JP3947543B2 - 射出成形機用の温度制御装置および温度制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、射出成形機用の温度制御装置および温度制御方法に関するものである。
従来より、射出成形機および押出成形機の加熱シリンダの温度制御にはPID(比例、積分、微分)制御が用いられている。図6に従来の加熱シリンダのPID温度制御装置の一例の構成図を示す。
加熱シリンダ101の内部に挿入されている熱電対102にて検出された温度PV値はアンプ103で増幅され、設定温度SV値と比較される。そこで比較された値は偏差eとして比例制御器(P)104、積分制御器(I)105および微分制御器(D)106にそれぞれ入力され、PID制御演算が行なわれる。ここで求められた各制御出力MVはPWM107(パルス幅変調器)とSSR108(半導体)を介してヒータ109に入力されて、加熱シリンダ101のヒータ温度制御が行なわれている。
この他、射出成形機および押出成形機に用いられている加熱シリンダ温度制御用の装置として、所定時間の間だけPID制御の積分制御のみを停止させ、この間の操作量に所定設定値を加味する技術や、複数の温度制御期間毎に応じた積分値とオフセット値の温度制御を行う技術も開示されている(特許文献1および特許文献2参照)。
特開平10−100218号公報
特開2003−25404号公報
しかしながら、これらの従来技術は、あくまでも予め求めたある期間内の温度制御であるため、実際の連続自動運転時の外乱や射出速度によるせん断熱の影響での温度変化、いわゆる成形制御周期的な温度変化の安定性には問題が生じていた。
特に、DVD(Digital Versatile Disc)などの精密成形品では、成形品の不良原因となっていた。
PID制御方法の一般的な特性として、目標値追従特性と外乱抑制特性があり、目標値追従型は文字通り、変化する設定温度に検出温度を同じようにする特性になり、また外乱抑制型はいわゆる外乱による温度変動を抑える特性になる。しかしながら、これら両方の特性を同時に最適化することはできないとされていた。
また、一般に、射出機メーカでは、予め実験やテストなどで求めたPID制御定数を機械に組み込んで出荷しているが、ユーザの工場環境をはじめ使用樹脂、金型温度および加熱シリンダの設定温度などが異なるため、予め求められたPID制御定数では、設定温度に対するオーバーシュートやアンダーシュートを生じていた。このような状況に鑑み、射出機メーカでは、PID制御を任意にコントロールできる、いわゆるオートチューニング機能を装置に組み込むことで対策を施している。しかしながら、使用環境によってはオートチューニングによっても上述のオーバーシュート等が発生し、いわゆる樹脂の焼けが発生するケースがあった。
特に、具体的な問題として、以下の点が挙げられる。
(1)ヒータ制御の応答性はPID定数値に依存する。このため、ユーザは使用環境と樹脂に適合させるため、射出機メーカの設定値を変更する場合がある。そうすると、実測値が設定値に対してアンダーシュートやオーバーシュート現象となり、成形不良を招いていた。
(2)成形サイクルにおける射出工程時においては、図7に示すように、ノズル部(LNH)においては、成形サイクルに応じた周期的な温度変化(うねり曲線α値)が発生していた。そして、射出速度による樹脂のせん断発熱が、上記オーバーシュート現象を招き、成形品の焼けや黄変を生じていた。
(1)ヒータ制御の応答性はPID定数値に依存する。このため、ユーザは使用環境と樹脂に適合させるため、射出機メーカの設定値を変更する場合がある。そうすると、実測値が設定値に対してアンダーシュートやオーバーシュート現象となり、成形不良を招いていた。
(2)成形サイクルにおける射出工程時においては、図7に示すように、ノズル部(LNH)においては、成形サイクルに応じた周期的な温度変化(うねり曲線α値)が発生していた。そして、射出速度による樹脂のせん断発熱が、上記オーバーシュート現象を招き、成形品の焼けや黄変を生じていた。
そこで、本発明は、連続自動成形時の温度のオーバーシュートやアンダーシュート現象を軽減することおよびノズル部の周期的な温度変化を抑制することができる射出成形機用の温度制御装置および温度制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の射出成形機用の温度制御装置は、温度設定部により設定された温度と熱電対により測定された加熱シリンダの温度との温度差である偏差eが入力される、比例制御器、積分制御器および微分制御器からなるPID制御部を有し、PID制御部からの出力値である制御出力MV値を、パルス幅変調器であるPWMおよび半導体であるSSRとを介してヒータに入力することで加熱シリンダを加熱するヒータの温度制御を行う射出成形機用の温度制御装置において、偏差eを打ち消すFF記憶値の算出および記憶を行うFF記憶・学習部と、FF記憶値を、ヒータをONにしてから熱電対が温度上昇を検出しはじめるまでの遅れ時間であるヒータムダ時間Lだけ先送りしたFF出力値として出力するFF出力部とを有し、PWMには、PID制御部からの出力値である制御出力MV値にFF出力値を加算した値が入力されることを特徴とする。
上記の通りの本発明の射出成形機用の温度制御装置は、加熱シリンダにおいて設定温度と実測の温度とに生じる偏差eを打ち消すFF記憶値をFF記憶・学習部にて算出し、このFF記憶値にヒータムダ時間Lを加算したFF出力値をFF出力部から出力する。そして、このFF出力値を従来技術のPID制御部からの出力値である制御出力MV値に加算した値によってヒータを制御する。すなわち、従来のPID制御で得られる制御出力MV値にFF出力値を加算した値によるフィードフォワード制御によってヒータを制御することで、従来のPID制御で生じていた、例えば成形サイクルによる偏差eに起因する成形温度の周期的なうねりを打ち消すことができる。
また、本発明の射出成形機用の温度制御装置は、所定の成形ショット数以降に出力される成形ショットごとの自動スタート信号であるサイクルスタートタイミングSTと、学習回数に応じて温度誤差の補正値の重み付けを変える、重み付け係数である学習強度係数Tiと、制御出力MV値と設定温度との比例係数であるヒータゲインKとをFF記憶・学習部に対して出力し、ヒータムダ時間LをFF出力部に対して出力する設定値出力部を有するものであってもよい。
また、本発明の射出成形機用の温度制御装置は、FF記憶・学習部における、FF記憶値の算出は、ヒータの制御が行われる周期時間を制御周期秒としたとき、
FF記憶値=−(前回のFF記憶値+偏差e×ヒータゲインK×制御周期秒/学習強度係数Ti)
とした計算式により算出するものであってもよい。
FF記憶値=−(前回のFF記憶値+偏差e×ヒータゲインK×制御周期秒/学習強度係数Ti)
とした計算式により算出するものであってもよい。
本発明の射出成形機の温度制御方法は、温度設定部により設定された温度と熱電対により測定された加熱シリンダの温度との温度差である偏差eが入力される、比例制御器、積分制御器および微分制御器からなるPID制御部からの出力値である制御出力MV値を、パルス幅変調器であるPWMおよび半導体であるSSRとを介してヒータに入力することで加熱シリンダを加熱するヒータの温度制御を行う射出成形機の温度制御方法において、FF記憶・学習部が、偏差eを打ち消すFF記憶値の算出および記憶を行うステップと、FF出力部が、FF記憶値を、ヒータをONにしてから熱電対が温度上昇を検出しはじめるまでの遅れ時間であるヒータムダ時間Lだけ先送りしたFF出力値として出力するステップと、PWMに、PID制御部からの出力値である制御出力MV値にFF出力値を加算した値を入力するステップとを含むことを特徴とする。
また、本発明の射出成形機の温度制御方法は、設定値出力部からFF記憶・学習部に対して、所定の成形ショット数以降に出力される成形ショットごとの自動スタート信号であるサイクルスタートタイミングSTと、学習回数に応じて温度誤差の補正値の重み付けを変える、重み付け係数である学習強度係数Tiと、制御出力MV値と設定温度との比例係数であるヒータゲインKと、が出力されるステップと、設定値出力部からFF出力部に対して、ヒータムダ時間Lを出力するステップとを含むものであってもよい。
また、本発明の射出成形機の温度制御方法は、ヒータの制御が行われる周期時間を制御周期秒としたとき、FF記憶・学習部にて、
FF記憶値=−(前回のFF記憶値+偏差e×ヒータゲインK×制御周期秒/学習強度係数Ti)
によってFF記憶値を算出するステップを含むものであってもよい。
FF記憶値=−(前回のFF記憶値+偏差e×ヒータゲインK×制御周期秒/学習強度係数Ti)
によってFF記憶値を算出するステップを含むものであってもよい。
本発明によれば、連続自動成形時の温度のオーバーシュートやアンダーシュート現象の軽減、および成形制御周期の温度のうねりをなくすことができ、これにより、成形品のやけや黄変の削減、ひいては成形品の重量ばらつき低減を図ることができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[ヒータ温度制御装置]
図1は、本発明の一実施例の射出成形機のヒータ温度制御装置を示す構成図である。
[ヒータ温度制御装置]
図1は、本発明の一実施例の射出成形機のヒータ温度制御装置を示す構成図である。
なお、同図では、ヒータ温度制御は1ゾーンのみを示すが、その他のヒータゾーンについても同様である。
本実施形態の射出成形機用の温度制御装置は、加熱シリンダ1に取り付けられたヒータ9の温度制御を行うものである。加熱シリンダ1の内部には不図示のスクリュが回転可能に内蔵されており、外部より供給された樹脂原料を混練により可塑化する。
本実施形態の温度制御装置は、加熱シリンダ1の内部温度を測定する熱電対2と、熱電対2の出力信号を増幅するアンプ3と、成形温度を設定する温度設定部17と、PID制御を行う比例制御器(P)4、積分制御器(I)5および微分制御器(D)6からなるPID制御部20と、パルス幅変調器であるPWM(Pulse Width Modulation)7と、半導体であるSSR(Solid State Relay)8と、各種設定値を設定する設定値出力部16と、後述するFF記憶値の算出および記憶を行い、フィードフォワード制御を行うFF(フィードフォワード)記憶・学習部13と、FF記憶・学習部13により算出されたFF記憶値にヒータムダ時間Lを加えた値であるFF出力値を出力するFF出力部14とを有する。
加熱シリンダ1の内部には不図示のスクリュが回転可能に内蔵されており、外部より供給された樹脂原料を混練により可塑化する。
[制御動作]
次に、図1〜図4を用いて本実施形態のヒータ温度制御装置による加熱シリンダ温度制御の動作について説明する。
[制御動作]
次に、図1〜図4を用いて本実施形態のヒータ温度制御装置による加熱シリンダ温度制御の動作について説明する。
まず、射出成形機の標準装備されているコントローラ(不図示)から出力される成形ショットごとの自動スタート信号を、サイクルスタートタイミングSTとして設定値出力部16に入力しておく。本実施形態の温度制御は、まず、従来の技術のPID制御によって各制御出力MV値を求め通常の成形条件に基づいて成形品の成形を開始し、成形品が安定して成形された後に開始される。そこで、例えば、成形開始から20ショットの成形により成形品が安定して成形されるのであれば、成形開始から20ショット以降の自動スタート信号であるサイクルスタートタイミングSTがFF記憶・学習部13に対して出力されるように設定しておく。
サイクルスタートタイミングSTがFF記憶・学習部13に入力されることで、本実施形態の温度制御は開始し、連続自動成形時の偏差eがFF記憶・学習部13へ入力される。ここで、偏差eは、温度設定部17で設定された温度と熱電対2で測定した温度との温度差である。すなわち、連続自動成形時の環境外乱や成形条件のせん断発熱によって過熱シリンダ1の温度は設定温度に対して差を生じる。この温度差を偏差eとしている。
FF記憶・学習部13は時刻毎のFF記憶値を、例えば下記の計算式(1)で求め記憶する。
FF記憶値=−(前回のFF記憶値+偏差e×ヒータゲインK×制御周期(秒)/学習強度係数Ti)・・・(1)
ヒータゲインKは、実際の制御出力MV値と設定温度との比例係数であり、例えば図2に示すような制御出力MV値と設定温度SV値の関係から近似一次関数を最小二乗法によって求めた後、この近似式からヒータゲインKを算出して設定値出力部16に記憶しておく。設定値出力部16はヒータゲインKを、FF記憶・学習部13にてFF記憶値の算出がなされる際にFF記憶・学習部13へと出力する。
ヒータゲインKは、実際の制御出力MV値と設定温度との比例係数であり、例えば図2に示すような制御出力MV値と設定温度SV値の関係から近似一次関数を最小二乗法によって求めた後、この近似式からヒータゲインKを算出して設定値出力部16に記憶しておく。設定値出力部16はヒータゲインKを、FF記憶・学習部13にてFF記憶値の算出がなされる際にFF記憶・学習部13へと出力する。
制御周期(秒)は、射出成形機に標準装備されているコントローラにてヒータ制御を行う周期時間を利用する。例えば、制御周期(秒)として[1(秒) or 3(秒)]が使用されている。コントローラは制御周期(秒)を、FF記憶・学習部13にてFF記憶値の算出がなされる際にFF記憶・学習部13へと出力する。
学習強度係数Ti値は、学習回数に応じて温度誤差の補正値の重み付けを変える、重み付け係数である。すなわち、学習強度係数Ti値とは、計算式(1)において、どの程度の割合で温度誤差の補正値(偏差e×ヒータゲインK×制御周期(秒))を今回のFF記憶値に反映させるかを決める係数であり、係数が大きければ少ない学習回数で温度誤差の補正値が今回のFF記憶値に大きく反映されるものである。言い換えれば、学習強度係数Ti値は、成形制御周期によって発生するうねり曲線α(図7)を修正するための応答感度を意味する。ここで、学習回数とは、FF記憶値の算出し、FF記憶値を記憶した回数を意味する。
なお、この学習強度係数Tiは、オペレータ(成形技術者)により任意に設定値出力部16へと入力できるようにしているが、学習強度係数Tiが大き過ぎると温度誤差の補正がFF記憶値に過剰に反映されてしまい、かえって制御が乱れる可能性につながる。このため、学習強度係数Tiは温度制御が乱れない範囲内の値が入力される。本実施形態においては、学習強度係数Tiは、温度制御が乱れない範囲内の値であって学習強度が最強となる値とした。すなわち、本実施形態においては、学習強度係数Tiは、可能な限り少ない学習回数で温度誤差の補正がFF記憶値に反映される値とした。設定値出力部16は上述したような学習強度係数Tiを、FF記憶・学習部13にてFF記憶値の算出がなされる際にFF記憶・学習部13へと出力する。
FF記憶値を上述の計算式(1)で求め時刻毎にFF記憶・学習部13に時系列的に記憶する。ここで求められたFF記憶値は、実測値の偏差eを打消すためのマイナス信号となる。図3に偏差eとFF記憶値との関係を示す。図3には、周期的に変動する偏差eの半周期分のデータ(実線)が示されている。偏差eは[5sec]のとき[+0.1℃]となっている。これを打ち消す値としてFF記憶値(2点鎖線)は[5sec]のとき[−0.1℃]が算出され記憶される。すなわち、偏差eをFF記憶値にて打ち消すことで周期的な変動がキャンセルされることとなる。
FF記憶・学習部13にて計算式(1)を用いて算出され、時系列的に記憶されたFF記憶値は、FF出力部14へと出力される。FF出力部14は時系列的にFF記憶・学習部13から入力されてくるFF記憶値をサイクルスタートのタイミングでヒータムダ時間L分だけ先送りしたFF出力値として出力する。ここで、ヒータムダ時間Lとは図4に示すように、ヒータ9をONにしてから熱電対2が温度上昇を検出しはじめるまでの遅れ時間のことである。
FF出力部14から出力されたFF出力値は、PID制御部20によって求められた制御出力MV値に加算されてPWM7へと入力される。FF出力値と制御出力MV値とが加算された値はPWM7とSSR8を介してヒータ9に入力される。FF出力値はFF記憶値を含む値であり、偏差eを打ち消すものである。よって、このFF出力値にてヒータ9の温度制御を行うことで、加熱シリンダ1における周期的な温度変動を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態の温度制御装置および温度制御方法によれば、連続自動成形時の温度のオーバーシュートやアンダーシュート現象の軽減、および成形制御周期の温度のうねりをなくすことができ、これにより、成形品のやけや黄変の削減、ひいては成形品の重量ばらつき低減を図ることができることとなる。
[実施例]
図7に示す例は、従来のPID制御による加熱シリンダの温度の実測値であり、成形品は精密成形品といわれているコネクタの2個取りした際の温度波形を示したものである。
[実施例]
図7に示す例は、従来のPID制御による加熱シリンダの温度の実測値であり、成形品は精密成形品といわれているコネクタの2個取りした際の温度波形を示したものである。
図7に示すグラフは成形開始から1時間後の安定時のデータによるものであり、ノズル部(LNH)の実測温度が約1℃の制御周期な温度変動(図7内、うねり曲線α値)を生じており、成形品のショートショット不良を招いていた。
一方、同等の条件にて本実施形態の制御方法により制御を行った結果を図5に示す。
本実施形態の制御方法は、偏差eを打ち消すFF記憶値を算出し、このFF記憶値にヒータムダ時間Lを加味して算出したFF出力値をPID制御部から出力される制御出力MV値に加算した値によってヒータの温度制御を行う。これにより、図5に示すように、ノズル部(LNH)の温度波形はうねりを生じることなく、成形品が安定して良品が取れるときの温度波形となる。このように、本実施形態によれば、連続自動成形時の温度のオーバーシュートやアンダーシュート現象を軽減し、成形制御周期の温度のうねりをなくすことができた結果、成形品のやけや黄変の削減、成形品の重量ばらつき低減を図ることができた。
1 加熱シリンダ
2 熱電対
3 アンプ
9 ヒータ
13 FF記憶・学習部
14 FF出力部
16 設定値出力部
17 温度設定部
20 PID制御部
e 偏差
K ヒータゲイン
L ヒータムダ時間
MV 制御出力値
ST サイクルスタートタイミング
SV 設定温度値
Ti 学習強度係数
α うねり曲線
2 熱電対
3 アンプ
9 ヒータ
13 FF記憶・学習部
14 FF出力部
16 設定値出力部
17 温度設定部
20 PID制御部
e 偏差
K ヒータゲイン
L ヒータムダ時間
MV 制御出力値
ST サイクルスタートタイミング
SV 設定温度値
Ti 学習強度係数
α うねり曲線
Claims (6)
- 温度設定部(17)により設定された温度と熱電対(2)により測定された加熱シリンダ(1)の温度との温度差である偏差eが入力される、比例制御器(4)、積分制御器(5)および微分制御器(6)からなるPID制御部(20)を有し、前記PID制御部(20)からの出力値である制御出力MV値を、パルス幅変調器であるPWM(7)および半導体であるSSR(8)とを介してヒータ(9)に入力することで前記加熱シリンダ(1)を加熱する前記ヒータ(9)の温度制御を行う射出成形機用の温度制御装置において、
前記偏差eを打ち消すFF記憶値の算出および記憶を行うFF記憶・学習部(13)と、
前記FF記憶値を、前記ヒータ(9)をONにしてから前記熱電対(2)が温度上昇を検出しはじめるまでの遅れ時間であるヒータムダ時間Lだけ先送りしたFF出力値として出力するFF出力部(14)とを有し、
前記PWM(7)には、前記PID制御部(20)からの出力値である制御出力MV値に前記FF出力値を加算した値が入力されることを特徴とする射出成形機用の温度制御装置。 - 所定の成形ショット数以降に出力される成形ショットごとの自動スタート信号であるサイクルスタートタイミングSTと、学習回数に応じて温度誤差の補正値の重み付けを変える、重み付け係数である学習強度係数Tiと、前記制御出力MV値と設定温度との比例係数であるヒータゲインKと、を前記FF記憶・学習部(13)に対して出力し、前記ヒータムダ時間Lを前記FF出力部(14)に対して出力する設定値出力部(16)を有する、請求項1に記載の射出成形機用の温度制御装置。
- 前記FF記憶・学習部(13)における、前記FF記憶値の算出は、前記ヒータ(9)の制御が行われる周期時間を制御周期(秒)としたとき、
FF記憶値=−(前回のFF記憶値+偏差e×ヒータゲインK×制御周期(秒)/学習強度係数Ti)
で求める、請求項2に記載の射出成形機用の温度制御装置。 - 温度設定部(17)により設定された温度と熱電対(2)により測定された加熱シリンダ(1)の温度との温度差である偏差eが入力される、比例制御器(4)、積分制御器(5)および微分制御器(6)からなるPID制御部(20)からの出力値である制御出力MV値を、パルス幅変調器であるPWM(7)および半導体であるSSR(8)とを介してヒータ(9)に入力することで前記加熱シリンダ(1)を加熱する前記ヒータ(9)の温度制御を行う射出成形機の温度制御方法において、
FF記憶・学習部(13)が、前記偏差eを打ち消すFF記憶値の算出および記憶を行うステップと、
FF出力部(14)が、前記FF記憶値を、前記ヒータ(9)をONにしてから前記熱電対(2)が温度上昇を検出しはじめるまでの遅れ時間であるヒータムダ時間Lだけ先送りしたFF出力値として出力するステップと、
前記PWM(7)に、前記PID制御部(20)からの出力値である制御出力MV値に前記FF出力値を加算した値を入力するステップとを含むことを特徴とする射出成形機の温度制御方法。 - 設定値出力部(16)から前記FF記憶・学習部(13)に対して、所定の成形ショット数以降に出力される成形ショットごとの自動スタート信号であるサイクルスタートタイミングSTと、学習回数に応じて温度誤差の補正値の重み付けを変える、重み付け係数である学習強度係数Tiと、前記制御出力MV値と設定温度との比例係数であるヒータゲインKと、が出力されるステップと、
前記設定値出力部(16)から前記FF出力部(14)に対して、前記ヒータムダ時間Lが出力されるステップとを含む、請求項4に記載の射出成形機の温度制御方法。 - 前記ヒータ(9)の制御が行われる周期時間を制御周期(秒)としたとき、前記FF記憶・学習部(13)にて、
FF記憶値=−(前回のFF記憶値+偏差e×ヒータゲインK×制御周期(秒)/学習強度係数Ti)
によって前記FF記憶値を算出するステップを含む、請求項5に記載の射出成形機の温度制御方法。
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