JP3950253B2 - 成形ブリック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,塀,門,建物の外装,建物の内装等に好適に使用することができるユーズドブリック調成形ブリックに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
この種成形ブリックとして,モルタル又はこれに色粉を添加した着色モルタルを成形型(キャビテイ)に投入することによって成形して,例えばユーズドブリック調の古色感を再現するようにしたものを提案済であり,この場合当初の目的とおりに好ましい形態の成形ブリックを得ることが可能になる。
【0003】
しかしこの場合,モルタルの色調に対して色粉を添加することによって商品としての色調を調整することになるところ,近傍で注視したときに,モルタルの色調が残るのを避けがたく,表面がやや白くなったような白化現象が見られる傾向を生じ易く,この傾向は,水分のある製造直後や,雨水に曝されて水分を吸収したときには解消するが,水分が蒸発してブリックが乾燥状態となると発生し易い。これを防止するために色粉の添加量を増やすと,色調が濃すぎて,どぎつい印象を与えるものとなり,一般に内外装用のものとして使用するのに適当ではない。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,モルタルと同様な成形をなし得て,白化現象がない好ましい色調を確保することができる成形ブリックを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題に添って本発明は,ブリックとしての色調確保を,それ自体着色された微粉末の無機物を使用するものとするとともに,該無機物として,一般に瓦の原料として再利用される窯業系瓦の粉砕物を使用し,ブリックとしての色調の調整のために,着色瓦の複数色を混合使用し,これをバインダーによって成形したものとすることによって,上記白化現象を防止して,内外装用のブリックとして好適な色調を得られる事実,また瓦の粉砕物をバインダーで成形したとき,表面に粉砕物が目立つようになる一方で,強度,特に耐衝撃性を十分に確保できない結果を招くことがあり,これらを解消して,内外装材として使用するに適当な外観と強度を有するものとするために,色毎に粉砕した最大粒径1.0mmと最大粒径0.5mmの複数色の粉砕物を混合使用するとともに該色毎の粉砕物の配合比率の範囲を上記最大粒径1.0mmの粉砕物について35±10wt%,最大粒径0.5mmの粉砕物について65±10wt%とすることが好適である事実を見いだすに至り,かかる知見に基づいてなされたものであって,即ち請求項1に記載の発明を,複数色の窯業系瓦の粉砕物を合成樹脂バインダーを用いて成形硬化した内外装用のブリックであって,上記窯業系瓦を色毎に粉砕し,最大粒径1.0mmと最大粒径0.5mmの粉砕物とした上で混合使用するとともに,該色毎の粉砕物を上記最大粒径1.0mmの粉砕物について35±10wt%,最大粒径0.5mmの粉砕物について65±10wt%の配合比率の範囲で混合使用してなることを特徴とする成形ブリックとし,請求項2に記載の発明は,ブリックとしての高度の耐久性を確保するために,耐候性に優れたバインダーを使用するとともに瓦の粉砕物の成形強度に好適なバインダーの量とするように,これを,上記合成樹脂バインダーを,アクリル系エマルションによるものとし,該バインダーを上記窯業系瓦の粉砕物に対して20±5wt%用いて成形硬化してなることを特徴とする請求項1に記載の成形ブリックとし,請求項3に記載の発明は,ブリックの表面にユーズドブリック調の古色感を付与して,内外装材としての商品価値を向上するように,これを,上記内外装用のブリック表面の色調を,表面に付着した無機系色粉によって調整してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形ブリックとし,これらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決のための手段としたものである。
【0006】
本発明において使用する窯業系瓦の粉砕物における粒径は,篩メッシュを0.5mm(呼び寸法0.5),1.0mm(呼び寸法1.18)としたときに,これを通過する粒径のものであり,従って最大粒径0.5mmとは,これより小径のもの(最小径は0.05mm乃至0.07mm程度である)を含む微粉末の粉砕物であり,最大粒径1.0mmとは,これより小径のものを含む同じく微粉末の粉砕物であり,従って最大粒径0.5mmのものと最大粒径1.0mmのものには,それぞれ0.5mm以下のものが双方に含まれることになり,一方最大粒径1.0mmのものには0.5mm以上のものを相当程度含むことになる。瓦の粉砕物は,瓦メーカーにおいて粘土に所定量を添加混練することによって,瓦原料として再利用するように使われるもので,このときその粒径を上記0.5mm,1.0mmの様に管理するものとされるので,ブリックAの構成材として,これによって粒径と配合比率の把握を行なうのが簡便且つ適当であるから,本発明はこれによるものとした。
【0007】
瓦の粉砕物はいずれも微粉未であるが,上記最大粒径1.0mmを35±10wt%とし,最大粒径0.5mmを65±10wt%とするのは,前者が25wt%を下回り,後者が75wt%を上回ると,脆弱性が見られるようになって,内外装用に貼付した際又はその貼付作業中に,ブリックとしての強度を充分に確保し難くなり,前者が45wt%を上回り,後者が55wt%を下回ると,ブリック表面に粉砕物の粗さが目立つようになり,外観を損う傾向を生じるからであり,好ましくは前者を35±7wt%,後者を65±7wt%とすることにより,これらの強度と外観を改良することができ,更に好ましくは前者を35±5wt%,後者を65±5wt%とすることにより,ブリックとして強度と外観の双方を理想的なものとすることができる。
【0008】
合成樹脂バインダーは,上記窯業系瓦の粉砕物を成形硬化し得るものを使用可能であるが,樹脂の劣化を可及的に抑制し且つ外装材とするときの耐候性をも確保する上でアクリル系のものとして,成形時にはそのエマルション,例えばシリコン変成アクリルエマルション等を使用するようにすることが好ましく,このとき上記粉砕物の重量比で15wt%を下回るとバインダーとしての量が少なく,ブリックとしての強度を充分に確保し得ないことになる傾向を生じ,また25wt%を上回ると,バインダーの量が多すぎ,ブリックの外観を損なう傾向を生じるため,20±5wt%とするのがよく,好ましくは20±3wt%とするのがよい。
【0009】
窯業系瓦の粉砕物をバインダーによって成形硬化したブリックは,複数の瓦の色が複合した色調のものとなり,それ自体内外装用のものとして使用可能であるが,ブリックを貼った状態が,全体としてフラットな印象を与えることがあるので,そのアクセントを付したり,更にはユーズドブリック調の古色感を呈するものとするように,無機系の色粉を用いて,その表面仕上げを行なったものとすることが好ましく,上記ユーズドブリック調の古色感を呈するようにするには,例えば赤色,黒色,白色,黄色等の各色の色粉を,例えば部分的に且つ重ねるように表面に付着させることによって,これを好ましい形態のものとすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば,Aは,ブリック付きブロックBを構成するようにブロック基体1の表面に接着層4を介して接着した外装用にして,例えばユーズドブリック調の古色感を呈するように構成した成形ブリックであり,該ブリックAは,複数色の窯業系瓦の粉砕物を合成樹脂バインダーを用いて成形硬化した内外装用のブリックであって,上記窯業系瓦を色毎に粉砕した最大粒径1.0mmと最大粒径0.5mmの複数色の粉砕物を混合使用するとともに該色毎の粉砕物を上記最大粒径1.0mmの粉砕物について35±10wt%,最大粒径0.5mmの粉砕物について65±10wt%の配合比率の範囲で混合使用したものとしてある。また本例において上記合成樹脂バインダーは,これを,アクリル系エマルションによるものとし,該バインダーを上記窯業系瓦の粉砕物に対して20±5wt%用いて成形硬化したものとしてある。
【0011】
即ち本例においてブリックAは,窯業系瓦の粉砕物とバインダーとによって形成され,このとき瓦の粉砕物は,赤色,黒色,燻し銀色,黄色等,製造不良品や回収品の瓦を色毎に粉砕したものを,例えば赤色と黒色乃至燻し銀色の粉砕物を混合使用することによって赤レンガ調のものとし,黄色の粉砕物を使用することによって黄レンガ調のものとしてあり,このとき上記赤レンガ調のブリックAは,例えば最大粒径0.5mmの赤色と黒色乃至燻し銀色の粉砕物を各20wt%の合計40wt%,最大粒径1.0mmの黒色の粉砕物を60wt%使用することによって,また最大粒径0.5mmの赤色の粉砕物を35wt%,最大粒径1.0mmの黒色の粉砕物を65wt%使用することによって,それぞれ赤レンガ調のものとしてあり,或いは最大粒径0.5mmの黄色の粉砕物を30wt%,最大粒径1.0mmの黄色の粉砕物を70wt%使用することによって黄レンガ調のものとしてあり,このとき本例のブリックAは,その表面の色調を,表面に付着した,例えば赤色,黒色,白色,黄色等複数色によるものとした無機系色粉によって調整して,各ブリックAのそれぞれをユーズドブリック調の古色感に富んだ外観を呈するようにしてある。
【0012】
このブリックAについてその製造方法によって更に説明すると,該ブリックの製造は,例えばユーズドブリックによって表面形状を型取りすることによって磨耗,欠け等の経年使用の凹凸を成形面に転写状に形成したブリック型(キャビテイ)8を多数凹陥して並置し,ブリック型間に目地形成部9を立上げ設置したウレタンゴム,シリコンゴム等の合成ゴム製の成形型7を使用するとともに各ブリック型8の成形面には図示省略の脱気孔を配置したものとし,この成形型7に,例えば加熱下で予備成形した熱可塑性樹脂のフイルム10を真空吸引することによりブリック型8の成形面に密着させ,該フイルム10を介してブリック型8にブリック材料11の供給,加圧,脱型,養生の工程を経ることによって行なうものとする一方,本例にあっては上記ブリック材料11の供給に先立ち,上記ユーズドブリック調の古色感を呈するものとするように,図示省略の色粉の散布を該フィルム10上に対して行なう色粉散布の工程を備えたものとしてある。
【0013】
ブリック材料11は,上記複数色の窯業系瓦の各粉砕物をそれぞれの色毎に所定量を,例えばミキサーに投入して数分間の空練りを行なうことによって充分に混合し,これに更にバインダーとして,例えば窯業系瓦の粉砕物の重量に対して20wt%のアクリル系エマルション,特にアクリル系水性エマルション,例えばシリコン変成アクリル水性エマルションを投入し,また必要に応じて窯業系瓦の粉砕物の重量に対して数wt%,例えば2乃至5wt%程度の水を投入した上,ミキサーによって充分に混練することによって,混練の工程を経たものを使用するものとしてあり,このとき上記水は,窯業系瓦の粉砕物とバインダーとの混合を促進し均一な混練を行なうように用いるものとしてある。
【0014】
本例における上記色粉の散布は,例えば白色,黄色,赤色等の無機系のものを,薄い色から濃い色の順番で,例えば数グラム乃至それ以上を,量の少ない色粉を部分的に,量の多い色粉を全体的に振り掛け,ブリックAの表面に付着させることによりその色調を調整するように行なうものとしてある。
【0015】
ブリック材料11の供給は,上記色粉の散布の後に,目地形成部9を除く各ブリック型8に対してブリック材料11を,例えば自動的に又は手作業によって投入することによって行い,このとき上記多数のブリック型8に対する均―にして必要量の供給をスムーズに行なうように,上記目地形成部9部分をマスクし各ブリック型8部分を透孔としたフレーム14にメッシュ材13や平行多数のワイヤー等を配置した均し用の治具12使用し,これを成形型7上に被せ状に載置した状態で,該治具12を介してブリック材料11を供給するようにするとともに,例えばブラシ15等によって成形型7全体にブリック材料11が均等且つ充分に行き渡るように均し,全体に亘りブリック材料が面一なフラット面をなすようにする均しの工程を伴うものとしてある。
【0016】
このブリック材料11の供給後に加圧を行なうものとされるが,本例にあっては上記ブリック付きのブロックBの形成を一連の工程として行なうように,該加圧を,ブリックA接着の表面に接着材料,本例において接着モルタルによる接着層4を形成し,例えば軽量化のために発泡樹脂製とした上記ブロック基体1を上記成形型7上に載置し,これを押圧することによって加圧を行うとともに併せてブロック基体1に対する接着を行なうものとしてある。
【0017】
脱型は,上記フィルム10とともにブリックAをブリック型8から抜き取るように,本例にあっては,例えばブリックAをブロック基体1に接着した状態でこれを反転し,成形型7を持ち上げ除去するように行なうものとしてあり,また養生は,ブリックA表面にフィルム10を付した状態で上記色粉をブリックA表面に馴染ませるようにする一方,色粉の馴染み後にフィルム10を外してバインダーの硬化を促すようにこれを行なうものとしてある。
【0018】
本例のブリック付きブロックBにおいてブリックAは,ユーズドブリック調の上記磨耗,欠け等表面凹凸とその色調を有する耐久性,特に耐候性に優れ,モルタルによるときの白化現象がなく,美麗にして成形強度に優れたものとし得るとともに,特に上記色粉によって古色感溢れる色調に調整したものとなり,従って,例えば上記ブロックBをコンクリートブロックと同様に使用することによって門,塀を構成し,ブリックAをその外装材として使用することができる。
【0019】
図中2は,ブロックBにおける鉄筋を挿通してモルタル(コンクリート)を充填する充填孔,3はブロックB上下のジョイント用嵌合部,6は上記目地形成部9に対応して接着モルタルによる接着層を露出するようにして形成したブロックBにおけるブリックA間の目地,16は上記脱型のための反転を可能にしたテーブルをそれぞれ示す。
【0020】
図示した例は以上のとおりとしたが,ブリック型を単一又は複数備えた上記合成ゴム系の成形型とフィルムを使用して,個別にブリックを成形するように,ブリック材料の供給,加圧板等による加圧,脱型,養生の各工程を経るようにすること,必要に応じてブリック材料中に無機系色粉等を添加することによってブリックにおける色調の調整を行なうこと,ブリックを内装材として使用すること等を含めて,本発明の実施に当たって,ブリック,窯業系瓦の粉砕物,合成樹脂バインダー,必要に応じて使用する色粉等の各具体的材質,形状,構造,製造方法,用途,これらの関係,これらに対する付加等は,上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,モルタルと同様な成形をなし得て,白化現象がない好ましい色調を確保した成形ブリックを提供することができ,請求項2に記載の発明は,耐候性に優れ,成形強度に優れて,ブリックとしての高度の耐久性を確保したものとすることができ,請求項3に記載の発明は,ブリックの表面にユーズドブリック調の古色感を付与して,内外装材としての商品価値を向上したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ブリック付きのブロックの斜視図である。
【図2】 その一部拡大断面図である。
【図3】 成形型と治具との関係のモデルを示す斜視図である。
【図4】 成形型に対するブリック材料の供給と均し具との関係のモデルを示す縦断面図である。
【図5】 成形型へのブリック材料の供給状態乃至加圧状態のモデルを示す縦断面図である。
【図6】 ブリック材料のブリックと接着層を形成したブロック基体との関係のモデルを示す斜視図である。
【符号の説明】
A ブリック
B ブリック付きブロック
1 ブロック基体
4 接着層
6 目地
Claims (3)
- 複数色の窯業系瓦の粉砕物を合成樹脂バインダーを用いて成形硬化した内外装用のブリックであって,上記窯業系瓦を色毎に粉砕し,最大粒径1.0mmと最大粒径0.5mmの粉砕物とした上で混合使用するとともに,該色毎の粉砕物を上記最大粒径1.0mmの粉砕物について35±10wt%,最大粒径0.5mmの粉砕物について65±10wt%の配合比率の範囲で混合使用してなることを特徴とする成形ブリック。
- 上記合成樹脂バインダーを,アクリル系エマルションによるものとし,該バインダーを上記窯業系瓦の粉砕物に対して20±5wt%用いて成形硬化してなることを特徴とする請求項1に記載の成形ブリック。
- 上記内外装用のブリック表面の色調を,表面に付着した無機系色粉によって調整してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形ブリック。
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