課題となっている。
軋み音を低減もしくは消去するには、爪部13とドアインナパネル裏面3bとの摩擦力を低減することが有効である。しかし、上述のように、爪部13とドアインナパネル裏面3b強く圧接されることによってスピーカユニット1は確実にドアインナパネル3に対して取付けられているので、このために必要な摩擦力は残す必要もある。
【0032】
そこで、本発明においては、ドアインナパネル裏面3bと接触する爪部13の表面13cに凹凸を形成し、ドアインナパネル裏面3bと爪部表面13cとの接触面積を減らすことによって摩擦力を所望量だけ減少させている。この概念を図8に模式的に示す。つまり、爪部表面13cに微細な凹凸が形成されると、爪部表面13cとドアインナパネル裏面3bとの接触面積が減り、ドアインナパネル3が温度変化などによって膨張した場合や収縮した場合、もしくは車両の走行による振動や衝撃がドアインナパネル3に伝わっても、爪部表面13cがドアインナパネル裏面3bに対して適度に滑り、軋み音の発生を低減もしくは消去させることができるのである。また、この凹凸は微細なので接触面積を必要以上に減らすことが無く、これにより、スピーカユニット1をドアインナパネル3に対して確実に取付けられるのに必要な摩擦力を失うことも無い。
【0033】
なお、本実施形態においては爪部表面13cに凹凸を形成する構成としたが、ドアインナパネル裏面3b上に凹凸を形成するように構成してもよい。つまり、爪部13におけるドアインナパネル3と当接する面13c、もしくは、ドアインナパネル3における爪部13と当接する面3bの少なくとも一方の接触面に凹凸を形成すればよい。
【0034】
また、この微細な凹凸は、樹脂や金属の成型品表面に布目模様や木目模様などの表面パターンを形成する加工方法であるシボ加工が有効である。また、別の方法として、樹脂や金属の表面を化学的もしくは電気的に腐食させて微細な凹凸面を形成する方法であるエッチングも、この凹凸を形成するのに有効な加工方法である。
【0035】
ところで、図3に示すように、ハウジング12の外周面12cにはスピーカユニット1への電力供給用のケーブル(図示略)や音声信号伝達用のケーブル(図示略)を保持又は固定するためのクリップ17が形成されている。
このクリップ17は、一端(基端)がハウジング12の外周に固定されるとともに他端(先端)が開放端として構成されている。また、クリップ17の先端は楔状に形成されている。そして、このようなクリップ17を設けることにより、クリップ17とハウジング12の外周との間にケーブルを容易に挿入することができ、ケーブルが確実に固定されるようになっている。また、取付け後にケーブルがばたつくこともなく、他の部品との干渉を確実に防止することができる。
【0036】
次に、開口部4を円形ではなく三角形状に形成した理由を説明する。
これは、スピーカユニット1を回転させて取付けた後に、爪部13を極力フランジ44に近づけることを目的としている。
これは、フランジ44近傍が最も面強度が高く、フランジ44から距離が離れるほど面強度が低下することに起因している。
【0037】
しかし、開口部4が円形であった場合、スリット5全体を円形開口部に沿って設けられた一般的なフランジに近づけるには加工技術における限界があり、一般的なフランジとスリットとは多少の距離をおかざるを得ないので、スピーカの取付け剛性を十分に高めることはできなかった。また、開口部の開口面積を小さくすることでパネル部材の必要な面強度を確保するという対応も考えられたが、スピーカの音響特性を考慮すると開口面積はなるべく大きくとりたいという要望もあった。
【0038】
つまり、もし、開口部4が円形であったとすれば、ハウジング12の爪部13の回転軌跡と円形の円形開口部外径とは同心円となり、爪部13の回転軌跡と円形開口部の縁部とは平行になる。つまり、いくらハウジング12を回転させたとしても、爪部13は開口部に近づくことはできない。
しかし、本実施形態では、開口部4が略三角形状に形成されているため、爪部13の回転軌跡を延長した仮想線は開口部4と交差する。つまり、ハウジング12を回転させると、爪部13は開口部4の縁部に設けられたフランジ44に近づく。
【0039】
本実施形態では、直線辺41と回転軌跡との距離が最大となる位置に挿入部51が形成されており、スピーカユニット1の取付け時に爪部13をこの挿入部51に挿入した後ハウジング12を回転させると、爪部13が開口部4の縁部、即ちフランジ44に近づくようになっているのである。
そして、このようにして爪部13をフランジ44の近傍で係合させることにより、スピーカユニット1の取付け剛性の向上を図ることができるのである。
【0040】
上述したように、本願発明の車載スピーカの回転式取付け構造では、開口部4を円形ではなく略三角形状に形成することにより、スピーカの取付け剛性を十分に高めるとともに、必要な開口面積を確保してスピーカの音響特性を損なうことも防止している。
また、上述のように、開口部4を略三角形状とする更なる利点として、ハウジング12の裏面12aに図3に示すような挿入ガイド29を設けると、スピーカユニット1をドアパネル3に対して取付ける作業が容易に実施できるようになる点が挙げられる。以下、これについて説明する。
【0041】
各スリット5に挿入されるハウジング12の各爪部13は、スピーカハウジング12の外径よりも内側に形成されている。つまり、スピーカユニット1をドアインナパネル3に取付けた際、スリット5はスピーカハウジング12の外径よりも内側に位置する。
このため、ハウジング12をドアインナパネル3に取付ける場合、作業者はハウジング裏面12bに設けられた爪部13の位置が見えないまま、この取付け作業を行わなくてはならないので、爪部13を的確に対応するドアインナパネル3のスリット5に挿入することは困難である。
【0042】
このため、図3に示すように、ハウジング裏面12bには、3つの爪部13よりも中心側に円筒状の挿入ガイド29が設けられている。
この挿入ガイド29の高さは各爪部3よりも高くなるように構成され、また、この挿入ガイド29の内部にはスピーカ11の構成部品であるヨーク1−8,マグネット1−7,プレート1−6が取付けられている(図1および図2参照)。
【0043】
図9はドアインナパネル3の模式的な正面図であって、スピーカハウジング12をドアインナパネル3に取付ける際の位置合わせ作業について説明する図である。図示するように、スピーカユニット1をドアインナパネル3に取付ける場合には、挿入ガイド29の一部を開口部4の三角形の一辺に沿ってスライドさせることによって、挿入ガイド29の全体が自然に開口部24に確実に挿入される。つまり、図9の一点鎖線で示すように、挿入ガイド29の一部のみが開口部4に挿入され、その周面の一部が略三角形状の開口部4における左辺に触れている。この後、挿入ガイド29に対して上方へ力が加えられると(一点鎖線矢印M参照)、自然に挿入ガイド29は開口部4の三角形の左辺に沿って上方へ移動し、最終的には挿入ガイド29の全体が開口部4に挿入されることとなる。
【0044】
そして、この状態でハウジング12が回されると、複数の爪部13のそれぞれが対応する最寄りのスリット5における挿入部51に挿入され、図5に示すようにスピーカユニット1のハウジング2がドアインナパネル3に取付けられるのである。
また、この挿入ガイド29は、全周に渡って爪部13よりも高くなっているので、どの方向から開口部4に挿入されても開口部4の略三角形における一辺に対して自然に接触するので、スピーカユニット1の取付け作業において、作業者が挿入ガイド29を開口部4へ挿入する方向に留意する必要が無いため、作業効率を向上させることが出来る。
【0045】
更に、この挿入ガイド29は防水カバーとしての機能も有しており、別途、ハウジング12に防水カバーを設ける必要がなくなるので部品数を抑えることが可能となり、生産性の向上に寄与する。
ところで、図1〜図3および図10から図16に示すように、ハウジング12には作業用凹部20が形成されており、スピーカユニット1をドアインナパネル3に取付ける際には、この作業用凹部20を利用して作業者がハウジング12を保持しながら回転させるようになっている。この際に用いられる複数の作業用凹部20を図1〜図3および図10〜図16に示し、これらの図を使って説明する。
【0046】
ここで、図10はハウジング12の表面を示す正面図であり、図11はスピーカハウジング12の模式的な水平断面図であって、取付け作業用凹部を示す図、図12〜図14は図11に示す取付け作業用凹部に一般工具が挿入された場合を示す図、図15は取外し作業用凹部に一般工具が挿入された場合を示す図である。
【0047】
まず、図10に示すように、各作業用凹部20は、ハウジング12の外周面を中心方向に窪ませて形成されている。また、これら複数の作業用凹部20は、スピーカユニット1の中心に対して対称となる位置に4つ設けられている。また、作業用凹部20のそれぞれには、その奥部に治具差込孔30が設けられている。
作業用凹部20は、取付け用治具差込孔30Aを内部に備える取付け用作業用凹部20Aと、取外し用治具差込孔30Bを内部に備える取外し用凹部20Bとがあり、取付け作業用凹部20Aと取外し作業用凹部20Bとは隣り合って配置されている。なお、以後、上述の取付け作業用凹部20Aと取外し作業用凹部20Bとの総称として作業用凹部20と記載する場合があり、同様に、取付け用治具差込孔30Aと取外し用治具差込孔30Bとの総称として取外し用治具差込孔30と記載する場合がある。
【0048】
また、詳しくは後述するが、取付け用作業用凹部20A縁部に設けられている突起部材34Aと、取外し用作業用凹部縁部に設けられている突起部材34Bとの総称として突起部材34と記載する場合がある。
次に、上述の作業用凹部20及び治具差込孔30の構造について説明する。
まず、作業用凹部20は、作業者が確実にハウジング12を保持するため主に用いられる穴であるので、作業者がハウジング12を把持するのに適した窪みを形成する必要があった。これは、ハウジング12裏面に設けられた複数の爪部13を、ドアインナパネル3に形成されたスリット5に挿入すべく、ハウジング12をドアインナパネル3に対して正確に位置決めする際に作業者がハウジング12を確実に手で保持する必要があるためである。
【0049】
この作業用凹部20を設ければ、作業者は工具が無くてもハウジング12を回転させることは一応可能である。しかし、生産ライン上において、作業者は連続的にいくつものスピーカユニット1の取付け作業を行う必要があり、手作業でハウジング12を回転させていたのでは作業者に過大な負担を強いることになり、作業効率も低下してしまう。
【0050】
そこで、生産ライン上においては、何らかの工具を用いてハウジング12を回転させることで作業者の労力を低減することが望まれていた。特に、本発明の車載スピーカの回転式取付け構造においては、ハウジング12を回転させるには大きなトルクが要求される(この理由については後述する)。このため、ハウジング12に対して大きいトルクを加えるために工具を用いることが重要な課題であった。また、この工具がスクリュードライバ106などに代表される一般的工具であれば、専用工具が不要となり、また、入手も容易で、且つ、安価であるので望ましい。
【0051】
従って、ハウジング12はこのような工具を挿入しうる構造にする必要があった。
以上のような過程から、ハウジング12には、“作業者が把持しやすい形状”が要求されるとともに、“工具や治具が嵌入しうる構造”も要求されていた。
この2つの要求を満たすため、作業者の指が入るような穴と、工具が嵌入しうる孔とを別々に設けることも考えられたが、しかし、このような構造とすると、ハウジング12の製造において加工過程が増加して加工時間が増大すると共に、加工に要するコストも増大するので好ましくない。また、ハウジング12に多くの穴や孔を設けると、強度が低下してしまうおそれもあり好ましくない。
【0052】
そこで、本発明においては、ハウジング2には作業者の指が挿入しうる作業用凹部20を設け、更に、この作業用凹部20内がその奥部に治具差込孔30を有する構成としている。
以下、作業用凹部20と治具差込用孔30について、取付け作業用凹部20Aおよび取付け作業用治具差込孔30Aを例にとって詳述する。
【0053】
取付け作業用凹部20Aの奥部には、取付け用治具差込孔30Aが設けられており、この取付け用治具差込孔30Aは、図12に示すように、スクリュードライバ106などの一般工具が嵌入され、スピーカユニット1をドアインナパネル13に取付ける際に、スピーカユニット1を支持しているハウジング12に対して大きなトルクを容易に加えて回転させることができるようになっているように構成されている。
【0054】
また、この取付け用治具差込孔30Aはハウジング12をドアインナパネル13に対して順回転(時計回り方向)に回す際に用いられる。
更に、図11に示すように、取付け用作業用凹部20Aの内側には、第2側壁32A,突出部33A及び第1側壁35Aが設けられ、また、取付け作業用凹部20Aの第2側壁32A側の開口縁には、径方向外側に突起した突起部材34Aが設けられている。
【0055】
さらに、図11にはハウジング12外径に対する接線L1が二点鎖線で示され、第1側壁35Aはこの外径接線L1に対して略直交し、ハウジング12の外周面12cから中心に向かって設けられている。また、第2側壁32Aもハウジング外周面12cから中心に向かって設けられているが、その中心側が第1側壁35Aの方向へ若干傾斜している。
【0056】
なお、図10に示すように、この第2側壁32Aの仮想延長線L2は、ハウジング12の中心点Oに最も近づいた地点で、この中心点OからSの距離を有している。つまり、第2側壁32Aはスピーカユニット1の中心方向に対してオフセットして形成されている。
更に、治具差込孔30もこの仮想延長線L2と同じ角度で作業用凹部20内に設けられており、第2側壁32Aと同様にスピーカユニット1の中心方向に対してオフセットして形成されている。これは、スピーカユニット1の中心付近にあるマグネット1−7を避けるためである。
【0057】
また、図11に示すように、この第1側壁35Aから略垂直に取付け作業用凹部20A内へ垂直面33A−aが突出することによって突出部33Aが形成され、この突出部33Aの頂点から取付け用治具差込孔30Aの最奥部(取付け作業用凹部20の最奥部でもある)に向かって、第2側壁32Aと平行に、工具差込孔側壁37Aが設けられている。
【0058】
そして、スピーカユニット1をドアインナパネル3に取付ける際には、ハウジング12の裏面にある3つの爪部13を、対応する各ドアインナパネル3のスリット5の第1スリット部に挿入し、図12に示すように、スクリュードライバ106等の工具を取付け用治具差込孔30Aに挿入する。その後そのスクリュードライバ106の後端部106cに対して下方向に力F1を加えると、スクリュードライバ106の先端106a近傍が工具差込孔側壁37Aに接触し(十字点C1参照)、この点C1を支点としたトルクT1によってハウジング12が図10に示すハウジング中心Oを中心に時計方向に回され、ハウジング12裏面の各爪部3がスリット5における挿入部51から固定部52へスライドして、スピーカユニット1がドアインナパネル3に固定される。
【0059】
一方、図15は図10に示す取外し作業用凹部20Bに一般的な工具(治具)であるスクリュードライバ106が嵌入された場合を示す模式図である。
この取外し作業用凹部20Bは、図10の一点鎖線L3で示す線を中心に上述した取付け作業用凹部20Aと線対称の形状に形成されており、その詳しい構成についての説明は省略する。なお、取外し作業用凹部20Bにおいて、取付け作業用凹部20Aに対応する構成要素については符号の末尾にAの代わりにBを付す。
【0060】
スピーカユニット1をドアインナパネル3から取外す場合においては、図15に示すように、取外し作業用凹部20Bにスクリュードライバ106を挿入し、上方向に力F2を加えると、スクリュードライバ106の側面106bによってスクリュードライバ106の先端106a近傍が突出部33Bに接触し(十字点C3参照)、この点C3を支点としたトルクT2によって第2側壁32Bの開口淵付近および突起部材34Bが圧接される。そして、トルクT2が加えられたハウジング12はハウジング中心Oを中心に反時計回り方向に回転し、ハウジング12裏面にある3つの爪部13が、対応する各ドアインナパネル3のスリット5の固定部52から挿入部51へスライドして、スピーカユニット1がドアインナパネル3から引き抜くことができる状態になる。
【0061】
つまり、上述のように、スピーカユニット1をドアパネル3に取付ける場合には、取付け用治具差込孔30Aにスクリュードライバ106が挿入され、一方、ドアパネル3にスピーカユニット1が取付けてある場合には、取外し用治具差込孔30Bにスクリュードライバ106を挿入されるようになっている。
しかし、作業者がスピーカユニット1をドアインナパネル3に取付ける場合であるにも関わらず、取外し用治具差込孔30Bにスクリュードライバ106を挿入してしまう場合や、これとは逆に、スピーカユニット1をドアインナパネル3から取外す場合であるにも関わらず、取付け用治具差込孔30aにスクリュードライバ106を挿入してしまったりする場合も想定される。本発明の車載スピーカの回転式取付け構造はこのような場合においても的確に対応できるようになっている。以下、このような場合について、図13及び図14を用いて説明する。
【0062】
まず、図13に示すように、取付け用治具差込孔30Aが形成された取付け用作業用凹部20Aにスクリュードライバ106が挿入されて、左上方向に力F2が加えられると、スクリュードライバ先端部106a近傍が突出部33Aと接触し(十字点C2参照)、この接触点を中心に、スクリュードライバ後端部106cが一点鎖線矢印M2に示すように、反時計回りに回転するとともに、スクリュードライバ先端部106aが点C2を軸に矢印M2とは逆方向へ回転しながら取付け用治具差込孔30Aから抜け出ていく。そして、引き続き力F2がスクリュードライバ後端部106cに加わると、図14に示すように、スクリュードライバ先端部106aは取付け用治具差込孔30Aから更に抜け出て、最終的には取付け用治具差込孔30Aからスクリュードライバ106aが自然に抜き出る。
【0063】
つまり、ハウジング12に対して力F2は何ら作用を及ぼさないため、ハウジング12をドアパネル3から取外すことは出来ず、スクリュードライバ106のような一般工具を用いてスピーカユニット1をドアインナパネル3に対して取付け又は取外し作業を行う場合には、その作業用途に応じた治具差込孔30を用いらなければハウジング12を回転させることが出来ない仕様になっているのである。
【0064】
また、自然にスクリュードライバ先端106aが治具差込孔30から抜け出るので、誤った治具差込孔30へスクリュードライバ106を挿入したことを作業者に知らせることが出来るのである。
なお、スピーカユニット1をドアインナパネル3に取付ける場合であるにも関わらず、作業者が誤ってスクリュードライバ106を取外し用治具差込孔30Bを有する作業用凹部20Bに挿入された場合においても、図13及び図14を用いて説明した例と原理的に同様であるのでその説明を省略する。
【0065】
そして、上述のような作業用凹部20を設けることにより、ハウジング12によって支持されたスピーカユニット1のドアインナパネル3に対する取付けもしくは取外し作業時に、作業者はこの作業用凹部20に指を入れて確実にスピーカユニット1を保持することができるので、作業性の向上に寄与するほか、各作業用凹部20をスピーカユニット1の中心に対して対称となる位置に設けることにより、作業者がハウジング12を両手で保持しやすくなり、更に作業性が向上する。同様に、取付け作業用凹部20Aと取外し作業用凹部20Bとは隣り合って配置されているので、作業者が取付け作業用凹部20A(作業用凹部20)と取外し作業用凹部20B(作業用凹部20)とに指を挿入しやすいので、作業性が更に向上する。
【0066】
また、治具差込用孔30を設けることにより、ドライバのような一般的な工具を用いてスピーカユニット1を容易に回転させることができる。特に、スピーカユニット1を回転させるのに大きなトルクを要する場合であっても、作業者は小さな力で大きなトルクを発生させることが可能となり作業性が向上する。
特に、この治具差込用孔30は作業用凹部20の奥に設けられているので、開口部や内面は大部分が共用され、ハウジング12に形成する穴の数を少なくすることが可能となる。また、ハウジング12の強度の低下を防ぐと共に、ハウジング12の製造において加工過程を減らすことが可能であり、これにより加工コストの低減や加工時間の短縮が可能となる。
【0067】
さらに、作業用凹部20の開口縁部に突出部材34を設けることによって、治具差込用孔30にスクリュードライバ106のような一般的な工具を用いてスピーカユニット1を回転させた場合であっても、スクリュードライバ106が開口縁部を圧迫して破損させるという事態を回避することができる。
また、この突起部材34は、作業員がハウジング12を手で保持する際に、指を引っ掛けてスピーカユニット1を保持するために利用されることも可能であり、これによって作業性を向上させることが可能となる。
【0068】
更に、図16に示すように、ハウジング12を回転させるための専用工具50を用いても構わない。この場合、専用工具50の先端部50a,50bのそれぞれが作業用凹部20に嵌入され、専用工具50の後端部50cが時計回り方向に回されれば容易にハウジング12が回転し、スピーカユニット1がドアインナパネル3に取付けられる。同様に、専用工具50の後端部50cが反時計回り方向に回されれば容易にハウジング12が反時計回りに回転し、スピーカユニット1はドアインナパネル3から簡単に取外すことが可能となる。
【0069】
これにより、作業者は小さな力で大きなトルクを発生させることが可能となりスピーカユニット1の取付けおよび取外し作業における作業性が向上する。
また、このような専用工具50を生産ラインにおけるロボットアームの先端に装着することも可能であり、これにより、自動艤装化にも対応できる。
ところで、図1及び図2に示すように、ドアインナパネル3とハウジング12との間にはロアクッション2(シール部材)が介装されている。このロアクッション2はスポンジやゴム等の圧縮可能な弾性体によって形成され、ドアインナパネル3表面の微細な凹凸に関わらず、ハウジング12とドアインナパネル3表面との隙間を確実に塞ぎ、この隙間からの埃や水の侵入を防止するために設けられている。また、このロアクッション2には、車両走行時に発生するショックや振動がドアインナパネル3に伝達された際に、このロアクッション2がそのショックや振動を吸収してスピーカユニット1にそのまま伝達されないようにするという機能もある。
【0070】
このロアクッション2による防塵性や防水性を向上させる場合には、ドアインナパネル3とハウジング12との間でロアクッション2が圧縮される割合(圧縮率)を高める必要がある。しかし、この圧縮率を高めるとドアインナパネル3とロアクッション2との間に発生する摩擦力および、ロアクッション2とハウジング12との間に発生する摩擦力とのそれぞれが増大してしまう。
【0071】
また、図22に示す従来のスクリュー取付け式スピーカユニット106においては、従来のスピーカユニット106をドアパネルに対して回転させないため、従来のスピーカユニット106とドアインナパネル3との間にシール部材を介在させても単純にシール部材の圧縮率を高めればよかったが、本願においては、スピーカユニット1がドアインナパネル3に対して回転させて取付けるため、ロアクッション(シール部材)2の圧縮率を上げすぎるとスピーカユニット1を回転させるのに大きなトルクが必要となり、取付け作業性が低下してしまう。
【0072】
つまり、本発明においては、ロアクッション2をドアインナパネル3とハウジング12との間で確実に圧縮しつつも、ロアクッション2とハウジング12との間で発生する摩擦力は抑制する必要がある。
そこで、図3に示すように、ハウジング12の裏面12bには、その縁部近傍の全周にリブ(突起)45が設けられている。このリブ45の断面形状を図7に示す。
【0073】
図7は、上述の通り、図4に示すハウジング12の裏側正面図のQ−Q断面を示す図であって、リブ45の断面は略三角形状でありその先端45aを頂点としてハウジング12裏面が隆起して構成されている。このリブ45は、図1及び図2に示すロアクッション2をハウジング12とドアインナパネル3との間に挟んで圧縮しながら保持する際に、その圧縮率を高めながらも、ドアインナパネル3に対するハウジング12の回転性を確保するための部材となっている。
【0074】
また、圧縮されたロアクッション2は外側に膨らもうとする力である復元力によってドアインナパネル裏面3bとハウジング裏面12bとを押し広げる。このため、図7で示すように爪部13の表面13cがドアインナパネル裏面3bに強く圧着し、ハウジング12がその周方向およびドアインナパネル3に対して垂直方向にしっかりと固定されるようになっている。
【0075】
さらに、図7では、両端矢印g1および両端矢印g2がドアインナパネル3とハウジング12との隙間の距離を示しており、隙間g2は隙間g1よりも広く設定され、ロアクッション2はこの隙間g1および隙間g2、つまり、ハウジング12とドアインナパネル3との間で圧縮されて保持される。
ハウジング12をドアインナパネル3に取付ける際には、上述の通り、ハウジング12の裏面にある3つの爪部13を、対応する各ドアインナパネル3のスリット5の第1スリット部に挿入する。この時、ハウジング裏面12bとドアインナパネル3との間に設けられたロアクッション2はリブ45によって十分に圧縮される。
【0076】
このロアクッション2の圧縮率は、リブ頂点45aとドアインナパネル3との間に挟まれた部分における圧縮率(以後、「第1圧縮率P1」と記載する場合がある)のみが局所的に大きくなり、一方、リブ45を除くハウジング裏面12aとドアインナパネル3との間に挟まれた部分のロアクッション2の圧縮率(以後、「第2圧縮率P2」と記載する場合がある)は第1圧縮率P1よりも低くなる。つまり、ドアインナパネル3とハウジング12との隙間g1の大きさが、リブ45が設けられたことによってロアクッション2を十分に圧縮することが可能となり、これによって防水性を高める一方、ドアインナパネル3とリブ45を除くハウジング表面12aとの隙間g2の大きさが隙間g1よりも大きくなることでロアクッション2とドアインナパネル表面3aとの間に生じる摩擦力が抑制されているのである。
【0077】
つまり、上述の構成により、ハウジング12の外周からハウジング12とドアインナプレート3との間に侵入しようとする水や埃を、ロアクッション2が確実に食い止めながらも、スピーカユニット1のハウジング12がドアインナパネル3に取付けられる際には滑らかに回転するので、作業性の低下を抑制することが出来る。
【0078】
また、このリブ45の頂点45aの高さを爪部13との距離に応じて変化させるようにしてもよい。
これは、上述したように、ロアクッション2をハウジング裏面12bとドアインナパネル裏面3bとの間で圧縮すると、当然、ロアクッション2は復元力で押し広がろうとするが、この時、爪部13近傍では確実にこの復元力に抗することができるので、図7に示す隙間g1の大きさが略一定となる。しかし、例えば図4に一点鎖線L4で示す線とリブ45の交点近傍は、爪部13から離れているため、ロアクッション2の復元力によって爪部13近傍における隙間g1よりも広い隙間が生じてしまうおそれがある。
【0079】
そのために、このリブ頂点45aの高さを、爪部13近傍以外で若干高くするような構成とすれば、ロアクッション2の復元力が生じても、リブ頂点45aとドアインナパネル3bとの間の距離であるg1を略一定とすること可能となり、隙間g1におけるロアクッション2の圧縮率P1も略一定とすることが可能となる。
【0080】
これにより、より確実にロアクッション2による防水性を高める一方、ロアクッション2とドアインナパネル表面3aとの間に生じる摩擦力を適切に抑制して、スピーカユニット1のハウジング12の回転性能も確保し、作業性を向上させることが出来るのである。
ところで、図7中に示すように、ドアインナパネル3と接触する爪部13の接触面(以後、「爪部表面」と記載する場合がある)13cは、高さの異なる2つの接触面を有して構成されている。これは、ドアインナパネル3が厚さの異なる2枚の板を接ぎ当てて形成されているからであるが、本発明によれば、ドアインナパネル3の場所によって板厚が異なっても確実にスピーカユニット1をドアインナパネル3に取付けることが出来るようになっている。
【0081】
爪部13における2つの接触面の1つはドアインナパネル3の厚さが薄い場合に用いられる薄板接触面13c−1であり、もう1つはドアインナパネル3の厚さが厚い場合に用いられる厚板接触面13c−2である。つまり、爪部13の接触面に段差を設け、それぞれの高さを異なるように構成することで、ドアインナパネル3の厚さが異なった場合においても確実にハウジング12をドアインナパネル3に対して取付けることができるようにしているのである。なお、これら2つの薄板接触面13c−1および厚板接触面13c−2との総称として“爪部接触面13c”と記載する場合がある。
【0082】
この爪部13の斜視図を図17に示す。ここで、薄板接触面13c−1は爪部13において高さh2を有してハウジング12の外周側に設けられ、また、厚板接触面13c−2は爪部13において高さh1を有してハウジング12の中心側に設けられている。また、これらの薄板接触面13c−1および厚板接触面13c−2の取付け方向の前縁には、それぞれスロープ13c−1a,13c−2aが形成されている。これらのスロープ13c−1a,13c−2aは、ドアインナパネル3のスリット5に挿入された爪部13の爪部接触面13cが、挿入部51から固定部52へスムーズにスライドするために設けられている。
【0083】
ところで、上述のように爪部接触面13cの高さが複数設けられている場合においては、ドアインナパネル3におけるスリット5の形状もドアインナパネル3の厚さに応じて異なった形状にする必要がある。これを図18を使って説明する。
図18はドアインナパネル3の開口部4の近傍を模式的に示した図であって、ドアインナパネル表面3a側から見ている状態を示しており、この開口部4の周りには第1スリット5A,第2スリット5Bおよび第3スリット5Cが設けられている。
【0084】
ここで、第1スリット5Aと第3スリット5Cとは、それぞれ挿入部51と薄板用固定部52−1とから構成されている。また、第2スリット5Bは、挿入部51と厚板用固定部52−2とから構成されている。つまり、第1スリット5Aと第3スリット5Cとの形状が同一であり、第2スリット5Bのみが第1スリット5Aおよび第2スリット5Cと形状が異なる。
【0085】
この違いをここでは第1スリット5Aと第2スリット5Bとを比較して説明する。
第1スリット5Aに形成された薄板用固定部52−1における中心側円弧の曲率R1は、第2スリット5Bに形成された厚板用固定部52−2における中心側円弧の曲率R2よりも大きくなるように構成されており、この点以外は、第1スリット5Aと第2スリット5Bとの形状は略同一である。この結果、第1スリット5Aの薄板用固定部52−1の隙間W1は、第2スリット5Bの厚板用固定部52−2の隙間W2よりも狭くなる。
【0086】
このように、第1スリット5Aにおける隙間W1と第2スリット5Bにおける隙間W2とが異なるように構成してあるのは、ドアパネル3の厚さが、第1スリット5Aの位置する部分と第2スリット5の位置する部分で異なるように構成されていることに対応するためである。つまり、ドアパネル3の板厚は図18に示すドアパネル3は鎖線で示した境界線Bを境に異なっており、右側のドアパネル板厚はt1、左側のドアパネル板厚はt2となっていて、右側のドアパネル板厚t1の方が左側のドアパネル板厚t2よりも薄く形成されている。
【0087】
ちなみに、板厚の異なる部材から構成される本実施例のドアインナパネル3はテーラードブランクと呼ばれる技術を用いて製造されている。このテーラードブランクとは、板厚や材質の異なる板同士をプレス前にレーザー溶接することで車両軽量化やモジュール化を推進する技術である。
そして、高さh1の薄板接触面13c−1は、板厚t1のパネルに適した高さに設定され、また、高さh2の13c−2は板厚t2のパネルに適した高さに設定されている。
【0088】
爪部表面13cおよびスリット5は上述のように構成されているので、ハウジング12をドアインナパネル3に取付ける際には、ハウジング裏面12aに設けられた爪部13が、第1スリット5Aの挿入部51に挿入され、その後ハウジング12が回転することによって爪部13が薄板用固定部52−1にスライドすると、爪部13の薄板接触面13c−1のみが、図18に示すようにドアインナパネル裏面3bの薄板用固定部52−1よりも中心側(αで示す領域)に接触する。
【0089】
同時に、第2スリット5Bの挿入部51にも爪部13が挿入され、ハウジング12の回転と共に、爪部13が厚板用固定部52−2にスライドすると、爪部13の厚板接触面13c−2のみが、図18に示すドアインナパネル裏面3bの厚板用固定部52−2の中心側近傍(βで示す領域)に接触する。これは、爪部13の厚板接触面13c−2のよりもその高さが高い薄板接触面13c−1が第2スリット5Bの隙間W2内のγで示す領域に落ち込むので、結果的に厚板接触面13c−2のみがドアパネル3に接触する。
【0090】
これにより、図7に示すような状態で、爪部13と第2スリット5Bとが係合する。
なお、第3スリット5Cは第1スリット5Aと同様の形状であり、爪部13の挿入およびスライド動作についても第1スリット5Aと同様なので説明を省略する。
【0091】
爪部13およびドアインナパネル3のスリット5は上述のように構成されるので、取付け先であるドアインナパネル3の板厚が部分的に異なったとしても、スピーカユニット1のハウジング裏面12bに設けられた爪部13の表面13cに高さの異なる複数の面を設けるとともに、爪部13が挿入されるドアインナパネル3のスリット5の形状を、ドアインナパネル3の板厚に応じて変化させることによって、スピーカユニット1をテーラードブランクのドアインナパネル3に取付けることができる。
【0092】
つまり、ドアインナパネル3の厚さが部分的に違ったとしても、ハウジング12の種類を変える必要が無いため、ハウジング12の設計コストを削減できると共に、ハウジング12の生産ラインを複数設ける必要が無いために有利である。そして、スピーカユニット1の取付け作業においても、ドアインナパネル3の板厚に関係なく一種類のハウジング12を取付ければよいので作業効率が向上する。
【0093】
なお、ここではテーラードブランクによって1つのドアインナパネル3において板厚が異なる場合を示したが、車種やグレードの違いによって異なる板厚のドアインナパネルに対する取付けの場合であっても、このような対応が可能となり、同様に作業効率向上に寄与できる。
ところで、図25には、従来のドアインナパネル104を車内側から見た場合の模式的正面図が示されている。なお、以後、図25に示す従来のドアインナパネル104の面をドアインナパネル表面104aと記載する場合があり、また、このドアインナパネル104aの裏面をドアインナパネル裏面104bと記載する場合がある。また、図25に示す従来のドアインナパネル104において符号を付さない構成要素は、一般的であるので説明を省略する。
【0094】
この従来のドアパネル104の下端近傍には、上述の図22に示す従来のスピーカ120が取付けられるようになっている。
この従来のドアパネル104において、スピーカ120が挿入される開口部105の下側には水抜き穴116が設けられている。この従来の水抜き穴116について、図24を用いて説明する。
【0095】
図24は、図25におけるD−D断面を模式的に示すドアの断面図である。従来のドア112は、主に、車両外部側に設けられたドアアウタパネル114と上述したドアインナパネル104とから構成され、ドアアウタパネル114とドアインナパネル104との間の空間であるドア内部スペース112aには、昇降可能なサイドウィンドー108,ウィンドーレギュレータ(図示略)、ドアラッチ(図示略)、ドアロックセンサ(図示略)、ライトハーネス(図示略)等の機器が内蔵されている。なお、これらは一般的な機器であるため、その詳細な説明を省略する。
【0096】
また、ドアアウタパネル114の上端とドアインナパネル104との上端にはそれぞれウェザーストリップ117が設けられており、このウェザーストリップ117はサイドウィンドー108の両側面を圧接することによりドア内部スペース112aに水や埃などが侵入することを防いでいる。しかし、実際にはドア内部スペース112aへの水や埃の進入を完全に防ぐことは非常に困難である。例えば、水については、雨天時におけるサイドウィンドー108昇降時には自然とドア内部スペース112aへ浸入してしまう場合がある。
【0097】
この場合、ドア内部スペース112aに浸入した水は、重力によって下方へ流れ、ドア112の最下部に設けられた穴である排水穴115を通じてドア112の外部へ排出されるようになっている。
しかし、ドアインナパネル116には、図25に符号118,141,142で示す穴(部品嵌入口)が形成されており、ドア内部スペース112aに侵入した水はこれらの穴(部品嵌入口)118,141,142を通じて車両内部へ入ろうとする場合がある。また、スピーカ120が設けられない仕様の車両である場合にはスピーカ取付け用の開口である開口部105もドア内部スペースに侵入した水が車両内部へ侵入するための穴となってしまう。
【0098】
このように、ドア内部スペース112aに侵入した水が車内へ入ることを防ぐのがブチルシール109と、このブチルシール109によってドアインナパネル109表面に貼付された防水シート110である。
ここで、ドアインナパネル104の車内側表面にはブチルシール(シーリング剤)109によって防水シート110が貼付されている。また、ドアインナパネル104とドアトリム107との間にこの防水シート110が介装される構成となっている。また、スピーカ120をドアインナパネル104に取付ける場合には、開口部105の部分だけ防水シート110に切込みを入れて、ここにスピーカ120を嵌入するようにしている。
【0099】
つまり、もし、ドア内部スペース112aに侵入した水が車内へ入ろうとしても、防水シート110とブチルシール109とによって、その侵入が堰き止められ、その後、重力によって防水シート110とドアインナパネル表面104aとの間を下方へ流れる。そして、この水は、ドアインナパネル104に形成された穴のうち最下部に位置する穴である水抜き穴116から再びドア内部スペース112aに戻され、最終的にはドア112の排水穴115を通じてドア112の外部へ排出される。
【0100】
しかしながら、この水抜き穴114がドアインナパネル104に形成されているが故に、スピーカ120の設置の下限位置が制限されるという課題がある。
つまり、図25に示すドアスペース内部112aの容積はあまり大きくなく、特に、図示しないウィンドーレギュレータ、ドアラッチ、ドアロックセンサ、ライトハーネス等の機器が設けられるドア内部スペース112aの中央付近からその上部においては機器設置スペースが不足している。このため、スピーカ120はドア112の極力下方に設けられることになる。
【0101】
しかし、上述の水抜き穴114は、その機能的な性質上、ドアインナパネル104に形成されている最下部の穴である必要があるため、スピーカ120が嵌入する開口部105は水抜き穴116よりも上に設ける必要があると同時に、その音響特性上、更には強度的な問題でこの水抜き穴114は開口部105に対して適度な距離を設ける必要がある。このため、スピーカ120設置位置をドアインナパネル104の下方へ設定するには限界がある。
【0102】
更に、防水シート110の切込み部分がスピーカ120から発生する音によって震えて異音が発生する。これがいわゆるビビリ音であって、この発生を防止する必要もある。
そこで、本発明では、図19に示すように、開口部4よりも下方に設けられ、且つ、3つのスリット5のうち最下部に位置する第3スリット5Cが上述の水抜き穴としての機能も有するように構成している。以下、この構成について図19,図20および図21を用いて説明する。
【0103】
図19は本発明におけるドアインナパネル3を車内側から見た場合の模式的正面図であって、図20は図19におけるC−C断面を模式的に示すドアの断面図であってスピーカユニット1がある場合を示す。また、図21も、図19におけるC−C断面を模式的に示すドアの断面図であるが、図20とは異なり、スピーカユニット1がある場合を示す。なお、図19に示すドアインナパネル3において、符号を付さない構成要素は、一般的であるので説明を省略する。
【0104】
図19に示すドアパネル3の下端近傍には、図1や図2などで示す本発明の回転取付け式のスピーカユニット1が取付けられるようになっており、略三角形状の開口部4、第1スリット5A、第2スリット5B、第3スリット5Cなどが形成されている。なお、これらの構成要素については図6等を用いて既に説明しているので省略する。
【0105】
図20および図21に示すドア18は、車両外側に設けられたドアアウタパネル24とドアインナパネル3とが主な構成要素であり、また、ドアアウタパネル24とドアインナパネル3との間の空間であるドア内部スペース18aには、昇降可能なサイドウィンドー10,ウィンドーレギュレータ(図示略)、ドアラッチ(図示略)、ドアロックセンサ(図示略)、ライトハーネス(図示略)等の機器が設けられている。
【0106】
また、ドアインナパネル3の車内側表面にはブチルシール(シーリング剤)25によって防水ビニール(防水シート)26が貼付され、この防水ビニール26よりも車内側にドアトリム9が設けられている。また、図20に示す防水ビニール26は、その下端が第3スリット5cよりも下の位置となる長い防水ビニール26Aであり、一方、図21に示す防水ビニール26は、その下端が開口部4よりも上の位置になる第3スリット5cよりも上の位置となる短い防水ビニール26Bによって構成されている。
【0107】
まず、図20に示すように、スピーカユニット1がドアインナパネル3に設けられない仕様の車両におけるドアについて説明する。図20に示すドアインナパネル3の下部にはスピーカユニット1が嵌入しうる開口部4が設けられ、その下には第3スリット5Cが設けられている。また、この開口部4の上には第2水抜き穴31が設けられている。この第2水抜き穴31はドアパネル3にスピーカユニット1を取付けた場合における水抜き用の穴である。
【0108】
このような構成により、ドア18の上部よりサイドウィンドー10とウェザーストリップ24との間から浸入した水は、ドア内部スペース18a内を重力によって下方へ流れて、ドアアウタパネル24に設けられた排水穴22よりドア18外へ排出される。また、部品嵌入穴27、第2水抜き穴31、開口部4などを通じて車内方向に浸入した水も、防水シート26やブチルシール25において堰き止められ、ドアインナパネル3の表面3aと防水ビニール26との間を重力によって下方へ流れていく。そして、この水はドアインナパネル3に形成された複数の穴のなかで最も下方に位置する穴であり、且つ、開口部4よりも下方に位置する第3スリット5Cを通って、再びドア内部スペース18aへ入り込み、最終的には排水穴22よりドア18外へ排出される。
【0109】
つまり、第3スリット5Cがドアインナパネル表面3aと防水ビニール26との間に存在した水をドア内部スペース18aに戻すために用いられる穴である水抜き穴(以後、「第1水抜き穴」と記載する場合がある)23としても機能するのである。
このため、図24や図25に示す従来の水抜き穴116のように、水抜き専用の穴をドア18下端近傍に設ける必要がなくなるので、図21に示すように、ドアインナパネル3にスピーカユニット1を取付けた場合においても、スピーカユニット1の設置位置を、従来よりも下方に設定することが可能となる。
【0110】
また、図21に示すようにスピーカユニット1をドアパネル3に取付けた場合は、下側のブチルシール25は、第2水抜き穴31の下縁に沿って設けられ、部品嵌入穴27などを通じて車内方向に浸入した水は、防水シート26Bやブチルシール25において堰き止められ、ドアインナパネル3の表面3aと防水ビニール26Bとの間を重力によって下方へ流れていき、第2水抜き穴31を通って再びドア内部スペース18aへ入り込み、最終的には排水穴22よりドア18外へ排出される。
【0111】
また、図6に示すように、第3スリット5Cの外周側の辺は、下方に凸となる形状の円弧形状をしているため、ドアインナパネル3の表面と防水ビニール26との間を流れてきた水が、自然にこの円弧形状下端に集まることで、この水をスムーズにドア内部スペース18aに流れるようにすることも可能となる。
また、図21に示すように、防水ビニール26Bが開口部4を塞ぐことがないので、スピーカユニット1をドアインナパネル3に取付ける場合においても、従来のように防水ビニールに切込みを入れる必要が無い。このため、切込みを入れた防水ビニールによるビビリ音の発生を防止することも可能となる。
【0112】
本発明の一実施形態としての車載スピーカの回転式取付け構造は上述のように構成されるので、以下のような作用・効果が得られる。
まず、スピーカユニット1をドアインナパネル3に対して取付ける際、作業者は、スピーカユニット1のハウジング12の裏面12bに設けられた3つの爪部13を、ドアインナパネル3に設けられた3つのスリット5の位置に合致させる。
【0113】
このとき、作業者はハウジング裏面12bに設けられた爪部13の位置をハウジング12の外径によって見ることが出来ず、また、同様に、ドアインナパネル3のスリット5の位置も見ることは出来ない。このため、手の感覚で各爪部13が対応するスリット5に挿入されたか否かを判断するが、本発明におけるハウジング裏面12bには、挿入ガイド29が設けられているので、図9に示すように、作業者は、この挿入ガイド29の一部をドアインナパネル3の略三角形に形成された開口部4に挿入することだけを意識すれば、ドアインナパネル3に対して上下左右方向の位置決めは不要となる。
【0114】
そして、図9の実線で示すように、挿入ガイド29が完全にドアインナパネル3の開口部4に嵌入すれば、ハウジング12をドアインナパネル3に軽く押し付けた状態で適当な方向に回転させれば、爪部13が自然にスリット5の挿入部51に挿入される。
従って、作業者は、スピーカユニット1のハウジング裏面12bに設けられた爪部13をドアパネル3のスリット5へ容易に挿入することが可能となるのである。
【0115】
また、この挿入ガイド29を防水カバーと兼用すれば、部品点数を減らすことが出来るので、ハウジング12の生産コストを抑えることが可能となると共に、生産工数を減らして生産に要する時間を短縮することも可能となる。
この状態において、ハウジング裏面12bとドアインナパネル表面3aとの間では、図7に示すようにロアクッション2が圧縮されることになる。つまり、圧縮されたロアクッション2の復元力により、爪部表面13cとドアインナパネル3bとは強く圧着されることになる。
【0116】
ここで、作業者は、回転取付け式のスピーカユニット1をドアパネル3に対して、図10に示すように、時計回りに回転させることになるが、ロアクッション2とドアインナパネル裏面3bとの摩擦力によりスピーカユニット1を回転させるのが通常は困難となる。
しかし、本発明によれば、ハウジング12の裏面12bには、ハウジング12の全周に渡って断面が略三角形状のリブ45が設けられており、このリブ45近傍のハウジング裏面12bだけがロアクッション2をドアインナパネル3に対して強く押し付ける一方、リブ45以外のハウジング裏面12bはロアクッション2を弱く押し付けるようになっている。このため、ロアクッション2とドアインナパネル裏面3bとの摩擦力は必要以上に大きくならず、スピーカユニット1の取付け作業の作業性を阻害しない。
【0117】
また、リブ45の部分だけはロアクッション2が十分に圧縮されるので、ドアインナパネル3とロアクッション2との間や、ロアクッション2とハウジング3との間に侵入しようとした水や埃を確実に防ぐことも可能となる。
また、図17に示すように、この爪部表面13cの高さは2つ設けられているので、各爪部13ごとに板厚が異なったドアインナパネル3であっても、ハウジング12の仕様を変更することなく、スピーカユニット1をドアインナパネル3に対して取付けることが可能である。
【0118】
特に、テーパードブランクによって形成されたドアインナパネル3には有効であり、このようなドアインナパネルにスピーカユニット1を取付ける際においても、作業者はドアインナパネル3の板厚に留意する必要も無く、一種類のハウジング12を用いてスピーカユニット1の取付け作業を実施すればよいので、作業性の向上に寄与する。
【0119】
そして、作業者は、スピーカユニット1をドアインナパネル3に対して回転させて取付ける。この場合、作業者は、図12に示すように、スクリュードライバ106をハウジング外周面12cから窪んだ作業用凹部20およびその奥部に設けられた治具嵌入用孔30に対して挿入する。
その後、力F1をスクリュードライバ106の後端部106cに対して加え、ハウジング12の突起部材34近傍に対してトルクT1を発生させる。そして、このトルクT1によってハウジング12が、図10に示すように、ハウジング中心Oを中心に矢印R2方向へ時計回りに回転する。
【0120】
つまり、作業者は少ない力F1でスピーカユニット1のハウジング12を回転させることが出来るため、スピーカユニット1の取付け作業性は向上する。
また、この場合、スクリュードライバ106のような一般工具ではなく、図16に示すような専用工具50を用いてハウジング12を回転させても略同様の効果を得られる。
【0121】
また、本発明においては、爪部表面13cに微細な凹凸を設けて上述の摩擦力を適切に減少させているので、ドアインナパネル3の膨張や収縮、並びに車両走行による振動や衝撃に起因する異音の発生を低減するあるいは防止することができる。なお、この凹凸を爪部表面13cに形成するのではなく、爪部表面13cが接触するドアインナパネル裏面3bに形成するようにしてもよい。
【0122】
また、本発明においては、図19および図20に示すように、ハウジング12の爪部13が嵌入する第3スリット5Cを水抜き穴としても機能させることが出来るので、スピーカユニット1のドアパネル3における取付け位置を下端近傍にまで下げることが可能となり、これにより、ドア内のスペース(図20において符号18aで示すスペース)を有効に活用することが可能となる。
【0123】
また、図19〜図21に示す開口部4近辺のドア内部スペース18aに、他の機器が内蔵されることは稀であるため、作業者はスピーカユニット1をドアインナパネル3に取付ける場合、ドア内部スペース18aに内蔵された機器に影響を与えないよう注意を払う必要が無いので、スピーカユニット1の取付け作業における作業性の向上に寄与することが可能となる。
【0124】
なお、本発明は上述した実施態様及びその変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
例えば、上述のパネル部材3にスピーカユニット1を取付けた状態でアッセンブリ化しておき、このアッセンブリを車体のフレームなどに組み付けるようにしてもよい。
【0125】
また、上述の実施形態では、車両のドアにスピーカユニット1を設置する場合について説明したが、リヤシェルフにスピーカを取付ける場合に適用してもよい。この場合には、リヤシェルフパネルがパネル部材に相当する。また、上述したドアシェルフ以外の場所にスピーカを取付ける場合にも本発明を適用可能であるのは言うまでもない。
【0126】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の車載スピーカの回転式取付け構造によれば、シール部材を必要な圧縮率で圧縮することが可能となるとともに、シール部材とスピーカハウジングとの間で発生する摩擦力を抑制するので、スピーカハウジングとパネル部材との間から侵入する水や埃を確実に防止する一方で、スピーカハウジングの回転性を低下させず、スピーカユニット取付け作業性の向上に寄与することが出来る。また、ドアインナパネルとハウジングとの間に生じる隙間の高さが一定でなくなる場合であっても、この隙間に介在するシール部材の圧縮率を一定とすることが可能となり、防塵性や防水性を確保することが出来る(請求項1)。
【0127】
また、いずれの方向から侵入しようとする水や埃についても確実にその侵入を防止することが出来る(請求項2)。
【0128】
また、その断面三角形状の頂点となる一角とドアインナパネルとの距離が短くなり、この部分におけるシール部材の圧縮率のみを高めることが出来るので、スピーカハウジングとドアインナパネルとの間で生じる摩擦力を不要に高めることを抑制して、スピーカユニットの取付け作業性を確保するとともに、防塵性、防水性も確保することが出来る(請求項3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造の要部構成を示す模式的な分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造の要部構成を示す模式的な分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングの裏面を示す模式的な斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングの裏面を示す模式的な正面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造においてスピーカハウジングがパネル部材に取付けられた状態を示す模式的な斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるパネル部材を示す模式的な正面図およびその断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングとパネル部材との断面を示す模式的な断面図であって、図4におけるQ−Q断面を示す。
【図8】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングとパネル部材との模式的な断面図であって、その接触面を示す。
【図9】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるパネル部材の模式的な正面図であって、スピーカハウジングの挿入ガイド部材がパネル部材の開口部に挿入される状態を示す。
【図10】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングの表面を示す模式的な正面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングの模式的な水平断面図であって、取付け作業用凹部を示す。
【図12】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングの模式的な水平断面図であって、図11に示す取付け作業用凹部に一般工具が挿入された場合を示す。
【図13】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングの模式的な水平断面図であって、図11に示す取付け作業用凹部に一般工具が挿入された場合を示す。
【図14】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングの模式的な水平断面図であって、図11に示す取付け作業用凹部に一般工具が挿入された場合を示す。
【図15】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングの模式的な水平断面図であって、取外し作業用凹部に一般工具が挿入された場合を示す。
【図16】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングの模式的な水平断面図であって、図13に示す作業用凹部に一般工具が挿入された場合を示す。
【図17】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるスピーカハウジングの爪部を示す模式的な斜視図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるパネル部材の表面を示す模式的な正面図であって、パネル部材の板厚が異なる場合を示す。
【図19】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるパネル部材全体の表面を示す模式的な正面図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるドアの断面を示す模式的な断面図であって、図21に示すC−C断面を示す。
【図21】本発明の一実施形態に係る車載スピーカの回転式取付け構造におけるドアの断面を示す模式的な断面図であって、図21に示すC−C断面を示す。
【図22】従来の車両用スピーカ取付け構造の一例を示す模式的斜視図である。
【図23】従来の車両用スピーカ取付け構造の一例を示す模式的斜視図である。
【図24】従来の車両用スピーカ取付け構造の一例を示す模式的断面図である。
【図25】従来の車両用スピーカ取付け構造の一例におけるドアインナパネルの全体を示す模式的正面図である。
【符号の説明】
1 スピーカユニット(回転取付け式スピーカユニット)
2 ロアクッション(シール部材)
3 ドアインナパネル(パネル部材)
5 スリット
11 スピーカ(スピーカ本体)
12 ハウジング(スピーカハウジング)
13 爪部
45 リブ
45a リブ頂点
Claims (3)
- スピーカ本体を保持し、爪部が形成されたスピーカハウジングを有するスピーカユニットと、該スピーカユニットが着脱自在に取付けられるパネル部材とをそなえ、
該パネル部材には、スリットが形成され、
該爪部を該スリットへ挿入し、該スピーカハウジングを周方向へ回転させることによって該スピーカユニットを車体に取付ける車載スピーカの回転式取付け構造において、
該スピーカハウジングと該パネル部材との間に、シール部材が介装され、
該シール部材と接触する該スピーカハウジング表面にリブが形成され、
該リブは、該爪部に対応する部分における高さが該シール部材と接触する範囲内で該爪部に対応する部分以外の高さよりも低く且つ形成されている
ことを特徴とする車載スピーカの回転式取付け構造。 - 該リブは、該スピーカハウジングの全周にわたって形成されていることを特徴とする請求項1記載の車載スピーカの回転式取付け構造。
- 該リブは、その断面が三角形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の車載スピーカの回転式取付け構造。
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