JP3949797B2 - 発泡積層シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁材、天井材、床材等の建築物内装材、車輌内装材、家具等の表装材、鞄、袋物、靴胛被の素材等として使用される、オレフィン系樹脂を主体とする合成樹脂発泡層を有する発泡積層シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上記したような用途に使用される、基材と合成樹脂発泡層を積層してなる発泡積層シートとしては、主として、基材と軟質塩化ビニル系樹脂発泡層とを積層してなるものが使用されていた。
一方、近年では、上記の塩化ビニル系樹脂に代えて、オレフィン系樹脂を使用することが、各種分野で検討されている。
【0003】
また、従前においても、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂発泡体単体では各種分野において使用されており、上記のオレフィン系樹脂発泡体と基材とを貼り合わせ、オレフィン系樹脂を主体とする合成樹脂発泡層と基材との発泡積層シートを得ることは不可能なことではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したようなポリエチレンやポリプロピレン等の発泡体を得るには、発泡剤を含有するポリエチレンやポリプロピレン等を主体とする樹脂組成物を、押出機のTダイより押し出した後、架橋反応させ、その後加熱発泡せしめる方法が一般的に採用されている。
すなわち、上記のポリエチレンやポリプロピレン等は、溶融粘度が低く、樹脂自体の張力も低いため、架橋反応させずに発泡させようとしても、発泡剤が分解することによって生じたガスが表面から抜けてしまい、所望の発泡倍率の発泡体を得ることができず、従って、架橋反応させることによって溶融粘度を上げてから発泡させることが必要となるのである。
【0005】
このように、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂の発泡体を得るためには、先に架橋反応をさせてから加熱発泡させなければならず、特殊な製造技術を要し、コストが高くなるといった問題があるため、上記のようなオレフィン系樹脂発泡体と基材とを貼り合わせてなる発泡積層シートは、実用には至っていないのが実状である。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、オレフィン系樹脂を主体とする合成樹脂組成物からなる発泡層を形成するに当たり、先に架橋反応させなくても加熱発泡させることが可能であり、従って、特殊な製造技術を要することなく、かつ低コストにて製造可能な発泡積層シートを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明の発泡積層シートは、合成樹脂として、メルトフローレートが2〜6g/10分である、メタロセン触媒を用いて重合させたエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合樹脂に、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン及びオレフィン系ゴムから選ばれる一種以上を混合してなる混合物を用い、この合成樹脂に発泡剤を添加した合成樹脂組成物からなる発泡性合成樹脂層を基材と積層した後、加熱発泡して得られるものである。
【0008】
本発明発泡積層シートの合成樹脂発泡層を構成する合成樹脂は、メタロセン触媒を用いて重合させたエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合樹脂(以下、単に「エチレン/α−オレフィン共重合樹脂」と記すことがある)を含む混合物からなる。
このエチレン/α−オレフィン共重合樹脂は、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィン、好ましくは炭素数6〜10のα−オレフィンから選ばれる一種以上とを、メタロセン触媒を用いて共重合させたものである。
このときのエチレン成分とα−オレフィン成分との比率は、一般的に、重量比で95:5〜70:30程度である。
【0009】
また、上記のエチレン/α−オレフィン共重合樹脂としては、密度が0.915g/cm3 以下、特に0.865〜0.910g/cm3 のものが好適に使用される。
使用するエチレン/α−オレフィン共重合樹脂の密度が上記範囲よりも著しく高い場合、表面が平滑な合成樹脂発泡層を得るのが困難となる。
【0010】
更に、上記のエチレン/α−オレフィン共重合樹脂としては、メルトフローレート(MFR)が2〜6g/10分、特に3〜5g/10分のものが好適に使用される。
メルトフローレートが上記範囲よりも著しく小さいと、表面が平滑な合成樹脂発泡層を得ること困難となり、メルトフローレートが上記範囲よりも著しく大きい場合には、基材上にエチレン/α−オレフィン共重合樹脂を含む発泡性合成樹脂層を積層するまでの工程における加工性が悪化することが懸念される。
【0011】
本発明発泡積層シートの合成樹脂発泡層を構成する合成樹脂は、上記したエチレン/α−オレフィン共重合樹脂に、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン及びオレフィン系ゴムから選ばれる一種以上を混合してなるものである。
このとき全合成樹脂中に含まれるエチレン/α−オレフィン共重合樹脂の割合は、30〜99重量%とするのが好ましく、特に好ましくは、50〜90重量%である。
【0012】
低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900〜0.935g/cm3 で、メルトフローレートが0.5〜3g/10分程度のものが、線状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.880〜0.935g/cm3 で、メルトフローレートが0.5〜3g/10分程度のものが好適に使用できる。
【0013】
オレフィン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等から選ばれるオレフィン系ゴム、或いはこれらから選ばれる二種以上の混合物等が使用できる。
【0014】
上記のエチレン/α−オレフィン共重合樹脂に、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン及びオレフィン系ゴムから選ばれる一種以上を混合してなる合成樹脂には、発泡剤が添加される。
この発泡剤としては、一般的に使用されているアゾジカルボアミドの他、オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、p−トルエンスルフォニルヒドラジド、ジアゾアミノベンゼン、アゾビスイソブチロニトリル等の熱分解型有機系発泡剤が使用できる。これらの発泡剤は二種以上を併用することもできる。
また、発泡剤の添加量は、所望の発泡倍率、使用する発泡剤の種類等によって異なり一概には決められないが、目安としては、合成樹脂100重量部当たり、0.5〜10重量部程度である。
【0015】
上記の合成樹脂には、上記した発泡剤の以外にも、必要に応じて、発泡助剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、着色剤、無機充填剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0016】
上記の合成樹脂、発泡剤及び必要に応じて添加される各種添加剤とからなる発泡性合成樹脂組成物は、カレンダー法、押出法等によってシート状に成形された後、基材上に積層され、発泡性合成樹脂層が形成される。この発泡性合成樹脂層は、二層以上の複数層とすることもできる。
このとき、上記のカレンダー法、押出法等によって発泡性合成樹脂シートとした後、必要に応じて適宜の接着剤を用いるなどしてラミネートしてもよいし、カレンダー装置より分出しした溶融状態にある発泡性合成樹脂組成物を基材上にトッピングする方法(カレンダートッピング法)や、押出機のTダイより溶融状態にある発泡性合成樹脂組成物を基材上に押し出し積層する方法などを採用してもよい。勿論、カレンダートッピング法や押出機のTダイより溶融状態にある発泡性合成樹脂組成物を基材上に押し出し積層する方法を採用する場合には、必要に応じて、基材の被積層面に接着剤を塗布・含浸させておいてもよい。
【0017】
基材としては、上記したような用途に使用される発泡積層シートの基材として一般的に用いられている難燃紙や不燃紙等の紙類や、綿、麻、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、レーヨン、スフ、アセテート等の単独もしくはこれらの混紡繊維等からなる織布、編布、不織布の他、ガラス繊維不織布(ガラスペーパー)、オレフィン系樹脂等からなる合成樹脂シート等の基材、もしくはこれらの積層体等が使用できる。
これらの基材は、発泡積層シートの用途等に応じて、適宜選定される。
【0018】
本発明の発泡積層シートは、上記のようにして基材と発泡性合成樹脂組成物からなる発泡性合成樹脂層を積層した後、発泡性合成樹脂層を適宜の方法にて加熱発泡させることによって得られるものである。
このときの発泡条件は、使用する発泡剤や発泡助剤の種類等によって適宜選定される。
また、発泡性合成樹脂層を加熱発泡させる前に、発泡抑制剤や発泡促進剤を含むインキによる印刷を施すことによって、加熱発泡させたときに凹凸を形成させる、いわゆるケミカルエンボス法を適用することも可能である。
【0019】
尚、発泡倍率については、発泡積層シートの用途等に応じて適宜選定されるものであり、所望の発泡倍率の発泡積層シートを得るために、使用する発泡剤や発泡助剤等の種類及びその添加量、発泡条件等が選定されるのである。
【0020】
上記のようにして得られた本発明の発泡積層シートは、表面にエンボス加工を施してもよい。
また、本発明の発泡積層シートは、表面にプリント模様を施してもよいし、艶調整、防汚性付与、表面強度アップ等を目的とした表面処理を施してもよく、このとき、密着性を向上させるためのプライマー処理やコロナ放電処理を施してもよい。
更にまた、本発明の発泡積層シートは、防汚性付与、表面強度アップ等を目的として、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂製フィルム、アクリル系樹脂製フィルム、ポリエステル系樹脂製フィルム等のフィルムを表面に積層したものであってもよい。勿論、このとき必要に応じて適宜の接着剤を介してもよい。尚、上記したようなフィルムの積層とエンボス加工の両者を施す場合には、フィルムを積層した後にエンボス加工を施すか、フィルムの積層と同時にエンボス加工を施す。
【0021】
【実施例】
表1に示す配合からなる発泡性合成樹脂組成物を、テストロールで10分間混練りしてから市販の壁紙用裏打紙上にトッピングし、220℃で90秒間加熱して発泡させた。
得られた発泡積層シートについて、合成樹脂発泡層の発泡倍率を測定するとともに、表面の状態を目視により観察して、下記基準にて評価した。
結果を表1に併せて示す。
〔基準〕
○:表面状態良好
△:やや平滑性が劣る
×:平滑性が極めて劣り、製品として不適当
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
本発明の発泡積層シートは、特別な製造技術を要することなく製造することができるものであり、壁材、天井材、床材等の建築物内装材、車輌用内装材、家具等の表装材、鞄、袋物、靴胛被の素材として好適に使用できるものである。
Claims (4)
- 基材と、発泡剤を含む合成樹脂組成物からなる発泡性合成樹脂層とを積層した後、発泡性合成樹脂層を加熱発泡させて得られる発泡積層シートであって、
合成樹脂が、メルトフローレートが2〜6g/10分である、メタロセン触媒を用いて重合させたエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合樹脂に、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン及びオレフィン系ゴムから選ばれる一種以上を混合してなる混合物である発泡積層シート。 - メタロセン触媒を用いて重合させたエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合樹脂の密度が、0.915g/cm3 以下である請求項1記載の発泡積層シート。
- 合成樹脂中に含まれるメタロセン触媒を用いて重合させたエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合樹脂の割合が、30〜99重量%である請求項1又は2記載の発泡積層シート。
- 基材が、紙、織布、編布、不織布のいずれかである請求項1〜3いずれか1項記載の発泡積層シート。
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