JP3947302B2 - 施工機の掘削制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーガスクリューを油圧モータにより回転させて杭孔を掘削する際に、油圧モータを制御する施工機の掘削制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、施工機によりオーガスクリューを回転させながら地中に押し込み、杭孔を掘削している。掘削する地盤が軟らかいときには回転数を上げて掘削速度を上げ、地盤が固いときには十分な掘削トルクを確保できるように油圧モータのトルクを上げている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来のものでは、油圧モータの出力トルクT、供給圧力P、押しのけ容積Vには下記式の関係がある。
T=P×V/(2π)
油圧モータに押しのけ容積が可変のものを用いた場合、押しのけ容積Vを減少させると油圧モータの回転数が増加するが、出力トルクTも減少する。従って、無理に回転数を増加させると、出力トルクTが不足して回転が止まってしまうという問題があった。逆に出力トルクTを重視して、回転数を遅くすると掘削効率が犠牲になるという問題があった。
【0004】
本発明の課題は、最適な掘削効率が得られる施工機の掘削制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、
オーガスクリューを回転させる油圧モータを備えたオーガ駆動機構を立設されたリーダに沿って昇降させて杭孔を掘削する施工機において、
前記油圧モータは、定馬力制御される内燃機関により駆動される油圧ポンプから作動油が供給されると共に、導入されるパイロット圧に応じて押しのけ容積が可変で、
かつ、前記油圧モータへの供給圧を検出する供給圧センサと、
前記パイロット圧を指令信号に応じて制御する電磁制御弁とを備え、
また、前記供給圧センサにより検出された供給圧が小さいときには、前記電磁制御弁を制御して、前記パイロット圧を前記押しのけ容積が減少し、前記油圧モータの回転数が増加する側に変更する制御手段を設けたことを特徴とする施工機の掘削制御装置がそれである。
【0006】
また、前記油圧モータへのパイロット圧を検出するパイロット圧センサを設けると共に、前記制御手段は、更に、前記パイロット圧センサにより検出されたパイロット圧と、前記供給圧センサにより検出された供給圧とに基づいて前記油圧モータの出力トルクを算出して表示するようにしてもよい。
【0007】
あるいは、前記制御手段は、前記電磁制御弁への指令信号を設定する設定手段を有すると共に、該設定手段による前記電磁制御弁への前記指令信号の出力に切り換える切換手段を有するものでもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、1は自走式の施工機本体で、リーダ2がステー4及びキャッチングホーク6によって起倒自在に支持されている。リーダ2の前面にはその長手方向に沿って長尺状の一対のガイドレール8が敷設されている。
【0009】
ガイドレール8には、複数のガイドギブ10を介してオーガ駆動機構12が摺動可能に取り付けられている。オーガ駆動機構12には、オーガスクリュー14が取り付けられ、図2に示すように、搭載する油圧モータ16により減速機18を介してオーガスクリュー14を回転駆動するように構成されている。
【0010】
施工機本体1には、ウインチ20が搭載されており、ウインチ20から引き出されたワイヤ22は、リーダ2に沿って引き出され、リーダ2の中間に回転可能に支持されたシーブ24を介して、リーダ2の上端に回転可能に支承されたシーブ26に掛け渡されている。更に、ワイヤ22は、リーダ2の上端に設けられたシーブ28との間に掛け渡された後、ワイヤ22にはオーガ駆動機構12が吊下げられており、その一端はリーダ2の上端に止結されている。
【0011】
油圧モータ16は、図2に示すように、切換弁30を介して油圧ポンプ31に接続されており、油圧ポンプ31は油圧タンク32内の作動油を加圧し、切換弁30を介して油圧モータ16に供給する。油圧ポンプ31の吐出側の主流路34と低圧側としての油圧タンク32とは、リリーフ弁35を介して接続されている。リリーフ弁35は主流路34内の供給圧P3 が予め設定された設定圧P1 を超えたときに開弁して、主流路34と油圧タンク32とを連通し、油圧タンク32に作動油を逃す周知のものである。
【0012】
油圧モータ16は、1回転当りの押しのけ容積Vを可変できる構成のもので、例えば、斜板の傾きにより押しのけ容積Vを可変する斜板式、カムリングの移動により押しのけ容積Vを可変するベーン式、斜軸の傾きにより押しのけ容積Vを可変する斜軸式等の油圧モータが知られている。
【0013】
油圧モータ16が斜板式のものの場合、図示しない斜板の傾きを変えて押しのけ容積Vを変えるが、斜板の傾きは、作用室16aに導入されるパイロット圧P2 とばね16bとの釣合により決まる。即ち、斜板の傾きはパイロット圧P2 に比例し、従って、押しのけ容積Vもパイロット圧P2 に比例する。
【0014】
作用室16aは、パイロット流路36を介してパイロットポンプ37に接続されており、パイロット流路36には電磁制御弁38が介装されている。電磁制御弁38は本実施形態では電磁比例式減圧弁が用いられており、入力される指令信号に応じてパイロットポンプ37からのパイロット圧を減圧して作用室16aに導く。電磁制御弁38は二次圧が一定となるように、二次圧と電磁力との釣合により弁開度が決定される周知のものである。尚、パイロットポンプ37の吐出側のパイロット流路36と油圧タンク32とは、リリーフ弁39を介して接続されている。
【0015】
一方、作用室16aに導入されるパイロット圧P2 を検出するパイロット圧センサ40が、電磁制御弁38の下流側のパイロット流路36に設けられている。また、主流路34には、油圧ポンプ31から主流路34に供給される供給圧P3 を検出する供給圧センサ42が設けられている。
【0016】
電磁制御弁38、パイロット圧センサ40、供給圧センサ42は、それぞれ制御手段としての制御装置44に接続されている。制御装置44は、図3に示すように、電子制御回路50を備え、電子制御回路50は、周知のCPU52、ROM54、RAM56を論理演算回路の中心として構成され、外部と入出力を行う入出力回路58をコモンバス60を介して相互に接続されている。
【0017】
CPU52は、パイロット圧センサ40、供給圧センサ42からの信号を入出力回路58を介して入力する。一方、これらの信号及びROM54、RAM56内のデータや予め記憶された制御プログラムに基づいてCPU52は、入出力回路58を介して電磁制御弁38に指令信号を出力し、油圧モータ16の押しのけ容積Vを制御している。
【0018】
また、制御装置44は電磁制御弁38への指令信号を設定する設定手段としての設定つまみ62と、切換手段としての「手動」と「自動」とに切り換える切換スイッチ63とを備え、設定つまみ62を操作することにより、指令信号を可変できる。切換スイッチ63を「手動」側に切り換えると、油圧モータ16の図示しない斜板がこの指令信号に応じた角度に設定される。
【0019】
また、制御装置44は、液晶等からなる設定トルク表示部64と出力トルク表示部66とを備えている。制御装置44は、パイロット圧センサ40により検出されたパイロット圧P2 と、リリーフ弁35の設定圧P1 とに基づいて、設定トルクTs を算出し、設定トルク表示部64に表示する。また、制御装置44は、パイロット圧P2 と、供給圧センサ42により検出される供給圧P3 とに基づいて出力トルクTo を算出し、出力トルク表示部66に表示する。
【0020】
油圧モータ16のトルクTは、吸入側の圧力をP、排出側の背圧をほぼ0であるとすると、下記(1)式の関係がある。ここで、Vは油圧モータ16の前述した1回転当たりの押しのけ容積である。
T=P×V/(2π)…(1)
押しのけ容積Vは、油圧モータ16の斜板の角度によって定まるので、押しのけ容積Vとパイロット圧P2 とは比例し、下記(2)式の関係がある。ここで、αは実験等によって求められる比例定数である。従って、油圧モータ16のトルクTとパイロット圧P2 とは、下記(3)式の関係がある。
【0021】
V=α×P2 …(2)
T=α×P2 ×P/(2π)…(3)
上記(3)式の圧力Pに、リリーフ弁35の設定圧P1 を代入した下記(4)式により、油圧モータ16にリリーフ弁35の設定圧P1 の作動油が供給されたときの設定トルクTs を算出できる。尚、リリーフ弁35の設定圧P1 は予め操作者が制御装置44に入力する。
【0022】
また、上記(3)式の圧力Pに、供給圧P3 を代入した下記(5)式により、油圧モータ16に供給圧P3 の作動油が供給されたときの出力トルクTo を算出できる。
Ts =α×P2 ×P1 /(2π)…(4)
To =α×P2 ×P3 /(2π)…(5)
次に、前述した本実施形態の施工機の掘削制御装置の作動について、電子制御回路50において行われる制御処理と共に説明する。
【0023】
操作者は、リリーフ弁35を操作して、設定圧P1 を設定し、設定圧P1 の値を制御装置44に入力する。設定圧P1 は、これ以上の圧力が、油圧モータ16、切換弁30、主流路34等に加わった場合に、これらを破損等から保護するために設定する圧力で、一度設定すればよく、杭孔の施工毎に設定する必要はない。そして、油圧ポンプ31が駆動されると、油圧ポンプ31から作動油が主流路34に供給され、切換弁30を介して油圧タンク32に作動油を逃がす。
【0024】
切換スイッチが「手動」側に設定されているときには、パイロットポンプ37からの作動油は、パイロット流路36に供給され、電磁制御弁38は設定つまみ62により設定された指令信号に応じて減圧し、作用室16aに減圧したパイロット圧P2 を供給する。このパイロット圧P2 に応じた角度に油圧モータ16の斜板が設定される。
【0025】
パイロット圧センサ40はこのパイロット圧P2 を検出して、電子制御回路50に出力し、電子制御回路50は、上記(4)式により、設定圧P1 とパイロット圧P2 とから設定トルクTs を算出する。この算出した設定トルクTs を設定トルク表示部64に表示する。
【0026】
操作者は、設定トルク表示部64に表示された設定トルクTs を見ながら、設定つまみ62を操作する。設定つまみ62を操作することにより、指令信号が変化し、電磁制御弁38により減圧されたパイロット圧P2 が変化する。よって、油圧モータ16の斜板の角度も変化する。
【0027】
また、パイロット圧センサ40が検出するパイロット圧P2 も変化するので、設定つまみ62の操作により、設定トルク表示部64に表示される設定トルクTs もそれに応じて変化する。操作者はこの表示を見ながら、設定つまみ62を操作して、オーガスクリュー14の径等に応じた設定トルクTs に設定する。
【0028】
次に、切換弁30が切り換え操作されて、油圧モータ16が回転駆動されると、減速機16を介してオーガスクリュー14が回転される。このとき、油圧モータ16に供給される作動油の圧力は、オーガスクリュー14の回転抵抗が小さいときに小さくなる。従って、主流路34の圧力も小さく、供給圧センサ42はこの供給圧P3 を検出して制御装置44に出力する。制御装置44は、この供給圧P3 とパイロット圧P2 とに基づいて、上記(5)式により出力トルクTo を算出し、出力トルク表示部66に表示する。
【0029】
切換スイッチ63が「自動」側に設定されているときには、電子制御回路50は、図4に示す制御処理を繰り返し実行する。この制御処理では、まず、供給圧センサ42により検出される供給圧P3 を読み込み(ステップ100)、供給圧P3 が小さいか否かを判断する(ステップ110)。小さいか否かは、予め設定された所定値と比較し、その大小により小さいか否かを判断すればよい。
【0030】
小さいと判断したときには、電磁制御弁38への指令値を、パイロット圧を増加させて押しのけ容積Vを減少させる側に変更する(ステップ120)。これにより、油圧モータ16の押しのけ容積Vが減少するので、油圧モータ16の回転数が増加する。よって、オーガスクリュー14による掘削速度が上がる。
【0031】
また、ステップ110の処理により、小さくないと判断されたときには、電磁制御弁38への指令値を、パイロット圧を減少させて押しのけ容積Vを増加させる側に変更する(ステップ130)。これにより、油圧モータ16の押しのけ容積Vが増加するので、油圧モータ16の回転数が減少する。
【0032】
一方、油圧ポンプ31は図示しない内燃機関により駆動され、油圧ポンプ31に過大な負荷が加わらないようにするために、内燃機関は定馬力制御されている。図5に示すように、油圧ポンプ31の供給圧と吐出流量とは、ある一定圧力まで吐出流量は最大となり、圧力がそれ以上となると吐出流量は減少する。
【0033】
掘削負荷が軽い場合、例えば、吐出圧力が80kgf/cm2 、流量が100L/min のとき、その投入馬力を計算すると下記のようになる。
PS1=80×100/450=17.8馬力(領域1)
掘削負荷の大きい場合、例えば、最高圧力200kgf/cm2 で、流量が80L/min のとき、その投入馬力を計算すると下記のようになる。
【0034】
PS2=200×80/450=35.6馬力(領域2)
このことからわかるように、掘削負荷が軽いときにはオーガスクリュー14が地面を掘削するために投入している馬力は能力の半分しか投入していないことになる。掘削負荷が軽いときにはより回転数を上げて掘削速度を上げることができる。
【0035】
掘削負荷が軽いとき、即ち、供給圧P3 が小さいとき、例えば、150kgf/cm2 より小さいとき、押しのけ容積Vを減少させて油圧モータ16の回転数を増加させる。また、押しのけ容積Vを減少させると同時に供給圧P3 も上昇するので供給圧P3 が150kgf/cm2 になるようにフィードバック制御する。これにより、オーガスクリュー14の掘削速度が上昇して掘削効率が向上すると共に、投入馬力も増加するので、内燃機関の能力を有効に使用できる。
【0036】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の施工機の掘削制御装置は、供給圧力が小さいときには油圧モータの押しのけ容積を減少させて、油圧モータの回転数を増加させ、掘削効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての施工機の掘削制御装置を用いた施工機の側面図である。
【図2】本実施形態の施工機の掘削制御装置の概略構成図である。
【図3】本実施形態の電気系統の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態の電子制御回路において行われる制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態の油圧ポンプの圧力と流量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…施工機本体 12…オーガ駆動機構
14…オーガスクリュー 16…油圧モータ
30…切換弁 31…油圧ポンプ
36…パイロット流路 37…パイロットポンプ
38…電磁制御弁 40…パイロット圧センサ
42…供給圧センサ 44…制御装置
50…電子制御回路 64…設定トルク表示部
66…出力トルク表示部
Claims (3)
- オーガスクリューを回転させる油圧モータを備えたオーガ駆動機構を立設されたリーダに沿って昇降させて杭孔を掘削する施工機において、
前記油圧モータは、定馬力制御される内燃機関により駆動される油圧ポンプから作動油が供給されると共に、導入されるパイロット圧に応じて押しのけ容積が可変で、
かつ、前記油圧モータへの供給圧を検出する供給圧センサと、
前記パイロット圧を指令信号に応じて制御する電磁制御弁とを備え、
また、前記供給圧センサにより検出された供給圧が小さいときには、前記電磁制御弁を制御して、前記パイロット圧を前記押しのけ容積が減少し、前記油圧モータの回転数が増加する側に変更する制御手段を設けたことを特徴とする施工機の掘削制御装置。 - 前記油圧モータへのパイロット圧を検出するパイロット圧センサを設けると共に、前記制御手段は、更に、前記パイロット圧センサにより検出されたパイロット圧と、前記供給圧センサにより検出された供給圧とに基づいて前記油圧モータの出力トルクを算出して表示することを特徴とする請求項1記載の施工機の掘削制御装置。
- 前記制御手段は、前記電磁制御弁への指令信号を設定する設定手段を有すると共に、該設定手段による前記電磁制御弁への前記指令信号の出力に切り換える切換手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の施工機の掘削制御装置。
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