JP3946854B2 - 磁気テープカートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープを巻装した単一のリールがカートリッジケース内に回転可能に収容された磁気テープカートリッジに関し、特に、上記磁気テープの一端を引き出すためのテープ引出用開口部を開閉するスライドドアを備えた磁気テープカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピュータ等の外部記憶装置に用いられる記録媒体として使用されている磁気テープカートリッジには、磁気テープを巻装した単一のリールが、上ハーフと下ハーフとからなるほぼ正方形の平面形を有する偏平なカートリッジケース内に回転可能に収容されているものがある。
【0003】
これらの磁気テープカートリッジは主としてコンピュータメモリのバックアップとして用いられ、その記憶容量も10GB程度から100GB、さらにはそれ以上のものも実用化に向けて検討が進められている。
【0004】
従来のこの種の磁気テープカートリッジには、例えば2種類の形式があって、その1つは、不使用時に磁気テープが完全にリールに巻き込まれた状態で、磁気テープの先端部分が、カートリッジケースの一隅に形成されたテープ引出し用開口部を覆うように収容されるリーダーブロックに係止されるように構成されている。
【0005】
また、他の形式のものは、カートリッジケースの一側壁に形成されたテープ引出し用開口部にカートリッジ平面方向に回動開閉可能なリッドが、閉位置に向かってばね付勢された態様で、かつカートリッジ不使用時には回動しないように、ロック位置にばね付勢されたリッドロックにより閉位置に係止される態様で取り付けられていて、このテープ引出し用開口部内に組み込まれるフックに磁気テープの先端部分が係止されるように構成されたものとがある。
【0006】
このような構成を有する磁気テープカートリッジが、対応する外部記憶装置の記録再生装置にセットされると、下ハーフの中央部に露呈しているリールの係合歯に装置側の回転駆動手段が係合するとともに、前者の場合には、装置側のテープ引出し機構により上記リーダーブロックがそのまま磁気テープとともに引き出されることによって、また後者の場合には、装置側のテープ引出し機構により先にリッドが開かれてから、上記フックが磁気テープとともに引き出されることによって、磁気テープがテープ走行路の所定位置に引き込まれ、磁気テープへのデータの書込み/読出しが可能になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した2種類の磁気テープカートリッジのうち、前者のリーダーブロックを用いるものは、テープ引出しに際してリーダーブロックを掴んで引き出すだけでよいから装置側のテープ引出し機構が簡単になる長所はあるものの、カートリッジ不使用時にテープ引出し用開口部とリーダーブロックとの間の隙間からカートリッジ内部に塵埃が侵入しやすいという欠点があった。
【0008】
一方、後者の開閉リッド形式のものは、カートリッジ内部に塵埃が侵入しやすいという問題は解決されてはいるものの、テープ引出しに際して、先ずリッドロックを解除してからリッドを開かなければならないから、装置側のテープ引出し機構が複雑になるとともに、回動型のリッドの回動スペースを必要とするという問題があった。また、カートリッジ側においても、カートリッジ組立て時において、リッド付勢用のトーションばねおよびリッドロック付勢用のコイルばねの組み込みに工数を要するという問題もあった。
【0009】
そこで、テープ引出し用開口部を開閉するためのスライドドアを設け、かつこのスライドドアをバネ部材によって閉位置に向かって付勢する構成が提案されている。その場合、テープ引出用開口部の内側には、磁気テープの先端部分をクランプしたリーダーピンが収容されており、この磁気テープカートリッジが対応する外部記憶装置等の記録再生装置に挿入されると、装置側の部材がスライドドアの前端部に当接してスライドドアが開かれ、かつテープ引出し機構によりリーダーピンが磁気テープとともに装置側に引き込まれることによって、磁気テープが装置側にセットされ、磁気テープに対するデータの書込み/読出しが可能になる。
【0010】
このようなスライドドアを備えた構成においては、このスライドドアを安定に閉位置に保持するためには何等かのロック機構を設けることが好ましいが、ロック機構を設けると、スライドドアの開動作時にロックを解除しなければならないため、構造が複雑になるという問題が発生する。
【0011】
上述の事情に鑑み、本発明は、スライドドアの開動作時に、外部装置側の部材によるスライドドアの開方向への押圧に伴って、上記ロック機構によるロックを自動的に解除することができる磁気テープカートリッジを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁気テープを巻装した単一のリールがカートリッジケース内に回転可能に収容され、磁気テープの一端を引き出すためのテープ引出し用開口部を開閉するスライドドアが、バネ部材の付勢力により閉位置に復帰する態様でカートリッジケースに設けられている磁気テープカートリッジにおいて、
上記バネ部材の付勢力によるスライドドアの閉位置への復帰に伴ってスライドドアの弾性変形可能な前端部に形成された係合突起に係合してこれを閉位置にロックする係合手段がカートリッジケースに設けられているとともに、上記スライドドアの弾性変形可能な前端部に形成した、スライドドアに対しこれを開方向に押圧する力が作用する作用面が、上記押圧力の印加に伴って上記前端部、上記係合手段によるロック解除する方向に変位させる力を発生させる斜面で構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、スライドドアがバネ部材の付勢力で閉位置に復帰するのに伴ってスライドドアが自動的に閉位置にロックされ、また、スライドドアを開動作時にスライドドアに作用する押圧力の作用面が斜面で構成されているいることにより、スライドドアに対する押圧力の印加に伴ってスライドドアをロック解除方向に変位させる分力が発生するから、これによって上記ロックが自動的に解除され、極めて簡易な構成によりスライドドアの閉位置でのロックと、スライドドア開閉動作とをスムーズに行なうことができる利点がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1および図2は、本発明による磁気テープカートリッジの斜視図を示し、図1はそのスライドドアの閉状態を、図2はスライドドアの開状態をそれぞれ示す。
【0016】
磁気テープカートリッジには、上ハーフ1aと下ハーフ1bとからなるカートリッジケース1内に、磁気テープを巻装した単一のリールが回転可能に収容されている。カートリッジケース1の一側壁には、磁気テープの一端を引き出すためのテープ引出用開口部2が上ハーフ1aと下ハーフ1bとに跨がって、かつコーナー部に近接して形成されているとともに、このテープ引出用開口部2を開閉するスライドドア3が摺動自在に設けられている。スライドドア3は、カートリッジケース1の内部においてスライドドア3の移動通路に介装された図示しないバネ部材によって閉位置に向かって付勢されている。
【0017】
テープ引出用開口部2の内側の凹部6内には、図2から明らかなように、磁気テープの先端部分をクランプしたリーダーピン4が収容されており、この磁気テープカートリッジが対応する外部記憶装置等の記録再生装置に図2の矢A方向に挿入されると、下ハーフ1bの中央部の開口に露呈している図示しないリールの係合歯に装置側の回転駆動手段が係合するとともに、磁気テープカートリッジの外部装置への挿入に伴って、外部装置側の部材がスライドドア3の前端部3aに当接してスライドドア3がバネ部材の付勢力に抗して開かれ、かつ外部装置側のテープ引出し機構によりリーダーピン4が磁気テープとともに外部装置に引き込まれることによって、磁気テープが外部装置にセットされ、磁気テープに対するデータの書込み/読出しが可能になる。
【0018】
また、磁気テープカートリッジが外部装置からエジェクトされるときには、スライドドア3を開方向に押圧する力が消滅するから、スライドドア3は上記バネ部材の付勢力により閉位置に復帰する。
【0019】
リーダーピン4は、上ハーフ1aの下面および下ハーフ1bの上面に開口部2に臨んでそれぞれ形成された凹部6間に着脱自在に係止される。また、カートリッジケース1の一側には、磁気テープの消去および二重書込みを防止するための回動式の操作つまみ5が露出している。
【0020】
図3は、本発明による磁気テープカートリッジの一実施の形態を示す図で、スライドドア3が閉位置にロックされた状態を示す要部拡大断面図である。また、図4は、図3に示す構成の作用の説明に供する要部拡大断面図である。
【0021】
リーダピン4は、磁気テープの先端部をクランプする中央軸部の上下端に、外部装置側の部材に係合保持される細軸部4aを備え、かつ各細軸部4aの外側に、リーダピン4をカートリッジケース1の凹部6内に保持するためのフランジ4bが形成されている。これらフランジ4bは、カートリッジケース1の凹部6の近傍に取り付けられた適当なバネ部材(図示は省略)によって凹部6の奥に押し付けられた態様で着脱可能に保持されている。
【0022】
テープ引出用開口部2を開閉するスライドドア3の前端部3aには、図3の右上方向に面する斜面7が作用面として形成され、磁気テープカートリッジが外部装置置に図2の矢A方向に挿入されるときに、この斜面7に外部装置側の部材が当接することにより、スライドドア3にこれを図3の左方に押圧する力が作用して、スライドドア3をがバネ部材の付勢力に抗して開かれるようになっている。
【0023】
また、スライドドア3の前端部3aの裏面側には、スライドドア3の開方向(図3の左方)に面する垂直面8aと、この垂直面8aの先端から斜面7側に向かってなだらかに下降する斜面8bとを備えた係合突起8が一体に形成されている。
【0024】
一方、カートリッジケース1の内壁面1cには、スライドドア3が閉位置にあるときに上記係合突起8の垂直面8aに係合する垂直面9aを備えて、スライドドア3を閉位置にロックする係合片9が突設されている。
【0025】
この係合片9の先端は、スライドドア3がその移動通路内に介装された図示しないバネ部材の付勢力で閉位置に復帰するとき、上記係合突起8の斜面8bに係合してこの斜面8b上を摺動することにより、スライドドア3の前端部3aおよび/または係合片9が弾性的に撓められ、スライドドア3の閉位置への移動が許容される。そして、スライドドア3がその閉位置に達すると、スライドドア3の前端部3aおよび/または係合片9が元の位置に弾性的に復帰して、図3に示すように、スライドドア3が閉位置にロックされる。
【0026】
次に、磁気テープカートリッジの外部装置への挿入時に、この挿入に伴って、スライドドア3の前端部3aの斜面7に対し図4の矢B方向の力が作用すると、スライドドア3の前端部3aを外側(図4の下方)へ押圧する分力が発生するから、この分力により、スライドドア3の前端部3aが外側に変位することになり、これによって、係合片9によるスライドドア3のロックが解除され、スライドドア3の開動作が許容される。
【0027】
以上の説明で明らかなように、本実施の形態においては、スライドドア3がバネ部材の付勢力で閉位置に復帰するのに伴ってスライドドア3が自動的に閉位置にロックされ、また、スライドドア3を開動作時にスライドドア3の前端部3aに作用する押圧力の作用面が斜面7で構成されているいることにより、スライドドア3に対する押圧力の印加に伴ってスライドドア3の前端部3aを外側に変位させる分力が発生するから、これによって上記ロックが自動的に解除される。
【0028】
このように、本実施の形態によれば、極めて簡易な構成により、スライドドア3の閉位置でのロックと、スライドドア3の開閉動作とをスムーズに行なうことができる。
【0029】
なお、上記係合突起8および係合片9は互いに垂直面8a,9aで係合する態様のみでなく、図5に示すように、少なくとも一方の係合面が斜面8cまたは9bであってもよく、係合面の双方が斜面8cおよび9bである場合には、スライドドア3側の斜面8cをよりなだらかな斜面としてもよい。また図6に示すように、係合突起8の根元に凹部8dを設けて、スライドドア3の前端部3aがより撓み易くなるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気テープカートリッジを、スライドドアの閉状態で示す斜視図
【図2】図1の磁気テープカートリッジを、スライドドアの開状態で示す斜視図
【図3】本発明による磁気テープカートリッジの一実施の形態を示す要部拡大断面図
【図4】図3の構成の作用の説明に供する要部拡大断面図
【図5】図3の係合突起と係合片との係合面の変形を示す部分断面図
【図6】図3の係合突起の変形を示す部分断面図
【符号の説明】
1 カートリッジケース
1a 上ハーフ
1b 下ハーフ
2 テープ引出用開口部
3 スライドドア
4 リーダーピン
7 斜面
8 係合突起
9 係合片

Claims (1)

  1. 磁気テープを巻装した単一のリールがカートリッジケース内に回転可能に収容され、かつ前記磁気テープの一端を引き出すためのテープ引出し用開口部を開閉するスライドドアが、バネ部材の付勢力により閉位置に復帰する態様で前記カートリッジケースに設けられている磁気テープカートリッジにおいて、
    前記スライドドアの閉位置への復帰に伴って該スライドドアの弾性変形可能な前端部に形成された係合突起に係合してこれを閉位置にロックする係合手段が前記カートリッジケースに設けられているとともに、前記スライドドアの弾性変形可能な前端部に形成した、該スライドドアに対しこれを開方向に押圧する力が作用する作用面が、該押圧力の印加に伴って前記前端部、前記係合手段によるロック解除する方向に変位させる力を発生させる斜面で構成されていることを特徴とする磁気テープカートリッジ。
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