JP3946598B2 - 車両の追従走行装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自車両が追従すべき先行車両を設定して追従制御を行う車両の追従走行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平11−48826号公報に開示された車両の速度制御装置のように、自車の前方の先行車両との間の車間距離を検出する車間距離検出手段を備え、自車の前方の先行車両を自動的に追尾すべく自車の速度を制御して、先行車両との間に所定の車間距離を保つ車両の速度制御装置が知られている。
このような車両の速度制御装置は、例えば特開平9−263159号公報に開示された車両の速度制御装置等のように、自車の前方に存在する物体が移動物あるいは静止物の何れかであることを物体の速度に基づいて判別し、移動物であれば、所定の車間距離を保つために目標車速を算出するように設定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような従来技術に係る車両の速度制御装置では、自車が追従すべき先行車両を決定する際に、基本的に自車の予測移動軌跡内において静止物であると判別された物体を追従しないように設定されている。このため、自車が追従すべき先行車両として設定された移動物が、例えば自車の予測移動軌跡内から逸脱した場合には、この移動物を先行車両とする設定は解除され、自車の予測移動軌跡内に存在する他の移動物が先行車両として設定され、先行車両の切り替えが行われる。
すなわち、先行車両の選択時に自車の予測移動軌跡内での静止物を先行車両の対象外とするように設定されていると、例えば直前まで移動物であった物体が一時的に停止している場合であっても、この物体は、単に予測移動軌跡内での静止物であると判別され、この物体を先行車両とする設定は禁止される場合がある。この場合、自車の予測移動軌跡内にて移動の可能性がある物体に対して自車の追従が望まれる状況において、例えば追従制御が停止されたり、例えば他の移動物に追従するように車両が加速されてしまう等の不具合が生じる虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、追従すべき物体の運動状態に応じて適切な追従制御を行うことが可能な車両の追従走行装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の車両の追従走行装置は、自車両の車両状態を検出する車両状態検出手段(例えば、後述する実施の形態におけるヨーレートセンサ12、車輪速センサ13)と、前記車両状態検出手段が検出した前記車両状態に基づいて自車両の進行軌跡を推定する軌跡推定手段(例えば、後述する実施の形態における軌跡推定手段22)と、自車両の進行方向前方に存在する複数の物体を検知する物体検知手段(例えば、後述する実施の形態におけるミリ波レーダ・ECU16、ステレオカメラ・ECU15)と、該物体検知手段にて検知した前記複数の物体を移動物あるいは静止物の何れかに判別する物体種別判定手段(例えば、後述する実施の形態における先行車両決定手段21)と、前記軌跡推定手段によって推定された前記進行軌跡内において前記物体検知手段によって検知され、前記物体種別判定手段によって移動物であると判別された物体を、自車両が追従すべき先行車両であると判定する先行車両判定手段(例えば、後述する実施の形態においては、先行車両決定手段21が兼ねる)とを備えた車両の追従走行装置であって、前記物体検知手段によって検知され、前記物体種別判定手段によって移動物であると判別された複数の物体の各移動履歴を記憶する履歴記憶手段(例えば、後述する実施の形態においては、先行車両決定手段21が兼ねる)を備え、前記先行車両判定手段は、前記先行車両として設定されていた前記物体が前記進行軌跡内から逸脱したときに、前記先行車両とは異なる他の物体が、前記物体検知手段により前記進行軌跡内の位置で検知されると共に前記物体種別判定手段により静止物であると判定されるとき、前記履歴記憶手段に記憶された前記他の物体の移動履歴に基づき、前記他の物体が前記静止物であると判定される以前に移動物であった場合には、前記他の物体を自車両が追従すべき先行車両であると判定することを特徴としている。
【0005】
上記構成の車両の追従走行装置によれば、先行車両判定手段は、自車両が追従すべき先行車両を設定する際に、自車両の進行軌跡内で検知される静止物であっても、この静止物が過去に移動物であったか否かを移動履歴から判定し、追従すべき先行車両として設定することができる。すなわち、物体検知手段によって検知される物体の移動履歴を記憶しておくことで、例えばこの物体が一時的に停止している場合であっても、単なる静止物ではなく、移動の可能性がある物体であると認識することができる。これにより、物体検知手段によって検知される物体の停止状態を含む多様な運動状態に応じて適切に追従すべき先行車両を設定することができる。
【0006】
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の追従走行装置では、前記先行車両判定手段は、前記進行軌跡内において前記物体種別判定手段によって複数の前記物体が移動物であると判別された場合に、前記物体検知手段の検知結果から算出される自車両と前記物体との間の距離に基づき、前記複数の前記物体の中、自車両の現在位置に最も近い前記物体を自車両が追従すべき前記先行車両であると判定することを特徴としている。
【0007】
上記構成の車両の追従走行装置によれば、物体検知手段によって検知される物体の移動履歴を参照すると共に、自車両の進行軌跡内において自車両の現在位置に最も近い物体を自車両が追従すべき先行車両であると設定することによって、より一層、適切な追従制御を行うことができる。
【0008】
さらに、請求項3に記載の本発明の車両の追従走行装置では、前記先行車両判定手段は、前記先行車両として設定されていた前記物体が前記進行軌跡内から逸脱した位置で検知された時点からの経過時間が所定の時間以内においては、前記進行軌跡内から逸脱した前記物体が前記進行軌跡内に位置すると判定することを特徴としている。
【0009】
上記構成の車両の追従走行装置によれば、先行車両として設定されていた物体に対しては、一時的に進行軌跡内から逸脱した場合であっても、所定の時間以内においては進行軌跡内に位置すると判定することによって、先行車両判定手段による先行車両としての設定が直ちに解除されてしまうことを防止することができる。
これにより、追従すべき先行車両の多様な運動状態に応じて適切な追従制御を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る車両の追従走行装置について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る車両の追従走行装置10を備えた車両1の斜視図であり、図2は本発明の一実施形態に係る車両の追従走行装置10の構成図である。
本実施の形態による車両の追従走行装置10は、例えば、制御ECU11と、ヨーレートセンサ12と、車輪速センサ13と、操作スイッチ14と、ステレオカメラ・ECU15と、ミリ波レーダ・ECU16と、ブレーキ油圧アクチュエータ17と、スロットルアクチュエータ18と、インジケータ19とを備えて構成されている。
【0011】
ヨーレートセンサ12は、例えば後車軸上近傍に設けられ、水平面内での自車両の向きや鉛直方向に対する傾斜角度の角度変化量等を検出する圧電素子やジャイロセンサー等からなり、車両重心の上下方向軸回りの回転角速度であるヨーレートを検出し、この検出結果の大きさに応じた信号を制御ECU11へ出力する。
車輪速センサ13は、自車両の車輪速を検知し、この検知結果の大きさに応じた信号を制御ECU11へ出力する。
操作スイッチ14は、例えば運転席前方の所定部位に設けられており、運転者の入力操作に応じた信号を制御ECU11へ出力する。
【0012】
ステレオカメラ・ECU15は、ステレオカメラとECU(電子制御装置)が一体的に設けられてなり、ステレオカメラから出力される撮像信号を受信したECUは、所定の検知エリア内にて認識された物体(検知対象物)と車両1との相対距離及び相対速度を算出すると共に、後述するミリ波の反射波を受信した時のミリ波の発信方向に基づいて検知対象物の方位を算出して、これらの算出結果を制御ECU11へ送出する。
ステレオカメラは、車室内のフロントガラス近傍のルームミラーの位置に設けられており、一対の撮像装置でフロントガラス越しに自車両の前方を撮影し、撮影により得られた撮像信号をECUへ出力する。
ステレオカメラ用のECUは、ステレオカメラから出力される撮像信号に所定に処理を行い、自車両の進行方向の相対的に近距離の領域における検知対象物までの距離や相対速度等を算出する。そして、検知対象までの距離や相対速度等の算出結果を制御ECU11へ出力する。
なお、相対速度は、例えば距離の時間微分等の処理によって算出される。
【0013】
ミリ波レーダ・ECU16は、ミリ波レーダとECU(電子制御装置)が一体的に設けられてなり、例えば自車両のボディのノーズ部に内蔵されており、自車両の前方に向けてミリ波を発信すると共に、この発信信号が前方の検知対象物によって反射されることで生じた反射信号を受信し、反射信号と発信信号とを混合してビート信号を発生させ、このビート信号の周波数f(「ビート周波数」)に基づいて、相対的に遠距離の領域における検知対象物までの距離や相対速度等を算出する。
また、ミリ波レーダ用のECUは、反射信号を受信した際のミリ波の発信方向に基づいて検知対象の方位を算出する。そして、検知対象の幅や検知対象までの相対距離や相対速度や方位等の算出結果を制御ECU11へ出力する。
なお、相対速度は、例えばドップラー効果や算出した距離の時間微分等の処理によって算出される。
【0014】
制御ECU11は、例えば、先行車両決定手段21と、軌跡推定手段22とを備えて構成されており、後述するように、ミリ波レーダやステレオカメラの所定の検知エリア内にて認識された複数の検知対象物の移動履歴に基づいて、自車両が追従する先行車両を設定する。
先行車両決定手段21は、ミリ波レーダやステレオカメラの所定の検知エリア内にて認識された検知対象物を、自車両が追従する先行車両を決定する際の候補であるターゲット候補に設定し、ターゲット候補が移動物あるいは静止物の何れであるかを判別すると共に、各ターゲット候補の移動履歴を記憶する。
なお、先行車両決定手段21は、各ターゲット候補の移動履歴を記憶する際に、例えばターゲット候補が所定の検知エリア内から逸脱した場合であっても、所定周期による所定回数の補間処理を行って移動履歴の記憶を継続するように設定されている。
【0015】
そして、先行車両決定手段21は、後述する軌跡推定手段22にて推定された自車両の推定走行軌跡内に存在する各ターゲット候補に対し、記憶した移動履歴に基づいて、自車両に対する追従対象として設定するためのロック条件の成立または不成立を決定する。
さらに、先行車両決定手段21は、ロック条件が成立しているターゲット候補の中から、自車両が追従する先行車両とされる制御ターゲットを選択する。
【0016】
軌跡推定手段22は、例えば車輪速センサ13にて検知された車輪速から求めた自車両の速度と、ヨーレートセンサ12にて検出された自車両のヨーレートとに基づいて、自車両の進行軌跡(推定走行軌跡)を予測する。
例えば、軌跡推定手段22は、下記数式(1)に示すように、自車両の速度vとヨーレートyとによってr:コーナRを算出し、このコーナRによって規定される軌跡に対して所定の車線幅を設定して得た領域を、自車両の推定走行軌跡として設定する。
【0017】
【数1】
【0018】
さらに、制御ECU11は、先行車両決定手段21にて設定された先行車両に対して、この先行車両の停止状態を含む適宜の運動状態に応じて自車両を追従させるように、ブレーキ油圧アクチュエータ17およびスロットルアクチュエータ18を駆動制御すると共に、インジケータ19に各種の情報及び警報等を表示させる。
【0019】
ブレーキ油圧アクチュエータ17は、制御ECU11から出力される制御信号に基づいて自車両の制動力を制御する。
スロットルアクチュエータ18は、制御ECU11から出力される制御信号に基づいて自車両の加減速を制御する。
インジケータ19は、例えば自車両のインストルメントパネル内に設けられた液晶表示装置等をなしており、各種の情報及び警報等を表示する。
【0020】
本実施の形態による車両の追従走行装置10は上記構成を備えており、次に、この車両の追従走行装置10の動作について添付図面を参照しながら説明する。
図3は車両の追従走行装置10の動作を示すフローチャートであり、図4は図3に示すロック条件成立判断処理を示すフローチャートであり、図5は図3に示す制御ターゲット選択処理を示すフローチャートである。
【0021】
先ず、図3に示すステップS01において、ロック条件成立判断処理を実行する。ここでは、後述するように、認識されたすべてのターゲット候補に対して、ロック条件が成立しているか否かを判断する。
そして、ステップS02において、制御ターゲット選択処理を行い、一連の処理を終了する。
この制御ターゲット選択処理においては、後述するように、ロック条件が成立しているターゲット候補の中から制御ターゲットつまり追従対象となる先行車両を選択する。
なお、上述したステップS01〜ステップS02の処理は、所定時間周期(例えば、100ms等)によって繰り返し実行されるように設定されている。
【0022】
以下に、上述したステップS01における、ロック条件成立判断処理について説明する。
先ず、図4に示すステップS11においては、所定の検知エリア内で認識したターゲット候補が、自車両の推定走行軌跡内に存在するか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS16に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS12に進む。
【0023】
ステップS12においては、自車両の推定走行軌跡内に存在するターゲット候補が、自車両の進行方向に移動する走行物体であるか否かを、例えば自車両の速度やターゲット候補に対する相対速度等に基づいて判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS13に進み、ターゲット候補に対してロック条件が成立していると判断して、一連の処理を終了する。ここでは、ターゲット候補が停止している場合であっても、このターゲット候補の移動履歴から、過去に走行物体であって、自車両の進行方向に移動する可能性がある場合には、判定結果が「YES」とされる。
一方、この判定結果が「NO」の場合、例えばターゲット候補が停止車両あるいは対向車両等である場合には、ステップS14に進む。
【0024】
ステップS14においては、ターゲット候補が前回の処理における制御ターゲットであったか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS13に進む。これにより、例えば追従対象とされている先行車両が停止した場合には、自車両も追従して停止することができる。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS15に進む。
【0025】
ステップS15においては、ターゲット候補が過去に走行物体として設定されており、かつ、この走行物体としての設定が解除されてからの経過時間が所定時間以内か否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS13に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS16に進む。
ステップS16においては、ターゲット候補に対してロック条件が成立していないと判断して、一連の処理を終了する。
【0026】
すなわち、自車両の推定走行軌跡内に存在するターゲット候補が、例えば停止車両や対向車両等のように、現時点で制御ターゲットとして設定されていない場合であっても、少なくとも所定時間以内の過去において、走行物体として設定されていた場合には、ロック条件を成立させる。
これにより、例えばガードレールや電柱等の路側物や対向車両に対してはロック条件を成立させないようにしつつ、単に、自車両の進行方向に移動していないという条件のみで、ターゲット候補をロック条件の成立対象から除外してしまうことを防止して、追従対象である先行車両の多様な走行状態に応じて、適切な追従制御を行うことが可能となる。
【0027】
以下に、上述したステップS02における制御ターゲット選択処理について説明する。
先ず、図5に示すステップS21においては、ロック条件が成立しているターゲット候補の中から、自車両の現在位置に最も近い位置に存在するターゲット候補を最有力ターゲット候補として設定する。
【0028】
そして、ステップS22においては、最有力ターゲット候補が、前回の処理における制御ターゲットと同一であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS23に進み、最有力ターゲットを今回の処理における制御ターゲットに設定して、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS24に進む。
【0029】
ステップS24においては、最有力ターゲット候補の現在位置と自車両の現在位置との間の距離が、前回の処理における制御ターゲットの現在位置と自車両の現在位置との間の距離以下であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、例えば最有力ターゲット候補が前回の処理における制御ターゲットと自車両との間に割り込んできた車両である場合等には、上述したステップS23に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS25に進む。
【0030】
ステップS25においては、最有力ターゲット候補と、前回の処理における制御ターゲットとが同一ではないと判定されてから、所定の時間(例えば、1.5秒等)以上経過したか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS23に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合、例えば前回の処理における制御ターゲットが、一時的に自車両の推定走行軌跡内から逸脱した後に、再度、自車両の推定走行軌跡内に戻った場合等には、ステップS26に進み、前回の処理における制御ターゲットを今回の処理における制御ターゲットに設定して、一連の処理を終了する。
【0031】
すなわち、ロック条件が成立しているターゲット候補中から、最も自車両に接近している最有力ターゲット候補を選択したときに、この最有力ターゲット候補が、前回の処理における制御ターゲットと異なる場合には、直ちに最有力ターゲット候補を制御ターゲットに設定するのではなく、前回の処理における制御ターゲットを今回の処理における制御ターゲットとして維持する。そして、所定時間以上に亘って継続して最有力ターゲット候補が変化しないことを確認してから、最有力ターゲット候補を制御ターゲットに設定する。これにより、自車両および追従対象となる先行車両の走行状態の変化度合いに応じて、適切な追従制御を行うことが可能となる。
【0032】
また、例えば、図6に示すように、制御ターゲットとして設定されていた先行車両VAが、前方の交差点にて左折するために車線変更を行ったことによって、自車両VBの検知エリアα内ではあるが、自車両VBの推定走行軌跡β内から外れる位置に移動すると、この先行車両VAに対するロック条件が不成立となって、先行車両VAは制御ターゲットではなくなる。
このとき、例えば図6および図7に示すように、先行車両VAの前方において、自車両VBの推定走行軌跡β内で直前まで走行中であった先々行車両VCが停止した場合には、直ちに先々行車両VCを推定走行軌跡β内の単なる静止物であると判定してロック条件を不成立に設定するのではなく、この先々行車両VCが、少なくとも所定時間以内の過去において移動物であったか否かを移動履歴によって判定する。そして、この判定結果において過去に移動物であった場合には、移動の可能性があると判断してロック条件を成立させる。
これにより、例えばガードレール等の路側物に対してロック条件を成立させること無しに、ターゲット候補の停止状態をも含む多様な走行状態に応じて、適切に追従制御を行うことができる。
【0033】
上述したように、本実施の形態による車両の追従走行装置によれば、単に、自車両の進行方向に移動していないという条件のみで、ターゲット候補をロック条件の成立対象から除外してしまうことを防止して、ターゲット候補の移動履歴に基づき、停止状態をも含む多様な走行状態に応じて、適切に追従制御を行うことができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明の車両の追従走行装置によれば、物体検知手段によって検知される物体の移動履歴を記憶しておくことで、例えばこの物体が一時的に停止している場合であっても、単なる静止物ではなく、移動の可能性がある物体であると認識することができる。これにより、物体検知手段によって検知される物体の停止状態を含む多様な運動状態に応じて適切に追従すべき先行車両を設定することができる。
【0035】
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の追従走行装置によれば、物体検知手段によって検知される物体の移動履歴を参照すると共に、自車両の進行軌跡内において自車両の現在位置に最も近い物体を自車両が追従すべき先行車両であると設定することによって、より一層、適切な追従制御を行うことができる。
さらに、請求項3に記載の本発明の車両の追従走行装置によれば、先行車両判定手段による先行車両としての設定が直ちに解除されてしまうことを防止して、追従すべき先行車両の多様な運動状態に応じて適切な追従制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る車両の追従走行装置を備えた車両の斜視図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る車両の追従走行装置の構成図である。
【図3】 車両の追従走行装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】 図3に示すロック条件成立判断処理を示すフローチャートである。
【図5】 図3に示す制御ターゲット選択処理を示すフローチャートである。
【図6】 自車両VBと先行車両VAおよび先々行車両VCとの相対位置の一例を示すグラフ図である。
【図7】 自車両VBと先行車両VAおよび先々行車両VCとの相対位置の一例を示すグラフ図である。
【符号の説明】
10 車両の追従走行装置
12 ヨーレートセンサ(車両状態検出手段)
13 車輪速センサ(車両状態検出手段)
15 ステレオカメラ・ECU(物体検知手段)
16 ミリ波レーダ・ECU(物体検知手段)
21 先行車両決定手段(物体種別判定手段、先行車両判定手段、履歴記憶手段)
22 軌跡推定手段
Claims (3)
- 自車両の車両状態を検出する車両状態検出手段と、
前記車両状態検出手段が検出した前記車両状態に基づいて自車両の進行軌跡を推定する軌跡推定手段と、
自車両の進行方向前方に存在する複数の物体を検知する物体検知手段と、
該物体検知手段にて検知した前記複数の物体を移動物あるいは静止物の何れかに判別する物体種別判定手段と、
前記軌跡推定手段によって推定された前記進行軌跡内において前記物体検知手段によって検知され、前記物体種別判定手段によって移動物であると判別された物体を、自車両が追従すべき先行車両であると判定する先行車両判定手段とを備えた車両の追従走行装置であって、
前記物体検知手段によって検知され、前記物体種別判定手段によって移動物であると判別された複数の物体の各移動履歴を記憶する履歴記憶手段を備え、
前記先行車両判定手段は、前記先行車両として設定されていた前記物体が前記進行軌跡内から逸脱したときに、前記先行車両とは異なる他の物体が、前記物体検知手段により前記進行軌跡内の位置で検知されると共に前記物体種別判定手段により静止物であると判定されるとき、
前記履歴記憶手段に記憶された前記他の物体の移動履歴に基づき、前記他の物体が前記静止物であると判定される以前に移動物であった場合には、前記他の物体を自車両が追従すべき先行車両であると判定することを特徴とする車両の追従走行装置。 - 前記先行車両判定手段は、前記進行軌跡内において前記物体種別判定手段によって複数の前記物体が移動物であると判別された場合に、
前記物体検知手段の検知結果から算出される自車両と前記物体との間の距離に基づき、前記複数の前記物体の中、自車両の現在位置に最も近い前記物体を自車両が追従すべき前記先行車両であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両の追従走行装置。 - 前記先行車両判定手段は、前記先行車両として設定されていた前記物体が前記進行軌跡内から逸脱した位置で検知された時点からの経過時間が所定の時間以内においては、前記進行軌跡内から逸脱した前記物体が前記進行軌跡内に位置すると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両の追従走行装置。
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