JP3946035B2 - 引裂き可能なコア部材及びそのコア部材を有する常温収縮管装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、引裂き可能なコア部材に関する。さらに本発明は、引裂き可能なコア部材を有する常温収縮管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
開口端を有する弾性チューブ部材と、弾性チューブ部材の開口端から所定長さの領域に除去可能に内設され、その領域を弾性的拡径状態に保持する中空筒状のコア部材とを備えた常温収縮管装置は、対象物に迅速に装着できる被覆装置として、従来様々な分野で利用されている。例えば、ケーブル(被覆電線)同士の接続部やケーブルと他の導電端末部材との接続部において露出した電線を、防湿、電気的絶縁及び機械的保護の目的で被覆処理するために、接続部の全長を超える長さを有したエラストマー製チューブ部材の所望長さ領域を、中空筒状のプラスチック製コア部材によって予め弾性的拡径状態に保持し、接続部への装着時にコア部材を除去することにより拡径領域を弾性収縮させる常温収縮型の被覆チューブが知られている(例えば特開平3−143217号公報、特開平7−57798号公報参照)。
【0003】
この種の常温収縮管装置で使用されるコア部材は、中空筒状の本体の軸線方向全長に渡って螺旋状に連続形成される溝すなわち弱化線を有するものが一般的である。このコア部材は、本体の軸線方向一端における溝の端部を引裂き開始端として、溝に沿って本体をリボン状に引裂くことができる。このコア部材の製造方法としては、全長に渡って一定の幅及び厚みを有する長尺のプラスチック製リボンを螺旋状に巻いて、隣り合う一巻き部分同士をそれらの側縁で溶着等によって接合することにより、その接合部が螺旋溝となった円筒状の本体を形成する方法が提案されている(例えば特表平10−513337号公報、国際公開公報WO99/08355号参照)。
【0004】
或いは、中空筒状の本体の軸線方向全長に渡り規則的に蛇行して連続形成される切り目すなわち弱化線に沿って、本体をリボン状に引裂くことができるコア部材も知られている(例えば実開平7−2692号公報参照)。このコア部材は、樹脂材料から射出成形により一体成形される。
【0005】
このような螺旋状又は蛇行状の弱化線を有する従来のコア部材は、弱化線によって本体に形成されるリボン状の領域に本体の軸線方向一端で一体的に連結されて本体から延長される延長部分をさらに備える。コア部材を弾性チューブ部材に内設する際には、予め延長部分を本体内側に通して延長部分末端を本体の軸線方向他端から外部に延出させる。この状態でコア部材を、本体の軸線方向他端及び延長部分末端が弾性チューブ部材の開口端で露出するように方向付けして、弾性チューブ部材に内設する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の引裂き可能なコア部材を有する常温収縮管装置では、コア部材の軸線方向全長が長くなるほど、コア部材の除去に時間を要することになる。特に、螺旋状の弱化線を有するコア部材は、常温収縮管装置を対象物(例えば電線接続部)に装着する際に、弾性チューブ部材の開口端で露出する延長部分末端を外方へ引っ張ることにより引裂かれた本体のリボン状切片が、螺旋状の形態のままで対象物に絡み付く傾向がある。このような場合には、リボン状切片の絡み付きを解きながら本体を引裂く必要が生じ、コア部材の除去に多大な時間と労力が消費される。
【0007】
こうした不都合を回避する方策として、螺旋状に延びる弱化線の一巻き毎の軸線方向間隔を広く取り、弱化線によって本体に形成されるリボン状領域の軸線方向寸法すなわち幅寸法を拡大することが考えられる。このようにすれば、コア部材の寸法を変更することなく、引裂かれた本体のリボン状切片の全長が短くなるから、対象物へのリボン状切片の絡み付き度合を軽減することができる。しかしこの場合、対象物への装着前にコア部材の本体内側に通される延長部分が、リボン状領域の幅寸法の拡大に伴って幅広になり、特に本体への一体的連結部位の近傍で本体内側に大きく膨出して内部空間を狭めるので、対象物を常温収縮管装置に円滑に挿入することが困難になる傾向がある。また、長尺のリボンを螺旋状に巻いて一体的に接合することにより作製されるコア部材では、リボンの幅寸法が増加するに従いその剛性も増加するので、リボンを円筒形状に保持するための接合部の機械的強度を強化する必要がある。その結果、本体を引裂くために多大な力が要求されることになり、また、接合部の機械的強度のばらつきが増加して引裂き作業が不安定になることが懸念される。
【0008】
これに対し、前述した蛇行状に延びる弱化線を有するコア部材では、弱化線によって本体に形成されるリボン状領域が、本体を略1〜2周する毎に反転して延びる形態となっている。したがって、延長部分末端を外方へ引っ張ることにより本体を引裂くと、引裂きの進行方向が対象物を略1〜2周する毎に反転し、結果として、引裂かれた本体のリボン状切片は、螺旋状の形態を取らず、対象物に絡み付くことなく除去されることが期待される。この構成によれば、コア部材の寸法に関わらず、延長部分末端を直線状に引っ張るだけで、本体をリボン状に引裂いてコア部材を弾性チューブ部材から除去できる。しかしこの構成では、本体を引裂く際にリボン状切片に負荷される引張力が、リボン状切片の反転部分で応力集中を生じ易くなる。その結果、特に延長部分を勢い良く引っ張るような場合に、リボン状切片が反転部分で切断されてしまう危惧がある。リボン状切片が切断されると、コア部材を弾性チューブ部材から除去することが困難になるので、作業に細心の注意を要し、やはりコア部材の除去に時間と労力が消費される。
【0009】
本発明の目的は、引裂き可能なコア部材を有する常温収縮管装置において、対象物への装着作業性を損なうことなく、コア部材を弾性チューブ部材から迅速かつ正確に除去できる常温収縮管装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、常温収縮管装置で使用できる引裂き可能なコア部材において、引裂かれたコア部材本体のリボン状切片が、常温収縮管装置の装着対象物に絡み付いたり引裂き作業中に切断されたりする懸念を排除でき、安定した引裂き作業を実現できるコア部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、中空筒状の本体を具備し、本体の軸線方向全長に渡り螺旋状に連続して延びる弱化線が形成され、本体の軸線方向一端における弱化線の端部を引裂き開始端として、弱化線に沿って本体をリボン状に引裂くことができるコア部材において、弱化線は、複数の接合部と複数の貫通スリットとを交互に配置した多孔線からなり、かつ本体の軸線方向へ不均一な間隔を空けて螺旋状に延び、弱化線によって本体に螺旋状に形成されるリボン状の領域が、引裂き開始端に隣接して弱化線と本体の軸線方向一端との間に規定される端リボン部分と、端リボン部分の軸線方向寸法よりも大きな軸線方向寸法を有する主リボン部分とを備えること、を特徴とするコア部材を提供する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコア部材において、弱化線の引裂き開始端に1つの接合部が形成され、少なくともこの1つの接合部が、必要に応じて弱化線の延長方向に見てこの1つの接合部の近傍の幾つかの接合部とともに、それ以外の接合部よりも高い引裂き強度を有するコア部材を提供する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のコア部材において、弱化線の複数の接合部が、個々の引裂き開始側で互いに鋭角に交差する一対の外表面を有するコア部材を提供する。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコア部材において、端リボン部分に一体的に連結されて本体から延長される延長部分をさらに具備し、延長部分の末端に、環状のタブが一体的に形成され、本体、延長部分及びタブが樹脂材料の一体成形品からなるコア部材を提供する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のコア部材において、本体の軸線方向他端領域に延長部分を仮留めするための係止機構をさらに具備するコア部材を提供する。
【0014】
請求項6に記載の発明は、中空筒状の本体を具備し、本体の軸線方向全長に渡り螺旋状に連続して延びる弱化線が形成され、本体の軸線方向一端における弱化線の端部を引裂き開始端として、弱化線に沿って本体をリボン状に引裂くことができるコア部材において、弱化線によって本体に螺旋状に形成されるリボン状の領域に、本体の軸線方向一端で一体的に連結される延長部分を具備し、延長部分の幅寸法が、リボン状の領域の軸線方向寸法よりも小さいこと、を特徴とするコア部材を提供する。
【0015】
請求項7に記載の発明は、開口端を有する弾性チューブ部材と、弾性チューブ部材の開口端から所定長さの領域に除去可能に内設され、その領域を弾性的拡径状態に保持する中空筒状のコア部材とを具備する常温収縮管装置において、コア部材が、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコア部材からなることを特徴とする常温収縮管装置を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は、本発明の一実施形態による常温収縮管装置10の部分切欠正面図、図2は、本発明の一実施形態によるコア部材12の拡大正面図、図3及び図4は、コア部材12の成形後の状態を示す図である。常温収縮管装置10は、2つの開口端を有する直線管の形態を備え、例えばケーブル(被覆電線)の直線接続部を被覆保護する常温収縮型の被覆チューブとして使用できる。しかし、常温収縮管装置10の用途はこれに限定されない。
【0017】
常温収縮管装置10は、長手方向両端に開口端14を有する中空円筒状の弾性チューブ部材16と、弾性チューブ部材16の両開口端14から所定長さの端部領域18にそれぞれ除去可能に内設され、それら端部領域18を弾性的拡径状態に保持する一対の中空筒状のコア部材12とを備える。弾性チューブ部材16は、両端部領域18に同心状に一体的に連結される中間領域20を備え、コア部材12を内設していない無負荷状態での各端部領域18の内径寸法が、無負荷状態での中間領域20の内径寸法よりも小さくなるように形成される。したがって、コア部材12を除去して常温収縮管装置10を対象物(例えば電線接続部)に装着したときに、弾性チューブ部材16は、両端部領域18が弾性復元力下で対象物の外周面に密着し、中間領域20が対象物の目的箇所を被覆する。
【0018】
弾性チューブ部材16は、本質的に電気絶縁性及び可撓性を有するエラストマーからなり、両端部領域18と中間領域20とが、好ましくは同一材料から射出成形工程により一体的に形成される。弾性チューブ部材16の好適な材料としては、エチレンプロピレンゴム(特にEPDM)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、フッ素系ゴム、シリコーン変性EPDM等が挙げられる。特に、常温収縮管装置10を電線接続部の被覆チューブとして使用する場合は、弾性チューブ部材16の少なくとも両端部領域18が、JIS:K6301に準拠した測定方法(100℃、22時間)による好ましくは40%以下、さらに好ましくは15%以下の永久伸びを有することが有利である(特開平7−57798号公報参照)。
【0019】
各コア部材12は、中空円筒状の本体22を備え、本体22の中心軸線22aを弾性チューブ部材16の中心軸線16aに整合させて、端部領域18に内設される。各コア部材12は、常温収縮管装置10の装着対象物(例えば電線接続部)の外径寸法よりも十分に大きな内径寸法を有し、弾性チューブ部材16の端部領域18をその弾性復元力に抗しつつ所定径の弾性的拡径状態に保持し得る剛性を有する。各コア部材12には、本体22の軸線方向全長に渡り螺旋状に連続して延びる弱化線24が形成される。本体22は、その軸線方向一端22bにおける弱化線24の端部を引裂き開始端24aとして、弱化線24に沿ってリボン状に引裂くことができる。
【0020】
弱化線24は、その一巻き毎の間隔(本体22の軸線方向への距離)が不均一になるように、コア部材12の本体22に形成されている。すなわち、弱化線24によって本体22に螺旋状に形成されるリボン状の領域は、引裂き開始端24aに隣接して弱化線24と本体22の軸線方向一端22bとの間に規定される端リボン部分26と、端リボン部分26の軸線方向寸法よりも大きな軸線方向寸法を有する主リボン部分28とを備える。主リボン部分28とは、本体22のリボン状領域の中で、弾性チューブ部材16の端部領域18を弾性的拡径状態に保持する機能を主として負担する部分である。この定義において、本体22のリボン状領域全体における主リボン部分28の占有寸法は、端部領域18の軸線方向寸法に対応して決定できる。
【0021】
図示実施形態では、本体22に形成した弱化線24の一巻き毎の間隔は、コア部材12を弾性チューブ部材16の端部領域18の適正位置に設置したときに、端リボン部分26及び主リボン部分28を含む約3巻き分のリボン状領域が、端部領域18内に収容されるように設定されている。なお、端リボン部分26の軸線方向寸法は、主リボン部分28の軸線方向寸法の、約80%以下に設定することができる。
【0022】
コア部材12は、本体22の端リボン部分26に一体的に連結されて本体22から延長される延長部分30をさらに備える。延長部分30の末端には、実質的環状のタブ32が一体的に形成される。延長部分30は、本体22の内側空間に通されて、その末端のタブ32が、本体22の軸線方向他端22cから外部に延出する状態に置かれる。この状態でコア部材12は、本体22の軸線方向他端22c及び延長部分30のタブ32が弾性チューブ部材16の開口端14から露出するように方向付けされて、弾性チューブ部材16の端部領域18に内設される。
【0023】
コア部材12は、硬質プラスチック等の樹脂材料から、好ましくは射出成形工程により一体成形される。この場合、成形型の作製を容易にする観点から、図3及び図4に示すように、延長部分30は、末端のタブ32に隣接する小部分を除く全体が、弱化線24の延長部分24´を介して本体22に一体的に形成されることが有利である。図示実施形態では、延長部分30は、本体22の端リボン部分26の軸線方向寸法(すなわち幅寸法)と実質的同一の幅寸法と、本体22に形成されるリボン状領域の略一巻き分に相当する長さとを有して成形される。そして、コア部材12の成形後、弾性チューブ部材16の端部領域18に内設する前に、延長部分30は、弱化線24の延長部分24´に沿って本体22の端リボン部分26から引裂かれ、本体22の内側空間に通される。なお、コア部材12の好適な材料としては、酢酸又は酪酸セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0024】
上記構成を有するコア部材12では、螺旋状に延びる弱化線24の一巻き毎の軸線方向間隔を適当に調整して、弱化線24によって本体22に形成されるリボン状領域の主リボン部分28の軸線方向寸法(すなわち幅寸法)を、端リボン部分26に比べて十分に大きくすることができる一方で、本体22の内側空間に通される延長部分30の幅寸法を、端リボン領域26の幅寸法に対応して縮小することができる。したがって、コア部材12によれば、引裂かれた本体22のリボン状切片の全長が短くなるから、対象物へのリボン状切片の絡み付き度合を軽減することができるとともに、延長部分30の幅縮小により本体22の内側空間を十分に広く取れるから、対象物を常温収縮管装置10に円滑に挿入することができる。
【0025】
また、一体成形品としてのコア部材12では、予め本体22に円筒形状が付与されるので、主リボン部分28の幅寸法が増加しても、弱化線24における機械的強度を強化する必要は無い。しかも、弱化線24を構造的に安定化させることが容易であるから、引裂き力の変動の少ない安定かつ軽快な引裂き作業を実現できる。さらに、延長部分30の末端のタブ32も、射出成形工程により所望形状に一体成形できるので、製造工程が簡略化される。
【0026】
上記したコア部材12を有する常温収縮管装置10は、例えば電線接続部に装着する際に、感電を未然に防止するべく遠隔操作器具を用いてコア部材12の除去作業を行なう場合がある。この場合、コア部材12の延長部分30のタブ32を把持した遠隔操作器具を、単純に直線移動させるか回転させて延長部分30を直線状に引っ張ることにより、引裂かれた本体22のリボン状切片が電線接続部に絡み付くことを回避しつつ、コア部材12を弾性チューブ部材16から迅速に除去できる。このとき、螺旋状に引裂かれた本体22のリボン状切片は、それ自体に応力集中を生じ難い形状となるから、延長部分30を勢い良く引っ張ったときにも、リボン状切片が切断される危惧は低減される。
【0027】
一体成形品としてのコア部材12では、弱化線24を、複数の接合部34と複数の貫通スリット36とを交互に配置した多孔線として構成することができる。このような弱化線24の構成によれば、複数の接合部34の寸法及び個数を選択することにより、本体22をリボン状に引裂くための引裂き力を適当に調整することができる。本体22の好適な引裂き力は、例えば約20N〜約40N(約2kgf〜約4kgf)である。
【0028】
コア部材12の本体22の引裂き力は、弱化線24における各接合部34の形状を選択することによっても調整できる。この観点で、各接合部34は、図5に示すように、個々の引裂き開始側(引裂き方向を矢印αで示す)で互いに鋭角に交差する一対の外表面34a、34bを有することが好ましい。各接合部34におけるこれら外表面34a、34bの交差角度は、上記した好適な引裂き力を獲得できる範囲で適宜設定でき、例えば45°以下であることが好ましい。なお、弱化線24における複数の接合部34は、全て同一の寸法及び形状を有することが、引裂き作業中の引裂き力の変動を抑制する観点で有効である。
【0029】
常温収縮管装置10では、弾性チューブ部材16の端部領域18に内設されたコア部材12は、本体22の端リボン部分26が、弾性チューブ部材16の拡径部分(端部領域18)と非拡径部分(中間領域20)との境界のテーパ状拡張領域に押されて径方向内側に撓む傾向がある。この押圧力は、コア部材12の弱化線24を引裂き開始端24aで断裂させる場合があり、経時で弱化線24の意図しない断裂が進行することが懸念される。このような懸念を排除するために、図2に示すように、弱化線24の引裂き開始端24aに1つの接合部34´を形成し、この接合部34´が他の接合部34よりも高い引裂き強度を有するように構成することが有利である。
【0030】
弱化線24の引裂き開始端24aの接合部34´の引裂き強度を高めるためには、例えば図5に示すように、接合部34´の断面積を他の接合部34の断面積よりも大きくすることが、簡単かつ効果的である。また、接合部34´における外表面34a、34bの交差角度を、他の接合部34における交差角度よりも大きくすることによっても、接合部34´の引裂き強度を高めることができる。上記した所期の目的を達成するための、弱化線24の引裂き開始端24aの接合部34´の引裂き強度は、他の接合部34の引裂き強度(すなわち本体22の引裂き力)の例えば1.5〜2倍であり、そのような引裂き強度が得られるように接合部34´の形状を設定すれば良い。さらに、必要に応じて、弱化線24の延長方向すなわち引裂き方向へ見て接合部34´の後方近傍に位置する1個〜数個(好ましくは1個〜3個)の接合部34にも、同様に他の接合部34よりも高い引裂き強度を付与することができる。
【0031】
弱化線24における各接合部34、34´の形状は、図5に示す二等辺三角形の断面形状に限らず、図6(a)〜(e)に示すような多様な断面形状から選択できる。いずれの形状においても、接合部34は、その引裂き開始側で互いに鋭角に交差する一対の外表面34a、34bを有する。
【0032】
常温収縮管装置10に装着対象物を一層円滑に挿入できるようにするために、コア部材12はさらに、本体22の軸線方向他端領域に延長部分30を仮留めするための係止機構を備えることが有利である。この係止機構は、例えば図7に示すように、延長部分30の中間位置で外方に突出するフック38によって構成できる。フック38は、好ましくは延長部分30に一体成形される。延長部分30は、フック38を、本体22の軸線方向他端22cに隣接する部位に着脱自在に引っ掛けることにより、本体22の内面に近接した位置に保持され、それにより本体22の内側空間を十分に確保できる。
【0033】
或いは図8に示すように、本体22の軸線方向他端22cに隣接する内面の所望位置に、係止機構としてのフック40を一体的に突設することもできる。また図9に示すように、本体22の軸線方向他端22cにおける弱化線24の引裂き終了端24bに接合部34を設けないようにして、この引裂き終了端24bに隣接する貫通スリット36に、延長部分30を着脱自在に挟み込むことによっても、係止機構を構成することができる。
【0034】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、図示実施形態の構成に限定されず、特許請求の範囲の記載内で種々の変形及び修正を成し得るものである。例えば、一体成形品からなるコア部材においては、弱化線によって本体に螺旋状に形成されるリボン状の領域が、全体として一様な軸線方向寸法を有する一方で、本体の軸線方向一端でリボン状領域に一体的に連結される延長部分が、リボン状領域の軸線方向寸法よりも小さい幅寸法を有するように構成することもできる。このような構成によっても、前述したコア部材12と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。
【0035】
また、弾性チューブ部材の全長に渡ってコア部材を内設した常温収縮管装置にも、本発明に係るコア部材の構成を適用できる。また、分岐管の形態を有する常温収縮管装置にも、本発明を適用できることは言うまでもない。さらに、弾性チューブ部材の端部領域のシール性を向上させるべく、弾性チューブ部材とは特性の異なるエラストマーからなる中空筒状の内層要素を端部領域に固定的に内設した常温収縮管装置(特開平10−42447号公報参照)にも、本発明を適用できる。
【0036】
【実施例】
図2に示すコア部材12を、本体22の端リボン部分26の軸線方向寸法が7mm、主リボン部分28の軸線方向寸法が10mmであって、両者間のリボン状領域の軸線方向寸法を7mmから10mmに漸増させるとともに、本体22の内径を34.8mmとした寸法構成で、射出成形により一体成形した。このとき、弱化線24における複数の接合部34は、引裂き開始端24aにおける接合部34´の断面積を0.4mm2とし、他の接合部34の断面積を0.3mm2として形成した。この構成で、本体22をリボン状に引裂くために要する引裂き力は、引裂き開始時に約60N(約6kgf)、その後に全体を引裂く間は約40N(約4kgf)であった。
【0037】
このコア部材12を、軸線方向寸法が約30mmの端部領域18を有する弾性チューブ部材16に内設して、図1に示す常温収縮管装置10を作製した。この常温収縮管装置10を、電線接続部に装着する作業において、端部領域18内に位置するコア部材12のリボン状領域の巻き数を変化させながら、延長部分30のタブ32を略軸線方向へ直線状に引っ張ることにより、コア部材12の引裂き除去作業性(電線接続部への絡み付き度合)を比較検討した。実験では、遠隔操作器具を用いて、各巻き数に対し10回ずつの引裂き除去作業を行った。結果を下表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
上表に示す通り、常温収縮管装置10では、弾性チューブ部材16の端部領域18内に位置するコア部材12のリボン状領域の巻き数を、3巻き程度よりも少なくすることが、装着対象物へのコア部材12の絡み付きを軽減する観点で有利であることが判明した。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、引裂き可能なコア部材を有する常温収縮管装置において、対象物への装着作業性を損なうことなく、コア部材を弾性チューブ部材から迅速かつ正確に除去できるようになる。また、常温収縮管装置で使用できる引裂き可能なコア部材において、引裂かれたコア部材本体のリボン状切片が、常温収縮管装置の装着対象物に絡み付いたり引裂き作業中に切断されたりする懸念が排除され、安定した引裂き作業を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による常温収縮管装置の一部切欠き正面図である。
【図2】図1の常温収縮管装置に設置されたコア部材を示す拡大正面図である。
【図3】図2のコア部材を成形後の状態で示す斜視図である。
【図4】図2のコア部材を成形後の状態で示す(a)正面図及び(b)側面図である。
【図5】図2のコア部材における弱化線の構造を示す拡大断面図である。
【図6】(a)〜(e)は、図5の弱化線に設けられる接合部の種々の変形例を示す。
【図7】変形例によるコア部材の正面図である。
【図8】他の変形例によるコア部材の側面図である。
【図9】さらに他の変形例によるコア部材の正面図である。
【符号の説明】
10…常温収縮管装置
12…コア部材
14…開口端
16…弾性チューブ部材
18…端部領域
22…本体
24…弱化線
26…端リボン部分
28…主リボン部分
30…延長部分
32…タブ
34…接合部
36…貫通スリット
38、40…フック
Claims (7)
- 中空筒状の本体を具備し、該本体の軸線方向全長に渡り螺旋状に連続して延びる弱化線が形成され、該本体の軸線方向一端における該弱化線の端部を引裂き開始端として、該弱化線に沿って該本体をリボン状に引裂くことができるコア部材において、
前記弱化線は、複数の接合部と複数の貫通スリットとを交互に配置した多孔線からなり、かつ前記本体の軸線方向へ不均一な間隔を空けて螺旋状に延び、
前記弱化線によって前記本体に螺旋状に形成される前記リボン状の領域が、前記引裂き開始端に隣接して該弱化線と該本体の前記軸線方向一端との間に規定される端リボン部分と、該端リボン部分の軸線方向寸法よりも大きな軸線方向寸法を有する主リボン部分とを備えること、
を特徴とするコア部材。 - 前記弱化線の前記引裂き開始端に1つの前記接合部が形成され、少なくとも該1つの接合部が、必要に応じて該弱化線の延長方向に見て該1つの接合部の近傍の幾つかの接合部とともに、それ以外の前記接合部よりも高い引裂き強度を有する請求項1に記載のコア部材。
- 前記弱化線の前記複数の接合部が、個々の引裂き開始側で互いに鋭角に交差する一対の外表面を有する請求項1又は2に記載のコア部材。
- 前記端リボン部分に一体的に連結されて前記本体から延長される延長部分をさらに具備し、該延長部分の末端に、環状のタブが一体的に形成され、該本体、該延長部分及び該タブが樹脂材料の一体成形品からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のコア部材。
- 前記本体の軸線方向他端領域に前記延長部分を仮留めするための係止機構をさらに具備する請求項4に記載のコア部材。
- 中空筒状の本体を具備し、該本体の軸線方向全長に渡り螺旋状に連続して延びる弱化線が形成され、該本体の軸線方向一端における該弱化線の端部を引裂き開始端として、該弱化線に沿って該本体をリボン状に引裂くことができるコア部材において、
前記弱化線によって前記本体に螺旋状に形成される前記リボン状の領域に、該本体の前記軸線方向一端で一体的に連結される延長部分を具備し、
前記延長部分の幅寸法が、前記リボン状の領域の軸線方向寸法よりも小さいこと、
を特徴とするコア部材。 - 開口端を有する弾性チューブ部材と、該弾性チューブ部材の該開口端から所定長さの領域に除去可能に内設され、該領域を弾性的拡径状態に保持する中空筒状のコア部材とを具備する常温収縮管装置において、
前記コア部材が、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコア部材からなることを特徴とする常温収縮管装置。
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