JP3951682B2 - 硬化性組成物および樹脂硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性等の光学物性、機械物性及び耐熱性に優れた樹脂硬化物およびそれを与える硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂材料は、無機材料に比べて軽量で割れにくく、成形性にも優れているため、近年、透明樹脂材料は、ガラスなどの無機透明材料の代替として注目されている。
しかし、例えば、タッチパネルやカラーフィルタなどのディスプレイ関連の用途においては、はんだ耐熱、加熱工程に対する耐熱性などの耐熱性が必要とされ、透明樹脂材料を用いる上での問題となっている。
耐熱性が高い透明材料としては、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等の透明耐熱熱可塑性樹脂や、フッ素化ポリイミド(特開平9−229679号公報参照)、脂環骨格ポリイミド等の透明ポリイミド樹脂が知られている。
【0003】
しかし、透明耐熱熱可塑性樹脂には、成形性が悪く、また、複屈折などの光学歪みが大きいという問題がある。特に、比較的大きなシートを得ようとする場合には、複屈折の増大が顕著となり、高度な光学特性を要求される用途への応用は困難であった。
また、透明ポリイミド樹脂は、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を経由する、いわゆる二段合成法によって合成されなければならず、製造タクトタイムを増大させ、また、得られる成形体の形状に制限があるなど成形性に問題がある。
【0004】
一方、透明材料の特性を改良するために、透明樹脂材料に機能性成分を充填する、いわゆるハイブリッド材料が開発されている。例えば、特開平8−297201号公報には、脂肪族(メタ)アクリレートに金属アルコキシド化合物を配合することにより、高屈折率のコーティング材料を得る方法が提案されている。しかし、この公報に記載の樹脂組成物では、注型体を作成することができず、例えば、レンズ、基板などの用途向けの材料として使用することができないという問題がある。さらに、この公報に記載の樹脂組成物は、硬くて脆く、割れやすいという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、割れにくさを有すると同時に、機械特性、透明性等の光学特性を維持し、しかも工業的に有利なコストで得られる樹脂硬化物およびそれを与える硬化性組成物を提供することに存する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の(メタ)アクリレートと金属アルコキシド化合物を配合した硬化性組成物を硬化させて得られた樹脂硬化物は、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、芳香族骨格と2以上の(メタ)アクリロイル基とを有する一般式(1)で表されるビス(メタ)アクリレートからなる重合性単量体及び金属アルコキシド化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物、およびその硬化性組成物を硬化させてなる樹脂硬化物に存する。
【化3】
(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立して、アルキレン基を表し、Ar 1 およびAr 2 は、それぞれ独立して、アリーレン基又はアラルキレン基を表し、X 1 およびX 2 は、それぞれ独立して、酸素原子または硫黄原子を表し、Yは、硫黄原子、スルホン基、カルボニル基、アルキレン基、アラルキレン基、アルキレンエーテル基、アラルキレンエーテル基、アルキレンチオエーテル基又はアラルキレンチオエーテル基を表す。
jおよびpは、それぞれ独立して、1〜5の整数を、kは0〜10の整数を表す。
ただし、X 1 およびX 2 が酸素原子の場合は、Yは、硫黄原子又はスルホン基(−SO 2 −)を表し、kが0の場合は、X 1 、X 2 の少なくとも一方は硫黄原子を表す。)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「メタクリレート」と「アクリレート」の総称であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、「メタクリロイル基」と「アクリロイル基」の総称である。
【0008】
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、芳香族骨格と2以上の(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体及び金属アルコキシド化合物を含有することを特徴とする。
【0009】
<芳香族骨格と2以上の(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体>
芳香族骨格と2以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体は、好ましくは、芳香族骨格および硫黄原子を有し、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体である。より好ましくは、これらの(メタ)アクリロイル基がメタクリロイル基である単量体である。
単量性重合体は、特に好ましくは下記一般式(1)で示される構造を有する化合物である。
【0010】
【化4】
【0011】
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基、好ましくはメチル基を表す。
R3およびR4は、それぞれ独立して、アルキレン基、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
【0012】
Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、アリーレン基またはアラルキレン基、好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基または炭素数6〜30のアラルキレン基を表す。好ましくは、アリーレン基およびアラルキレン基はフッ素以外のハロゲン原子、具体的には、塩素、臭素、ヨウ素などで置換されていてもよい。kが2以上の場合、複数のAr2は互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0013】
X1およびX2は、それぞれ独立して、酸素原子または硫黄原子を表す。jが2以上の場合、複数のX1同士は互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。pが2以上の場合、複数のX2同士は互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0014】
Yは、硫黄原子、スルホン基、カルボニル基、アルキレン基、アラルキレン基、アルキレンエーテル基、アラルキレンエーテル基、アルキレンチオエーテル基またはアラルキレンチオエーテル基を表す。kが2以上の場合、複数のYは互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
jおよびpは、それぞれ独立して、1〜5の整数を、kは0〜10の整数を表す。
ただし、X1およびX2が酸素原子の場合は、Yは、硫黄原子又はスルホン基(−SO2−)を表し、また、kが0の場合は、X1、X2の少なくとも一方は硫黄原子を表す。
【0015】
一般式(1)で示される重合性単量体の具体例としては、p−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]キシリレン、m−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]キシリレン、α、α’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]−2,3,5,6−テトラクロロ−p−キシリレン、4,4’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]ジフェニルスルフィド、4,4’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]ジフェニルスルフォン、4,4’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルフィド、4,4’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルフォン、4,4’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルケトン、2,4’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルケトン、5,5’−テトラブロモジフェニルケトン、β,β’−ビス−[p−(メタ)アクリロイルオキシフェニルチオ]ジエチルエーテル、β,β’−ビス−[p−(メタ)アクリロイルオキシフェニルチオ]ジエチルチオエーテル等が挙げられる。これらの中でもビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレートは優れた透明性及び耐熱性を有し、特に好適に用いられる。これらは単独で用いても、複数を併用してもよい。
【0016】
<金属アルコキシド化合物またはその分解生成物>
本発明で用いる金属アルコキシド化合物としては、アルコキシド中心原子に1個以上のアルコキシド基が結合されている化合物であれば特に制限はなく、好ましくは下記一般式(2)で示される化合物である。
【0017】
【化5】
【0018】
Mは、Al、Si、Ti、Y、Zr、Nb、Cd、Ba、Ta又はCeを、好ましくはTi、Si又はCeを表す。
R11はアルキル基、好ましくは炭素数2〜6のアルキル基、特に好ましくは炭素数が2〜4のアルキル基を表す。R11で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子、水酸基、フェニル基、ビニル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基などが挙げられる。特に該置換基が(メタ)アクリル基の場合、耐熱性や機械強度が向上しやすく、好ましい。
R11が炭素数が2〜4のアルキル基であると、得られる樹脂硬化物の線膨張係数が小さくなるので好ましい。R11の炭素数が2〜4の場合、得られる樹脂硬化物の線膨張係数が低下する理由は明かではないが、金属アルコキシド化合物が樹脂の分子鎖と複数の箇所で効果的に結合することによって、樹脂の熱運動を束縛、抑制することにより、樹脂硬化物の線膨張係数を低下させていることが考えられる。金属アルコキシド化合物のアルコキシド部分が炭素数1、すなわちメトキシドの場合、アルコキシド部分での結合が十分に行われず、線膨張係数を低下させる効果が小さいものと推測される。
【0019】
R12はアルキル基又はアルコキシアルキル基、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシアルキル基を表す。R12で表されるアルキル基およびアルコキシアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子、水酸基、フェニル基、ビニル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基で置換されていてもよい。
【0020】
これらの金属アルコキシド化合物のうち、60℃以下の温度で液状の金属アルコキシド化合物は、重合性単量体との相溶性に優れ、容易に均一に混合させることができ、また、その後の重合硬化の過程においても凝集しにくいので好ましく用いられる。
金属アルコキシド化合物としては、具体的には次の化合物が挙げられる。
【0021】
(1)アルミニウムトリアルコキシド化合物
アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド等が挙げられる。
【0022】
(2)アルコキシシラン化合物
テトラアルコキシシラン類、テトラアルコキシシラン類のアルコキシ基1個をアルキル基またはアルコキシアルキル基で置換したトリアルコキシシラン類、テトラアルコキシシラン類のアルコキシ基2個をアルキル基で置換したジアルコキシシラン類などが挙げられる。
テトラアルコキシシラン類としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
トリアルコキシシラン類としては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシトリエトキシシラン等が挙げられる。
ジアルコキシシラン類としては、具体的には、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
(3)チタニウムテトラアルコキシド化合物
チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラプロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド等が挙げられる。
(4)イットリウムトリアルコキシド化合物
イットリウムトリプロポキシド等が挙げられる。
【0024】
(5)ジルコニウムテトラアルコキシド化合物
ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド等が挙げられる。
(6)ニオビウムペンタアルコキシド化合物
ニオビウムペンタメトキシド、ニオビウムペンタエトキシド、ニオビウムペンタブトキシド等が挙げられる。
【0025】
(7)カドミウムジアルコキシド化合物
カドミウムジメトキシド、カドミウムジエトキシド等が挙げられる。
(8)バリウムジアルコキシド化合物
バリウムジエトキシド等が挙げられる。
【0026】
(9)タンタリウムペンタアルコキシド化合物
タンタリウムペンタプロポキシド、タンタリウムペンタブトキシド等が挙げられる。
(10)セリウムテトラアルコキシド化合物
セリウムテトラメトキシド、セリウムテトラプロポキシド等が挙げられる。
【0027】
これらの化合物のアルキル基及びアルコキシアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子、水酸基、フェニル基、ビニル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基等で置換されていてもよい。
特に好ましい金属アルコキシド化合物としては、例えばテトラエトキシシラン、チタニウムテトラメトキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラプロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド、3−メタクリルオキシトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシトリエトキシシランの単量体及びそのオリゴマー等が挙げられる。これらの化合物は、その中心金属の環境面での有害性が低い点でも好ましい。
【0028】
これらの金属アルコキシド化合物は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの化合物が2個以上重合したオリゴマー状態のものを使用してもよい。
金属アルコキシド化合物の分解生成物とは、上述の金属アルコキシド化合物から、加水分解等の分解反応により生成する化合物であり、具体的には、通常、その中心原子(一般式(2)におけるM)を含むアルコキシド残基及びアルコール(一般式(2)の分解物においては、例えば、R1OH)である。
【0029】
本発明の硬化性組成物における金属アルコキシド化合物またはその分解生成物の含有量は、通常、重合性単量体と金属アルコキシド化合物の合計を100重量部とした場合、通常0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上であり、通常40重量部以下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは25重量部以下、特に好ましくは20重量部以下、更に好ましくは15重量部以下である。
【0030】
金属アルコキシド化合物の添加量が少なすぎると耐熱性を向上させる効果が不十分である。一方、金属アルコキシド化合物の添加量が多すぎると耐熱性が低下する恐れがあり、また、中心原子が凝集して透明性が損なわれる恐れがあるので好ましくない。
特に、金属アルコキシド化合物として、一般式(2)におけるR11が炭素数2〜4のアルキル基を示す化合物を用いた場合には、金属アルコキシド化合物の添加量が少なすぎると線膨張係数を低下させる効果が不十分であり、一方、多すぎると線膨張係数を上昇する恐れがある。
【0031】
金属アルコキシド化合物を添加すると、樹脂硬化物の耐熱性が向上する理由は明かではないが、金属アルコキシド化合物の一部が、硬化性組成物中に含まれる水分を消費して加水分解を起こし、樹脂硬化物の耐熱性を低下させる原因の一つと考えられている樹脂硬化物中に含まれる水分の量を低下することができるためと推察される。なお、金属アルコキシド化合物が硬化性樹脂組成物中の水分により加水分解すると、アルコール成分が生成するが、アルコール成分は、樹脂硬化物の製造過程で揮散するなどして樹脂硬化物から除去されるものと考えられる。
【0032】
<硬化性組成物に含まれる他の成分>
本発明の硬化性組成物は、芳香族骨格と2以上の(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体、金属アルコキシド化合物の他に、通常ラジカル重合開始剤を含有する。
【0033】
ラジカル重合開始剤としては、加熱または活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生させるものであればよく、活性エネルギー線としては、電子線、紫外線などが挙げられる。活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられ、好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾフェノンが挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は単独で用いても、複数を併用してもよい。
【0034】
ラジカル重合開始剤の添加量は、芳香族骨格と2以上の(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体とラジカル重合可能な他の重合性単量体の総和(以下「重合性単量体の総和」という)100重量部に対して、通常0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部であり、この添加量が多すぎると、重合が急激に進行し複屈折の増大をもたらすだけでなく色相も悪化する場合があり、また少なすぎると組成物を十分に硬化させることができなくなる場合がある。
【0035】
また、本発明の硬化性組成物は、その効果を損なわない範囲で、ラジカル重合可能な他の重合性単量体、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、可塑剤、充填剤、チクソトロピー性付与剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤などを含んでいてもよい。
【0036】
ラジカル重合可能な他の重合性単量体としては、芳香族骨格と2以上の(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体以外の、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、メルカプト化合物、好ましくは2官能以上のメルカプト化合物が挙げられる。
【0037】
本発明の硬化性組成物は、実質的に溶媒を含有しないものであることが好ましい。ここでいう溶媒には、金属アルコキシ化合物の分解により生成するアルコールは含まない。
硬化性組成物が溶媒を含有する場合、硬化物を得る際に溶媒を揮発させる必要があり、特に厚みの大きい硬化物を得る場合にはコスト面で不利であるし、また、得られた硬化物の機械物性が低下する場合がある。更に、硬化物の透明度を低下する原因の一つである金属アルコキシド化合物の中心原子の凝集が起こりやすくなるおそれがある。
【0038】
溶媒しては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類、ヘキサン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド等が挙げられる。
【0039】
本発明の硬化性組成物は、上述の芳香族骨格と2以上の(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体、金属アルコキシド化合物、ラジカル重合開始剤および必要に応じて他の成分を、通常、常温で混合することにより得られる。
【0040】
<樹脂硬化物>
本発明の樹脂硬化物は、本発明の硬化性組成物を重合、硬化して得られる。本発明の硬化性組成物の重合反応は、通常、架橋反応であり、重合反応の結果3次元網目構造が形成され、各種溶媒に不溶でかつ不融の重合体である樹脂硬化物が得られる。
重合反応による硬化は、ラジカル重合開始剤を含有する硬化性組成物を加熱または活性エネルギー線照射することにより行われる。活性エネルギー線照射により硬化を行うと、光線透過性に優れ、複屈折が小さい樹脂硬化物を得ることができる。
【0041】
硬化に用いられる活性エネルギー線は、ラジカル重合開始剤に作用してラジカルを発生させることができればよく、例えば、電子線、紫外線などが挙げられる。活性エネルギー線照射量は、重合性単量体、ラジカル重合開始剤の種類、量により適宜選択されるが、通常200〜400nmの紫外線を通常0.1〜200jの範囲で照射するのが好ましい。活性エネルギー線の照射が少なすぎると、重合が不完全なため、得られる硬化物の耐熱性、機械的強度などが不十分となる恐れがあり、照射が多すぎると得られる硬化物が着色する恐れがある。
【0042】
所望の形状の樹脂硬化物を得る方法としては、本発明の硬化性組成物を所望の形状の型内に硬化性組成物を注入した後、硬化させ、脱型する方法が挙げられる。
このようにして得られる本発明の樹脂硬化物は、光学歪みの指標の一つである複屈折が、樹脂硬化物の厚さ1mmにおいて、通常10nm以下、より好ましくは5nm以下、更に好ましくは2nm以下である。複屈折の測定は、例えば、10cm×10cm×1mm厚の試験片を用い、測定面の中心を基準に3cm間隔の格子点を9個設定して各格子点の複屈折を25℃で複屈折測定装置(オーク社製)を用いて測定し、それらの平均値により表される。複屈折が小さい材料は光学用途に好ましく用いられる。
【0043】
本発明の樹脂硬化物は、割れにくいことが特徴である。割れにくさの評価方法としては、幅1cm×長さ8cm×厚さ1mmの樹脂硬化物の両端を両手で持ち、ゆっくりと曲げ、樹脂硬化物が割れる直前の樹脂硬化物のたわみ量で評価する方法が挙げられる。
本発明の樹脂硬化物は、光学用途などに用いる場合は、透明度が高いことが好ましく、入射光波長55nmにおける光線透過率が、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上である。光線透過率は、例えば、分光計にて、550nmにおける光線透過率を1mm厚の試験片で25℃で測定することができる。
【0044】
本発明の樹脂硬化物は、視光領域において透明性を有するためには、金属アルコキシド化合物に由来するアルコキシド中心原子が、大きな粒子状態になっていない、または大きな凝集体を形成していないことが望ましい。本発明の樹脂硬化物を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、金属アルコキシド化合物に由来するアルコキシド中心原子は、微小ドメインとして確認でき、このドメインの最大長さが通常50nm以下、好ましくは0.5〜50nmの範囲であることが望ましい。ドメインとは、本発明の樹脂組成物において、アルコキシド中心原子の濃度が、ある立体形状の内部空間においてその外部よりも高い該立体形状の内部空間を意味し、透過型電子顕微鏡で観察すると、例えば、にじんだ斑点状のように見え、確認することができる。
【0045】
本発明の樹脂硬化物は、光学部材、具体的には、ディスプレイ部材、光通信・光回路用部材、光部品、記憶・記録用ディスク基板等のオプティクス、オプトエレクトロニクス用部材、およびその表面等に形成されるコーティングに好適に用いられる。
ディスプレイ部材としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイなどに用いられる基板、導光板、タッチパネル、位相差板などが挙げられる。
光部品としては、眼鏡用レンズ、光コネクタ用マイクロレンズ、発光ダイオード用集光レンズ等のレンズやプリズムなどが挙げられる。
光通信・光回路用部材としては、光スイッチ、光ファイバー、導波路、光分岐、接合回路、光多重分岐回路、光度調器用部品などが挙げられる。
表面などに形成されるコーティングとしては、反射防止膜、硬化被膜、選択反射膜、選択透過膜等の光学多層膜などが挙げられる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、光学部材に好適な樹脂硬化物を提供することができる。
【0047】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。
樹脂硬化物の強靱性は下記の方法及び条件で評価した。
(1)割れにくさ: 幅1cm×長さ8cm×厚さ1mmの樹脂硬化物の両端を両手で持ち、ゆっくりと曲げて、割れやすいか否かを評価した。樹脂硬化物が割れる直前の樹脂硬化物のたわみが1cm未満の場合を×、樹脂硬化物が割れる直前の樹脂硬化物のたわみが1cm以上の場合を○とした。
(2)光線透過率:500nmにおける光線透過率を1mm厚の試験片で測定した。
【0048】
(3)複屈折:1mm厚の試験片で複屈折測定装置(オーク社製)を用いて25℃で測定した。
(4)屈折率:カルニューデジタル精密屈折計KPR−2(カルニュー光学工業社製)を用いて23℃で測定した。
(5)引っ張り強度:幅1cm、長さ8cmの短冊状のサンプルについて、スパン幅3cm、テストスピード5mm/minにて、オートグラフ試験装置を用いて23℃で測定した。
【0049】
<実施例1>
p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレン(三菱化学社製、25℃において液状)95重量部、チタニウムテトラブトキシド5重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」:光ラジカル開始剤)0.1重量部部、ベンゾフェノン(和光純薬社製:光ラジカル発生剤)0.1重量部をナス型フラスコ内にて互いに溶解するまで攪拌した。その後、フラスコ内をアスピレータによって減圧状態にして、溶液内に溶解している気体を取り除く脱泡操作を、溶液から気泡がほとんど出なくなるまで行い、重合性組成物を得た。
得られた重合性組成物を、光学研磨された2枚のガラスを対向させ、スペーサーとして厚さ1mmのシリコーン板を配置した成形型内に注入し、ガラス面より距離40cmで上下に設置された出力80W/cmのメタルハライドランプを用いて、まず1分間照射し、次いで5分間照射する二段階で紫外線を照射した。紫外線照射後、脱型し、さらに、150℃で1時間加熱し、樹脂硬化物を得た。
得られた樹脂硬化物の物性を測定した。結果を表−1に示す。
【0050】
<実施例2>
実施例1において、p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレンを90重量部、チタニウムテトラブトキシド10重量部を用いる以外は、実施例1と同様に行い樹脂硬化物を得た。
得られた樹脂硬化物の物性を測定した。結果を表−1に示す。
【0051】
<実施例3>
実施例1において、p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレンを80重量部、チタニウムテトラブトキシド20重量部を用いる以外は、実施例1と同様に行い樹脂硬化物を得た。
得られた樹脂硬化物の物性を測定した。結果を表−1に示す。
【0052】
<比較例1>
p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレン100部を用い、チタニウムテトラブトキシドを用いない以外は、実施例1と同様に行い硬化物を得た。
得られた樹脂硬化物の物性を測定した。結果を表−1に示す。
【0053】
<比較例2>
実施例1において、p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレンの代わりにジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いる以外は実施例3と同様に行い樹脂硬化物を得た。
得られた樹脂硬化物の物性を測定した。結果を表−1に示す。
【0054】
<比較例3>
比較例1において、p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレンの代わりにジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いる以外は比較例1と同様に行い樹脂硬化物を得た。
得られた樹脂硬化物の物性を測定した。結果を表−1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
Claims (8)
- 芳香族骨格と2以上の(メタ)アクリロイル基とを有する一般式(1)で表されるビス(メタ)アクリレートからなる重合性単量体及び金属アルコキシド化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物。
jおよびpは、それぞれ独立して、1〜5の整数を、kは0〜10の整数を表す。
ただし、X 1 およびX 2 が酸素原子の場合は、Yは、硫黄原子又はスルホン基(−SO 2 −)を表し、kが0の場合は、X 1 、X 2 の少なくとも一方は硫黄原子を表す。) - 硬化性組成物の金属アルコキシド化合物の含有量が、重合性単量体100重量部に対して0.1〜40重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- 重合性組成物が溶媒を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる樹脂硬化物。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の硬化性組成物を型内で硬化させた後、脱型して得られることを特徴とする樹脂硬化物。
- 厚さ1mmにおける複屈折が10nm以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の樹脂硬化物。
- 請求項5ないし7のいずれかに記載の樹脂硬化物からなる光学部材。
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