JP3951806B2 - 水性樹脂組成物及び水性塗料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性樹脂組成物及び水性塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物の上塗りなどに使用される塗料には、高度の耐久性、即ち耐候性、耐汚染性、耐水性、耐湿性、耐酸性、耐アルカリ性等が要求される。また、塗装作業者あるいは塗装現場及び周辺の作業環境の改善や、地球環境に対する負荷の低減といった観点から、有機溶媒を極力使用しない水性塗料が望まれている。
【0003】
そこで、これらの要求を満たすべく、加水分解性シリル基を有するアクリルエマルジョンを用いた塗料が提案されている。この加水分解性シリル基を有するアクリルエマルジョンは、該シリル基が常温で架橋反応を起こすため、非架橋のアクリルエマルジョンに比べ高い耐候性を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の塗料においては、加水分解性シリル基を有するアクリルエマルジョンを利用した場合であっても、低温塗装時の成膜性や得られる塗膜の低温での柔軟性の点で必ずしも十分ではなかった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、低温条件下であっても成膜性、耐候性及び塗膜の柔軟性に優れる水性樹脂組成物、並びにその水性樹脂組成物を用いた塗料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の水性樹脂組成物は、ウレタンディスパージョン(a)が分散された水分散液中で、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体(b)と、下記一般式(1):
【0007】
【化2】
【0008】
[式(1)中、Xは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアリール基及び炭素数1〜10のアラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基を表し、Yはアルコキシ基、水酸基、アシロキシ基、ハロゲン原子及びフェノキシ基から選ばれる基を表し、nは0〜3の整数を表し、X又はYが2以上存在するときそれらは同一でも異なっていてもよい]
で表されるシリル基を有する重合性不飽和単量体(c)と、シクロアルキル基及びシリル基のいずれも有さない重合性不飽和単量体(d)とを乳化重合させて得られる水性樹脂組成物であって、重合性不飽和単量体(d)の配合量が、重合性不飽和単量体(b)、(c)及び(d)の総量100重量部に対して15〜89.9重量部のものである。
【0009】
また、本発明の水性塗料は、上記本発明の水性樹脂組成物を含有するものである。
【0010】
本発明の水性樹脂組成物は、上述の通り、ウレタンディスパージョン(a)が分散された水分散液中で重合性不飽和単量体(b)〜(d)を乳化重合させて得られるものであり、このように(a)〜(d)成分を複合化させることによって、成膜性、耐候性及び塗膜の柔軟性が幅広い温度領域にわたって高水準に維持される。従って、当該水性樹脂組成物を含有する本発明の水性塗料によって、低温塗装時であっても良好な塗膜を形成することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の水性樹脂組成物は、上述の通り、ウレタンディスパージョン(a)の存在下、重合性不飽和単量体(b)、(c)及び(d)を乳化重合して得られるものである。
【0012】
本発明に係るウレタンディスパージョン(a)とは、カルボキシル基、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖等のオキシアルキレン鎖等の親水性基の導入により水分散性が付与されたポリウレタン樹脂、あるいは界面活性剤により水中に強制分散されたポリウレタン樹脂を意味する。ここで、ウレタンディスパージョン(a)のイオン性としては、乳化重合(シード重合)の際の重合安定性の点から、アニオン性又はノニオン性であることが好ましい。このようなウレタンディスパージョン(a)を含む水分散液は、常法に従って調製することができるが、バイビドロールPR240、バイビドロールPR340(以上住化バイエルウレタン工業(株)製)、スーパーフレックス110、スーパーフレックス150、スーパフレックス420、スーパーフレックスE−2000(以上第一工業製薬(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0013】
重合性不飽和単量体(b)は、シクロアルキル基を含有するものであり、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。このうち、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが、塗膜の耐候性、耐水性の点から好ましい。これら重合性不飽和単量体(b)は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0014】
重合性不飽和単量体(b)の配合量は、重合性不飽和単量体(b)〜(d)の総量100重量部に対して10〜70重量部であることが好ましい。重合性不飽和単量体(b)の配合量が10重量部未満では、得られる塗膜の耐水性、耐候性が不十分となる傾向にあり、また、70重量部を超えると、得られる塗膜の可とう性が低下する傾向にある。
【0015】
重合性不飽和単量体(c)は、下記一般式(1):
【0016】
【化3】
【0017】
[式(1)中、Xは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアリール基及び炭素数1〜10のアラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基を表し、Yはアルコキシ基、水酸基、アシロキシ基、ハロゲン原子及びフェノキシ基から選ばれる基を表し、nは0〜3の整数を表し、X又はYが2以上存在するときそれらは同一でも異なっていてもよい]
で表されるシリル基を有するものである。
【0018】
式(1)中、Xで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分岐のペンチル基、直鎖又は分岐のヘキシル基、直鎖又は分岐のヘプチル基、直鎖又は分岐のオクチル基、直鎖又は分岐のノニル基、直鎖又は分岐のデシル基等が挙げられる。また、アリール基には、フェニル基、ナフチル基の他、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基等のアルキルアリール基も包含される。また、Xで表されるアラルキル基(アリールアルキル基)としては、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
【0019】
また、Yで表されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等;アシロキシ基としては、アセトキシ基(CH3COO−)、ベンゾイルオキシ基(C6H5COO−)等;ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等、が挙げられる。
【0020】
重合性不飽和単量体(c)の具体例としては、アルコキシシラン類、ハロゲン化シラン類、アシロキシシラン類、シラノール等が挙げられる。
【0021】
アルコキシシラン類としては、具体的には、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ジメトキシメチルシリルスチレン、トリエトキシシリルスチレン、ジエトキシメチルシリルスチレン等が挙げられる。
【0022】
また、ハロゲン化シラン類としては、例えば、ビニルメチルジクロロシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0023】
また、アシロキシシラン類としては、例えば、ビニルメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジアセトキシシラン等挙げられる。
【0024】
上記重合性不飽和単量体(c)の中でも、他のビニル系単量体との重合性が良好であり工業的に入手しやすいアルコキシシラン類が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。これらの重合性不飽和単量体(c)は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0025】
重合性不飽和単量体(c)の配合量は、重合性不飽和単量体(b)〜(d)の総量100重量部に対して0.1〜15重量部であることが好ましく、1〜10重量部であることがより好ましい。重合性不飽和単量体(c)の配合量が0.1重量部未満では得られる組成物の耐久性、硬化性が不十分となる傾向にあり、また、15重量部を越えると得られる塗膜の可とう性が低下する傾向にある。
【0026】
重合性不飽和単量体(d)は、シクロアルキル基及びシリル基のいずれも有さないもので、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸等のカルボキシル基含有重合性単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、ヒンダードアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル、ベンゾトリアゾール基含有(メタ)アクリル酸エステル等、スチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン類などが挙げられる。
【0027】
重合性不飽和単量体(d)の配合量は、重合性不飽和単量体(b)〜(d)の総量100重量部に対して15〜89.9重量部であることが好ましい。重合性不飽和単量体(d)の配合量が15重量部未満では塗膜の可とう性が低下する傾向にあり、また、89.9重量部を越えると(b)及び(c)の配合量が少なくなるため、耐候性が低下する傾向にある。
【0028】
また、ウレタンディスパージョン(a)の配合量と、重合性不飽和単量体(b)〜(d)の総量との比は、重量比で1:99〜30:70であることが好ましく、5:95〜20:80であることがより好ましい。(a)〜(d)成分の総量100重量部に対して(a)成分の配合量が1重量部未満であると、塗膜の可とう性、成膜性が不十分となる傾向にあり、また、30重量部を超えると塗膜の透明性が低下する傾向にある。
【0029】
ウレタンディスパージョン(a)の存在下で重合性不飽和単量体(b)〜(d)を乳化重合する際には、乳化剤及び重合開始剤を用いることができる。
【0030】
本発明で用いられる乳化剤としては特に限定されないが、重合性不飽和基を有する反応性乳化剤を使用すると、得られる塗膜の耐水性が向上するので好ましい。このような乳化剤として、アデカリアソープSE10N、同SE20N、同NE10、NE20(以上旭電化工業(株)製、市販品)、アクアロンHS10、同HS20、同RN10、同RN20(以上第一工業製薬(株)、市販品)、ラテムルS−180A(花王(株)製、市販品)等の市販品を用いることもできる。乳化剤の使用量は、重合性不飽和単量体(b)〜(d)の総量100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましい。
【0031】
また、重合開始剤としては特に限定されず、水溶性、油溶性のいずれであってもよい。水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスアミジノプロパンの塩酸塩等が挙げられる。また、油溶性重合開始剤としては、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジイソブチルパーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに必要に応じ、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、L−アスコルビン酸等の還元剤を上記の重合開始剤と併用したレドックス系重合開始剤を使用することもできる。重合開始剤の使用量は、重合性不飽和単量体(b)〜(d)の総量100重量部に対して0.05〜10重量部の範囲内であることが好ましい。
【0032】
また、必要に応じて、連鎖移動剤を用い、得られる樹脂複合体の分子量を調整してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0033】
以上の乳化重合を行う際の重合温度は、20〜100℃の範囲内であることが好ましい。
【0034】
このようにして得られる本発明の水性樹脂組成物の平均粒子径(例えばコールター社製N4サブミクロン粒子分析装置により、温度20℃、INTENSITYモードで測定して得られる値、以下同様)は、50〜500nmであることが好ましい。平均粒子径が50nm未満であると、ワニスの粘度が高くなる傾向にあり、平均粒子径が500nmを越えると、分散安定性が不十分となる傾向にある。
【0035】
本発明の水性樹脂組成物は、上述の樹脂複合体を含むものであり、当該樹脂複合体を水に分散して水分散液とすることによって、水性塗料として用いることができる。
【0036】
本発明の水性塗料においては、本発明の水性樹脂組成物が分散された水分散液に、チタン白、カーボンブラック、シアニンブルー、弁柄等の着色顔料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料をさらに加えてエナメル塗料とすることができる。また、本発明の水性樹脂組成物が分散された水分散液を、顔料を加えずにそのままクリアー塗料として用いることも可能である。
【0037】
また、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤、粘性調整剤、造膜助剤、pH調整剤、シランカップリング剤、メチルシリケート或いはエチルシリケートの如きシリケート類或いはこれらのシリケート類の部分縮合物等、シリル基の硬化触媒を塗料化の際又は塗料化後に添加することにより塗料及び得られる塗膜の性能を向上することもできる。これらの添加剤が水溶性あるいは水分散性を示す場合はそのまま添加でき、また、水溶性又は水分散性を示さない場合は乳化剤等を使用して分散させることができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的にするが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、それぞれ重量部及び重量%を意味する。
【0039】
[実施例1]
(水性樹脂組成物の合成)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えるセパラブルフラスコに、イオン交換水75部、ウレタンディスパージョン(バイビドロールPR340、住化バイエルウレタン工業(株)製、加熱残分40%)50部(固形分換算で20部)、反応性乳化剤(アクアロンHS10、第一工業製薬(株)製)3部を仕込み、この仕込み液を窒素気流下で65℃に昇温した。この仕込み液に、以下に示す重合性不飽和単量体(b)〜(d)の混合液を2時間かけて滴下した。
重合性不飽和単量体(b)
シクロヘキシルメタクリレート:30.0部
重合性不飽和単量体(c)
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(γ−MPTMSi):3.0部
重合性不飽和単量体(d)
スチレン:4.0部
メチルメタクリレート:10.0部
イソブチルメタクリレート:9.0部
ブチルアクリレート:19.0部
2−ヒドロキシエチルアクリレート:4.0部
メタクリル酸:1.0部。
【0040】
滴下終了後、混合液を80℃に昇温し、過硫酸アンモニウム2%水溶液5部を15分かけて滴下して重合を開始した。さらに、重合開始から30分後に過硫酸アンモニウム2%水溶液10部を30分かけて滴下し、2時間保温した。この反応混合物を冷却した後、25%アンモニア水を添加してpH7〜8に調整した。このようにして、ウレタンディスパージョン(a)及び重合性不飽和単量体(b)〜(d)の樹脂複合体を含む水性樹脂組成物(A−1)をエマルジョンとして得た。得られたエマルジョンの特性値(加熱残分、樹脂複合体の平均粒子系、pH、最低造膜温度)を表1に示す。
【0041】
[実施例2]
実施例1と同様の装置を使用し、イオン交換水60部、バイビドロールPR340 37.5部(固形分換算15部)、アクアロンHS10 3部を仕込み、この仕込み液を80℃に昇温した。一方、以下に示す重合性不飽和単量体(b)〜(d)、並びにイオン交換水 40部、アクアロンHS10 1部、t−ブチルヒドロキシパーオキサイド 0.5部をホモミキサーを用いてプレ乳化した滴下液を調製した。
重合性不飽和単量体(b)
シクロヘキシルメタクリレート:35.0部
重合性不飽和単量体(c)
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(γ−MPTESi):3.0部
重合性不飽和単量体(d)
スチレン:4.0部
メチルメタクリレート:10.0部
イソブチルメタクリレート:9.0部
ブチルアクリレート:19.0部
2−ヒドロキシエチルアクリレート:4.0部
メタクリル酸:1.0部。
【0042】
仕込み液が80℃で安定した後、ロンガリット0.1部を添加し、次いでプレ乳化した滴下液を3時間かけて等速滴下した。滴下終了後、同温度で2時間保温した。冷却後、25%アンモニア水を添加してpHが7〜8となるように調整し、ウレタンディスパージョン(a)及び重合性不飽和単量体(b)〜(d)の樹脂複合体を含む水性樹脂組成物(A−2)をエマルジョンとして得た。得られたエマルジョンの特性値を表1に示す。
【0043】
[比較例1]
ウレタンディスパージョンを用いなかったこと、並びに仕込みの際にイオン交換水60部、アクアロンHS10 4部としたこと以外は実施例2と同様にして水性樹脂組成物(C−1)のエマルジョンを得た。得られたエマルジョンの特性値を表1に示す。
【0044】
[比較例2]
比較例1で得られたエマルジョン(固形分換算値で51重量部)と、バイビドールPR340(固形分換算値で9重量部)とを混合してエマルジョンを調製した。
【0045】
【表1】
【0046】
[実施例4、5及び比較例2]
(白エナメル塗料の作製)
実施例1、2及び比較例1、2で得られたエマルジョンを用い、以下の手順で白エナメル塗料を作製した。
【0047】
チタン白(タイペークCR97、石原産業(株)製)40.0部、顔料分散剤(フローレンTG−750W、共栄社化学(株)製)4.0部、消泡剤(アクアレン820、共栄社化学(株)製)0.5部、イオン交換水15.0部及び造膜助剤(ブチルセロソルブアセテート)4.0部を混合し、その混合物にガラスビーズを加えてペイントシェーカーで60分間分散した。
【0048】
このようにして得られた分散液に、実施例例1、2又は比較例1で得られた水性樹脂組成物のエマルジョンを固形分換算値で60部添加した。さらに、レベリング剤としてBYK348(ビックケミージャパン(株)) 0.5部、増粘剤アデカノールUH540(旭電化工業(株)) 0.1部、イオン交換水 5部を加えて白エナメル塗料を得た。
【0049】
次に、得られた白エナメル塗料を用いて以下の塗膜性能試験を行った。
【0050】
(試験板の作製)
各白エナメル塗料を、乾燥膜厚が25〜35μmになるように、予め2液型アクリルウレタン系塗料を塗布したブリキ板にバーコータで塗装し、20℃、65%RHで2週間放置した。このようにして得られた試験板を、後述する光沢、耐水性、促進耐候性及び塗膜の可とう性の評価試験に供した。
【0051】
また、塗装後に放置するときの条件を5℃、50%RHとしたこと以外は上記と同様にして試験板を作製し、後述する低温成膜性の評価試験に供した。
【0052】
(光沢の評価)
得られた各試験板について、光沢計(日本電色(株)製)を用い、60度鏡面反射率を測定した。
【0053】
(耐水性の評価)
各試験板を水道水に25℃の条件下で1ヶ月浸漬した後、塗膜外観を目視判定した。
【0054】
(促進耐候性の評価)
メタルウエザーメータ(ダイプラウインテス(株)製)を使用し、以下の手順で促進耐候性試験を行った。先ず、光照射時間6時間、照射強度70mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、湿度40%RHの条件で試験板への光照射を行った。このとき、1時間ごとに試験板に水を15秒間スプレーした。次いで、光照射を停止して暗黒中で2時間、ブラックパネル温度30℃、湿度98%RH、結露ありの条件で保持した。上記の操作を1サイクルとして光照射及び暗黒中での保持を繰り返し、800時間経過後の光沢を測定して光沢保持率及び色差△Eを求めた。なお、光沢保持率は下記式により求めた。
【0055】
光沢保持率(%)=(所定時間試験後の光沢)/(初期光沢)×100
(塗膜の可とう性の評価)
各試験板を5℃に冷却し、デュポン衝撃500g×30cmにより評価した。
【0056】
(低温成膜性の評価)
5℃、50%RH条件下で塗装、放置した塗膜試験板を水道水に25℃の条件下で1ヶ月浸漬した後、塗膜外観を目視判定した。
【0057】
【表2】
【0058】
表2に示したように、実施例1、2の水性樹脂組成物(A−1、A−2)を用いて得られた塗膜は、耐水性、耐候性、可とう性、低温成膜性の全てに優れていることが確認された。
【0059】
これに対して、ウレタンディスパージョン(a)を含まない比較例1の水性樹脂組成物(C−1)の場合は塗膜の可とう性、低温成膜性が不十分であり、また、ウレタンディスパージョン(a)と重合性不飽和単量体(b)〜(d)とを単にブレンドした比較例2の水性樹脂組成物の場合は、塗膜の耐水性、耐候性、低温成膜性が不十分であった。
【0060】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の水性樹脂組成物によれば、上記(a)〜(d)成分を複合化せしめることによって、成膜性、耐候性及び塗膜の柔軟性が幅広い温度領域にわたって高水準に維持できる。従って、当該水性樹脂組成物を含有する本発明の水性塗料によって、低温条件下であっても良好な塗膜を形成することが可能となる。
Claims (2)
- ウレタンディスパージョン(a)が分散された水分散液中で、
シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体(b)と、
下記一般式(1):
で表されるシリル基を有する重合性不飽和単量体(c)と、
前記シクロアルキル基及び前記シリル基のいずれも有さない重合性不飽和単量体(d)と
を乳化重合させて得られる水性樹脂組成物であって、
前記重合性不飽和単量体(d)の配合量が、前記重合性不飽和単量体(b)、(c)及び(d)の総量100重量部に対して15〜89.9重量部である水性樹脂組成物。 - 請求項1に記載の水性樹脂組成物を含有する水性塗料。
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