JP3943530B2 - 作業機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関及び電動モータを併用した作業機の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
作業機において、内燃機関によって作業装置を駆動するとともに電動モータによって走行装置を駆動するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−326580公報(第5−6頁、図9−11)
【0004】
特許文献1による従来の作業機の概要を図10で説明する。
図10は従来の作業機の概要図であり、特開2002−326580公報の図10の要部を再掲する。なお、符号は振り直した。
【0005】
従来の作業機100は、機体101にオーガ102及びブロア103からなる作業装置104、作業装置104を駆動するエンジン105、クローラからなる左右の走行装置106,106、これらの走行装置106,106を駆動する左右の電動モータ107,107、エンジン105に駆動されてバッテリ108や電動モータ107,107に電力を供給する発電機109、電動モータ107,107を制御する制御部111を備えたというものである。
さらに作業機100は、機体101の上部後方の操作盤112に、エンジン105の出力を調節するスロットルレバー113(内燃機関用操作部材に相当)、電動モータ107,107の出力を調節するアクセルレバー114(モータ用操作部材に相当)を備える。
【0006】
エンジン105の出力の一部で発電機109を回し、得た電力をバッテリ108に供給するとともに、左右の電動モータ107,107に供給することができる。また、エンジン105の出力の残部を、電磁クラッチ115を介して作業装置104の回転に充てることができる。このように作業機100は、エンジン105で作業装置104を駆動するとともに、電動モータ107,107で走行装置106,106を駆動する形式の除雪機である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の作業機100は、エンジン105で作業装置104を駆動するとともに、電動モータ107,107で走行装置106,106を駆動する形式であるから、比較的小容量で小型のバッテリ108を搭載することが多い。エンジン105から発電機109を介して電動モータ107,107へ、常時電力を供給できるので、大容量のバッテリ108は不要である。発電機109による発電量が、電動モータ107,107で消費される消費電力量よりも若干上回るようにすればよいからである。
【0008】
ところで、このような作業機100においては、エンジン105を運転することなく、一時的に短距離だけ走行させたい場合がある。例えば、作業機100を保管場所に出し入れする場合や、保管場所から近くの作業場所へ移動させる場合である。このような場合にその都度、エンジン105を運転するのでは作業が面倒である。
そこで、エンジン105を運転することなく、バッテリ108からだけ電力を供給されて電動モータ107,107を運転し、作業機100を一時的に短距離だけ走行させる、いわゆるバッテリモードに切換えらるようにすることが考えられる。
【0009】
エンジン105を運転しつつ電動モータ107,107を運転する、いわゆる通常モードと上記バッテリモードとに切換えられるようにするには、操作盤112にモード切換えスイッチを設ければよい。
しかし、モードを切換える度にモード切換えスイッチを操作するのでは、作業などを一旦中断してモード切換え操作をする必要がある。一連の作業の流れを中断するので、作業機100の作業性を確保するためには、改良の余地が残る。
【0010】
そこで本発明の目的は、内燃機関及び電動モータを併用した作業機において、内燃機関を運転することなく電動モータだけを運転して、作業機を一時的に短距離だけ走行させることのできるとともに、作業機の作業性をより十分に確保することができる技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、機体に除雪作業部等の作業装置、この作業装置を駆動する内燃機関、クローラや車輪等の走行装置、この走行装置を駆動する電動モータ、内燃機関に駆動されてバッテリや電動モータに電力を供給する発電機、内燃機関の出力を調節する内燃機関用操作部、及び、電動モータの出力を調節するモータ用操作部を備えた作業機において、
モータ用操作部の操作に応じて、バッテリモードと通常モードとに切り換える制御部を備え、
バッテリモードは、内燃機関を停止させた状態で、電動モータをバッテリから供給される電力によってのみ回転させるモードであり、
通常モードは、内燃機関を作動させた状態で、電動モータを内燃機関から供給される電力によって回転させるモードであり、
モータ用操作部は、レバーと、このレバーを案内するレバー案内溝と、このレバー案内溝の長手中央における最低出力切換え位置から直角方向へ延びる横溝とを備え、
この横溝は、バッテリモード切換え位置であり、
制御部は、レバーが最低出力切換え位置からバッテリモード切換え位置へ操作される度に、バッテリモードと通常モードとに、交互に切り換えるように制御する構成であることを特徴とする。
【0012】
バッテリモードに切換えることによって、内燃機関を停止させた状態で、電動モータをバッテリから供給される電力によってのみ、回転させることができる。このため、内燃機関を運転することなく電動モータだけを運転して、作業機を一時的に短距離だけ走行させることができる。内燃機関を運転する作業は不要である。電動モータだけを運転すればよいので、運転作業を簡単にすることができ、作業機の取り扱い性をより高めることができる。
さらには、必要以上に内燃機関を運転する必要がないので、内燃機関の耐久性をより高めることができるとともに、内燃機関を運転するための燃料等の消費量をより節減することができる。
【0013】
さらにまた、通常の作業時や走行時における使用頻度が高い、モータ用操作部(電動モータの出力を調節するもの)を有効利用し、この操作部に、バッテリモードに切換えるためのバッテリモード切換え位置を設けたので、操作部をバッテリモード切換え位置に切換え操作することにより、一連の作業の流れを中断することなく、簡単にモードを切換えることができる。従って、モード切換え操作性が高まるので、作業機の作業性をより十分に確保することができる。
【0014】
しかも、モータ用操作部における、最低出力切換え位置に隣接した位置にバッテリモード切換え位置を配置したので、通常モードからバッテリモードに的確に且つ容易に切換えることができるとともに、作業者は最低出力切換え位置を目視するだけでも、バッテリモードに移行したことを明確に認識することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は作業者から見た方向に従う。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0016】
図1は本発明に係る除雪機の左側面図、図2は本発明に係る除雪機の平面図でである。
図1及び図2に示すように、作業機としての除雪機10は、左右の走行装置20L,20Rを備えた走行フレーム31に、伝動ケース32を上下スイング可能に取付け、伝動ケース32の左右両側部に左右の電動モータ33L,33Rを取付け、伝動ケース32の上部にエンジン34(すなわち、内燃機関34)を取付けるとともに、伝動ケース32の前部に除雪作業部40を取付け、さらに、伝動ケース32の上部から後上方へ左右の操作ハンドル51L,51Rを延し、これら左右の操作ハンドル51L,51R間に操作盤53を備え、作業者が操作盤53の後から連れ歩く、自力走行式の歩行型作業機である。
【0017】
走行フレーム31と伝動ケース32の組合せ構造体は機体11をなす。左右の操作ハンドル51L,51Rは、先端に手で握るグリップ52L,52Rを備える。以下、要部を詳細に説明する。
【0018】
本発明は、内燃機関としてのエンジン34で除雪作業部40を駆動し、電動モータ33L,33Rで走行装置20L,20Rだけを駆動するようにしたことを特徴とする。細かな走行速度の制御、旋回制御及び前後進切替制御は電動モータが適当であり、一方、急激な負荷変動を受ける作業部系はパワーのある内燃機関が適当であるとの考えに基づいて、そのようにした。
【0019】
左右の電動モータ33L,33Rは、動力を左右の走行用伝動機構35L,35R(図1参照)を介して左右の走行装置20L,20Rに伝達して、駆動する走行用駆動源である。
【0020】
左の走行装置20Lは、前部の駆動輪21Lと後部の遊動輪22Lとにクローラベルト23Lを巻き掛け、駆動輪21Lを左の電動モータ21Lで正逆転させるクローラである。右の走行装置20Rは、前部の駆動輪21Rと後部の遊動輪22Rとにクローラベルト23Rを巻き掛け、駆動輪21Rを右の電動モータ21Rで正逆転させるクローラである。
【0021】
走行フレーム31は、左右の駆動輪用車軸24L,24Rを回転可能に支承するとともに、後部で遊動輪用車軸25を支承するフレームである。左右の駆動輪用車軸24L,24Rは、左右の駆動輪21L,21Rを固定した回転軸である。遊動輪用車軸25は、左右の遊動輪22L,22Rを回転可能に取付けた固定軸である。
【0022】
エンジン34は、クランク軸34aを下方へ延ばしたバーチカルエンジンであって、動力を伝動ケース32に収納された作業用伝動機構を介して除雪作業部40に伝達して、駆動する作業用駆動源である。
【0023】
除雪作業部40は、前部のオーガ41、後部のブロア42、上部のシュータ43、オーガ41を囲うオーガハウジング44、及びブロア42を囲うブロアハウジング45からなる。オーガ41は、地面に積もった雪を中央に集める作用をなす。この雪を受け取ったブロア42は、シュータ43を介して雪を除雪機10の周囲の所望の位置へ投射する作用をなす。
スイング駆動機構46により、伝動ケース32並びに除雪作業部40を上下にスイングさせることで、オーガハウジング44の姿勢を調節できる。
図2に示すように、機体11は前部に発電機54及びバッテリ55を備える。
【0024】
以上の説明から明らかなように、作業機としての除雪機10は、機体11に除雪作業部等の作業装置40、この作業装置40を駆動する内燃機関34、クローラや車輪等の走行装置20L,20R、この走行装置20L,20Rを駆動する電動モータ33L,33R、内燃機関34に駆動されてバッテリ55や電動モータ33L,33Rに電力を供給する発電機54、電動モータ33L,33Rを制御する制御部56を備える。制御部56は、例えば操作盤53の下方に配置又は操作盤53に内蔵する。
【0025】
図中、61はエンジン34周りを覆うカバー、62はランプ、63はエアクリーナ、64はキャブレータ、65はエンジン排気用マフラ、66は燃料タンクである。
【0026】
図3は図1の3矢視図である。操作盤53は、背面53a(この図の手前側であり、作業者側の面)に、メインスイッチ71、エンジン用チョーク72、クラッチ操作スイッチ73などを備え、操作盤53の上面53bに右側から左側へ、投雪方向調節レバー74、電動モータの出力を調節するモータ用操作部75、エンジンの出力を調節する内燃機関用操作部76をこの順に備え、さらに、操作盤53の左にグリップ52Lを配置し、操作盤53の右にグリップ52Rを配置したものである。
【0027】
左の操作ハンドル51Lは、グリップ52Lの近傍に走行準備レバー77を備える。右の操作ハンドル51Rは、グリップ52Rの近傍にオーガハウジング姿勢調節レバー78を備える。
【0028】
図1及び図3を参照しつつ説明すると、メインスイッチ71は、キー挿入孔にメインキー(図示せず)を差込んで回すことでエンジン34を始動することのできる周知のイグニッションスイッチであり、例えば、キー挿入孔を中心として「オフ位置OFF」、「オン位置ON」及び「スタート位置ST」を、時計回りにこの順に配列したものである。
【0029】
メインキーをオフ位置OFFに合せたときには、エンジン34を停止させるとともに、全ての電気系統を遮断させることができる。メインキーをオフ位置OFFからオン位置ONに切換えたときには、エンジン34を停止状態にさせることができる。メインキーをスタート位置STに合せたときには、エンジン34を始動させることができる。メインキーをスタート位置STからオン位置ONに切換えたときには、始動したエンジン34をそのまま本運転に移行することができる。
【0030】
エンジン用チョーク72は、引くことで混合気の濃度を高める操作部材である。 クラッチ操作スイッチ73は、オーガ41並びにブロア42をオン・オフ操作する押し釦スイッチである。
投雪方向調節レバー74は、シュータ43の方向を変更するときに操作するレバーである。
【0031】
モータ用操作部75は、操作盤53に開けたレバー案内溝75aと、レバー案内溝75aに案内されて移動し得る方向速度レバー(モータ操作部材)75bとからなる。方向速度レバー75bは、走行装置20L,20Rに係る方向速度制御部材であって、電動モータ33L,33Rの走行速度を操作するとともに、電動モータ33L,33Rを正逆転させることで前後進切換えをする前後進速度調節レバーである。
【0032】
内燃機関用操作部76は、操作盤53に開けたレバー案内溝76aと、レバー案内溝76aに案内されて移動し得るエンジン用スロットルレバー(内燃機関用操作部材)76bからなる。エンジン用スロットルレバー76bは、スロットルバルブ(図6の符号94参照)の開度を操作することでエンジン34の回転数を制御するレバーである。
【0033】
走行準備レバー77は、スイッチ手段(図6の符号77a参照)に作用する走行準備部材であり、リターンスプリングの引き作用により、図に示すフリー状態になればスイッチ手段はオンになる。作業者の左手で走行準備レバー77を握ってグリップ52L側に下げれば、スイッチ手段はオフとなる。このように、走行準備レバー77が握られているか否かはスイッチ手段で検出することができる。オーガハウジング姿勢調節レバー78は、スイング駆動機構46を操作してオーガハウジング44の姿勢を変更するときに操作するレバーである。
【0034】
さらに操作盤53は、左右の操作ハンドル51L,51R間に且つこれら左右の操作ハンドル51L,51Rを握った手で操作可能な範囲に、左右の旋回操作スイッチ81L,81Rを設けたことを特徴とする。
【0035】
より具体的には、操作盤53の背面53aのうち、左にグリップ52Lの近傍で車幅中心CL寄りの位置に左旋回操作スイッチ81L及びそれの押ボタン82Lを配置した。また、操作盤53の背面53aのうち、右にグリップ52Rの近傍で車幅中心CL寄りの位置に右旋回操作スイッチ81R及びそれの押ボタン82Rを配置した。このような左・右旋回操作スイッチ81L,81Rは、押ボタン82L,82Rを押し操作している間だけスイッチオンとなってスイッチ信号を発する、接点自動復帰式スイッチである。
作業者は、左右の操作ハンドル51L,51Rを両手で握って除雪機10を操縦しつつ、操作ハンドル51L,51Rを握ったままの親指で、左・右旋回操作スイッチ81L,81Rをも操作することができる。
【0036】
さらにまた、操作盤53は背面53aにバッテリモード報知器としての報知表示器84や報音器85を設けたことを特徴とする。
報知表示器84は、制御部56がバッテリモードであることを判断したときに表示する部材であり、例えば液晶表示器等の表示パネルや、表示灯からなる。報音器85は、制御部56がバッテリモードであることを判断したときに音を発する部材であり、例えば報知音を発するブザーや、音声を発する音声発生器からなる。
【0037】
図4は本発明で採用したモータ用操作部の説明図である。モータ用操作部75の方向速度レバー75bは、前後に一直線に延びるレバー案内溝75aに案内されて、作業者の手で、矢印▲1▼,▲2▼の如く往復させることができ、「中立範囲Rn」より「前進Rf」側へ倒せば除雪機を前進させることができ、且つ「前進Rf」領域においては、Lfが低速前進、Hfが高速前進となるように、速度制御も行える。同様に、「中立範囲Rn」より「後進Rr」側へ倒せば除雪機を後進させることができ、且つ「後進Rr」領域においては、Lrが低速後進、Hrが高速後進となるように、速度制御も行える。
【0038】
この例では、図の右端に付記した通りに、後進の最高速が0V(ボルト)、前進の最高速が5V、中立範囲Rnが2.3V〜2.7Vになるようにポテンショメータ(図6の符号75f参照)でポジションに応じた電圧を発生させる。
1つのレバーで前後の方向と高低速の速度制御とを設定できるので、方向速度レバー75bと名付けた。
【0039】
モータ用操作部75は、エンジンを停止させた状態で電動モータをバッテリから供給される電力によってのみ回転させる「バッテリモード」に切換えるための、バッテリモード切換え位置P1を設けたことを特徴とする。バッテリモード切換え位置P1は、方向速度レバー75bの最低出力切換え位置である中立範囲Rnに隣接した位置に配置したものである。
【0040】
具体的には、レバー案内溝75aの長手中央位置から直角方向へ延びる横溝75c、すなわち「中立範囲Rn」においてレバー案内溝75aから直角方向へ延びる横溝75cを連通させ、この横溝75cの位置をバッテリモード切換え位置P1とした。この横溝75cはバッテリモード切換え溝である(以下、「バッテリモード切換え溝75c」と言う。)。
【0041】
さらにモータ用操作部75は、方向速度レバー75bをバッテリモード切換え位置P1へ切換えたことを検出するバッテリモードスイッチ75dを、バッテリモード切換え溝75cに備える。
バッテリモードスイッチ75dは、例えば、バッテリモード切換え位置P1に切り替わった方向速度レバー75bで検出ロッド75eが押されたときだけ、スイッチオン信号を発する、接点自動復帰式のリミットスイッチである。
【0042】
方向速度レバー75bをレバー案内溝75aからバッテリモード切換え溝75cへ移動させることで、方向速度レバー75bをバッテリモード切換え位置P1に切換えることができ、この切換えたことをバッテリモードスイッチ75dで検出することができる。
【0043】
図5は本発明で採用した内燃機関用操作部の説明図である。内燃機関用操作部76のエンジン用スロットルレバー76bは、前後に一直線に延びるレバー案内溝76aに案内されて、作業者の手で「最低出力切換え位置Pmi」と「最高出力切換え位置Pma」との間のスロットル領域Sa内で往復させることができる。
最低出力切換え位置Pmiは、低負荷作業時や作業機の移動時にエンジン用スロットルレバー76bを設定する位置である。最高出力切換え位置Pmaは、高負荷作業時にエンジン用スロットルレバー76bを設定する位置である。
【0044】
さらに内燃機関用操作部76は、エンジンを停止させた状態で電動モータをバッテリから供給される電力によってのみ回転させる「バッテリモード」に切換えるための、バッテリモード切換え位置P2を設けたことを特徴とする。バッテリモード切換え位置P2は、エンジン用スロットルレバー76bの最低出力切換え位置Pmiに隣接した位置に配置したものである。
【0045】
具体的には、レバー案内溝76aの一端を延長することで、スロットル領域Saの最低出力切換え位置Pmiに連なるモード切換え領域Sbを設け、このモード切換え領域Sbの奥端をバッテリモード切換え位置P2としたものである。
【0046】
この内燃機関用操作部76は、エンジン用スロットルレバー76bをバッテリモード切換え位置P2へ切換えたことを検出するバッテリモードスイッチ76cを、モード切換え領域Sbに備える。
バッテリモードスイッチ76cは、例えば、バッテリモード切換え位置P2に切り替わったエンジン用スロットルレバー76bで検出ロッド75dが押されたときだけ、スイッチオン信号を発する、接点自動復帰式のリミットスイッチである。
【0047】
エンジン用スロットルレバー76bをスロットル領域Saからモード切換え領域Sbへ移動させることで、エンジン用スロットルレバー76bをバッテリモード切換え位置P2に切換えることができ、この切換えたことをバッテリモードスイッチ76cで検出することができる。
【0048】
図6は本発明に係る除雪機の制御系統図であり、制御部56内の機器及び情報伝達経路を示す。想像線枠で囲ったエンジン34、電磁クラッチ91、オーガ41及びブロア42が作業部系92であり、その他は走行系となる。なお、制御部56内に破線で指令の流れを便宜上示したが、これはあくまでも参考的記載に過ぎない。
【0049】
先ず、除雪作業部40の系統の作動を説明する。
メインスイッチ71にキーを差込み、回してスタート位置にすることにより、セルモータ(スタータ)93の回転によりエンジン34を始動させる。
エンジン用スロットルレバー76bは、図示せぬスロットルワイヤでスロットルバルブ94に繋がっているので、エンジン用スロットルレバー76bを操作することでスロットルバルブ94の開度を制御することができる。これにより、エンジン34の回転数を制御することができる。
【0050】
エンジン34の出力の一部で発電機54を回し、得た電力をバッテリ55に供給するとともに、左右の電動モータ33L,33Rに供給する。96はバッテリ55の端子電圧(開放取得電圧)を計測する電圧センサである。97L,97Rは左右の電動モータ33L,33Rの回転数(モータ速度、回転速度)を計測する回転センサである。
エンジン34の出力の残部は、電磁クラッチ91を介して作業装置40としてのオーガ41及びブロア42の回転に充てる。
【0051】
走行準備レバー77を握るとともに、クラッチ操作スイッチ73を操作することにより、作業者の意志で電磁クラッチ91を接続し、エンジン34の動力でオーガ41及びブロア42を回転させることができる。
なお、走行準備レバー77をフリーにするか、クラッチ操作スイッチ73を操作するか、の何れかにより電磁クラッチ91を断状態にすることができる。
【0052】
次に走行装置20L,20Rの系統の作動を、図6に基づき説明をする。
本発明の除雪機10は、普通車両のパーキングブレーキに相当するブレーキとして、左右の電磁ブレーキ37L,37Rを備える。具体的には、左右の電動モータ33L,33Rの各モータ軸を左右の電磁ブレーキ37L,37Rによって制動するようにした。これらの電磁ブレーキ37L,37Rは、駐車中は制御部56の制御により、ブレーキ状態にある。そこで、次の手順で電磁ブレーキ37L,37Rを開放する。
【0053】
メインスイッチ71がスタート位置又はオン位置にあること、及び、走行準備レバー77が握られていることの2つの条件が満たされ、方向速度レバー75bを前進又は後進に切換えると、電磁ブレーキ37L,37Rは開放(非ブレーキ)状態になる。左の電磁ブレーキ37Lは左旋回機構の役割をも果たす。右の電磁ブレーキ37Rは右旋回機構の役割をも果たす。
【0054】
方向速度レバー75bの位置情報をポテンショメータ75fから得た制御部56は、左右の電動モータ33L,33Rを回転させ、回転速度を所定値になるようにフィードバック制御を実行する。この結果、左右の駆動輪21L,21Rが所望の方向に、所定の速度で回り、走行状態となる。
【0055】
左旋回操作スイッチ81Lを押している間は、スイッチオンのスイッチ信号に基づいて左の電磁ブレーキ37Lはブレーキ状態になる。右旋回操作スイッチ81Rを押している間は、スイッチオンのスイッチ信号に基づいて右の電磁ブレーキ37Rはブレーキ状態になる。左・右旋回操作スイッチ81L,81Rから手を放すと、電磁ブレーキ37L,37Rは開放(非ブレーキ)状態に戻る。
【0056】
すなわち、左旋回操作スイッチ81Lを押している間だけ、除雪機10を左旋回させることができる。また、右旋回操作スイッチ81Rを押している間だけ、除雪機10を右旋回させることができる。
【0057】
そして、次の(1)〜(3)の何れかにより、走行を停止させることができる。
(1)メインスイッチ71をオフ位置に戻す。
(2)方向速度レバー75bを中立位置に戻す。
(3)走行準備レバー77を離す。
【0058】
この停止は、電動モータ33L,33Rの両極を短絡させる短絡ブレーキ回路(回生ブレーキ)38L,38Rを用いて実行する。短絡ブレーキ回路38L,38Rは、文字通り電動モータ33L,33Rの両極を短絡させる回路であり、この短絡により電動モータ33L,33Rは急制動状態になる。
【0059】
停止後にメインスイッチ71をオフ位置に戻せば、電磁ブレーキ37L,37Rがブレーキ状態となり、パーキングブレーキを掛けたことと同じになる。
【0060】
次に、上記図6に示す制御部56をマイクロコンピュータとした場合の制御フローについて、図3及び図6を参照しつつ、図7〜図9に基づき説明する。この制御フローは、図3に示すメインスイッチ71を「オフ位置」から「オン位置」へ切換えたときに開始する。図中、ST××はステップ番号を示す。特に説明がないステップ番号については、番号順に進行する。
【0061】
先ず、図3に示す内燃機関用操作部76のエンジン用スロットルレバー76bにより、バッテリモードに切換える場合の制御フローについて、図7及び図8に基づき説明する。
【0062】
図7は本発明に係る制御部の制御フロー図(その1)である。
ST01;初期設定をする。
ST02;メインスイッチ71、方向速度レバー75b、内燃機関用操作部76のバッテリモードスイッチ76c、走行準備レバー77のスイッチ手段77a、左・右旋回操作スイッチ81L,81R等の各スイッチ信号(レバー位置信号を含む)を入力信号として読み込む。
【0063】
ST03;バッテリモードスイッチ76cがオンであるか否かを調べ、YESならST04に進み、NOならST07に進む。図5に示すエンジン用スロットルレバー76bをバッテリモード切換え位置P2に切換えることによって、バッテリモードスイッチ76cがオンになったときに、YESであると判断する。
ST04;バッテリモードに移行したので、バッテリモード報知器としての報知表示器84や報音器85をオンにする。バッテリモード報知器によって、作業者にバッテリモードに切り替わったことを知らせることができる。
ST05;エンジン34が作動中であるか否かを調べ、YESならST06に進み、NOなら出結合子A1に進む。
ST06;エンジン34を停止させた後に、出結合子A1に進む。
【0064】
ST07;バッテリモードではないので、バッテリモード報知器としての報知表示器84や報音器85をオフにする。
ST08;エンジン34が作動中であるか否かを調べ、YESなら出結合子A1に進み、NOならST09に進む。
ST09;エンジン34を始動させた後に、出結合子A1に進む。
【0065】
図8は本発明に係る制御部の制御フロー図(その2)であり、上記図7の出結合子A1と本図の入結合子A1とを経てST11に進んだことを示す。
【0066】
ST11;走行準備レバー77のスイッチ手段77a、すなわち走行準備スイッチ77aがオンであるか否かを調べ、YESならST12に進み、NOならST13に進む。走行準備レバー77を手で握ったときにYESであると判断する。
ST12;方向速度レバー75bが前進位置又は後進位置にあるか否かを調べ、NOならST13に進み、YESならST14に進む。
ST13;走行準備レバー77を離したという条件、又は方向速度レバー75bを中立位置(中立範囲)に戻したという条件が満たされたので、電動モータ33L,33Rを停止させる。
【0067】
ST14;除雪機10の前進・後進・旋回・走行速度等の走行条件を読み込む。例えば、左右の電動モータ33L,33Rの目標速度を方向速度レバー75bの位置から読み込む。
ST15;左右の電動モータ33L,33Rの実速度を計測する。実速度は回転センサ97L,97Rで現実の電動モータ33L,33Rの回転数を計測すればよい。
ST16;左右の電動モータ33L,33Rを走行条件や実速度に応じた制御信号で回転制御する。なお、制御信号出力はPI制御ならPI出力、PID制御ならPID出力に相当する。この制御信号出力はパルス幅変調信号(PWM信号)であってもよい。
【0068】
ST17;メインスイッチ71が「オン位置」にあるか否かを調べ、YESなら出結合子A2と図7の入結合子A2とを経てST02に戻り、NOならST18に進む。
ST18;左右の電動モータ33L,33Rを停止させる。
ST19;エンジン34を停止させた後に、リターンしてこの制御を終了する。
【0069】
この図7及び図8に示す制御フローを実行することにより、作業機10は次の作用をなす。
作業者は、エンジン用スロットルレバー76bをバッテリモード切換え位置P2(図5参照)にセットした状態で、メインスイッチ71をオフ位置OFFからオン位置ONに切換える。この結果、制御部56はバッテリモードに移行したと判断し、バッテリモード報知器84,85を作動させるとともに、エンジン34を停止させた状態で、バッテリ55から供給される電力によってのみ、電動モータ33L,33Rを回転させるように制御する(バッテリモード走行制御)。
その後、方向速度レバー75bを操作することで、電動モータ33L,33Rの回転を調整しつつ、作業機10を一時的に短距離だけ走行させることができる。
【0070】
その後、作業者がエンジン用スロットルレバー76bをバッテリモード切換え位置P2から他の位置、例えば最低出力切換え位置Pmi(図5参照)に切換える。この結果、制御部56は通常モードに移行したと判断し、バッテリモード報知器84,85を停止させるとともに、エンジン34を始動させ、エンジン34から電力の供給を受けた状態で、電動モータ33L,33Rを回転させるように制御する(通常モード走行制御)。
【0071】
その後、方向速度レバー75bを操作することで、電動モータ33L,33Rの回転を調整しつつ、作業機10を通常通り走行させながら、除雪作業部40で作業をすることができる。
その後、作業者がエンジン用スロットルレバー76bをバッテリモード切換え位置P2に戻す。この結果、制御部56はバッテリモードに再び移行したと判断し、再びバッテリモード走行制御を実行する。
【0072】
次に、図3に示すモータ用操作部75の方向速度レバー75bにより、バッテリモードに切換える場合の制御フローについて、図8及び図9に基づき説明する。なお、この場合には、先に図9の制御フローを実行した後に、図8の制御フローを実行することになる。
【0073】
図9は本発明に係る制御部の制御フロー図(その3)である。
ST101;初期設定をする。例えばカウント値Nを0とする。
ST102;モータ用操作部75のバッテリモードスイッチ75dのスイッチ信号を読み込む。
ST103;バッテリモードスイッチ75dがオン状態であるか否かを調べ、YESならST104に進み、NOならST108に進む。図4に示す方向速度レバー75bがバッテリモード切換え位置P1に有る状態のときに、オン状態であると判断する。
【0074】
ST104;メインスイッチ71、方向速度レバー75b、モータ用操作部75のバッテリモードスイッチ75d、走行準備レバー77のスイッチ手段77a、左・右旋回操作スイッチ81L,81R等の各スイッチ信号(レバー位置信号を含む)を入力信号として読み込む。
なお、この制御フローにおいては、図8の出結合子A2から、この図9の入結合子A2を経てST104に戻ることになる。
【0075】
ST105;バッテリモードスイッチ75dから1パルスのオン信号(オンパルス信号)が有ったか否かを調べ、YESならST106に進み、NOなら出結合子A1と図8の入結合子A1とを経てST11に進む。作業者が図4に示す方向速度レバー75bをバッテリモード切換え位置P1に切換える毎に、1パルスのオンパルス信号が有ったと判断する。但し、上記ST103でオン状態であると判断したときにも、このST105の判断はYESである。
【0076】
ST106;上記ST105で作業者が方向速度レバー75bをバッテリモード切換え位置P1に切換える毎に、カウント値Nを「1」だけ加算する。
ST107;カウント値Nが「1」であるか否かを調べ、NOなら通常モードであると判断してST108に進み、YESならバッテリモードであると判断してST109に進む。
ST108;カウント値Nをリセットする(N=0)。
なお、上記ST105〜ST108の集合は、スイッチ信号自己保持部95を構成する。
【0077】
ST109;バッテリモードに移行したので、バッテリモード報知器としての報知表示器84や報音器85をオンにする。バッテリモード報知器によって、作業者にバッテリモードに切り替わったことを知らせることができる。
ST110;エンジン34が作動中であるか否かを調べ、YESならST111に進み、NOなら出結合子A1と図8の入結合子A1とを経てST11に進む。
ST111;エンジン34を停止させた後に、出結合子A1と図8の入結合子A1とを経てST11に進む。
【0078】
ST112;通常モードに移行したので、バッテリモード報知器としての報知表示器84や報音器85をオフにする。
ST113;エンジン34が作動中であるか否かを調べ、YESなら出結合子A1と図8の入結合子A1とを経てST11に進み、NOならST114に進む。
ST114;エンジン34を始動させた後に、出結合子A1と図8の入結合子A1とを経てST11に進む。
【0079】
この図8及び図9に示す制御フローを実行することにより、作業機10は次の作用をなす。
作業者は、方向速度レバー75bをバッテリモード切換え位置P1(図4参照)にセットした状態で、メインスイッチ71をオフ位置OFFからオン位置ONに切換える。この結果、制御部56はバッテリモードに移行したと判断し、バッテリモード報知器84,85を作動させるとともに、エンジン34を停止させた状態で、バッテリ55から供給される電力によってのみ、電動モータ33L,33Rを回転させるように制御する(バッテリモード走行制御)。
【0080】
なお、最初に方向速度レバー75bをバッテリモード切換え位置P1にセットしたことについては、制御部56によって記憶(自己保持)される。
その後、方向速度レバー75bを、バッテリモード切換え位置P1から他の位置に切換えることで、電動モータ33L,33Rの回転を調整しつつ、作業機10を一時的に短距離だけ走行させることができる。
【0081】
その後、作業者が一旦、方向速度レバー75bをバッテリモード切換え位置P1に戻す。この結果、制御部56は通常モードに移行したと判断し、バッテリモード報知器84,85を停止させるとともに、エンジン34を始動させ、エンジン34から電力の供給を受けた状態で、電動モータ33L,33Rを回転させるように制御する(通常モード走行制御)。
【0082】
なお、方向速度レバー75bをバッテリモード切換え位置P1に戻したことについては、制御部56によって記憶(自己保持)される。
その後、方向速度レバー75bを、バッテリモード切換え位置P1から他の位置に切換えることで、電動モータ33L,33Rの回転を調整しつつ、作業機10を通常通り走行させながら、除雪作業部40で作業をすることができる。
【0083】
その後、作業者が一旦、方向速度レバー75bをバッテリモード切換え位置P1に戻す。この結果、制御部56はバッテリモードに再び移行したと判断し、再びバッテリモード走行制御を実行する。
【0084】
以上の説明から明らかなように、本発明の制御部56は、エンジン34を停止させた状態で、電動モータ33L,33Rをバッテリ55から供給される電力によって回転させるバッテリモード(制御モード)に切換えて実行するように構成したことを特徴とする。
【0085】
制御部56をバッテリモードに切換えることによって、エンジン34を停止させた状態で、電動モータ33L,33Rをバッテリ55から供給される電力によってのみ、回転させることができる。このため、エンジン34を運転することなく電動モータ33L,33Rだけを運転して、作業機10を一時的に短距離だけ走行させることができる。例えば、作業機10を保管場所に出し入れする、又は、保管場所から近くの作業場所へ移動させることができる。
【0086】
エンジン34を運転する作業は不要である。電動モータ33L,33Rだけを運転すればよいので、運転作業を簡単にすることができ、作業機10の取り扱い性をより高めることができる。また、電動モータ33L,33Rだけを運転して作業機10を移動できるので、騒音を抑制でき、早朝などの静かなときに特に有効である。
さらには、必要以上にエンジン34を運転する必要がないので、エンジン34の耐久性をより高めることができるとともに、エンジン34を運転するための燃料等の消費量をより節減することができる。
【0087】
さらにまた、通常の作業時や走行時における使用頻度が高い、モータ用操作部75や内燃機関用操作部76を有効利用し、これらの操作部75,76の一方又は両方に、バッテリモードに切換えるためのバッテリモード切換え位置P1,P2(図4、図5参照)を設けたので、操作部75,76をバッテリモード切換え位置P1,P2に切換え操作することにより、一連の作業の流れを中断することなく、簡単にモードを切換えることができる。従って、モード切換え操作性が高まるので、作業機10の作業性を十分に確保することができる。
【0088】
しかも、モータ用操作部75や内燃機関用操作部76における、最低出力切換え位置Rn,Pmi(図4、図5参照)に隣接した位置にバッテリモード切換え位置P1,P2を配置したので、通常モードからバッテリモードに的確に且つ容易に切換えることができるとともに、作業者は最低出力切換え位置P1,P2を目視するだけでも、バッテリモードに移行したことを明確に認識することができる。
【0089】
さらに制御部56で、図7の制御フローのST06やST09、図9の制御フローのST111やST114において、エンジン34を自動的に始動、停止させるように構成したので、図3に示すメインスイッチ71には、「スタート位置ST」を廃止して「オフ位置OFF」と「オン位置ON」の2つの位置だけを設けることができる。このような構成にすることで、メインスイッチ71を簡単な構成で小型にすることができる。
【0090】
なお、上記本発明の実施の形態において、作業機10は除雪機に限定されるものではなく、例えば耕耘機であってもよい。
また、走行装置20L,20Rはクローラに限定されるものではなく、例えば車輪であってもよい。
また、内燃機関34はガソリンエンジンやディーゼルエンジンを包含する。
また、作業装置40は除雪作業部に限定されるものではなく、例えば耕耘作業部であってもよい。
【0091】
また、本発明の作業機には、(1)モータ用操作部75にのみバッテリモード切換え位置P1を備える構成、(2)内燃機関用操作部76にのみバッテリモード切換え位置P2を備える構成、(3)モータ用操作部75と内燃機関用操作部76の両方にバッテリモード切換え位置P1,P2を備える構成の、どれを採用することもできる。(3)の構成を採用した場合には、制御部56は上記図7〜図9に示す制御フローを合成したフローを実行するようにすればよい。
【0092】
また、制御部56は、図7の制御フローのST06や図9の制御フローのST111において、エンジン34を自動的に停止するのではなく、メインスイッチ71をオフ位置OFFに切換えたという条件が満たされたときにのみ、エンジン34を停止できるように制御する構成であってもよい。
【0093】
また、制御部56は、図7の制御フローのST09において、エンジン34を自動的に始動するのではなく、図5のエンジン用スロットルレバー76bがバッテリモード切換え位置P2とは異なる位置(スロットル領域Sa)にあるという条件と、メインスイッチ71をスタート位置STに切換えたという条件とが満たされたときにのみ、エンジン34を始動できるように制御する構成であってもよい。
【0094】
また、制御部56は、図9の制御フローのST114において、エンジン34を自動的に始動するのではなく、図4の方向速度レバー75bがバッテリモード切換え位置P1とは異なる位置にあるという条件と、メインスイッチ71をスタート位置STに切換えたという条件とが満たされたときにのみ、エンジン34を始動できるように制御する構成であってもよい。
【0095】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、内燃機関を停止させた状態で、電動モータをバッテリから供給される電力によってのみ回転させる、バッテリモードに切換えることができるので、バッテリモードに切換えることによって、内燃機関を停止させた状態で、電動モータをバッテリから供給される電力によってのみ、回転させることができる。このため、内燃機関を運転することなく電動モータだけを運転して、作業機を一時的に短距離だけ走行させることができる。内燃機関を運転する作業は不要である。電動モータだけを運転すればよいので、運転作業を簡単にすることができ、作業機の取り扱い性をより高めることができる。
さらには、必要以上に内燃機関を運転する必要がないので、内燃機関の耐久性をより高めることができるとともに、内燃機関を運転するための燃料等の消費量をより節減することができる。
【0096】
さらにまた、通常の作業時や走行時における使用頻度が高い、モータ用操作部(電動モータの出力を調節するもの)を有効利用し、この操作部に、バッテリモードに切換えるためのバッテリモード切換え位置を設けたので、操作部をバッテリモード切換え位置に切換え操作することにより、一連の作業の流れを中断することなく、簡単にモードを切換えることができる。従って、モード切換え操作性が高まるので、作業機の作業性をより十分に確保することができる。
【0097】
しかも、モータ用操作部における、最低出力切換え位置に隣接した位置にバッテリモード切換え位置を配置したので、通常モードからバッテリモードに的確に且つ容易に切換えることができるとともに、作業者は最低出力切換え位置を目視するだけでも、バッテリモードに移行したことを明確に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る除雪機の左側面図
【図2】本発明に係る除雪機の平面図
【図3】図1の3矢視図
【図4】本発明で採用したモータ用操作部の説明図
【図5】本発明で採用した内燃機関用操作部の説明図
【図6】本発明に係る除雪機の制御系統図
【図7】本発明に係る制御部の制御フロー図(その1)
【図8】本発明に係る制御部の制御フロー図(その2)
【図9】本発明に係る制御部の制御フロー図(その3)
【図10】従来の作業機の概要図
【符号の説明】
10…作業機、11…機体、20L,20R…走行装置、33L,33R…電動モータ、34…内燃機関、40…作業装置、54…発電機、55…バッテリ、56…制御部、75…モータ用操作部、75b…方向速度レバー(モータ操作部材)、76…内燃機関用操作部、76b…エンジン用スロットルレバー(内燃機関用操作部材)、P1,P2…バッテリモード切換え位置、Pmi…エンジン用スロットルレバーの最低出力切換え位置、Rn…方向速度レバーの最低出力切換え位置である中立範囲。

Claims (1)

  1. 機体に除雪作業部等の作業装置、この作業装置を駆動する内燃機関、クローラや車輪等の走行装置、この走行装置を駆動する電動モータ、前記内燃機関に駆動されてバッテリや前記電動モータに電力を供給する発電機、前記内燃機関の出力を調節する内燃機関用操作部、及び、前記電動モータの出力を調節するモータ用操作部を備えた作業機において、
    前記モータ用操作部の操作に応じて、バッテリモードと通常モードとに切り換える制御部を備え、
    前記バッテリモードは、前記内燃機関を停止させた状態で、前記電動モータを前記バッテリから供給される電力によってのみ回転させるモードであり、
    前記通常モードは、前記内燃機関を作動させた状態で、前記電動モータを前記内燃機関から供給される電力によって回転させるモードであり、
    前記モータ用操作部は、レバーと、このレバーを案内するレバー案内溝と、このレバー案内溝の長手中央における最低出力切換え位置から直角方向へ延びる横溝とを備え、
    この横溝は、バッテリモード切換え位置であり、
    前記制御部は、前記レバーが前記最低出力切換え位置から前記バッテリモード切換え位置へ操作される度に、前記バッテリモードと前記通常モードとに、交互に切り換えるように制御する構成であることを特徴とする作業機。
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